NATOが米本土に初の統合軍司令部JFC- Norfolk

NATOが米本土に初の統合軍司令部JFC- Norfolk
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-19

『対露潜水艦作戦を主に大西洋と北極圏をカバー
司令官は上記作戦専門の米海軍第2艦隊指揮官と兼務
主要幹部には海軍士官がずらり

Milley NATO.jpg15日、NATOの新たな統合軍司令部(JFC- Norfolk:Joint Force Command Norfolk)がヴァージニア州Norfolkで完全運用態勢に入り、Norfolk港に停泊中の米海軍強襲揚陸艦USS Kearsarge上で行われた式典で、司令官のAndrew Lewis米海軍中将やMark Milley米統合参謀本部議長がその意義を式辞の中で語りました

NATOの複雑な軍事機構については、外務省作成のわかりやすいパワポ資料でお勉強いただくとして、ざっくり申し上げると・・・

●ブラッセルに連合軍最高司令部(SHAPE)があり、その下に
・欧州大陸を見る統合軍司令部JFC- Brunssum(オランダ)
・地中海を見るJFC- Naples(イタリア)
・大西洋&北極圏を見るJFC- Norfolk(米)が誕生

分かりやす~い外務省作成のNATO説明パワポ資料
→https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100156880.pdf

Milley NATO3.jpgJFC- Norfolk司令官Lewis米海軍中将は、北大西洋での対ロシア潜水艦作戦を用に2019年末に創設された米海軍「第2艦隊」の司令官を兼務しており、つまりのところ、この「JFC- Norfolk」はロシア潜水艦対処をNATOとして行う作戦司令部だと考えてOKです

ですから「JFC- Norfolk」は、米海軍「第2艦隊」が完全運用体制を確立した2019年12月末に「初期運用態勢」を確立し、約1年半後の7月15日に「完全運用態勢」確立して作戦司令部が正式発足に至ったという流れの中にあります

米海軍「第2艦隊」は任務が対露潜水艦作戦に絞られ、基本的に潜水艦情報を集約して作戦指揮することに特化していることから人員が200名程度と小規模ですが、「JFC- Norfolk」がどの程度の規模なのか不明です。おそらく、「第2艦隊」に欧州NATO加盟国からの潜水艦作戦関係者が派遣増強されて構成されているものと推察します

NATO Norfolk.jpgご紹介している写真は15日の式典の様子や式典後の司令官による部隊視察の様子ですが、Milley米統合参謀本部議長以外は海軍の白い制服を着た勤務者ばかりであることが見て取れます

以下では、15日の式典でのLewis新司令官やMilley議長のスピーチの一部をご紹介しますが、同議長が20分間もスピーチして、将来の大規模紛争を避けるために一丸となって取り組む必要があると強調しています(以下では概要のみ紹介ですが、Defense-News記事が多く引用してますので興味のある方はリンクから見てください)

15日付Defense-News記事によれば
Lewis.jpg●Lewis司令官は「第3の統合軍司令部となるJFC- Norfolkの創設は、北米と欧州を結ぶリンクを構築し、NATOの集団安全保障を望まれる全方位態勢に深化させるものである」、「JFC- Norfolkは初の北米所在のNATO統合軍司令部として、NATO内で大西洋の重要性を訴え、即応態勢を維持することに貢献する」と式典で述べた
●そして同司令官は「我々はもはや、WW2後に確保していた大西洋のコントロールを維持できていない」、「気候変動によるハリケーンなど強力な自然災害や、北極圏での氷の融解に起因する地下資源等を巡る争いの激化などが懸念材料として浮上してきている」、「我々はこの水域で脅威に直面している。(ロシアや中国は)大西洋の北極圏から南極に至る地域でプレゼンスを増大させている」と情勢認識を語った

Milley NATO2.jpg●Milley米統合参謀本部議長は、「JFC- Norfolkの任務は、有事に大西洋で戦うことである」、「WW2の歴史を振り返れば、ドイツのUボートに連合軍の海上輸送が苦しめられた苦い経験がある」、「欧州における将来戦の成否や、ひいてはNATOの生存は、この新コマンドの成否によるところが大である」と述べ、
●「今後世界は不安定な時代に入ってゆく。WW2後に世界秩序を支えてきた国際協力のシステムを、幾つかの国やテロ組織やならず者国家が脅かそうとしているからだ」、「我々は今後10~15年に起こる技術革新がもたらす戦いの変化に乗り遅れることなく、相手に先んじて新技術に習熟して使いこなし、軍事ドクトリン改革を並行して進めることで、優位を確保し、大規模紛争を防止する必要がある」と訴えた
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トランプ政権時代に、NATO欧州諸国の国防費のGDP比率で大いにもめ始めましたが、その件に関しMilley議長は、「即応態勢の維持と装備近代化のバランスが重要だが、相手の近代化速度は急激であり、将来を考える時、組織全体で焦点を当て取り組むべきだ」と間接的な表現にとどめています

NATO.jpg外務省の資料を眺めてみると、いかにもNATOは複雑な組織です。NATO事務局長がいて、軍事機構には軍事委員会委員長がいて、ブラッセルの連合軍最高司令部(SHAPE)の下には、JFCのほかにも陸上司令部がトルコに、海上司令部が英国に、航空司令部がドイツに、統合支援司令部がドイツに・・と大変です。

とにかく、米本土にNATOの統合軍司令部が初めて誕生したという点で意義あることだと関係者は強調していますが、作戦指揮や作戦統制が円滑に行われるよう祈念申し上げます

分かりやす~い外務省作成のNATO説明パワポ資料(12ページ)
日本とNATOの関係を整理した説明も
→https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100156880.pdf

2019年末発足の米海軍「第2艦隊」について
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-03

NATO関連の記事
「NATO会議の雰囲気は変わるか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-17
「アジアやNATOにGDP2%要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-19
「B-52が全NATO諸国でプレゼンス飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-29-1
「NATO70周年の首脳会合は葬式の様相に?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18-1

バイデン政権の国防姿勢関連
「オースチン長官が米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「国防副長官が所信を述べる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

タグ:NATO Mark Milley Andrew Lewis Joint Force Command Norfolk JFC- Norfolk USS Kearsarge』

中朝貿易額8割減 21年1~6月

中朝貿易額8割減 21年1~6月、北朝鮮経済の苦境続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM180AU0Y1A710C2000000/

『【大連=渡辺伸】中国税関総署は18日、北朝鮮との貿易総額が2021年1~6月期は6572万㌦(約72億円)だったと発表した。前年同期比84%減で、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年同期と比べて95%減った。北朝鮮の新型コロナ対策の一環である中国からの人やモノの入境制限が響いた。

