自民党石破派、グループ化へ所属議員が減少、掛け持ち容認

自民党石破派、グループ化へ
所属議員が減少、掛け持ち容認
https://nordot.app/838002447481995264?c=39546741839462401

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 結局、この人、最後まで「評論家」臭から脱却できなかったな…。

 ※ 最後は、メンバーが「12人」まで減ったようだ…。

 ※ 大将が、「人を動かそう」とせず、ご高説垂れたり、禅問答ばっかりやってるようでは、天下は取れまいよ…。

 ※ 後継者問題だが、子供は娘が二人のようだ…。

 ※ どっちかの娘婿に、後を継がせるというパターンか…。

 ※ 長女は、東電に就職で、次女はエーザイの薬剤師では(フジテレビという説もある)という「噂」のようだ…。

 『自民党石破派(水月会、12人)顧問の石破茂元幹事長は、同派の組織形態を「派閥」から「グループ」に変更する方針を固めた。メンバー減少を受け、他派閥との掛け持ち所属を容認する。12月2日の臨時総会で、石破氏が表明する見通し。複数の関係者が29日、明らかにした。

 党内第6派閥の石破派のグループ化により、派閥は7から6に減る。党内には同種のグループとして谷垣グループ(有隣会)がある。

 石破派は11日に開催した衆院選後初の会合で、今後の派閥の在り方を協議。石破氏に対応を一任し、12月6日召集の臨時国会までに結論を出すとしていた。』

水月会
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%9C%88%E4%BC%9A

『派閥の名称は、知人の臨済宗全生庵の住職に依頼して付けられたもので[3][4]、「水月道場に坐す」という禅語に由来しており、「水も月も無心に映すように、無私、無欲の高い境地から務めていく」、「無心で時代の要請に応える」という想いを込めたという[4][5]。

なお、水月とは軍陣で、水と月が相対するように、両軍が接近してにらみ合うことの意味もある。』

※ どこに接近して、にらみ合うつもりだったものやら…。

 

〔平均寿命、平均余命、健康寿命〕

平均寿命45歳の国があるって想像できますか?
https://motohashi-yuta.com/entry/2015/04/17/073154

平均余命
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87%E4%BD%99%E5%91%BD

『平均余命(へいきんよめい/へいきんよみょう, Life expectancy )とは、ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値のことである。生命表で計算されている。CIAファクトブックの2021年のデータでは、最も低いアフガニスタン(南アジア)においては約53.25歳(男性:51.73年、女性:54.85年)[4] 、一方で日本においては約84.65歳(男性:81.73年、女性:87.74年)となっている[5]。
国別の一覧については「国の平均寿命順リスト」を参照

日本の生命表には、10万人が生まれたとき、ある年齢に達するまで何人生存し、その年齢の内に何人が死亡するかが計算され、掲載されている。また、毎年10万人が定常的に生まれる集団において、ある年齢に属する人口が何人になるかも計算されている(これをその年齢の定常人口という。その年齢に到達する人数である生存数とは異なる)。

0歳での平均余命のことは特に平均寿命(Life expectancy at birth, LEB)といい、国や地域の医療・衛生水準を示す指標として用いられている。乳児死亡率は他の年代の死亡率と比較して高率のため、平均寿命が平均余命の中で最長とは限らない。

この数値は、現在の死亡状況が将来にわたって続くと仮定した場合のものである。医療の進歩や生活環境の変化によって、実際の平均生存期間は平均余命と異なってくる可能性は大きい。

また、ある有害要因(喫煙、放射線被曝など)によって平均余命がどの程度短縮されるか計算したものを平均余命損失といい、有害度の尺度として用いられることがある。 』

長生きの基準は平均寿命ではなく平均余命を超えたかどうか
https://kaigo.ten-navi.com/article/2

健康寿命とはどのようなもの?
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1160.html

アフリカ諸国、「差別的」渡航制限に反発

アフリカ諸国、「差別的」渡航制限に反発 WHOも懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR29CWA0Z21C21A1000000/

『新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」を巡る渡航制限にアフリカ諸国が反発している。欧州やアジアなどでも広く感染例が見つかっているにもかかわらず、主にアフリカが規制対象となっていることや、効果が不透明な点を「差別的」「非科学的」としている。国連や世界保健機関(WHO)もアフリカの孤立に懸念を示している。

「差別的な措置だ」。南アフリカのファーラ保健相は29日、オミクロン型が確認されても渡航制限の対象になっていない国があると指摘した。これまで英国、ドイツ、スウェーデン、スペイン、カナダ、香港など広範囲で感染が見つかっているが、多くの国の渡航制限は南アなどアフリカ南部に集中している。

南半球のアフリカ南部は夏を迎えており、欧米がクリスマス休暇に入る12月は観光産業にとって稼ぎ時のため渡航制限の影響は大きい。南アの国際関係・協力省は声明で、いち早くウイルスを検知して報告したことを「罰しているようなもの」と反発した。

アフリカ南東部、マラウイのチャクウェラ大統領は28日、自身のフェイスブックで、一連の渡航制限を「アフロフォビア(アフリカ恐怖症)」だと批判。「対策はアフロフォビアではなく科学に基づかなくてはならない」と指摘した。アフリカ疾病管理予防センターは渡航制限が「意義のある結果につながらないことが明らかになっている」と主張している。

オミクロン型を初期に診察した南ア医師会のクッツェー会長はオミクロン型について「患者は極めて軽症で、入院した人は誰もいない」と英BBCの番組で指摘した。世界各国が必要以上にパニックに陥っているかを問われると、「現時点では明らかにそうだ」と答えた。

渡航制限は、WHOも非現実的だとして懐疑的だ。BBCによると、WHOアフリカ地域事務局長のモエティ氏は「世界の複数の地域でオミクロン型が検出されているいま、アフリカだけを対象とした渡航禁止は世界的な連帯を損なう」と指摘した。WHOは各国に「リスクをもとにした科学的な対応」を促している。

先進国が人口分以上のワクチンを確保する一方、分配の遅れるアフリカでは接種率が1割にも満たない問題もある。国連のグテレス事務総長は29日の声明で渡航制限による「アフリカの孤立」に懸念を示したうえ、「低い接種率が変異ウイルスの温床となっている」と指摘した。

南アのラマポーザ大統領は29日、セネガルで開かれた中国とアフリカ諸国の首脳会議に際し、「国の富によって病と健康が分かれてしまう世界の構造がある」と述べた。

(イスタンブール=木寺もも子、ロンドン=佐竹実、カイロ=久門武史)』

ドイツ新政権、理念先行 問われる欧州の「統合深化」

ドイツ新政権、理念先行 問われる欧州の「統合深化」
メルケルを超えて㊦
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR260WX0W1A121C2000000/

 ※ 『そもそも、ドイツ次期政権で首相と外相のどちらが外交を仕切るのか明確でない。メルケル時代はEU、米中ロなどの主要国・地域は首相、残りは外相という暗黙の了解があった。

次期外相は人権にこだわり、あつれきをいとわない緑の党出身のベーアボック氏。争いごとを嫌うショルツ氏と、どちらが司令塔になるかで外交のトーンが異なる。』…。

 ※ 出発時から、それか…。

 ※ 「人権」や「理念」で押し切れるほど、「現実」は生易しいものじゃ無いだろう…。
 ※ 欧州も、前途多難だな…。

 ※ 「統合深化」≒「各国の国家主権の、自主的制約」だからな…。

 ※ 当然、「その見返りは?」という話しになるだろう…。

『南欧債務、ウクライナ、難民――。12月に退任するドイツのメルケル首相は16年の在任中、危機対策に奔走し、四分五裂の欧州をまとめたと評される。だが、自国の利益を優先した漸進主義的な対応は欧州連合(EU)域内の亀裂を深めたとの批判もつきまとう。

「通貨ユーロが崩壊すれば、欧州統合も崩壊してしまう」。メルケル首相は2010年、ドイツ議会の演説で、南欧不安への危機感を募らせた。だが実際にはドイツの国内世論に配慮し、支援は後手に回った。信用不安が増幅され、南欧経済が収縮した結果、支援額はギリシャだけで2000億ユーロ(26兆円)を超えた。

