【速報】H3・4号機は、搭載衛星を分離した。打ち上げは成功した
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024110400365&g=flash
『2024年11月04日16時20分配信
H3・4号機は、搭載衛星を分離した。打ち上げは成功した』





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【速報】H3・4号機は、搭載衛星を分離した。打ち上げは成功した
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024110400365&g=flash
『2024年11月04日16時20分配信
H3・4号機は、搭載衛星を分離した。打ち上げは成功した』
TB-001 (航空機)
https://ja.wikipedia.org/wiki/TB-001_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)


『出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
TB-001
双尾蝎
2024年7月に撮影された機体
2024年7月に撮影された機体
用途:偵察・攻撃型無人航空機
設計者:
四川腾盾科技
製造者:不明
運用者
中華人民共和国の旗 中国人民解放軍
運用状況:現役
表示
珠海航空ショーで展示されたTB-001(2022年)
TB-001は、中華人民共和国の四川腾盾科技(英語:Sichuan Tengden Technology)が開発した偵察・攻撃型無人航空機[1][2]。BZK-005同様の双胴機で、2基のプロペラで推進するほか、エンジンを3基備えた型もある[2]。
概要
機体サイズは全長10メートル、翼幅20メートルで、航続距離は6000キロメートル、飛行高度は8000メートル[2]。最大離陸重量は2.8トン、ペイロードは1トンで、誘導爆弾やミサイルを搭載可能[2][3][4]。
中国国内では双尾蝎と呼ばれ、TW328 (TW-328A)と称されることもある[5][6]。
運用
中国人民解放軍が運用しているとみられるほか、2021年にサウジアラビア軍が購入契約を結んだ[2]。
2022年7月25日には、宮古海峡上空を抜けて太平洋に出て、台湾東方を南下してバシー海峡方面に向かい、日本の航空自衛隊戦闘機がスクランブルして警戒した[7]。
前年の2021年8月24日から26日にかけて、Y-9情報収集機・哨戒機各1機とともに宮古海峡から太平洋に出て戻る活動が確認され、空自は戦闘機をスクランブルさせて対応した[8] [9]。
2022年8月4日に発射され、台湾上空を飛行して日本の排他的経済水域に着弾した弾道ミサイルの誘導に、TB-001が関与していた可能性が指摘されている[6]。
2023年4月28日には台湾を半周する経路での飛行が確認された。この時、同機が経由した台湾東部の沖合では、直近まで空母「山東」が訓練を行っていた。そのため、国家政策研究基金会(中国語版)の掲仲・副研究員は「空母と連動している可能性がある」と分析している[10]。
派生型
TB-001 – 基本型。ハードポイントを8カ所備える双発機[11]。
TB-001A – ハードポイントが12カ所に増加。また、後部にエンジンが1基追加されたほか、翼端にウイングレットも追加されている[11][12][5]。
仕様
出典: [5][6]
一般的な特徴
全長:10メートル (33 ft)
翼幅:20メートル (66 ft)
全高:3.3メートル (11 ft)
最大離陸重量
TB-001: 2,800キログラム (6,200 lb)
TB-001A: 3,100キログラム (6,800 lb)
ペイロード
TB-001: 1,200キログラム (2,600 lb)
TB-001A: 1,500キログラム (3,300 lb)
パフォーマンス
航続距離: 6,000キロメートル (3,700 mi)
航続時間:1,000kgのペイロードで35時間
実用上昇限度
TB-001: 8,000メートル (26,000 ft)
TB-001A: 9,500メートル (31,200 ft)
武装
ハードポイント8箇所(TB-001)、12箇所(TB-001A)
搭載例
250kgレーザー誘導爆弾、FT-7滑空爆弾、FT-9誘導爆弾
AR-4空対地ミサイル、AR-3巡航ミサイル、FT-8D、FT-10空対地ミサイル
アビオニクス
見通し線で地上司令部との通信距離280km、衛星通信データリンクとの通信距離3,000km。
出典
^ 中国の偵察/攻撃型無人機「TB001」、単独飛行で太平洋進出 7/25 FLyTeam(2022年7月26日)2022年8月1日閲覧
^ a b c d e 東シナ海に飛来した中国人民解放軍ドローンTB-001とBZK-005の性能は?ミリレポ(2021年8月29日)2022年8月1日閲覧
^ Rupprecht, Andreas (21 January 2020). “Three-engined variant of China’s Tengden TB001 UAV makes maiden flight”. Janes.com. 2 November 2022閲覧。
^ “Tengoen TB001 Scorpion / TW328”. GlobalSecurity.org. 2 November 2022閲覧。
^ a b c “Tengoen TB001 Scorpion / TW328”. globalsecurity. 2023年11月27日閲覧。
^ a b c “中国の無人機 TB-001 が弾道ミサイルの着弾に関与していた可能性について(NIDSコメンタリー)”. 防衛研究所 (2022年10月4日). 2023年11月18日閲覧。
^ 「中国無人機が沖縄通過 太平洋抜け台湾方面へ飛行」『産経新聞』朝刊2022年7月26日5面(2022年8月1日閲覧)
^ 推定中国機の東シナ海における飛行について 統合幕僚監部(2021年8月25日)2022年8月1日閲覧
^ 中国機の東シナ海及び太平洋における飛行について 統合幕僚監部(2021年8月26日)2022年8月1日閲覧
^ “中国軍の無人機TB001、台湾の防空識別圏内で本島を半周…空母と連動で演習か”. 読売新聞 (2023年4月28日). 2024年7月13日閲覧。
^ a b “【中国・最新兵器】航空ショーに多種のドローン…ウクライナ戦で注目高まる中、途上国に輸出拡大狙いも?”. 日テレNEWS (2022年11月19日). 2023年11月27日閲覧。
^ “Chinese TB-001 Scorpion Drone ‘Encircled’ Taiwan”. The War Zone (2023年4月28日). 2023年11月27日閲覧。
ウィキメディア・コモンズには、TB-001 (航空機)に関連するカテゴリがあります。
表話編歴
中華人民共和国の旗中国人民解放軍の軍用機
カテゴリ: 中華人民共和国の無人航空機
最終更新 2024年7月13日 (土) 04:53 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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2025年に世界を巻き込む戦争の足音
本社コメンテーター 秋田浩之 〜「日本の論点2025」から
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD188BV0Y4A011C2000000/
『2024年11月3日 5:00 [会員限定記事]
北朝鮮・平壌国際空港で笑顔を見せる金正恩朝鮮労働党総書記(左)とロシアのプーチン大統領(6月)=AP
ロシアのウクライナ侵略により欧州は事実上、準戦時状態に入った。中東は全面戦争の危険がくすぶり、アジア太平洋でも朝鮮半島、東・南シナ海で緊張が高まる。これらの戦争や危機が生き物のように共振し、エスカレートする恐れがある。世界が第3次世界大戦に向かうシナリオも絵空事とは言い切れなくなってきた。
ロシアがNATOを攻撃する日
歴史は繰り返さないが、韻を踏むといわれる。現代史を振り返ると、第1次、第2次両大戦とも、欧州で始まり、たちまちアジア太平洋に燃え広がっていった。このような歴史を踏まえ、米欧や日本の安全保障担当者らの間では、最悪の展開として、次のようなシナリオを警戒する見方が広がっている。
ウクライナでの戦争が長期化し、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)諸国の緊張も高止まりする。ロシアによる欧州への軍事挑発が強まり、やがてロシアとNATOが直接ぶつかり、欧州大戦に火がついてしまう。それに乗じるように、北朝鮮や中国がそれぞれ朝鮮半島、東・南シナ海で強硬な行動に走り、アジア太平洋も一層、波立っていく。併行して、中東で紛争が広がり、世界は同時戦争の瀬戸際に向かってしまう……。
