『こうなったら陸自もFH70を送るべきなのでは? 欧州の特許だろうから、誰からも文句は来ないよ。あと、昔の107mm迫撃砲や81mm迫撃砲は倉庫にまだあるのか? あるなら送っちまえよ。』
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『Howard Altman 記者による2022-4-26記事「Raytheon Is Unable To Make Stinger Anti-Aircraft Missiles Quickly Enough」。
レイセオンの社長が告白。スティンガーの急速増産は無理だ。サプライチェーンが凍っている。いままで18年間も調達してくれなかったペンタゴンが悪い。
18年のうちに、部品を製造してくれる下請けがなくなってしまっているのだ。
かたわら、スティンガーのシーカーヘッドの改良研究は社内で続けてきた。だから、旧型の増産ではなく、新型の生産注文をいただけることが、願わしい。
ただし最速でも製造は2023スタートとなる。ジャヴェリンもおいそれとは増産できない。スティンガーの生産工程は、ほとんど「手作業」だ。そしてまた、訓練済みの工員はほとんどが、トマホークやAMRAAMの製造ラインに貼り付けられている。簡単に増産なんてできない。
※スティンガーを急速量産できないなら、古いTOWシステムを、対NOEヘリ専用のミサイルとして改造できるのではないだろうか? それをオートバイ牽引のリアカーに搭載すればいいだろ。ヘリが現れないときは、VT信管付きの対陣地用誘導砲弾として使えるだろ。』
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米国がウクライナへ供与した「センチネル」は、半径75kmの敵UAVや巡航ミサイルを探知できる。
https://st2019.site/?p=19276『ストラテジーペイジの2017-4-26記事。
米国がウクライナへ供与した「センチネル」は、半径75kmの敵UAVや巡航ミサイルを探知できる。そして敵に傍受されない無線を使って、それが向っている味方部隊に自動的に空襲警報を送信する。
これとMANPADを組み合わせる。
また同時に供与されたはずの、対砲レーダーの「ファイアーファインダー」。
敵が加農砲を撃ってきたら、瞬時にその射点座標に対して味方の自走砲からお返しの砲撃をさせることができてしまう、高度な自動システムである。
この計算実行スピードは露軍は実現できていない。ただし弱点があり、敵がおもいきり接近して迫撃砲を撃ってきた場合、「ファイアーファインダー」は機能しなくなる。』
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『「Barrage Balloons Can deny Russian aircraft safety at low altitude」という記事。
阻塞気球はWWIで登場したが、WWIIでも有効だった。バトルオブブリテン中、102機のドイツ機が気球から垂らしたワイヤーに引っかかり、そのうち66機は墜落しているのだ。また「V-1」号巡航ミサイルのうち231発が、やはり阻塞気球にかかって、堕ちている。
WWII中に英国は気球を2000機、展開した。それらは常時同じ位置ではなく、素早く要所に集中させていた。
米国本土防衛省によると、35立方フィートの小型気球でも、半ポンドの荷物を吊るして、高度1000フィートに昇騰させることができる。繋留索は最近はケヴラー繊維の綱である。これはピックアップトラックで運搬でき、人手は数名しか要しない。
げんざい、地面スレスレの超低空飛行を守っているロシア軍のヘリコプターが、1000フィート以上で飛ぶことを余儀なくされれば、MANPADで遠くから照準しやすくなる。』 -
『Brennan Deveraux 記者による2022-4-22記事「Loitering Munitions in Ukraine and Beyond」。
ロシア軍がロイタリングミュニションを初使用したのは2021年のシリアであった。「ランセット」というシステム。
滞空40分で、レンジは40kmというところだった。メーカーは「Zala アエロ・グループ」。目標特定と攻撃決断をかんぜんに機械任せにしているので、倫理問題も提起した。しかしこの「ランセット」がウクライナで使われているという証拠はまだ得られていない。