15年の難民危機では周辺国との調整を欠いたまま、ドイツが大規模な難民受け入れを決めた。保守的な東欧に瞬く間に反独感情が広がり、欧州統合に遠心力がかかった。

ドイツの利益にこだわるメルケル氏はドイツ国民から「ムティ(母)」と慕われたが、欧州全体のことを考えていないと南欧や東欧は不信感を募らせた。

債務危機が深まった12年、ショルツ次期首相は野党だった社会民主党(社民党、SPD)の副党首だった。「南欧が財政規律を守ることを条件に支援すれば、ドイツの有権者の理解は得られる」。当時、取材に南欧を助けるべきだ、とはっきり語っていた。

「欧州の利益を考える」。24日公表の連立合意書には親欧州の方針が明記され、メルケル時代との違いを印象づけた。

ただ、ドイツの親欧姿勢だけで欧州がまとまるほど甘くはない。波乱要因はあちこちにある。

リベラル色の濃い次期政権の看板政策は人権重視。「人権政策は国家のあらゆる面にかかわる」とうたう連立合意書には「人権」という言葉が数十カ所も出てくる。

しかし東欧のハンガリーやポーランドは性的少数者の権利を制限し、法の支配を軽んじる。EUの会合でドイツが東欧批判に走れば、域内亀裂のもとになる。

そもそも、ドイツ次期政権で首相と外相のどちらが外交を仕切るのか明確でない。メルケル時代はEU、米中ロなどの主要国・地域は首相、残りは外相という暗黙の了解があった。
次期外相は人権にこだわり、あつれきをいとわない緑の党出身のベーアボック氏。争いごとを嫌うショルツ氏と、どちらが司令塔になるかで外交のトーンが異なる。

理念先行で、欧州をどこに導くのかはみえない。関心領域がアジアに移る米国に代わり、欧州の安全保障をどう担うか。財政や社会保障などの政策一元化をどう進めるか。

連立協議に際して、統合の先行きを示す具体的な工程表や青写真は議論されたフシすらない。

戦後ドイツの社民党出身首相は高い理想を掲げ、欧州と世界の政治秩序に影響を与えた。ブラント氏(在任1969~74年)は共産圏との融和をうたい、東西デタントを実現。石油危機後の世界経済の安定を志したシュミット氏(同74~82年)は主要7カ国(G7)首脳会議を創設した。

「必ず統合は深まる」と取材に語ったことがあるショルツ氏。盟主として欧州をけん引する覚悟とビジョンが問われている。(欧州総局編集委員 赤川省吾)』

外交防衛政策のすすむべき道ー 4つの選択肢 ー

外交防衛政策のすすむべき道
ー 4つの選択肢 ー

 ※ これは、非常に参考になった…。

 ※ 作成者は、伊波洋一氏の事務所作成の資料らしい…。

 ※ 伊波洋一氏は、wikiで調べると、左翼系の人のようだ…。

 ※ しかし、この資料は、よくできている…。

 ※ 「策」というものは、「軍事一辺倒」でも、「外交一辺倒」でも、マズイ…。それらの「混合」で行くものなんだが、その「塩梅」「濃淡」の加減が難しい…。

 ※ そこら辺が、うまく表現されている…。

伊波洋一
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E6%B3%A2%E6%B4%8B%E4%B8%80

『来歴

琉球臨時中央政府中頭郡宜野湾村(現・沖縄県宜野湾市)生まれ。琉球政府立普天間高等学校、琉球大学理工学部物理学科卒業。1974年、宜野湾市役所に就職。在任中、当時全国でもまれであった自治体業務の電算化を手がけた。

1996年、宜野湾市役所を退職して沖縄県議会議員選挙に出馬し、初当選。2000年に再選。2003年、2期目の任期途中で辞職し、宜野湾市長選挙に出馬して当選する。2007年、宜野湾市長再選。市長在職中、沖縄県内の地方自治体で初めて中学生までの病院への入院費の無料化を実現した[1]。 』

『政策・主張

安全保障関連法は廃止すべき[8]。

憲法改正に反対[8]。

憲法9条の改正に反対[8]。

緊急事態条項の創設に反対[8]。

政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局に対し、電波停止を命じる可能性に言及した高市早苗総務相の姿は問題だ[8]。

来年4月の消費税率10%への引き上げについて、法改正し、引き上げを延期または中止すべきだ[8]。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」の恩恵は、地方や中小企業に及んでいるとは思わない[8]。

環太平洋パートナーシップ協定に反対[8]。

原発は日本に必要ない[8]。

米軍普天間基地は国外に移設すべき[8]。

核武装について、将来にわたって検討すべきでない[8]。

選択的夫婦別姓制度に「どちらかといえば賛成」[9]。「結婚による姓の変更によって働く女性を中心に不利益を受けたり、旧姓を名乗り続けたいという願いに反して姓の変更を強いられる現状は改める必要がある」とする[10]。

日本禁煙学会が2016年の参院選に先駆けて行った受動喫煙防止法についての公開アンケートにおいて、レストランやバーを含む一般市民が出入りする場所は、2020年までに「罰則付きの禁煙とするべきである」と回答している[11]。』

変容する米軍の運用体制とパンデミック:日米同盟への影響

※ これも、あまり「クローズアップ」されていないが、今般のコロナ騒ぎは、一時、米軍の「世界展開能力」に対する「疑問符」の問題も招来させた…。

※ なにしろ、空母を含む軍艦は、典型的な「密閉空間」だからな…。ダイプリ騒動でも露わになったように、「軍艦」というものは、「感染症」には、思いのほか「脆弱」だということを、まざまざと示したわけだ…。

※ 米軍の兵員は、早い段階から「ワクチン接種」体制取って、感染症対策に遺漏なきように、最大限の対策を取ったにも関わらずだ…。

※ 米海軍の「空母10隻体制」及びそれに付随する「打撃群」体制こそが、「世界中に戦力を投射できる力(ちから)」の源泉だ…。それこそが、「パクス・アメリカーナ」を支えている…。ここが揺らぐと、「米国の世界支配」システムが揺らいで来る…。

国問研戦略コメント(2020-8)
変容する米軍の運用体制とパンデミック:日米同盟への影響
2020-04-30
小谷哲男(明海大学教授/日本国際問題研究所主任研究員)
https://www.jiia.or.jp/strategic_comment/2020-8.html

『「われわれは戦争状態になく、水兵たちが死ぬ必要はない」――3月に洋上任務中の艦内で新型コロナウイルスの感染が広がった米空母セオドア・ルーズベルトの艦長は、海軍上層部に宛てた異例の書簡でこのように述べ、乗組員の上陸と感染者の隔離を求めた。米海軍は機微な情報を含む書簡を不必要に拡散したとしてこの艦長を解任したが、その後艦長を含めた900名以上の乗組員の感染が確認され、1名の死亡者が出ている。その間、解任された艦長を不適切な形で批判した海軍長官代行も辞任に追い込まれ、新型肺炎のパンデミックが起こる中で、軍の指揮統制とリーダーシップのあり方に一石が投じられた1。

新型コロナウイルスの感染拡大は、米軍が導入する新たな運用体制にも影響を与えるかもしれない。中ロとの大国間競争を追求するため、トランプ政権が2018年に策定した国防戦略は、従来の定期的なローテーションに基づく戦力展開ではなく、戦略的には予測可能だが、作戦上は予測不可能な「動的戦力運用」(Dynamic Force Employment:DFE)を打ち出した2。DFEは、従来のルーチン化された米軍の運用を廃止し、戦力の即応能力を高めることを重視している。つまり、米軍はDFEによって、必要に応じて”神出鬼没”な形で戦力を運用し、潜在的敵国の戦略目標や軍事計画を無効とする一方、米国に有利な状況を生み出すことを目指しているのである3。しかし、集団行動を原則とする軍では、感染症のクラスターが発生しやすい。第一次世界大戦中に流行したスペイン風邪は、1年間に3度にわたって米軍を襲い、即応能力を低下させた4。新型肺炎に関しても、少なくともワクチンと治療薬が開発されるまで、即応能力の維持は米軍にとって大きな課題となる。