まず欧州では、ロシアに占領されている国土の約2割をウクライナが奪い返せるめどはたっていない。このまま長期戦になれば、国力上、見通しはウクライナに不利だ。
トランプ前米大統領が2025年1月に大統領に復活すれば、ウクライナが領土の一部をあきらめ、ロシアと停戦する筋書きを推し進めるだろう。ウクライナに譲歩を強い、ロシアに優位な形での停戦が決まった場合、ロシアのプーチン大統領はさらに強気になり、米欧への軍事挑発を強める危険が高い。彼にとって、ウクライナを影響下に置くことは最終目標ではなく、一里塚にすぎないからだ。
ウクライナで優位に立った場合、プーチン政権が欧州にしかけるとみられるのが、全面戦争には至らないものの、NATOをかく乱し、弱体化させるハイブリッド作戦だ。ロシアに隣接するエストニアを5月に訪れた際、当時のマーティン・へレム国防軍司令官に尋ねると、考えられる例として次のようなシナリオを挙げた。
「ロシア軍がヘリ部隊などを使い、NATOメンバーであるバルト3国の一部などに数週間、奇襲攻撃をしかける。多くの民間人を殺し、インフラを破壊する。そのうえで、NATO軍が本格的に投入される前に撤退してしまう」
以上のような奇襲をしかけられた欧州諸国はNATOに対し、ただちに集団的自衛権を発動し、ロシアに宣戦布告するよう求める。だが、メンバー国の一部から慎重論が出て、NATOは身動きできず、結束が崩れる……。こんな事態をロシアが狙っているというわけだ。
ロシア、北朝鮮 なりふり構わぬ連帯
こうした欧州の緊迫した空気は、アジア太平洋にも波及し、安定を損ねている。北朝鮮はロシアの求めに応じ、すでに数百万発の砲弾に加えて、弾道ミサイルをロシア軍に供与した。北朝鮮の金正恩総書記がプーチン大統領に対し約束した兵派遣についても、北朝鮮軍部隊がウクライナに入ったとの報道がある。
北朝鮮による対ロ支援は当然ながら、一方通行ではない。北朝鮮の動向に詳しい米国の元政府高官によれば、金正恩総書記はロシアに対し、新型ミサイルや衛星の技術に加えて、原子力潜水艦、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発にも協力を求めている可能性がある。
ロ朝は24年6月の首脳会談で、「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んだ。他国から侵攻された場合には国連憲章51条と北朝鮮、ロシアの法に基づき、「遅滞なく」「すべての手段で」軍事援助を提供すると記されている。北朝鮮は自信を深め、さらに向こう見ずな行動に走りかねない。
欧州の準戦時、中国には「漁夫の利」
中国も傍観を決め込んでいるわけではない。工作機械やドローン、衛星画像といった軍民両用品をロシアに流し続けている。24年7月にワシントンで開かれたNATO首脳会議は中国について、ウクライナ侵略を続けるロシアの「決定的な支援者」と名指しで批判した。
ここでも問題になるのは、中ロによる軍事協力がウクライナの苦境を深めるだけでなく、アジア太平洋にも深刻な火種をもたらしていることだ。第1に、ウクライナ侵略をつぶさに観察することで、中国は核兵器の価値の高さを学んだ。NATO諸国はウクライナに軍事支援を注ぎながらも、ウクライナに派兵するところまでは踏み込もうとしない。なぜなら、ロシアが核大国だからである。中国からみれば、「核攻撃の脅しは米国にも通用する」という自信を深めたに違いない。
第2に、中国軍とロシア軍は近年、アジアでの共同行動を増やしている。24年7、9両月に立て続けに共同演習をしたほか、中ロの空軍による日本周辺での共同パトロールも事実上、常態化しつつある。これらの共同演習やパトロールは、中国側が呼びかけた可能性が高い。中国軍としては台湾海峡や東・南シナ海でロシア軍との連携を見せつけ、日米をけん制する狙いがある。
冒頭でふれたように、中東の情勢も予断を許さない。敵対するイスラエルとイラン・親イラン勢力による応酬が続き、全面戦争を回避できるかどうかの綱渡りである。以上のような状況を考えると、残念ながら世界は同時戦争(第3次世界大戦)のリスクに直面していると言わざるを得ない。
この記事は「これからの日本の論点2025」から一部抜粋し、加筆・再構成しています。』
米大統領選、混戦のまま投票日へ 激戦7州3ポイント差内
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0336F0T01C24A1000000/
『2024年11月4日 13:43 [会員限定記事]
民主党のハリス副大統領は3日、「戦争を終わらせる」と訴えた=ミシガン州イーストランシング
【イーストランシング(米ミシガン州)=坂口幸裕】米大統領選は混戦のまま5日の投開票日を迎える。民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領は直前まで異例の接戦を繰り広げる。勝敗を決する激戦7州は3ポイント以内の僅差で、両候補は4日夜まで現地で支持を呼びかける。
残る選挙戦が2日間となった3日夜、ハリス氏が訪れたのは中西部ミシガン州イーストランシングだった。22分間の演説で真っ先に触れたのは中東問題だった。「ミシガンに深く誇り高いルーツを持つアラブ系米国人社会の指導者が集まっている」と述べ、アラブ系に支持を呼びかけた。
ハリス氏はイスラエルと親イラン勢力との戦闘が続くパレスチナ自治区ガザとレバノンに触れ「壊滅的だ」と言及。中東問題を発言中は一貫して厳しい表情を崩さず「大統領としてガザでの戦争を終わらせるために全力を尽くす」と断言した。
もともとアラブ系は民主支持者が多いものの、今回の選挙戦では長引く中東紛争が影を落とす。ガザでアラブ系のパレスチナ人犠牲者が増大してもイスラエル支援をやめないバイデン政権への反発はアラブ系のほか、民主支持層の若者にも広がった。
西部カリフォルニア州に次いでアラブ系人口が多いミシガンには同系の有権者が20万人超いるとされる。少数派とはいえ、激戦州ではわずかな票でも取りこぼせば勝敗に直結する。16年大統領選のミシガンの票差は1万ほど、20年はおよそ15万だった。
ミシガンは民主候補が1992年以降に勝ち続けてきた牙城だったが、2016年にトランプ氏が制した。20年は民主党候補だったバイデン大統領が奪還し、勝利につなげた。出口が見えないガザ情勢を受け、民主はトランプ氏や第三政党の候補に票が流れかねないと危機感を募らせる。
会場となったミシガン州立大に詰めかけた学生らに「すべての若いリーダーに米国の希望を見いだせる。(1990年代半ば以降に生まれた)Z世代を愛している」と訴えたのは、若年層をつなぎとめたい証左にほかならない。
16年の再現を狙うトランプ氏はくさびを打ち込もうともくろむ。1日にはアラブ系州民の半数が集中するディアボーンを訪れ、アラブ系米国人と面会。最終日となる4日には最後に演説する場所としてミシガンを選んだ。
10月30日にはX(旧ツイッター)に「私の政権時代には中東に平和が訪れた」と投稿。返り咲けば「カマラ・ハリスとジョー・バイデンが引き起こした問題を解決し、レバノンの苦しみと破壊を止める」とも書き込んだ。
米リアル・クリア・ポリティクスが集計した世論調査の平均によると、3日時点でミシガンのハリス氏支持率は48.4%、トランプ氏が47.6%と競る。8月に2ポイント超だったハリス氏のリードは縮んだ。他の激戦7州も3ポイント差以内にとどまり、終盤戦も一進一退の状況が続く。
過去2回の選挙戦の直前情勢を振り返ると、16年は前評判で劣勢とみられた東部ペンシルベニア、ミシガン、中西部ウィスコンシンという「ラストベルト(さびた工業地帯)」で競り勝ったトランプ氏が大統領の座をつかんだ。20年はバイデン氏がラストベルト3州を取り返したものの、事前調査ほど差はつかない辛勝だった。
現職の副大統領が大統領選で勝利した例はほとんどなく、ハリス氏が勝てば36年ぶりになる。1988年に勝利したレーガン政権の副大統領だったブッシュ氏(第41代)以前では、第8代大統領になったビューレン氏が1836年の選挙を制したケースまで遡る。
4年前に再選に失敗したトランプ氏が返り咲けば、1893年以来およそ130年ぶり2人目の米大統領になる。同氏は3日、ペンシルベニア、南部ノースカロライナ、同ジョージアを回った。
選挙戦は残り1日。ハリス氏は激戦州で最大の票田となるペンシルベニア州の3カ所で集会を開く。一方のトランプ氏はノースカロライナ、ペンシルベニア、ミシガンの3州を訪れる。
【関連記事】
・米大統領選、2000年は36日後に決着 僅差で法廷闘争に
・歌を忘れたアメリカ 大統領選が示す民主主義の衰退
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米大統領選、ハリス氏・トランプ氏 激戦州で最後の週末
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01DLB0R01C24A1000000/
『2024年11月3日 11:23 [会員限定記事]
think!
