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「核のごみ」文献調査受け入れ表明 玄海町長 原発立地では初
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240510/k10014445071000.html
※ 今日は、こんな所で…。
『2024年5月10日 13時00分
原子力発電で出るいわゆる「核のごみ」の処分地選定をめぐって、佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は10日、第1段階となる「文献調査」を受け入れる考えを表明しました。
文献調査の受け入れは全国で3例目で、原発が立地する自治体としては初めてとなります。
目次
「文献調査」巡る動き 浮上から1か月弱で大きく進展
「文献調査」受け入れ表明まで 町長の発言は
高レベル放射性廃棄物いわゆる「核のごみ」は、長期間強い放射線を出し続けることから、地下300メートルより深くに埋めて最終処分することが法律で決まっていて、処分地の選定に向けた調査は3段階で行われます。
玄海町では第1段階にあたる「文献調査」をめぐって4月、調査の受け入れを求める請願が町議会で採択され、今月1日には国が調査の実施を町に申し入れていました。
こうした中、玄海町の脇山町長は先ほど記者会見を開き「町議会での議論や国からの申し入れを受け熟考した結果、文献調査を受け入れる決断をした」と述べ、調査を受け入れる考えを表明しました。
その上で「全国で議論が高まり、取り組みが進む一石となればと思っている。なし崩し的に最終処分場になることはないと考えていて、お金目的で調査を受け入れるものではない」と自らの考えを説明しました。
文献調査の受け入れは北海道の寿都町と神恵内村に続いて全国で3例目です。
玄海町には九州電力の玄海原発が立地していますが、原発が立地する自治体が調査を受け入れるのは初めてとなります。
「文献調査」巡る動き 浮上から1か月弱で大きく進展
玄海町で核のごみの処分地選定に向けた「文献調査」を巡る動きが浮上したのは4月15日でした。
町内の旅館組合、飲食業組合、防災対策協議会が町議会に提出していた、「文献調査」への応募を働きかけるよう求める請願がこの日、町議会の原子力特別委員会に付託され、調査を求める動きが明るみにでました。
2日後の17日には原子力政策を所管する経済産業省の担当者らが特別委員会に出席し、「核のごみ」の処分地選定について説明。
そして25日には特別委員会で採決が行われ、請願を賛成6人、反対3人の賛成多数で可決しました。
この翌日に開かれた本会議の採決でもやはり賛成6人、反対3人となり請願は正式に採択されました。
議会での採択を受けて脇山町長は5月中にも判断を示す考えを明らかにしました。
そして、今月1日には経済産業省の幹部が町役場を訪れ「『文献調査』の実施を求める」とする経済産業大臣からの文書を脇山町長に手渡しました。
その後、大型連休が明けた7日には脇山町長が上京して齋藤経済産業大臣と面会していました。
この間、一部の議員や住民からは住民説明会を求める声も挙がりましたが、町長は開催に否定的な考えを示していました。
「文献調査」を求める動きが明るみになってから町長が判断を示すまで、1か月もたっておらず、短期間で事態が大きく進展した形となりました。
「文献調査」受け入れ表明まで 町長の発言は
玄海町ではこれまでも議会の一般質問などで、「核のごみ」の処分地選定をめぐる「文献調査」の受け入れが、たびたび取り上げられてきました。
ただ、調査対象になる可能性がある地域を示した国の「科学的特性マップ」で玄海町は将来、資源の掘削が行われる可能性があるとして「好ましくない特性があると推定される」地域となっており、脇山町長は「文献調査をするという考えはない」と述べていました。
しかし4月、町内の3つの団体から「文献調査」の受け入れを求める請願が提出され、本会議で賛成多数で採択されたことを受け、町長の発言は変化していきます。
本会議での採択を受けて町長は「町民から請願が出されたことや、議会で採択された6対3というダブルスコアの数字には民意が反映されていて、重く受け止めている」と述べて、検討を進める考えを示していました。
そして、今月1日に経済産業省の幹部が調査の実施を申し入れるため町を訪れた際には「国から申し入れに来ているので大事にしなければならない」と述べていました。
一方、7日に齋藤経済産業大臣と面会した際には「私はこれまで議会で自分から手を上げることはないと発言していて、議会と自分の考え方とで板挟みになり悩んでいる」と心境を打ち明けていました。
1からわかる!核のゴミ(1)そもそもどんなものなの?
「核のゴミ」についてはこちら
Q.「核のごみ」って何ですか?
A.いわゆる「核のごみ」は、政府の資料などでは高レベル放射性廃棄物と呼ばれ原子力発電に伴って発生する放射線を出す廃棄物のうち放射能レベルがもっとも高い部類のものを指します。
原発の使用済み核燃料から再び燃料として使えるウランやプルトニウムを取り出す際に残る廃液を、溶かしたガラスと混ぜ合わせて固めて作られ、「ガラス固化体」とも呼ばれます。
なお、使用済み核燃料を直接処分する国では、使用済み核燃料そのものが「核のごみ」となります。
青森県にある再処理工場で作られる「ガラス固化体」は、直径がおよそ40センチ、高さおよそ1.3メートルの筒型で、重さは500キロほどあります。
作られた直後は表面の温度が200度以上あり、放射線量は1時間あたり1500シーベルトと、人が防護なしに近づけば10数秒で死に至る極めて高いレベルです。
このため、まず30年から50年ほど地上の施設で貯蔵され、放射線量が減衰するのを待ちます。
放射線量は、50年後には10分の1程度になり、厚さおよそ20センチの金属製の容器で密封すると、容器の表面では1時間あたり2.7ミリシーベルト程度に下がります。
1000年経つと容器の表面で1時間あたり0.15ミリシーベルト程度まで低下し、この段階では、1時間そばにいると医療機関で胸のエックス線検診を2、3回受けたのと同じ程度の被ばく量になります。
最終的な処分では、さらに自然界に存在する天然の「ウラン鉱石」と同じレベルの0.06ミリシーベルト程度に下がるまで人間の生活環境から隔離することにしていて、これには数万年程度の時間がかかります。
Q.「地層処分」って何ですか?安全なのですか?
A.2000年にできた「最終処分法」では、地下300メートルより深くに処分場を設け、「核のごみ」の放射能レベルが自然界のレベルに下がるまで、数万年にわたって閉じ込める処分方法が定められています。
これは「地層処分」と呼ばれ、原子力を利用する世界各国でも最終処分の方法として採用されています。
地下深くに埋める理由としては、人間の活動や自然災害の影響を受けにくいことや、酸素が少なく、物がさびるなどの化学変化が起こりにくいこと、一般的に地下水の動きが年間に数ミリ程度と遅いため、万が一、放射性物質が漏れても影響が広がりにくいことなどが挙げられています。
日本で「地層処分」が可能かどうかについては、法律の制定に先立って、旧「動力炉・核燃料開発事業団」などが、1980年からおよそ20年をかけて行った調査結果をもとに、国の原子力委員会が、技術的に信頼性があることが示されたと評価しています。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の翌年の2012年には、日本学術会議が「最新の科学的知見により成立性を見直すべき」などとした提言を取りまとめましたが、経済産業省が設置した専門家会議は、2014年に「最新の地球科学的知見に基づいても、好ましい地質環境と長期安定性を確保できる場所をわが国において選定できる」とする報告書をまとめています。
ただ、去年10月にも、一部の地質学者などが、「地層処分」は安定した岩盤が多いヨーロッパなどを前提とした考え方であり、プレートの活動が活発で地震や火山活動が多い日本には「適地」はないなどとする声明を発表するなど、依然として日本での実施を疑問視する声もあります。
Q.ほかに処分の方法はないの?
