「選挙大勝利、月からも見える」 EU揺るがすハンガリー

「選挙大勝利、月からも見える」 EU揺るがすハンガリー
有事の欧州政治(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR09DB20Z00C22A5000000/

『「さらなる努力が必要だ」。9日、首都ブダペストでハンガリー首相のビクトル・オルバンと会談した欧州委員長のウルズラ・フォンデアライエンの歯切れは悪かった。欧州連合(EU)が対ロシア追加制裁で打ち出した石油禁輸案に、オルバンが首を縦に振らなかったためだ。

【ルポ迫真「有事の欧州政治」記事一覧】
・「不安と分断の時代」 欧州世論揺らすウクライナ危機
・「本社工場が止まる」 ガス禁輸に独政権のジレンマ
・「鏡を見てみよ」 北欧のNATO加盟機運、侵攻で高まる

ハンガリーはEUの問題児だ。2010年から首相を務めるオルバンはEU加盟国の首脳として最ベテランだが、ロシア大統領のウラジーミル・プーチンと親密な関係にあり独自路線を突き進んでいる。天然ガスの購入代金はロシアが要求するルーブル払いに応じるとし、ウクライナへの軍事支援も拒否した。

オルバンがロシア寄りの姿勢を崩さないのは、国民の強い支持に支えられているからだ。
4月の議会選挙でオルバンは税還付など大衆迎合的な大盤振る舞いを連発し、オルバン率いる与党連合は7割近い議席を獲得する圧勝を演じた。プーチンは「両国の関係発展が国民の利益になる」と真っ先に祝意を伝えた。オルバンは「月からでも見える大勝利だ。(EU本部がある)ブリュッセルからは確実に見えるだろう」とEUを挑発した。

ロシアの脅威にどう立ち向かうか。ソ連崩壊後、民主化の道を歩んだ東欧諸国の選択はウクライナ危機で割れた。

ハンガリーだけでなく、将来のEU加盟をめざすバルカン半島のセルビアも、ロシアと合同軍事演習を行うなど同国に接近している。

一方、法の支配を巡りEUとたびたび対立してきたポーランドは反ロシアの急先鋒(せんぽう)になった。ウクライナ難民を積極的に受け入れ、5日には首都ワルシャワでウクライナ人道支援の国際会議を主催して65億ドル(約8300億円)を集めた。欧米の軍事支援物資をウクライナに送る拠点を担い、ロシアとの対決色を鮮明にする。

「もはや意味がない」――。9日の欧州議会で、EU改革の一環として提言された全会一致の廃止案に対し、議長国フランスの大統領エマニュエル・マクロンが賛同を表明した。加盟国の全会一致を原則とするEUにとって、東欧諸国の意向は対ロ政策を左右する変数だ。EU基本条約の改正が必要となる改革はハードルは高いが、ウクライナ危機を巡る東欧諸国のスタンスが、EUの根幹まで変えようとしている。(敬称略)

白石透冴、林英樹、竹内康雄、細川倫太郎が担当しました。

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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ひとこと解説

EUの決定のほとんどは特定多数決で採択される。過去には外交安全保障にかかわる問題も全て全会一致であったが、今では特定多数決で決せられる問題も多い。しかし、制裁に関してはまだ全会一致が維持されている。それは国家主権の中核たる安全保障の問題まで、自国の反対を押し切ってEUの決定に従うということが難しいからである。ゆえに、EUが主権国家の集まりとしての性格を持ち続ける限り、全会一致は何らかの形で残るであろう。ハンガリーの反対を押し切れないのは、主権国家の集まりの機関としてのEUとしては当然のことであり、無理をすればEUの求心力をさらに失うことになる。

2022年5月21日 5:42 (2022年5月21日 5:43更新) 』

シュレーダー独元首相ら、ロスネフチ取締役を退任へ

シュレーダー独元首相ら、ロスネフチ取締役を退任へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR20DFY0Q2A520C2000000/

 ※ ロシア問題を契機として、ドイツ政界の闇(東独に由来する、旧ソ連・ロシアとの深いつながり)が炙り出された感じだな…。

 ※ 大体、メルケル氏自体が東独地域の出身で、「ロシア語が堪能。プーチン氏とも、ロシア語で会話できる。」というのが”ウリ”だった(逆に、プーチン氏は、KGB出身なんで、独語が堪能だった)。

 ※ 状況・情勢が変われば、「強み」は、「弱み」にもなる…。

 ※ 栄枯盛衰、世のならいだ…。

『【フランクフルト=林英樹】ロシアの国営石油会社ロスネフチは20日、取締役を務めるドイツのゲアハルト・シュレーダー元首相、ドイツの実業家マティアス・ワーニング氏の2人が任期延長を断ったと発表した。シュレーダー氏は2017年から会長を務めていた。プーチン大統領と関係の近い両氏に対し、国際世論の反発が高まっていた。

ロスネフチの発表によると、両氏から取締役の任期延長について「不可能だ」との申し出があったという。同社は「2人の役割は計り知れないほど大きかった。今回の決断に同情しており、継続的な支援に感謝している」とコメントした。

シュレーダー氏は現在、ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン運営会社「ノルドストリーム」と「ノルドストリーム2」の会長も務めている。ロシア国営ガス会社ガスプロムの取締役候補者としても名前が挙がっている。

ロシアによるウクライナ侵攻後もロシア企業の要職にとどまり続けるシュレーダー氏に対し、国内外から批判が出ていた。ドイツ連邦議会(下院)の予算委員会は19日、シュレーダー氏から議会内の事務所を使用する権利を剥奪することを決定。欧州議会も同日、シュレーダー氏に対する制裁を提案していた。』

米、新疆訪問制限を懸念 国連人権弁務官の対応も批判

米、新疆訪問制限を懸念 国連人権弁務官の対応も批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB211A20R20C22A5000000/

『【ワシントン=共同】米国務省のプライス報道官は20日の電話記者会見で、バチェレ国連人権高等弁務官が予定している中国新疆ウイグル自治区訪問について、中国政府に行動を制限されるとの懸念を表明した。バチェレ氏についても「中国政府が新疆で人権侵害をしている疑う余地のない証拠があるのに沈黙している」と批判した。

中国外務省は20日、バチェレ氏が中国政府の招待で23~28日に訪中すると発表。米政府や人権団体は、人権侵害は起きていないとする中国側の宣伝に利用される恐れがあると警戒を強めている。

プライス氏は「完全な評価をするために必要な立ち入りを中国が認めるとは思えない」と述べ、人権侵害が起きているとされる場所に自由に立ち入りできなければ信頼できる評価を下すことはできないと強調した。

バチェレ氏が中国の人権侵害を明確に非難していないとして「深く懸念している」と言及。同氏が予定していた新疆の人権状況を巡る報告書の公表も遅れているとして急ぐよう求めた。』

「戦狼」不信と岸田外交

「戦狼」不信と岸田外交
 風見鶏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA12AUT0S2A510C2000000/

『国と国の首脳会談は事務方が積み上げた事項を確認するだけの場ではない。トップ同士が一対一で本音を交わす。率直な意見交換で首脳自身が感じたことが次の判断の材料になる。

岸田文雄首相は今春、東南アジアの首脳にこうささやかれた。「中国は絶対に許さない。信頼しているのは日本だ」

首相は3月下旬から5月上旬に東南アジア5カ国とインドの首脳と対面で会談した。発言はそのうちの一人のものだ。

中国は軍事・経済で優位な立場を背景に威圧的に要求を飲ませようとする。中国のアクション映画のタイトルから「戦狼」外交と呼ばれることも多い。

足元では新型コロナウイルスを徹底して抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策が周辺国の経済にも打撃を与えた。東南アジアの首脳が中国への怒りを吐露しやすい時期ではあった。
首相がそのときに思い出したのは2010年12月、自民党が野党だった時のインドネシアとシンガポールの記憶だ。いま自民党幹事長の茂木敏充氏と2人で視察した。

日本が国内総生産(GDP)で中国に抜かれ、世界第3位に転落した年だった。中国が国際的な大型投資に動き、期待が高まる実態を現地で目の当たりにした。「このままではアジアは中国に全部取られるぞ」。茂木氏と語り合った。

東南アジア諸国連合(ASEAN)はその後も中国への経済的依存を深めてきた。日本企業の駐在員は「首根っこを中国に押さえられている」と話す。

首相は今回の訪問で12年前には考えられなかった空気に接した。「経済的利益だけを見て中国のいうことを聞いていたら危険だ」という東南アジア各国の警戒感があった。

首脳外交を支えるのは首相が政治家として自負する「聞く力」である。首脳会談で得た意見、感じ取った雰囲気をどう次の一手につなげるかが大事だ。

大型連休で首相は東南アジアのあとにすぐイタリアと英国を訪ねた。アジア各国の首脳の本音を伝えた。遠い異国の実態は貴重な情報になる。欧州とアジアの橋渡しを担った。

首相周辺は「首相はまず相手の話に耳を傾け、言い方も押しつけがましくない」という。相手国にとっては米国や中国などの大国を相手にするのとは違って、心を許しやすいと分析する。

岸田政権は「新時代リアリズム外交」を掲げる。「一国のみで自国の平和と安全を守ることは現実的ではない」と説明する。国と国の間に入り望ましい環境をつくる外交だ。

ウクライナ危機で国際社会は覇権主義の危険性を実感した。首相はインド太平洋での中国の行動もロシアと同じ「力による現状変更」と位置づける。中ロの結束を防ぐためアジアにも欧州にも働きかける。

「ウクライナはあすの東アジア」と首相は説く。経済を基軸に中国をみていた欧州も、中国の別の顔に気づき始めた。欧州のある首脳は「中国が台湾侵攻に動くだろう」と首相に語った。