北朝鮮は貿易の9割以上を対中国が占める。6月単月の中朝間の貿易総額は1413万㌦で、前年同月比で85%減った。単月べースでは20年秋以降、数百万㌦~1千万㌦台にとどまる月が多い。19年は毎月2億㌦以上で推移していた。

中朝間では船による輸送は一部で動いているが「貿易は止まっている」(丹東市の貿易商社)とされる。コロナ前まで盛んだった北朝鮮から中国への加工品の輸出も停止している。』

〔「日本人は貧しくなっている」はホントか?〕

 ※ 情緒的な「ご託宣」なんか、いくら聞いてもしょうがない…。

 ※ 経済・財産的な「ご高説」ならば、まず「フローの話し」なのか、「ストックの話し」なのか、そこから始めないと…。

 ※ やたら、GDPを振り回すヤツがいる…。
  しかし、そういうヤツに限って、それの「作り方」「計算方法」すら知らないからな…。

 ※ 最後は、「GDPが3倍だから、オレの方が3倍偉いのだ!」とか言い出すから、救われない…。

「日本人は貧しくなっている」はホントか? 世界で最も成功した「社会主義国家」と言われるワケを言おう(小田切尚登)
(2019年12月30日)
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/12/30375986.html?p=all

『「日本人は貧しくなっている。貧富の差も広がっている」――。こういう話をよく耳にする。確かに、国税庁の民間給与実態調査によれば、日本の2018年の平均年収は441万円で、2007年の437万円からほとんど増えていない。世界の多くの国で所得が大きく伸びてきた中で、日本の不振は明らかだ。

だが、本当に「日本人が貧しくなっている」とまで言えるのだろうか?

そこで今回は、データを元に他国との比較をしてみたいと思う。数字はクレディスイスの「グローバル・ウェルス・レポート2019」のものを使う。大事なことは、所得ではなく「富」を見るということ。ここでいう富とは純資産、つまり資産から負債を引いたものである。

海外と比べて「お金がない!」という人は……

じつは日本人の富裕層は多かった?

所得は変動していくが、富はその結果として得られる「今の姿」を示している。とりたてて資産のない年収400万円の30歳サラリーマンよりも、自宅とそれなりの金融資産があり、年金生活をしている65歳の元正社員のほうが豊かであろう。

今の年収よりも、どれだけ蓄えがあるかのほうが重要なのである。

まず、富裕層を見てみよう。このレポートによると、日本には100万ドル(1億1000万円)超の富を持ついわゆる100万長者が300万人以上いる。

米国の1860万人、中国の440万人に次いで世界第3位である。それらに次ぐ4位が英国の240万人、5位がドイツで210万人だから、日本は金持ちの多い国であるといえる。

しかもクレディスイスの予想では、2024年までの5年間で日本の100万長者は71%増えて510万人になるという。同じ時期の米国の伸びは23%、中国は55%と予測されているので、遠くない将来に、富裕層の数で日本が中国を再び追い抜かす日が来るかもしれない。

一方で、日本には純資産が5000万ドル(55億円)を超える超富裕層が少ない。超富裕層では米国が8万人超いて圧倒的に多く、次いで中国が約1万8000人、ドイツが約7000人という順番になっている。しかし、日本は4000人弱だ。日本にはそこそこの資産家は多いが、超のつく大金持ちは少ないということだ。

日本は米中独英に比べて、富が平等に分配されている
では、富の平均から下位グループはどうだろうか。世界でGDPトップ5か国の成人一人当たりの富の平均値と中央値は、以下のようになっている。

kaisha_20191225163707.png

日本は平均値こそ米国や英国を下回るが、中央値でみると唯一10万ドルを超えていて、これらの国の中でトップだ。つまり、平均的な日本人は豊かであるということである。富がより平等に分配されていると言ってもよい。

世界で最も豊かな国はアメリカだ。そんなイメージを持っている人が多いだろう。しかし、アメリカは貧富の差が大きい。中位の人の比較では、日本人はアメリカ人よりも7割近くも多くの富を有しており、圧勝している(ただし、世界にはオーストラリアやカナダなど中央値で日本をさらに上回る国が他にあることに注意)。

富の分布について、もう少し細かく見て行こう。

kaisha_20191225163733.png

日本には富が110万円未満の人が全体の5%しかいない。それに対して米国では27%、ドイツでは41%もいる。一方、日本人の53%が1100万円以上の富を有するのに対して、英国で1100万円を超えるのは50%、米国は43%、ドイツが38%だ。つまり日本は、110万円以下しか純資産がない人が少なく、一方で過半数の人が1100万円以上の純資産を持つ。非常に好ましい状態にあると言えるだろう。

日本は富の偏在が少なく、相当程度の平等を達成した国だ。純資産が低い層が少なく、かといって超富裕層も非常に少ない。平均的な日本人は1000万円を超える純資産を保有していて、世界的には非常に豊かな部類に入る。このところ停滞しているとはいえ、日本は世界のほとんどの国がうらやむような富の分配が実現した国だといえよう。

世界で最も成功した「社会主義国家」と言われるゆえんである。(小田切尚登)』

「悪夢」の衝撃、環境一変

「悪夢」の衝撃、環境一変 主体的戦略追求の必要―ニクソン・ショック
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021071400699&g=int

 ※ こういうことは、過去に何度も繰り返されたし、これから先も繰り返されるだろう…。

 ※ 「覇権国の世界戦略」というものは、「周辺国」の国家戦略なんか、「忖度」しないものなんだ…。

 ※ それどころか、「遠慮会釈も無しに」、「戦略変更」されるものだ…。
 
 ※ だから、日頃から「その世界戦略を、予想しておく」ことが、死活的に重要となる…。

 ※ 「実行すること」は、「覇権国」じゃなければ到底ムリだ…。

 ※ しかし、「考えておくこと」「頭の中を探っておくこと」は、「周辺国」でも可能である…。

 ※ その「読みの精度」が、「国家の死命」を制する…。

『1971年のニクソン米大統領の中国訪問発表は、中華民国(台湾)と深い関係を築いていた日本を激しく揺さぶった。国際環境を一変させる大国外交の力を目の当たりにした日本は今、米国の戦略を透徹した視点で見極めた上で、主体的に国家戦略を追求できるかどうか試されている。

