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フィリピン沖に日米仏「空母」初集結 多国間連携が進化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA05AET0V00C25A2000000/『2025年2月13日 11:00 (2025年2月13日 11:51更新)
並走する護衛艦「かが」と米仏軍の空母=防衛省提供
自衛隊、米軍、フランス軍が18日まで、それぞれの「空母」をフィリピン沖に集結させる初めての共同訓練を展開する。航空機を空母から離艦・着艦し、中国やロシアの動きを念頭にインド太平洋地域の抑止力向上に取り組む。米国のトランプ新政権下でも多国間連携を継続する姿勢を示す場となる。
2022年から始まったロシアによるウクライナ侵略や北朝鮮の兵士派遣などをきっかけに、欧州・大西洋とインド太平洋地域の安全保障は連動するようになった。フランスをはじめ欧州各国はアジア太平洋地域への関心を急速に高めている。
フランスの空母を中核とする艦艇部隊が太平洋地域に展開するのはおよそ60年ぶりとなる。中谷元防衛相は7日の記者会見で「インド太平洋に対する(フランスの)関与の意思と能力を示す証左だ」と強調した。
日米仏3カ国はフランス軍の太平洋派遣に合わせて共同訓練を10日から始めた。訓練区域となるフィリピン東方の海空域は、中国が防衛ラインに定める「第1列島線」(九州―フィリピン)と、「第2列島線」(小笠原諸島―米領グアム)の間に位置する。
中国軍の艦艇が日ごろから航行するエリアで、潜水艦や航空機との戦闘を念頭に置き3カ国の部隊連携の手順などを確かめる。
日本から事実上の空母化に向けて改修する護衛艦「かが」、米軍の原子力空母「カール・ビンソン」、仏軍の原子力空母「シャルル・ド・ゴール」が参加する。
空母は搭載する戦闘機などの離着艦ができる。地上の航空基地だけを持つ場合と比べて航空戦を展開できる範囲が飛躍的に拡大する。
「かが」には最新鋭のステルス戦闘機「F35B」を搭載予定で、28年度にもすべての改修を終える。同様に空母化する護衛艦「いずも」とともに日本の海上防衛の中核を担う。
米仏軍が派遣した原子力空母は艦内に原子力のエネルギーで動く。長時間航行できるのが特徴だ。ほかの艦艇と比べて戦闘能力が高く、空母が特定の海域にいるだけで抑止力になるともいわれる。
自衛隊と欧州各国の軍との連携も強まっている。
フランスとは部隊間の相互往来と共同訓練に関する手続きをスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の締結に向けて24年から交渉を始めた。
24年7月には仏空軍と航空自衛隊の戦闘機が百里基地(茨城県)周辺で訓練した。仏陸軍も9月に陸上自衛隊と日本国内でゲリラ戦を想定した共同訓練を開いた。
フランスは太平洋国家という一面がある。植民地時代の名残で太平洋にニューカレドニアや仏領ポリネシア、インド洋にレユニオンやマヨットなどの海上領土を持つ。19年にインド太平洋地域に特化した国防戦略を策定した。
24年にはトルコやオランダ、ドイツの軍艦が日本へ寄港したほか、イタリア軍は軽空母を送った。
25年は英軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」を中核とする空母打撃群が日本への寄港を予定する。共同訓練も展開する見込みで、このタイミングで自衛隊は英国軍の艦船や航空機を守る「武器等防護」を適用することも検討している。
日本と欧州の部隊協力はアジア周辺での抑止力向上につながる。日欧が地理的に離れていてもアジアの安全保障に関与する姿勢を示すことで、中国やロシア、北朝鮮の動きを一定程度抑える効果を見込む。
元海将で金沢工業大の伊藤俊幸教授は欧州諸国の動きについて「北大西洋条約機構(NATO)が22年6月に採択した新たな戦略概念に基づくものだ」と話す。戦略概念は中国が「体制上の挑戦」を突きつけていると明記し、インド太平洋の各国との対話と協力を深める方針を示した。
海上自衛隊にとって「多国間での抑止力の強化や部隊間の相互運用性の向上、外交関係の強化といった戦略的なメリットが大きい」と説明する。』
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金融市場1
銀行の特殊性:ボルカールールの背後にある考え方
https://www.nri.com/jp/knowledge/publication/kinyu_itf_201005/files/itf_201005_3.pdf『米国の金融規制見直しに関する「ボルカールール」のうち、資産規模の制限はシステミックリスク抑制
に有効となりうる。これに対し、自己勘定での取引やヘッジファンドへの出資等の制限は、長い目で見
て銀行の公共機関化に繋がり、イノベーションを通じた利便性を損なうことへの懸念が伺われる。システミックリスクの防止
米国の金融規制見直しを巡る議論の終盤に登場した
「ボルカールール」が、上下院で調整される法案の中に
どう盛り込まれるかは、本稿の執筆時点(4月初)で不
透明である。ただ、「ボルカールール」の考え方は金融
規制が対象とすべき問題は何かという重要な問いを含ん
でいる。「ボルカールール」を、オバマ政権が3月初に上院銀
行委員会に提示した骨子と捉えれば、①銀行の総資産規
模の制限、②銀行による自己勘定取引の制限(対顧客関
連を除く)、③銀行によるヘッジファンド等への出資制
限、という3つの柱に集約できる。このうち①は、「to
big too fail」に伴うモラルハザードを防止するには、
個々の銀行の資産規模を一定の範囲に制限すべきとの考
え方に基づいている。①に対しては、金融業界を中心に
強い批判がみられる一方で、今回の危機で生じたような
システミックリスクの再発を防止する上で、相応の意義
を認める意見も聞かれる。今回の危機では、証券化商品のような同種の資産に対
する大きなエクスポージャーを有する金融機関や投資家
が数多く存在したため、資産の評価額が下落した結果と
して、これらの主体が相互に決済関係を有していなくて
も同時に大きな損失を被った。このような同時かつ巨額
の損失が、情報開示の不備と相俟って、取引相手に関す
る疑心暗鬼を広範に発生させたことで、金融システムの
機能を大きく低下させた訳である。従って、こうした事
態の再発を防止するには、個々のプレーヤーが特定のエ
クスポージャーを大量に抱えないようにすることが重要
となる。上記の①は、原案では銀行を対象としており、
より広い範囲のプレーヤーを対象とするよう修正するこ
とが望まれるが、いずれにしても、個々のプレーヤーに
よるエクスポージャーの規模に制限を加えることは、今
回のようなシステミックリスクを防ぐ上での「必要条
件」として相応の意味を有することとなる。ただし、今回の危機で経営破綻に瀕したプレー
ヤーを扱う上でより深刻な問題となったのは、 資産
規模自体というよりも、取引関係の複雑さ(「too
interconnected to failj)であったことも事実である
ため、米国では、①が最適な対策とは言えないといった
批判もみられる。こうした批判自体は確かに正しいが、
「too interconnected to failjに直接に対応しうる
政策手段が見出しにくいことを考えれば、筆者は、現実
性の点からみて、①がいわば次善の策として少なからぬ
意義を有すると考えている。銀行の特殊性
—方、「ボルカールール」の②や③のような規制は、
銀行が銀行預金という決済手段を提供している点で特殊
性を有し、従って、強力な金融規制の下に置くべきであ
るという伝統的な考え方を反映している。企業は預金口
座を通じて資金の受払を行うし、個人も、給料を口座振
込みで受取り、公共料金の支払やカード払いの返済など
を口座引落しで行っている。これらが機能しなくなれば
経済活動は麻痺するだけに、銀行預金という決済手段は
公共性の高いインフラであって、強力な規制によって保
護される必要があるということである。こうした観点による規制の焦点は、銀行の資産内容で
野村総合研究所金融市場研究センター
〇 ©2010 Nomura Research Institute, Ltd. AH rights reserved.