A.「核のごみ」を巡っては、原子力発電が始まった1950年代から、国際機関や世界各国で「地層処分」以外の処分方法も検討されてきました。
検討された主な方法としては、深い海底や海溝部に捨てる「海洋投棄」、南極などの氷の下に処分する「氷床処分」、宇宙にロケットなどで打ち上げる「宇宙処分」があります。
しかし、このうち「氷床処分」については、1961年に発効した南極条約で、「海洋投棄」については1975年に発効したロンドン条約により、それぞれ認められないことになりました。
残る「宇宙処分」は打ち上げの信頼性やコスト面などの課題から、採用している国はありません。
また、廃棄物処分の「発生者責任」や「公平負担」といった考え方が広がる中、2001年に発効し、2003年に日本が締結した放射性廃棄物等安全条約で、「発生した国で処分されるべき」という原則が規定され、海外に処分を委託することも難しくなっています。
このほか、放射性物質に中性子などを当てて性質を変える「核種変換」によって、「核のごみ」に含まれる寿命の長い放射性物質を寿命の短いものに変えることで処分しやすくする方法も検討されていて、基礎的な研究が進められています。
Q.原発の利用を始めた時点で処分方法を決めていなかったの?
A.日本では1966年から商業用の原子力発電が始まりましたが、その4年前から「核のごみ」の処分の検討が始まっていました。
当初は海に捨てる「海洋投棄」が可能と考えられていて、1962年には、国の原子力委員会の専門部会が「国土が狭く、地震のあるわが国では最も可能性のある方式」だとする報告書をまとめています。
しかしその後、国際的に環境保全の機運が高まり、1975年に発効したロンドン条約で「海洋投棄」が禁止されました。
これを受けて原子力委員会の専門部会は海外での対策を調べ、1976年、「地層処分」に重点をおいて調査研究と技術開発を図るとする報告書をまとめました。
この報告書では、2000年ごろまでに実証試験を行うことなどを通して処分方法の見通しを得ることを「努力目標」としました。
しかし、1980年代に入り、試験を行う土地を決めるために各地でボーリング調査などを計画していることが明らかになると、「将来の処分場の立地を想起させる」などとして地域から懸念の声が上がり、十分な調査はできませんでした。
日本で処分地の選定が始まったのは、2000年に「最終処分法」が制定されたあとでした。
一方、海外では、特に北欧のフィンランドやスウェーデンで処分地の選定が先行し、1980年代前半までに地層処分を前提に実施体制を決め、1990年代にかけて処分地の選定を始めていました。
フィンランドでは2001年、スウェーデンは2009年にそれぞれ処分地を決めています。
Q.処分地はどうやって決めるの?
A.2000年に成立した「最終処分法」では、「地層処分」を行う処分地の選定に向けて3段階の調査を行うことが決められました。
調査は国の認可法人・原子力発電環境整備機構=NUMOが行います。
第1段階として、文献をもとに火山や断層の活動状況などを調べる「文献調査」で2年程度、次に、ボーリングなどを行い地質や地下水の状況を調べる「概要調査」で4年程度かかる見通しで、その後、地下に調査用の施設を作って、岩盤や地下水などの特性が処分場に適しているか調べる「精密調査」を14年程度で行う想定です。
対象の自治体には段階に応じた交付金が用意され、初めの「文献調査」では最大20億円、次の「概要調査」では最大70億円が支払われます。
このうち、「文献調査」は、地元の自治体が応募するか国の申し入れを受諾すれば始めることができますが、「概要調査」に進むには、地元の市町村長だけでなく都道府県知事の同意も必要になります。
制度上「地域の意見に反して先へ進まない」と定められていますが、調査の受け入れが議論された自治体では、「実際の処分場の建設につながる」という懸念から、受け入れを拒まれるケースもありました。
Q.処分地の選定は今どうなっているの?
A.2000年に「最終処分法」が作られたあと、処分地の選定に向けた第1段階の文献調査を行う候補地の公募が始まりました。
ただ、調査への応募を巡っては、自治体の議会で勉強会を開くなど検討の動きが表面化するたびに住民や周辺自治体などから反発を招き、断念するケースが相次ぎました。
2007年には、高知県の東洋町が全国で初めて調査に応募しましたが、賛成派と反対派の対立のすえ、選挙で町長が落選し調査が始まる前に応募は撤回されました。
さらに、2011年の東京電力福島第一原発の事故の後は、調査の受け入れが表立って議論される機会はなくなっていきました。
このため政府は2017年に、文献などをもとに火山や活断層の有無などを確認し、調査地点として好ましい、好ましくないといった特性で全国を色分けした「科学的特性マップ」を公表し、各地で説明会を開くなどしてあらためて理解を求めてきました。
こうした中、2020年に北海道の寿都町と神恵内村が調査への応募や受け入れを決め、全国で初めてとなる「文献調査」が行われた結果、ことし2月、次の「概要調査」に進めるとする報告書案がまとめられました。
ただ、地元からは、処分地の選定が「北海道だけの問題」とならないよう、調査地域の拡大を求める声が上がっています。
政府は去年、最終処分の実現に向けた基本方針を8年ぶりに改定し、NUMOや電力会社と合同で、全国の自治体を訪問するなどして働きかけを強めています。
ただ、去年9月には、長崎県対馬市の市議会が調査の受け入れを求める請願を採択したものの、市長が調査を受け入れない意向を表明するなど、調査地域の拡大は具体化してきませんでした。 』
2024年、予備選はあってなきが如し?:
本選は異例の「大統領」同士のリマッチ(再対戦)に
https://www.spf.org/jpus-insights/spf-america-monitor/spf-america-monitor-document-detail_152w.html
※ 非常に参考になった…。
※ 特に、『1期敗北を受け入れられるかは性格の問題もある。
再選に失敗した大統領に国民は冷たい。
1期目の否定は、すなわち「間違った人間を大統領にしてしまった」という国民の後悔の審判として刻印される。
この不名誉は元大統領の威厳すら相殺する力がある。
だから、アメリカの大統領は、1期大統領と2期大統領の間には、権威的に大きな質的差がある。「?時代」と名がつくのも通常2期務めた場合からだ。』、という部分は…。
※ なるほど、「1期大統領」は、『「間違った人間を大統領にしてしまった」という国民の後悔の審判として刻印される』わけだ…。
※ こういう視点は、無かった…。
※ バイデン氏にしても、『側近らが引退説得に失敗し、バイデン本人が2期目を目指すと言い出した』節(ふし)もあるわけか…。
※ そういう「底流」も、あるわけだな…。
※ もう一つは、『バイデン再選より共和党が怖れるのは、不測の事態の繰り上がりでリーダーシップに問題があると彼らが考える人間が大統領になることだ。』、という部分だ…。
※ そういう「人間臭い」、数々(かずかず)の「思惑(おもわく)」を巻き込んで、事態は推移していく…。
『論考シリーズ | No.152 | 2024.5.9
渡辺 将人 慶應義塾大学総合政策学部准教授
現職再選年でも「ドラマ」があった過去の予備選挙
アメリカの大統領選挙には「面白い年」と「面白くない年」が明確にある。もちろん「面白い」の定義にもよるが、同時代的な高揚感をもたらす候補者の意外性、そして(アメリカの選挙の真骨頂は党内バトルに凝縮されているので)予備選で多数の候補が接戦を繰り広げるかも基準になる。
現職が2期目を狙う再選選挙年は、現職側の政党ではシリアスな挑戦者が出て来ずほとんど予備選がない。1990年代以降の再選選挙は1992(ブッシュ父再選失敗)、1996(クリントン再選)、2004(ブッシュ息子再選)、2012(オバマ再選)、2020(トランプ再選失敗)。いずれも、現職側の予備選挙は無風に等しかった。
しかし、片方側だけでも十分に「ドラマ」はあった。
1992年民主党予備選では不倫から徴兵回避までスキャンダルの雪だるまになったビル・クリントンがしぶとく「カムバック」する過程はドラマに満ちていた。しかも、この年は第三候補のロス・ペローが民主党予備選に並行してメディアを賑わした。