対中、関与から競争へ 「ニクソン・ショック」50年、協調模索も深まる対立―米

 当時の佐藤栄作首相が牛場信彦駐米大使を通じニクソン氏の声明発表予定を知ったのは、発表の数分前とされる。「『朝海の悪夢』が現実になった」。牛場氏はこの後、ジョンソン米国務次官にこう語った。「朝海の悪夢」とは、頭越しの米中和解を突然告げられることへの不安を漏らした朝海浩一郎元駐米大使の発言を指す。

 佐藤氏は約9カ月前の70年10月にニクソン氏と行った会談で、対中政策の将来の発展について「緊密な連絡と協議を続ける」ことで合意していた。はしごを外された形となった佐藤氏は、情報収集力などをめぐって批判にさらされ、72年7月に退陣。後継の田中角栄首相は就任から3カ月を待たずに訪中し、米国に先んじて中国との国交正常化を実現させた。

 今日の米中関係は、当時とは逆の道をたどっている。バイデン米政権は「中華民族の偉大な復興」を掲げて強国路線をひた走る中国を「専制主義」と見なし、対決色を強める。一方で、日米関係は十分成熟しており、佐橋亮・東京大東洋文化研究所准教授は「(新たな)『ニクソン・ショック』は起きない」とみる。

 ただ、良好な日米関係は、必ずしも日本の外交・安全保障戦略の多角化につながるわけではない。佐橋氏は「米国は今後ますます中国に厳しくなり、中国もアジア各国に踏み絵を迫るようなアプローチを始めようとしている。どっち付かずの対応は難しくなっている」と指摘する。

 日本が直面しているのは、こうした制約の中で、米国追随にとどまらない地域・国際秩序のビジョンを描くという課題だ。日米は年内に再び外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開催する予定で、国家安保戦略や防衛計画の大綱の改定も取り沙汰されている。一連の過程で、対中抑止強化に加え、人権を含む普遍的価値の位置付けや経済安保などをめぐり広範な議論を交わす必要が出てきそうだ。 』

ラオスの小規模社会集団における人口動態・再生産・生業変化の相互関係の解明

ラオスの小規模社会集団における人口動態・再生産・生業変化の相互関係の解明
http://www.geog.lit.nagoya-u.ac.jp/prelic/prelic1.html

 ※ ラオスとか、あまりよく知らない国だ…。

 ※ ちょっと、調べた…。

 ※ 学術的な研究は、結構なされているようだ…。

 ※ 大学や、シンクタンクの論文が、多くヒットした…。

 ※ その一つを、紹介しておく…。

※ この図は、上記の論文中にあったものでは無いが、検索中に見つけて、参考になるんでキャプチャした…。国家体制を、「民主主義vs.独裁」「資本主義vs.社会主義」という軸で斬ったものだ…。

※ ラオスは、まあ、「小型の中国」と言ったところか…。

※ ミャンマーは、一時「民主化した」と喧伝されて、米・日寄りの国家体制になったハズだった…。

※ 今また、「軍政」が復活して、先祖返りしたという話しになるのか…。

※ タイも、「軍事政権」に戻ったな…。

※ シンガポールは、資本主義ではあるが、「開発独裁」に近い国…。

※ ロシアは、マルクスレーニン主義的な「社会主義国」では無くなったが、「警察力」「情報機関」を駆使しての「監視・統制国家」…。

※ サウジアラビアは、イスラムの「ワッハーブ主義」による「非民主主義国」…。やっと、最近、女子が車を運転することを認めたな…。

※ スウェーデンは、「社会民主主義」国家だったのか…。

※ この「対立軸」、けっこう使えるな…。

※ 北朝鮮が欄外なのは、ここはまた「主体思想・主体主義」を標榜するんで、「キム王朝」とも称される、ちょっと異色の国家体制だからだろう…。

『終了したプロジェクト(Prelic 1)について
課題名
ラオスの小規模社会集団における人口動態・再生産・生業変化の相互関係の解明 (Prelic 1)

研究費種目
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)(海外学術)
期間
2013年4月1日〜2017年3月31日

研究の背景

ボズラップによる農業発展段階論と現実世界

人口変動、再生産、生業変化の相互関係の把握は、グローバル化時代の人類の生存基盤を考える上で極めて重要な研究です。しかし、生存基盤に関わる人口と食料といった問題に関しては、人口の増加に伴って人びとは農業集約化を進展させるとしたBoserup(1965)による農業発展段階論しか示されていません。実際、人類は農業集約化を進展させ、過去40年間で穀物生産を倍増することに成功しました。そして、計算上は世界の全人口に十分な食料が行き渡ることになっています。ところが、現実には8.7億もの人びとが栄養失調の状態にあります。これは、国家スケールでの統計を用いて人口変動と食料供給の関係を論じても、それは机上の空論に過ぎないことを表していると言えます。

Boserup, E. 1965. The Conditions of Agricultural Growth: The Economics of Agrarian Change under Population Pressure. Chicago: Aldine. [ボズラップ, E. (安沢 秀一, 安沢 みね 共訳) 1991.『人口圧と農業―農業成長の諸条件』ミネルヴァ書房.]

小規模な社会集団を分析する重要性

実際の人びとの営みは、小規模な社会集団を基本単位として繰り広げられています。しかも、近年はグローバル化に伴う情報化や近代化が一層進んでおり、家族計画が浸透し、公衆衛生も改善されており、食料生産だけが人口を規定する要因になっていません。したがって、人口と経済・社会・文化・疾病・衛生との関係、およびそれらが人口動態に及ぼす研究が求められています。しかし、先進国のような住民登録制度が整い、国勢調査が実施されている国々を対象とした研究成果は蓄積されているのですが、各種統計の整備が遅れている新興国や途上国を対象とした研究はほとんど実施されていません。現在、世界人口の多くが新興国・途上国で占められており、それらの国々の小規模社会集団の動態把握が人口を扱う様々な学問分野の関心を引いています。

これまでの問題点

ところが、統計未整備国の集落において個人単位の完全なデータを取得するには、多くの労力と時間が必要とされるため、これまでは生業変化の断片的な情報から人口変動の要因を推測することしかできませんでした。本研究プロジェクトのメンバーによるタイとラオスの集落を対象に実施したサンプル調査では、出生率低下の原因は、家族計画と医療・公衆衛生の普及のみならず、若年層の出稼ぎによる晩婚化も関係していることが示唆されました。また、ラオス南部の集落で実施した本研究プロジェクトの事前調査では、出稼ぎが進展した要因には、分割相続によって農地が細分化され、一人あたりの経営耕地面積が縮小していることも関係していることが分かりました。すなわち、人口と生業変化だけではなく、世帯の再生産も含めて、各要因は相互に関係しあっており、各要因間の相互関係の分析が小規模社会集団の動態把握には欠かせないのです。

fig1

プロジェクト準備

そこで、これまで小規模社会集団の生業変化、人口動態、ライフコースなどの解明を実施しているメンバーが集まって何度か研究会を開催し、さらにラオスでの事前調査を実施して、本研究を着手する準備を行ってきました。ラオスは、移行経済の最中で急速に貨幣の重要性が高まっており、現金獲得のために生業構造を変化させている社会集団がある一方で、未だに完全な自給自足的な生業を営む社会集団も多くみられます。同じ国民国家の枠組みで異なる生業構造を有する社会集団を対比させながら、人口、再生産、生業変化を論じることができるラオスは本研究プロジェクトで最も適した地域であると言えます。

