ファーウェイを叩くアメリカの戦略(「雨のち晴れの記」さん)

https://ameblo.jp/hagure1945/entry-12464107837.htm

※ 元記事、及び元画像は、確かここだと思うんだが…( https://diamond.jp/articles/-/203400 )

※ 今見ると、もう画像なんかは、見られないようだ…。「大人の事情」で、削除されたかな…。例によって、著作権法的には相当アレなんで、削除されたら、悪しからず…。

※ ファーウエイとZTEが狙い撃ちされた…。

※ 取引先である日本企業は、100社以上に上る…。

※ 供給を禁じられると、総額で2.2兆円の打撃を被るという試算もある…。

※ ファーウエイは、あまり知られていないが、巨大IT企業だ…。

※ R&D支出額、世界第3位の積極投資を行っている企業だ…。

※ 上には、アマゾンとアルファベット(グーグルの親会社)があるだけだ…。日本勢は、やっとトヨタとホンダが20位以内に入っているだけだな…。

※ トランプ政権は、そういう企業を絞め上げて、中国政府を譲歩させ、自国に有利に交渉事を持っていこうとしているわけだ…。

中国共産党指導部の顔ぶれ

※ 米中貿易摩擦とか、ファーウエイ制裁とか、米中の対立が激化してるわけなんだが、中国側の顔ぶれは、今ひとつ見えてこない(せいぜい、劉鶴氏くらいのものだ)。

※ それで、今日の日経に「習近平体制、ビジュアルでわかる権力の人脈」というデータが載っていて( https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/chinese-communist-party-leaders/ )、これが非常に分かりやすかったんで、紹介しておく。

※ 例によって、削除されたら、悪しからず。

共産党員、約1億人もいるんだな…。人口13億人とした場合、13分の1か。小学校のクラス(26人とした場合)の2人が共産党員というイメージだな。もちろん、一族郎党の末端に至るまでの経歴が、調べられるんだろうがな…。

※ その頂点に立っているのが、この人なわけだ…。

※ この面々が、いわゆる「チャイナ・セブン」だ。2期目の習体制においては、王岐山氏が実質セブン入りしていると言われているんで、それも加えると、「チャイナ・エイト」になる…。

真ん中の人が、王岐山氏

※ ジジイ的には、やはり王滬寧氏が気になるな。江沢民、胡錦濤、習近平の三氏に仕え、「帝王師」とまで言われた人だ。習近平氏のスピーチ原稿は、ほぼこの人が執筆していた…、とも言われている。

 それだけでは無い…。習近平氏の外国訪問にも同行し、耳元で受け答えをささやいていた…、という噂があった…。なにかと話題の、「中国製造2035」も、この人が中心になってまとめたものだという風評がある…。一部には、「王滬寧黒幕説」もあった…。

 昨今の米中対立激化を受けて、保守派や長老連中からの批判が集中し、最近さっぱり動向を、聞かなくなった…。どうしているんだろうな…。

※ この面々が、次期チャイナ・セブン入りの候補者と言うわけだ。劉鶴氏とか、楊潔篪氏とかいるな…。共青団のライジング・スターたる胡春華氏の芽は、あるんだろうか…。内規で、68才定年制(「七上八下」と言うらしい)が採られていると言われているんで、5年後は、李克強氏、汪洋氏も厳しいだろうな…。陳敏爾氏は、ダークホースという噂がある。米中交渉が行き詰まって、習近平氏が退任せざるを得ない状況になったとき、ワンポイント・リリーフで起用され、習近平院政の手駒として登場する芽は、ある…、と言ってる人がいる…。

さすが、アメリカさんは、攻め所が判っている。(机上空間さん)

『アメリカの部品メーカーからの供給を止めるだけだと、台湾や韓国、日本へ仕入先を変えて代用する事も可能ですが、SOCの技術提供を止めた場合、今後ファーウェイ製のスマホは、性能面で立ち遅れる可能性が大きいです。つまり、アメリカのファーウェイ潰しは、ポーズや威嚇ではなく、本気モードであり、相手のアキレス腱を良く理解した上で行動して、効果的な戦術で攻めているという事です。企業として潰す気かどうかは別にして、背後にいる共産党・軍を含めて、総括的な妥協を引き出さない限りは、この制裁の手を緩める気は無いでしょう。』
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/17261078.html

米大統領は「実力を過小評価」=5G技術に自信-ファーウェイ創業者

『任CEOは次世代通信規格「5G」開発をめぐり、米制裁の影響を受けないと言明。「5G技術で、他社が2~3年内にファーウェイに追い付くことはあり得ない」と自信を示した。』
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019052100573&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit

トランプ政権の脅しには屈しない-ファーウェイ創業者インタビュー

※ 『「私は明日の米国製テクノロジーを盗んだのだ。米国はそうしたテクノロジーを持ってさえいない」と語った上で、「われわれはすでに米国の先を行っている。もしわれわれが後れを取っているなら、トランプ大統領が執拗(しつよう)にわれわれを攻撃する必要はないだろう」と指摘した。』
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-27/PS5PA16JTSE801?srnd=cojp-v2