日本の安全保障の最大の懸案は中国だ。30年ごろには東アジアでの中国の軍事力は日米を逆転するという予測もある。

「戦狼」不信があっても日本が経済を再生させて米国と共に防衛力を強化しなければ対処できない。「経済を強くしないと外交に影響する」というのは首相の信念でもある。

23日に首相はバイデン米大統領と会談する。互いの中国観をぶつけ合うだけでなく、対中抑止の具体策を示さなければならない。そうでなければ聞く力は単なる受け身と化してしまう。(秋山裕之)』

台湾、経済スパイ罪に最高12年の懲役刑 半導体など

台湾、経済スパイ罪に最高12年の懲役刑 半導体など
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM20A930Q2A520C2000000/

『【台北=中村裕】台湾の立法院(国会)は20日、半導体などのハイテク技術を保護するため、中国などからのスパイ行為に対して厳罰化を目指した国家安全法の改正案を可決、成立させた。「経済スパイ罪」を新たに設けた。台湾の核心的技術を盗み、持ち出す行為に最高12年の懲役を科すとした。

台湾では、中国が半導体などのハイテク技術を巧みに持ち出す例が少なくないとされる。同法では5年以上12年以下の懲役刑のほか、最高1億台湾ドル(約4億3000万円)の罰金も科すことを決めた。

スパイ行為などの犯罪を通じて取得した収益が、仮に罰金の上限を超えた場合は、収益の2~10倍の範囲で罰金刑を科すことができるとも規定し、未遂の場合も処罰の対象とした。

台湾では従来、経済スパイ行為に対しては「営業秘密法」の範囲で裁かれるものにとどまっていた。技術が持ち出される被害にあった企業の判断に委ねられ、重罪に問われることも少なかった。今後は、当局自らが重要技術の域外への漏洩に目を光らせ、経済スパイを厳しく取り締まるという。

同時に、台湾と中国大陸の民間交流のあり方を定めた「両岸人民関係条例」の改正案も20日、可決した。台湾当局から一定以上の出資や補助を受け、かつ台湾の核心的技術にかかわる企業に所属する個人などについて、今後は中国大陸に赴任などをする場合に審査委員会の事前の許可が必要であると規定した。

当該組織を離職した人についても、離職から3年未満であれば、中国大陸に赴任などをするのに、同委員会の事前審査と承認が必要であるとした。違反した場合は最高1000万台湾ドルの罰金を科す。当局からの出資を受ける台湾積体電路製造(TSMC)なども対象になる可能性がある。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/Taiwan-sets-12-year-prison-term-for-stealing-tech-secrets?n_cid=DSBNNAR 』

カービー米国防総省報道官、ホワイトハウスに転籍

カービー米国防総省報道官、ホワイトハウスに転籍
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN210MH0R20C22A5000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は20日、国防総省のジョン・カービー報道官が米国家安全保障会議(NSC)の戦略広報調整官に就くと発表した。バイデン政権の安全保障政策について情報発信を強化する狙いがある。

バイデン氏は声明でカービー氏をめぐり「米国の外交や防衛政策の複雑さを理解し、重要な安全保障問題について見事に政権を代弁する」と強調した。カービー氏はホワイトハウスで政権の安保政策の対外発信について省庁間の調整役を務め、必要に応じて記者会見も開く。

ホワイトハウスでは5月中旬、大統領報道官が外交政策に精通したジェン・サキ氏からカリーヌ・ジャンピエール氏に代わった。ジャンピエール氏は黒人として初めての大統領報道官と注目を集めたが、安保政策に関しては経験が乏しいとの見方があり、カービー氏の起用で補強する。

カービー氏はバイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権で国防総省と国務省の報道官を務め、バイデン政権でも国防総省報道官を担ってきた。米軍のアフガニスタン撤収をめぐる混乱時に情報発信を続け、ロシアによるウクライナ侵攻についても記者会見を頻繁に開いて米国の政策を説明してきた。

カービー氏は2021年4月、日本経済新聞などの取材で「情報を発信した際に(受け手の)誤解を完全に避けることができたと確信しない謙虚さが重要だ」と指摘。「何度も繰り返し強調する必要がある」と語り、定例会見の意義を訴えていた。』

バイデン氏、日韓関係改善を支持 午後の米韓首脳会談で

バイデン氏、日韓関係改善を支持 午後の米韓首脳会談で
対北朝鮮コロナ支援も協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2109U0R20C22A5000000/

『【ソウル=坂口幸裕】バイデン米大統領と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は21日午後、ソウル市内で初の首脳会談に臨む。米政府高官は21日午前、バイデン氏が首脳会談で、日韓関係の改善を支持する意向を示すと明かした。挑発行為を続ける北朝鮮を巡っては抑止策を協議するほか、同国で広がる新型コロナウイルス感染症への支援策も話し合う。

10日に大統領に就いた尹氏は米韓同盟を外交・安全保障政策の基軸に掲げる。5年ぶりとなる韓国の保守政権発足に対する米国の期待は大きい。バイデン政権は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権時に関係が冷え込んだ日本を含む3カ国の安保協力の再構築をめざす。

米高官は記者団に、米韓首脳会談で「バイデン氏は日韓関係の改善を支持する。両国が相互に受け入れ、合意できる方法が必要だと理解していると明らかにする」と述べた。元徴用工や慰安婦の問題などが念頭にある。「日韓関係が強固でないことは米国の利益にならない。関係改善に向けた双方による努力に期待したい」と話した。

両首脳は核実験・ミサイル発射の構えをみせる北朝鮮の行動は地域を不安定化につながるとして結束して反対する。一方、同高官はコロナ感染が急拡大する北朝鮮への支援も議題になるとの見方を示した。北朝鮮へのコロナ支援では中国が先行する。

ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの対処も話し合う。インド太平洋地域で覇権主義的な振る舞いを強める中国を念頭に、ルールに基づく国際秩序を脅かす動きに協調して対抗していくと申し合わせる。

バイデン氏の来日に合わせて発足する新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を巡っても意見を交わす。尹氏は参加を正式表明し、韓国が主導的な役割を果たす意向を示すもようだ。23日に予定するオンラインによるIPEFの首脳会議にも出席する。

経済安全保障の分野でも協力を拡大する。バイデン氏は20日、価値観を共有する同盟国などとサプライチェーン(供給網)構築で協力する重要性を訴えた。中国への経済的な依存を引き下げる狙いで、半導体などの戦略物資を同盟国・友好国から調達できる体制づくりで連携を申し合わせる。

バイデン氏は22日に日本へ移動し、24日まで滞在する。23日に岸田文雄首相との最初の本格的な対面会談を実施する。24日には日米とオーストラリア、インドの「Quad(クアッド)」首脳会議を開く。

【関連記事】
・バイデン氏「価値観共有する国と供給網」 韓国で演説
・バイデン氏日韓訪問 新たな経済連携の狙いは?
・欠けた輪を修復へ、バイデン氏の日韓は熱いうちに打て 』

【詳しく解説!】日米首脳会談のポイントは?焦点は?

【詳しく解説!】日米首脳会談のポイントは?焦点は?
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/82702.html

『5月23日に東京で行われる日米首脳会談。

岸田総理大臣とバイデン大統領の対面での本格的な会談は今回が初めてです。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、覇権主義的な行動を強める中国、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮問題、新型コロナウイルス対策など、外交課題が山積する中の今回の日米首脳会談。

会談のポイントや基礎知識を詳しく解説します!

ーーーーー もくじ ーーーーー
◆岸田総理大臣とバイデン大統領

◆ポイント①ロシアの軍事侵攻 制裁は

◆ポイント②ウクライナ情勢めぐる首脳外交

◆ポイント③中国 覇権主義的行動強める

◆ポイント④北朝鮮 ミサイル発射繰り返す

◆ポイント⑤厳しさ増す日本の安全保障環境

◆ポイント⑥日米同盟の拡大抑止 核の傘とは

◆ポイント⑦新型コロナウイルスの水際対策

◆ポイント⑧IPEFとTPP 経済連携は

◆ポイント⑨気候変動問題 どうなる脱炭素

◆過去の日米首脳会談ではパフォーマンスも

岸田総理大臣とバイデン大統領

岸田総理大臣は、4年半余り務めた外務大臣当時、オバマ政権の副大統領だったバイデン大統領と親交を深めてきました。

総理大臣就任から一夜明けた去年10月5日の午前には、バイデン大統領と電話会談を行いました。
岸田総理大臣にとって外国首脳と行った最初の電話会談でした。

翌11月、イギリスで開かれた気候変動対策の国連の会議、COP26の場では、短時間ではあったものの対面で会談しました。

できるだけ早く時間をかけて会談できる場を設けることで一致し、岸田総理大臣は、早期のアメリカ訪問を目指しましたが、新型コロナの感染拡大やアメリカ国内の政治情勢なども影響し、調整は難航しました。

そして、ことし1月、オンラインで1時間余り会談。

バイデン大統領を日本に招き、オーストラリアとインドを加えた4か国の枠組み、「クアッド」の首脳会合をことし前半に日本で開催する方針を確認しました。

ことし3月、ウクライナ情勢をめぐってベルギーで開かれたG7=主要7か国の首脳会議に出席した際も、対面で短時間会談しました。

岸田総理大臣とバイデン大統領の対面での会談は、これまで短時間にとどまっていて本格的な会談は今回が初めてとなります。

ポイント①ロシアの軍事侵攻 制裁は

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり日本政府は、ことし2月以降、G7と足並みをそろえる形で、ロシアや同盟国のベラルーシに対する制裁を強化してきました。