研究目的

そこで本研究では、ラオスにおいて、自給的な天水田を営む地域および焼畑を営む地域の2つを対象に、人口動態・再生産・生業に関する各要因間の相互関係(右図)を分析し、どのような変数が小規模社会集団の動態に影響しているのか解明することを目的としました。この目的を達成するため、ラオス側のカウンターパート機関と共に対象とする小規模社会集団の全構成員を対象に、個人単位での出生・死亡・婚姻・移動・教育・夫婦間の性交渉・収入・支出などのデータ、さらに農地一筆単位の土地所有データを過去に遡って取得しました。ラオスは、過去にベトナム戦争による動乱と社会主義化、そして移行経済などの重要なイベントが含まれており、政治・経済・社会の変化に伴い、人びとがどのような対応をしてきたのか、人間と社会の関係の総合的な解明が可能となります。

研究の意義

本研究は個人レベルでのデータ分析を通し、ライフコースや土地の獲得戦略、経済的な地位、都市・農村間の移動と出生力との「具体的な因果関係を検証する」こと、そして小規模社会集団の動態に影響する変数を解明する点に特徴があります。個人レベルのデータは、それより上の集団レベルのデータに容易に接合することができ、幅広い応用も期待されます。

ラオスのような後発開発途上国では、いままさに工業化や情報化が始まろうとしていますが、これまでは近代的な経済社会との関連を強く意識されずに研究が行われてきました。ラオスの小規模社会集団のような伝統的社会を対象に近代的な経済社会の枠組みをいかに組み込んで分析をするかが問われており、今回の研究には大きな意義があります。さらに、新興国・途上国では、各種統計の精度を検討したりするなど、統計に取り組んでいる自国の研究者が非常に少ないのが現状です。今回、現地の研究者や政府機関の実務家と共同で作業することで、統計から理解できること、現地で実態を調査しないと理解できないことなどを議論し、ラオスの統計の精度向上や統計利用技術向上などにつなげられることにも意義を見いだすことができます。

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研究方法

「生業班」、「人口変動班」、「再生産班」の3つの班を構成して、ラオスの2つの小規模社会集団を対象に、生業、人口変動、再生産に関わると考えられる様々なデータを取得するための現地調査を4年間実施しました。さらに、各要因は相互に重なり合っており、調査項目に関しても重複するため、全メンバーが研究の進捗や問題点などを報告し、情報を共有するための共同研究会を年2回程度開催することで情報の共有化を図りました。

対象地域

ラオス中南部(右図)のサワンナケート県ソンコン郡で自給的な天水田を営む「調査地1」およびセポン郡で自給的な焼畑を営む「調査地2」を選定しました。生業形態の違いから両地域を比較することも試みました。

「調査地1」は、自給的な天水田を主業とするラーオ族で、タイへの出稼ぎが多くみられます。ラオス中南部の中心都市であるサワンナケート市街地からおよそ1時間の距離ですが、サワンナケートへの通勤者はいません。「調査地1」からは、バンコクに多くの出稼ぎに出ていることから、バンコク周辺でも調査を行いました。

「調査地2」は、自給的な焼畑を営むモン・クメール語派の少数民族のマンコン族の集落です。タイへの出稼ぎは見られず、現在でも自給自足的な焼畑耕作で食料を自給し、林産物採取などで現金収入を得ています。

研究成果

成果は、人文地理学会、日本地理学会、日本人口学会、International Geographical Union (IGU)などで、研究成果を公表いたしました。これまでのプロジェクトの年度報告書と成果に関して、ご関心を持って頂いた方は、日本学術振興会『KAKEN』にアクセスしてください。

【日本学術振興会】 【日本地理学会】 【人文地理学会】 【日本人口学会】

Copyright© 2014 Population dynamics, reproduction and livelihood changes in small-scale communities of Laos (Prelic)』

ハイチ大統領、武装集団が暗殺

ハイチ大統領、武装集団が暗殺
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB07C6F0X00C21A7000000/

『【サンパウロ=共同】カリブ海のハイチからの報道によると、同国のモイーズ大統領が7日未明、首都ポルトープランス近郊の自宅に押し入った武装集団に暗殺された。ジョゼフ暫定首相が発表した。

大統領夫人も撃たれて病院で治療を受けている。武装集団の身元は不明だが、スペイン語や英語を話していたという。

ハイチでは昨年から議会が機能不全に陥り、今年2月にはクーデター未遂が起きるなど政治や社会の混乱が続いている。』

ハイチで大統領暗殺 暫定首相は非常事態を宣言
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07EQA0X00C21A7000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】カリブ海の島国ハイチで7日未明、モイーズ大統領が武装集団から襲撃を受けて暗殺された。ジョゼフ暫定首相は同日、2週間の非常事態を宣言して空港を閉鎖する措置をとった。9月に大統領選を控える中、不安定な政治や社会情勢が続いてきたハイチはいっそう混乱を深めそうだ。

モイーズ氏は現地時間7日午前1時(日本時間同午後2時)頃、首都ポルトープランス郊外の自宅で襲われて亡くなった。53歳だった。同氏はバナナ輸出業者から転身して、2017年2月に大統領に就任していた。

モイーズ氏の妻も銃撃されて負傷しており、米マイアミで治療を受ける。ロイター通信によると、警察当局は7日夜、銃撃戦の末、容疑者4人を射殺し、2人を拘束した。ジョゼフ暫定首相は「警察と軍が管理している」と強調し、国民に対して冷静な対応を呼びかけた。

ハイチのエドモン駐米大使は武装集団の犯人像について「よく訓練されたプロの集団だ」との見解を示した。ハイチの公用語はフランス語とクレオール語だが、武装集団はスペイン語や英語を話していたという。