独も中国離れか…

ドイツが中国新華社の記者3人を調査、NATO演習取材巡り-関係者       ※ 『ドイツのメルケル首相が北大西洋条約機構(NATO)の部隊演習を今月視察した際、取材に参加した中国人記者3人がどのような情報を集めたかをドイツ軍が調べている。安全保障に関わる問題だとして関係者が匿名を条件に語った。軍による調査は、中国国営の新華社通信に対する不信感の高まりを示唆している。』
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-27/PS55N16JIJUP01

ファーウエイ離れ、ジワジワ拡大(その3)

<独占報道>日本・住友電工の光ファイバー技術、ファーウェイ経由で中国軍に渡った=米国防省筋
https://www.epochtimes.jp/p/2019/05/38602.html

米AMD「今後しない」 中国合弁先への技術移転
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45346180Y9A520C1FFE000/

※ 普通の人は、AMDと言われても、「何それ?」と言う反応が多いんじゃないか…。

※ ましてや、Xeon(ジーオンと読む)とか、EPYC(エピックと読む)とか言われても、「?」という感じだろう…。

※ まあ、興味のある人(そういう人も、いないだろうが)は、リンクを辿って、見ておいてくれ…。

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (Advanced Micro Devices, Inc. / AMD)
https://ja.wikipedia.org/wiki/アドバンスト・マイクロ・デバイセズ

「CPU」の基礎から見方、比較、選び方まで徹底解説
https://pcpedia.biz/cpu/

Xeonを駆逐する最大32コアCPU「AMD EPYC」のスペックまとめ
 ※ 「EPYCが安価な理由」『その理由が製造方法である。「Ryzen 3 / 5 / 7」に使われているCPUダイは「Summit Ridge」と呼ばれるもの。このダイは良い具合に出来上がると最大8コアとして使えるようになる。
この8コアダイを2つ組み合わせて作ったのが「Ryzen Threadripper」(最大16コア)で、4つ組み合わせたものが4つの「Zeppelin」ダイを搭載してこの「EPYC」(最大32コア)というわけだ。
要するに、Zenラインナップはすべて、たった1種類のダイ「Ryzen 3 / 5/ 7」「Ryzen Threadripper」までは「Summit Ridge」ダイで、EPYCは「Zeppelin」ダイなので使われているダイは2種ですね。
それでもダイの種類が少ないほど製造に必要な設備は最小限に抑えられるし、不良化してしまっても寄せ集めてマルチコアにすればいい(つまり歩留まりが良好)。だから安価に作れる。というイメージで大丈夫。』と言う辺りは、興味深い(ジジイにとってはな)。
https://chimolog.co/bto-cpu-amd-epyc/(2017.06.17)

AMDーアドバンスト・マイクロ・デバイスー独自路線を歩む半導体銘柄の株価は?配当利回りは?
https://amkabu.com/analysis-amd

半導体の米AMD株が大幅高 データセンター向け新型CPU発売で期待(2017/6/22)https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL21HJJ_R20C17A6000000/

AMDが32コア/64スレッドのCPU「EPYC」とグラフィックカード「Radeon Vega Frontier Edition」を発表(2017年05月17日)https://gigazine.net/news/20170517-amd-epyc/

AMDは新プロセッサ「EPYC」と新ロードマップで市場奪還を目指す(2017年5月23日)https://japan.cnet.com/article/35101430/

6兆円市場で対決 王者インテルvs. AMD「新世代CPU争い」 —— 再びシェアを獲れるのか?
https://www.businessinsider.jp/post-35027

Zenコアの「EPYC」でサーバー市場奪還を目論む AMD CPUロードマップ
https://ascii.jp/elem/000/001/485/1485192/

中国半導体受託生産最大手SMIC、米NY上場廃止
 ※ 2017年のファウンドリ・ランキング第5位の企業だ( 2017年の半導体ファウンドリランキング – 売上高10億ドル超は8社 https://news.mynavi.jp/article/20180427-622956/ )
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45318480X20C19A5FFE000/

ファーウェイのスマホ、シェアが3分の1に激減、経済制裁決定後1週間で
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190526-00119771-bcn-sci

米議会、中国人留学生“排除”に本腰 「ビザ発給禁止」共和党議員が法案提出…日本に同じ措置要請も? 最先端技術の流出阻止へ
http://www.zakzak.co.jp/smp/soc/news/190524/soc1905240002-s1.html

中国ハイテク企業の実力

※ 中国ハイテク企業と言うと、やたら技術窃盗とか言う側面ばかり強調されがちだが、決して侮れない実力を備えているんだ、という観点からの記事があったんで、紹介しておく。

