月: 2020年10月
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日米の「動的防衛協力」について(「取扱厳重注意」)
平成24年7月
統合幕僚監部 防衛計画部※ 衆議院議員 日本共産党国会対策委員長である「こくた恵二氏」のHPのようだ…。


















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https://r.nikkei.com/article/DGXMZO65302830S0A021C2SHA000?s=5








『自由な国家は国民を守れると信じますか――。
「中国型の社会統制と監視のモデルには大きな需要がある」。カーネギー財団モスクワセンターのアレクサンドル・ガブエフ上席研究員はこう指摘する。
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異次元債務に市場沈黙 カネ余りが促す大衆迎合いま、中国国内を移動するには、スマートフォンが手放せない。行動履歴で新型コロナウイルスに感染していないという証明をスマホのアプリで示さない限り、公共交通機関や商業施設、飲食店などを利用することはできない。
街中に張り巡らす監視カメラや個人データの収集、人口1千万人を超える武漢市の封鎖。中国は国民の自由を顧みず、コロナウイルスの封じ込めに突き進んだ。こうした中国の技術や手法に魅力を感じる強権国家は多く、ロシアや中央アジアなどで監視技術の導入が進む。
「我々は感染第2波のまっただ中にいる」。フランスのマクロン大統領は危機感をあらわにする。中国がコロナ封じ込めに成功する一方で、欧州や米国では新規の感染者数が急増している。
ニッセイ基礎研究所の高山武士氏が50カ国・地域を対象にコロナの人的被害と経済損失を分析し、総合評価を算出したところ、欧州諸国が軒並み下位に沈んだ。世論に配慮し、行動規制の緩和を急いだことが感染再拡大の背景にある。
米国では自由主義的な価値観を重視し、規制に慎重な共和党系が優勢な州で感染者が多い。「国民が同じ方向を向かないと封じ込め政策の効果は薄い」(高山氏)
国家の意志で国民に同じ方向を向かせることができる強権国家と異なり、民主主義国家は違う方向を向く自由も尊重せざるを得ない。民主主義の劣勢にもみえるが、民意を反映しない強権体制は危うさも抱える。
民意より経済成長と国力の向上を優先してきた結果、国民生活の安定に必要な社会保障制度などの「安心網」にはひずみも目立つ。
2018年に中国で大ヒットした映画「我不是薬神」(邦題「薬の神じゃない!」)。中国の医療や社会保障制度の不備をリアルに描いた作品として注目された。中国では診療を受けるために早朝から長蛇の列を作ることは日常的な光景だ。医療への不満から医師への暴力事件が後を絶たず、社会問題化している。
病気や貧困から国民を守る社会保障制度は、19世紀後半に「鉄血宰相」と称されたドイツのビスマルクが礎を築いた。当初は労働者の過激化を防ぐ目的で導入した制度だが、参政権を求める運動が拡大し、民主化が進むとともに発展してきた。
長い目でみた安心をどこまで国民に提供できるか。その差は鮮明だ。
世界銀行によると、中国の国内総生産(GDP)に占める医療支出の割合は5%。米国(17%)や日本(11%)、世界平均(10%)と比べて低い水準にある。高齢化も進む中、年金制度などの整備も遅れている。
急速に進化するデジタル技術を総動員して国民の監視体制を構築し、国家権力の維持に努める強権国家。だが、社会に渦巻く不満を抑え込むほど、将来のリスクも膨らんでいく。
コロナに揺さぶられる「安心網」をどう立て直すか。その行方がコロナ後の国家の興亡を左右する。
キーワード「社会保障」
病気や労働災害などの際の「安心網」となる社会保障制度を国家が初めて整備したのは「鉄血宰相」として知られるドイツのビスマルクだ。1880年代に疾病・労災・年金保険を相次ぎ制定する。
社会保障の登場は資本主義の発展と連動する。18世紀の英国で起きた産業革命によって都市への移動が起き、人は新たな自由を得た一方で病気などで働けなくなった時のリスクを背負い込んだ。
旧ドイツ帝国のビスマルクは中央集権体制を目指すなか、国と個人が直接結びつく手段としての社会保障を構想した。帝国と相対する社会主義運動の拡大防止と兵士の健康状態管理という国家体制の維持に主眼を置いた改革だった。
第2次大戦のさなか、英国の経済学者ベバレッジは貧困者を減らすために社会保障網を全国民に行き渡らせるべきだとの報告を英政府に提出する。ベバレッジ報告と呼ばれ、国が「ゆりかごから墓場まで」面倒を見る福祉国家の基礎となった。
先進国では社会保障が拡充された一方、給付が次第に国家の重荷となっていく。1975年には経済協力開発機構(OECD)の平均で社会支出が国内総生産(GDP)比14.4%と15年間で6ポイント上がった。
福祉国家を世界に広めた英国では、給付に過度に依存した人が増えて競争力の低下が問題となった。「英国病」と呼ばれた危機だ。79年に登場したサッチャー首相は小さな政府を掲げ、社会保障を見直していった。同時期に米国でもレーガン大統領が誕生し、政府の関与を減らして市場原理を重視する新自由主義が潮流となる。
新自由主義は格差拡大をもたらしたとして、2008年の世界金融危機後に揺り戻しが起きた。ただ、社会保障の支え手である若者が減り、支えられる高齢者が増える現象は各国で共通する。持続可能な社会保障づくりが急務だ。』