DFEは、主に空母打撃群のより効率的な運用を念頭に置いている。しかし、新型コロナウイルスによって、すでに空母の運用に支障が出ている。セオドア・ルーズベルトは現在グアムに停泊しているが、乗組員約4800人のうち4000人が陸上で隔離されており、任務復帰の目処は立っていない。加えて、米西海岸に配備されているニミッツとカール・ビンソン、そして横須賀に配備されているドナルド・レーガンの3隻の空母でも、乗組員の感染が確認されている。セオドア・ルーズベルトが作戦遂行不能になったため、現時点において太平洋で作戦任務についている空母は皆無である5。6月までにレーガンが西太平洋での定期的なパトロール任務に就く予定であるが、それまでにニミッツがセオドア・ルーズベルトの代理として西太平洋に向かえるかどうかが、DFEの当面の課題となる。ニミッツは、乗組員を2週間艦内で隔離し、全員が陰性であることを確認した上で、4月27日に展開に向けた最終訓練を開始した。

DFEが導入される背景には、作戦期間の長期化に起因する米空母の稼働率の低下が指摘できる6。米海軍は、36か月を1周期とする艦船の運用を行っており、最初の16か月をメンテナンスと訓練に、次の7か月を作戦展開に、そして残りの13か月を必要に応じて展開(surge)するための待機期間(sustainment training)としている。しかし、中東での対テロ戦争やイスラム国掃討作戦が長引いたことに加え、中国の海洋進出や北朝鮮による挑発に対応するため、空母打撃群の作戦展開期間は7〜9か月に及ぶことが常態化した。その結果、十分なメンテナンスが行えず、そのまま作戦を行うと、その後のメンテナンスに必要以上に時間がかかるという悪循環が繰り返されてきた。たとえば、空母ドワイト・アイゼンハワーは、2017年8月に6か月の予定でメンテナンスに入ったが、実際の作業には18か月かかった7。DFEは空母の展開期間の削減につながり、メンテナンスと訓練期間の十分な確保と、即応能力の向上につながることが期待される。

しかし、米空母の稼働率が下がっているのは、メンテナンスの予算と能力が十分でないことも影響している8。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために米国の経済活動が停止される中、民間企業のメンテナンス能力や造船能力、さらには国防産業基盤の維持が困難になる懸念が高まっている9。国防関連企業は重要インフラと位置づけられ、休業の対象とはなっていないが、実際には経済の停滞による業績悪化とサプライチェーンの停滞は不可避とみられている10。このため、新型肺炎のパンデミックによって、空母だけでなく、核抑止の柱の1つである戦略ミサイル原子力潜水艦を含めた、米軍全体の即応能力の維持が長期的にさらに難しくなるかもしれない。

各国がパンデミック対応に忙殺され、太平洋で作戦を行える米空母が皆無となる中、中国が空母を東シナ海から太平洋、そして南シナ海に展開したため、周辺国への強硬姿勢を強めることへの懸念が高まっている11。しかし、これまでのところ、中国の行動は感染拡大の前後で大きく変わっていない。中国の空母が春に太平洋に出るのはここ数年繰り返されてきた動きである12。また、尖閣諸島周辺の中国政府公船の数は、昨年の同時期と比べれば倍増したが、その傾向は昨年4月以降から続いているものであり、領海侵入の頻度に変化はない13。航空自衛隊による中国機への緊急発進回数も、昨年の同時期と比べてほぼ同じである14。2月に中国海軍の艦船がフィリピン海軍の艦船に射撃管制レーダーを照射し、3月には中国政府公船がベトナムの漁船を沈没させたが、これらの国際ルールに違反する行動もパンデミック以前から繰り返されてきたことである。

2月に中国機が台湾海峡の中間線を越えて飛行したことや、4月に南シナ海に新たな行政区を設定したことは、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じた動きともいえる。また、いち早くコロナウイルスへとの闘いでの「勝利」を宣言した中国は、「マスク外交」を通じた支援を国際社会に表明する一方で、コロナウイルスに関する偽情報を欧米で流布するなど、各国のパンデミック対応を妨害している15。これら一連の行動が示すのは、パンデミックの最中であっても、中国は自らに有利な国際環境の形成を続けるということである。その一方で、中国は偵察活動(probing)を通じて、パンデミックにおける周辺国の対応や米軍の即応能力を常に試しつつ、その長期的な影響を見極めようとするであろう。仮に、米軍の中でさらに感染が拡大し、米国の防衛産業基盤も十分なメンテナンスを提供できなくなった結果、米軍の即応能力の低下にともなって力の真空が発生したと判断した中国が、尖閣諸島や南沙諸島、さらには台湾に対して、力に基づく現状変更を行う可能性が高まることが懸念される。

このため、DFEの導入によって、米軍が今後も即応体制を維持できるかどうかは、地域の平和と安定にとって重要な要素となる。太平洋で空母が不在の間も、米軍はF-35を搭載した強襲揚陸艦を中心とする遠征打撃群を東シナ海や南シナ海に展開して、日豪などの同盟国と合同訓練を行い、沿岸戦闘艦によるパトロールも南シナ海で行っている。また、米軍は台湾海峡への艦船の派遣も継続しており、4月には中間線を越えて中国側を航行した。これらに加えて、ニミッツがDFEの下で西太平洋に急派されれば、力の真空の発生は当面回避できるであろう。さらに、米空軍も、16年間続けられてきたグアムへの爆撃機の常時配備をとり止め、米本土からの不定期な運用に切り替えた。実際に、グアムからの撤収直後に、米本土から西太平洋に飛来した爆撃機が、航空自衛隊と共同訓練を行っている16。これは米空軍によるDFEの実践例である。

では、米軍のDFEは、日米同盟にどのような影響を与えるであろうか。在日米軍は前方展開戦力として極めて高い即応能力を有しており、日本と地域の安全保障にとって重要な役割を果たしている。在日米軍はハワイや米本土からの増援を受け入れることでさらなる能力を発揮することができるが、中国との大国間競争を追求するため、DFEの下で米インド太平洋軍には優先的に能力の高い戦力が振り分けられることが期待される。また、DFEによって米本土からの戦力の展開を予測することが難しくなれば、日米の合同演習の準備にかけられる時間も短くなるため、自衛隊にも即応能力の向上が求められることになる。このように、DFEによって同盟協力のさらなる深化の機会がもたらされることが期待できる。

一方、即応能力を重視するDFEは、前方プレゼンスの削減につながる可能性がある。その結果、米軍の平時のプレゼンス作戦が縮小されるとすれば、日本を含めた同盟国にとって懸念材料となり得る17。つまり、トランプ大統領が米国第一主義を押し進める中、同盟国も中国も、DFEによる米軍のプレゼンスの削減を、米国が世界から撤退していくシグナルと誤解する可能性があるのである。そうなれば、地域の安定にとってはマイナスになる。また、ペンタゴンでは、空母を2隻削減する一方、多くの無人化または省人化された小型の戦闘艦を導入することが検討されているという18。これはDFEで空母を運用することが前提となっているが、小型艦によるプレゼンス強化には限界がある一方、空母の削減によって米軍のパワープロジェクション能力の低下につながる可能性がある。

加えて、新型コロナウイルスの影響で、米軍のプレゼンスがさらに低下することも考えられる。すでに、米韓および米比では合同軍事演習が延期または中止となっており、日米でも同様の措置が必要となる可能性は否定できない。また、セオドア・ルーズベルトでの感染拡大の原因は不明だが、ベトナムへの寄港がきっかけになった可能性が指摘されているため、友好国との連携の強化のための戦略的な寄港など、安全保障協力活動が縮小することも避けられない。さらに、艦内での感染症の拡大防止の観点から、すでにふれた空母を削減して無人の小型艦を導入することがさらに検討されることになるであろう。

抑止を維持する上で、プレゼンスと即応能力は本質的にトレードオフの関係にある。DFEがこのジレンマに最適なバランスをもたらすことができるのか、さらに目下のパンデミックがその最適解を求める上でどのような影響を及ぼすのか。これらは、今後の日本と地域の安全保障を考える上で重要な課題である。感染症拡大のために、米国と同盟国の間の戦略対話も停滞しているが、米軍の新たな運用体制とパンデミックの影響に関する真剣な対話を早急に始める必要がある。同盟国間に社会的距離があってはならないのである。』

米「インド太平洋が最重要」 米軍の態勢見直し完了

米「インド太平洋が最重要」 米軍の態勢見直し完了
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN300JH0Q1A131C2000000/

『【ワシントン=中村亮】米国防総省は29日、世界展開する米軍の態勢見直しを完了したと発表した。インド太平洋地域を「最重要」と位置づけて、中国との競争に備える方針を強調した。ウクライナ情勢の緊迫を踏まえ、ロシアに対する抑止力も強化する。

