中共に戦争をあきらめさせる米軍の切り札は潜水艦なのだが、…。
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『Bill Rivers 記者による2024-4-19記事「A Rockefeller of the Seas」。
※この記者は2017~19年にマティス国防長官のスピーチライターであった。
中共に戦争をあきらめさせる米軍の切り札は潜水艦なのだが、それが予算不足で建艦ペースが巻き上がらない。どうしたらよいか?
過去の伝統に戻り、億万長者のイニシアチブで無人潜航艇を先行納品してもらったらよい。
南北戦争中の1862にテネシー川を支配することによって南軍の西部諸邦を大いに脅威してやった北軍艦隊は、セントルイスの実業家 James B Eads がグラント将軍のために一肌脱いだもので、その甲鐵艦の最初の1隻は今でも国有財産ではなく、私有財産だという。
イーズは、4000名以上の職工を働かせてこの河川艦隊を建造させ、グラントに引渡した。
プロジェクトのスタートから100日以内に、その艦隊は進水している。その間の建造費用すべて、彼の個人資産で賄った。
もちろん、連邦政府との契約があった。しかし、代価が支払われたのはかなり後だった。
今日の話をすると、米海軍は2028年になるまで「年に2隻」のペースでは攻撃型原潜を取得できないそうである。これは海軍が2023-3に発表している。
台湾近海は浅海である。そこでは「無人半没艇」や「ロボット潜航艇」が活躍できる。それを、今日の米国の富豪たちは、自己資金で建造して米海軍に納品できるはず。後払いで米政府から補償を受ければいいのだ。そんな公平な仕組みを考えようではないか。
2023年に議会調査部は、米海軍は全世界で31隻の原潜を作戦させられるとしている。インド・太平洋域だけでもこれでは足りない。まして全世界用としては。
31隻というのは必要量の「五分の三」なのである。建造もメンテナンスも、ペースが、本来の必要水準まで追いついていないのだ。
『WSJ』紙が調べ上げた事実。『ヴァジニア』級の攻撃型原潜は現状では、年に「1.2隻」しか新造ができない。本来なら「2.0隻」を建造し続けないといけないのに。
だとすれば中共は2027に台湾侵攻すれば、その時点で米海軍は最も潜水艦戦力が弱体化しているので好機に乗ずることが可能だ。
台湾防衛に関して米海軍の最後の期待はいまや、急速量産が可能な無人の水中ロボットだけだ。しかしその政府予算も未だついていない。「レプリケーター」イニシアチブは、DoD内部の一政策提言であって、政府は公式にその予算はつけていない。もっか、議会にはたらきかけて、その将来予算を確保しようと道を模索している最中なのだ。
他方、米国内外の複数の中小メーカーは、今すぐにでも、AUV(自動潜航艇)を製造開始して米政府に納品することは可能なのである。足らないのは米政府の初期発注資金だけなのだ。
民間造船所が米海軍を助けたのは、南北戦争が最初ではない。1813のエリー湖の勝利に貢献したのは、ノアとアダムのブラウン兄弟が自己資金で建造したブリグ船であった。
「富+スピード=抑止」という方程式が、今の対支政治では、妥当するのである。
遅すぎる調達では、対支の抑止にまったくならないのだ。それがいくら高性能の兵器でも、調達が何年も先では、もう手遅れなのだ。中国による侵略を止められずに、既成事実をつくられてしまう。
米国は富んでいるのに予算がない。しかしここに予算の必要がある。だったら、われわれはもっとクリエイティヴになるべきだ。
ベゾス、マスク、ザッカーバーグらは、1862年のイーズのように行動すべきだ。彼らの資金力で、中小のベンチャー・メーカーを動員することは簡単だ。
パブリックとプライベートを臨機に結びつける枠組みを、発明するべきなのである。』