露軍がウクライナで使っていることが確かめられているロイタリングミュニション「もどき」は、「KYB」である。
メーカーはZala。だが自律判断式のロボット特攻機ではなく、リモコンもしない。これは、建物のような、座標が既知でしかも動かない標的に対して、その座標を入力して飛ばす、いわば、誘導砲弾の無人機版なのだ。
しかしその弾頭はすこぶる非力である。
※驚くべき事実がまた確認された。
いまやロシアの兵器産業は、無人特攻機に関しては、イランにすら、劣後しているのである。
イランがフーシに手渡してサウジアラビア/UAEの空港や精油所を攻撃させている無人特攻機の方が、はるかに長射程だし、破壊力も大なのだ。
しかもそれは何年も前から実力が誇示され、ロシア人にはじゅうぶんな、イラン製品を輸入したり、イラン人に教えを請う時間もあったはずなのに、敢えてそれをしてないのである。
ロシアのプロ軍人は、予算の再配分に後ろ向きであるだけでなく、「戦術眼」と「研究心」をなくしているとしか思えない。
まるで日本の陸幕と同じ病気に罹っているようだ。』
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『これはロイターの26日報道。遮断の理由は、ポーランドがルーブルでの支払いに応じないためらしい。
ポーランドには、ヤマルの他にもガス輸入路(スロヴァキア経由など)があり、備蓄もあるので、当面、消費者へのガス供給は続けられる。
ドイツから、ヤマル・パイプラインを逆向きに、ガスを送ってもらうこともできるのである。
5月1日からは、リトアニアの天然ガスをチェコ経由で輸入する新パイプラインも稼動する。
10月になれば、ノルウェーからのガス直送パイプラインも稼動する。ポーランドの Swinoujiscie 港には、天然ガス・タンカーからの荷揚げができる設備がある。
雑報では、カットは水曜日の未明2時ちょうどを予定すると。』
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ベトナム軍では今も、カーゴ・バイク、すなわち補給品運搬用の自転車の押し方を、すべての歩兵に教育している。
https://st2019.site/?p=19272※ まあ、「山岳国家」だからな(北の方のベトナムは)…。
※ それにしても、結局は、「人は城。人は石垣。人は堀。」に尽きる…、ということだ…。
『indomilitary の2022-4-25記事「Vietnam’s military maintains the use of Onthel’s “Cargo Bike”」。
ベトナム軍では今も、カーゴ・バイク、すなわち補給品運搬用の自転車の押し方を、すべての歩兵に教育している。
「オンテル」〔インドネシア語?〕と呼ばれる、いたって旧式な荷物運搬自転車だ。
カーゴバイクはインドシナ戦争で大活躍した。なんと350kgの荷物をフレームに吊るして、山道を押して歩くこともできたのだ。「ディエン・ビエン・フー」攻囲作戦で、この自転車隊列が、砲弾を推進補給した。
自動二輪車より隠密性があり、しかもまた、ジャングルの中では、速力もそんなに違わないのである。
※ノルウェー製の「ペンギン」地対艦ミサイルは390kgある。特別な運搬用自転車を工夫すれば、戦前の「山砲」のように、人力だけで、離島内を移動できるであろう。射程は水平線まである。』
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苦悩深める旧ソ連諸国 対応割れたロシアの「裏庭」
編集委員 池田元博
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD211JE0R20C22A4000000/




『ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、旧ソ連諸国が対応に苦慮している。
民間人の大量虐殺がとりざたされるロシアの非人道的な軍事行動には総じて否定的だが、面と向かって反旗を翻せばロシアの反発は必至だ。強硬なロシアの報復を恐れ、目立った外交活動は控えざるを得ないのが実情のようだ。
Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。影響力を誇示するプーチン氏