バイデン大統領は2月、米軍の態勢を見直すと表明し、国防総省が作業を担ってきた。バイデン政権は8月に米軍のアフガニスタン撤収を完了し、テロとの戦いから中国との競争に軸足を移す方針を示した。米軍の態勢見直しでは対中国シフトに向けた具体策が焦点になった。

国防総省はオーストラリアで航空部隊の巡回駐留を増やしたり、韓国に攻撃ヘリコプターを常駐させたりすると説明した。太平洋の島国での軍事施設の建設も重点分野にあげた。中国との有事に備え、米軍は西太平洋で部隊を分散させる戦略を描いており、太平洋の島国との関係強化を目指す。

国防総省高官は29日、記者団に対してインド太平洋地域について「同盟国やパートナー国と進行中の多くの取り組みがあり、2~3年間で明らかになるだろう」と指摘。2024年ごろをめどにアジアシフトを急ぐ考えを示した。

在日米軍については現時点で配置や戦力に大きな変更はないという。

態勢見直しはアジアシフトに向けたメリハリを欠いた。欧州についても抑止力強化に向けた戦力を追加するために同盟国と近く協議するとした。中東を巡っても「永続的に欠かすことができない態勢についてさらに精査を進める」と説明した。

米国はロシアがウクライナ国境付近に部隊を集結させているとして懸念を強めている。中東でもイランが核合意の履行義務を相次いで破り、緊張が続く。米軍はアジアシフトのために中東や欧州で人員や戦力を削ると打ち出しにくい状況にある。

国防総省は態勢見直しの結果について大半を機密扱いとして公表していない。
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

岩間陽子のアバター
岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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ひとこと解説

西太平洋での態勢見直しには当然在日米軍基地の役割も含まれているはずで、日本はこれから国家安全保障戦略の見直しに入るわけですから、アメリカと緊密に意思疎通を図りながら、自らの能力と役割を考えて行かねばなりません。これまでのような内向きの議論はもはや許されない情勢になっています。インド太平洋地域全体を見据えた構想力が必要です。
2021年11月30日 11:45』

オミクロン・デルタ・アルファ…よくわかるコロナ変異型

オミクロン・デルタ・アルファ…よくわかるコロナ変異型
(2021年9月17日 11:00 (2021年11月29日 17:06更新))
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCA104PK0Q1A910C2000000/

※ この記事によれば、「オミクロン型」の変異は、RNAの「塩基配列」の変異にとどまるものでなく、「スパイクタンパク質」部分の「アミノ酸配列」の変異を確認した…、ということだ…。訂正しておく…。他の「○○型」においても、同様のようだな…。

李在明候補の甥が起こした母娘殺人事件…。

李在明候補の甥が起こした母娘殺人事件の遺族「デート暴力だなんて…実にふてぶてしい」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/11/27/2021112780005.html

イ・ジェミョン候補「私の甥がデート暴力を犯し、それを弁護したことがある。謝罪したい」→被害者遺族「なにがデート暴力だ! 母娘が殺されたんだ!」
http://rakukan.net/article/484572450.html

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ こりゃまた、スゲーな…。

 ※ 隣国では、身内にこの程度の不祥事があっても、大統領候補(しかも、今のところ、2強のうちの一人)として「不適格」じゃ無いんだ…。

 ※ 「所違えば、品変わる」も、極まれりだな…。

『李在明候補の甥が起こした母娘殺人事件の遺族「デート暴力だなんて…実にふてぶてしい」(朝鮮日報)

韓国与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補の甥が、2006年に起こした「母子殺人事件」。同事件で被害に遭った遺族が26日、「一つの家庭をだめにした殺人犯罪について『デート暴力』だなんて」「実にふてぶてしい」と語った。李候補は今月24日、この事件を「デート暴力の重犯罪」と表現しつつ、自分が弁護を務めたことを謝罪した。25日に李候補は「未熟な表現にお詫びする」として謝罪した。

 この事件で妻と娘を失い、自身も全治12週のけがを負った被害者Aさんは25日、文化日報のインタビューで「15年過ぎたが、この事件を考えるだけで心臓がひりつく」として、このように語った。Aさんは「私の娘のボーイフレンドだったあいつは、精神異常は全くない人間だった」とし、「(弁護を務めた李候補は)厚かましく心神微弱、精神異常を主張した」と語った。李候補の甥のキム氏は当時、別れた交際相手の家を訪れ、凶器で元交際相手の女性とその母親をそれぞれ19回、18回刺して殺害した。Aさんは5階から飛び降りて重傷を負った。

 Aさんは「事件当時も謝罪はなく、現在までも、李候補一家の側から謝罪の連絡が来たことはただの一度もない」とし、「突然テレビで謝罪のようなことを言う姿を見て、とにかくチャンネルを変えことしかできなかった」と語った。李候補は今月24日、「私の一家の一人がかつてデート暴力の重犯罪に及んだ」として、同事件の弁護を務めたことについて被害者と遺族に謝罪した。
(引用ここまで)

 かつてイ・ジェミョンの甥が交際相手とその母を刺殺した殺人事件を起こした際に、弁護士でもあるイ・ジェミョンが弁護を引き受け、心神耗弱を主張して無期懲役になったということがあったのですね。
 本人は「誰も弁護を引き受けなかったので、親族で唯一の弁護士である私がやらざるをえなかった」と話しているのですが。
 で、この24日にイ・ジェミョンが唐突に「私の親族がかつてデート暴力に及んだことがある」として謝罪したのですよ。

 それを見た被害者遺族が「なにが『デート暴力』だ!」と怒った……というニュース。
 ただの母娘殺人ですからね。
 前日になにやら韓国でデート暴力がニュースで話題になったのだそうですよ。
 で、それを引き継いだ形で「そういえば私の親族でも〜」とFacebookで語りはじめたとのことですが。
 何度も何度も書いていますが、本当にイ・ジェミョンは言葉が軽い。

 野党の国民の力で大統領候補予備選挙に出馬していたホン・ジュンピョ議員は「そんなのを親族に持つような人物が大統領になってもいいのか」と言い出しています。

ホン・ジュンピョ「殺人者の家出身、大統領にならないでください」(朝鮮日報・朝鮮語)

ホン議員は「いくらなんでも殺人者の家の出身に抱擁した候補は大統領にしてはいけない」と答えた。女性2人を殺害した甥を持つイ・ジェミョン候補が大統領になってはいけないということだ。

イ候補は24日、自分のFacebookに「私につらい過去がある」とし「私の一家の一人が過去にデート暴力重犯罪を犯したが、その家族が弁護士を選任する都合ができず、一家の中で唯一の弁護士として弁論を務めるしかなかった」と話した。
(引用ここまで)

 まあ、ホン・ジュンピョのいうこともそんなに間違っていない。
 少なくとも韓国的には。
 なにしろ、共に民主党も「ユン・ソンニョル(ソクヨル)候補一家の醜聞を大募集!」って国会前に特設テントを張るくらいですからね。
 親族、家族のスキャンダルを狙い撃ちせよ、というのは韓国では普通の風景なのでしょう。

 あとイ・ジェミョン本人もユン候補に対して暴言を吐いてます。

李在明候補「尹錫悦候補は “無能・無知・ムーダン”の『3ム』だ」…「国政わからなければ “犯罪”」(Wow! Korea)

韓国与党“共に民主党”のイ・ジェミョン(李在明)次期大統領選候補は、最大野党“国民の力”のユン・ソギョル(尹錫悦)候補に対して「無能・無知・ムーダンの “3ム”だ」とし「国政を担う資格なし」と批判した。

イ候補はきょう(27日)の午前、チョルラナムド(全羅南道)チャンフン(長興)の市場での演説で先のように語り「3ムは最悪だ」と強調した。

イ候補は「国家責任者が国政をわからないことは犯罪だ」とし「数か月勉強した実力に問題があるならば、改めて見直さなければならない」と直撃弾を放った。
(引用ここまで)

 ……まあ、国政が分からないのはユン・ソンニョル候補だけじゃなくておまえもだろって話ですかね。

 政治家としては城南市長、京畿道知事の経験しかありませんから。
 それにしても相手を「無能、無知、そしてムーダン(巫女、占い師)に頼る3ム」とか言えてしまうメンタリティよ。
 大統領選挙ですよ?