essacie
ある。銀行は預金者に対して預金の元本と流動性を保証
しているので、保有する資産内容の悪化や固定化は当該
銀行の経営破綻の可能性を高める。このような事態にな
れば、その銀行の預金を決済手段として利用することが
難しくなることは言うまでもない。従って、公的当局は
銀行の資産内容を厳しく規制し、規制の順守状況を監督
すべきということになる。こうした発想を一段と進める
と、銀行が保有しうる資産は、低リスクで流動性の高い
ものに限定すべきという考え方に至る。これが「ナロー
バンク(narrow bank)J論であり、「ボルカールー
ル」が「ナローバンク」的との指摘がみられるのはこう
した事情を反映している。金融イノベーション
決済手段の公共的性格に基づく銀行規制の必要性自体
に異論を唱える向きは少ないであろう。しかし、今回の
金融危機の経験に照らして、「ボルカールール」の②や
③のような規制強化が必要なのか否かは必ずしも自明で
はない。実際、米国のみならず先進諸国では預金保険が
既に整備されていたほか、今回の危機に際し、各国政府
が金融機関の広範な債務に保証を付与したので、決済手
段としての銀行預金に対する信認が毀損する事態は総じ
て回避された。併せて先進諸国では、今回の金融危機を
通じて中央銀行が「信用緩和」と呼ばれる政策を活用
し、平時よりも多様な資産を買い入れたり担保として受
け入れたりすることを通じて、金融機関に対して豊富な
資金を供給したので、資金決済のネットワークに対する
信認も概ね維持された。米国内で「ボルカールール」の②や③に懐疑的な見方
が強いことの背後には、こうした金融危機の経験だけで
なく、銀行に対する規制強化を繰り返すと、銀行が公共
機関と化してしまいかねないことへの警戒感も伺われ
る。確かに、今回の②や③が実現したとしても直ちに大
きな変化をもたらす訳ではないかもしれない。しかし、
「ナローバンク」論にみられるように決済手段の提供と
いう公共的役割を重視する見方が強まるとともに、それ
に見合って銀行の資産内容、ひいては業務内容への規制
強化が進むと、銀行の公共機関としての性格が支配的と
なると同時に、ビジネスとしての意味を喪失していくの
ではないかという懸念である。実際、筆者が3月末に米
国を訪問した際には、特に前回の金融危機以降の日本の
金融セクターについて、収益性の動向やその背景に対す
る関心が寄せられた。銀行の公共機関化に歯止めをかけることが必要とい
う意見は、銀行の業務範囲を柔軟に維持しつつ金融イノ
ベーションを促すことを通じて、企業や個人などの利用
者に便益をもたらすことが、銀行預金の決済手段として
の信認を維持することと同様に重要であるという考え方
を示唆している。過去2〇年の間で、意味ある金融イノ
ベーションはATMの発明程度であると公言して憚らない
ポール・ボルカー氏にとってはそもそも受け入れがたい議
論かもしれないが、米国内では、今回の金融危機を経た現
在でも、銀行の安全性と利便性に関するバランスを意識
した議論が根強くみられることは大変興味深く思える。βWriter’s Profile
井上哲也 Tetsuya Inoue
金融市場研究センター
主席研究員
専門は国際金融、金融政策
focus@nri.co.jp
Financial Information Technology Focus 2010.5 7 』 -
トランプ再選とハリス当選:米国の金融規制政策の行方
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/risk/articles/rr/risk-mm111/financialregulation.html
『最新動向/市場予測
トランプ再選とハリス当選:米国の金融規制政策の行方
リスクインテリジェンス メールマガジン vol.111
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楠田 祥也2024年11月の米国大統領選挙の行方に注目が集まっている。
仮にトランプ氏が再選した場合には、米国の金融規制政策の方針が大きく変更される可能性がある。
米国では、2008年の金融危機以降、政権が交代するごとに金融規制強化と緩和が繰り返されてきた。
オバマ政権では、金融危機の教訓を踏まえたドッド=フランク法が成立するなど、包括的な金融制度改革が実施された。
しかし、その後のトランプ政権は経済成長の促進を重視し、同法の一部改正をはじめとした規制緩和を推進した。
現在のバイデン政権では、2023年春に発生した一連の銀行破綻を受けて、再び金融規制を強化する動きが進んでいる。
本稿では、トランプ前政権で実施された主な金融規制政策を振り返った上で、同氏が再選した場合の今後の規制緩和の可能性を検討する。
2017年1月に発足したトランプ政権は、中小銀行の規制緩和をはじめとした様々な金融規制の見直しを実施した(図表1)。
まず、トランプ大統領は2017年2月に、金融規制の基本原則に関する大統領令に署名した。
この大統領令は、7つの原則を提示した上で、財務長官に同原則に基づく既存の規制・規則等の見直しと報告を要請した。
これを受けて、財務省は2017年6月、銀行規制の改革案を示す第1弾の報告書を公表した。
具体的には、自己資本・流動性規制、ストレステスト、破綻処理計画、外国銀行規制、ボルカー・ルール等に関する幅広い規制の見直しが提言された。こうした大統領令を踏まえた規制改革の動きに加えて、米国議会では2017年6月に、金融選択法案が下院で可決された。
同法案は、オバマ政権時代の2010年7月に成立したドッド=フランク法の諸規定(ボルカー・ルールを含む)の撤廃を目指すものであった。しかし、最終的には上院を通過せず、法案の成立には至らなかった。
その一方で、2018年5月には、経済成長・規制緩和・消費者保護法(EGRRCPA)が成立した。
これは、ドッド=フランク法を一部改正するものであり、主に中小銀行の規制緩和が図られた。特に重要な改正内容は、厳格なプルーデンス(健全性)基準(EPS)が適用される銀行持株会社の閾値を連結総資産500億ドル以上から2,500億ドル以上に引き上げた上で、連結総資産1,000億ドルから2,500億ドルの銀行持株会社に対するEPS適用の裁量を連邦制度準備理事会(FRB)に与えたことである。
こうした背景の下で、FRBは2019年10月に、テーラリング・ルールと呼ばれる最終規則を公表した。
この規則は、EPSの対象となる連結総資産1,000億ドル以上の米国銀行・外国銀行をリスク・プロファイルに応じて4つのカテゴリーに分類した上で、カテゴリーに応じて厳しさの異なる自己資本・流動性規制等を課すプルーデンス枠組みを確立した。
このように、EGRRCPAやFRB規則によって中堅銀行の規制負担軽減が実現したが、こうした制度変更は2024年春にシリコンバレー銀行等の破綻を招く一因になった。
また、トランプ政権下では、ドッド=フランク法の改正に加えて、ボルカー・ルール規則の一部緩和も行われた。
ドッド=フランク法によって導入されたボルカー・ルールは、主に銀行による自己勘定取引を原則禁止し、ヘッジファンドやPEファンド等への出資を制限するものである。
2013年12月には、金融規制当局(FRB・OCC・FDIC・SEC・CFTC)によって、ボルカー・ルールの施行規則が最終化された。
しかし、同規則の要件は過度に複雑であり、銀行による規制遵守の負担が重いという課題があった。
こうした中、同当局は、2018年5月にボルカー・ルール規則の簡素化を図る改正案のパブリックコメントを開始し、2019年10月に最終規則を公表した。