さわりの部分を、紹介する。

中国ハイテク 魅せられる欧米(The Economist)
 ※ 『欧米企業が入手しようと考えている技術は、他の国からは入手できない場合もある。自動車の内装で世界大手の仏フォルシアは17年、車と人がコミュニケーションするためのヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)開発の江西好幇手電子科技(本社は中国南東部の江西省)を買収した。フォルシアは江西好幇手電子を見いだすまで1年間、世界各国で同様の技術を探し求めていたため、中国で同社を発見した時、「フォルシアは感嘆の声を上げた」と内情に詳しい情報筋は言う。フォルシアは江西好幇手電子の技術に価値を見いだしたからこそ、買収の提案をしたのだった。』
『そうした直近の典型例が米半導体大手ザイリンクスが昨年7月、北京に本社を置く機械学習スタートアップのディーファイ・テック(深鑑科技、編集注、中国の人工知能関連の3大ユニコーンの一つとされる)を買収し、大きな関心を集めた件だ。買収金額は公表していない。ザイリンクスの半導体向けにディーファイがソフトを開発した時はまだ創業間もなかったが、ディーファイは創業からわずか19カ月で総額3億ドル(約327億円)近くの資金を調達した。ザイリンクスは買収を公表した際、ディーファイの技術力を「業界の最先端を行く」と評した。』
(なぜか買収阻止に動かない中国政府)『中国における外国企業による投資が禁じられている分野の数は昨年、63から48に減少した。ディーファイの買収について、中国の規制当局が、同社の米国企業による買収を審査しなかったことは多数の関係者を驚かせた。ディーファイの技術は軍事転用が可能であり、従って国家の安全保障にかかわるとして、外国企業による買収は認められないとすることは容易だからだ。』
※ 欧米企業に買収させて、欧米の皮をかぶせて、アメリカの制裁を掻い潜る…、という高等戦術かもしれないな…。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45317660X20C19A5TCR000/

ファーウエイ離れ、ジワジワ拡大(その2)

宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<中国企業をNY株式市場の上場リストから外し始めた
 ※ 要約すると、
1、安全保障に脅威となる技術をもつ米国企業への、外国資本の買収を許可しない。
2、技術スパイの摘発で、ハイテク企業のラボなどから不正にデータを盗み、中国に渡していた中国人(多くが軍人だった)、それに協力したアメリカ人らをつぎつぎと逮捕し、起訴してきた。
3、「国防権限法」を法の淵源として政治的活用を強化した。
4、トランプ政権は、ファーウェイ排斥を同盟国にも呼びかけた。
5、留学生へのヴィザ制限である。
6、NY株式企業から中国企業を締め出す動きがでた。
と言うような話しだ。
 どうも、矢継ぎ早に排斥に向けた手を、打ってきたようだ…。
http://melma.com/backnumber_45206_6822965/

シャープ、米国向けノートパソコンも中国から生産移管へ( https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45309790X20C19A5000000/ )

ファーウエイ離れ、ジワジワ拡大

※ CPUの話しでは無く、スマホ本体の組み立ての受託生産(EMS)の話しだ。ホンハイが有名だが、このフレックスと言う企業にも、発注してたんだな。『海外で生産した製品でも市場価格で米国由来の部品やソフトウエアの割合が25%を超えれば禁輸の対象に』なるとか、「市場価格」「米国由来の部品やソフトウエアの割合」とか、厳密な定義があるわけでは無いんで、みんな疑心暗鬼にならざるを得ないだろう。取り引きは、萎縮せざるを得ないわけとなるな…。

ファーウェイ向け、シンガポール受託大手が一部停止
 ※ 『米商務省はファーウェイへの事実上の輸出禁止措置を16日に発効した。海外で生産した製品でも市場価格で米国由来の部品やソフトウエアの割合が25%を超えれば禁輸の対象になり、取引した企業は米国政府から処罰されるリスクがある。』
『ファーウェイはスマホの生産委託先を分散している。フレックス以外に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の中国事業会社などが生産を受託している。』
『米ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマンのパートナー弁護士、ステファン・ベーカー氏は「米国外で生産する製品の多くは禁輸規制に抵触しないが、いくつかの企業は慎重になっている。米国の求めがなくても輸出を止める動きが出るだろう」と指摘する。パナソニックは一部製品の供給を止めた。東芝は供給停止を決めた後に「問題はない」として取引を再開した。』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45264270V20C19A5MM0000/?n_cid=NMAIL006

ファーウェイ相次ぐ販売停止 アマゾンジャパンなど
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45231240U9A520C1TJ1000/

ファーウエイの、5G標準必須特許の「保有」件数

※ これは、オレにとっては、衝撃的な情報だった。「出願」件数じゃ無いからな…。

ファーウェイ 衝突する「正義」 任CEOが歩む狭い道
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45231420U9A520C1TCR000/?n_cid=SPTMG053

※ これじゃあ、アメリカが躍起になって叩くし、いくら横やりを入れられても、EUさらには英国までファーウエイ排除に、そう易々とは乗れないわけだ…。

※ 例によって、日経の有料会員情報なんで、削除されたら悪しからず…。

※ さわりの部分を、紹介しておこう。

『株式非公開のファーウェイは実際に誰のもので、どんな経営体制を持ち、どう意思決定をしているのか。
同社の人事担当幹部によれば、発行済み株式の98.99%は「工会」と呼ばれる従業員持株会が保有する。創業者・任氏の持ち分は直近で1.01%(個人保有のみ。工会を入れると1.14%)だ。
従業員株主は現在、全社員の約半分にあたる9万6768人(退職後の保有者も含む)おり、5年ごとに100人強の代表委員を選挙で選ぶ。株主総会で重要案件を決定しているのは彼らだ。
任氏は唯一、総会での「否決権」を持つが、米IT(情報技術)企業にみられる黄金株のような強力なものではない。まだ行使したこともないという。
「ファーウェイ異質論」が出ることを見越してか、かなり入念に統治体制を整えた印象だ。決算の監査はKPMGに委託し、年次報告書も出している。』
『そんなファーウェイと競争し、追い込まれたのが米国のルーセントテクノロジーズ、モトローラ、スリーコムなどだ。「株式市場が短期主義を強める中では我々のような非公開企業の方が大きな研究開発投資をしやすく、有利だった」。任氏はそう分析する。』
『米国から見た「正義の戦い」とはファーウェイの成功の循環を壊し、「ポスト5G(6G)」で再起を図ることか。あるいは純粋に安全保障への危惧か。
どちらにしても、ファーウェイのサプライチェーン(供給網)を分断するだけでは米国や同盟国の産業にも打撃が及び、インターネットそのものの分断につながる懸念もある。』

