ウクライナ、ダム決壊で農業に打撃 穀物価格が上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR06DKS0W3A600C2000000/
※ グローバル・サウスの国々への、メーワクもへったくれも、無いような話しだな…。
※ まあ、プライオリティ的には、国家の安全保障>国家財政(エネルギー資源の輸出、食料資源の輸出による経済的な利益)という話しなんだが…。
※ それにしても、「戦後の復興」は、大変な「難事業」になるだろう…。
※ 国土の荒廃+人員の損耗…、だからな…、


『【ウィーン=田中孝幸】ウクライナ南部のヘルソン州で6日に起こった巨大ダムの決壊による被害が広がっている。世界有数の規模を誇る農業への打撃は深刻で、同国の政府機関は2〜3年は同州の約42万ヘクタールの農地で灌漑(かんがい)農業ができなくなると指摘する。近隣のザポロジエ原子力発電所の安全性を巡る危機感も強まっている。
ダム決壊を受け、小麦などの穀物相場は反発した。世界の指標となる米シカゴ商品取引所の…
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『世界の指標となる米シカゴ商品取引所の小麦先物価格は6日、一時1ブッシェル6.48ドルと前日比4%上昇し、約3週間ぶりの高値を付けた。ダム決壊の影響を受けるウクライナ南部には大規模な農地があり、作物の収穫が打撃を受ける可能性があるためだ。
ウクライナは小麦やトウモロコシの主要輸出国の一つだが、政府機関によると今回の洪水で日本の耕地面積の10分の1にあたる広大な土地が利用不能になった。灌漑システムへの被害総額は100億ドル(約1兆4千億円)にのぼるとの試算もある。
小麦の国際価格は最近、下落傾向にあり、5月末には2年半ぶりの安値をつけた。世界最大の小麦輸出国であるロシアへの豊作期待の強まりや、ウクライナ産穀物の黒海経由の輸出を可能にする関係国合意の延長が要因だった。
だが、カホフカ水力発電所のダムの破壊を契機にした緊張の高まりで、供給懸念は一気に広がっている。調査会社ソブエコンのアンドレイ・シゾフ氏は「ダムの爆発は悲惨な結果と大きなリスクをもたらしそうだ。相場上昇は始まったばかりかもしれない」とみる。
決壊前のカホフカ水力発電所のダム(4日、ウクライナ南部ヘルソン州)© Planet Labs
決壊後のカホフカ水力発電所のダム(6日、ウクライナ南部ヘルソン州)© Planet Labs
米衛星運用会社プラネット・ラブズが6日撮影した衛星画像では、ダムの壁が崩壊し、川の水がダムを飲み込んでいるのが確認できる。
約18立方キロメートルとされる大量の水の放出で拡散した泥や汚染物質の除去、灌漑システムの復旧には数年かかるとみられる。灌漑システムへの被害はザポロジエ州にも広がっており、南部の農業生産の回復には十年以上の年月がかかるとの見方もある。
ダムの水が流れ込むドニエプル川の水位は7日午前にピークに達したとみられている。同国の水力発電公社によると、水位が低下し始めるまで4日程度はかかる見通しで、洪水の被害の拡大は避けられない。
国内の避難民も急増している。ヘルソン州の州都ヘルソンではすでに約1400人が避難した。同州知事は6日、ウクライナ側が支配するドニエプル川の北側にいる約1万6000人の住民が洪水被害にさらされると警告し、避難を呼びかけた。
避難民への対応や復旧作業の負担は、領土奪回に向けた反攻を本格化させるウクライナ側にとって足かせになる。反攻の作戦面でも「1カ月程度の遅れが生じるのは避けられない」(ウィーン駐在の西側の軍事関係者)との観測が出ている。
欧州最大級の原発で、カホフカダムから冷却水を取水してきたザポロジエ原発を巡る懸念も広がっている。国際原子力機関(IAEA)は同原発の冷却水は現時点で十分な量を確保しており、差し迫った安全リスクはないとしている。一方で戦闘の激化で原発が砲撃などで損傷する事態を懸念する。
IAEAのグロッシ事務局長は6日、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話協議後、来週に専門家を連れて同原発を訪問するとツイッターに投稿した。現場で安全策を検討するとみられ「原子力の安全にとって極めて重要な時だ」と強調した。
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