この規則改正によって、自己勘定取引制限に関するコンプライアンス要件が簡素化され、銀行が許可される活動も明確化された。
さらに、2020年6月には、ボルカー・ルール規則における規制対象ファンド(カバード・ファンド)に関する見直しを行う規則も最終化された。
この規制緩和を通じて、銀行はベンチャーキャピタル・ファンドへの投資等が許可されることになった。
以上のように、トランプ前政権は、金融危機後のオバマ政権で導入された厳格な金融規制の一部緩和を推進し、とりわけ中小銀行に対する規制負担の軽減に取り組んだ。
2024年の大統領選挙でトランプ氏が再選した場合には、こうした金融規制緩和の方針を維持する可能性が高いと考えられる。
特に影響が大きいと予想される規制領域は、米国におけるバーゼルⅢ最終化の実施に関する国内ルールの策定であろう。
FRB等の銀行規制当局は2023年7月に関連する規則案を公表したが、銀行業界は自己資本要件の強化に対して激しい反発を示してきた。
その結果、足元では、当初案から大幅に緩和された規則案について、再度意見募集が行われる見込みとなっている。
これに対して、英国・欧州等の他法域では、国内実施ルールの整備が概ね完了している。
トランプ氏が再選した場合には、規則案の更なる緩和や撤廃、米国における実施時期の延期など、大手銀行の負担軽減を図る政策を推し進めると考えられる。米国でこうした規制緩和が実現した際には、他法域でも同様のルールの見直しが進む可能性もあろう。
他方で、ハリス氏が当選した場合には、バイデン政権の方針を引き継ぎ、金融規制強化を継続するとみられる。
例えば、米銀規制・監督の再強化(トランプ政権下で緩和されたEPS適用に関する閾値の見直しなど)や、破綻処理計画の対象拡大、ストレステストの見直しといった施策が想定される。
こうした中、金融機関は、トランプ氏再選による規制緩和とハリス氏当選による規制強化の両シナリオを想定した上で、米国における今後の規制対応戦略を検討していくことが求められるだろう。
図表1 トランプ政権下で実施された主な金融規制政策 』
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金融規制強化とアメリカ経済の動向
今村卓
Imamura Takashi
https://www2.jiia.or.jp/kokusaimondai_archive/2010/2011-03_005.pdf?noprintはじめに
2008年9月のリーマン・ショックを発端とするアメリカの金融危機は、オバマ政権と連邦
準備制度理事会(FRB)が講じた大規模な金融安定化策と景気刺激策が奏功して、2009年半
ばから収束に向かった。金融市場の混乱がすぐに波及して深刻な落ち込みをみせた実体経
済も、同年第3四半期にはプラス成長に転じるなど、緩やかな回復に向かった。一時は「百
年に一度」「1930年代の大恐慌以来」と言われた金融危機だったが、その期間は市場の予想
外の短さだった。金融危機の深化を止めたオバマ政権はFRBとともに、すぐに次の危機を起こさないため
の金融規制改革への取り組みを始めた。政権が改革案を示したのが2009年6月、その後に議
会の審議が始まり、金融規制改革法が成立したのは1年余り後の2010年7月だった。この間、
オバマ政権とFRBは金融危機の原因がどこにあり、再発防止のためには何が必要と考えた
のか。それに対して金融危機を発生させた金融機関は、自らの生き残りという異なる課題
を達成するために議会にどのような働きかけを行なったのか。議会は政権と金融機関の間
で、どのように利害調整を進めて、改革法の成立に漕ぎ着けたのか。その間、アメリカ経
済はどのように推移し、金融規制改革の議論は経済に影響を与えることはあったのか。
本稿では、以上の問いに対する答えを確認することを通じて、今回の金融規制改革の成
果と今後の展望、そこから読み取れる教訓を導き出してみたい。1金融危機が明らかにした金融規制の限界
(1)公的資金による金融機関救済の成功とその代償の大きさ
アメリカでは、2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻により発生した金融危機に対応
するため、同年10月にはブッシュ前政権の下で総額7000億ドルの不良資産救済計画(TARP)
が導入された。このTARPを通じて主要金融機関に資本注入が行なわれ、2009年1月にオバ
マ政権が発足してからは、主要金融機関が財務省によるストレステストの実施という圧力
を受けて増資を進めた。ブッシュ、オバマ両政権の対応は、個々の金融機関の混乱が金融
市場全体に増幅されて波及し、金融システムの安定が脅かされるというシステミック・リ
スクを阻止することを最優先課題に置いた点で一貫性があった。同リスクを封じ込めるた
めには、主要金融機関の破綻の連鎖を阻止することが不可欠であり、それにはリーマン・
国際問題No. 599(2011年3月)・42
金融規制強化とアメリカ経済の動向
ブラザーズ以外の主要金融機関は今後発生しうるショックを乗り越えられる十分な自己資
本を有していることを市場参加者に示すことが必要だった。
結果的にこの取り組みは成功し、市場の主要金融機関に対する信認は回復に向かった。
この間も金融市場では信用収縮が発生していたが、FRBが流動性不足や機能低下のリスクが
生じた金融機関や市場をみつけては矢継ぎ早に資金を供給する「信用緩和政策」を進めた
ことで、新たな金融危機の芽は摘み取られた。こうした政府とFRBの連携による金融安定
化策はシステミック・リスクを封じ込め、市場参加者の金融システムに対する信認は次第
に回復していった。2009年後半には過去最高の収益を記録する金融機関も現われ始め、市
場には金融危機は終わったという認識が広がっていった。
しかし、当局(オバマ政権とFRB)が得たものは、早期の金融危機の克服というプラスの
成果にとどまらなかった。危機克服のために講じた公的資金による主要金融機関の救済と
いう政策が有権者の強い怒りを喚起してしまったのである。大手保険会社アメリカン・イ
ンターナショナル・グループ(AIG)を含めた金融機関に注入された公的資金は約3000億ド
ルに達したが、その回収は順調に進み、TARPから生じた国民負担となる直接の損失は500
億ドル弱にとどまる見込みである①。経済の観点からすれば、この程度の負担で金融危機を
止められたのだから、政策は成功したと評価できるだろう。しかし有権者は未然に防がれ
た損失など評価しない。彼・彼女らにみえるのはio%近くに達した失業率であり、金融危
機が終わった後も家計に残る過剰な債務と資産価値の下がった自宅である。それなのに政
府に救われた多くの金融機関は空前の高収益を上げ、その経営幹部の高額報酬は復活して
いる。なぜオバマ政権は危機を起こした金融機関を救い、危機の被害者である一般国民を
放置するのか。2009年後半以降の世論調査は、そうした有権者の不満と怒りを示し続けた。
この怒りの強さが、オバマ大統領の支持率低下や2010年秋の中間選挙における民主党の大
敗の一因となり、有権者や少なからぬ議員のFRB不信をもたらしたのだから、当局にとつ
て政策実施の代償、特に政治的なコストは非常に大きかったと言える。(2)金融機関の過剰なリスク•ティクを防げなかった監督体制と規制
一方で当局は、有権者の怒りとは別の面からも、公的資金による主要金融機関の救済と
いう政策の限界を認識させられた。今回の金融危機に限らず、従来から大規模な金融機関
は、その破綻が金融システムに与える影響があまりに大きいとして、TBTF (Too Big To Fail.