多様な観点からニュースを考える
前嶋和弘さんの投稿
前嶋和弘
ハリス氏㊧とトランプ氏は残り2日間を激戦州に費やす=AP
【ワシントン=坂口幸裕】5日投開票の米大統領選は2日、最後の週末を迎えた。民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が激しく競る南部ノースカロライナ州をそろって訪れた。残り2日間も激戦州に費やす予定で、異例の接戦となっている選挙戦は大詰めに入った。
ハリス氏は2日、ノースカロライナ州シャーロットで演説し「次の米国大統領として、その指導力を示す準備ができている」と述べた。南部ジョージア州アトランタにも立ち寄り、トランプ氏を念頭に「この人物は復讐(ふくしゅう)に執着し、抑制されない権力を追求している」と断じた。
ハリス氏がノースカロライナの空港に降り立った際、同じ空港にトランプ氏のプライベートジェットが駐機していた。2人が同じ州に入るのは4日連続となり、激戦州でしのぎを削る選挙戦の現状を物語る。
2日時点の発表によると、ハリス氏は3日に中西部ミシガン州に出向く。選挙戦の最終日となる4日は激戦州で最大の票田となる東部ペンシルベニア州の3カ所で集会を開く。人口が最大のフィラデルフィア、2位のピッツバーグ、3位のアレンタウンを訪れる。
最後の演説場所に選んだフィラデルフィアは1776年に独立宣言が採択された「建国の地」とされ、米国民に団結を促す。
トランプ氏は2日、ノースカロライナ州ガストニアで「我々はあらゆる攻撃、中傷、さらには2度の暗殺未遂さえ乗り越えてきた」と強調した。
2008年以降の大統領選で民主候補が勝ってきた南部バージニア州にも入った。「負けるはずがない」などと主張し、勝利に自信を示した。その後、ノースカロライナに再び戻って演説に臨んだ。
トランプ氏は2〜4日でいずれもノースカロライナに入る計画だ。「負けられない州」と位置づけている戦略が浮き彫りになる。
かねて共和優位の「レッドステート(赤い州)」といわれてきた。2008年を除くと1980年以降の大統領選で共和候補が勝ち続けてきたとはいえ、最近は僅差での勝利が続く。
米リアル・クリア・ポリティクスによる2日時点の世論調査の集計では、ノースカロライナにおけるトランプ氏の支持率は49.1%、ハリス氏が47.4%で競る。
トランプ陣営の2日時点の発表によると、3日にペンシルベニア、ノースカロライナ、ジョージア、4日にノースカロライナ、ペンシルベニア、ミシガンと1日に3州を訪れる。
最終日のペンシルベニアではピッツバーグのほか、4番目に人口が多いレディングでも演説。ミシガンで締めくくる。
【関連記事】
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多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説「激戦州で支持固め」ということ以上に「激戦州で支持固めを狙う」という「メディアイベント」。同じ州に入っても「イベント」が盛り上がるように両陣営は演説の場所も自分の支持層が多い地域を選んで進めます。
2024年11月3日 14:01
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7 』
迫る米大統領選、ウクライナ戦争で30年ぶり脚光の票田
編集委員 永沢毅
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD315EA0R31C24A0000000/
『2024年11月4日 5:00 [会員限定記事]
米大統領選の投開票が5日に迫った。ウクライナ戦争が始まってから初めて迎える今回の選挙戦で、冷戦期以来の注目を集める、とある票田がある。複数の激戦州で勝敗を左右するとみて、両陣営が三十数年ぶりに支持取り付けに力を入れる。こうした異例の展開は、揺らぐ国際秩序における米国の影響力の低下を映す。
民主党のハリス副大統領は、トランプ前大統領の復権阻止をポーランド系米国人へ訴えている=ロイター
「ドナルド・トランプは同盟国を攻撃するようプーチンをけしかけている」。民主党候補ハリス副大統領の陣営は9月半ばから、こんな広告をSNSで流し始めた。ターゲットはポーランド系の有権者だ。13世紀にポーランドが外敵に襲撃された故事を持ち出し、脅威に備えるべきだと警告した。
ハリス氏は9月10日に東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた大統領選の討論会でも「ここペンシルベニアにいる80万人のポーランド系米国人のみなさん」と呼びかけた。共和党のトランプ前大統領がホワイトハウスに返り咲けば、ロシアのプーチン大統領はウクライナの次にポーランドを標的にすると明言した。
共和党のトランプ前大統領は「自分が大統領ならウクライナ戦争はなかった」と吹聴するが…=ロイター
トランプ氏も負けていない。「私が大統領である限り、ポーランドはずっと安全だ。ロシアがウクライナを侵略することもなかった」。10月中旬、ポーランド系米国人のイベントにこんなメッセージを寄せた。ポーランドメディアのインタビューにも個別に応じている。
なぜポーランドなのか。ウィスコンシン大学のドナルド・ピエンコス教授らの推計によると、ポーランド系住民がペンシルベニアには州人口の5%にあたる75万人、中西部ミシガン州は同8%の78万人、同ウィスコンシン州は同8%の48万人ほど住む。
いずれもラストベルト(さびた工業地帯)の激戦州で、数千、数万の票の行方が結果を左右する。ペンシルベニアにはおよそ12万人のウクライナ系もいるが、ポーランド系はそれを大きく上回る。チェコやバルト3国などと比べても最大規模の移民コミュニティーを形成する。
共和党のフォード大統領はポーランドなど東欧への旧ソ連の影響力を巡る失言が一因で再選を逃した=AP
冷戦期の大統領選では、ポーランド系を含む中東欧移民の票田が選挙戦に影響を与えるケースがあった。一例は1976年だ。冷戦下の当時、東欧諸国がソ連の衛星国だったのは周知の事実だった。
それにもかかわらず、共和党の現職フォード大統領は討論会で「ポーランドがソ連に支配されているとは思わない」などと発言した。中東欧系の移民の失望を招き、民主党のカーター氏の勝利に一役買ったと言われる。
共和党のレーガン大統領も再選をめざした84年の大統領選で、ペンシルベニアで開かれたポーランド系移民の祭典に出席した。旧ソ連への強硬姿勢をアピールし、その歓心を買おうとする活動は珍しくはなかった。
「冷戦が終わると、ポーランド系米国人が票田として注目されることはなくなった」。ポーランド国際問題研究所ワシントン事務所のパヴェル・マルキエヴィッチ事務局長はこう話す。それから30年あまりが経過した今回の選挙戦で両陣営が活発な働きかけを再開したのは、2022年2月に始まったウクライナ戦争が状況を一変させたからにほかならない。
ポーランドは歴史上、ソ連時代を含めてロシアの侵略や支配を何度も受けてきた。ソ連崩壊後は北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、親米欧路線を明確にした。ウクライナ戦争でロシアへの警戒を改めて強め、隣国ウクライナから最も多くの避難民を受け入れている。ポーランド系米国人にとっても、どちらの大統領候補がルーツであるポーランドの安全保障に資するかは大きな関心事だ。
マルキエヴィッチ氏によると、ソ連や共産主義の支配といった記憶が残る高齢者の世代には、ロシアの脅威に備えるべきだとのハリス氏の訴えが響く可能性がある。
半面、多くは中絶に否定的なカトリックでもある。このため、女性が中絶を選ぶ権利を擁護するハリス氏よりもトランプ氏に共鳴する面がある。「世代によって優先するテーマが大きく違う。経済や移民を重視する人たちもいる」(同氏)
今回の大統領選は中東危機も影を落とし、イスラム系住民の多いミシガンでハリス氏の集票の足かせとなっている。イスラエルのネタニヤフ首相はバイデン政権が主導するパレスチナ自治区ガザの停戦合意に応じようとせず、むしろ事態の悪化に拍車をかけることで結果的にトランプ氏を側面支援している。
パレスチナ自治区ガザの衝突はハリス副大統領に打撃を与えている=ロイター