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【地球コラム】世襲のないドイツ、政治家の去り際

【地球コラム】世襲のないドイツ、政治家の去り際
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021112500659&g=int

 ※ 「世界情勢」全体が、冷戦勝利-米国一強、「対中エンゲージ政策」によって、まあまあ安定していた(「パクス・アメリカーナ」に乗っかって、EU域内で「ドイツ一強」で、「周辺国に、輸出しまくり」していれば、良かった…、ということもあったんだろう…。

 ※ しかし、世界情勢は、変わってしまった…。
   米中対立により、「独中蜜月」は終わった…。英国は、「一抜け」した…。
   「移民問題」「対中東欧政策」は、軋んでいる…。
   アフガンからは、米国が「一抜け」した…。おかげで、中東・その周辺のパワー・バランスも変わってしまった…。
   気候変動対策は、押し寄せて来ている…。

 ※ ということで、難問山積みだ…。

 ※ まあ、他人事じゃない…。「地政学的なリスク」という点では、日本国のほうが高いだろう…。日経平均が、今一つなのは、コロナ騒ぎのせいばかりじゃ無いだろうよ…。

『◇メルケルの遺産、誰が引き継ぐ?

 9月に行われたドイツの連邦議会(下院)選挙では、メルケル首相が所属するキリスト教民主同盟(CDU)が大敗した。この結果CDUは下野し、年内にも社会民主党(SPD)を中心とする3党連立政権が誕生することになった。メルケル氏は、新政権が発足し次第、政界から引退する。

 メルケル氏だけでなく、総選挙を節目に一線から退く大物政治家も多数おり、ドイツ政界は世代交代の時を迎えたと言えそうだ。そして、引退と同時に親族に選挙区を事実上引き継ぐことが多い日本と異なり、世襲の例はほぼない。そんなドイツの政治家達の去り際や、メルケル氏の遺産を誰が継ぐのかを、専門家や数少ない世襲議員への取材を通して探ってみた。(時事通信社ベルリン特派員 須永野歩)

◇メルケル選挙区、あっさり明け渡し

 「習慣的にやるべきことをあれこれ考えた後、今は別の人がやってくれるのだと思い当たる。それは心地良いことだろう」。メルケル氏は、首相として最後とみられる7月の訪米で、引退後の生活を想像してこう語った。惜しむ声も多いが、何よりも重圧からの解放と休息を望む様子をうかがわせた。

 本人は未練なしに満足いく引退となりそうだが、CDU側も、ことさらメルケル氏の威光を利用する姿勢は見受けられなかった。総選挙では、メルケル氏が1990年の初当選以来守っていた北部メクレンブルク・フォアポンメルン州の第15選挙区で、CDUからは33歳の新人、ゲオルク・ギュンター氏が出馬し、「(メルケル氏とは)年齢や考え方も違う」と、メルケル氏から距離を置く選挙戦を展開。そして、ライバルであるSPDの27歳の新人に敗れ、あっけなく議席を明け渡した。

◇比例中心で「個人重視」の文化がない

 メルケル氏のみならず、ドイツの政界では世襲はほとんど見当たらない。世襲を「政治家の引退後、同一の小選挙区から親族がすぐに出馬」するケースと定義し、全299小選挙区の現職下院議員を調べたところ、明確に該当すると確認できたのはCDUの1人のみ。このほかには、CDUの姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)で、親の引退から数十年後に初当選した議員が2人いた。

 すべての議員が親族関係を開示しているわけではなく、漏れがある可能性はあるものの、全体としては「世襲はほぼない」と言ってよい結果だ。

 デュッセルドルフ政党研究所のポグンテ教授は世襲の少なさについて、まず伝統的に「政治家個人を重視する文化がないこと」に加え、制度的な理由があると説明する。ドイツの選挙制度では、原則的に各党の議席配分を左右するのは比例での得票率で、小選挙区は補助的な位置付けだ。「あくまでも比例名簿の中で上位を目指すことで、政治的キャリアを築いていく」(ポグンテ氏)のが主で、選挙区と政治家のつながりはそれほど強くない。結果的に地元に代々根を張り、「政治が家業」のような一族は生まれにくいというわけだ。

 育成面でも、党が前面に出る。若いうちから職業と掛け持ちで党の地方支部に在籍し、各種役職をこなして州や全国レベルの政治家を目指すルートが一般的で、日本のように親族議員の秘書を経て、という例はほぼみられない。

◇唯一の世襲議員、1000年の貴族家から

 取材で確認できた唯一の現職「世襲議員」は、CDUのクリスティアン・フォンシュテッテン氏。元貴族を表す姓の最初の「フォン」が示す通り、1000年近くの歴史を持ち、神聖ローマ帝国時代の帝国騎士だったシュテッテン家の出身。古城「シュテッテン城」も所有する名家だ。

 下院議員だった父親が引退した2002年、父親と同じ南部シュツットガルト近郊のシュヴェービッシュハル・ホーエンローエ選挙区から出馬し当選。以来議席を守り続けている。

 フォンシュテッテン氏に話を聞くと、「(世襲は)確かにドイツでは非常にまれだ」と話す一方、「私が父の息子でなかったとしても、良い候補者とされただろう」と言い切った。「私の地元では、少なくとも市議会や郡議会を経験していない人間が、連邦レベルでCDUの候補になることは考えられない。父が引退した時、私はすでにシュツットガルト地域のCDU青年組織のトップだった」と、あくまでも親と関係なく、党の要職を経たうえで実力を認められた結果だと力説した。

 「父はもともとは私の出馬に反対で、経営する会社に集中するべきだとの意見だった」と話すフォンシュテッテン氏にも、2人の子どもがいる。まだ幼く将来の意向は分からないが、「政治家になるのは薦められない」という。

◇メルケル氏「後継者育てなかった」

 世襲や禅譲が少ない一方で、世代交代の過程が混乱しやすい側面もあるようだ。好例が、ドイツ再統一の立役者だったコール元首相の引退劇だ。コール氏は1998年の総選挙で敗北後もCDUの名誉党首にとどまり、影響力の行使を目論んだ。

 99年、当時CDU幹事長だったメルケル氏は、コール氏に取り立てられながらも世代交代の必要性を感じており、保守系紙にコール氏の闇献金疑惑を糾弾する寄稿を掲載。これが決め手となり、翌年にコール氏は名誉党首を辞任した。

 メルケル氏自身は、2018年に極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)に押されて地方選で連敗したことを受け、CDU党首を辞任。首相については今年の任期満了での引退を表明した。自ら引き際を決めた点ではコール氏より潔いが、後任のクランプカレンバウアー前党首は、首相と党首が分離したことで十分な影響力を発揮できず、1年2カ月で辞意を表明。新型コロナウイルスによる党首選延期で、次に選ばれた現職のラシェット氏の党首就任は今年1月。総選挙まで8カ月の準備期間しかなく、CDUの大敗につながった。ラシェット氏も選挙後に辞意を表明し、党は混迷に陥っている。トリアー大学のユン教授(政治学)は「メルケル氏は後継者を育てられなかった」と、現在の混乱の責任の一端はメルケル氏にあると指摘する。

◇ショルツ次期首相、「メルケル精神」?

 ただ、今後「メルケル色」が一掃されるかというと、そうも言い切れない。SPD中心の3党連立成立後、首相に就任するSPDのショルツ首相候補は沈着冷静で控え目。トリアー大学のユン教授は「ショルツ氏は、非常に冷静に、選挙戦でも現在の連立交渉でも、まるで司会役のような振る舞いを見せてきた。これはメルケル氏と非常に似ている」と話す。

 メルケル氏がドイツ国民にこれだけ長く支持されてきたのは、幾多の危機を冷静に乗り越えてきたその安定感だ。ショルツ氏も安定感は折り紙付きで、メルケル政権下で副首相兼財務相を務めてきただけに、特に外交面で大きな政策変更はないとみられている。メルケル氏自身は引退するものの、有権者は「メルケル精神」を受け継いだ指導者を選んだとも言えそうだ。 』

バイデン氏の2期目強調 後継ハリス氏不安視も

バイデン氏の2期目強調 後継ハリス氏不安視も―米ホワイトハウス
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021112800131&g=int