大きすぎて潰せない)を前提に当局(政府・FRB)から取り扱われることが一般的だった。リ
ーマン・ショック後の主要金融機関への資本注入も、当局にとっては当然の措置だった。
しかし今回の金融危機によって当局は、TBTFの副作用の大きさ、すなわちTBTFが助長す
る金融機関のモラル・ハザードが限度を超えてしまったことを認識させられた。過去に経
営危機に陥った一部の金融機関が当局に救済されるのをみてきた多くの金融機関は、今回
の金融危機の前に、当局は自社を破綻させられないはず、何かあれば当局が自社を守って
くれるだろうとの期待を強め、TBTFを前提に過剰なリスク・テイクを進めていた。その結
果、金融システム全体が金融危機の原因となる膨大なリスクを抱え込んだのである。
当局は、今回の金融危機を通じて、アメリカの金融監督の基本理念であった「市場にょ
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金融規制強化とアメリカ経済の動向
る金融機関に対する規律付け」の限界も認識させられた。アメリカの金融市場では、1970
年代後半から金融自由化と規制緩和の動きが強まり、当局の求める金融システムの安定は、
市場における競争を通じて非効率な金融機関が淘汰されるメカニズムのなかでも維持可能
であるという考え方が打ち出された。それは、競争を強化すれば個々の金融機関は市場か
ら淘汰されないように効率的な経営を目指し、必然的に過剰なリスク・テイクを自制する
ので金融システムの安定は保てるという論理でもあった。1980年代以降、当局が上記の考
え方へ同調していくなかで自由化は加速し、1999年の金融持ち株会社の下で幅広い金融業
務を認めるグラム・リーチ・ブライリー法の成立、言い換えれば銀行と証券業務の分離を
定めたグラス・スティーガル法の事実上の撤廃で金融自由化は完成に至った。
しかし、TBTFによって市場から淘汰される恐れはないと自覚した主要金融機関が、自由
化で可能になった広範な金融業務を対象に、過剰なリスク・ティクを加速させてしまった。
「市場による金融機関に対する規律付け」は機能しにく くなり、逆に金融システムに影響を
及ぼしうる規模の金融機関がそろって過剰なリスクを抱え、その一角が顕在化するだけで
大恐慌以来の規模に拡大しうる可能性をもった金融危機が、ついに発生したのである。
(3)金融規制改革法の成立へのプロセス
金融危機と、主要金融機関の過剰なリスク・ティクを抑えられない監督体制という深刻
な現実に直面したオバマ政権の判断は、TBTFの廃止と金融規制の強化だった。今後も当局
がTBTFを続け、金融規制のあり方を変えなければ、いずれ金融機関のモラル・ハザードと
過剰なリスク・ティクが復活し、今回よりも深刻な金融危機が発生する恐れが否定できな
い。そう判断したオバマ政権は、有権者の強烈な怒りという後押しも受けて、TBTFをやめ、
金融規制改革に踏み切ることを決断した。主要金融機関に対して過剰なリスク•ティクを
容赦しない厳格な経営規制を導入し、それらの機関の破綻が生じた場合はシステミック・
リスクを防ぐ準備をしたうえで清算させる。また、高度に発展した金融商品に対応できる
規制への刷新も必要である。このような方針に基づいてオバマ政権が作成した包括的な金
融規制改革案が2009年6月中旬に発表された⑵。
連邦議会の上下両院では、オバマ政権の発表した改革案を受けて、2009年秋にそれぞれ
独自の改革法案の検討が始まった。このうち民主党が多数派を占め、共和党の抵抗の手段
も少ない下院では審議が比較的順調に進み、2009年12月には大筋でオバマ政権の改革案に
沿う金融規制改革法案(以下、下院法案)が可決された。法案の柱は、①不正な金融商品・
サービスから消費者を保護する消費者金融保護庁(CFPA)の設立、②破綻からシステミッ
ク・リスクが生じうる巨大金融機関を監視する金融安定協議会の設立、③破綻した大手金
融機関の秩序だった清算を行なう枠組み策定、の3つだった。下院法案には、格付け機関の
改革や店頭デリバティブ、ヘッジファンドの規制、政府監査院(GAO)のFRBに対する監査
の対象に金融政策を含めることなども盛り込まれた。
この後、2010年1月には、オバマ大統領が大手金融機関の規模の規制や銀行のリスク投資
の制限を柱とする金融規制の強化案を発表した。銀行によるファンド投資の禁止や自己資
金取引の制限など「ボルカー ・ルール」(ボルカー経済回復諮問会議議長〔元FRB議長〕の提案)
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金融規制強化とアメリカ経済の動向
に沿った内容だった。収益機会の減る金融業界は反対の声を上げたが、3月中旬に発表され
た上院銀行委員会の金融規制改革法案(以下、委員会法案)には同ルールが導入された。共和党が議事妨害が可能な議席数を有していた上院では、民主党が共和党との法案調整
に時間をかける形で審議を進めた。3月下旬に上院銀行委員会が可決した委員会法案には破
綻処理基金の設立が盛り込まれていたが、共和党が金融機関のモラル・ハザードを誘発す
るだけとして反対すると、民主党は基金設立をやめて連邦預金保険公社(FDIC)による処理
に後退させた。共和党は、有権者の反対も多かった医療保険改革法案と異なり、有権者か
ら金融機関寄りと反発を受けるリスクを恐れて金融規制改革法案の審議では強く抵抗しな
かった。その結果、5月中旬には、委員会法案に修正法案を盛り込んだ金融規制改革法案
(以下、上院法案)が共和党からの賛成者も出て可決された。
上下両院の法案は内容が一部異なっていたため、6月中旬から下旬にかけて両院協議会が
開催されて調整が進み、調整の済んだ法案を下院と上院が相次いで可決、オバマ大統領の
署名により金融規制改革法が成立したのは7月21日だった。同法は、上下両院の議会審議や
両院協議会で中心的な役割を果たしたドッド上院銀行委員長とフランク下院金融サービス
委員長の名をとって、”Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act”。> と名付け
られた(以下、金融規制改革法)。2金融規制改革法の要点
1年以上の時間を費やして交渉を重ねた結果成立した金融規制改革法は、1601条、2300ぺ
ージ超に達した。同法の要点は次のとおりである。(1)システミック・リスクの予防
今回の金融危機では、最初にリーマン・ブラザーズが破綻してすぐにシステミツク・リ
スクが発生した。当局が同社の破綻の後に他の主要金融機関に対する資本注入を速やかに
行ない破綻から守った理由も、破綻が連鎖すればシステミック・リスクが増幅して、金融
システム崩壊の恐れが強まってしまうからだった。金融規制改革法は、システミック・リ
スクに対処するために金融安定監視会議(FSOC: Financial Stability Oversight Council)を創設す
ることを定めた。FSOCは財務長官を議長とし、FRB、FDIC、証券取引委員会(SEC)など
各監督規制当局の長で構成される議決権を有するメンバー10名と、同権のない5名のメンバ
ーで構成される。FSOCはシステミック・リスクを把握し、金融システムの安定を揺るがす
脅威に対応することを目的とする。FSOCを補佐してシステミック•リスクに関する情報を
収集・分析する金融調査庁(OFR: Office of Financial Research)という機関を財務省のなかに設
置することも決まった。
金融規制改革法は、総資産500億ドル以上の銀行持ち株会社とFSOC指定の非銀行金融会
社を「金融システム上の重要な金融機関」に設定した。この金融機関にはFRBの監督の下
で、通常の金融機関よりも厳格な自己資本や流動性、財務レバレッジ、リスク管理等に関
するプルーデンス規制が課されることになった。
2010年11月にはFRBが大手金融機関による増配等の資本計画の妥当性を評価する指針を
国際問題No. 599(2011年3月)・45
金融規制強化とアメリカ経済の動向
発表した。FRBは景気の下振れリスクに備えた十分な自己資本の確保、新しい銀行自己資本
規制である「バーゼル3」への適合などが増配の条件になると指摘し、2009年春にストレス
テストの対象になった19金融機関には2011年前半に資本計画書の提出を求めた。(2) TBTFの打ち切り
金融規制改革法にはTBTFの打ち切りも明確に盛り込まれた。財務長官が「金融システム