※ ちょっとファーウエイ寄りだが、この記事も参考になる。ファーウエイは、中国企業の中では、異質な存在だと言う観点から、書かれているものだ。著者の田中 信彦さんって、確か「深層中国」と言うシリーズものを書いてた人で、奥さんが中国人と言う話しもあったような気がする…。

ファーウェイが目指す「ノアの方舟」~企業の競争力と国家の関係を考える
https://wisdom.nec.com/ja/business/2019052401/index.html

ファーウエイ制裁関連情報(その3)

スマホ開発困難に ファーウェイまとめ読み
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45200650T20C19A5MM8000/

ファーウェイ半導体戦略、根底揺らぐ 英アーム取引停止
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45153370T20C19A5I00000/?nf=1

 ※ 『グーグルによると、アンドロイドはアームと米インテルなどの「x86」と呼ばれる半導体がなければ作動しない。ファーウェイが開発を進めるとされる自前のOSはアンドロイドを土台にしているため、アームに頼らない半導体をつくれたとしてもOSが動かせないリスクがある。』と言っているが、マシン語としてアームのCoretexコアか、インテルのx86系の命令セットに対応してる、という意味だろう。
 Coretexコア系は、待機してる時と、フルに処理を行う時とで、稼働させるコアが2系統あって(2本立てになってる。big.LITTLEアーキテクチャ、と言うらしい)、省電力性能が高い(電池の持ちがいい)のが特徴だ。

上が、省電力系のパイプラインで、下がパワー系のパイプラインの概念図だ。詳しい内容は分からなくても、上は簡素・省電力、下は複雑・パワーもりもり・電力喰いだろうな、くらいは見当がつく…。この二系統を、シームレスに切り替えて、省電力と高性能処理を両立させているのだ、と言うことだ。

これに対して、x86系は、電力をゴリゴリ使用して、マルチメディアの処理に強い(命令セットを拡張に継ぐ拡張で、対応させて来た)。しかも、内部でRISCの設計思想を取り入れたマイクロアーキテクチャを採用している。それで、省電力性能はそれほどでも無いが、処理が早くキビキビ動くと言う特徴がある。

※ ここでは、6段のパイプラインとなっている( スーパースカラって何? (1/3)
https://ednjapan.com/edn/articles/1702/24/news018.htm )。

※ しかも、シングルの構成だけでなく、複数のパイプラインを設置する設計もあるようだ(スーパースカラとか、言うらしい)。パイプラインの段数を増やせば、また、複数のパイプラインを設置すれば、それだけ電力消費は多くなる…。電流を流す部分が、多くなるわけだからな…。


 それと、ARM社、ファーウエイ(または、ハイシリコン)社、TSMC社なんかの関係について、語っておく。
 ARM社は、CPUの企画・設計・開発に特化した会社だ。自社では半導体の「製造」には携わらず、開発した「設計図」のデータを、ライセンスとして他社に供与し、利益を上げている。その形態も種々のものがあるようで、中には、その購入した設計データを、半導体製造機械にセットすれば、それだけで製造が可能となるものもある、と言われている。それと、ユーザー自身が改良・付け加えの余地を広く認めているのが、特徴だとも言われている。そういう改良・付け加えの後のもので有名なのは、Snapdragonとか、Kirinとか、サムソンだったらExynos(エクシノス)とかだ。
 半導体製造設備は、製造機械も含めて、クリーンルームとか、必要となるものも多く、その設置・保有は、巨額の資金を必要とする。しかも、一旦設置すると、受給に応じて細かく製造量を調節するのが難しいものとなる。それで、「ファウンドリ」と呼ばれる、受託生産に特化した会社が、実際の製造を担う形になった。そうしておけば、企画・設計企業は、製造リスク・在庫リスクを負わずに済むからな…。TSMC社とか、ハイシリコン社とかは、このファウンドリだ。
 ファーウエイとか、サムソンとかは、そういう受託生産会社(ファウンドリ)が製造したCPUや、他の部品を購入して、最終製品であるスマホを組み立ててるわけだよ。
そういうことで、『ファーウェイは現行モデルのライセンスを使い続ける権利は押さえているとみられ、すぐに生産停止に追い込まれることはなさそうだが、今後の半導体開発ではアームの協力を得られなくなる可能性が高い。
中国の半導体専門の大学で副教授を務める張芸蒙氏は日本経済新聞の取材に「当面の影響は大きくないが、アームの技術協力を受けずに新しい半導体を開発するのは難しくなる」と述べた。』とか言う話しに、なるわけだ。
 ただ、『ARMはファーウェイとの取引を止めると発表しましたが、既にイギリスARMから15分の所にファーウェイのチップR&D工場ができたので、ARM技術をイギリスで移転すればTSMCで作って何の問題もない。』と言う情報もある( http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-4179.html )んで、ファーウエイとしては、あの手この手で抜け道を探って行く、日本企業もそういうことの隠れ蓑に使われる危険性がある…、ということになりそうだな…。