米大統領選は人種や民族の観点でみた場合、人口構成比で大きな割合を占める黒人やヒスパニックを狙った活動が主軸なのは変わらない。今回はイスラム系や中東欧系といった小さなグループまで目配りしなければ勝利はおぼつかない。
バイデン政権がより早い段階で欧州や中東での危機収束にこぎ着けられていれば、選挙戦が違った展開をたどっていた可能性は否定できない。激戦州でこれらの小集団がキャスチングボートを握っている現実は、「世界の警察官」役を降りた超大国の落日を浮かび上がらせる。
【関連記事】
・ウクライナが潤す米激戦州 トランプ氏を動かす経済効果
・米大統領選、アラブ系が「ハリスを捨てよ」 民主離れ進む
・「バイデン降ろし」の教訓 道徳性欠く変節、失望招く 』
歌を忘れたアメリカ 大統領選が示す民主主義の衰退
国際報道センター長 吉野直也
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2353F0T21C24A0000000/
『2024年11月4日 9:30 [会員限定記事]
米共和党の大統領候補トランプ氏の支援者集会近くで抗議する人々(10月27日、ニューヨーク)=ロイター
大正時代につくられた童謡「歌を忘れたカナリア」の歌詞はこう始まる。〽歌を忘れたカナリアは後ろの山に捨てましょか いえいえそれはなりませぬ 今回の米大統領選から「歌を忘れたカナリア」の歌詞を想起することがある。
歌詞は、歌を忘れてしまったカナリアは何の価値もないのか、という問いに、そうではない、と続いている。意味を巡る諸処の解説の一つは「歌を歌う」本分を忘れてしまったことへの戒めだ。
中傷や嘘でゆがむ道徳的な価値
米国にとって伝道師と自任してきた民主主義は本分に近い。大統領選はそのお手本と称されてきた。対立候補への悪口雑言や噓をいとわない3度目の共和党大統領候補、トランプ前大統領は民主主義のお手本ではない。
「悪口は慎みなさい」「噓をついてはいけません」。大人が子供に教えてきた道徳的な価値と、トランプ氏の発言は相反する。道徳的な価値は民主主義を支える根幹だ。
トランプ氏の誹謗(ひぼう)中傷や噓に鈍感になるのは、信じてきた道徳的な価値の倒錯を受け入れることになる。社会はやがて規律と秩序を失い、混乱を深める。
トランプ氏は大統領在任中にナチス・ドイツの独裁者ヒトラーについて「良いこともやった」と言及していたという。大統領首席補佐官を務めたジョン・ケリー氏が米紙ニューヨーク・タイムズに明かした。
格差社会に変化を求めるトランプ氏支持層
10月中旬、米国を訪れた。首都ワシントンから120マイル(約193キロメートル)離れた激戦州、ペンシルベニア州の州都ハリスバーグで、街中の人に取材した。7人に声をかけ、4人が答えてくれた。
民主党大統領候補のハリス副大統領支持2人、トランプ氏支持1人、どちらも支持しないは1人だった。印象的だったのは黒人男性コインさん(41)のトランプ氏支持の理由だ。
政治に求めたのは変化である。「ハリス氏は国民の期待をあおるものの、我々には何の恩恵もないだろう」と説明した。
米国の実質国内総生産(GDP)はこの30年あまりで2倍に成長した。超富裕層との格差も生まれている。米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏、著名投資家のウォーレン・バフェット氏、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏。
2017年のデータによれば、この3人の個人資産を合わせると、米国の下位50%の人たちの個人資産に匹敵する。
米国の23年の平均的な従業員の年収と最高経営責任者(CEO)の報酬には196倍の開きがあった。学歴に準じた所得格差も大きい。その不満が16年大統領選でトランプ氏を勝利に導いた。
20年大統領選でバイデン氏が勝ったにもかかわらず、トランプ氏の成功物語が続いているのは、民主党政権の失政にほかならない。トランプ氏の支持者はインフレや不法移民への対応を「明日のパン」の問題ととらえているからだ。
怒りを象徴するゴジラとトランプ氏
元青山学院大教授の会田弘継氏(共同通信客員論説委員)は近著「それでもなぜ、トランプは支持されるのか」で映画「ゴジラ」を用いてトランプ現象をひもといた。怪獣ゴジラは核実験で放射能を浴びて突然変異を起こした古代恐竜の一種で、南方で無念の死を遂げた戦死者の「亡霊」との筋書きだ。
会田氏は事実上の階級社会に絶望する支持者の怒りを代弁するトランプ氏と、戦死者の怨念を体現する「亡霊」ゴジラの類似性を指摘した。
もしトランプ氏がゴジラと同様に憎悪の成り代わりだとしたら、大統領選の勝敗に関係なく、その亡霊は徘徊(はいかい)する。
見過ごされた「炭鉱のカナリア」
日本は10月27日投開票の衆院選で自民、公明両党の与党は15年ぶりに過半数を割った。旧安倍派の議員を中心とする政治資金の不記載問題への反感が要因だ。衆院選は「明日のパンではなく、道徳的な価値」が争点になった。
構造改革が遅滞する日本の実質GDPはこの30年あまりで1.2倍とほぼ変わらず、「失われた30年」の「出口」はみえない。
日本に社長報酬額が従業員の100倍を超える企業はほとんどない。平均は9倍程度で、学歴による所得格差は米国と比較して小さい。独特の公平感が衆院選での関心を「道徳的な価値」に向かわせ、民主主義を機能させているとしたら、それも手放しで喜べない。
再びカナリアにまつわる話。「炭鉱のカナリア」は何らかの危険が迫っていることを知らせる前兆を指す。炭鉱で有毒ガスが発生した際に人よりも先にカナリアが察知して鳴き声を止めることで、警告を発する。
米国は8年前のトランプ氏の大統領選勝利を民主主義における「炭鉱のカナリア」と受け止めるべきだった。トランプ氏は20年大統領選の敗北を認めず、21年1月6日の米連邦議会議事堂の襲撃事件を扇動した罪で起訴された。
米国での民主主義の揺らぎは大統領選の候補選びにも表れた。共和党は終始「トランプ1強」、民主党はハリス氏が予備選を経なかった。
米国際政治学者ケント・カルダー氏は今回の大統領選を「両党とも民主主義の本質である競争に欠けていた。民主主義の機能が衰えた」と総括する。
「歌(民主主義)を忘れたアメリカ」になってしまうのか。米大統領選は接戦のまま11月5日の開票を迎える。
吉野直也(よしの・なおや) 政治記者として細川護熙首相から石破茂首相まで16人の首相を取材し、財務省、経済産業省、金融庁など経済官庁も担当。2012年4月から17年3月までワシントン駐在、12年と16年の米大統領選を現地で報じた。政治部長を経て23年4月から現職。ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「吉野直也のNIKKEI切り抜きニュース」を配信中
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<ハリス陣営最後の賭け>トランプ「危険な資質」徹底攻撃は奏効するか
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/35611
『2024年11月2日
「ファシストの大統領が返り咲けば、米国民主主主義は崩壊する」――。米大統領選の最終盤に入り、ハリス陣営は、無党派層向けにトランプ候補の「危険な資質」を徹底攻撃する大胆な賭けに出た。しかし、「経済」「移民」問題での劣勢挽回につながるかどうか、きわめて微妙だ。
大統領選終盤、ハリス陣営は大きな賭けに出た(AP/アフロ)
ハリス支持が伸びなかった3つのハードル
今回の大統領選でハリス候補は、選挙資金力、運動員の動員力、メディア露出、弁舌、人格的資質、人柄、年齢、バイタリティ、新鮮さなどいずれの面でもトランプ候補より優位な立場のはずだった。これといったスキャンダルや失態に見舞われることもなかった。
だが、投票日直前での世論動向調査では、トランプ氏がわずかながら優位かほぼ横並びの状態から抜け出せなかった。
なぜ、ハリス候補への支持は、陣営が当初期待したほど伸びなかったのか。立ちはだかったのが、「3つのハードル」だった。
すなわち、女性であり、黒人であり、さらにバイデン氏に代わり急遽、正式な大統領候補となってからの選挙期間がわずか3カ月の余裕しかなかったという事実だ。
まず、「女性大統領」誕生の壁の厚さを示した好例が、2016年大統領選挙だった。