上の重要な金融会社」が破綻またはその危機にあり、システミック・リスクが発生する可
能性が高いと認定する場合は、FDICが当該会社の破産管財人に指名され、必ず清算される
ことになった。清算にあたっては、必要費用を当該会社の資産売却等で賄い、それで足り
ない場合は他の「金融システム上の重要な金融会社」に対して手数料を課して必要費用を
賄うことで国民負担が発生しないようにすることも定めた。(3) ボルカー•ルールの導入
銀行、銀行持ち株会社とその子会社が自己勘定取引を行なうこと、ヘッジファンドやプ
ライベート・エクイティー ・ファンドへ出資することやそのスポンサー業務を担うことが
禁止された。例外は出資額が銀行のTierl資本(自己資本のなかの基本的項目)の3%以内であ
り、ファンドの総出資額の3%以内である場合。FRB監督下の非銀行金融会社は、負債シエ
アが業界全体のio%超となる合併や資産取得が禁止された。いずれもボルカー ・ルールの
理念に沿った規制であるが、金融界の巻き返しもあり、上記の例外措置の設定や出資等の
禁止は早くて4年後からの適用になった。(4) 消費者保護規制の強化
金融危機の元凶となったサブプライムローン問題では、消費者が金融機関の不適切な説
明や勧誘によって大きな被害を受ける場合が多かったため、金融規制改革法は消費者保護
に重点を置き、FRBのなかに消費者金融保護局(CFPB: The Bureau of Consumer Financial
Protection)の設置を定めた。CFPBは消費者金融商品とサービスの提供に関する規制•監督
を行なうほか、金融教育プログラムの運営や消費者対策、金融商品のリスク情報の収集な
どが主業務となった。
独立したCFPA (消費者金融保護庁、A = Agency)の創設を規定した下院法案よりは後退し
たが、CFPBの活動に対するFRBの干渉禁止が規定されたことで、FRB内部のCFPBでも金
融機関の健全性尊重と消費者保護との利害対立は回避できるとの判断になった。なおCFPB
の局長は大統領が指名することになり、その人事が注目されている。一時はウォール街批
判の急先鋒で知られたハーバード大学のウォーレン教授の局長指名が有力視されたが、同
氏に対する金融業界や共和党の反発は根強く、議会承認の見通しが立たないことから、オ
バマ大統領は同氏を大統領補佐官に指名、CFPB立ち上げの責任者とした。(5) 銀行・保険システム改革
これまで貯蓄金融機関を統括してきた貯蓄金融機関監督庁(OTS)が通貨監督庁(OCC)
に統合され、規制体系が整理された。また保険業に対しては連邦単位で監督する連邦保険
局(FIO)カヾ財務省内部に設置された。従来、保険業に対する監督は州単位にとどまり、連
邦単位の監督がなかった。そのために金融危機前のAIGの過剰なリスク・ティクが見逃さ
国際問題No. 599(2011年3月)・46
金融規制強化とアメリカ経済の動向
れ、危機発生後はAIGを基点とするシステミック・リスクの可能性が生じてしまい、当局
はAIGをTBTFの対象としてTARPの支援対象とせざるをえなかった。金融規制改革法では
連邦単位の監督体制が整えられ、保険会社の行動が厳しく監視されることになる。(6) 新たな規制対象の拡大
ヘッジファンド等は金融市場における存在感は大きいが、従来は規制の対象外だった。
金融規制改革法では、運用資産が1億ドル以上の場合、その投資顧問業者はSECへの登録が
義務付けられた。SECへ登録された投資顧問業者はファンドに関する情報のSECへの報告が
求められるため、ヘッジファンドも事実上、規制対象に組み込まれることになった。
クレジット•デフォルト・スワップ(CDS)など店頭デリバティブは、カウンターパーテ
イー ・リスク(金融契約を結んだ相手方の個人・団体の破綻などにより契約上の合意が守られな
くなるリスク)の増大を通じて金融危機を悪化させたが、従来は規制対象に含まれていなか
った。金融規制改革法は、店頭デリバティブを商品取引所法と証券取引所法において「ス
ワップ」と定義し、商品先物取引委員会(CFTC)やSECの規制対象に組み込んだ。スワッ
プ取引も原則的にデリバティブ清算機関において集中清算を行なうことになり、取引の執
行は取引所か電子取引システムで行なうことになった。
証券化商品に対する規制も強化され、証券化業者は5%分のリスクを手元に残すことが義
務付けられた。また、証券化商品の格付けの急激な変化も危機の拡大に拍車を掛けたこと
から、金融規制改革法は、その格付けを決定した格付け機関を監督する信用格付け局(OCR)
をSEC内部に設置し、OCRによる格付け機関の検査と格付け機関の情報公開を通じて改革
を進めていくことが決まった。(7) コーポレートガバナンスの強化と役員報酬
金融機関の株主に役員報酬に対する意見表明の機会を提供し、株主による役員報酬に対
する賛否の決定や役員指名の機会拡大などが定められた。上場企業に対して、第三者で構
成される報酬委員会の設置を義務付け、会計基準に反した財務報告に基づく役員報酬の返
還規定を導入することも定めた。SECが役員報酬の開示基準を明らかにし、金融機関を対象
とする報酬|基準を設定することも決まった。金融機関の役員報酬では過剰なリスク・ティ
クの引き金となる取り決めも禁止した。3金融規制改革法の現状評価と今後の展望
(1)枠組みである金融規制改革法
金融規制改革法の成立は、大恐慌を受けてグラス=スティーカ、、 ル法などが制定された
1930年代以来の包括的•抜本的な改革の実現を意味する。オバマ政権の改革案の提示から1
年余りを要したが、TBTFの打ち切り、システミック・リスクを予防するための規制導入、
消費者保護規制の強化など、政権が示した改革案の柱はおおむね金融規制改革法に盛り込
まれた。
ただし、この改革法は新しい金融規制の枠組みを提示したにすぎない。ガイトナー財務
長官は同法成立が金融規制改革のプロセスの完了ではなく始まりであると述べたように、
国際問題No. 599(2011年3月)・47
金融規制強化とアメリカ経済の動向
同法に基づく具体的な指針やルールの策定と導入が必要であり、それは今まさに進行中で
ある。全米商工会議所は同法成立後に、金融監督当局は520ものルールを策定する必要があ
ると述べた®。ブルッキングス研究所の金融規制改革に関する報告も、改革の達成には金融
規制改革法と同法成立後の金融監督当局の下す決定が同じくらいに重要と指摘した。当局
がこの多数のルールを策定するまでは、今回の規制改革が個々の金融機関にどのような影
響を及ぼすのか、オバマ政権が求めた金融危機の再発防止へ新しい金融監督と規制の体制
がどこまで機能するかは不透明であろう。(2)今後のルール策定の展望
一方で、一部の金融市場をベースにした報道や金融アナリストの見解等に散見される「金
融界が規制改革を骨抜きにした」「金融界の実質的な勝利」という評価は妥当ではないと考え
られる。当局が全面禁止を目指した銀行の投資ファンド向けの投融資が一定範囲内で認めら
れ、規制導入までの時間的猶予が設定されるなど、金融規制改革法に盛り込まれたボルカー・
ルールが最初の提案より緩和されたことは確かである。それは、急速に収益を回復させて公
的資金を返済した主要金融機関が、ロビー活動の能力を取り戻し、徹底した議会工作を行な
って巻き返した結果と考えられる。オバマ政権の金融界に対する厳しい姿勢と言動が産業界
と共和党に「反ビジネスのオバマ政権」という攻撃材料を与え、それに有権者の4割を占め
る保守派が共感したことで、中間選挙を控えたオバマ政権と民主党が規制強化に動きにく く
なったことも確かである。しかし、その金融機関のロビー活動をもってしても、TBTFの打
ち切りとシステミック•リスクを防ぐための厳しい規制を導入するという枠組みを変えるこ
とはできなかったという事実もある。それは、金融危機を絶対に再発させないというオバマ
政権の固い意志と主要金融機関の救済に対する有権者の強い怒りに後押しされた議会が、金
融界の抵抗を押し切った結果なのである。
枠組みである金融規制改革法に基づくルール整備が、今後、監督当局の主導で行なわれれ
ば、その効力は強くなる。それは2011年1月に全米商工会議所のドナヒュー会頭が、金融規
制改革法に基づいて膨大な規制が導入される可能性を懸念材料に指摘したことでもわかる。
逆に言えば、今後のルール策定の過程において、主要金融機関や金融界のロビー活動は一段
と活発になるだろう。しかし前述の有権者の怒りは、家計を取り巻く環境の厳しさが続いて