 ※ ブティジェッジ氏(同性愛者であることを、公言していて、”パートナー”なる男性と同棲している)の芽も、ないわけではないらしい…。

 ※ まだしも、バイデン氏のほうがマシ…、という情勢のようだ…。

 ※ カマラ・ハリス氏の「期待外れ」は、大誤算だったな…。

 ※ 「事務仕事」やらせると有能だが、「現場を任せると、からっきし…。」ということはよくある…。

 ※ 「人を使う」「人をやる気にさせる」という能力に、欠けているせいだろう…。

『【ワシントン時事】米大統領の最高齢を更新したバイデン大統領(79)について、ホワイトハウスは2期目を目指すと強調している。バイデン氏は3月に再選出馬の意欲を明言したが、支持率が低迷する中、改めて2期目に言及することで求心力を維持する思惑がありそうだ。一方、「後継者」と目されたハリス副大統領は、このところ力量を疑問視する報道が相次いでいる。

「三重苦」で支持率低迷 コロナ・物価高・党内対立―バイデン政権、中間選挙厳しく

 サキ大統領報道官は22日、「バイデン氏は2024年の大統領選に立候補するか」と記者団に問われ、「大統領はその意向だ」と即答した。これに先立ちワシントン・ポスト紙はバイデン氏が最近、出馬意欲を改めて支援者に伝えたと紹介。「ハリス氏ら次期大統領候補の動きを止める狙いがある」と分析した。

 バイデン氏は19日に定期健診を受けた。検査結果によると、職務執行に問題はないが、演説中にせき込むことが増え、関節炎による足のこわばりも昨年より強くなった。24年に82歳となるバイデン氏について、ハーバード大の10月世論調査では58%が「高齢過ぎる」と回答した。

 一方、女性初、黒人初の副大統領として注目されたハリス氏は就任後、目立った成果を示せていない。責任者を務める不法移民対策では「(米国境に)来ないでほしい」と言い放ち、移民に寛容な左派らの不興を買った。スタッフ間の不仲や、広報部長の退任も報じられている。

 CNNテレビは周辺の証言から「ハリス氏は準備不足で、脇に追いやられている」と指摘。USAトゥデー紙の11月の世論調査によると、ハリス氏の支持率は27.8%で、バイデン氏の37.8%を下回った。

 ハリス氏と共に大統領候補に取り沙汰されるブティジェッジ運輸長官は今のところ、24年大統領選への態度を明らかにしていない。バイデン氏の健康不安が払拭(ふっしょく)されない中、ハリス氏の存在感低迷も重なり、民主党の「次の顔」の行方は混沌(こんとん)としている。 』

EU・NATOの協力強化へ リトアニアなど共同訪問―両トップ

EU・NATOの協力強化へ リトアニアなど共同訪問―両トップ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021112900153&g=int

『【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長と北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は28日、リトアニアとラトビアを共同で訪問し、両国首脳と会談した。ベラルーシが両国国境に移民を送り込んでいるとされる問題で連帯をアピール。こうした安全保障上の脅威への対応で、EUとNATOの協力をさらに強化する方針を表明した。』

ソロモン諸島で暴動、親中政権に反発 豪は治安要員派遣

ソロモン諸島で暴動、親中政権に反発 豪は治安要員派遣
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2609K0W1A121C2000000/

『【シドニー=松本史】南太平洋のソロモン諸島でソガバレ首相の退陣を求めるデモの参加者が暴徒化し、首都ホニアラで放火や略奪が起きた。オーストラリアのメディアなどによると、中国寄りの外交方針への不満が背景にある。ソロモンと安全保障条約を結ぶ豪州は25日、要請を受け、治安維持のため100人以上の軍や警察の要員派遣を決めた。

暴動は24日に始まり、26日も一部の地域で起きた。豪要員の一部は26日までにソロモン入りした。

ソガバレ政権は2019年、台湾と断交し中国と国交を結んだ。デモの参加者の多くは東部のマライタ州の出身とみられる。同州は台湾との関係が深く、新型コロナウイルス対策の医療品の支援を台湾から受けるなど交流が続いていた。暴徒は警察署、銀行のほか、中国系住民が多い地域の商店を襲った。

マライタ州政府は台湾との断交に反発。20年9月にはマライタ州の首相が同州の独立の是非を問う住民投票を実施する意向を示していた。

中国との国交樹立後、北京を訪問したソロモン諸島のソガバレ首相㊧(2019年10月)=ロイター

豪公共放送ABCは26日、ソガバレ氏がインタビューで、台湾と中国を巡る問題が今回の暴動の「唯一の原因だ」と述べたと報じた。

現地の事情に詳しい関係者は、暴動の理由を「ソガバレ政権がマライタでのインフラ開発を中国企業に請け負わせようとしたうえ、(林業や漁業の)資源開発で外資企業が優遇されているという不満(を市民が抱えていること)もある」と説明した。

中国外務省の趙立堅副報道局長は25日の記者会見で、ソロモンでの中国人や中国系商店への襲撃について「深刻な懸念」を表明した。そのうえで「中国とソロモンの関係発展を阻害するあらゆる試みは無駄だ」と述べ、暴動の背景に何者かの意図がある可能性があると主張した。

ソロモンは人口約68万人。1978年に英国から独立した。首都のあるガダルカナル島は太平洋戦争の激戦地として知られる。過去にも治安が悪化し、豪州やニュージーランド(NZ)などがソロモン諸島地域支援団(RAMSI)を展開したことがある。』

ロシア大統領、12月6日にインド訪問 2プラス2も開催

ロシア大統領、12月6日にインド訪問 2プラス2も開催
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB26CWK0W1A121C2000000/

『【モスクワ=共同】ロシア大統領府は26日、プーチン大統領が12月6日にインドを訪問すると発表した。モディ首相との会談が予定されている。

ロシア外務省によると、ラブロフ外相とショイグ国防相も同行し、6日にインド側と初の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を開催する。』

AUKUSで何が変わる? 対中抑止、米と豪が連携強化

AUKUSで何が変わる? 対中抑止、米と豪が連携強化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM16C1R0W1A111C2000000/

『「米国と英国、オーストラリアの3カ国が9月、安全保障の枠組み『AUKUS(オーカス)』を立ち上げたんだって」「中国を抑える狙いのようだけど、日本などアジアへの影響はどうなのかな」

オーカスを取り巻く情勢についてバーチャルキャラクター、日比学くんと名瀬加奈さんが高橋徹アジア総局長に聞きました。

ニッキィの大疑問トップページ

日比くん「具体的にどんな枠組みなのですか」

3カ国はかねて軍事面で協力関係にありますが、新たに創設したオーカスでインド太平洋地域での連携を一段と強化する考えです。人工知能(AI)やサイバーセキュリティー、量子テクノロジーなど軍事分野で重要性が増す最先端技術で協力します。とりわけ目玉になるのは、米英から豪への原子力潜水艦技術の供与です。

まずは設計を協議し、豪国内で8隻を建造します。現在の原潜の保有国は米英とフランス、ロシア、中国、インドですが、核兵器を持たない国では豪が初めてとなりそうです。豪は次期潜水艦として仏からディーゼル艦を導入する契約でしたが、一方的に破棄し、米英の原潜に乗り換えました。寝耳に水だった仏は猛反発し、一時は米豪から大使を召還する騒ぎになりました。

名瀬さん「なぜそうまでして創設したのでしょう」

中国が覇権主義的な動きを強めているからです。南シナ海で埋め立てと軍事施設の建設、示威活動をエスカレートさせ、インド洋のスリランカやパキスタンでも港湾建設を進めています。こうした海域で中国が実効支配を強めて「航行の自由」を妨げれば、域内全体の経済や安全保障に重大な脅威となります。

豪にとって中国は最大の輸出先で、蜜月の間柄でした。ところが近年、中国からのスパイ行為や内政干渉が疑われる動きが相次いだほか、2020年4月に豪が新型コロナウイルスの発生源の調査を求めた際、中国は豪産品の輸入を制限する報復に出ました。両国関係は極度に悪化しています。中国艦船の活動は最近、南太平洋にも及び、海上輸送を妨害されるようなことがあれば豪には死活問題です。

比較的静かで、長期潜航できる原潜は、中国への「海中抑止力」になり得ます。中国の軍事台頭に危機感を抱き、インド太平洋で影響力を堅持したい米英が、豪の軍備増強を後押しする図式です。

日比くん「他の協力枠組みとはどう違うのですか」

米主導の中国対抗策は「3.4・5包囲網」と呼べる重層的な仕組みとなっています。オーカスと日米豪印の「Quad(クアッド)」、米英豪カナダとニュージーランドによる機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」です。