日本国内にある資産の凍結では、これまでに713人の個人と62の団体を対象としています。
個人には、プーチン大統領やラブロフ外相らロシア政府の関係者、プーチン政権に近いとされる「オリガルヒ」と呼ばれる富豪、それに、ベラルーシのルカシェンコ大統領らが含まれています。

団体では、ロシアの中央銀行やロシア最大の金融機関「ズベルバンク」、民間最大の金融機関「アルファバンク」などが対象となっています。

軍事関連団体への輸出の禁止措置は、ロシアとベラルーシの造船所や研究施設など203の団体が対象となっています。

特定品目のロシア向けの輸出も禁止しています。

対象は、半導体など軍事能力の強化に資する一般向け製品や、石油の生産設備、宝石や酒などのぜいたく品、量子コンピューターや3Dプリンターなどです。

ロシア向けの新規の投資も禁止しています。

さらに、ロシアからの輸入も規制していて、機械類や一部の木材、ウォッカなどの輸入を禁止しています。

そして、G7と足並みをそろえ、ロシアへのエネルギーの依存度を低下させるため、石炭の輸入を段階的に削減し最終的に禁止することに加え、石油も原則禁輸する方針で、今後、輸入の削減時期などを検討することにしています。

また、政府は、貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」を撤回し、ロシアからの輸入品への関税を引き上げる措置も実施しています。

日本政府としては、引き続き、アメリカをはじめとする各国と連携し、ロシアへの圧力を強めていく方針です。

ポイント②ウクライナ情勢めぐる首脳外交

ことし2月にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して以降、岸田総理大臣は、各国の首脳らと対面やオンラインなどで会談を重ねてきました。
G7の取り組みを重視していて、3月にはベルギーでの首脳会議に出席するなど、5回にわたり、G7関連の会議に参加しました。

そして、プーチン大統領をはじめとする政府関係者やロシアの銀行などを対象とした資産の凍結、貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」の撤回など、G7各国と協調して厳しい制裁措置の実施を表明しました。

また、G7各国首脳と個別の会談も行いました。
ドイツ、イタリア、イギリスの各首脳とは対面で会談。アメリカ、カナダとは海外の訪問先で短時間会談し、フランスとも電話会談を行いました。

さらに岸田総理大臣は、アジア唯一のG7メンバーとしてアジア各国の首脳とも会談を重ねています。

3月にはインドとカンボジア、大型連休期間中にはインドネシア、ベトナム、タイを相次いで訪問し、ウクライナ情勢をめぐって意見を交わしました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領とは、侵攻後、電話会談を3回行いました。
緊急人道支援や借款を行うこと、それに、自衛隊が保有する防弾チョッキやヘルメットを提供することなどを説明しました。

ポイント③中国 覇権主義的行動強める

首脳会談では、覇権主義的行動を強める中国への対応が主要な議題の1つとなります。
両首脳は、中国が東シナ海や南シナ海への進出を強めていることに深刻な懸念を示し、いかなる地域でも力による一方的な現状変更は認められないという認識を共有するものとみられます。

そして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を推進していく方針で一致するとともに、日米両国で抑止力と対処力を強化する方針を確認するものとみられます。

また、沖縄県の尖閣諸島がアメリカの防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であることをあらためて確認する見通しです。

一方で、バイデン政権は、中国が、将来的に、軍事力を背景に、「核心的利益」と位置づける台湾の統一をはかることへの警戒を強めていることから、台湾をめぐるやりとりも焦点の1つとなります。

このほか、新疆ウイグル自治区や香港などの人権問題も扱われ、深刻な懸念を共有する見通しです。

ポイント④北朝鮮 ミサイル発射繰り返す

首脳会談では弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮への対応も主要な議題の1つとなります。
両首脳は、北朝鮮による核・ミサイル技術の開発の強化は国際社会への明白かつ深刻な挑戦だという認識を共有し、国連安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化に向け、日米両国や韓国も含めた3か国で緊密に連携していく方針を確認するものとみられます。

またアメリカ当局が、バイデン大統領の韓国、日本の訪問中にも北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射や核実験に踏み切る可能性があるという見方を示していることから、最新の情勢を踏まえ協議する見通しです。

さらに、岸田総理大臣は、拉致問題についても、改めて解決に向けた理解と協力を求め、明確な支持をとりつけたい考えです。

一方、慰安婦問題などをめぐって日韓関係が冷え込む中、日本政府が新たに就任したユン・ソンニョル大統領との間で関係改善を模索するとしていることについて、バイデン大統領が発言するかどうかも注目されます。

ポイント⑤厳しさ増す日本の安全保障環境

政府は、防衛力を抜本的に強化するため「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の安全保障関連の3つの文書を、ことしの年末までに改定する方針で、同盟国のアメリカと双方の戦略をすり合わせていくことにしています。
改定に向けて、自民党は先月、政府への提言をまとめました。

具体的には、「敵基地攻撃能力」という名称を「反撃能力」に変更した上で保有し、対象範囲は敵のミサイル基地に限定せず、指揮統制機能なども含めるとしています。

また、防衛費を増額し、GDP=国内総生産に対する割合で2%以上とするNATO=北大西洋条約機構の加盟国の目標も念頭に、防衛力の抜本的な強化に必要な予算の確保を5年以内に目指すとしています。

先の日米防衛相会談では、岸防衛大臣が、自民党の提言も念頭に、日本の防衛力を抜本的に強化する考えを伝え、オースティン国防長官もこれを歓迎し、日米双方の戦略をすり合わせていくことで一致しました。

ポイント⑥日米同盟の拡大抑止 核の傘とは

日本と核兵器保有国のアメリカは同盟関係にあります。

日米同盟の「拡大抑止」とは、アメリカの核戦力を含む抑止力によって日本を守るという考え方です。

日本は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という「非核三原則」を堅持しており、アメリカのいわゆる「核の傘」で守られています。

今月、アメリカの国防総省で行われた日米防衛相会談で、オースティン国防長官は「日本に対する、核を含めたアメリカの拡大抑止への関与は揺るぎないものだ」と述べました。
岸防衛大臣は「現下の国際情勢では、核抑止が、信頼でき、強じんなものであり続けるため日米間の取り組みが従来にも増して重要だ」として「拡大抑止」の重要性について認識を共有しました。

ポイント⑦新型コロナウイルスの水際対策

オミクロン株の世界的な感染拡大で去年11月に強化された日本の水際対策。
感染状況なども踏まえ段階的に緩和されています。

政府はことし3月に、厳しすぎるとの指摘もあった外国人の新規入国の停止措置を観光客を除いて解除しました。

1日あたりの入国者数に5000人の上限を設け、入国を再開させました。

その後、入国者数の上限は、3月中に7000人、先月には1万人と、徐々に引き上げられました。
こうした対応に経済界などからは「全面的な受け入れ再開が進む各国と比べて対応が遅く、経済再生の動きから日本が取り残される」として、さらなる緩和を求める声が出ています。

こうしたなか、岸田総理大臣は、先にイギリスで行った講演で、来月には、ほかのG7並みに円滑な入国ができるよう対策を緩和する方針を示しました。

政府は、来月から1日あたりの入国者数の上限を2万人に引き上げることにしています。
また、海外からの入国者に対する検疫措置は、入国する際に行われたこれまでの検査の陽性率など、流入リスクに応じて緩和することになり、8割程度の入国者は検査や待機措置が免除される見通しです。

岸田総理大臣としては、アメリカも含めた各国に、日本が感染対策とのバランスを取りながら、世界に開かれた貿易・投資立国としての取り組みを進める方針を説明し、理解を得たい考えです。

ポイント⑧IPEFとTPP 経済連携は

「IPEF(アイペフ)=インド太平洋経済枠組み」は、去年10月に、アメリカのバイデン大統領が、東アジア首脳会議で提唱した、新たな経済連携の枠組みです。

台頭する中国を念頭に、インド太平洋地域への関与を強めるねらいから、アメリカ側は、日本やASEAN=東南アジア諸国連合、それにオーストラリアなど、各国に参加をよびかけています。

これまでのところ、半導体などの供給網=サプライチェーンの強化や、質の高いインフラへの投資などでの協力が想定されているということです。

ただ、現時点では、関税の引き下げなど、市場アクセスの向上は含まれておらず、具体的な協定の形になるかどうかなど、その全体像は明らかにはなっていません。

インド太平洋地域の経済連携では、関税の引き下げなど市場アクセスの向上が特徴の11か国による協定、TPPがあります。

日本が結ぶ協定の中では、貿易自由化の水準が最も高いものです。

日本政府は、IPEFとTPPは性質が異なり、併存できるものだとしていて、アメリカ側の参加の呼びかけに応じる方針です。

一方で、TPPの拡大も重要だとして、交渉を主導していたにもかかわらず、トランプ政権時代に「自由貿易は雇用を奪う」として協定を離脱したアメリカに重ねて復帰を求めています。

しかし、バイデン政権も「国内の労働者の保護を優先する」として、復帰には否定的で、IPEFをインド太平洋地域での主要な経済連携の枠組みにしたい思惑もあるものとみられ、今回の首脳会談で焦点の1つとなりそうです。

ポイント⑨気候変動問題 どうなる脱炭素

今回の首脳会談では、気候変動問題も取り上げられる見通しです。

日本は2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度に比べて46%削減する目標を掲げ、2050年までに排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するとしています。

一方、アメリカは気候変動問題をバイデン政権の重要課題と位置づけ、2030年までに、温室効果ガスの排出量を2005年に比べ50%から52%削減し、2050年までの実質ゼロを目指すとしています。