ロシアのプーチン大統領は4月8日、旧ソ連構成共和国だった中央アジアのタジキスタンのラフモン大統領、トルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領と相次ぎ電話会談した。いずれも外交関係の樹立30年を記念したもので、「戦略的パートナーシップ」の強化で合意した。
翌9日。プーチン氏はこんどは、同じ旧ソ連のアルメニアのパシニャン首相、アゼルバイジャンのアリエフ大統領と個別に電話会談した。アルメニアとアゼルバイジャンは係争地ナゴルノカラバフを巡って対立している。ロシアは平和維持を目的として現地に軍部隊を派遣しており、電話会談では停戦合意を順守する重要性を確認した。パシニャン氏はさらに19日、訪ロしてプーチン氏と直接会談した。
アルメニアのパシニャン首相(右端)はロシアを訪問し、プーチン氏と会談した(20日、モスクワでの式典)=AP
プーチン氏は12日には、旧ソ連のベラルーシのルカシェンコ大統領とロシア極東の宇宙基地ボストーチヌイを訪れた。会談後の共同記者会見で、プーチン氏は「我々は常にベラルーシを兄弟とみなしてきた」と指摘。ルカシェンコ氏もベラルーシはロシアの「弟分」だと繰り返し、ロシアへの従属姿勢を強調した。
一連の会談は、ウクライナでの軍事作戦に集中する中でも、プーチン氏が自らの「裏庭」とみなす旧ソ連諸国の動静に目を光らせていると誇示する狙いもありそうだ。
12日、ロシア極東アムール州で、ロシアのプーチン大統領(左から2人目)と宇宙基地を視察するベラルーシのルカシェンコ大統領(同3人目)=ロシア大統領府提供、タス共同
では、旧ソ連諸国はロシアのウクライナ侵攻にどう対処しているのか。ロシアを全面的に支持するのはベラルーシだけで、日米欧の制裁対象にもなっている。逆に、すでに完全に西側陣営に入っているバルト3国以外で反ロシアを鮮明にし、軍事侵攻を非難しているのがジョージア(グルジア)とモルドバだ。ジョージアは2008年にロシアと戦火を交えた経緯もある。
それ以外の国々は総じて、ロシアのウクライナ侵攻を冷ややかに受け止めつつも、明確な態度表明を控えている。
立ち位置示した国連決議
こうした各国の立ち位置を如実に示したのが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた一連の国連総会決議だ。
3月2日にロシア軍の即時撤退を求めた決議、3月24日にウクライナでの人道状況改善に向けた決議、4月7日には国連人権理事会のロシアの理事国資格を停止する決議が採択された。ベラルーシはロシアとともに、すべての決議案に反対。ジョージアとモルドバはいずれも賛成票を投じた。
7日、国連人権理事会からのロシアの追放を決議した国連総会の様子(米ニューヨーク)=AP
他の国々は原則として棄権、あるいは投票に参加しなかった。ただし国連人権理からロシアを追放する決議案には、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの中央アジア4カ国が反対に回った。
この投票に先立って演説したカザフの代表者は、すべての当事者に戦闘停止を要請した。「ウクライナの人道状況は悲惨だ」と語り、カザフも航空機で3回、合計で50トンを超える支援物資を送ったと明かした。
一方で「この決議案は紛争解決につながらない」と強調。人権理も含めたあらゆる枠組みで交渉プロセスを進めるべきだと主張した。また、ロシアによる大規模な人権侵害の有無を中立的な立場で捜査するのが先決だとして、決議案への反対を表明した。
カザフスタンは1月のデモ鎮圧でロシア軍の支援を受けた(1月6日、モスクワ郊外からカザフに向かうロシア軍兵士)=ロシア国防省提供、AP
カザフ、キルギス、アルメニアはロシア、ベラルーシとともにユーラシア経済同盟に参加する。
さらにタジクも加えた6カ国で、ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」を構成する。
ロシアに肩入れして西側の制裁対象になるのは避けたいが、経済でも政治・軍事面でも依存するロシアとの関係も損ねるわけにはいかないというジレンマを抱える。
日本の外交成果、予断許さず
反ロを鮮明にするジョージアやモルドバにも別の懸念がある。
ジョージアには親ロシア派が実効支配する南オセチアとアブハジア、モルドバには沿ドニエストル地域があり、いずれもロシア軍が駐留する。