ヒラリー・クリントン民主党候補はトランプ候補相手に大接戦を演じ、総得票数ではトランプ候補に300万票余の差をつけたものの、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンなどの重要州の大統領選挙人獲得レースで敗れ、辛酸をなめた。
その際の、両候補の男性有権者、女性有権者投票率を見ると、女性有権者ではクリントン候補(54%)がトランプ候補(41%)に大差をつけたが、男性有権者では逆に、トランプ候補(52%)がクリントン候補(41%)を引き離した。男性の間での対女性評価の低さを裏付ける結果となった。
さらに、有権者全体の40%近くを占める白人女性有権者投票動向を振り返ると、クリントン候補に対する投票率は43%にとどまっており、女性の間でさえも、「女性大統領」誕生に対するある種の抵抗感があったことを示している。
今回選挙においても、女性ゆえのハリス氏のハンディキャップはぬぐえない。投票日直前の支持率調査を見ると、ハリス氏に対する女性の支持率は53%を占めたが、男性支持率は36%にとどまった(ニューヨーク・タイムズ紙/シエナ・カレッジ調査)。
これまでの選挙戦通じ、トランプ候補のみならず、J.D.バンス副大統領候補も、女性としてのハリス候補侮蔑発言をたびたび繰り返してきたこと自体、こうした世論調査結果をある程度踏まえたものであることは間違いない。』
『「黒人候補」であることも、ハリス氏にとって不利な戦いを強いられる要因となった。
09年、米国史上初の黒人大統領となったバラク・オバマ氏の場合、前年11月大統領選で投票総数の53%を獲得、ジョン・マケイン共和党候補に8%の差をつけ勝利したが、白人票に限定した場合、マケイン候補(55%)がオバマ候補(43%)に12%もの大差をつける結果となった。
オバマ氏が再選を果たした12年大統領選においても、同氏に対する白人男性の投票率35%、白人女性投票率も42%にとどまった。
今回選挙での白人有権者動向について、ロイター通信の最新調査によると、男女合わせた白人支持率は、トランプ候補50%に対し、ハリス候補40%となっている。このうち、白人男性の場合、トランプ候補54%、ハリス候補36%と、大差がついている。
ハリス候補の第三のハンディキャップである時間的準備不足についても明らかだ。
トランプ氏は20年大統領選で敗退以来、再起を期して着々と態勢を整えてきた。あり余る時間を使い、さまざまな戦略構築、選挙スタッフの人選、資金集め、メディア対策に余念がなかった。
一方のハリス氏の場合、去る7月21日、バイデン大統領が再選めざした選挙戦からの突如の撤退を受け、いわば“代打”の形でのドタバタの出馬となった。本格的な選挙戦の態勢が固まったのは、8月に入ってからだった。
しかも、バイデン政権下の現職副大統領としての立場上、いきなり斬新な”ハリス色“を打ち出すわけにいかなかった。政策面でも不人気だったバイデン氏と異なる独自の政治理念をマスコミ向けにアピールする時間的余裕もなかった。
実際に、記者会見などの場で、「有権者にどんな候補者なのかのメッセージが伝わっていない」との批判にさらされ続けたが、無理からぬ事情があったことも事実だ。
ハリス陣営の突破口となった“爆弾発言”
しかし、こうした“逆境”の中、選挙戦終盤に入り、ようやくハリス陣営が攻勢に出始めた。 それが、トランプ候補の「危険体質」についての徹底攻撃だった。
その引き金となったのが、トランプ政権下で“首相”の立場にある大統領首席補佐官だったジョン・ケリー元海兵隊大将の“爆弾告白”だった。
首席補佐官就任前まで国土安全保障長官、大統領補佐官(国家安全保障担当)としてもトランプ大統領の信頼が厚かったケリー氏は去る10月21日、ニューヨーク・タイムズ紙との単独会見で「間違った人物を米国の最高ポストに就かせるのは非常に危険だ」として、在任中毎日のように身近に接触してきたトランプ氏の「人物評」について、次のような点を大胆に指摘した:
「彼はファシストだと思う。『ファシズム』の定義は、極右権威主義的であり、独裁的指導者に特徴づけられる超国家主義的イデオロギーと運動であり、中央集権化した専制体制、軍国主義、反対勢力の強圧的封殺だとすれば、まさに彼はそれに合致する。私の(彼との)接触経験から言えば、彼はそうした政府の在り様が国家統治の最善策と信じ込んでおり、彼は最右翼に位置し、全体主義者であり、実際に独裁者であるプーチンや金正恩を称賛している」
「彼は政治の在り方について、政府ではなく独裁体制がより好ましいと考えている。彼は、自分が世界最強のパワー保持者でないという事実を決して受け入れることはなく、そのパワーの意味するところは、あらゆることがいついかなる時でも自分の思い通りになることを指している。これまで自分のビジネスでやってきた通り、相手は自分の命じた通りに動き、思い通りに事が進むと信じており、命じたことが法に触れるかどうかなどは一切気に掛けることはない」』
『「彼は最近、自分の意思に従わない人物たちを“内なる敵enemy within”と呼び、軍隊を投じてでも対処する旨の発言をしたが、自らの政治目的達成のために国内での軍隊使用は極めて危険極まりない。それがたとえ政治的発言だとしても、そのこと自体あってはならないことだ。大統領在任中、我々側近たちから何度も、米国市民に対する軍隊使用はあってはならないことを伝えられたが、彼は納得がいかず、自分にはそうする権限があると頑固に主張してきた。そして今日またもや、軍隊使用を口にし始めていること自体、懸念すべきことだ」
「彼は、アメリカ民主主義の根本的価値に対する基礎的理解を欠いている。私が首席補佐官に就任後の最初の数日間、彼に対し、大統領は執務上、合衆国憲法への誓約を行い、それが個人的忠誠の上位にあることを何回にもわたって説明したが、彼はその何たるかを理解できず、法の支配についてすらも納得いかなかった。つまり、私的忠誠こそがすべてだと信じてきた。四軍の将軍たちに対しても普段から『わが大将(my general)』と呼んで私物化し、彼らが大統領の使用人ではなく憲法に対する従僕であることを理解できなかった…彼は何度か、ヒトラーを評価する言葉を口にした。彼は歴史への理解を欠いており、私はそのたびに諫言したが、『ヒトラーは良いこともした』などと反論された」
これらのケリー証言はただちに、他のメディアでも大きく取り上げられ、トランプ陣営はただちに火消しに追われた。
ここで“わが意得たり”とばかり、ハリス陣営が新たな動きに出た。
まず、ハリス氏自らがニューヨーク・タイムズ紙報道の翌日の23日、副大統領公邸執務室から、トランプ氏を酷評する以下のような異例のコメントを発表した:
「もし、トランプが再選されたら、もうホワイトハウスにはケリー首席補佐官のようなモノ言う人物がいなくなり、極めて危険な状況になる。彼は、憲法に忠誠を尽くす軍人を求めておらず、自分の個人的命令に従う軍人のみを必要としている。ユダヤ人600万人、そして数十万人のわが米国人たちを殺害したヒトラーを評価することは恐るべきことであり、彼はファシストの範疇に入る人物だ。私たちは彼が何を欲しているかを知っている。それは無制限の権力だ。問題は、大統領選の投票日まで残された13日間で、米国民が何を求めるかだ」
続いてハリス氏は同日夕、ペンシルベニア州フィラデルフィア近郊の市民会館で開かれた「タウンミーティング」に出席した際も、経済、移民問題などについてのひと通りの所感を述べた中で、トランプ氏個人の資質問題に数回にわたり言及、「トランプ大統領返り咲き」の危険性を聴衆に訴えた。
「トランプ候補はファシストと思うか」との質問にも、即座に「そう思う」と答えた。
覚悟を決めたハリス陣営
こうした動きに関連して、AP通信は同25日、「ハリス候補、投票日直前にトランプ個人に照準」の見出し記事を発信、「前大統領に対する恐怖感によってハリス支持者や態度未定有権者を少しでも自陣に引き寄せようとする賭けであり、アメリカン・デモクラシーという哲学的問題を一般市民の日常的関心事に結びつけようとする挑戦を意味している」との解説を加えている。
実際に、土壇場でのこのようなハリス陣営によるトランプ個人攻撃がどれほど票に結びつくかは未定だが、同28日付けのニューヨーク・タイムズ紙取材担当者共同執筆による詳細な分析記事は、「ハリス陣営側近者たちの間では、勝利の公算について『慎重な楽観論』が広がりつつある」として、以下のように伝えている:
「民主党のトップ・ストラテジストたちは、トランプ前大統領を『ファシスト』と位置付ける選対本部の企てが、接戦諸州への作戦拡大および妊娠中絶問題で意気盛んな女性有権者たちのパワーと相まって、ハリス候補を薄氷ながら勝利に導くことになるとして、これまで以上に気を良くしつつある。トランプ側近の何人かさえ、ヒトラーをたたえるトランプ候補に“新進の独裁者”のレッテルを張ろうとする動きによって、わずかだが(勝敗上)意味ある人数の有権者が投票態度を動かされることを心配している」
』
『「民主党当事者たちの間で、近代の大統領選挙の中でも今回ほど、投票日目前まで多くの州で大接戦となった例はないことを疑う人はほとんどいない。接戦諸州でのさまざまな世論調査結果でも、優劣は誤差の範囲内であり、1ポイントか0.5ポイントの違いが勝敗を決することを示している。しかし、最近の数週間こそ、両陣営の戦況が著しく拮抗するにつれて、民主党内で不安が高まった時期もあったが、今では『控えめな自信tempered confidence』が台頭している。そして、ハリス氏個人や党リーダーたちも、選挙戦開始以来の『ハリスは劣勢』だとしてきた自重気味の警戒感さえ破棄し始めた」
「民主党系政治献金団体の一部に異論があるものの、ハリス氏側近たちは、トランプ候補をファシズムと結びつける論陣が共和党穏健派を自陣に引き寄せつつあると信じている。民主党関係者たちも、(トランプ氏が当選した)16年大統領選挙以降、様々な議会選挙などを通じ、彼を『国家分断主義者』と形容することで勝利を得て来たことに自信を深めている。この点で、トランプ氏がヒトラーを評価してきたことや、ファシスト的思想の持主であることを暴露したケリー前大統領補首席補佐官の発言によって、態度未定のユダヤ系有権者が動かされることをトランプ側近の何人かも心配している」
国家分断との決別を呼びかけ
さらに、ハリス候補自身も、こうした「トランプの恐怖」に焦点を当てた個人攻撃に手ごたえを感じたのか、投開票まで残り1週間となった去る29日、ワシントンのホワイトハウス前広場の大規模集会で、これまでの選挙戦を総括する最後の重要演説を行った。
30分にわたる演説の中で、「トランプは国民を分断し、市民同士を恐れさせ続けるために10年間を費やしてきた」「彼はこの集会の場所に4年前に立ち、(バイデン氏を当選させた)民意を覆すために暴徒を議会に送り込んだ。今回の選挙は私たちに、わが国を自由の国にするのか、混乱と分裂の国にするのかの選択を求めている」などとして、集まった7万5000人近くの聴衆を前に、国家分断との決別を熱烈に呼びかけた。
演説はTVを通じ、全米に実況中継された。
果たして、こうしたハリス陣営の最後の切り札ともいうべき作戦が期待通りの成果につながるかどうかは、誰にも分らない。』
カマラ・ハリス 3つの悩み:
民主党史上最強の「ドリームチーム」か脆弱な「パッチワーク」か
https://www.spf.org/jpus-insights/spf-america-monitor/spf-america-monitor-document-detail_166.html
『論考シリーズ | No.166 | 2024.10.30
渡辺 将人
慶應義塾大学総合政策学部准教授
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今年8月に、ここ「アメリカ現状モニター」で公開した拙稿の最後で、「ハリスが政治家として絶対に譲れないものは何なのか。なぜ検事から政治家になったのか。どうして大統領になりたいのか。「哲学」と「物語」が見えないまま、「反トランプ」目的のためだけに神輿に担がれることは、彼女のためにもアメリカの民主主義のためにも、望ましくない。シカゴの民主党大会でその真価が問われる」と書いた1。
しかし、民主党大会で十分にそれは可視化されず、ハリス陣営はその後の本選でも無理に可視化させない戦略をとった。そこからは、ハリスが3つの内的な悩みを抱えながら本選を強いられている姿が見える。①予備選を経ていないこと ②人種属性問題 ③ バイデン政権である。これらは相互に複雑に絡んでいる。
予備選は政策論争の格好の場
予備選挙のない日本ではアメリカの予備選は「予選」程度に思われることが少なくない。しかし、予備選は単純な勝敗以上の重要性がある。それは政策議論だ。アメリカでの本当の政策議論は水と油の保守とリベラル同士では行われにくい。本選までいけば敵側の勝利を妨害するために味方に入れる論理しかない。しかし、それぞれの党内には、中道派と保守派あるいは左派の政策争点ごとのディープな論争がある。
近年、共和党側で鮮烈だったのは2012年予備選である。リバタリアンのロン・ポール下院議員がアイオワ党員集会で3位に食い込んだ。党外的な存在に追いやられてきたリバタリアンがティーパーティ運動で大躍進した。民主党側ではイラク戦争をめぐる論争が長引いた。2004年のジョン・ケリー候補はイラク反戦をまだ唱えられず「イラク戦争のフレッシュなスタートを」という「戦争肯定だが共和党ブッシュ政権の方法ではダメ」という腰抜け論法だった。この反動で得をしたのがイラク撤退を示唆した2008年のオバマだった。過去にイラク戦争に賛成したことは本命だったヒラリー失速の主因になった。外交安保、戦争をめぐる論争は政党間ではなく、民主党内の中道と反戦リベラルの論争の方が本質的だ。共和党と対峙するときのような逃げ口がないからだ。民主党ならマイノリティ重視で中絶の権利選択派なのは当たり前で、相手を人種や中絶の問題で悪魔化できない。予備選では曖昧な政策的立場や矛盾は、徹底的に追い詰められる。
2016年はバーニー・サンダースによる反TPP運動(ヒラリー落選運動)が象徴的だが、2020年のエリザベス・ウォーレンとサンダースの戦いも見事な政策論争だった。頑固に信念を貫くサンダースに対して、本気で大統領職を狙いったウォーレンが中道に傾いてUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ貿易協定)賛成に回った。NAFTA(北米自由貿易協定)批判の急先鋒で保護貿易の闘志だったウォーレンがUSMCA「には」賛成する矛盾をサンダース支持者に集中攻撃され、ウォーレンは潰れていった。
公的皆保険vs.保険会社の活用による保険加入者の拡大、再生エネルギーによる気候変動対策vs.化石燃料依存州の雇用、平和や貧困ではリベラルだが中絶反対で同性婚容認にも後ろ向きなカトリックvs.女性やLGBTQ、男性支配社会と闘うフェミニストvs.ジェンダー概念を超越するLGBTQなど、火種は無限だが、その政策優先順位をめぐるバトル(格差対策か人種正義かなど)にこそ、アメリカの政策論争の真骨頂がある。ここでは省くが共和党側にも同じ細かい論争がある。一律課税(フラット・タックス)を訴える小さな政府主義者もいれば、キリスト保守一本槍もいる。その論争が面白い。今年の共和党予備選は「事実上の現職」トランプ優位だったが、外交安保における「介入」「非関与」の温度差の可視化では有意義だった。
「社会運動」との相乗り:第1ラウンドとしての予備選
この党内論争が選挙前年の夏から1年も用意されていることで、あれだけ多様なアメリカが第3政党なしにたった2つの政党に収まることができている。アメリカでは選挙キャンペーンは社会運動と相乗りしている。労働、環境、公民権、ジェンダー、反戦、キリスト教保守、銃所持の権利、反連邦政府。どのようなシングルイシューでもそれを全米に広めるためにメディアが報道してくれる選挙戦に泡沫でも候補を立て、選挙戦を通じて主張をメディアで取り扱わせ、支持者を各州に広げる運動をやる。運動が主で、選挙が従だ。
公職に就くことが唯一の目的ではなく、負けること前提で声を届けるために運動が政党内に入り込んでくる。だからエネルギーがある。支持者は誰もが政党に上から投票を呼びかけられる受動的な存在ではなく、それぞれが「活動家」だ。あれだけ熱心で大規模な戸別訪問ができるのは社会運動だからだ。公民権、戦争、中絶。信念の先にそれを代弁させる候補がいる。この矢印感が重要だ。候補者や陣営は白人、黒人、ヒスパニック、それぞれ人口動態も産業も違う州で順に組織を作り、ローカルメディアの厳しい批判を受け、鍛えられていく。予備選の1ラウンド目でボランティアが集まり、州事務所は2ラウンド目の本選で自動的に動き出す。