いることもあり、風化していない。世論の後押しがない金融機関側の巻き返しは、条件闘争
にとどまり、今後のルール策定の進展とともに、新しい規制に合わせた金融機関のビジネス・
モデルの変更や経営戦略の修正が行なわれる可能性のほうが高いと考えられる。ボルカー ・
ルールは金融機関の活動を一定範囲内で縛り、自己勘定取引や投資ファンドへの投融資に制
限を設けられた金融機関の収益は規制の実施前よりは縮小する一方、金融システムの安定度
は高まるという結果になるのだろう。4金融規制改革とアメリカ経済
(1)着実に進む実体経済の改革と上向く景気
今回の金融規制改革はアメリカの実体経済にどのような影響を与えるのだろうか。その
国際問題No. 599(2011年3月)・48
金融規制強化とアメリカ経済の動向
前提として2010年の実体経済の展開を整理しておきたい。
2009年後半から始まった景気回復の特徴は、その前の景気の谷の深さの割には反発力が
弱いことだった。実際、実質国内総生産(GDP)成長率は2010年第2四半期には1.7%に鈍化
してしまった。この原因は金融危機が家計部門に残した2つの後遺症にあったと考えられる。
ひとつは金融危機の渦中で「百年に一度の深刻さ」という市場予想を受けて企業部門が徹
底した雇用削減を進め、危機が去ってもその修正に乗り出さなかったことである。実際、
失業率は2008年秋から09年春にかけて急上昇して9%を超え、その後は高止まりを続けた
ままである。第2の後遺症は、危機前に過剰債務を抱え込んだ家計部門が危機発生後は一転
してその調整を求められたことである。家計部門の債務残高の可処分所得に対する比率は
2002年には100%強だったが、その後に急速に膨らんで2007年には130%に達した。債務調
整を迫られた家計は雇用環境が悪化して所得が伸びないなかで返済負担が重くなり、購買
力の低下を余儀なくされた。こうなると景気は回復に転じても、個人消費は緩慢な回復に
とどまってしまうし、住宅投資はFRBの超金融緩和策でローン金利が低下しても低迷が続
いてしまう。
もっとも景気自体は、市場から懸念が消えなかった二番底に陥ることはなかった。その
最大の理由は、2009年に雇用を含めて徹底した合理化を進めた企業部門が2010年は収益の
v字回復を実現して自信を取り戻し、在庫積み増しや設備投資の拡大など経営の正常化に動
き始めたことだった。そのうえに、2010年秋の追加緩和を含めたFRBの超金融緩和政策が
企業部門だけでなく家計部門を下支えした。企業も家計も金利負担は減り、それぞれ収益
増加と債務返済負担の軽減という経路から恩恵を受けた。追加緩和を好感した株価上昇が
家計部門の金融資産を回復させた効果も小さくなかった。こうしたプラス効果は特に2010
年後半に強く表われ、結果的に2010年通年では3%弱の成長を確保できた模様である。
企業部門(非金融)は在庫•設備投資には積極的になったが、2010年9月末の時点で流動
資産を1兆9000億ドルも抱え、雇用は最低限にとどめるなど、総じてみれば慎重姿勢を保つ
ていた。しかし、その企業部門も2011年は雇用拡大に積極的になる意向を示している。株
主の効率経営や収益拡大への要求も強いアメリカの企業がいつまでも多額の流動資産を抱
え続けることも考えにくい。家計部門では債務調整が進み、可処分所得に占める返済額の
大きさは、すでに債務拡大が進む前の1990年代末並みに小さくなっている。2011年は社会
保障税の引き下げが消費を押し上げる効果も期待できる。こうした前提に立てば2011年の
景気は3%強の成長を達成することは十分に可能である。金融安定化策や景気刺激策の効果
は時間の経過とともに薄れていくが、代わって個人消費と設備投資が安定的に拡大する自
律的な景気拡大へと転換していくのだと思われる。2010年半ばに浮上したアメリカのデフ
レ懸念も2011年は実現せずに遠のいていくだろう。(2)景気に対しては適切な政策対応
前述の金融規制改革が1年をかけてようやく枠組みを仕上げるという緩やかな進展にとど
まったなかで、なぜ景気は意外とも言える回復を示しているのか。その理由は景気を支え
るという政策課題に対して、FRBの金融政策が適切だったことにある。超金融緩和は購買力
国際問題No. 599(2011年3月)・49
金融規制強化とアメリカ経済の動向
の低下した家計部門の需要拡大には大した効力を発揮できなかったが、債務調整の促進に
は効き、個人消費の底割れを防いだ。それ以上に企業部門の収益拡大と設備投資の回復を
支えた効果が大きかった。財政政策も、共和党は中間選挙の選挙戦において景気刺激策は
無駄だったと批判したが、政治的に中立な議会予算局(CBO)等は一定の景気下支え効果が
あったことを認めている。正確に言えば、景気の落ち込みの大きさに比べて、景気刺激策
は規模が小さすぎたのである。そうなると、財政に不十分な面はあったとはいえ、景気に
対する金融・財政両面からの政策対応は総合的にみれば適切だったと評価できる。
今後についても、金融規制強化により金融機関の活動が抑制されて実体経済に及ぼす負
の効果はあっても、FRBの超金融緩和と企業部門の抱える多額の流動資産によって、十分に
解消できる。また、規制強化も金融界のロビー活動による巻き返しによって極端なものに
はならないだろう。かといって、巻き返しが強すぎて過剰なリスク•ティクが再び進行す
る事態も考えにくい。(3)アメリカの政治の修復能力の高さ
以上をまとめれば、2011年は景気が底堅く回復する一方で、金融規制改革もオバマ政権
が求めたTBTFを打ち切る一方で、金融機関の過剰なリスク・ティクも再開しないという望
ましい展開に進む可能性が高いということになる。これは2010年中の景気と金融規制改革
それぞれに対する金融市場にあった厳しい見方と比べれば、予想外に良好な見通しである。
深刻な金融危機が発生していた2年前に、このような展開を予想していた市場参加者は皆無
に近かったとも思われる。
逆に言えば、この予想外の変化を生み出す力がアメリカの政治には備わっていたのであ
る。景気の下支えに成功しつつあるFRBとオバマ政権、金融危機の原因を突き止め、危機
を再発させないための金融規制改革の枠組みまで辿りついた当局と議会、それぞれが役割
を果たした。そのなかでも、成立しうる法案をまとめ上げたドッド上院銀行委員長とフラ
ンク前下院金融サービス委員長の貢献は大きかった。
今回の改革は、80年ぶりの規制強化という政策課題のもつ難しさ、オバマ政権と金融界
の立場の違い、金融市場の先行した回復による金融機関の交渉カの回復と、雇用回復の遅
れによるオバマ政権の政治資本の喪失といった現象も重なり、改革は難航し複雑な展開に
なった。改革に対する評価も、危機の再発予防を重視するオバマ政権の立場と事業の継続
を重視する金融界の立場どちらを重視するかで大きく異なっていた。その違いを整理しな
ければ、報道や識者の見解から受ける印象は改革が遅れているという悲観的なものになり
がちだった。しかし現実には、妥協に向けた調整が議会で行なわれ、金融規制改革の枠組
みまでは辿り着いた。改革の目標と調整の難しさを勘案すれば、1年余りでの枠組みの成立
は十分な成果であり、金融危機という失敗に対するアメリカの政治のもつ修復能力の高さ
が示されたと捉えるべきだろう。
おわりに
金融危機後の世界経済は、中国など新興国の高成長に比べて米国など先進国の景気回復
国際問題No. 599(2011年3月)・50
金融規制強化とアメリカ経済の動向
の遅れが目立ち、危機を契機に世界経済の中心は新興国へ移っていくという見方が強まっ
ている。日本を含めた世界の企業•投資家の関心も新興国に集中しつつあり、アメリカへ
の関心は危機が終わっても低下したままである。しかし米国には、景気の立て直しと金融
規制改革で示された政治の修復能力がある。筆者は、この高い能力がある限り、アメリカ
は世界経済の中心の座を他国に譲り渡すことはないと考えているし、やがて世界の企業も
投資家も、アメリカの政治のもつ修復能力を評価して、アメリカへの総合評価を見直す時
がくると確信している。(1) U.S. Department of Treasury, “Geithner in Sunday’s Washington Post: *Five Myths about Tarp’” (http://www.
treasury.gov/press-center/press-releases/Pages/tg900.aspx).