1996年共和党の候補は重鎮ボブ・ドール上院議員で本選は予定調和的なつまらなさを象徴した選挙だったが、共和党予備選では『フォーブス』誌創刊者の孫スティーブ・フォーブス、右派イデオローグでトランプ派の精神的な起源でもあるパット・ブキャナンなどが大暴れした。
2004年民主党予備選ではバーモント州知事の左派ハワード・ディーンが初戦のアイオワ党員集会に向けて、オバマ陣営が後に真似た黎明期のSNS草の根組織を初めて構築した。いわばオンライン選挙技術史的に転換点になった予備選である。
2012年共和党予備選は、ティーパーティ旋風後最初の大統領選で、ミシェル・バックマンやロン・ポールなどティーパーティ派やリバタリアンが台頭し、ポールは3位につけた。隠れテーマはモルモン教(ミット・ロムニー)への反発というキリスト教内の宗教対立で、だからこそキリスト教右派に近いリック・サントラム元上院議員が「反モルモン/反ロムニー」票を集めて2位と大健闘した。財政保守、社会保守の双方にとって、ポスト9/11の「保守運動元年」的な予備選で、トランプ運動の源流が生まれた選挙年だ。
2020年民主党予備選は左派反乱の年で、バーニー・サンダースとエリザベス・ウォーレンが2巨頭的に善戦し、中道派は壊滅状態だった。バイデンに至ってはアイオワで最下位をウロウロし、中道派の強引な一本化工作とサンダース派への泣き入れの「手打ち」で辛勝した。
どの選挙も、予備選にこそドラマがあり、その予備選での勝ち方・負け方、指名の獲得の仕方が、本選での勝敗やと政権運営上の方向性や制約などのあり方に影響を与えた。その意味で言えば、2024年ほどつまらない選挙はない。2024年は事実上「予備選挙はあってなきが如し」であったという気すらする。
予備選挙が盛り上がらなかった3つの理由
2024年予備選挙にあっという間にけりがついたのは3つの理由によるだろう。
1:アイオワの共和党党員集会で、特定候補(トランプ)が早々に単独過半数をとってしまった。緒戦のアイオワとニューハンプシャーで勝者が割れ、その後も戦いがもつれ込むのが常で、いずれの年でもアイオワで単独候補が50%以上を獲得することはなかった。初戦でここまで特定の候補に独走されることに後続州の有権者は慣れていない。票を分散させる動機すら失せてしまう。
2:共和党候補に撤退者が続出し、候補者数が早々に絞られてしまった。トランプは後述するように「事実上の現職候補」である。「現職」に刃向かうハードルは高い。ハードルが高ければ撤退を誘発する。撤退して候補者が少なくなれば、単独候補の過半数が生まれやすくなる。そもそもが、今回の共和党予備選を通常のオープンな戦いとして論評するのは間違いであり、(一度お休みしている)「現職」が再選を目指している選挙と捉え直せば、諸現象がクリアカットに見えてくる。
3:民主党側で分裂が起きず、大統領への手強い内部挑戦者が出なかった。民主党側でバイデン下ろしが本格化すれば、民主党側で予備選が混戦化した可能性はあるし、それが共和党側に甚大な影響を与えたはずだ。バイデンが2期目を目指せなくなれば、バイデンとセットの「ハリス大統領」誕生も現実味を失った。バイデン再選より共和党が怖れるのは、不測の事態の繰り上がりでリーダーシップに問題があると彼らが考える人間が大統領になることだ。共和党穏健派が渋々トランプを許容するのはバイデン=ハリス阻止が課題だからでもあった。また、民主党候補が先手で「若返り」をすれば、トランプだけが高齢候補になり、共和党にも若返りの切迫感が生まれた。しかし、パレスチナを擁護する反戦デモの広がりにもかかわらず、民主党内での挑戦は起きなかった。間接的にトランプの勝利を支えたのは、バイデンの無風勝利を許した民主党だとも言える。
「1期大統領」で終わることの不名誉とトランプ
今年は事実上の「現職対決」だ。トランプは厳密には現職ではないが、大統領職ではバイデンの1つ先輩である(ホワイトハウス経験は副大統領を2期務めたバイデンが先輩であっても)。
トランプの敗北は、近年1期で敗北したカーターや父ブッシュとは異なり、勝利して選挙人を獲得できると見込んでいたいくつかの州では比較的僅差だった。それらの州の多くで「何らかの不正があった」とトランプと支持者が考えているならば、むしろ再出馬で勝利することで正当性を証明しようとするのは自然だ。
1期敗北を受け入れられるかは性格の問題もある。再選に失敗した大統領に国民は冷たい。1期目の否定は、すなわち「間違った人間を大統領にしてしまった」という国民の後悔の審判として刻印される。この不名誉は元大統領の威厳すら相殺する力がある。だから、アメリカの大統領は、1期大統領と2期大統領の間には、権威的に大きな質的差がある。「?時代」と名がつくのも通常2期務めた場合からだ。
カーターと父ブッシュは伝統的な政治家で、1期でお払い箱にされた日陰者の「身の処し方」を自覚していた。だが、トランプは実業家である。ワシントンの慣習に沿って「1期大統領は消えゆく身」で終わることを潔しとしなかった。2期目で何をやるかではなく、B級カテゴリーにされる1期大統領で終わりたくない、という強い執念を感じさせる。
民主党側もバイデンが「1期大統領」の腹を決めていれば、政局になっていた。民主党内でカマラ・ハリスをそのまま無風で大統領候補に望む勢力は皆無と言ってもいいからだ。ハリスの支持基盤になるべき女性、黒人、アジア系がそもそも彼女を一枚岩で支持していない。女性団体に至ってはハリス攻撃の震源である。
しかし、側近らが引退説得に失敗し、バイデン本人が2期目を目指すと言い出したことで、民主党内で刃向かうのは異色の第3候補的な候補に限定され、本命に近い候補は出馬を控えた。しかも、トランプが再出馬した上に共和党で勝利したことで、サンダース派や「スクワッド」派(女性4人組の新世代左派下院議員)などが反乱を起こせなくなった。ケネディJr.の挑戦は面白いが、ああいう人物は既存政党の指名を獲得できない。アメリカの現行制度では難しい。
こうして、歴史的にも極めて珍しい、「大統領職の経験者同士の対決」が発生した。
有権者心理として、4年前に「我が英雄」を抹殺した敵を倒すために「我が英雄」が再出馬するのであれば、支持熱は高まる。英雄に2期目を与えたい情熱以上に、英雄から勝利を「盗んだ」憎き相手への仕返しだ。相手がバイデンだからこそ復讐心は燃えたぎる。民主党の選択がトランプ熱をむしろ焚き付けている。
今年の共和党候補者には不運でしかないが、トランプが再出馬を表明し、バイデンが再選の意向を固めた時点で、ある意味では予備選はかなりの程度終わってしまった。決定打になったのは次回以降の寄稿で言及するイスラエルとハマスの衝突で、これが「ゲームチェンジャー」となり共和党内のトランプ収斂が加速した。
1892年以来初めての大統領経験者同士の「リマッチ」
さて、今回の本選には3つの異例がある。
第1に、大統領選に再出馬する元アメリカ大統領は歴史上存在するが、数はそう多くはないことだ。過去に6名。ヴァン・ビューレン、フィルモア、グラント、クリーブランド、セオドア・ルーズベルト、フーバーである。トランプ以前では84年前(1940年)のフーバーの挑戦まで遡らないといけない。元大統領の再挑戦の勝率は芳しくなく、6名のうちクリーブランドだけが再び大統領になることに成功し、 他のほとんどは政党の指名獲得にすら失敗している(一部は第3党的な政党で指名獲得)。
第2に、同じ座組での対戦すなわち「リマッチ」であることの珍しさだ。直近でも約70年前のアイゼンハワーの対戦に遡る。「トランプ対バイデン」(2020年、2024年)以前は以下の6つのケースがあった。
ジョン・アダムズ vs. トーマス・ジェファーソン(1796年、1800年)
ジョン・クインシー・アダムズ vs. アンドリュー・ジャクソン(1824年、1828年)
マーティン・ヴァン・ビューレン vs. ウィリアム・ヘンリー・ハリソン(1836年、1840年)
グローバー・クリーブランド vs. ベンジャミン・ハリソン(1888年、1892年)
ウィリアム・マッキンリー vs. ウィリアム・ジェニングス・ブライアン(1896年、1900年)