アイオワの農村でも、サウスカロライナの黒人にも、ネヴァダの中南米系移民にも、認められたということが、党内説得性を高める。もちろん、すべての州で戦うわけではなく、スーパーチューズデーで結果が出てしまうことも多い。それでもわずか数州の激戦州の資源投入だけで決まる本選よりは、選挙資源の配分は多州に及ぶことが多く接戦長期化すればほとんどの州に戦いは及ぶ。
本選の激戦州は保守・リベラル有権者数が拮抗して、なおかつある程度の選挙人(人口規模)を有する州限定だ。保守、リベラルに偏る州は無視される。だが、保守州内の安保や税制論争、リベラル州内での上述のような政策論争こそ重要だ。予備選は同時投票ではなく州ごとで、先行勝利にムーブメント効果があるので「順番」が先なら小さな州も平等に重視される。一見、非効率に見えて、アメリカが予備選を大切にしてきたのはこのためだ。本選だけになってしまったら、非激戦州の声に陣営は耳を傾けなくなる。ミシガン州がたまたま激戦州なので同州にいるアラブ系有権者が接戦では重視されるが、安定的民主党州ではCMも流れないし候補者は集会に来てもくれない。50の州を単位とした現行制度自体を改めない限り、こういう格差は残る。
だから、現代のアメリカ人は一切の予備選の禊を経ない大統領に慣れていない。ニクソン退陣で繰り上がったフォードは1976年共和党予備選でカリフォルニア州知事(当時)のレーガンと接戦を繰り広げ、ケネディ暗殺で繰り上がったジョンソンは1964年民主党予備選で南部保守派のジョージ・ウォーレスの反乱に遭い、ロバート・ケネディ、ユージーン・マッカーシーらと争った1968年選挙は再選断念で撤退した。
本選勝利後の党内説得力と威信の礎としての予備選勝利
今回のハリスの予備選バイパスは、相手にトランプのような巨大な憎悪対象がいるためで平時ではあり得ない。予備選での勝利とは「党の平定」であり、勝利後の党内発言力と表裏一体だからだ。日本でも小選挙区で勝利するのと比例では有権者の信託の度合いが質的に違い党内地位に差があるように、予備選を通過していない正規の大統領候補の臨時「身代わり候補」は、本選で勝利したとしてもその後、党内では軽量に扱われてしまう可能性がある。法案を束ねる上で各派、各州のうるさ型の上院議員、下院議員、州知事を抑え込むだけの「重み」がないのだ。予備選はその候補を好んで選ぶ。本選は相手(例えばトランプ)が嫌だから選ぶだけだ。勝利後は各派のマグマが噴出して、恒常的に党内政局が続く政権になりかねない。
「ワシントンポスト」の記事にあるように2、バイデンの側近はハリス陣営に深く関与しておらず、元オバマ陣営を中心にヒラリー陣営などからスタッフが結集している。まさに民主党の選挙キャンペーン技術の総力戦である。上級顧問に就任したデイビッド・プラフは「地上戦の神様」で、オバマ製造人「2人のデイビッド」の一人だ(彼がYes, We Canの考案者という一部報道は間違いで、同スローガンは「空中戦の神様」デイビッド・アクセルロッドが、かつて別候補向けに考案したものを後にオバマに転用)。ミッチ・スチュワートは草の根組織(OFA)でオバマを外から支援してきたボランティア動員の達人で、今回は激戦州対策の上級顧問を務めている。「空中戦」とりわけメッセージングは、オバマ再選陣営で2012年にYouTubeを用いた速射反論を導入した広報のプロで、TVコメンテーター(パンディット)常連でもあるステファニー・カッターが担う。ヒラリー陣営からも大量投入されている。とりわけ司令塔的な権限を持つのは元2016年ヒラリー陣営で国内政策責任者だったマヤ・ハリス(ハリスの妹)である。
しかし、そもそも論だが、雑誌『外交』に寄稿した拙稿で書いたように、予備選を経ていない突貫工事のチームによる「本選」で、どこまで本領を発揮できるか未知数だ3。草の根組織や各州のボランティアは予備選で育てられるが、「ドリームチーム」も予備選をバイパスした選挙は未経験だからだ。成功すればキャンペーンの歴史に残る実験の成功であり、特殊な条件が揃えば予備選を経ていない候補でも本選で勝たせられる前例となる。
「帰国子女」インド系ハリスの「物語」封印:ブラック・イナフ?
2つ目のハリスの「地雷」は人種属性問題だ。ハリスは母親がインド出身一世、父親がジャマイカ出身一世で、母親に引き取られて育てられている。人種的には半分は黒人だが、文化的には家庭内ではアジア系とも言える。しかも、カナダのフランス語圏で育ったことがある「帰国子女」でもある。カナダはアメリカと文化も言語も近接していて、オバマの「インドネシア」ほどには異質な負の記号にはならないが、それでもアメリカの平均よりは国際的な人物だ。だが、とにかくアメリカは政治家には「単一属性」を求める。黒人と他のマイノリティが混ざる場合は、黒人属性を優先させることを求められる。拙稿で書いた通り「アジア系政治名鑑」ではインド系連邦上院議員として登録されていたハリスは、2020年大統領選挙出馬時に「黒人」を押し出した4。
2024年全国党大会以降、本選は「黒人」「人工妊娠中絶(必ずしも「女性」ではない)」の2大キーワードの集中打法で戦っている。これら2つは単に民主党の重要票田というだけでなく、ハリスにとって「十分に黒人なのか」(インド系との二重属性への疑念払拭)、「女性初の大統領として歴史に残るに相応しいか」(ヒラリー応援団からの承認の必要性)という2つの「因縁」と絡んでいるからだ。だから、党大会はあれもこれもと全方位で高望みせず、これら2つに絡む票田からハリスへの満点の拍手が得られる大会にできればよしとしていた。白人労働者、無党派層など目配りする余裕はなく、そこまで目配りすればピントがずれたからだ。
シカゴでの党大会はジャクソン、シャープトンら黒人牧師政治家に加え、スティービー・ワンダーの熱唱、オプラ・ウィンフリーの登壇も仕込んだ。オプラは2008年民主党予備選でオバマかヒラリーかで、オバマを選び、女性有権者を失望させた。オプラの番組は白人リベラル女性層にウケがよく、彼女たちは人種とジェンダーならジェンダーを選んでくれると信じていたからだ。満を持して「女性で黒人」の候補登場で、今回の党大会でオプラは視聴者に嫌われる事なく大統領候補支持の演説ができた。だが、その裏ではアジア系の大物政治家が直前にハリス陣営に大会での演説をキャンセルされ、一時アジア系政界は騒然とした。インドに関してはインド系俳優・コメディアンに1日だけ司会を任せることでガス抜きをした(党大会は日替わりで総合司会を誰かが務める)。
だが、インド系のルーツに触れられないキャンペーンは、ハリスの本領発揮には足枷だ。ヴァンスやオバマのような「物語」をハリスが語る能力がないというより、生い立ちについても政策と同じ「曖昧戦略」で乗り切ることにしているからだ。2008年オバマ陣営は楽だった。オバマの生い立ちDVDを冊子に挟んで予備選緒戦州の戸別訪問時に配布するだけで、次々に情熱的なファンが増殖した。複雑な生い立ちは武器になるのだが、それを説明する時間がいる。
オバマはハワイ生まれだが、母親が白人の異人種間結婚にして相手はケニア人留学生で国際結婚でもある。インドネシア人と再婚した母と継父とジャカルタに移住し、小学校時代はインドネシア語教育を受けた。母をインドネシアに残しオバマだけハワイに戻り白人祖父母に育てられ、本土の大学に進学してからは詩や小説の創作にのめり込んだ。シカゴ貧困街の住民活動で政治家を決意し、ハーバードロースクールを経て若くして自伝風小説を刊行。アメリカで生まれていない疑惑、ムスリム疑惑、オバマ家と親しい黒人牧師の反米発言、大麻疑惑などを1つ1つ潰していった。予備選で概ねの批判とスキャンダルが出尽くし、認め、謝罪し、反論し、党内議論も尽くすからこそ、本選は「濃い」オバマを売り込めた。
感動からはほど遠い「指名受諾演説」:政策ではなく「トランプ」が争点