去年11月にイギリスで開かれた気候変動対策の国連の会議COP26では世界の平均気温の上昇を1点5度に抑える努力を追求するなどとした成果文書が採択されました。

ウクライナ情勢を受けて、日本はロシアへのエネルギー依存度を減らすため、安全を確保した原子炉の有効活用を図るとともに、再生可能エネルギーの導入を推進する方針で、今回の首脳会談では脱炭素関連の技術協力についても協議が行われる見通しです。

また、気候変動問題では温室効果ガスの世界最大の排出国である中国の協力も必要となるため、中国へのアプローチをめぐっても意見が交わされる可能性もあります。

過去の日米首脳会談ではパフォーマンスも

日米の首脳は、これまで、受け入れる側が趣向を凝らして相手をもてなし、個人的な信頼関係を築いてきました。
1983年、中曽根総理大臣は、レーガン大統領を、東京・日の出町に所有していた別荘に招きました。
「ロン」「ヤス」と互いを愛称で呼び合い、中曽根氏がほら貝を吹く姿も話題になりました。

2006年、ブッシュ大統領が、小泉総理大臣を案内したのは、アメリカの国民的歌手、エルビス・プレスリ-の邸宅でした。
プレスリーの大ファンだという小泉氏はサングラスをかけてパフォーマンスを披露。
両首脳の親密ぶりを印象づけました。

安倍総理大臣とトランプ大統領は、共通の趣味のゴルフを通じて、親交を深めました。
2017年11月にトランプ大統領が初めて日本を訪れた際には、松山英樹選手も交えてプレーを楽しみました。』

【詳しく】バイデン大統領 なぜいま日本に?

【詳しく】バイデン大統領 なぜいま日本に?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220521/k10013632861000.html

『アメリカのバイデン大統領が5月22日から24日にかけて日本を訪問します。2021年1月に就任してから初めてのアジア訪問です。

いま、日本を訪問するねらいはどこにあるのでしょうか?
そして、今回はなぜ、中国には行かないのでしょうか?

(ワシントン支局長・高木優)

日本訪問の最大のねらいは?

ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が続く中でも、アメリカのインド太平洋地域への関与は揺るがないと明確に示すことにあります。

ウクライナ危機で、アメリカ政府は、ヨーロッパ諸国などとともにロシアに強力な経済制裁を科し、ウクライナに多額の軍事支援をすることに力を注いできました。

このことによって、中国が軍事力を背景に影響力を増すインド太平洋地域へのアメリカの関与が後回しになったり弱まったりするのではないかという懸念が関係国の間に生じていることが背景にあります。

そのためにバイデン大統領は今回、日本と韓国という、信頼を置く東アジアの同盟国に足を運び、強固な同盟関係や、地域の安全保障への一貫した関与をアピールしたい考えです。

中国には今回、行かないのはなぜ?

それには深いわけがあります。まず、今世紀に入ってからのアメリカ大統領の初の日本訪問をおさらいします。

意外かもしれませんが、アメリカ大統領が初の日本訪問と合わせて中国に行かないのは、この20年余りで初めてです。

ブッシュ大統領の前のクリントン大統領は、1998年に中国に9日間滞在したのにもかかわらず、日本には立ち寄らず、「ジャパン・パッシング(Passing)」とやゆされたことすらありました。

それと比べると、時代は大きく変わりました。その理由をひも解くには、次の米中関係の年表を見れば一目瞭然です。

ニクソン大統領の訪中を境に、米中は接近していき、天安門事件を経て、アメリカは中国に関与することで、中国を国際ルールに従わせ、ともに発展しようと試みました。

ところが習近平指導部の発足と相前後して、中国は軍事拡張と言論統制を一段と強めます。アメリカは中国が戦後の国際秩序に挑戦していると受け止めるようになりました。

トランプ前政権は当初は中国に融和的な姿勢もとりましたが、途中から対中強硬姿勢を一気に強めました。

バイデン政権はそれを踏襲。中国を「最大の競合国」と位置づけ、米中が対抗し合う時代に突入。「新冷戦」とも呼ばれるようになりました。

アメリカ国内の中国に対する世論も悪化していて、バイデン大統領としてはいま、中国に足を運べば、支持を失いかねない状況なのです。

バイデン大統領は日本で何をしたいの?

中国の台頭と、アメリカの相対的な国力の低下もあって、アメリカの日本に対する期待は増しています。

岸田総理大臣との首脳会談では、台湾有事の可能性も念頭に、安全保障分野での連携強化を図りたい考えです。

それとともに、バイデン大統領は、アメリカの「核の傘」を含む「拡大抑止」が、強固で十分であることを再確認する方針です。

「拡大抑止」って何?

「拡大抑止」は今回の首脳会談のキーワードです。

「拡大抑止」とは、同盟国に対する攻撃を自国への攻撃と見なし、もし攻撃したら報復することをあらかじめ宣言することで、相手国に攻撃を思いとどまらせるという考え方です。自国の抑止力を同盟国にも提供する形になるので、「拡大抑止」と言います。

バイデン大統領としては、日本と韓国で「拡大抑止」を再確認することで、地域で広がる安全保障上の懸念の払拭(ふっしょく)をはかるとともに、中国や、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮をけん制するねらいがあります。

また、「拡大抑止」の再確認は、中国軍による軍事的な圧力にさらされている台湾に対する、アメリカのメッセージになるとも考えています。

台湾へのメッセージにもなるの?

はい。

実は、アメリカは台湾有事の際の対応の仕方は明確にしていません。アメリカは、台湾に対しては「あいまい戦略」と言って、中国が軍事力を駆使して台湾統一を図った場合の対応をあらかじめ明確にしないことで、中国の行動を抑止すると同時に、台湾が独立へとかじを切らないようにする戦略をとっています。

そのことが、地域の安定につながると考えているからです。

しかし、台湾では、アメリカがウクライナに軍を派遣しないことを早々に宣言し、外からの軍事支援に徹しているのを見て、台湾有事の際にアメリカが支援してくれないのではないかと考えている人が増えているという世論調査の結果も出ています。

このためバイデン大統領が、今回、台湾と中国の「目と鼻の先」の日本で「拡大抑止」を再確認することには、そうした台湾の人たちに力強いメッセージを送るねらいもあるのです。

日米豪印のクアッド首脳会合のねらいは?

日米首脳会談の翌日、24日に行われる日米豪印の4か国からなるクアッドの首脳会合のいちばんのねらいは、インドとの関係の深化です。

インドは武器の購入などを通じて歴史的にロシアとの関係が強く、ウクライナ危機を受けて、クアッドの枠組みでロシアへの圧力強化を打ち出そうとすると、インドは賛同しづらいという事情があります。

このため、クアッド首脳会合では、中国を念頭に、コロナや気候変動対策、宇宙協力など4か国が一致して取り組みやすい分野で、関係をさらに深めることで、中国への圧力を強めたい考えです。

(※ そういう意味でも、21日の豪の選挙結果が、注目だ。)

最近よく聞く「IPEF」も大事なの?

そのとおり。

バイデン大統領の日本訪問の、隠れたもう一つのねらいは、そのIPEF=インド太平洋経済枠組みの東京での発表です。

IPEFは「アイペフ」と読みます。

Indo-Pacific Economic Frameworkの頭文字をとった新たな経済連携で、トランプ前政権時にアメリカが離脱したTPP=環太平洋パートナーシップ協定に代わる枠組みとして、バイデン政権が提唱しました。

サプライチェーン=供給網の構築や国境を越えたデータ管理などで中国に対抗していくのがねらいです。

ところがアメリカが参加を期待するASEAN=東南アジア諸国連合の国々の反応がいまひとつです。

ASEAN諸国のなかには、アメリカの「本気度」に対する懐疑的な見方や、経済的結び付きの強い中国との関係悪化を懸念する声が少なくないからです。

さらに、関税の引き下げといった目に見えるメリットが感じられないことへの不満もあります。

このためバイデン大統領は今回、ASEAN諸国の間で信頼度の高い日本の後押しを受ける形で、IPEFの立ち上げに向けた協議の開始を東京で発表することで、スタートダッシュを図りたい考えです。

IPEFの具体的な中身のほか、何か国が参加するのかが注目されています。

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【特設サイト】ウクライナ情勢 』

ロシア軍 東部2州の完全掌握ねらい攻勢強める構え

ロシア軍 東部2州の完全掌握ねらい攻勢強める構え
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220521/k10013636501000.html

 ※ 『ウクライナのゼレンスキー大統領は、20日、新たに公開した動画で、ロシアの軍事侵攻で被害を受けた国民、一人ひとりが補償される仕組みが必要だとして、各国に協力を呼びかけました。

ゼレンスキー大統領は「ロシアは、ウクライナで破壊したものに対して、補償を行うべきだ。燃やされた家、破壊された学校や病院、爆破された文化施設やインフラ、潰された事業などに対して補償を求める」と訴えました。

そして「われわれのパートナーの国々が多国間協定に署名することで、ロシアの行動で被害を受けた国民、一人ひとりの損失が、すべて補償される仕組みが整えられるよう求める」と述べました。

そのうえで「協定によって、各国の管轄下にあるロシアの資産を凍結、没収し、すべての犠牲者が適切な補償を受けるための特別な基金を創設するべきだ」と述べ、各国に賛同を呼びかけました。』…。

 ※ 一次大戦、二次大戦にも無かった、「新しい考え」だ…。

 ※ ロシアにとっては、これも「誤算」の一つだろう…。

 ※ 対テロリスト、対ゲリラの「特別軍事作戦」ということにしたかったのだろうが、「ドッコイ、そうは問屋が、降ろさねえ。」ということになるのかどうか、注目だ。

『ロシア国防省は20日、東部の要衝マリウポリについて全域を掌握したと主張し、ウクライナのゼレンスキー大統領は拠点に残っていた兵士全員の退避が終わるという見通しを明らかにしました。ロシアは東部2州の完全掌握をねらって攻勢を強める構えで、徹底抗戦するウクライナ側と激しい攻防が続くとみられます。