アーム coretex
https://www.bing.com/search?q=%e3%82%a2%e3%83%bc%e3%83%a0+coretex&FORM=HDRSC1

x86コア
https://www.bing.com/search?q=x86%e3%82%b3%e3%82%a2&FORM=HDRSC1

ファーウェイ、新型スマホ「影響を受けることはない」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45209030U9A520C1000000/

ARMの省電力技術「big.LITTLE」がいよいよモバイル機器にお目見え
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/577351.html

電力の削減と高性能の両立を狙ったARMのbig.LITTLE
https://news.mynavi.jp/article/architecture-304/

What Is ARM big.LITTLE?
https://www.ubergizmo.com/2013/01/what-is-arm-big-little/

ファーウエイ制裁関連情報(その2)

パナソニック、ファーウェイと取引中止も 米禁輸で社内通達
https://www.sankei.com/economy/news/190523/ecn1905230020-n1.htm

ファーウェイ離れ、世界で スマホ最新機種を発売延期
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45142070S9A520C1MM8000/

ファーウェイ日本代表「米規制に粘り強く対応」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45108120S9A520C1000000/?n_cid=SPTMG053

英アーム、ファーウェイとの取引「米に従う」 停止示唆
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45152290T20C19A5000000/

ファーウェイと一部取引中止へ パナソニックやアーム
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45147380S9A520C1MM8000/?n_cid=SPTMG002

英アーム、ファーウェイと取引停止か BBC報道
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45142560S9A520C1MM8000/

ソフトバンク傘下の英アーム、ファーウェイとの取引停止へ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-22/PRWMRL6TTDS301

英アーム、ファーウェイとの取引停止へ=BBC
https://jp.reuters.com/article/huawei-tech-arm-idJPKCN1SS16E

アームとの取引停止問題、解決可能=ファーウェイ
 ※ 『BBCによると、アームは社員に対し、ファーウェイとその子会社との既存の契約やサポートなどを停止するよう指示。社員への通達は、米政府がファーウェイへの米製品の輸出を禁止すると発表した翌日の5月16日に行われた。アームの設計には米国を原産地とする技術が含まれるという。』
https://diamond.jp/articles/-/203409

※ ARM社が、取り引き停止を社員に指示した…と言うことなんだが…。

※ 特に最後のは、「既存の契約」まで停止する…、と言うことなんだが…。そんなことが、できるのかね…。多額の損害賠償ものの話しになるんじゃないのか…。Coretexのライセンスの供与と言うのは、何かそういう特約でも付けているものなのかね…。

※ いずれ、ファーウエイは、ARM社のCoretexのライセンスを使って、スマホのCPUを製造もしくは製造委託していた(子会社のハイシリコンが担当してたのか…)。

※ そのライセンスが使えないとなると、CPUの製造もしくは製造委託はできないという話しになる…。

※ しかし、そういうことが法律上・契約上できるものなのかね…。既に、なんらかの金銭的なものは支払い済みなんだろう…。オレには、ちょっと見当がつかないな…。

ファーウェイの息の根を止めかねない、米制裁「異次元の厳しさ」
https://diamond.jp/articles/-/203400

中国IT大手「ファーウェイ」の正体、米国が最も潰したい企業
https://diamond.jp/articles/-/179812

ファーウェイはなぜ大問題なのか、早わかりQ&A
https://diamond.jp/articles/-/187921

ファーウエイ制裁、関連情報(その1)

※ ファーウエイ制裁絡みで、風雲急を告げてきた感じなんで、ネットで情報を集めてみた。

※ ただ、日経の記事及びそこからキャプチャした画像は、有料記事なんで、著作権法的には相当アレだ…。「とても容認できない。」と言うことであれば、Word Press.comの方に、削除要請を出してくれ。メアドを知らせてあるので、メールで削除要請が来るだろう(見てくれてる人、削除された場合は、あしからずご了承ください)。RFチップとFPGAの画像の方は、そんなに問題は無いだろう…(まあ、厳密には著作権法違反だがな…)。

防戦ファーウェイ、強気と不安 グーグルが供給停止も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45026060Q9A520C1EA2000/

ファーウェイスマホ、OSどうなる グーグル対応焦点
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45008310Q9A520C1EAF000/?n_cid=SPTMG053

米制裁のファーウェイ 調達先6割がアジア勢
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44893630W9A510C1FFJ000/?n_cid=SPTMG002

RFID
https://ja.wikipedia.org/wiki/RFID

FPGA
https://ja.wikipedia.org/wiki/FPGA

※ まず、アンドロイドのアップグレードや取引きが制裁で禁じられた場合に生じるであろう事態の分析だ。OSの基本的なところは、使えるが、グーグルが提供する基幹ソフト・アプリはダメだろう、と言う予想だ。

※ ファーウエイの収益事業は、スマホだけでは無い。スマホの通信網を支える基地局なんかの通信設備も、相当な収益の柱だ。今回の制裁(輸出禁止)は、そこも直撃する。

※ しかし、話しはそれだけでは、済まない。もっと、広範囲に影響が及んで行く。と言うのは、ファーウエイはスマホ・通信設備の製造にあたって、広範囲のサプライヤーから部品の納入を受けているからだ。