国際社会からは暗殺を非難する声明が相次いだ。国連のグテレス事務総長は「暗殺を最も強い言葉で非難する。犯罪の加害者は裁判にかけられなければならない」と指摘した。バイデン米大統領は「凶悪な行為を非難する。ハイチの安全を確保するために支援する準備がある」との声明を公表した。』

『南米コロンビアのドゥケ大統領は「民主的な体制を保護するため」に米州機構(OAS)に対して使節団を送る必要性について言及した。

ハイチでは政治混乱が続いていた。2月7日にはモイーズ氏の殺害を計画していたとして国家警察幹部を含む23人が逮捕された。モイーズ大統領の任期を巡って与野党は激しく対立している。モイーズ氏の退任を求めるデモが大規模化して、2月には混乱の中で死者も出た。

ハイチ大統領の任期は5年だ。モイーズ氏は22年2月までの任期を主張してきた。ただ野党は前大統領の任期が満了した16年2月を起点に、21年2月の退任を求めていた。モイーズ氏は大統領権限の行使で政策を打ち出しており、反発も強かった。

世界銀行によると、ハイチの人口は19年時点で1126万人。1人当たり国民総所得(GNI)は1330ドルと、世界の最貧国の一つとして知られる。10年の大地震では30万人以上の死者が出て、16年には大型ハリケーン「マシュー」で1000人以上が亡くなった。新型コロナウイルスの感染拡大も重荷になっている。』

ジョヴェネル・モイーズ、ハイチ大統領、自宅での攻撃で暗殺

ジョヴェネル・モイーズ、ハイチ大統領、自宅での攻撃で暗殺-政府の声明
https://www.newsweek.com/jovenel-moise-haiti-president-assassinated-home-government-statement-1607476

『(Google翻訳文)
ハイチのジョヴェネル・モイーズ大統領が暗殺されたと、同国暫定首相の事務所が水曜日早くに発表した。まだ正体不明の加害者が彼の家で大統領を殺した。妻のマーティン・モイーズ夫人が負傷し、病院に搬送された。

クロード・ジョセフ暫定首相はフランス語でモイーズの死を確認する声明を発表した。

「2021年7月6日火曜日または7時7日の夜、スペイン語を話す身元不明の個人のグループが共和国大統領の私邸を攻撃し、国家元首に致命傷を負った。銃声で負傷したファーストレディーは、彼女のケースが必要とするケアを受けている。

「この凶悪で非人道的で野蛮な攻撃を非難し、クロード・ジョセフ暫定首相とCPSN(国家警察最高評議会)は、人口に冷静さを求める」

ニューズウィークニュースレターのサインアップ>
「国の国家安全保障状況はハイチの軍隊ハイチ国家警察の管理下にある。全ての措置は、国家の継続性と保護を確保するために講じられます。

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ハイチはまだウイルス症例スパイクとして最初のCOVIDワクチンを待っています
一時的な地位移民は永住権を持つ資格がない:SCOTUS

Haiti President Killed
2020年2月7日、ハイチのポルトープランス郊外、ペション・ヴィルにある自宅でインタビューを行ったハイチのジョヴェネル・モイーズ大統領。モイーズは自宅で暗殺され、最初の女性は政治的に不安定な中で入院しました。
AP写真/デュー・ナリオ・チェリー,ファイル


2018年、同国の立法選挙は、モイーズの任期がいつ終了すべきかなど、紛争に続いて遅れた。大統領はその時から法令で判決を下し、強い反対に直面していた。今年初めに彼の支配に対する大規模な抗議と、最近のギャングによる誘拐の増加に反応して、大規模な抗議行動があった。

モイーズは大統領の任期が2022年2月に終わる予定だと主張したが、彼の反対派は前任者のミシェル・マーテリーが辞任してから5年後の2021年2月7日に任期を終えるべきだったと主張した。彼の辞任を求める声もあった。

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モイーズは2015年の大統領選挙で勝利したが、詐欺の告発と新しい世論調査が行われる中で無効になり、彼は勝利した。その後、2017年に就任。

彼はまた、行政府を強化するハイチ憲法の変更案に対する批判に直面している。国は、地方選挙や立法選挙と一緒に9月に質問に関する国民投票を行う予定です。

ハイチは西半球で最も貧しい国であり、先月症例が急増し始めたため、最近COVID-19パンデミックに苦しんでいます。国家はまだワクチンを待っている。

モイーズはハイチの政治に入る前は実業家で、自動車部品やバナナ生産の販売に携わっていました。彼はバナナを輸出する役割のためにネグ・バナンまたは「バナナマン」の愛称で呼ばれ、ドナルド・トランプ元大統領と比較しました。

「トランプ大統領と私は起業家であり、起業家が望んでいるのは結果なので、我々は我々の人々のために提供することを確実にするためにすべてを整えることを願っています」と、Moiseは2017年の次期大統領が言いました。

ニューズウィークはハイチ大使館にコメントを求めた。

更新 7/7/21 8.10 a. ET.m: この記事は、より多くの情報と画像を含むように更新されました。

ジョヴェネル・モイーズと最近のハイチの抗議行動の画像。』

都議選、自民が第1党 自公で過半数には届かず

都議選、自民が第1党 自公で過半数には届かず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC015EY0R00C21A7000000/

『任期満了に伴う東京都議選(定数127)が4日、投開票された。自民党が議席を伸ばし、第1党となった。小池百合子知事が特別顧問の地域政党「都民ファーストの会」は後退し、自民と議席数が拮抗。自民、公明両党は過半数に届かなかった。共産党、立憲民主党は堅調だった。

42選挙区に271人が立候補した。無投票となった小平市を除く41選挙区で投票が行われた。投票率は42.39%と2017年の前回に比べて8.89ポイント下がり、過去2番目に低かった。

自民は前回敗れた中央区などで議席を獲得した。現有25議席を上回ったが、上積みは小幅にとどまった。自民と選挙協力した公明は現有議席と同じ23人を擁立し、全員が当選した。

都民フは議席を減らしたが、自民に拮抗する勢力を確保した格好だ。当初は現有議席を大幅に割り込むとの見方もあったが、選挙戦の最終盤に小池氏が一部選挙区の応援に入るなどてこ入れの効果が出た。』

『共産党は現有の18から議席数を伸ばした。立憲民主党は中野区や武蔵野市などで勝利し、現有7議席から上積みして2ケタに乗せた。地域政党の東京・生活者ネットワーク、日本維新の会も議席を獲得した。

国民民主党、れいわ新選組、嵐の党は議席を獲得できなかった。

都議選の結果は直後の国政選挙に大きく影響した例もあり、今秋に想定される衆院選の前哨戦としても注目を集めた。各党とも幹部が選挙区の応援に入るなど、国政選挙並みの態勢で臨んだ。

選挙戦ではワクチン接種の加速をはじめとする新型コロナウイルス対策のほか、苦境が続く事業者への支援、東京五輪・パラリンピックへの対応が主な争点となった。

期日前に投票したのは142万5192人。17年の前回に比べて5%増加し、過去最多を更新した。コロナ禍で投票所の「密」を懸念し、早めに投票した有権者も多かったとみられる。

東京都選挙管理委員会によると、6月24日時点の選挙人名簿登録者数は1151万3990人だった。』

不織布マスクで紫外線は防げない!