ロシアとの対決姿勢を過度に強めれば、ウクライナに次ぐ「標的」になりかねない。
「我々はロシアの制裁逃れに加担しないが、ロシアと交易を続ける以外に道はない」。
あるカザフ政府高官は、自国の苦しい立場をこう説明する。
林芳正外相は脱ロシアを念頭に置いたエネルギー外交の一環として、資源が豊富なカザフ、ウズベクを近く訪問する見通しだ。日本が期待する成果が得られるかは予断を許さない。
池田 元博 』
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習近平氏の唐突な「全世界安保」構想 太平洋進出の布石
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK233DQ0T20C22A4000000/


『習近平(シー・ジンピン)体制下の中国では外国人への監視が極めて厳しいうえ、新型コロナウイルス対策での入国規制も世界一ともいえる厳格さだ。そんな事情もあって最近、中国ウオッチを重要な任務とする各国の外交官らが東京に集結しつつある。その中国通の彼らさえ首をかしげる中国国家主席、習近平の壮大すぎる提言があった。博鰲(ボーアオ)アジアフォーラムの21日のオンライン演説で提唱した「グローバル安全保障イニシアチブ」である。
全世界を包み込む安全保障――。まるで、かつて中華世界の全てを仕切った皇帝を思わせる大ぶりな話だけに、各国に駐在する中国通の外交官らは本国から「一体どういう意味なのか」と解読を迫られている。とはいえ習自身の説明が、抽象的な漢語、成句の羅列にすぎないため、思うように分析できず、面食らうばかりなのだ。
ウクライナの外交・安保関係者も注目
東欧関係筋によると、習提言の中身を大いに気にしているのは、ウクライナの外交・安全保障関係者も同じだという。彼らは、習とロシア大統領、プーチンの親密さに厳しい目を向けながらも、ロシアに一定の影響力がある中国の立ち位置を逐一、観察している。停戦交渉を含めた中長期的なウクライナ情勢に影響するからである。
ウクライナのゼレンスキー大統領(中央)をはさんで立つ米国のブリンケン国務長官(右)とオースティン国防長官(24日、キーウ)=ウクライナ大統領府提供・ロイター
「一国主義、覇権主義、強権政治の脅威が増し、平和、安全、信頼、ガバナンス(統治)の欠如が目立ついま、人類が直面する安保分野の試練は大きく厄介になった。習主席は全人類の前途、運命を考える視点からグローバル安保イニシアチブを打ち出した。これは中国が提供する新たな国際公共財で、人類運命共同体という理念の安保分野での生きた実践である」
中国外務省報道官による事後説明も、すんなり頭に入ってこない。まさに言語明瞭、意味不明。得体(えたい)の知れない中身だからこそ、ウクライナを含む関係者の視線を集める不思議な現象が起きているのだ。
予備知識抜きに習演説を聞くと一見、ウクライナを蹂躙(じゅうりん)するプーチンと距離を置くサインにも感じられる。それは見せかけにすぎない。そもそも中国は米欧主導の対ロシア制裁に正面から異を唱えている。中国の外交用語上、一国主義、覇権主義、ダブルスタンダードなどを批判する場合、名指ししなくても米国による「一極支配」構造への非難と考えて間違いない。
モスクワでの会議に参加したロシアのプーチン大統領(25日)=ロイター
習は、中国が米国に伍(ご)する大国として参画する多極化世界の実現へ、米国の力を徐々にそぐ壮大な長期戦略について、中国的な語彙で説明している。秋の共産党大会でトップ3選を狙う「箔付け」という内政上の必要性も絡んでおり、外国人の頭にすんなり入ってこないのは当然だ。
どの国も反対できない大枠を提示
「中国は常とう手段として、まず、どの国も反対できない大きすぎる枠組みをドーンと提示する。万一賛同しなくても、少なくとも反対だけはできないよう関係各国に圧力をかけた後、得意の囲碁の攻め方で米国という大きな敵を追い詰める戦略だ」。中国近隣国の外交・安全保障関係者の解釈は傾聴に値する。
習は中学生の頃からの囲碁の愛好者だ。国家主席に就いて間もなく、北京大学で囲碁の試合を観戦した際、ある学生の強烈な攻め手に感心し、「中国外交もこの学生を見習うよう希望する」と語った。耳にした中国外務省幹部らは肝を冷やした。中国外交の攻めの甘さを批判されたも同然なのだから。後に目立つようになった中国の「戦狼外交」にみえる強硬さは、このあたりに源がある。