ロシアの国防省は20日、東部ドネツク州の要衝マリウポリでウクライナ側の部隊が拠点としてきたアゾフスターリ製鉄所について、司令官を含む2439人が投降し「ロシア軍の完全な支配下に置かれた」としたうえで、ショイグ国防相がプーチン大統領にマリウポリ全域の掌握を報告したと発表しました。

これに対しウクライナのゼレンスキー大統領は20日、公共放送のインタビューで、製鉄所に残っていた部隊について「彼らはみずからの命を救うため、軍の司令部から製鉄所の外に自由に出られるというメッセージを受け取った」と述べ「数時間のうちに全員の退避が終わる」という見通しを明らかにしました。

この結果、軍事侵攻の当初から激しい攻防が続いてきたマリウポリは、現時点で実質的にロシア軍が掌握したとみられます。

ロシア軍は東部2州の完全掌握をねらって部隊を再配置して攻勢を強めるとみられ、ショイグ国防相は、2州のうちルハンシク州について「解放はまもなく達成される」と主張しました。

これに対しウクライナ軍は欧米の軍事支援を受けて徹底抗戦の構えで、ウクライナ国防省の報道官は20日、「防衛作戦を展開し、敵に大きな損害を与えている」と述べていて、今後は東部2州の各地で激しい攻防が続くとみられます。

一方、ロシアはNATO=北大西洋条約機構に北欧のフィンランドとスウェーデンが加盟を申請したことに強く反発し、ショイグ国防相はヨーロッパ諸国と国境を接するロシア西部の部隊を増強する計画を明らかにしました。

ロシアは、ウクライナへの軍事支援を加速させる欧米側を強く批判しており今後、軍事的な緊張が高まることも懸念されます。

ゼレンスキー大統領「被害補償される仕組み整備を」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、20日、新たに公開した動画で、ロシアの軍事侵攻で被害を受けた国民、一人ひとりが補償される仕組みが必要だとして、各国に協力を呼びかけました。

ゼレンスキー大統領は「ロシアは、ウクライナで破壊したものに対して、補償を行うべきだ。燃やされた家、破壊された学校や病院、爆破された文化施設やインフラ、潰された事業などに対して補償を求める」と訴えました。

そして「われわれのパートナーの国々が多国間協定に署名することで、ロシアの行動で被害を受けた国民、一人ひとりの損失が、すべて補償される仕組みが整えられるよう求める」と述べました。

そのうえで「協定によって、各国の管轄下にあるロシアの資産を凍結、没収し、すべての犠牲者が適切な補償を受けるための特別な基金を創設するべきだ」と述べ、各国に賛同を呼びかけました。』

楽天携帯「月額0円」廃止の舞台裏 法の壁と想定外

楽天携帯「月額0円」廃止の舞台裏 法の壁と想定外
ITジャーナリスト 石川 温
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC195TL0Z10C22A5000000/

 ※ ネットワーク構築には、巨額の資金がかかる…。

 ※ ドコモは、電電公社の「電話回線(銅線)」がベースだし、KDDIは

『現在のKDDIは2000年10月1日に、
 ・特殊会社として過去に(1986年まで)国際通信サービス事業を独占的に行い、特殊会社で無くなった後にトヨタ自動車が経営参加していたケイディディ(旧:国際電信電話/KDD+旧日本高速通信/TWJ)
 ・京セラ主体の新電電で国内長距離通信サービスを主たる事業としていた第二電電(DDI)
・トヨタ自動車の子会社であった携帯電話サービスの日本移動通信(IDO)

の3社合併(存続会社は第二電電)により誕生した。』という沿革を有する(まあ、NTTから分かれた、兄弟会社)。

 ※ どちらも、「巨額の資金」を投じて、地道に回線を敷設したんだ…。

 ※ そこに、「殴り込み」かけてるわけだから、何を言っても「泣き言」にしか、聞こえんな…。

『楽天モバイルが料金プランを改定する。これまで月間のデータ利用量が1ギガ(ギガは10億、GB)以下であればゼロ円で使えていたが、ゼロ円での利用は不可能になる。2022年7月以降は3GB以下が1078円となる。しかも、すでに楽天モバイルを契約しているユーザーが対象で、自動的に値上げとなる。

この発表を受けて、インターネットのSNS(交流サイト)では「だまされた」「話が違う」といった不満の声が上がった。これまで楽天モバイルはテレビCMなどで「ゼロ円から使える」とアピールしていたので、ユーザーから反発を食らうのは無理もないだろう。

実際のところ、このところ米ネットフリックス(Netflix)などの動画配信サービスも米国などで値上げを実施している。しかも最近は国内でも食料品や燃料などあらゆるものが値上げになっている。「通信料金だけ値上げすると批判される」というのはおかしいような気もするが、一方で楽天モバイルは「ゼロ円」を訴求していたにもかかわらず値上げしてユーザーが料金を支払う必要があるとなれば、他の商品の値上げとは話が違ってくる。

これまで既存の携帯電話キャリア3社も、手数料が無料となるような大盤振る舞いといえる料金でサービスを提供してきた。しかし多くは「終了時期が未定のキャンペーン」と位置づけておくことで、いつでもキャンペーンをやめられる状態にしていた。キャンペーンが終了すると説明すれば、無料のサービスが有料化されてもユーザーは納得してくれるものなのだ。

ただ、楽天モバイルは「既存ユーザーだけ1GB以下ゼロ円」というサービスを継続するつもりであった。三木谷浩史会長は「既存のユーザーには当面このまま使っていただくというのが我々の案だったが、『既存のユーザーをキープしたまま新プランを出す』というのは電気通信事業法上だめだということが分かった」と語っている。

実は、19年に改正された電気通信事業法によって長期間契約しているユーザーを多額の割引で囲い込むような行為は禁じられている。同じ料金プランで既存ユーザーは1GB以下の場合はゼロ円、新規ユーザーは3GBまで1078円というプランでサービス提供をすると、既存ユーザーに対して多額の割引を適用していると受け取られる。これが電気通信事業法違反となる可能性があるため、楽天モバイルは既存のユーザーに対しても、値上げすることになったのだ。

問題は、これを新料金プランとして既存の料金プランとは別建てで新設すればよかったのだが、三木谷会長は「ワンプラン」にこだわった。楽天モバイルが分かりやすさを重視し、ワンプランにこだわった結果が想定外の値上げにつながったのだ。
想定外だったahamoとネットワーク関連費用

そもそも楽天モバイルにとって想定外だったのが、20年12月にNTTドコモが発表したahamoだろう。当時、ahamoは20GBで2980円(税別、その後料金を改定して税別2700円、税込み2970円)という楽天モバイルを狙い撃ちした料金設定をぶつけていた。

携帯電話の市場では「楽天モバイルが窮地に追い込まれた」と思われたが、翌21年1月、楽天モバイルはゼロ円から始まる新料金プランを発表。楽天モバイルにとって破れかぶれの新料金プランであったが、これによって土俵際で踏みとどまる状態になったのだ。
21年1月に料金プランを発表した三木谷楽天モバイル会長

楽天モバイルにとって、喫緊の課題は赤字の解消だ。同社では23年度の黒字化を公約している。三木谷会長は20年5月、「700万契約が損益分岐点」と語っていた。しかし、そのもくろみはあくまで当時の料金プランである「3000円程度で使い放題」というプランでの計算であり、いまのようなゼロ円から始まるプランや、3GBまでは1078円という段階式のプランではなかった。

楽天モバイルとしては、当初の目標であった23年度の黒字化を死守するため、上限いっぱいまで使うユーザーを700万契約まで増やして、損益分岐点を超える必要があるはずだ。

もう一つ楽天モバイルにとって想定外だったのが、ネットワーク関連費用だろう。楽天モバイルは参入当初、全国に2万7000局の基地局を整備して人口カバー率96%を目指すつもりだった。しかしそれでは、つながりやすさといったネットワーク品質で他社にかなわない。

そこで計画を見直し、現在では4万4000局をつくり、人口カバー率97%を超えるまでになった。とはいえ計画していた6000億円では足りず、1兆円規模の設備投資がかかってしまっている。日本郵政などが出資をしているが、設備投資にかけるお金はいくらあっても足りない状態だろう。

また、自前で基地局が建設できていないところではKDDIのネットワークに接続するローミングで対応している。KDDIは21年度に700億円規模のローミング収入があった。このほとんどが楽天モバイルからの収入だといわれている。つまり、楽天モバイルは年間700億円規模の資金をKDDIに支払っていることになるのだ。

三木谷会長は常々「KDDIへのローミング費用が高すぎる」とぼやいている。楽天モバイルは7月からユーザーに対してローミングエリア利用時のデータチャージ料を1GB分は550円から660円に値上げすると発表。赤字体質から少しでも脱却したい考えのようだ。

今回の値上げは、楽天モバイルが早期の黒字化を目指すためには避けて通れなかったはずだ。業界内では「そもそもゼロ円で提供するのは無理がある。値上げすることで健全になるのではないか」という同情の声も聞かれる。

英国では先日、キャリアの経営が厳しくなり、4キャリア体制から3キャリア体制になるのではないか、という報道があった。日本もせっかく4キャリア体制で競争が激化し、料金値下げにつながっているにもかかわらず、これが3キャリアの寡占状態に戻ってしまっては、ここ数年の努力が無駄に終わってしまいかねない。