※ ここに上がっている各国のサプライヤーは、ファーウエイに部品を供給することを事実上禁じられる。中には、重要な取引先であるケースもあるだろう…。

※ アジア企業だけでなく、米企業からも相当割合で調達している。米側が浴びる返り血も、相当なものだな…。

※ あとは、技術的にちょっと分かりにくい、RFチップFPGAの画像を集めたんで、貼っておく。

※ 電磁界の中に置くと、微弱な電波を発信する、というチップだ。その発信した電波を、増幅して、器機のIDを取得したり、器機からの何らかの情報を読み取ったりする、というチップのようだ。

※ 大きさは、このくらい…。1円玉より、小さいな…。例の米粒大のスパイ・チップは、これを改良したものなのか…。

※ 実際のスマホの基板上には、こんな風に配置されるもののようだ…。

※ 次は、FPGAの画像だ。まず、見た目はこんな感じで、基板に実装される。

※ 中は、こんな感じになっていて(概念図)、外部からプログラミングで、自在につなぎ方を変えることができる。

※ エンジニアが、説明してる様子だ…。

※ 名高いザイリンクスの概念図も、貼っておく。

※ 実際に、外部からアクセスして、つなぎ方を変えている様子だろう…。

※ 実際のスマホの基板には、こんな風に配置して、各要素のつなぎ方をプログラマブルに変えて行くんだろう…。

※ まあ、実際の話し、本当に制裁が発動して、部品の供給が絶たれたら、ファーウエイは、アンドロイド(OS)も、RFチップも、FPGAのチップも、全て自前で作って行かないとならない、という話しになるわけだ…。

※ 『一部取引を3カ月間認める猶予措置を発表した。既存の通信ネットワークや携帯端末の保守やソフト更新にかかわる取引などに限って容認する』( https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45050990R20C19A5000000/ )ってことなんで、こうやって揺さぶりをかけて中国側の譲歩を引き出す、トランプ流のディールかもしれないな…。

ファーウエイ側は、「プランBがある」と言ってるんだが…。

アンドロイド提供停止にも対策、華為「プランB」の真価
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/052000364/?n_cid=nbpnb_mled_epu

※ この記事だと、十数年前から研究してきた…、と言うことなんだが…。リナックス・カーネルなんで、理論的には可能な話しなんだが…。ハテね?と言う感じだな…。

ファーウエイ、ちょっともう詰んだ感じだな…。

米国が「報復関税&ファーウェイ」で中国を“総攻撃”
 ※ Edgeだと、閲覧できなかった。強力に妨害しているようだ…。Chromeでは、OKだった。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00007/?P=1

ファーウェイスマホ、OSどうなる グーグル対応焦点
 ※ いくら強がったところで、アンドロイドのアップグレードを絶たれたんじゃ、アウトだろう…。ただ、アンドロイドは、リナックス・カーネルなんで、リナックス・カーネルを使って、ゼロから開発する手は、残っているが…。現実的に可能かな…。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45008310Q9A520C1EAF000/

グーグル含む米テック大手、ファーウェイへの部品・ソフト供給停止
 ※ こりゃあ、もうアウトだろう…。自力で開発と言っても、数年以内じゃ無理な話しだろう…。まあ、もう詰んだ感じだな…。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-20/PRS8UU6JTSE801

【速報】Google、中国通信機器大手Huaweiのスマホにソフト提供停止
http://china-aggressor-nation.blog.jp/archives/37414743.html

民主主義の基盤の考察(その2)

 間接民主制のほうも、日本における選挙権の歴史は、明治憲法制定当時(明治
23年(1891年。明治維新から23年かかってる)の男子制限選挙(「直接国税
15円以上納める25歳以上の男子」。今の貨幣価値で、120万円くらいの納税額
らしい。税制が違うので、比較しづらいが、年収8000万円以上くらいではと
いう推定だ。人口の1.1%)、明治35年(1904年)の男子制限選挙「直接国税10円
以上納める25歳以上の男子」(人口の2.2%)、大正9年(1921年)の男子制限選挙
「直接国税3円以上納める25歳以上の男子」(人口の5.5%)、昭和3年(1928年)の
男子普通選挙「25歳以上の男子」(人口の20.0%)。選挙制の実施から、37年も
かけてやっと男子のみの普通選挙(納税額=財産によって左右されない、1人1 票制。ただし、男子のみ)が実現したわけだ。ここまでが、明治憲法下の話しだ。

 太平洋戦争の敗戦により、1947年に「20歳以上の男女」(人口の48.7%)となっ
た。実に、選挙制の実施から56年かけて女子にも選挙権が与えられるという話
しになったわけで、今年2017年でたかだか70年の歴史なわけだ。その間、日本
国民は男女ともに上記の前提条件をクリアできる水準に達しているのか、自問し
てみる必要がありそうだな。