今回の場合、反対できない大きな枠組みは、全世界を包み込む安保だ。過去に習が誰も反対できない言葉として提唱済みの「人類運命共同体」の延長線上にある。中国外務省は「習近平外交思想」を持ち上げる政治的な決まり文句でもある人類運命共同体を、すでに中国のイニシアチブとして国連の関連文書などに相当数、押し込んでいる。
囲碁の例えで習に尻をたたかれた中国の外交官らは、生き残るために必死なのだ。特異な中国の内政は、国際政治にまで影響を及ぼしている。しかし、誰も反対できない言葉だけに、些事(さじ)として見過ごされてきただけなのだ。
博鰲アジアフォーラムでオンライン演説をする習近平国家主席(21日、中国・海南省博鰲)
得体の知れない習イニシアチブの本当の中身を推測できる大きなヒントとなる出来事が最近あった。習演説の直前、中国が南太平洋のソロモン諸島と結んだ安全保障協定である。こちらも具体的な中身は公表されていない。
だが、中国軍の派遣や艦船寄港を認める内容を含むとみられ、南太平洋への軍事進出につながる恐れがあるとして米国が強く反発している。ソロモン諸島のガダルカナル島は第2次大戦中、日米両軍が激突し、攻守の転換点になった歴史的な場所だ。
旧日本軍を中国軍に置き換えて考えれば、太平洋の戦略上の要衝を巡って米中両軍が将来、激突する危険性がゼロとは言い切れない。演説で高らかに平和をうたった習だが、衣の下から鎧(よろい)がのぞいている。
22日、ソロモン諸島の首都ホニアラに到着した米国のキャンベル・インド太平洋調整官=オーストラリア放送協会提供・AP
同じ目線で習演説をつぶさに観察すると、ソロモン諸島との安保協定に関連する別の側面が浮き彫りになる。太平洋を巡る経済権益に触手を伸ばし、米国に対抗する強い意志である。ひとつは、習が触れた「デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)」だ。さほど注目されていないが、中国は2021年11月、DEPAに加盟申請している。
シンガポール、ニュージーランド、チリが20年に合意した協定で、中国としては人工知能など先端分野の基準づくりへの参加によって域内貿易で存在感を高めたい。DEPAの3カ国はブルネイと共に環太平洋経済連携協定(TPP)の原型をつくった。中国は21年9月、TPP加盟を正式申請している。習はボーアオ演説でTPP加盟への意欲も語った。
専用機に乗り込むバイデン米大統領(25日、米デラウェア州)=ロイター
今回、中国が提起したグローバル安保イニシアチブとTPP、DEPAへの加盟意欲はすべてつながっており、一体なのだ。しかも、都合のよいことにTPP、DEPAの両枠組みとも米国の存在感は薄い。加盟を果たせば、巨大な市場を持ち、国際政治・経済上の発言力も強い中国の独壇場になりうる。
中国がユーラシア大陸の西に向かって進めてきた広域経済圏構想「一帯一路」は、ウクライナでの戦争も障害となって滞る可能性がある。中国の東側にある広大な太平洋に進出できれば、一帯一路での苦境をカバーできるというソロバン勘定は中国的には理にかなう。
「激安通販」のような中国の大宣伝「(一帯一路など)過去の中国の対外戦略から類推すると、それはテレビ、インターネットで激しく宣伝する激安通販に似ている。宣伝文句を聞くと、今すぐ買わなきゃ損をすると思って申し込んだり、受け入れたりしてしまうが、後からかなり高く付く」。中国を長く観察してきた東アジア有力国の外交官は、経済的な要素も併せ持つ不気味な習提案に警戒感を隠さない。
中国メディアは連日、「世界が習主席のイニシアチブを評価し、歓迎している」と大々的に報じている。だが、その実、中国内の受け止め方にさえ温度差がみられる。ロシアによるウクライナ侵攻の予想外の長期化で、「親ロシア色」を強く打ち出してきた中国がジレンマに陥っている以上、手放しでは喜べないだろう。
25日、上海株式市場は5%超という歴史的暴落になった=ロイター「グローバル安保という表面上、希望に満ちた提言だが、裏にはとてつもなく不安な(習の)心理状態が隠されている。(中国は)いま、簡単には動けない。当面は様子を見るしかない」。中国の外交・安保関係者は冷静に分析する。習の不安は国際情勢だけではない。新型コロナの再拡大で上海の都市封鎖も予想以上に長引き、経済に多大な影響が出始めた。25日、上海株式市場は、総合指数が5%超下がる歴史的な大暴落となった。外交、内政ともにトップの心配の種は尽きない。(敬称略)