楽天モバイルとしては「目先の数字」を獲得するために今回、値上げに踏み切った。その英断は経営面を見れば十分理解できるとはいえ、ユーザーの視点で見れば「1年に1回、料金プランがころころ変わり、一斉に値上げするというのは信頼できない」という不信感、ブランドの毀損につながりかねないような気がしている。

1GB以下ゼロ円という、お金を払ってくれないユーザーが離脱するのは経営面にとってプラスかもしれない。しかし、一緒にユーザーとの信頼関係も流出してしまうのではないだろうか。
石川温(いしかわ・つつむ)
月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(エムディエヌコーポレーション)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(https://ch.nicovideo.jp/226)も配信。ツイッターアカウントはhttps://twitter.com/iskw226
モバイルの達人』

マスク氏にセクハラ疑惑 3200万円で口止めか、本人否定

マスク氏にセクハラ疑惑 3200万円で口止めか、本人否定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20EN80Q2A520C2000000/

 ※ この人、やたら叩かれ出したな…。

 ※ こういう場合は、その背景、どういう力学が働いて、そういう現象が生じているのか…、を考えた方がいい…。

『【シリコンバレー=白石武志】米ツイッターの買収などで注目を集める米起業家のイーロン・マスク氏にセクハラ疑惑が浮上した。米ネットメディアのインサイダーが19日、同氏が率いる宇宙開発スタートアップの米スペースXで働いていた女性が被害を訴えたあと、会社側が口止め料として25万ドル(約3200万円)の退職金を払ったと報じた。本人は否定している。

インサイダーは女性から相談を受けた友人の証言などを基に報じた。報道によると、女性はスペースXのビジネスジェット機の客室乗務員として働いていた2016年に被害に遭った。機内の個室に呼ばれてマスク氏に全身のマッサージを施術した際に、性的な要求と引き換えに馬を買い与えると持ちかけられたという。

女性は要求を拒んだことでスペースXでの仕事が減らされたと感じ、米カリフォルニア州の弁護士を雇って18年に同社の人事部門にセクハラ被害を申告した。スペースXとマスク氏、女性の3者は同年、被害について訴えを起こさないという約束を条件に、会社側が女性に25万ドルを支払う退職契約を結んだ。

インサイダーによると退職契約のなかには女性に対してマスク氏に関するいかなる情報も開示しないよう制限する条項が含まれていた。同メディアに情報を提供した被害女性の友人はスペースXとの守秘義務契約には縛られない立場だという。

セクハラ被害の有無などについて、スペースX側のコメントは得られていない。マスク氏は19日、ツイッター投稿のなかで「私に対する攻撃は政治的なレンズを通して見るべきで、これは彼らの標準的な(卑劣な)脚本だ」と述べ、今回の報道が政治的な意図をもった動きであると主張した。

マスク氏は1970年代にニクソン米大統領(当時)が辞任に追い込まれた米ウォーターゲート事件になぞらえて自らのスキャンダルを「Elongate(イーロンゲート)」と名付け、「これはちょっとできすぎだ」と悦に入るような態度もみせている。

【関連記事】

・マスク氏、買収提案前から前CEOと連携 Twitterが開示
・「劇場化」に警戒感 マスク氏、Twitter買収を保留
・SEC、マスク氏と弟をインサイダー疑いで調査 米報道 』

今度こそロシア国債はデフォルトか

今度こそロシア国債はデフォルトか | 2022年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0519

 ※ 『ロシア政府は支払いの意思と能力があるにも関わらず、不当な米国政府の制裁措置によって支払いが阻まれたのであり、いわば不可抗力であってデフォルトには当たらない』…。

 ※ 「支払いの意思も能力もある。」しかし、一政府の「金融制裁」によって、支払いできない状態に追い込まれている…。

 ※ そういう場合も、「債務不履行」に該当することになるのか…。

 ※ 訴訟になった場合は、裁判所も判断に苦しむだろう…。

 ※ しかし、現実の金融の世界においては、そういう話しは脇に置いておいて、どんどん先に進んで行くことになる…。

 ※ 既に、「格付け各社」は、「格付け」を放棄し、『CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を扱うデリバティブの業界団体である国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)のクレジット・デリバティブ決定委員会』が「CDSのクレジットのレート」を決定するだけの状況になっているようだ…。

『2022/05/19

ドル建てロシア国債のデフォルトを巡る米国とロシアの攻防

米国政府は、ロシアをデフォルト(債務不履行)に追い込む方向に再び動き始めている。米財務省は4月4日のドル建てロシア国債の償還、利支払い日に、ロシア政府が米銀に保有するドル準備を用いて償還、利支払いを禁じる措置を突如打ち出した。その結果、ロシア政府はドルでの償還、利支払いができなくなり、ルーブルでの支払いを余儀なくされた(コラム「米国政府がロシア国債の償還・利払いを阻止との報道。ロシアはデフォルトか」、2022年4月5日、「ルーブルでの支払いを余儀なくされたロシア政府はデフォルトを強く否定」、2022年4月7日)。

通常デフォルトは、主要格付機関がデフォルト格付けを行うことで確定するが、彼らは既にロシア関連の格付け業務を停止していることから、代わりにロシアの債券の保険商品であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を扱うデリバティブの業界団体である国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)のクレジット・デリバティブ決定委員会の判断が注目されてきた。

同委員会は4月20日に、ロシアが4日に期限を迎えたドル建て国債の償還・利子の支払いを自国通貨ルーブルで実施したことが「潜在的な債務不履行」にあたるとの判断を示している(コラム「デフォルト状態にあるロシア国債の海外保有者はどのような行動を起こすか」、2022年4月26日、「ロシア国債のデフォルト認定で何が起こるか」、2022年4月21日、「ロシアのデフォルトは誰が認定するのか」、2022年4月13日)。

さらに4月4日に期限を迎えたドル建て国債の償還・利子の支払いの30日の支払い猶予期間が過ぎる5月4日以降、同委員会が正式にデフォルト認定を行うことが予想されていた。しかしそれに先手を打ち、4月29日にロシア政府は、ロシア国内にあるドル準備から支払いを行い、デフォルト回避に動いたのである(コラム「ロシアがドルで国債の償還・利子を支払い当面のデフォルトを回避か」、2022年5月2日)。

注目される米財務省の例外措置の延長の有無

ところで、ウクライナ侵攻の直後に主要各国は、民間銀行に対してロシア政府、政府機関との取引を禁じる制裁措置を講じていた。しかし、米財務省外国資産管理局(OFAC)は通達を通じて、ロシア国債の償還、利払いを米国投資家に行う取引のみは例外的に認めていたのである。その期限がいよいよ来週の5月25日にやってくる。

現状では、ロシア政府が米銀に持つドル準備を用いたロシア国債の償還、利払いは禁じられているが、ロシア国内や海外に保有するドル準備を用いての支払いは認められている。ところが、5月25日に米財務省がこの例外措置を延長しなければ、ロシア政府は米国投資家にドルで償還、利払いを行うことができなくなり、デフォルトと認定される可能性が出てくる。

イエレン米財務長官は10日に、この制裁の例外措置について、更新を見送るかどうかを財務省が検討していることを明らかにした。また、財務省としてはこの措置を失効させるかまだ決めていないが、そのリスクと影響について検討中であり、近いうちに判断を下す、と述べていた。

ロシアは既にデフォルト状態

財務省内では例外措置を延長して支払いを容認し、ロシア政府にドルを使わせて軍事資金を減らすべきだとの声もあったが、ロシアに対する金融面の圧力を維持するため、延長しない方向に判断は傾きつつあるようだ。

米財務省の例外措置が5月25日に延長されない場合、それ以降に期限を迎えるドル建てロシア国債の利払いが実施されなくなり、クレジット・デリバティブ決定委員会が、猶予期間後に正式にデフォルト認定を行うことになるだろう。

ただし、ロシア政府は支払いの意思と能力があるにも関わらず、不当な米国政府の制裁措置によって支払いが阻まれたのであり、いわば不可抗力であってデフォルトには当たらないとの主張をその後も続けるだろう。

債券のデフォルトの本質は、債券発行者(債務者)が投資家(債権者)の信頼を大きく失い、新規の債券発行を通じた資金調達の道が閉ざされることにある。ロシア政府は既にそうした状態にあることから、正式なデフォルト認定がされるかどうかはもはやそれほど重要ではないのではないか。ロシアのデフォルトが確定しても、ロシア国債の規模が大きくないことや、すでに投資家の間で損失計上などが進んでいることから、世界の金融市場への影響は限られるだろう。

(参考資料)
“US Set to Block Russian Debt Payments, Raising Odds of Default”, Bloomberg, May 17, 2022
「DJ-ロシア政府の債務返済認める制裁例外措置、米財務省が更新見送り検討」、2022年5月10日、ダウ・ジョーンズ債券・為替情報

執筆者情報

木内 登英
エグゼクティブ・エコノミスト 』

ロシア、外貨建て国債「利払い履行」 手続き前倒しか

ロシア、外貨建て国債「利払い履行」 手続き前倒しか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR210FB0R20C22A5000000/

『【ロンドン=篠崎健太】ロシア財務省は20日、期限を27日に控える外貨建て国債2本の利払いについて「義務を完全に果たした」と発表した。ロシア国債の元利金受け取りを投資家に認める米国の特例措置が25日で切れるのを前に、前倒しで手続きした可能性がある。

対象の利払いは2026年償還のドル建て債の7125万ドル(約91億円)と、36年償還のユーロ建て債の2650万ユーロ(約36億円)だ。ロシアの証券保管振替機関が資金を受け取ったという。