ドワイト・D・アイゼンハワー vs. アドレイ・スティーブンソン(1952年、1956年)
※ただ、1824、1836、1892は得票数トップの2名以外にも候補者がいた。
そして第3に、20世紀以降初めての大統領現職と元大統領の「リマッチ」であることだ。過去に「リマッチ」は6例存在しても、大統領現職と元大統領の争いとなると、さらにレアで4件のみ(上記1~4。しかも建国初期は厳密には大統領選挙の制度が現在と違った)。直近でも1892年のクリーブランドとハリソンの対戦でいずれも19世紀である。20世紀には存在しなかった。
19世紀当時は参政権が今ほど拡充しておらず、移民の多様化以前、さらにテレビもなかった。今はエスニシティも多様なら、テレビどころかネットもある。こういう時代に大統領職の経験者同士が同じ顔ぶれで「リマッチ」する。有権者心理も選挙キャンペーンの方法も何もかもが前代未聞である。
2名の「1期大統領」が2期目を争う異様な構図の功罪
歴史的な現象としてはレアで面白いはずなのだが、やはり人間の心理としては同じ顔ぶれを見せられても好奇心が高まらない。1992年のビル・クリトン、2008年のオバマ、いずれも「こいつは何者だ?」という生い立ちへの関心が盛り上がりにつながった。
トランプとバイデンには、もうあまり語ることがない。だからこそ、トランプになったらどうなる、バイデンが再選されたらどうなる、という「先読み」に報道が集中していると言える。本来であれば、候補者同士のキャラクター問題ではなく、政策論争を深める最大の機会でもある。しかし、実際にはそうはなっていない。
事実上両党「無風」の予備選(スーパーチューズデーで本格的な特番や特集を組む必要がないほど「無風」加減が際立っている)。同じ顔ぶれのしかも大統領経験者どうしの「リマッチ」。この耐え難くつまらない大統領選は、このままつまらないまま終わるのだろうか。
今回は面白さの質がいつもと違う、と前向きに見てみても良い。通常の大統領選挙では片方が「自分が大統領になれれば」という演説をする。しかし、今回は両方が「現職の再選」を目指す演説をする。1期目の成果・失政への原罪や攻撃を受ける脛の傷も同じだ。通常は「俺が大統領をやらせてもらえれば」「お前には務まらない」の応酬になるのに、「俺の政権ではこうだった。それに比べてお前の政権は」と「大統領(元・現)」同士がディベートする異様な光景になる。
この状況で議論を深めるには、両者への質問の当て方やメディアの議題設定の仕方を、大統領同士の戦いにシフトさせないといけない。しかし、トランプ叩きとバイデン叩きしか能がないワシントンの党派的な米メディアは、あいも変わらず、同じいつもの競馬レースとスキャンダル取材を繰り広げている。両方の候補者に「大統領としての失敗」の責任を問える珍しい選挙なのに、これではせっかくの異例のリマッチがいい試合にはならない。
無論、予備選挙は終わったようで終わっていない、という見方もある。この予備選結果のままで本選が行われるか、不確実性が例年とは桁違いだからだ。起訴されたり、健康状態に不安説があったり、党大会までに「何か」が双方で起きれば、指名争いは白紙に戻る。その意味でも「面白くない」ことも含めて、何もかもが異例の年である。
混乱の民主党シカゴ党大会の再現になるのか:「ベトナム反戦」のような空気感?
異例の年を更に複雑にしている最新の変数が、全米各地の大学キャンパスでイスラエルのガザ攻撃に対する抗議デモが相次いでいることだ。これは民主党を分断させ、痛手となる可能性がある。
一つの鍵はガザ攻撃には嫌悪感を抱くが大学デモには両手をあげて賛同していない遠巻きの「民主党内一般市民」と無党派層だ。この種のデモが社会で起きると、デモは参加もしないし、メディアのインタビューで意見表明もしないが、心の中では密かに応援している層も必ずいる。しかし、例えば大学以外の場にデモが拡大した場合、空港、地下鉄などインフラを危険な「戦闘の場」にされたりバリケードを張られたり、日常や商業活動を妨害されて一般市民の生活を不便にする抗議方法に拡大すれば、デモに対する「見えない共感層」も離反することがある。
デモ参加者だけがマージナルな存在として疎外されていく場合、民主党の主流政治家は彼らが民主党で中心的な勢力とならないように排除の論理を働かせるだろうが、「民主党内一般市民」と無党派層への影響を見極めるのは難しい。
バイデン陣営は「反トランプ」一致結束で、左派離反を抑え込んだものの、夏が過ぎても抗議活動が続くようであれば、ベトナム反戦運動の活動家が乱入して大混乱になった1968年大会と同じくシカゴ開催になる民主党大会が荒れるのではないか、との懸念も民主党内部にある。この動きに戦々恐々しているのは、バイデンに「何か」あった場合に名乗りをあげる構えのカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサムらである。反戦デモで党内分裂状態の民主党を引き継いでも、支持を固められる保証がない。
ベトナム反戦運動当時との違いにも留意が必要だ。
第1に、真ん中不在の分極化が先鋭化している政治状況だ。ベトナム戦争当時の左派は、活動家としては活発に組織化されていても、議会民主党など党内レベルではあくまでフリンジ(中心ではない縁)だった。今では主流を動かす影響力を持っている。フリンジが動きを起こしても、それは「押さえ込む対象」でしかなかったが、今はその活動のエネルギーが政党全体を乗っ取るだけの力を持ち得る。左派の英雄的な政治家が公に後押しすれば運動自体が党内分断の火種として残る。バイデン政権、バイデン陣営には頭の痛い問題になる。
第2に、ソーシャルメディア時代に起きるデモの影響の派生形の違いだ。2000年代半ばのイラク反戦運動は、初めてのネット時代の大規模な反戦運動だった。しかし、SNSスマホ時代の反戦運動となると今回が初めてである。相互の罵り合い、現地の凄惨な画像・動画、「偽情報」含め入り乱れる。キャンパスでの学生や教員の逮捕動画も報道されているが、同情のリポストと同時に、デモを揶揄する書き込みでコメント欄はすぐ埋まる。
ベトナム戦争は戦場の様子もデモも、メディア報道で断片的に全米の視聴者は目撃した。しかも、ベトナム戦争報道はフィルムを東京に運びそこからニューヨークに送るという手間のかかり方で戦場の映像はかなりの時間差で伝わった。現代の「この瞬間に爆撃が起きている」という同時共有感とは違う。
さらに戦争やデモへの賛否まで今はコメントで目に入る。SNSは基本的には違う意見に触れにくい原理を帯びてはいるが、たまに異論に触れても「これは一理ある」と自説を修正する前向きな機会になる作用は稀だ。むしろ、同じ現象や動画を見てもこんな真反対の反応をする人が同じアメリカ人にいるとは信じ難いという嫌悪感を増幅し、それがまた相手側への憎悪や対立感情を掻き立てる。戦争報道や一部の学生のデモ映像をメディアが流して、それをただ「鑑賞」していた時代とは違う。現場の一般撮影の動画がSNSに流れ、コメント込みで消費は膨らんでいく。上記のように一般市民の戦争自体への賛否と、大学デモへの賛否は微妙に違う。「場外戦」込みで対立意見が拡散し、自説や自らのポストに冷静さを欠いたコメントが付けられれば反感が湧くし、熟議なきままに分断だけが深まる。それは当然、様々な海外勢力を利する分断にもなる。選挙年なら尚更である。
第3に、今回のデモにはアメリカ国内のエスニック対立が絡んでいることだ。単なる「反戦」あるいは「反テロ」を訴えるものではなく、親イスラエル(デモへの反発)・親パレスチナ(デモ応援)の分断が色濃く、「反ユダヤ主義」をめぐる問題などポリティカル・コレクトネスも絡む。ジェノサイド批判や停戦がメッセージではあるが、パレスチナの旗とパレスチナにシンパシーを示すコスチュームがセットになり、反対側もイスラエルの旗を振る。UCバークレー、ウィスコンシン大学マディソン校など全米にはリベラルで学生が政治的な大学は山ほどある。しかし、今回の大学デモがコロンビア大学とニューヨーク大学という、2つのマンハッタンの大学で中心的に先鋭化したのは、これほどまでに凝縮された近い範囲でパレスチナ系、ユダヤ系、キリスト教徒やそれ以外のエスニック集団が量的に大規模に存在し、普段からある種の緊張関係にある地域はアメリカで他にないからだ。これは「反戦デモ」である以上にエスニック対立であり、海外ルーツ元の代理言論戦である。その意味で極めてアメリカ的でもある。また、これも付随的ではあるが、大学が警察を招き入れたことで警察官をめぐる賛否も分断の象徴になっている。黒人を含む現場の警官の職務執行を応援する立場と、マイノリティへの過剰暴力事件を定期的に起こす警官を悪魔化する声がますます分断を煽る。