 また、選挙権の拡大は戦争と密接に関係している。1894年が日清戦争、1904年が日露戦争、1914年が一次大戦、1945年が太平洋戦争だ。戦争で死んでいく国民からすれば、「実際に戦地で死んでくのは俺たちなのに、戦争を決定するのはぬくぬくと暮らしている金持ち連中かよ。ふざけんな!」って話しだ。1921年と1928年の拡大は、戦争の犠牲と関係なさそうだが、一次大戦に日本は直接参戦せず(中国でのドイツの権益を横取りするなど、セコい行動を取った)、戦地となったヨーロッパ向けの輸出なんかで空前の好景気となり、その利益の配分を求めて労働運動・小作争議も盛んに行われ、民主的な制度を求める風潮が盛んだった(初の政党内閣の原敬内閣もこの頃実現)。選挙制の実施から、37年経っている(約1世代)。

 余談だが、歴史的な事象を考える場合、1世代-30年というのは、重要だ。
その人に与えた社会的な影響を考える場合、生まれてから成人して次世代の子孫
を作る頃までというのが一区切りになる。

次は、50年。次世代の子供が青年になる頃。その青年は、青年になるまで親の世代の社会的影響と自分の世代の社会的影響を受けて生きたことになる。

次は、60年。自分の次の世代が、さらに子孫を作る頃。3代目は、じいさん・ばあさんの社会的影響と親の社会的影響を受けつつ、自分自身の世代の社会的影響を受けて生きることになる。オレの寿命(単に生きてるだけでなく、知的活動が可能な年月。頭が使えている年月)自体あと○○年位のもんだろう。こうしてキーボードを叩いて、お前に考えてることを伝達できるのも、あと○○年位だと思う。だから、「ウザい」と思うだろうが、遺言だと思って我慢して聞け。
「親の小言と冷や酒は後でジワジワ効いてくる」と言うらしいからな。

 それで、続けると、選挙制の実施からは37年、明治維新からは37+23=
60年(2世代)経ってるんで、そろそろ(男子だったら)国政に参加させても
良かろう。それ位の水準には達しているだろう(明治5年の「学制」の実施から
は、55年経っている)、という判断もあったのだろう。実際、大正デモクラシー
で都市部では新聞・ラジオが普及し、田舎でも雑誌が読まれ、ちょっとした金持
ち宅では蓄音機があったらしい(オレの親父は昭和○年、お袋は昭和○年の生まれだ。新聞を取ってたかは聞き漏らしたが、雑誌はそれなりに有ったらしい。蓄音機は、残念ながらなかったらしい)。

 間接民主制の実現すらも、この位の年月がかかっている。その間黙っていても
実現される訳ではなく、まず識字率を地道に上げないといけなかった。

 江戸末期、武士階級の識字率は100%。ただし、人口は全人口の1割。武士階級の識字者は、全人口比で10%。商人階級の識字率は、江戸においては70~80%。ちょっとした、丁稚になるのすら読み書きできないとダメだったらしい。人口比は、商人・職人階級が全人口の2割位か。その半分として、商人・職人階級の識字者は、全人口比で10%。農民階級の識字者は、ちょっと不明だが、村方三役はたぶん識字者だったろうと思う。自作農(本百姓)の識字率はどれ位か。半分はいかなったかも、と思う。小作農(水呑み百姓)の識字率は、おそらく零だろう。
農民階級の識字者は、全人口比でざっくり10~15%位か。全くの推量だが、識字率は全体で20~30%位か(それでも、世界的な比較で驚異的な数字という説もある)。

 明治期に入ると、統計的な数字がある。というのは、徴兵制だったんで、軍隊
に入れるとき(20才)に読み書き・算術計算検査を実施したらしい。兵器の操
作方法を記してある取説が読めなかったり、砲弾の着弾計算を誤って味方の頭を
吹っ飛ばしたりされたら堪ったもんじゃないからな。

 それによると、明治32年(1899年)で約50%位、1915年(大正4年)で88%位、1925年(大正14年)で98%位の数字になっている。1928年の男子普通選挙制の実施とほぼ重なるな。

 ここから分かることは、間接民主制(選挙制度)の実現ですら上記のような地
道な年月の積み重ね、その間の国民(=選挙民)の育成が必要だということだ。
そのような基盤・前提が存在しないところに、形式だけ「国民主権だ!民主制だ!
選挙制度の実現だ!」と唱えて、選挙制度を実施したところで、機能しないとい
うことだ。アメリカは、民主制度の伝道者を自認し、民主制を押しつけ、非民主
制の政治システムを「独裁的だ」と言って攻撃するが、果たして民主制が機能す
る基盤・前提が存在するのかよくよく考察しないと。

民主主義の基盤の考察(その1)

※ 以下の投稿は、2年前に作って、お前にメールしたものだ。
 しかし、オレにとっては、これが原点だ…。
 常に、ここに立ち還って、制度のことや、体制のこと、世界における日本国の戦略のことなんかを、考えて行くんだ…。
 そういう意味で、自戒を込めて、ここにも貼っておく…。

 この頃は中国の国家としての台頭、北朝鮮の暴走、イギリスのEU離脱、トランプのアメリカの出現、EUでの右翼の台頭など「民主主義」とは何かって問題について再考を迫るような事象が続いているんで、それについてのオレの考えを語っておきたいと思う。