ハリスは全人生をそのままストレートに伝えることもできない制約がある上に、論争も経ていない。オバマやヴァンスのような、政治家になる前に書いた本もない。だから「薄い」ハリスを売り込まざるを得ず、人工芝を天然のように見せるためのキャンペーンにどうしてもなる。本当は十分天然の素質があるのに人工芝で売り出すことになってしまったとも言える。現場は苦しんでいる。戸別訪問のボランティア学生が地域事務所に訴えるのは、有権者に「カマラはどんな人なのか?なにが哲学なのか?」と聞かれても答えられないもどかしさだ。事務所では「カマラについて説明する」無理な努力を強いず、話を「トランプ再来の悪夢」にすり替えることを指導している。
だからこそ、シカゴ党大会の指名受諾演説は、民主党内部の玄人筋の本音は、中道にしっかり寄せた政策は「合格」だが、インスパイアされる要素がゼロという微妙な評価だった。バイデン政権の綱領政策にも関与したある民主党の女性マイノリティ政治家はこう述べる。
(バイデン降ろし、ハリス担ぎについて)
「もしバイデンが早期に撤退していたり、再選を目指していなければ、カマラは民主党の候補者になっていなかった。彼女はタイミングと党内の選択肢の欠如の恩恵を受けた。カマラには「トランプは嫌だ」という政策しかない。これはトランプ反対票であり、政策への賛成票や支持票ではない。おそらく、今回の選挙はそういうもの」
(党大会指名受諾演説について)
「党としては大きな失敗は避けたかった。必要なことには触れたが、感動からは程遠い演説だった。候補者を紹介し、移民が共感できるようなストーリーを語る必要があった。女性票を固める必要から、中絶の権利と女性の選択の権利を強調する必要があった。陣営と民主党全国委員会が触れなかったのは、なぜ50%以上のアメリカ人が有色人種を恐れているのかということ。アメリカは白人を含むすべての人々のための国であるという感覚が必要。彼らはやるべきことはやったと思うが、私には響かなかった。オバマは希望を売り込んだが、カマラは同じように希望を売ることはできない。残念ながら、オバマのような説教者でもなければ、クリントンのような共感力を備えているわけでもない。それでも、民主党は勝たなければならない」
2008年のデンバー大会では、オバマが何か一言発すると参加者は泣きじゃくった。「アメリカが変わる」という期待感があった。ブッシュへのブーイングよりも、オバマのスローガンが響いた。2024年のシカゴ大会では泣いている人はほとんど見かけなかった。「アメリカが変わる」のではなく「アメリカが最悪の事態になることを防ぐ」感覚である。前掲拙稿(『外交』)でも記したように、シカゴ党大会前夜祭だったイリノイ州プリツカー知事主催の内輪のパーティで個別に意見交換したシューマー上院院内総務、ペローシ元下院議長ら幹部議員も、誰1人としてオフレコの場ではハリスのことを話題にしなかった。この選挙はハリスをめぐる選挙ではなく、トランプを止めるための選挙であり、政策ではなく「トランプ」が争点である。
そもそもバイデン降ろしに熱心な政治家が代役に彼女を望んでいたわけではない。ハリスとはカリフォルニア州司法長官時代にまで遡る不和があるペローシは、連邦上院にはアダム・シフ下院議員をずっと望んでいたし、同州ニューサム知事は献金筋の奪い合いでハリスと衝突してきた。その彼らが党大会点呼投票でテレビカメラの前で仲良く並んで「ハリスを支持します」と叫んでいるのだから、カリフォルニア州地元記者でなくてもシュールな光景に失笑も漏れた。
3つ目の悩みとしてのバイデン政権の重荷
そして3つ目のハリスの悩みは「バイデン政権」である。ハリスはバイデン政権の現職の副大統領であり、バイデン政権の政策に責任がある。もちろんメリットもある。マルチの外交舞台での写真は「外交成果」としてキャンペーンのビデオにも活用されている。バイデンの組織と資金を全て受け継いだ。選挙に弱いはずのハリスが、民主党史上最強にして最大の選挙マシーンの頂点に担がれている。全てバイデンのおかげだ。
だからこそハリスは党大会初日、サプライズ登壇をして「ありがとうジョー」と感謝した。ハリス陣営は初日を「バイデン感謝デー」にした。「まるで一般教書演説」と参加者に陰口を叩かれた総花的なバイデンの「さよなら演説」や、バイデン家の面々の演説が予定時間を超過して押しに押した。閉会が24時を回り、代議員や連邦議員と同行していた筆者が長い列に並んでシャトルバスでホテルやシカゴ市内の家に戻れたのは午前1時から2時近くになっていた。「史上最悪のロジスティクス」「あんなに長い演説をなぜバイデンにさせたのか」「詰め込みすぎ」と党内では批判の嵐だったが、馬耳東風とばかりハリスはことあるごとに「サンキュー、ジョー」と呪文のように唱え続けている。気の毒なくらいバイデン家に気を遣っている。
しかし、足枷もないわけではない。本選直前になって、民主党の内部がしばしば荒れている。筆者がオブザーバー参加しているキャンペーンの会議やメーリングリストでも、誰かが発作的にある種の「危険な話題」を出しては、全国委員会や陣営側が「今は勝つこと」「政策を論じあわないで!」と慌てて抑え込む光景が再三繰り返されている。「政策の話はしないで!」とは何とも不穏当だが、結束ムードの場が白ける「危険な話題」の筆頭は言うまでもなく「イスラエル」である。
(次稿に続く)
(了)
渡辺将人「民主党左派とカマラ・ハリス:『擬似サンダース政権』継続圧力と予備選の洗礼なき指名の功罪」(『アメリカ現状モニター』No.158、2024年8月12日)https://www.spf.org/jpus-insights/spf-america-monitor/spf-america-monitor-document-detail_158.html, accessed on Oct. 28, 2024(本文に戻る)
Michael Scherer and Tyler Pager, “Harris hires Obama campaign veterans to join 2024 effort, replacing Biden loyalists David Plouffe, Stephanie Cutter and Mitch Stewart are joining the effort.”, The Washington Post, August 2, 2024, https://www.washingtonpost.com/politics/2024/08/02/kamala-harris-hires-new-senior-strategists-campaign-expands-portfolio-others/, accessed on Oct.28, 2024 (本文に戻る)
渡辺将人「『大統領候補ハリス』と民主党の分断」(『外交』Vol.87 p.14-19、2024年9月) http://www.gaiko-web.jp/test/wp-content/uploads/2024/09/Vol87_p14-19_Presidential_candidate_Harris.pdf, accessed on Oct. 28, 2024 (本文に戻る)
渡辺将人「【特別転載】アメリカのエスニック『部族主義』ハリスとオバマともうひとつの人種問題」(『アメリカ現状モニター』、2024年8月3日)https://www.spf.org/jpus-insights/spf-america-monitor/spf-america-monitor-document-detail_xxx.html, accessed on Oct. 28, 2024 (本文に戻る)
「SPFアメリカ現状モニター」シリーズにおける関連論考
アメリカ現状モニター「米国選挙(中間選挙・大統領選挙)関連論考などまとめ」
渡辺将人「ウォルズ夫妻と中国:天安門事件の年から、広東とチベットに広がった「物語」
渡部恒雄「10月7日ハマスのイスラエルへのテロから一年:中東と国際秩序は危険水域に入った」
渡辺将人「ヴァンスはオバマと同じ「物語候補」 -Dreams from My FatherとHillbilly Elegy」
西山隆行「J.D.ヴァンスの副大統領指名と共和党のトランプ党化、その限界」
渡辺将人「民主党左派とカマラ・ハリス:「擬似サンダース政権」継続圧力と予備選の洗礼なき指名の功罪
渡辺将人【特別転載】「アメリカのエスニック「部族主義」ハリスとオバマともうひとつの人種問題」
中山俊宏「ヒルビリー・エレジー的言説がどうしても必要だった理由」
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