「反トランプ」での結束を促すだけで、バイデン陣営と民主党連合がもつのか。予断を許さない状況が続く。
(了)
「SPFアメリカ現状モニター」シリーズにおける関連論考
アメリカ現状モニター「米国選挙(中間選挙・大統領選挙)関連論考などまとめ」
渡辺将人「2024年予備選挙目前報告④ 共和党編その2:大統領経験者としてのトランプと共和党候補者たち」
渡辺将人「2024年予備選挙目前報告③ 共和党編その1:党内4派トランプ評、対イスラエル攻撃『before』『after』」
渡辺将人「2024年予備選挙目前報告② 民主党編:バイデン再選戦略:『トランプ頼み』の党内結束」
渡辺将人「2024年予備選挙目前報告① 民主党『党員集会』消滅とポスト・コロナ時代の余波」
山岸敬和「大統領候補者が「不測の事態」に陥ったら・・・」
山岸敬和「『バイデンは2024年選挙に出馬すべきではない』身内からの声」
渡辺将人「2024年米大統領選挙、予備選挙の『異変』:アイオワ党員集会が消える?」
山岸敬和「2024年大統領選挙を理解するために―アダム・シャインゲイト教授に聞く―」
渡部恒雄「議会の過激な対中強硬シフトを懸念するワシントンの専門家」
西山隆行「ロン・デサンティスは2024年大統領候補になることができるか?―2022年中間選挙出口調査から見て取れる強さと弱さ」
』
米国の失業保険、申請23.1万件 約8カ月ぶり高水準
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09DVV0Z00C24A5000000/
『【ワシントン=赤木俊介】米労働省が9日発表した失業保険統計によると、米企業の解雇動向を映す4月28日?5月4日の週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は23万1000件だった。ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(21万4000件)を上回った。23年8月下旬以来、約8カ月ぶりの高水準となった。
週ごとの変動が少ない4週間移動平均は前週の改定値から4750件増加し、21万5000件となった。
4月21?27日の週間の総受給者数は178万5000人だった。前の週の改定値から1万7000人増えた。
米調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏は「複数の先行指標が、春季に失業保険の申請件数が大きく伸びることを指していた」と指摘。一方で、申請件数が増加傾向に転じたと断言するためには「高水準を推移するデータが少なくとも1カ月分必要だ」と述べた。』
グリコ、障害で売上200億円の損失…ベンダのデロイトに損賠賠償請求の可能性
https://biz-journal.jp/company/post_380797.html
『ほぼすべてのチルド食品(冷蔵食品)が、社内のシステム更新作業に伴う障害により出荷停止となっている江崎グリコ。4月初めに障害が発生し、出荷再開時期がいまだに未定という異例の事態を受け、同社は今月8日、システム障害によって2024年12月期の営業利益が60億円、売上高が200億円下押しされる見通しだと発表した。
業績に多大な悪影響が生じるため、グリコがシステム更新プロジェクトの主幹ベンダであるデロイト トーマツ コンサルティングに損害賠償を求めて法的手段を取る可能性も取り沙汰されている。今後の展開について業界関係者や専門家の見解を交えて追ってみたい。
グリコは業務システムについて、独SAPのクラウド型ERP「SAP S/4HANA」を使って構築した新システムへ切り替えるプロジェクトを推進してきた。
旧システムからの切替を行っていた4月3日、障害が発生し、一部業務が停止。その後、一部商品の出荷が停止となり再開されたが、「プッチンプリン」「カフェオーレ」「アーモンド効果」をはじめとする大半のチルド食品は再び出荷停止に。さらにキリンビバレッジから販売を受託している果汁飲料「トロピカーナ」や野菜飲料の出荷も停止するなど、影響は他社にも拡大している。
「これまで生産・営業・会計など部門ごとで分かれていた古いシステムを統合型システムに置き換えるというもので、大がかりかつ難易度が高い作業であると考えられます。
新システムへの移行が1年以上延期されていたということなので、もともと作業がうまくいっていないなか、そろそろ大丈夫だろうということで4月に移行作業を行ったものの、想定外の事態が起きたということだろう。
一般的にシステム開発においては切り替え・リリース前に何度もテストを実施して問題がないかを確認し、本番作業で発生しうるあらゆる問題を想定して対応プランを策定するが、本番作業がうまくいく前提でテストや障害時の対応プラン策定を適切に実施していなかった可能性も考えられます」(森井昌克氏/神戸大学大学院工学研究科 特命教授/5月4日付当サイト記事より)
当初、出荷再開について5月中旬としていたが、今月1日には出荷再開時期は未定だと発表。障害の原因特定は進んでいるが解消に時間がかかっているという。
「システム障害が原因で多くの商品が2カ月以上も出荷できないというケースは、あまり聞いたことがなく、異常な事態といっていい。
通常、あらゆる障害発生を想定してコンティンジェンシープランを立てておくものだが、いったん旧システムに戻して業務は継続するといったプランなどをきちんと準備していなかったのか。あくまで報道を見る限りでの感想だが、部門ごとに乱立していた何十年も使われてきたシステムをパッケージソフトを使って一気に大規模なERPに統合するという計画自体、リスクが大きすぎて、ちょっと無理があったのでは。
1年くらいの期間を設けて段階的に新システムへ移行していくという方法を取っていれば、今回のような障害は避けられた可能性がある」(大手SIerのSE/5月4日付当サイト記事より)
システム開発プロジェクトの内情
長期にわたる出荷停止により、グリコの業績は悪化する。同社は8日、24年12月期連結決算見通しについて、売上高は従来予想を150億円下回る3360億円(前期比1%増)に、純利益は従来予想を40億円下回る110億円(前期比22%減)に下方修正すると発表した。
損失はこれだけではない。4月22日付「日経クロステック」記事によれば、プロジェクトの当初の完了予定は22年12月であったが延期され1年以上の遅れとなり、投資額は当初の予定金額の1.6倍にも膨れ上がっているという。そのため、グリコが主幹ベンダのデロイトに対して、一連の損失について損害賠償を求めるのではないかという見方も出ている。
「システム更新の総投資額が340億円で、これが当初予定の1.6倍に膨れ上がった金額ということなので、その増加幅は100億円以上となる。加えて障害による減益分が60億円となると、トータルの損失額は計200億円近くになるとみられる。プロジェクトの遅延と障害の責任がグリコとデロイトのどちらにあるのか、またどちらの責任割合が大きいのかは分からないが、一般的に発注元と委託先ベンダのどちらかに100%の責任があるというケースは少なく、それゆえに双方が相手側に非があると主張して責任割合をめぐって揉めやすい。
日本企業同士であれば訴訟を回避したがる傾向があるため、協議して落としどころを探って“お互いに納得はしないけども、とりあえずベンダ側が損賠賠償として●円払うことで決着をつけましょう”となるケースもあるが、外資ベンダだと瑕疵を認めない傾向が強い。よって裁判に発展する可能性も高いと考えられるが、そうなると両者ともに多額の裁判費用が発生することになるので、“進むも地獄、退くも地獄”というIT業界的には最悪の事態にハマることになる」(大手SIerのSE)
別の大手SIerのプロジェクトマネージャー職はいう。