中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。』
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「想定外」禁物の地政学有事 ビジネスパーソンの心構え
学び×海外安全マニュアル(3)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOKC0835Y0Y2A400C2000000/






『危機管理のプロに「海外での安全」に関する極意を聞くシリーズ最終回のテーマは、リスク分析の専門家が語る、海外で事業展開する企業やビジネスパーソン向けの危機対処法です。有事が発生した際の行動など、英国ロンドンに本拠地を置くコンサルティング会社、コントロール・リスクス・グループのパートナーで日本法人の代表を務める岡部貴士さんに聞きます。
当社はグローバルに事業を展開する企業が直面する複雑な問題、リスクへの対応を支援しています。
スウェーデンの民主主義・選挙支援国際研究所(IDEA)によると、世界の国・地域の約5割、人口にして全体の3分の2の人々が「民主主義の後退した国」に住んでいるそうです。権威主義体制の国では現地当局の政策の予見可能性が低かったり、ときに権力者が非合法的な意思決定をしたり、治安が急激に悪化したりするケースがあります。現在、グローバルに事業展開する企業は難しいかじ取りを求められています。
「モノ、カネ、人、情報」 への影響
ただ、リスクは天から降ってくるものではありません。企業・組織のトップの認識が重要で、地政学的な有事が発生したときに「モノ、カネ、人、情報」にどのような影響が及ぶのか、詳細に検討する必要があります。自社の進出地域の政情に不安があるとすれば、現地の担当者にリスクの洗い出しを丸投げするのではなく、調達・供給網、現地社員や関係先、人権に及ぶ影響を考えることが重要になります。
法律ができてから受動的に対応する「コンプライアンス」ではなく、自社が収集・分析したリスク情報に基づく自主的・能動的な意思決定の「インテリジェンスに基づく経営判断」の企業体質をつくれるか。トップの心構えが問われています。
ウクライナ情勢を見てもわかるように、事業展開先の国が他国から侵略・攻撃された場合、従業員や工場など人的・物理的被害が想定されます。周辺国においても、反戦デモ等に参加した従業員の拘束や戦線拡大に伴う物理的被害、エネルギー不足での大規模停電といった事態も念頭に置く必要があります。
こうした海外拠点でのリスクシナリオを、事前になるべく網羅的に検討していた会社は、今回のウクライナの事態発生にも比較的スムーズに対応しています。一方で、事態の発生後に急きょ、リスク対応部門が今後のシナリオを予想した会社も多かったと思います。
シナリオ分析にあたっては、未来を「当てる」ことが重要ではなく、あらゆる可能性とシナリオについて、なるべく幅広くリスト化しておくということがスタートになるでしょう。「全くの想定外」という事態をいかになくすかが重要です。
そのためには日ごろから情報収集が欠かせません。クライアント向けに提供している情報は、公開情報はもとより、世界各地に張り巡らしたインテリジェンスのネットワークで得られたものを含みます。
危機対応に重要な「3Rs」
「危機・危険の前兆」は見つけられます。当社では、世界中の安全情報や有事に関する情報を網羅的に示したプラットフォームツールを会員向けに提供しています。誘拐事案や強盗が発生した場所、反体制派のデモ活動が起きた場所、テロが発生した地点などを地図上に示したものです。現地情報の収集を海外駐在員に丸投げする会社も多いのですが、本社側のリスク管理として実施できる情報収集・分析の仕事は多くあります。
リスク情報管理ツールのイメージ画像、世界のどの地域で危険事案が起きているか見ることができる=コントロール・リスクス提供
実際、このツールを使って「駐在予定の社員の家から、勤務先のオフィスビルまでの経路を調べたところ、以前テロが発生した道路を通ることがわかった」というケースがありました。赴任前にこういったリスクの把握に使うことができるのです。
危機対応には「3Rs」という言葉があります。英語の「Readiness(レディネス=予防)」「Response(レスポンス=対応)」「Recovery(リカバリー=回復)」の頭文字である3つのRをとったものです。