ロシア財務省は「発行条件に沿って義務は履行された」と主張したが、今後、債券保有者の手元に届き、最終的に債務不履行(デフォルト)を避けられるかは不明だ。

米政府は経済制裁でロシア当局や政府系ファンドから支払いを受けることを禁じており、一時的に認める特例が25日に失効する。イエレン米財務長官は18日の記者会見で、特例期間について「最終決定ではないが延長される可能性は低い」と発言していた。

【関連記事】

・米財務長官「失効の可能性高い」 ロシア国債巡る特例
・米、ロシアの戦費枯渇へ圧力 国債元利払いを阻止
・ロシア、外債「ドルで支払い」 国内資金利用で米容認か 』

ロシア国防省、マリウポリの製鉄所を完全制圧と発表

ロシア国防省、マリウポリの製鉄所を完全制圧と発表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2105Y0R20C22A5000000/

『【カイロ=久門武史】ロシア国防省は20日、ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所を完全に制圧したと発表した。ショイグ国防相がプーチン大統領に「製鉄所とマリウポリを完全にウクライナから解放した」として作戦終了を報告した。タス通信が伝えた。

国防省は、同製鉄所に立てこもり抵抗を続けていたウクライナ内務省系の軍事組織「アゾフ連隊」の最後の500名以上が20日に投降したと明らかにした。ウクライナ軍は17日、マリウポリでの戦闘任務を終了したと明らかにしていた。

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ロシア、志願兵の40歳上限を撤廃へ

※ 今日は、午後から予定が入った…。

※ それで、いつもより時間帯が早いが、手っ取り早く貼ってしまうことにする…。

ロシア、志願兵の40歳上限を撤廃へ 長期化で兵不足か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR20EZR0Q2A520C2000000/

『【カイロ=久門武史】ロシア下院は20日、志願兵の年齢上限を撤廃する法案が提出されたと明らかにした。現行ではロシア人で18~40歳、外国人で18~30歳時点での入隊が認められている。長引くウクライナ侵攻で兵士の死傷や従軍拒否などから人手不足が深刻になっているとみられる。

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ロシア通信は同法案に関し、精密誘導兵器などの運用には高度の専門家が必要で、経験を積んだ人材は40~45歳が多いと伝えた。

英国防省は20日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリを押さえたロシア軍部隊が東部ドンバス地方に移動すると分析し「再配置には部隊を装備し直す必要がある」と指摘した。「ロシア軍司令官は目標達成の圧力をかけられており、十分な準備をせず部隊を展開する可能性がある」とした。

ロシアのプーチン大統領は20日、国家安全保障会議で「ロシアへのサイバー攻撃は近年増えており、ウクライナへの特別軍事作戦開始後、脅威はさらに深刻になっている」と述べた。海外からの製品や技術サポートが制限されているとして欧米の制裁を批判したうえで、サイバー防衛に向け「道筋は明らかだ。国産のハードウエア、技術、プログラム、製品への移行だ」と述べた。タス通信が伝えた。

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日中外相テレビ会談内容の日中における発表の差異は何を物語るのか?

日中外相テレビ会談内容の日中における発表の差異は何を物語るのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220519-00296736

※ 今日は、こんなところで…。

『5月18日、日中外相会談が行われたが、とても同じ会談とは思えないほど、自国に都合のいいことだけを並べており、日中双方で発表内容が大きく異なる。その差異から何が読み取れるか考察してみよう。

◆日本の外務省による発表

 5月18日、午前10時から約70分、林芳正外相と王毅外相がテレビ会談を行った。日本の外務省は、その会談内容に関して林外相が概ね以下のように言ったと発表している。リンク先に日本語があるので、要点のみ略記する。

 1.日中は「建設的かつ安定的な関係」という重要な共通認識を実現していくべき。

 2.日本国内の対中世論は極めて厳しい。互いに言うべきことは言いつつ対話を重ね、協力すべき分野では適切な形で協力を進め、国際社会への責任を共に果たしていくべき。その上で、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区等の状況に対する深刻な懸念を表明。台湾海峡の平和と安定の重要性。在中国日本大使館員の一時拘束事案及び中国における邦人拘束事案について。日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く求めた。

 3.新型コロナによる様々な影響がある中で、在留邦人の安全の確保や日本企業の正当な経済活動の保護等について中国側の適切な対応を要請。

 4.ウクライナ情勢について、ロシアによるウクライナ侵略は国連憲章を始め国際法の明確な違反であり、中国が国際の平和と安全の維持に責任ある役割を果たすよう求る。北朝鮮については、非核化に向け国際社会が一致して対応する必要がある。拉致問題の即時解決に向けた理解と支持を含める。

◆中国外交部による発表

 一方、中国の場合は二段階に分けて発表し、実に激しい。

 まず18日の14:56の情報として、外交部は「王毅が日米の対中干渉に関して立場を表明した」というタイトルで、以下のように書いている。

 ――2022年5月18日、国務委員兼外相の王毅は、日本の林芳正外相とのビデオ会議で、日米の中国に対する否定的な動きについて立場を示した。

   日本は日米印豪「クワッド」首脳会談を主催しようとしている。警戒すべきは、アメリカの指導者(バイデン)がまだ来日する前から、日米が連携して中国に対抗していこうという論調がすでに悪意に満ちて騒々しく広がっていることだ。

   日米は同盟関係にあるが、日中は平和友好条約を締結している。日米二国間協力は、陣営の対立を扇動したりしてはならないし、中国の主権、安全保障、開発の利益を損ねたりすることなど、さらにあってはならない。日本側が歴史の教訓を学び、地域の平和と安定を目指し、慎重に行動し、他人の火中の栗を拾いに行くようなことをせず、隣国を自国の洪水のはけ口にする(自分の利益を図るために災いを人に押しつける)ような道を歩まないことを願っている。(引用ここまで)

 中国の外交部は、その15分後の15:11に、日中外相テレビ会談の全体に関して、以下のように発表している。

 ――王毅は、今年は日中国交正常化50周年であり、二国間関係の発展の歴史において重要な一里塚だと述べた。 両首脳は昨年、新時代の要求に合致した日中関係の構築を促進する上で重要な合意に達した。

   王毅は、目下の急務は、以下の3つのことを成し遂げることだと指摘した。

   一、二国間関係の正しい方向をしっかりと把握すべきである。 中国と日本の4つの政治文書は、二国間関係の平和的、友好的な協力の方向性を定め、両国がパートナーであり、相互に脅威をもたらさないという一連の重要な原則的合意を築いた。 両国の関係が複雑かつ深刻であればあるほど、中国と日本の4つの政治文書の原則の精神を揺るがすことなく、初心を忘れてはならない。 我々は、正しい認識を確立し、積極的に相互作用を行い、国交正常化50周年を計画し、あらゆるレベルの様々な分野での交流と協力を強化し、前向きな世論と社会環境を醸成すべきである。

   二、二国間関係の前進の原動力を十分に満たすべきである。 経済・貿易協力は、二国間関係の「バラスト(船底に置く重り)」と「スクリュー」である。中国が相互循環の新しい開発パターンの構築を加速することは、日本と世界にとってより多くの機会を提供するだろう。双方は、デジタル経済、グリーン低炭素、気候変動管理などの分野で協調と協力を強化し、より高いレベルの相互利益とウィンウィンの状況を達成するために、協力の可能性を深く掘り起こすべきである。

   三、干渉要因を迅速に排除すべきである。 台湾など、中国の核心的利益や主要な懸念に関する最近の日本の否定的な動きは、一部の政治勢力が中国を誹謗し、相互の信頼を著しく損ない、二国間関係の根幹を揺るがしている。 歴史の教訓を忘れるな。日本側は、これまでの約束を守り、両国間の基本的な信義を守り、日中関係を弱体化させようとする勢力を許さず、中国との国交正常化の50年で達成された貴重な成果を維持すべきである。

   林芳正(氏)は、日本と中国は広範な共通の利益を共有しており、協力の大きな可能性と幅広い展望を持っていると述べた。今年は日中外交正常化50周年を迎えるが、両国首脳の重要な合意に基づき、建設的かつ安定的な二国間関係の構築に努めなければならない。日本側は、中国と志を共にして、国交正常化の初心を忘れず、率直な意思疎通を維持し、誤解や誤った判断を軽減し、デリケートな問題には適切に対応して、政治的相互信頼の強化を図りたいと思っている。(中国外交部からの引用はここまで)

 中国の外交部が二つに分けて情報発信したことから読み取れるのは、ともかく一刻も早く「クワッド」に関する王毅の発言を公表したかったことと、これこそが中国側が今現在、最も言いたいことなのだろうということだ。

 日本の外務省の発表とは、何という相違だろう。

 とても、これが同じ会談の内容だとは思えないくらい異なる。

 一致しているのは日本外務省の「1」の部分だけくらいだろうか。

 中国側の発表を見ない限り、いま日中が、どのような関係にあるのかということは見えてこない。

◆中国は数回にわたり北朝鮮に警告している

 もう一つ、注目すべきことがある。

 実は中国は北朝鮮に数回にわたり警告を出していたのだ。

5月11日付の東京新聞は、以下のような報道をしている。

 ――韓国の情報機関・国家情報院トップの朴智元氏が韓国紙のインタビューに明かしたところによると、中国は最近、数回にわたり北朝鮮にICBMの発射や核実験を中断するよう促した。北朝鮮メディアは4日と7日のミサイル発射に言及しておらず、中国に一定の配慮をした可能性もある。