「語弊を恐れず言えば、発注元の企業は発注先のシステム開発会社を“下”に見る傾向があり、プロジェクトの途中で当初取り決めた仕様の変更を求めてきながら費用の増額は認めないということはザラにある。
一方のベンダ側も進捗が遅れたりバグを多く出してしまったりと発注元に迷惑をかけることは多々あり、要はお互いに、ときに損を被りながらも“持ちつ持たれつ”でなんとかシステムのリリースに持っていくというのが実情。
だが、それでは済まないレベルの遅延や損失が生じると、訴訟に発展する。
訴訟になると双方の担当者は過去の細かい一つひとつの事柄について当時の資料やエビデンスを探して、情報を整理して提出する羽目になり、まったく利益を生まない後ろ向きの雑務に膨大な時間を費やす。
そのため、できるだけ発注元企業もベンダも訴訟を避けようとするが、外資系ベンダの場合は訴訟もいとわず非を認めない傾向があるため、グリコとデロイトも裁判という流れになるかもしれない。
外資系ベンダはプロジェクト推進の段階で将来的に訴訟に発展した場合を想定して抜け目なくさまざまな施策を取っているので、グリコは苦しい戦いを強いられるかもしれない」
裁判では「要件定義」が重視
過去には大規模システムの開発中止をめぐって発注元企業とベンダが訴訟に発展するケースもある。
野村ホールディングス(HD)と証券子会社・野村證券は10年、社内業務にパッケージソフトを導入するシステム開発業務を日本IBMに委託したが、作業が大幅に遅延したことから野村は開発を中止すると判断し、13年にIBMに契約解除を伝達。
そして同年には野村がIBMを相手取り損害賠償を求めて提訴した一方、IBMも野村に未払い分の報酬が存在するとして約5億6000万円を請求する訴訟を起こし、控訴審判決で野村は約1億1000万円の支払いが命じられた。
テルモは物流管理システム刷新プロジェクトが中止となり、14年に委託先ベンダのアクセンチュアを相手取り38億円の損害賠償を求めて提訴。
また、12年に基幹系システムの全面刷新を中止した特許庁は、開発委託先の東芝ソリューション(現・東芝デジタルソリューションズ)とアクセンチュアから開発費と利子あわせて約56億円の返納金の支払いを受けることで合意している。
もし仮にグリコがデロイトに対して損害賠償を求めて提訴した場合、どのような事実認定がされると、デロイトに対し損賠賠償命令が出されることになるのか。
山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。
「新規のシステムを入れ替えたら顧客サービスが停止した、物流システムがダウンしたなどといったニュースをよく聞きます。こういったシステム開発にトラブルが発生する原因について過去の裁判例をみると、
・契約後、最初に行う『要件定義(※)』がしっかりとされていない
・システム開発を依頼する当事者は大手だが、その背後に、二次請け、三次請け、四次請けなどがあり、これらの管理がしっかりできていない
・システム開発を依頼するほうが、途中で『やっぱりこれはやらない』『これを追加して』などと、要求や仕様を変更することによる混乱
などが挙げられています。
※要件定義:一般的に、システム開発の依頼者が何を必要としているのかをまとめて整理し、具体的な進め方を決めること
要するに、契約時には何を完成させるか決まっていない、開発中にもっと良いものをといった欲が出るのが大きな原因です。
裁判では、『要件定義』が重視され、この『要件定義』通りにシステムが設計されていなければ開発業者に帰責性があると判断されます。
もっとも、上記の通り、途中で要求や仕様が変更されることがあるわけで、裁判では『最終的に何を開発しようとしていたのか』『そのとおりに開発されたのか』が争われます。
このため、要求や仕様の変更について一つひとつ『変更が合意されたのかどうか』『どう変更されたのか』を議事録などで明確にしておくことが大切です。
今回の場合も『要件定義』書や各種の議事録を振り返り、グリコ側の要求通りの開発が行われたのかどうか、しかもしっかりと記録として残っている要求であったのかどうかが議論されることでしょう。
なお、グリコ側が訴訟を提起したとして、その主張が認められた場合の損害額ですが、このようなビッグプロジェクトの場合、たいていの場合、
・こうなったらこうする
・こういう場合はこうする
といったことが事細かに決められております。おそらくシステムに障害が発生した場合の『損害額』についても予め、
・こういうことが起こった場合に、こういうことが認められる場合は、損害額は●●万円とする
と決められていることでしょう。
具体的金額はケースバイケースですが、『損害額はシステム開発費用の総額を超えない』『逸失利益に関する損害は、●●%までとする』などと定められることがあります」
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)
山岸純/山岸純法律事務所・弁護士
時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。
山岸純法律事務所
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/company/post_380797.html
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小野寺元防衛相、「東アジアで紛争が起きる可能性がある」との厳しい見方を示す
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2a6b1af55f84b958f0ca5b98e2ae2054baf4632e
『元防衛相で自民党の安全保障調査会長を務める小野寺五典・衆議院議員は5月8日、都内のフォーリン・プレスセンターで 「わが国の防衛と安全保障戦略」と題して講演し、外国メディア記者らとの質疑応答に臨んだ。小野寺氏は「東アジアで紛争が起きる可能性がある」と指摘し、そうした紛争を起こさないようにするために抑止力の向上が必要だと述べた。
●「東アジアは新たな冷戦構造に向かっている」
英国紙タイムズの東京特派員からの「東アジアは新たな冷戦構造に向かっているのか」との質問に対し、小野寺氏は「単純な答えを言えば、イエスです」と明確に回答した。
その理由について、小野寺氏はまず「日本は東アジアの中で、特に周辺国としては北朝鮮、そして台湾海峡をめぐって中国との関係を今まで意識してきた。ただ、今回ロシアがウクライナを侵略したことによって日本もロシアに制裁を科すことになった」と説明した。
続いて、個人的見方と前置きをしたうえで、「どこかの時点でウクライナでの侵略戦争は停戦を迎えると思う。その後、ロシアの恨みはどこに向かうか。それはウクライナを支援した国に向かうと思う。このことを警戒してか、EU(欧州連合)のいくつかの国は今回急にNATO(北大西洋条約機構)に加盟することになった。そして、日本はロシアとの友好関係を維持してきたが、今回の制裁により、ロシアとの関係がかなり厳しくなる」と指摘した。
さらに「既に日本近海でロシアの戦略爆撃機の演習が頻発している。おそらく極東のロシア軍も今後増強される。そして、ロシアと北朝鮮が強い関係で結ばれつつある。東アジアの緊張感はさらに高まる。それは西側と東側という冷戦構造に近くなる心配をしている」と述べた。
防衛大臣を3度も務めた小野寺氏が改めて日本を取り巻く安全保障環境の今後について厳しい見方が示しただけに、外国メディアからは関連の質問も相次いだ。以下がその動画となる。ぜひご覧いただきたい。
(関連記事)
●米太平洋陸軍司令官「アジア諸国は中国に対抗するためNATOのような協力体制に向かっている」
●「侵略戦争に対して必要最小限で国を守れるのか」反撃能力の保有めぐり河野前統合幕僚長が指摘
●「米国の核の傘は日本を果たして守るのか」河野前統合幕僚長が問題提起 冷静な国民的議論の必要性強調
●憲法施行75周年、9条と自衛隊の矛盾解消を
高橋浩祐
米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。』
習近平欧州歴訪、真の狙いは?