(2 ) The White House, Office of the Press Secretary, “President Obama to Announce Comprehensive Plan for
Regulatory Reform” (http://www.whitehouse.gov/the_press_office/President-Obama-to-Announce-
Comprehensive-Plan-for-Regulatory-Reform/).
(3 ) “Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act” (http://docs.house.gOv/rules/finserv/l11_
hr4173_finsrvcr.pdf).
(4 ) Tom Quaadman, “Financial Regulatory Reform – Uncertainty Grows,” ChamberPost (http://www.chamberpost.
com/2010/07/financial-regulatory-reform-uncertainty-grows.html).
いまむら•たかし 丸紅米国会社ワシントン事務所・所長
http://www.marubeni.co.jp/research/index.html
Imamura-T @ marubeni.com
国際問題No. 599(2011年3月)・51 -
FRB、金融監督の副議長に不要論 パウエル議長も賛同か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12E2K0S5A210C2000000/『2025年2月13日 9:22 [会員限定記事]
【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)で金融規制などを担う金融監督担当副議長のポストに廃止論が浮上している。パウエル議長も12日に米連邦議会下院で開いた議会証言で、この議論を取り上げた共和党議員の意見に同調する場面があった。トランプ米政権でFRBの統治構造に変化が起きる可能性もある。
FRBは政策金利を動かす金融政策のほか、金融機関への規制や監督も担う。監督担当の副議長枠は2010年…
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『出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この記事は英語版の対応するページを翻訳することにより充実させることができます。(2024年11月)
翻訳前に重要な指示を読むには右にある[表示]をクリックしてください。アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国の政治家
トゥルシー・ギャバード
Tulsi Gabbard生年月日 1981年4月12日(43歳)
出生地 アメリカ領サモア、レロアロア
出身校 ハワイパシフィック大学
所属政党 民主党(1999年 – 2022年)
無所属(2022年 – 2024年)
共和党(2024年 – 現在)
配偶者 エドゥアルド・タマヨ(2002-2006)
アブラハムウィリアムズ(2015-)
親族 マイク・ギャバード(父)
(ハワイ州上院議員)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
下院議員
選挙区 ハワイ州第2選挙区
当選回数 4回
在任期間 2013年1月3日 – 2021年1月3日
民主党全国委員会副委員長
在任期間 2013年1月22日 – 2016年2月27日
ハワイ州下院議員
選挙区 第43区
当選回数 1回
在任期間 2002年12月 – 2004年12月
ホノルル市議会議員
当選回数 1回
在任期間 2011年1月2日 – 2012年8月16日
テンプレートを表示トゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard、発音記号: /ˈtʌlsi ˈɡæbərd/、1981年4月12日 – )は、アメリカ合衆国の政治家。ハワイ第2区選出のアメリカ合衆国下院議員(4期)。2012年初当選、米国議会初のサモア系アメリカ人議員[1]であり、同時に米国議会初のヒンドゥー教徒[2]でもある。2025年1月に発足予定の第2次トランプ政権における国家情報長官に指名されている[3]。
経歴
生い立ち
ギャバードは1981年4月12日、アメリカ領サモアのレロアロア(Leloaloa)に父マイク・ギャバード、母キャロル・ギャバードの娘、5人兄弟の4人目として生まれる。一家はギャバードが2歳のときハワイへと移住[4]。ヒンドゥー教徒の母キャロルの影響を受け[5]、幼少期からヒンドゥー教徒である。
ギャバードはフィリピンへ留学をした2年間を除き、高校までホームスクールでの教育を受けており[6]、2009年にハワイ・パシフィック大学(経営学)を卒業。
2002年には弱冠21歳でハワイ州議会下院議員に当選、当時全米で最年少の州議会議員として就任。2004年にはHawaii Army National Guardの一員としてイラクの戦闘地域に派兵、帰国後の2006年からダニエル・K・アカカ上院議員のスタッフとして勤務し、2008年からクウェートに志願派兵されている。
中東からの帰還後、2011年にホノルル市議会議員として選出され、翌2012年メイジー・ヒロノの上院鞍替えに伴い、空席となったハワイ2区よりアメリカ議会下院選挙に挑戦し当選、現在3期目。
政治活動
ハワイ州議会 下院議員 (2002年-2004年)
ギャバードはハワイ州史上最年少かつ、全米でも史上最年少の女性州議会議員として2002年に当選[7]。任期中、クリーンエネルギーの推進を主たる政策として掲げ、再生可能エネルギーの推進などに努めた。
ホノルル市議会議員 (2011年-2012年)
陸軍少佐昇任式にて(現在も予備役軍人である)
2009年、中東への志願派兵から帰還後、ホノルル市長選に出馬したRod Tamの選挙区(第6区)から出馬を宣言し当選。その後米国下院議員選挙準備のため2012年8月に辞職している。
アメリカ合衆国下院議員(2013年-2020年)
2011年初旬、当時ハワイ第2区選出の下院議員であったメイジー・ヒロノが上院への鞍替えを表明したことを受け、ギャバードは同年5月に出馬を表明した。9月には民主党公認の候補としてノース・カロライナ州のシャーロットで開催された民主党全国大会に参加しスピーチを行う。11月の選挙では共和党候補者に大差をつけ(得票率81%)当選した。
2018年秋の中間選挙で15万票(77%)を獲得し圧勝、4期目の議席を獲得[8]。
2020年選挙へは出馬せず下院議員を降りた。
所属委員会・コーカス等[9]
下院軍事委員会
下院外交委員会
アジア・太平洋地域小委員会
中東・北アフリカ地域小委員会
米日議員コーカス
下院退役軍人コーカス
米国議会インド及びインド系アメリカ人コーカス(副代表)
米国議会LGBTコーカス
米国議会ミサイル防衛コーカス 等
2016年大統領選挙2016年の大統領選挙では民主党全国委員会の副議長を辞し、バーニー・サンダースの支持を表明。
2016年11月21日、ギャバードは民主党員としては2人目として就任前のドナルド・トランプおよび政権移行チームメンバーとトランプタワーで面会した。ギャバードはこの面会を「建設的で前向きな会合であった」と語り、トランプが共和党のネオコンによって強行的なシリア政策を取る前に自らトランプにブリーフするために面会要求を受け入れたと話した。第1次トランプ政権で首席戦略官兼上級顧問を務めたスティーブン・バノンはギャバードの政治手腕を高く買っており、彼女のファンであることを公言。全ての政策に関して彼女と仕事がしたいと語ったこともある[10]。
シリアへの渡航
2017年1月ギャバードはシリアのバシャール・アサド大統領と面会。ギャバードはこの渡航が下院倫理委員会の許可を得た上で実施され、AACCESS(Arab American Community Center for Economic and Social Services)によって資金が提供されたと発表。この視察にはAACCESSの会長の他1名も同行しており、同行者両名がシリア社会民族党のメンバーであることが解っているが、同会長はシリア社会民族党とAACCESSは関係のない別団体であると説明。
ギャバードはアサド大統領との面会やアサド政権シンパとされるシリア社会民族党のメンバーと視察を実施すること、また関係団体からの資金提供を受けている事を事前に下院倫理員会に報告していなかったとして批判され、後に旅費を同団体に返還している。