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https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1332239.html

 ※ 色白女子は、注意しておいた方がいい情報じゃないのか…。

 ※ 変に「まだら模様」がついたりしたら、ちょっとイヤだろう…。

※ やはり、「忍者頭巾」か…。

※ 結局は、コレか…。

※ つば広帽子を被ったら、完璧だ…。耳まで、覆っているしな…。

※ ただ、蒸れは相当にキツそうだ…。

※ 日焼け防止か、蒸れの我慢か、トレードオフだな…。

おすすめ

活動、再開します…。

 忌明けしたので、活動再開します…。

 とは言え、人一人亡くなると、大変なものだ…。

 無理もない…。

 人は、「本人名義」で社会活動を行って行く…。

 亡くなるということは、その「社会活動の名義人」である「本人」が、存在しなくなる…、と言うことだ…。

 もはや、「その名義人」「名義」での社会活動は、不可能となってしまう…。

 承継できるものは、承継させ、承継できないものは、停止する…。そういう「後始末」が必要となる…。

 そういう「後始末」「残務処理」が、山のように発生する…。しかも、一つの事がらが、次々と他の事がらへと、派生して行く…。

 おまけに、忌中ということで、いろいろな事がらも、一旦停止・中止しないとならない…。

 そういうことで、残務処理と停止していたことの再実行とで、浮世の義理仕事が、山のように生じている…。

 何せ、実働部隊はオレ一人しかいないので、一つ一つジリジリと片づけて行く他は無い…。

 そういうことで、当分の間は、不定期で休んだり、投稿数も激減したりにならざるを得ないだろう…。

 悪しからず、ご了承願います…。

香港人意識の台頭 理解しようとしない中国

香港人意識の台頭 理解しようとしない中国
編集委員 村山宏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH12BZI0S1A410C2000000/

『中国は香港の民主派勢力を排除する選挙制度を導入する。デモに手を焼いた経緯から民主派の活動を制度変更で完全に封じ込めようとし、香港に自治を保障した「一国二制度」が事実上崩れたとの見方すら出ている。中国共産党政権と香港民主派の主張は水と油で相いれない存在だが、ここまで鋭い対立に至ったのは香港人意識の台頭や市民社会の構造を共産党政権が理解しようとしなかったことも要因に挙げられる。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は3月末、香港の立法会(議会)や行政トップの行政長官選挙から民主派を排除する選挙制度の見直し案を可決した。人数や選出方法の変更で民主派を締め出すが、それ以上に目を引くのが資格審査委員会の設置だ。立候補者が候補に適しているかどうかを審査する仕組みで、こうなると民主派は立候補段階ではじかれる。

「経済的恩恵」すれ違う認識

かつては中国政府もここまで強硬ではなかった。胡錦濤(フー・ジンタオ)前国家主席時代の2007年12月の全人代常務委員会では、香港住民の直接選挙による行政長官選出の実現に含みを残す決定をしていた。強硬策に転じたのは独裁傾向の強い習近平(シー・ジンピン)政権への交代もあるが、経済的な恩恵を与えてきたにもかかわらず「反中活動」を繰り返しているという香港へのいらだちが影響している。

中国政府は03年から香港政府と経済緊密化協定(CEPA)を結び、香港から中国本土への輸出時の関税を免除した。中国から観光客を送り、香港の観光業を支えた。中国企業の香港上場を後押しし、世界的な金融センターに押し上げた。日本総合研究所の野木森稔主任研究員は「中国政府からすればビジネスチャンスと経済的な恩恵を香港に与えてきたのに反発されるとは思わなかったのかもしれない」と話す。

だが香港住民からすれば中国本土の香港経済への介入はありがた迷惑の部分もあった。流入してきた中国マネーで香港の住宅価格は急騰し、平均価格は19年に125万米ドル(約1億3600万円)と世界一の水準にある(米国の不動産サービス大手CBRE調べ)。本土からやってきた観光客が転売目的で香港の粉ミルクや紙おむつを買い占める事件も起きた。そのたびに香港政府の対策は遅れ、香港住民の不満が高まった。

香港住民からすれば香港政府は北京の中国政府の顔色ばかりうかがっているように映った。14年に起きた行政長官の直接選挙を求めるデモでは「我々の声に耳を傾ける人間をトップに選ばなければならない」との声がしきりに聞かれた。香港の民主化運動は人権や自由といった大きなスローガンよりも、生活改善を求める香港住民の切実な願いから広がった。

もっとも中国政府が「経済利益さえ与えれば香港は言うことを聞く」と考えたのも無理のない面がある。筆者は香港が英国から中国に返還された90年代に香港に駐在したが、中国に反発する大きなデモはまれだった。香港住民の多くが政治的な活動よりもビジネスに集中しているといわれたものだ。民主派の活動はあったが、その主張が広範な支持を獲得しているようには見えなかった。

その頃は「香港人」という意識がまだ確立していなかったのかもしれない。香港は地元生まれの住民よりも外から来た人々が多い状況が続いた。太平洋戦争が終わった1945年の香港の人口は60万人前後と推定されている。半世紀後の90年代半ばに600万へと急膨張したが、人口増は中国本土から大勢の人々が移ってきたからだ。新たな住民も必ずしも香港に定住せず、北米やオーストラリアなど外国に移り住んだ。

香港生まれの世代が社会の中核に

香港はかりそめのすみかだと考えたのか、香港を改善しようという気持ちは今ほど強くなかった。住民の出入りが激しく、香港人という共通意識も育ちにくかった。しかし時代が下るにつれて香港生まれの住民が増えていった。90年以降に香港で生まれた人の数を足し合わせると200万人ほどになる。全員が香港にとどまっているわけではないが、今や香港生まれの若い世代が社会の中核になりつつあるのは間違いない。