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7e4db719be2bcb82ee342e84447998ff0c96fb9a
『5月5日から10日にかけて、習近平国家主席はフランス・セルビア・ハンガリーの3ヵ国を歴訪した。フランスではフォンデアライエン欧州委員会委員長とも会っている。
主たるテーマは4月22日のコラム<欧米が恐れる「中国製造業の津波」>で述べた安価な中国製EVの津波だが、訪問先の3ヵ国とも親米的ではないという共通点を持っている。特にハンガリーが今年下半期はEU理事会の輪番議長国になることとともに、セルビアはアメリカによるユーゴスラビア爆撃の際の被害者意識で中国と固く結ばれていることも見逃してはならない。
◆フランス訪問
5月6日、習近平国家主席はフランスのパリでマクロン大統領と会談した。国交樹立60周年という記念すべき年ではあるが、2023年4月5日から7日にかけてマクロンが中国を国賓として訪問したことへの返礼でもある。
マクロンは訪中したときに「アメリカに追従するな!」と叫んだことで世界をアッと驚かせた。拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り上げるのはCIAだ!』では、一章分を特別に設けて【第三章 「アメリカに追従するな!」――訪中したマクロン仏大統領の爆弾発言】として詳述した。フランスはG7の一国であり、EUの主要国ではあるが、なぜフランスだけは自主独立的でアメリカに隷属しないのかを明らかにした。
アメリカの軍事基地もフランスにはない。
1950年に始まった朝鮮戦争で、中国人民志願軍の勢いに押されたアメリカのマッカーサー(連合国総司令官)が「中国に原爆を投下する」と発言したことから、毛沢東は原爆実験に取り掛かり、フランスのキューリー研究所から銭三強博士を呼び戻した。このときマリー・キューリーの娘イレーヌ・キューリーは毛沢東に「原爆を怖れるなら、自分の原子爆弾を持ちなさい!」という言葉を送り、かつ「もし中国が原爆実験に成功したら、フランスは中国と国交を樹立するでしょう」とまで言い切った。
その言葉通り、毛沢東が1964年に原爆実験に成功すると、フランスは中国と国交を樹立した。2024年は、その60周年記念なのだ。
日本のメディアは「アメリカの対中包囲網が強まる中、中国がEUに亀裂をもたらすために訪仏した」といった「常套句」のような解説が多いが、フランスと中国の仲は、あの朝鮮戦争以来のものだ。フランスはアメリカに隷属しないという自主独立の精神を基本的に崩したことはない(一時期、サルコジ政権で崩れたが、マクロン政権で元に戻っている)。
そもそも、中国がEU間の亀裂などを目的にフランスにすり寄ったと解釈するならば、以下の欧米首脳や政府高官の「北京詣で」は何のためにあったと説明するのだろうか?
●2023年12月7、8日:フォンデアライエン&ミシェル欧州理事会議長の訪中と習近平との会談
●2024年3月26、27日:オランダのルッテ首相の訪中と習近平との会談
●2024年4月1日:フランスのセジュルネ外相訪中
●2024年4月4日~9日:アメリカのイエレン財務長官が訪中
●2024年4月14日~16日:ドイツのショルツ首相の訪中と習近平との会談
●2024年4月24日~26日:アメリカのブリンケン国務長官の訪中と習近平との会談
・・・
といった一連の「北京詣で」はすべて<欧米が恐れる「中国製造業の津波」>のためであり、特に、4月26日のコラム<米メディアが分析する中国EVリチウムイオン電池の現在地 他の国は「数十年は追いつけない」>に書いた2023年5月16日のニューヨーク・タイムズの<Can the World Make an Electric Car Battery Without China?(中国抜きで世界はEV用バッテリーを製造できるのか?)>が根っこにある。
その証拠に5日午後にフランスに着いた習近平は6日午前中に早速マクロンと共にフォンデアライエンとの三者会談を行っている。この会議では、のっけからフォンデアライエンが非常に厳しく「EUは市場に溢れる中国工業製品の大規模な過剰生産を吸収することはできない」と述べ、通商調査とそれに伴う可能性のある制裁に言及して、「欧州は自国市場を守るために必要な厳しい決断を下すことに揺るぎはない」と言ってのけた。おまけに中欧関係は、中国の政府補助金によって傷つけられていると、彼女はどこまでも手厳しい。
しかし中国のEVが安いのは、くり返して申し訳ないが、4月25日のコラム<中国はなぜ安価なEVを生産できるのか?>あるいは4月26日のコラム<米メディアが分析する中国EVリチウムイオン電池の現在地 他の国は「数十年は追いつけない」>に書いたように、サプライチェーンが全て中国国内にあるからだ。加えて、EUのほとんどの国はアメリカの要求に合わせて対露制裁をしているためにロシアからの安価なエネルギー資源が入って来なくなってしまった。中国は、対露軍事支援はしないものの、対露制裁もしていないので、これまで以上に安価なエネルギー資源がロシアから集中的に入ってくる。そのために安価なEVを製造できるという側面も否めない。EUは対露制裁をしているだけでなく、対ウクライナ支援に国家財政の多くを費やしているので、工業製品の価格に差が出て来るのは当然だろう。
習近平は三者会談でフォンデアライエンの主張を否定したが、マクロンは特に習近平を責めるではなく、むしろ中国が反ダンピング調査をしているEU産(99.8%はフランス産)のブランデーをそっと習近平にプレゼントした。両者の間では「ブランデーに対する反ダンピング調査は、もうしませんよ」という暗黙の了解があり、マクロンは習近平に「オープンな姿勢に感謝する」と述べている。
EVに関しては、フランスはドイツに比べて立ち遅れており、6日午後のマクロンとの中仏首脳会談では、世界トップの中国のEV生産企業BYDの工場をフランスに作る計画に関して話し合っている。フランスで中国EVが生産されるなら、フランス人労働者も雇用先が増えるだけでなく関税の問題も無くなって何よりの解決策だ。
また習近平は、農業大国であるフランスからの農産物を大量に輸入することやフランスの航空機エアバスを50機も購入する(予定?)を約束するなどして、赤字貿易に苦しんでいるフランスを助ける姿勢を見せた。パリ・オリンピック期間の休戦にも賛同し、二人は意気投合して5月7日にはマクロンの幼少期の思い出の地、ピレネー山脈にも出かけて満面の笑みを浮かべた。これはマクロンが訪中したときに広州を訪問したことへの返礼だった。広州は鄧小平によって破滅させられた父・習仲勲が深?経済特区を思いつき改革開放のキッカケを創った、習近平にとっての思い出の地でもある。
◆セルビア訪問
7日の夜中になろうとも、何としても5月7日の内にセルビアに着きたかったのは、その日が旧ユーゴスラビアの中国大使館に対するアメリカによる爆撃の日だからだ。1999年5月7日にアメリカはNATOを率いて旧ユーゴスラビアを爆撃し、中国大使館への爆撃は誤爆だと主張したが中国は信じていない。なぜなら中国はNATOによるユーゴスラビア爆撃に反対していたからだ。
セルビアにおける習近平に対する歓迎ぶりは尋常ではなかった。セルビアの首都ベオグラードの空港に習近平夫妻が降り立った瞬間から道の両脇は熱狂的な歓声を上げるセルビア人と在セルビアの中国人の列で埋め尽くされ、8日、習近平とブチッチ大統領が政府庁舎のバルコニーに現れると、1万5千人の聴衆が雷鳴のような拍手と歓声で迎えた。 以下にその写真をご紹介する。
出典:CCTV
習近平は両国の「鉄板のように固い、揺るぎのない友誼」を讃えた。
NATOにもEUにも属さないセルビアは、中国からのEVやリチウムイオン電池にさえ関税をかけないという徹底ぶりで、習近平も一段とセルビアへの支援を強化している。中国のセルビアへの直接投資額はEU全体と同レベルにまで達し、一帯一路の中欧列車に関しては、上海‐ベオグラード直行便を増便し、航空機輸送に関しては広州‐ベオグラード間の直行便就航を奨励する。両国間の貿易額は7年前の7倍に達しているが、今年7月1日からは自由
貿易協定が発効する。
◆ハンガリー訪問
習近平はハンガリーの首都ブダペストに5月8日の夜に到着し、空港までハンガリーのオルバン首相夫妻が出迎えに来た。現在本稿を執筆している間(5月9日午前)、両国首脳会談が行われているだろうが、ハンガリーにはすでにBYDや寧徳時代など、EVおよびその動力となるリチウムイオン電池製造企業など数社が工場を設置しており、ハンガリーでEVが生産されるので、他のEU諸国のような問題が生じない。
したがって、フォンデアライエンが声高に主張するような対中批判は皆無で、今年国交正常化75周年を迎える両国は、いたって友好的である。
習近平のハンガリーに対する思惑は、冒頭に書いたようにEUの輪番議長になり、ハンガリーの立場を他のEU諸国に対して発信してくれることを期待しているものと思う。機会があれば、いま行われている会談結果を考察するかもしれない。
なお、習近平がイーロン・マスクと共にもくろむEVを中心とした「中国のパラダイム・チェンジ」に関しては、6月初旬に出版される『嗤(わら)う習近平の白い牙』で詳述した。
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。2024年6月初旬に『嗤う習近平の白い牙』を出版予定。 』