オーカスとファイブ・アイズは軍事、9月に対面では初の首脳会議を開いたクアッドはサプライチェーン(供給網)や気候変動、インフラなど経済の安全保障を中心に据えています。豪は3つ全てに加わっており、米国の重要なパートナーになっています。

名瀬さん「アジアの国々への影響はどうですか」

オーカスについて、当然のことながら中国は「地域の平和と安定を深刻に破壊する」と猛反発しています。地理的に豪中の間に位置する東南アジア諸国連合(ASEAN)は反応が割れています。米国と安保面で関係が深いシンガポールやフィリピンは理解を示しましたが、インドネシアやマレーシアは地域の緊張を高めると懸念しています。米国の同盟国で、太平洋の安定が経済安保に直結する日本は基本的に賛成の立場です。

豪が実際に原潜を建造し、就役させるのは、早くても30年代半ば以降とみられます。ただし米中対立が深刻になるなか、双方が軍備増強を競えば、南シナ海や台湾海峡などで偶発的衝突も含めたリスクを高める心配はあります。

ちょっとウンチク 原潜技術ににじむ本気度

バイデン米政権は8月末、イスラム主義組織タリバンにアフガニスタン制圧を許し、同国から米軍を撤収させた。オーカス創設の表明はその2週間後だ。「自国第一で、はしごを外す」という同盟国の疑念を払拭し、インド太平洋にとどまって中国に対峙すると宣言したに等しい。

アジアに配備する艦船やミサイルの数で米軍は中国軍に後れをとるが、原潜技術はなお優位にある。米が過去に原潜技術を供与したのは英国だけだった。英と協力して「虎の子」の技術を豪に授ける枠組みに、対中抑止にかける米国の本気度がにじむ。(アジア総局長 高橋徹)』

増産要請、産油国はゼロ回答 米シェールは生産停滞

増産要請、産油国はゼロ回答 米シェールは生産停滞
脱炭素移行の不都合な真実(2)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR19D4X0Z11C21A1000000/

 ※ この点は、トランプ政権の方が、明確だったな…。

 ※ シェール・オイル、シェール・ガスの「戦略上の位置づけ」の把握がハッキリしていた…。

 ※ バイデン政権は、「気候変動対策」「CO2の削減」を政策として掲げてしまったんで、「自縄自縛」に陥っている…。

 ※ 「It’s the economy,stupid.((日本語訳:「経済こそが重要なのだ、愚か者め」)」ということだと思うんだが…。

 ※ ガソリン代が値上がりすれば、大衆の不満は蓄積し、中間選挙に響くと思うんだが…。
 
 ※ 民主党政権においては、内部対立が激化する「テーマ」なんだろう…。

『原油相場が7年ぶり高値をつけた後も、主要産油国は増産を急ごうとしない。値崩れを防ぎ、この機に石油輸出収入を増やす思惑が透ける。新型コロナウイルスの感染拡大で原油需要が減り相場急落に苦しんだ昨年から一転、価格決定の主導権を握る「売り手市場」を長引かせようとするかのようだ。米国内でのシェールオイルの生産は伸び悩み、売り手市場を許す一因となっている。

【関連記事】炭素の逆襲 原油・ガス高騰、備蓄放出でも価格下がらず

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどでつくる「OPECプラス」は4日、追加増産を見送った。毎月、日量40万バレルずつ小幅に増産する従来の方針を変えなかった。10月にWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が一時1バレル85ドル台と2014年以来の高値をつけ、日米など消費国は増産を加速するよう求めていたが、OPECプラスは「ゼロ回答」を貫いた。
7年ぶり高値でも「来年は供給過剰」

増産に応じないのは、今は需給に逼迫感があっても来年は供給過剰に陥るとみるからだ。「12月に在庫が積み上がり始める。(22年の)第1四半期には膨大な量が追加される」。OPECを主導するサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は同日の記者会見で、需給の緩みに警戒感を示した。新型コロナの感染再拡大で需要が鈍り、また相場が弱含む懸念も消えない。

「石油は問題ない」とも言ってのけた。歴史的な高騰を演じた天然ガスや石炭こそが問題であり、産油国だけが帳尻合わせに追われるいわれはないとの思いがにじむ。

OPECはかねて「必要な投資なしには将来、エネルギー不足の可能性がある」(バルキンド事務局長)と警告してきた。脱炭素で化石燃料の開発は敬遠され、投資縮小に向けて金融機関や市場の圧力は増す。国際石油資本(メジャー)は石油ではなく再生可能エネルギーに資金を振り向ける。

だが、油田を開発して生産量の減衰を補うには費用と時間がかかる。こうした投資に背を向けて再生エネをもてはやしながら、必要な時だけ中東やロシアに原油の増産を迫るのは矛盾ではないのか――。原油高はこんな問いを消費国に突きつけた。

ロシアのプーチン大統領は10月、WTIが1バレル100ドルまで上がるかと問われて「大いにあり得る」と答えた。国際通貨基金(IMF)の推計では、21年の財政収支を均衡させる原油価格はサウジなら82.4ドルで、80ドル台は高すぎる水準ではない。
米シェール、バイデン政権下で逆風

水圧で岩盤に亀裂を入れて採掘するシェールオイルによって、米国は世界最大の産油国となった。80ドル台の原油相場なら米国の大半のシェール油井は採算が取れる水準だが、掘削装置(リグ)の稼働数は低迷が続いている。伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリーの伊藤敏憲代表によると、足元の稼働数は500弱で、WTIが現在の同等の水準だった14年後半に稼働数が1000を超えていたことを考えると、約半分にとどまる。
米テキサス州の石油施設=ロイター

シェールの開発企業の多くは財務面が脆弱で、「環境対策を打ち出すバイデン政権下では新規の投資もしにくく、需要急増に対応できていない」(伊藤氏)という。シェールオイルの採掘方法に対しても「環境破壊につながる」との批判がくすぶっており、新規投資をためらわせる一因になっている。

バイデン米政権は批判の矛先を中東産油国やロシアに向け、日本、中国、インド、韓国、英国と協調して石油備蓄の放出に踏み切る。価格の抑制を狙って主要消費国が一斉に備蓄を放出するのは異例の措置だ。ただ、放出できる量には限度があり、どこまで価格を抑えられるかは不明だ。

ロイター通信によると、OPEC加盟の有力産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は23日、消費国の備蓄放出に関し「備蓄の増減について我々が相談を受けることはない」と語った。仮に価格を押し下げることができたとしても、備蓄放出が産油国の反発を招けば、増産意欲が一段と下がる恐れがある。消費国は結局、供給量の低迷という難題から逃れられそうにない。
天然ガス、存在感増すロシア
欧州で天然ガス相場の高騰が続いている。指標となるオランダTTFは翌月渡しの先物取引で17日、1メガワット時あたりの価格が一時100ユーロを再び超えた。前日にドイツ政府が新たなパイプライン計画「ノルドストリーム2」の認可手続きの中断を発表し、需給逼迫の不安が蒸し返された。
春先から右肩上がりをたどってきた天然ガス価格は9月に騰勢を強め、10月6日には過去最高値の155ユーロをつけた。

その要因は複合的だ。新型コロナウイルスの感染がいったん下火となり、経済活動の再開でエネルギー需要は回復する。とはいえ、各国が脱炭素に取り組むなか、石油や石炭の消費を大きく増やすわけにはいかない。この結果、化石燃料では相対的に温暖化ガス排出量が少ない天然ガスに需要が集中する。

一方、欧州連合(EU)にとって最大の輸入元であるロシアで、国営ガス会社のガスプロムからの供給が不十分との懸念が広がり、先物市場は買いが買いを呼ぶ展開となった。

国際エネルギー機関(IEA)は9月、「ロシアにはもっとできることがあるはずだ」と名指しで供給増に協力を求める声明を出した。だが、供給がその後大きく増えた形跡はない。
国営のガスプロムはプーチン大統領の指揮下にある=ロイター
欧州とロシアを結ぶ新パイプライン、稼働に遅れ
ここにきて欧州を悩ますのは、バルト海経由でロシアとドイツを結ぶパイプライン「ノルドストリーム2」を巡る混乱だ。ウクライナを経由しないことで安定供給につなげる狙いがあったが、ロシア依存度が深まるとして米国や中東欧諸国が反対。英国もトラス外相が14日付の英日曜紙サンデー・テレグラフへの寄稿で「ノルドストリーム2は欧州の安全保障を損なう」と訴え、計画撤回を求めた。