香港の人々の政治意識を目覚めさせたもう一つの要因は「レッセフェール」(自由放任主義)の変容もある。英国は香港を統治するにあたり、本国の財政負担にならないよう小さな香港政府を求めた。香港住民からもあまり税を取らず、教育や医療などの公的サービスもなおざりにされた。政府はビジネスに介入せず、企業も住民も低税率で経済成長にまい進できた。香港住民の政府への期待も小さかった。

さすがのレッセフェール政策も英国統治時代の70年代から変容し始めた。貧困層への給付金制度や小中学校の無償義務教育が始まった。公的サービスが拡充されるにつれて個人や企業への徴税システムが整備され、今に至っている。香港住民からすれば「税金を払っているのだから政府はサービスに務めるべきだ」との思いが募る。税金の配分を決める立法や行政に代表を送りたいとの欲求も強まって当然だろう。

香港は経済成長で中間層が厚くなり、「香港人」として生活改善を求める人々が劇的に増えた。中国政府は香港のこうした変化を理解しようとしなかった。中国全体では本当の意味での豊かな中間層はなお少数派であり、生活改善などの要求も散発的だ。だが経済成長が続けば中間層が様々な主張を繰り返すようになり、愛国意識の強制や経済利益の誘導だけでは人々は動かなくなる。

共産党政権からすれば、香港の民主化運動への対処は将来に備えた予行演習にもなりえたのだが、本土と同じように力で押さえつけてしまった。

(編集委員 村山宏)

編集委員が独自の切り口で分析「Nikkei Views」一覧へ https://www.nikkei.com/opinion/nikkei-views/

[FT]米国債市場、22年米利上げを織り込み始める

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB091600Z00C21A4000000/

『米国の経済が回復歩調を速めるなか、市場では米連邦準備理事会(FRB)が来年にも利上げに踏み切るとの見方を織り込み始めた。しかしアナリストの間では、利上げ時期を早めるのは「前のめり」過ぎると警告する声も出ている。

最近のデータでは労働市場が力強い回復を示し、先行指標もサービス業と製造業の両方で急速な(景気の)伸びを示していることから、米国の中央銀行であるF R Bがゼロに近い政策金利を想定よりも早い…

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最近のデータでは労働市場が力強い回復を示し、先行指標もサービス業と製造業の両方で急速な(景気の)伸びを示していることから、米国の中央銀行であるF R Bがゼロに近い政策金利を想定よりも早い時期に解除するとの見方がトレーダーの間では強まっている。
市場の金利予想を示す指標として注目されるユーロドル金利先物相場は現在、F R Bが2022年末までに利上げを開始し、24年初めまでに3回の追加利上げを実施することを予測している。これは、F R Bが最近、少なくとも24年まではゼロ金利政策を維持すると示唆したこととは対照的である。

「経済成長見通しを受けて、市場がF R B(の予測)が示すよりも早期の利上げを織り込むことは理にかなっているが、22年は早過ぎるように見える」と米運用会社プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフストラテジスト、シーマ・シャー氏は語る。「F R Bは経済の過熱を放置する意図を非常に明確に伝えている」

F R Bはインフレについて、長期にわたる政策目標値2%を下回る期間が長引いたのを埋め合わせするため、一時的に2%を超えることを容認する新しい政策指針を公約しており、少なくとも23年まではゼロ金利を維持するとシャー氏は予想する。

市場予測の行き過ぎを指摘する関係者も

バークレイズのマネジング・ディレクターであるアシュー・プラドハン氏も、F R Bが物価目標を上回るインフレを受け入れ、最大雇用の実現を目指していることを考慮すると、市場が現在予測する利上げ時期は「前のめりすぎる」と反論する。

21兆ドル(約2300兆円)規模の米国債市場は、F R Bによる利上げ時期の予想が変化するのに連動して揺れ動いている。景気回復の潜在的な力強さとそれがFRBの政策に与える影響に投資家が真剣に向き合い始めて以降、利回りは年初から急上昇(債券価格は下落)している。

中でも金利が過剰に上昇しているのが長期債だ。指標である10年物の利回りは、1月の0.9%から先月には1.78%まで上昇した。その後は1.66%まで低下している。債券の利回りは、価格が下がると上昇する。

最近ではF R Bの今後の政策運営に左右されやすい短めの期間の米国債も大きく売られている。

24年までの利上げ保留の見方も

5年物米国債利回りは5日、1%近くにまで上昇した後、やや下落した。プラドハン氏は買いのチャンスだとの見方を示す。同氏は投資家に対して5日、F R Bが利上げを検討する前に、雇用と物価安定の目標においてまだかなりの進展が必要であると指摘し、5年物の価格が上昇するとの見方をするよう推奨した。

TDセキュリティーズの金利ストラテジストも同じような見解を示した。市場は「F R Bによる早期利上げを過剰に織り込んでいる」とし、FRBは最終的には24年9月まで利上げを保留するだろうと主張した。

米運用大手ヌビーンのチーフ・インベストメント・ストラテジストのブライアン・ニック氏は、F R Bが月1200億ドルの資産購入をしている量的緩和策の縮小にどのように着手するかが、F R Bが最終的にいつ利上げに踏み切るかの手掛かりになるだろうと言う。FRBは金利変更のかなり前に量的緩和の縮小(テーパリング)を完了する傾向があるからで、現在の見通しを踏まえると、ニック氏は23年まで利上げはないとみている。

ニック氏は、米連邦公開市場委員会(FOMC)のドット・プロット(FOMC参加者によるFF金利予測の分布図)の変化も投資家に(利上げのタイミングについて)再考を促す可能性があると述べた。前回3月の会合では、昨年12月の会合に比べて、早期の利上げを予想する委員の数が増えた。見通しが更新される次回6月の会合で、その数がさらに増えれば、F R Bは「居心地悪い」立場に置かれることもあり得ると付け加えた。

「どこかの時点では、少しばかり修正を迫られるであろう」

By Colby Smith

(2021年4月7日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
英フィナンシャル・タイムズ(FT)と日経新聞の記者が、アジアのテクノロジー業界の「いま」を読み解くニュースレター「#techAsia」の日本語版をお届けします。配信は原則、毎週金曜。登録はこちら。
https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?me=B009&n_cid=BREFT053

米中が韓国巡り綱引き 北朝鮮問題で外相・高官協議

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN030QD0T00C21A4000000/

『日米韓3カ国は2日、安全保障担当の高官協議をワシントン近郊で開き、北朝鮮の非核化や中国への対応に関する協力を確認した。中国は3日、韓国との外相会談を福建省アモイで開催した。対立を深める米中が韓国との連携を巡って綱引きする構図が鮮明になった。
「共通の安全保障上の目標を守り、前進させるために努力する」。日米韓は協議後に共同声明を出して強調した。バイデン政権発足後、対面で初の高官協議だった。