また出張後に下院倫理員会への必要な報告がなされておらず、視察後の2017年2月7日には一部メディアより規則違反があったと報道されたが、ギャバード事務所は期限内に報告をしているとしている。また、必要な書類に加え日程表などを含む別途添付資料が2月8日に提出されたとしている。
2020年大統領選挙およびその後
ギャバードの2020年大統領選出馬を求めるプラカード(2017年ウィメンズマーチ)
ワシントン・ポスト紙等複数メディアが2020年大統領選挙の有力女性候補11名の1人としてギャバードを紹介した[11]。
2020年大統領選挙の民主党予備選挙には指名争いに加わったものの、2020年3月19日に撤退を表明し、ジョー・バイデン前副大統領への支持を表明した[12]。2022年10月11日に民主党から離党し、その2年後、2024年大統領選挙を目前に控えた2024年10月22日には共和党に入党することを発表した[13]。
国家情報長官
2024年11月13日、ドナルド・トランプ次期大統領より翌2025年1月に発足する第2次政権における国家情報長官に指名された[3]。
主張・政策
ギャバードは、自らの立場を対テロ戦争においては「タカ派」であるものの、他国のレジーム・チェンジを目的とする軍事介入に関しては否定的な「ハト派」であると述べている[14][15][16] [17][18][19][20]。
ギャバードは、ネオコンと軍産複合体に支配されたメディアが他国のレジーム・チェンジを目的に好戦的な世論を形成し、新冷戦と核の軍拡競争を招いてきたと批判している[21][22][23][24][25][26]。
対印関係
ヒンドゥー教徒であることからインドとの関係強化を重要視しており、過去に何度もナレンドラ・モディ首相の功績を評価する発言をしている。
対ロ関係
2022年ロシアのウクライナ侵攻を受けて、侵攻はロシア政府の責任によるものではないと主張。ウクライナの北大西洋条約機構加盟の動きを巡って「ロシアが抱いた安全保障上の懸念」をバイデン政権が見誤ったことが原因だとして政権を非難した[27]。
対中関係
2020年大統領選の選挙戦で、トランプ政権の中華人民共和国への強硬姿勢を批判し、気候変動など地球規模の課題で協力する対中関係を提案した。また、米中貿易戦争に反対し、トランプ大統領のアプローチは製造業者と農家の双方に「破壊的で壊滅的な影響」を招いていると述べ、最終的に中国との「熱戦」に繋がる可能性があるとして懸念を表明した[28]。
対日関係
2023年12月7日に旧日本軍による真珠湾攻撃に関するXへの投稿において、「日本による太平洋侵略を思い起こすと、現在の日本の再軍備は本当にいい考えなのか」と疑問を呈した上で、「日本とアメリカが再度戦わないように注意しなければならない」と述べており、日本の再軍備化に否定的な見解を示している[29][30]。
2025年1月30日に上院で行われた国家情報長官指名承認の公聴会でも「日本と中国の歴史を巡る見地に立てば、日本が自衛態勢から攻撃的な態勢に移ることでエスカレートする可能性がある」と日本への警戒感を改めて示した[31]。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)
ギャバードはTPPに強く反対する立場を明確にしており、デラウロ下院議員と共に反対運動を主催。TPPの交渉が秘密裏に行われていることや、この協定がウォールストリートや多国籍企業などの一部国民に利益をもたらすものであり地道に働くアメリカ国民がないがしろにされていると批判した。また、TPPの環境問題への配慮が十分でなく、地球温暖化や環境汚染にもつながるとの見解を示し、自らの政治生命をかけてTPPに反対すると表明した。
脚注
[脚注の使い方]^ “Faleomavaega congratulates Tulsi Gabbard as first Samoan woman elected to the U.S. Congress | Samoa News” (英語). http://www.samoanews.com. 2018年4月6日閲覧。
^ “Hindu-American Tulsi Gabbard wins Democratic primary in Hawaii”. The Economic Times. (2012年8月12日) 2018年4月6日閲覧。
^ a b “トランプ氏、ギャバード元下院議員を国家情報長官に指名”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2024年11月14日) 2024年11月14日閲覧。
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^ Cillizza, Chris (2017年1月9日). “11 Democratic women who could run for president in 2020, ranked” (英語). Washington Post. ISSN 0190-8286 2018年4月6日閲覧。
^ “米民主ギャバード氏、指名争いから撤退 バイデン氏支持を表明”. ロイター. (2020年3月20日) 2020年4月9日閲覧。
^ “Tulsi Gabbard Turning Republican Is ‘Surprise’ to Donald Trump”. ニューズウィーク. (2024年10月22日) 2024年11月14日閲覧。
^ “The rise of Gabbard: No telling how far independent path will take her”. Hawaii Tribune Herald. (August 28, 2016)
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^ “米情報長官候補が日本敵視発言 「太平洋侵略国が再軍備」―トランプ次期政権”. 時事通信 (2024年11月15日). 2024年11月17日閲覧。
^ 清宮涼 (2024年11月15日). “米国家情報長官に指名されたギャバード氏、日本「再軍備」に反対発言”. 朝日新聞. 2024年11月17日閲覧。
^ “アメリカ国家情報長官候補「日本が攻撃的な態勢に移ればエスカレートする可能性」…上院公聴会で持論”. 読売新聞 (2025年2月1日). 2025年2月1日閲覧。アメリカ合衆国下院
先代
メイジー・ヒロノ アメリカ合衆国の旗 ハワイ州第2選挙区
選出議員
第6代:2013年1月3日 – 2021年1月3日 次代
カイ・カヘレ典拠管理データベース ウィキデータを編集
カテゴリ: 20世紀アメリカ合衆国の女性21世紀アメリカ合衆国の女性アメリカ合衆国の女性政治家アメリカ合衆国の環境活動家アメリカ合衆国の女性活動家ハワイ州選出のアメリカ合衆国下院議員ヒンドゥー教徒サモア系アメリカ人1981年生存命人物
最終更新 2025年2月1日 (土) 08:15 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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米上院、情報トップにギャバード氏承認
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12DOD0S5A210C2000000/『2025年2月13日 2:39 (2025年2月13日 8:44更新)
米国家情報長官に就任するギャバード氏=AP
【ワシントン=芦塚智子】米連邦議会上院は12日、トランプ大統領が国家情報長官に指名したトゥルシー・ギャバード元下院議員の人事を承認した。米中央情報局(CIA)など米国の情報機関を統括し、大統領が政策を決める判断材料になる機密などを報告する重要ポストに就く。
上院の採決は賛成52票、反対48票で、民主党議員全員と共和党の重鎮マコネル議員が反対に回った。マコネル氏はヘグセス国防長官の承認採決でも反対票を投じた。
ギャバード氏は米国領サモア出身。陸軍州兵としてイラクへの従軍経験がある。もとは民主党に所属し、ハワイ州議会議員や連邦下院議員を務めた。2020年の大統領選で民主党予備選に出馬した。22年に民主を離党し、共和党のトランプ氏に接近した。
ギャバード氏の情報トップ就任には、民主だけでなく共和の一部にも資質を疑問視する声があった。
1月の上院での指名承認公聴会では「日本は米国の強力な同盟国だ」と表明。インド太平洋地域に「精通している」と自信を示した。』
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