パイプラインは既に完成しているが、ドイツの認可作業が中断して稼働時期が読めない状況に陥った。ノルウェーのエネルギー調査会社ライスタッド・エナジーは、認可の完了は早くて22年4月と予測する。ガス需要が最も高まる冬場には間に合わない公算が大きい。

欧州での天然ガス価格の急騰は、日本にとっても決して対岸の火事ではない。日本は液化した天然ガス(LNG)を専用船に積んでオーストラリアなどから輸入している。欧州での価格急騰の余波で、アジア地域のLNGのスポット(随時契約)価格も上昇している。アジアでも化石燃料の中では温暖化ガスの排出量が少ない天然ガスに需要が集中し、中国や韓国、台湾などが調達を増やしている。

=つづく

カイロ=久門武史、ロンドン=篠崎健太が担当した。

[日経ヴェリタス2021年11月28日号巻頭特集より]』

転機の独中蜜月、現実主義の限界 課題は次期政権へ

転機の独中蜜月、現実主義の限界 課題は次期政権へ 
メルケルを超えて㊤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR229B40S1A121C2000000/

 ※ 結局は、「パクス・アメリカーナ」なんだよね…。

 ※ 独仏枢軸(≒EU)が、世界秩序を米抜きで構築できる…、とは思えない…。

 ※ ましてや、英国も「一抜け」したしな…。

『ドイツの首相を16年間務めたメルケル氏が12月に退任する。欧州債務危機への対応などで指導力を発揮したが、現実主義の限界も露呈した。中国との近すぎる距離、欧州統合の停滞といった課題はショルツ次期首相に引き継がれる。

台湾の国際機関への参加を支持し、新疆での人権侵害を取り上げる――。ショルツ氏のドイツ社会民主党、緑の党、自由民主党が24日公表した連立合意書には中国への厳しい言葉が並んだ。

南シナ海問題の国際法による解決や香港の一国二制度の回復も盛り込み、中国はたまらず「内政問題だ」と反発した。

メルケル氏は任期中に12回も訪中し、蜜月と呼ばれる関係を築いた。だが、経済関係強化を通じ相手国の民主化を促すドイツの外交戦略が功を奏したとは言いがたい。米中対立が深まり、中国との結びつきはドイツの強みから弱みに変わった。

恩恵を受けてきたはずの産業界からも悲鳴が上がる。ドイツ産業連盟(BDI)のヨアヒム・ラング事務局長は9月の声明で、ドイツ企業が中国で「差別的な産業政策」に直面していると訴えた。

中国政府は米国に対抗するため自己完結型の経済、安全保障に力を入れ、進出企業に現地化の圧力が強まっている。

ドイツにとって、冷戦後に広がった自由貿易と多国間主義は生命線だった。経常収支は1990年代は赤字だったが、2010年代に国内総生産(GDP)比で8%前後の黒字となった。強いドイツ経済がメルケル氏の人気を支え、16年もの長期政権を可能にした。

しかし、政権末期は米中の国力接近を背景に両国の対立が激化した。米国では自国優先、同盟軽視のトランプ大統領が誕生、民主主義陣営の結束も揺らいだ。

メルケル氏が20年末に半ば強引に取りまとめた欧州連合(EU)と中国の投資協定は人権問題への反発が強まるなかで頓挫。メルケル氏が自国の利益を優先している印象だけが強まった。

独フォルクスワーゲンの販売台数の4割を中国市場が占めるなど、企業の中国依存が後戻りできないほどに高まっているなかでの方針転換には難しさもある。

ケルン大学のトーマス・イエーガー教授は「音楽を決めるのは中国」と語り、ドイツが主導権を握れるかを危ぶむ。

「政治とは何が可能であるかだ」。メルケル氏はかつて政治の本質をこう喝破した。実現できない理想にこだわらず、実現可能な解をたぐり寄せる現実主義がメルケル政治の真骨頂だった。

ただ、そうした態度が越えてはならない「レッドライン」を曖昧にし、強権国家を勢いづかせた面は否めない。

ドイツにガスを直接運ぶパイプライン計画(ノルドストリーム2)を進めるロシアは、ウクライナ国境の部隊を増強中と伝わる。危機をあおり米欧との取引に持ち込むのが、プーチン大統領の常とう手段となった。

ドイツにとって幸福だった時代の終幕とともにメルケル氏は表舞台を去る。「何度も命を吹き込み、守らなければならない」。旧東ドイツ出身のメルケル氏は民主主義擁護を繰り返し説いた。

分断の深まる世界にショルツ氏が向き合うには理想を貫く覚悟も必要になる。価値観をともにするパートナーとの連帯がカギになる。

(ベルリン=石川潤)』

中国、「非民主国」と相次ぎ協議 米民主サミットに焦り

中国、「非民主国」と相次ぎ協議 米民主サミットに焦り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM26AVL0W1A121C2000000/

『【北京=羽田野主】中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が米国が12月に開く「民主主義サミット」に招待されなかった国と相次いで協議し、サミットを「内政干渉」と批判している。同サミットは台湾が招かれ、中国が招かれなかった。台湾が国際社会から認知される契機になりかねないと焦りを強めている。

「民主主義を語る内政干渉には反対だ」。王氏は26日、ロシアやインドの外相とのオンライン協議で米民主サミットについて語った。中国外務省が発表した。

サミットは12月9~10日にオンラインで開く。欧州諸国や日本、インドなど約110カ国・地域が招かれ、中国やロシアは招かれなかった。中国は台湾が招待されたことに危機感を抱く。今後、国際機関や国際会議への台湾の参加機会が増えかねない。中国大陸と台湾が一つの国に属する「一つの中国」を主張する中国には受け入れがたい。

王氏はサミットの非招待国と相次ぎ協議する。24日にはイランのアブドラヒアン外相とのオンライン協議で「サミットは世界の分裂を策動し、他の国に米国式改造を進めるためだ」と語った。アブドラヒアン氏は「中国の主権と内政への干渉に反対する」と応じた。中国外務省が発表した。

王氏は29日に再開する核合意の再建協議にも触れ「イランの合理的訴えと要求を理解し、正当な権益維持を支持する」と表明した。核合意の再建協議でイランを支持する代わりに、民主サミットに反対する中国の姿勢を理解してもらう構図だ。

23日はパレスチナのジアド・アブアマル副首相とも電話協議。「中国はパレスチナ人民の独立と建国を追求するうえで断固パレスチナ側に立つ」と強調した。パレスチナはイスラエルと近い米国と溝が深く、中国が引き込む思惑が垣間見える。

25日にはハンガリーのシーヤールトー外相とのオンライン協議で「民主主義の名を借りて各国の内政に干渉すべきではない」と非難した。ハンガリーのオルバン首相は強権姿勢を加速し、加盟する欧州連合(EU)との溝が深まる。

王氏は29、30日に西アフリカのセネガルで開く「中国アフリカ協力フォーラム」閣僚級会議には対面参加する。習近平(シー・ジンピン)国家主席もオンラインで参加し、新型コロナウイルス対応での支援策を打ち出す。30日には李克強(リー・クォーチャン)首相もロシアのミシュスチン首相とオンラインで協議する予定だ。』

バルト3国議員団が訪台 総統と会談へ、中国反発も

バルト3国議員団が訪台 総統と会談へ、中国反発も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM282JG0Y1A121C2000000/

『【台北=共同】バルト3国のリトアニアとエストニア、ラトビアの国会議員団が28日、台湾北部の桃園国際空港に到着した。台湾外交部(外務省)によると、議員団は蔡英文総統や蘇貞昌行政院長(首相)らと会談する。一行は来月2、3日に台北で立法院(国会)などの主催で開催される国際フォーラムに出席する。中国が反発するのは確実。

欧州では覇権主義を強める中国への反発が拡大。リトアニアの首都ビリニュスに18日、「駐リトアニア台湾代表処(代表部に相当)」が設置されるなど、台湾との関係を深めている。

中国は欧州初の「台湾」の名称を用いた代表処の設置に猛反発。報復として、26日にリトアニアとの外交関係を大使級から臨時代理大使級に格下げした。

游錫堃立法院長(国会議長)はフェイスブックで議員団の訪台に歓迎の意を表明して「共に透明で開かれた政府を築いていこう」と呼び掛けた。』