北村滋国家安全保障局長とサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)、韓国の徐薫(ソ・フン)国家安保室長が出席した。

声明は中国を念頭に「インド太平洋地域の安全保障を含む共通の懸念」を話したとも記した。半導体など重要品目の安定供給網(サプライチェーン)の構築といった経済安全保障の協力も協議したとみられる。

今回の協議は対北朝鮮政策の見直しと対中戦略の確認が主眼だった。トランプ前政権で停滞した北朝鮮との非核化交渉を検証し、新たな方針を日韓と擦り合わせた。

前政権は韓国との合同軍事演習を一部中止し、日韓関係の改善にも関心が薄かった。バイデン政権は3カ国の歩調を合わせて非核化を訴える。

焦点となるのは韓国の立ち位置だ。北朝鮮との対話再開を主張する文在寅(ムン・ジェイン)政権は米国との外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の共同声明で「非核化」に触れなかった。

北朝鮮の反発を懸念したとされ、3月に北朝鮮が発射したミサイルは「弾道ミサイル」と認めていない。

対中政策も同じ構図となる。韓国は中国を刺激しないように米主導のインド太平洋戦略への関与に消極的だ。米韓2プラス2の共同声明は中国の名指し批判を避けた。中国への懸念を明示した日米2プラス2との違いが浮き彫りになった。

日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国による協力の枠組み「クアッド」にも韓国は参加していない。

 会談に先立ち握手する韓国の鄭義溶外相(左)と中国の王毅国務委員兼外相=3日、中国福建省アモイ(聯合=共同)

中国は米韓関係にくさびを打とうと試みる。日米韓協議直後の3日、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相と会談した。

場所は台湾海峡に面する福建省アモイ。台湾は米中間の火種の一つだ。鄭氏は就任後初の海外訪問で、米国よりも先に中国へ足を運んだ。招待したのは中国側だった。

韓国側の発表によると両外相は朝鮮半島の非核化目標を共有すると一致した。中韓による主導を演出する思惑がにじむ。

中国国営の新華社によると今年前半に外務・防衛担当の初の次官級協議を調整するとも合意した。これまでの局長級から格上げする。

王氏は半導体や高速通信規格「5G」、気候変動問題などの分野で協力強化を呼びかけた。対中輸出への依存度が高い韓国経済や北朝鮮への一定の影響力をテコに、日米の強硬姿勢と距離を置くよう促す構えだ。

鄭氏は3月の記者会見で「韓米同盟を土台にし、韓中関係も発展させるのが韓国政府の確固たる立場だ」と述べた。

文政権は当面、米中両にらみの外交を続ける見通しだ。米国がどこまで許容するかは、北東アジア情勢を左右する要素となる。

(ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介、北京=羽田野主)

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〔このブログの基本的なスタンスについて…。〕

 ※ 元来は、死にかけて、相当「頭が、悪くなってしまった」んで、それのリハビリのつもりで始めたものだ…。

 ※ しかし、「世界のでき事」について、「あれこれ考え」ていると、相当に効用あることが、分かった…。

 ※ と言うのは、思考や考えというものは、「インプット」ばかりやっていても、「深まって」行かない…。

 ※ ある程度まとめたり、外部に発信する形態まで整理する、つまり、「アウトプット」するところまでやらないと、形にならない…。

 ※ さらには、そういう形にしておくと、自分自身で再度読み返すことができるから、二重にお得だ…。

 ※ 「アウトプット」する形まで整理する過程では、他者が記述したテキストを、「まとまり」毎に整理して行くから、そのテキスト(思考)の構造が見えてくる…。

 ※ さらには、「画像」も検索・収集するから、「イメージ」化する効用もある…。

 ※ 読み返しの過程では、さらに自分の投稿に「検索」かけるから、また違った負荷がかかる感じだ…。

 ※ 下書き作成―画像収集―投稿作成(テキスト貼り付け、画像貼り付け)―検索、読み返し…。

 ※ 大体、そういうサイクルになる…。その各過程で、頭にかかる「負荷」の程度や種類が、少しずつ違っているんだよね…。

 ※ そういう、多種多様な脳にかかる負荷が、自分の思考の深化・定着の役に立つ…。

 ※ そういうことで、極めて「個人的な」目的のために行っているものに、過ぎない…。

 ※ しかし、人の思考・考えというものは、「他者の思考・言説」によってしか、鍛えることができない…。

 ※ このブログを、覗いてくれている人の「思考・考え」の深化に、少しでも役に立つことがあるのなら、望外の幸せです…。

 ※ そして、「他者の言説」は、著作権の対象となる…。

 ※ 厳密にいえば、こういうオレのブログも、著作権侵害のかたまりだ…。

 ※ なんとか「お目こぼし」してもらっているに、過ぎない…。

 ※ それでも、時には、明確に「警告」食らったりする…。

 ※ xTECHからの警告の時は、11個も指摘があったんで、削除するのにも多大な手間と時間がかかった…。

 ※ そういう中でやっているものなので、いつ「発行禁止」になるか、知れたものじゃない…。

 ※ それで、時々「転載」のお詫びのしるしに、応援・支援の「仁義」を切っている…。

 ※ まあ、「拡散」に貢献していますから、何とかお目こぼしを…、ということだ…。

 ※ あと、投稿数、いつの間にか4000超えてしまったんで、読み返しの際の検索も、大変になった…。

 ※ 検索機能の強化版のプラグインも、オススメされている…。

 ※ しかし、当然有料…、しかも、サブスクなんで、「うーむ…。」という感じだ…。

 ※ こっちも、無尽蔵に資金があるわけでは無いんで、考慮中だ…。

ブログ「東京の郊外より」支援の会をよろしくお願いします

※ マングースさん、いつも貴重な情報を、ありがとうございます。

※ 微力ではありますが、拡散のお手伝いを致します…。

https://holyland.blog.ss-blog.jp/

『世界の軍事・安保関係者が普通に接しているのに、日本では目にすることがない安保&軍事の公開情報をご紹介するブログ「東京の郊外より」支援の会を、厚かましくも、まんぐーす本人が立ち上げました。

ご支援いただく方へのお返しが実質「ゼロ」との
恐れを知らぬ企画ですが、

本ブログの趣旨にご賛同いただける皆様の「心意気」に
おすがりする次第です。

詳細は以下のサイトでご確認下さい
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

『支援する会は、実績のあるCampfireコミュニティー様の
システムで運用しております。

ご興味のある方はこちらをご覧ください
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