   中国の王岐山国家副主席は10日午後、尹氏(新大統領)と会い「朝鮮半島の非核化と恒久的な平和を推進する」との立場を伝えた。それでも、専門家の間では中国の北朝鮮への影響力にも限界があるとの見方が強い。朴氏は、バイデン米大統領が訪韓する20日までに北朝鮮が核実験に踏み切るとの見方を示している。(東京新聞からの引用はここまで)

 この情報に関して、中国大陸のネットで検索したが、ヒットする情報はなかった。つまり、中国では、「中国が再三にわたり、北朝鮮にICBMの発射や核実験を中断するよう促した」ことに関しては、公表しないようにしているということになる。

 林外相は、この事実を把握した上で発言しているのか否か分からないが、少なくとも王毅外相はこの事実に関して、会談でも何も言わなかったものと推測される。

 5月18日のコラム<中露は軍事同盟国ではなく、ウクライナ戦争以降に関係後退していない>に書いたように、中朝は軍事同盟を結んでおり、北朝鮮の無謀な軍事行動は、中国にとっては「迷惑な行動」で、中国は中朝友好協力相互援助条約を破棄したいと何度か望みながら、結局のところ破棄した場合のディメリットもあり、破棄できずに今日まで至っている。

 それでも北朝鮮が自暴自棄にならないよう、習近平は北への経済的支援を絶やしてない。

 習近平が、ロシアの軍事行動だけでなく、北朝鮮の軍事行動に関しても、何とか抑えたいと相当に窮地に追い込まれていることを、「日本では報道されない中国情報」(および東京新聞の情報)の中に垣間見ることができる。
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(4月16日出版、PHP)、『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。』

誰にババを引かせるか? 政治的な処理に入ったロシア : 机上空間

誰にババを引かせるか? 政治的な処理に入ったロシア : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/28727364.html

『 最初にちょっとだけ関係の無い話題を。昨晩のニューヨークダウなのですが、チャートがノゴギリ歯状態に入りました。これは、何を意味するかというと、ここのところの暴落から、株価が割安と見て買う勢力と、いやいや、こんなもんじゃないと売り浴びせる勢力がせめぎ合っている状態を示します。現在、3万1千ドル台なのですが、ここを崩されると、3万ドルを切る可能性も出てきますし、持ち直せば3万5千まで押し返す可能性もあります。インフレで、米ドルの金利引き上げが予定されているので、株価回復は、やや劣勢です。

つまり、相場が迷っているのですね。恐らく、来週一週間ぐらいで、決着が付いた方向へ動くと思われます。

さて、本題ですが、ロシア国内の論調に変化が出ています。今までは、大本営発表よろしく、勇猛果敢に進撃するロシア軍と、逃げ惑うウクライナ兵というファンタジー路線で、まったく現実を反映していない報道を繰り返していたのですが、本当につい最近になって、ロシア軍の劣勢と成果が上がっていない事実を報道し始めました。

ロシアの国内向けのプロバガンダ報道には、段階で変化が起きてきました。

・最初の頃は、とにかく臆病なウクライナ兵と、それを蹴散らすロシア軍というイメージ宣伝。
・戦争が長引くと、NATOや西側諸国の支援のせいにする。
・雑なプロバガンダでウクライナに対するヘイトを稼ごうとする。黒魔術とか、ドーピングによる薬漬けの兵士とか、しまいには動物と掛け合わせたキメラ兵まで登場する始末。どこのアニメですかというキテレツさ。クマの縫いぐるみに、鉤十字の服を着せて、「奴らはナチスを崇拝している」と言い出す始末。子供でも騙されませんがな。
・現在は、戦線の膠着と、上がらない戦果に対して批判的な姿勢を見せ始める。

一つには、嘘でごまかせなくなったという事もあるでしょうが、既にロシア国内では、今後戦争を継続するかどうかは置いておいて、これまでのニヶ月の責任を誰に押し付けるかで、政治的な取引の段階に入ったと思われます。特にロシアで人気のブロガーなどのインフルエンサーが、先日のドネツ川を渡ろうとした戦術大隊が全滅した件については、怒りを込めて一向に教訓から学ぼうとしないロシア軍に対して批判をしています。そして、あれだけ統制の厳しかったロシア政府が、この動きを禁止していません。

つまり、失敗した犯人を、それとなく世論誘導して、確定させようとしています。それは、ズバリ、ロシア軍そのものです。つまり、プーチン大統領やらFSBは、完璧な計画を立てたのだけど、それを無能な軍が実行できなかったんだよね。悪いのは、全部軍組織ですというプロパガンダが始まったという事です。

世論の下地が仕上がったところで、見せしめ的に軍のトップを粛清し、恐らくはFSBを中心に再編して、プーチン大統領直属の私兵軍団に再編成するのではないかと思われます。ヒトラーが戦争終盤に利用した、ヒトラー・ユーゲントのように、プーチン大統領の為には全ての犠牲を厭わない、ロシアの未来を築き上げる尖兵としての青年兵士団を編成するかも知れません。

政治的に負けられないプーチン大統領にとって、論理的に勝敗を論じる軍よりも、青年団のような狂信者のほうが欲しいのです。ロシア人というのは、強い指導者には盲目的に従順ですが、弱い指導者には容赦がありません。なので、過去の記事でも書きましたが、戦争を始めた時点で、ロシアの勝利は、国内政治的には動かせないのです。例え現実がどうであろうとも、ロシアが勝利したと強弁できないと、プーチン大統領の政治生命は終わります。それに必要なのは、狂信者・国粋主義者です。』

世界を覆うインフレ(悪性) : 机上空間

世界を覆うインフレ(悪性) : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/28720285.html

『昨日のアメリカ市場は、近年稀な大暴落でした。ニューヨークダウは最大で1200ドル以上暴落。NASDAQも5%以上の下落。ここ3日間ほど、上げ相場で上昇した分を全部吐き出して、元に戻しました。原因は、インフレを原因とする消費の落ち込みです。それを裏付けるのが、世界最大の小売業者であるウォルマートと、業界第5位のターゲットの決算数字の悪さです。

この原因になってるのが、悪性のインフレです。アメリカでは、先日発表された消費者物価指数でも、相変わらずの前年比8%以上のインフレ高止まり、これは欧州でも同じで、7%以上のインフレです。発端は、いわゆるCO2削減を叫ぶ環境保護の動きによる、グリーンエネルギーシフトによるエネルギー原料の高騰です。これによって、去年の冬からの天然ガスの値段がバカ上がりしました。

イギリスなどでは、ちょっと広めの家屋の月の暖房費が軽く5万円を超えています。暖房費だけです。というのは、欧州の暖房は、床暖房や蒸気によるヒートパイプによって部屋全体を温める暖房が多いので、空間が大きければ大きい程、エネルギーを消費します。

それに加えて、ロシアのウクライナ侵攻で、ロシア産の資源の禁輸が制裁処置で加わりました。さらに、侵攻相手のウクライナは、ヨーロッパのパン籠と言われる程の穀倉地帯です。つまり、エネルギーと食料の両方で、供給がストップしています。未だ、実感として日本では感じられていませんが、インドなどが自国の需要を確保する為に小麦の輸出を禁止するなど、既に防衛に入っている国があります。

さらに武漢肺炎で、世界の工場化している中国で、頭のオカシイ、都市封鎖をしているので、工業製品の輸出が停滞しています。その上、今年も相変わらず起きている水害の為、世界中の穀物を高値で買いまくっているので、あらゆる穀物が高騰しています。そろそろ、発展途上国では輸入できなくなるくらい価格があがっています。

つまり、物不足で物価が高騰しているので、これは悪性のインフレです。そして、インフレが原因で消費活動の抑制が始まっています。一般的に、流通が正常であれば、小売業者の業績低迷=モノが売れないというのは、値下げに繋がるので、インフレ抑制の兆候という解釈も成り立つのですが、原因が物不足の場合、原料費が高騰しているのが原因で、モノの値段があがって売れなくなっているので、モノが売れようが売れなかろうが、利益を確保する為に物価は上がります。

また、エネルギー関連のインフレは、副作用が凄いです。なにせ、物流費用、店舗の光熱費と、全てにおいて、コストが上昇しますので、売上が落ちるのにコスト高という最悪の状態になります。そして、そのコスト高は、一般家庭の生活も直撃します。ガソリンの高騰は、車が足になっている社会では、死活問題です。そして、脱原発で高コスト体質になっている世界の発電施設は、バカ高い天然ガスをガンガン燃やして電気を作り出す為、目につかないところで、ガンガンCO2を排出して、結局のところ、何も解決する事無く、さらにCO2排出量は増えるでしょうねぇ。環境活動家が地球環境を破壊するという笑えない状況になっています。実際、太陽光パネルを設置する為に、山の斜面を切り開いて禿山にしてますしね。あれを、元に戻すのに何十年かかることやら。

実際、今回のロシアのウクライナ侵攻で、何年分の資源の浪費と、環境破壊、インフラの破壊が起きたのかを考えると、既に何をしても世界単位で環境を改善する事は不可能とも言えます。ロシア軍がウクライナに人員を割いている為に、シベリアで起きた森林火災が鎮火できずに、膨大な面積の森林が灰になっています。ここで出たCO2と、破壊された森林は、甚大な被害を環境に及ぼします。

何よりも絶望的なのは、本格的な物不足の影響が始まるのは、これからだという事です。恐らくウクライナの農業は、年単位で低迷します。ロシアのエネルギー資源は、制裁が緩和されるまで続くので、ロシアが大ロシア主義の領土拡張を止めない限り続くでしょう。中国では習近平氏が政権を握っている限り、国民の愚民化、旧勢力へのカウンターとしてのIT産業などへの締付け、人類の愚行を見ているかのような武漢肺炎対策で、工業力の衰退が起きるはずです。』