 近代化とは、大きく言って政治面での近代化と経済面での産業革命と2つの側面から捉えることができると思う。

 政治面での近代化は、王政を倒すこと(イギリスの清教徒革命(クロムウェル革命)、フランスのフランス革命)による共和制の樹立に代表される民主制の樹立だ。

 経済面での近代化は、産業革命による生産手段の大変革だ。もちろん両者は密接に関連し、イギリスにおいては羊毛生産者と毛織物生産者が大成功し、彼らの経済活動の拡大の要求と王政下の下級官吏・下級将校の政治力拡大の要求が手を結んで王政打倒が実現された。

その時の思想的支柱が、「そもそも政府は、国民の幸福実現のために存在するもので、政府の権力は国民が契約によって付与したものだ。」(社会契約説)、「国民の利益や権利を侵害するような政府を、国民は抵抗することによって打倒する権利を有する。」(抵抗権)などの考えだった。

これらの政治的な思想は、「民主主義」と呼ばれるが、実は矛盾を内包している。

近代的な政治思想によれば、国民一人一人は「個人」として尊重され、生まれながらにして有するいかなる政治権力も剥奪することのできない「人権(human righits)」を有し、国権の最高の意思決定は最終的には「国民」にある、とされるが、その「国民」って具体的には一体誰なのよ、という問題だ。上記の社会契約説や抵抗権の考えからすれば、政府によって権力を行使される(統治される)すべての人間ということになりそうだ。すなわち、国家による統治権が及ぶすべての人間ということになる。

実際、上記政治闘争(市民革命運動、と呼ばれる)の初期においては、有力経済人や下級の官吏・将校が主力だったが、運動が拡大していくにつれて一般の民衆も参加していくようになり(もちろん初期の主力勢力側も、自分達に事を有利に運ぶため、積極的に扇動していった-大衆動員だな)、いざ王政打倒が実現し、新たな政治体制を作る段階に至ると、革命勢力内部での利害対立(自分たちの権利を最大限実現したい民衆側と、これを抑制したい有力経済人などの側の対立)が生じ、血で血を洗う闘争が行われた(イギリスにおける反クロムウェル闘争、フランスにおけるジャコバン派独裁に対するテルミドール9日のクーデターなど)。

結局、民衆代表による直接民主制的な統治は、政治経験の未熟さなどからうまくいかないということが学習され、イギリスでは王政が復活(処刑されたチャールズ1世の息子が亡命先のオランダから呼びかけた)し、フランスではナポレオンによる大統領制(ナポレオン自身は、下級将校の出身で一応選挙によって選出されたが、その権限は王政下の国王と殆ど変わらなかった)となって落ち着いた。

 これらの歴史をざっくりまとめると、国民主権を叫んでの王政打倒-民衆代表
による直接民主制的政治-その失敗-直接民主制的な政治制度の修正、というこ
とになる。

 疑問なのは、国民主権の考えからすれば、民衆代表による直接民主制こそ国民
主権を実現する政治制度ではないのか、なぜそれが失敗に終わっているのかとい
う点だ。

 実は、国民主権による政治がちゃんと機能するには、その前提条件がある、と
いうのがオレの考察だ(制度には、必ずそれが妥当する基盤と妥当する範囲があ
る、ってのがオレの持論だ)。
 その1:政治に参加する(立候補して議員になる、議員候補者を吟味して投票
する)国民にそれを実現するに足りる能力が備わっていること(一定水準の知的
能力)。
 その2:一国の政治は、結局は諸勢力の妥協の産物で、自分だけの利益が10
0%実現されるものではない、ということを充分わきまえていること(自己抑制
の能力)。
 その3:各人の利益を声高に叫んでその実現を迫れば、結局は制度を支えてい
る基盤を崩し、ひいては多くの人の利益を害する結果となることを、充分わきま
えていること(自分だけでなく全体に目配りできる能力)。
 その4:議論においては、自分の利益も十分に主張するが、一旦決定が下され
れば鉾を納め、それに従う度量を持っているいること(自分に不利な決定にも耐
えることができる能力)。
 その5:もちろん制度に絶対はなく、社会・国際情勢と共に変化させていくべ
きものなので、不断の検討と制度自体の改良を怠らないこと(政治制度に関心を
失わず、継続して考察し続ける能力)。

 再言すれば、一定の知的水準を持ち、自己抑制でき、全体のことを考え、不利
な決定にも耐え、不断に考察し続ける国民でなければ、民主制なんてのは機能し
ないだろ、って話しだ。世界のどの国も、「民主国家」を自称するが、その前提
条件を備えている国家はあるのかよ(日本国も含めてな)、って話しだ。

 それで、実際の諸国が採用している処方箋は、間接民主制を主とし、直接民主
的な制度を極力抑えるというものだ。

 日本国憲法においても、国家の意思決定は選挙で選ばれた国会議員が決定し、
直接民主制的な制度(国民の意思が「直接」国政に反映される制度)は、2つし
かない。1つは、最高裁の裁判官の国民投票(任官して初めて行われる衆議院選
挙の際に、一緒に行われることになっている。罷免したほうがよいと考える裁判
官の名前の下の欄に×印をつけるというもの)。2つ目は、一地方公共団体にの
み適用される法律に対する、その適用される地方公共団体の住民による承認の投
票(例えば、東日本大震災の復興費に充てるため、岩手・宮城・福島の住民だけ
に特別税を課すなんて法律の承認のような例が考えられる-実際例を、オレは知
らない)。この2つだけだぜ。