ガスプロムの、年産1000万トンの原油精製力がある「Neftekhim Salavat LLC」が、ウクライナの無人機特攻によって…。
https://st2019.site/?p=22085
『Defense Express の 2024-5-9記事「Ukraine’s Drones Reach 1,400 km: Strike on Oil Refinery in Bashkiria」。
ガスプロムの、年産1000万トンの原油精製力がある「Neftekhim Salavat LLC」が、ウクライナの無人機特攻によって炎上。この精油所は、前線から1400kmも離れているという。』
露軍は占領したアウディウカのコークス工場とケミカルプラントの設備を…。
https://st2019.site/?p=22085
『Sofiia Syngaivska 記者による2024-5-9記事「russia Loots the Avdiivka Coke and Chemical Plant and Ships the Equipment to Mariupol」。
露軍は占領したアウディウカのコークス工場とケミカルプラントの設備を根こそぎ取り外し、マリウポリへ運び去った。』
ドップラー効果
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C





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緊急車両のサイレンにおけるドップラー効果
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波の源が左に移る。周波数は右よりも左の方が高い。
ドップラー効果(ドップラーこうか、英: Doppler effect[1])またはドップラーシフト(英: Doppler shift)とは、音波や電磁波などの波の発生源(音源・光源など)が移動したりその観測者が移動することにより、波の発生源と観測者との間に相対的な速度が存在するときに、波の周波数が実際とは異なる値として観測される現象をいう。
概要
赤い音源が左手に向かって等速で動く場合。物体前方の周波数は上がり後方は下がる。前後以外の方向の周波数も変化する
公式証明用の時空間モデル(≠原図)
発生源が近付く場合には、波の振動が詰められて周波数が高くなり、逆に遠ざかる場合は振動が伸ばされて低くなる。
有名な例としては、救急車が通り過ぎる際、近付くときにはサイレンの音が高く聞こえ、遠ざかるときには低く聞こえる。
音についてのこの現象は、古くから知られていたが、オーストリアの物理学者、クリスチャン・ドップラーが速度と周波数の間の数学的な関係式を1842年に見出し、オランダ人の化学者・気象学者であるクリストフ・ボイス・バロットが、1845年にオランダのユトレヒトで列車に乗ったトランペット奏者がGの音を吹き続け、それを絶対音感を持った音楽家が聞いて音程が変化することから証明を試みた。
観測者も音源も同一直線上を動き、音源S (Source) から観測者O (Observer) に向かう向きを正とすると、観測者に聞こえる音波の振動数は、
f ′ = f × V ? v o V ? v s {\displaystyle f'=f\times {V-v_{\rm {o}} \over V-v_{\rm {s}}}}
となる。ここで、 f {\displaystyle f} : 音源の出す音波の振動数、 V {\displaystyle V} : 音速、 v o {\displaystyle v_{\rm {o}}} : 観測者の動く速度、 v s {\displaystyle v_{\rm {s}}} : 音源の動く速度
上記の f ′ {\displaystyle f’} を求める公式は右図の時空間モデルから導くことができる。
図の○は波の山、●は波の谷であり、音源は時刻 0 に原点を通るとしている。
速度 v o {\displaystyle v_{\rm {o}}} で原点から離れる観測者が聴く音の周期 T o {\displaystyle T_{\rm {o}}} は山と山の間隔の t 軸への射影であり、図の赤い2つの三角形は相似である。
光のドップラー効果
赤方偏移 光のドップラー効果の一例。左が太陽、右が遠方の銀河BAS11のスペクトル。吸収線(暗線)の位置の変移を測定することで光源の視線方向の後退速度を計算できる
光の場合でも同様の効果が観測され、遠ざかる光源からの光は赤っぽく見え(赤方偏移)、近付く光源からの光は青っぽく見える(青方偏移)。
しかし、光の伝播は特殊相対性理論に従うため、通常の波のドップラー効果とは違った現象を見せる。
そもそもドップラー効果の原因は、波源や観測者が波の媒質に対して速度を持つために波の山の間隔が変わる所にあるが、光は波源や観測者の速度によらず常に光速 c {\displaystyle c} で伝播するように観測されるので、山の間隔の変わり方が通常の波の場合とは異なってくる。
また、光の場合は波源が運動していると、特殊相対論的な効果によって波源上での時間の進み方が遅れて観測される。
これにより、波源から出る光の振動数が小さく観測される効果が付け加わる。
以上の効果によって、光源Sが観測者Oから見て角度 θ {\displaystyle \theta }の方向に速さ V {\displaystyle V} で運動している場合、Oでの光の振動数 ν ′ {\displaystyle \nu ‘} は、
ν ′ = ν × 1 ? ( V / c ) 2 1 ? ( V / c ) cos ? θ {\displaystyle \nu '=\nu \times {{\sqrt {1-(V/c)^{2}}} \over 1-(V/c)\cos \theta }}
となる。
ここで、 ν {\displaystyle \nu } : 光源の出す光の振動数、 V {\displaystyle V}: 観測者から見た光源の速さ、 c {\displaystyle c} : 光速、 θ {\displaystyle \theta } : 観測者から見た光源の動く方向( θ {\displaystyle \theta }=0 :観測者に向かってくる場合)
重要なのは、光の場合には光源が観測者の視線方向に対して垂直に運動しており、視線方向の速度を持っていない場合( θ {\displaystyle \theta }=90°)でも光の振動数が変化して見えることである。これを横ドップラー効果という。
光のドップラー効果は星虹(スターボウ)として観測が可能であるという説がある。
実用
実際の活用法としては、恒星などの天体の可視光スペクトルに見られる吸収線(フラウンホーファー線)の波長の理論値とのズレ(ドップラー・シフト)から、地球とその天体との相対速度を算出できる。
また、同じ電磁波におけるドップラー効果を利用したものとしてドップラー・レーダーがある。
原子炉のドップラー効果
原子炉の安定性にもドップラー効果は関係する。
中性子の核反応スペクトルにも熱運動によるドップラー幅がある。
温度が上がるとドップラー幅は広がり、その結果中性子の吸収が起きやすくなる。
これは温度が上がるにつれて系内の中性子が少なくなることを意味し、そのため核分裂連鎖反応は収束する方向となる。すなわち、核分裂連鎖反応は温度に対して一定の自己制御性をもっている。原子炉においては、このことを指してドップラー効果と呼び、温度上昇に対する反応度の低下の割合をドップラー係数という。
ドップラー効果を応用した装置
ロータリースピーカー - 上記効果など応用して音色を変化させるスピーカー。演奏時に使用される。
ドップラー・レーダー
近接信管
レーザドップラー流速計
スピード測定器
医療用超音波検査装置
ドップラー・ライダー
方向探知
測位衛星
脚注
[脚注の使い方]
^ 日本超音波医学会では、Dopplerの英語発音: [?d?pl?] に近い「ドプラ」と表記・発音する。
参考文献
Doppler, Christian Andreas、1842年『Uber das farbige Licht der Doppelsterne und einiger anderer Gestirne des Himmels』(Studnicka, Frantisek Josef 1903年 Konigl. Bohm.科学出版社再版)、ウィキソース:de:Uber das farbige Licht der Doppelsterne und einiger anderer Gestirne des Himmels、インターネットアーカイブ: ueberdasfarbigel00doppuoft.
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、ドップラー効果に関連するメディアおよびカテゴリがあります。
物理学 - 波動論
フェージング
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カテゴリ:
振動と波動音響工学物理現象物理学のエポニム
最終更新 2023年8月18日 (金) 10:32 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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