レディネスは危機に対応するための準備の段階で、事業継続計画(BCP)を作成したりシミュレーションの訓練をしたりすることです。非常に重要なフェーズで、危機管理の巧拙はレディネスの善しあしにかかっています。
レスポンスは主にステークホルダー(利害関係者)を念頭に置いた対応です。海外拠点で内部不正が起きたとします。起きてしまったことは変えられないので、どう対応すべきか検討しなければなりません。日本ではなく海外であること、同じ職場で働く同僚であっても、異なる文化・言語背景を有することを忘れてはいけません。
通用しない「日本の当たり前」
実際、海外の現地法人で会計処理に不審な点があることに気付き、直接、その現法で働いていた担当者を社員が厳しく問いただしたところ、後日見知らぬ人々に囲まれ命の危険を感じるような怖い目にあったというような事例はよく発生しています。
上司が担当者に不審点を確認・注意するのは業務上、当然の行為です。ただ、文化・言語や生活水準の異なる海外では、職場にも日本とは異なる流儀や宗教・文化的にタブーとされる言動もあるので「日本では当たり前」は通用しません。海外ではこうしたケースでも、直接担当者に聞くのではなく、現地の文化や商慣習に詳しい専門家に相談しながら不正調査を行うことが一般的です。
また、メディア向けの対応もレスポンスに含まれます。事件・事故に巻き込まれた場合やトラブルが発生し損害が生じた際の情報開示や補償等でも、地域・文化に合った方法で的確かつ素早く対応する必要があります。
リカバリーは危機の発生後に「ビジネスを元に戻す」目的で行う対応です。国・地域ごとの事情や事態の状況を見つつ、事業再開の時期やその可否も含め、より現実的かつ効果的な対応が求められます。場合によってはBCPの再検討や、企業の体制見直しに及ぶこともあります。
海外では、テロや紛争などの危険に巻き込まれる可能性もある=ロイター
銃声が聞こえたらどこに逃げる?
企業の依頼で駐在員向けに派遣前研修を提供しています。研修では危機管理シミュレーションの一環として、「歩いていて銃声が聞こえたらどの建物に逃げますか」という質問をしています。もし駆け込める場所に外食のマクドナルドの店舗と地元の商店があったら、どちらに逃げたらいいでしょうか。
外国人を狙ったテロ事件だとすれば、米国発の企業の店舗に逃げ込むとその後犯人集団に狙われやすくなる恐れがあります。一概には言えませんが、こういった事態でのとっさの判断について駐在予定者の方々と一緒に議論し考えています。各種ケースに基づいた訓練は安全に対するリスク感度を高め、いざというときの助けになるはずです。
また、研修で強調しているのは「誘拐、強奪にあっても抵抗しない」ということです。たとえ大事な資料を入れているカバンを奪われそうになっても抵抗しないでください。すぐにカバンを渡して、命だけは最低限守ってください。日本のビジネスパーソンは機密情報や機密資料の入ったカバンを奪われそうになると抵抗して奪い返そうとする傾向が強いですが、自分と会社の双方にとって何が最悪な事態かを考えてほしいのです。命を失うことは自分自身にとって最悪のシナリオであるだけではなく、会社にとっても最悪のシナリオです。
会社側の備えとしては、資料を紙ベースで持ち歩かせないような電子化への取り組みや奪われた情報をバックアップできる体制、サイバーセキュリティーの強化などで電子化された情報を容易に盗まれないようにする仕組みが重要です。命の危険を顧みずに会社の情報を守った話が美談になるなど、今の時代の企業文化として論外です。
新型コロナウイルスの流行拡大という危機に日本企業はこの2年半リソースを投じてきました。パンデミックも有事の一つですが、対応にリソースを投じすぎたあまり、海外における安全対策とリスク感度が鈍っていないかが懸念されます。海外出張や駐在の増加が始まれば、日本企業の危機管理能力が再び問われる場面が増えると思います。進出拠点、関係先のある地域に危機が潜んでいないかを今後、改めてチェックする必要があります。
=おわり
(山下美菜子が担当しました)
グラフィックス 鎌田多恵子
連載記事一覧はこちら https://r.nikkei.com/stories/topic_story_22040800?n_cid=DSST001 』
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