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『何を物差しに、政府の政策が適切かどうかを判断しますか――。
「小切手1枚では足りない」。米ニューヨークで9月、失業した若者らが所得保障を政府に求めた。米国は新型コロナウイルス対策で1人に最大1200ドル(約13万円)を配った。仮に同額を12カ月配ると、過去最大だった2020会計年度の財政赤字(330兆円)と同規模の財源が要る。
米国で生活費の保障を求めて声を上げる若者ら(9月、ニューヨーク)
危機に救いを求める声が政府の借金を異次元の領域に押し上げる。国際通貨基金(IMF)によると米政府債務の国内総生産(GDP)比は20年に過去最高の131%。世界全体では99%とGDP規模に並ぶ。前例のない非常事態なのに、市場は沈黙したままだ。【関連記事】
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第2次世界大戦後、手厚い福祉に傾いた米英など先進国の多くは財政悪化と物価高騰に苦しみ、1980年代から政府の関与を減らす「小さな政府」を志向した。福祉国家の代表格であるスウェーデンも90年代に財政悪化から長期金利が2桁の水準に上昇し、増税と歳出削減を迫られた。民主主義が野放図にばらまけば市場が歯止めをかける――。自由という価値を頂き、互いに補いつつ繁栄した2つの歯車がかみ合わない。イタリア国債の格付けは投資適格で最低水準のトリプルBなのに長期金利は10月に一時0.7%を下回った。8月に日本の投資家はイタリア国債を過去最大の約5千億円買い越した。原因はカネ余りだ。
2008年の世界金融危機を経て中央銀行の超低金利政策が定着し、10年代の米短期金利は0.6%と1980年代の1割未満の水準にある。経済のデジタル化で設備投資が鈍り、80年代に通算7兆ドルの資金不足だった日米企業は2010年代、同規模の余剰に転じた。米ピュー・リサーチ・センターによると米国民の「大きな政府」への支持率は19年に47%と30年ぶりの高水準にある。世界は反転した。
「金利と経済成長の常識は一変した」。慶大の桜川昌哉教授は語る。過去70年間、米国の金利は成長率を平均1%上回った。10年代に入ると逆に1%下回るようになった。低成長でも金利がさらに低ければ「政府は債務返済を上回る税収を期待できる」(桜川氏)。借金の痛みも消えた。
中国など強権国家の台頭にコロナ禍。自由を脅かす危機が広がる。経済学者フリードリヒ・ハイエクは中央集権的な体制は自由市場に比べて資源を効率的に配分できないと論じた。だが中国に追われる米国のトランプ大統領は自ら貿易戦争を仕掛けて自由主義経済の土台を壊す。よりよい社会をめざす道はないか。
「パンとサーカス」は民衆の歓心を買おうと権力者が食料と娯楽を振る舞い、没落したローマ帝国の象徴だ。21世紀に広がるポピュリズム(大衆迎合主義)は、社会の不満や不安をあおり、権力の膨張にひた走る為政者が民主主義をむしばむ。
本来、金利上昇やインフレといった信号で権力の暴走に歯止めをかけるはずの市場はカネ余りにまひした。ブレーキ役を果たせない市場と民主主義の衰えは無関係ではなく、互いにつながり、世界に矛盾を広げる悪循環を生み出している。
「非常時だから」と思考を止めず、市場の健全な機能を取り戻す歩みを続ける。その先に民主主義の再生もあるはずだ。
キーワード「長期停滞論」
自由を渇望した国で民主主義が不安定になるのはなぜか。政治学者のヤシャ・モンク氏は「人々が親より豊かになっていると感じられないから」という。ではなぜ豊かになれなくなったのか。
元米財務長官のローレンス・サマーズ氏の答えは「長期停滞論」。08年の金融危機以降、経済の回復が遅れた理由として13年に唱え始めた。国際通貨基金(IMF)によると先進国の経済成長率は21世紀の20年間が平均1.5%。20世紀の最後の20年間が3%だったので、ちょうど半分だ。
サマーズ氏は停滞の理由を「貯蓄過剰」に求めた。20世紀までの経済は企業が工場や設備に投資をつぎ込み、人々の貯蓄が使われた。21世紀に入ると投資が細り、貯蓄が余り始めたというのだ。
IMFによると世界の貯蓄額は04年に初めて投資額を上回った。金融危機後は当たり前となり、20年も貯蓄額は投資額を1000億ドル(約10兆円)ほど上回る。東大の青木浩介教授は「家計がためたお金を企業が使う従来モデルは機能しなくなった」と話す。投資が足りないので経済は冷え込み、お金の借り手がいないので金利も下がる。
誰のお金がたまっているのかも問題だ。米プリンストン大のアティフ・ミアン教授らによると、米国では収入が最上位1%の富裕層が年間約60兆円ずつ貯蓄を増やしている。スウェーデンの経済規模に相当する。
政府が税を通じ、豊かな層から貧しい層へお金を流す再分配も目詰まりを起こした。米経済学者のエマニュエル・サエズ氏らが運営する団体によると所得上位400人にかかる税率は18年に23%と、過去100年間で初めて下位50%層の税率を下回ったという。
11月3日に迫る米大統領選では民主党のバイデン候補が富裕層への課税強化を訴えている。実現すれば低税率の国に富が逃げる懸念もある。富が偏る副作用は経済にも民主主義にもおよぶ。』
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https://r.nikkei.com/article/DGXMZO65301650S0A021C2SHA000?s=4










『民主主義が衰えている。約30年前、旧ソ連との冷戦に勝利した米国は自国第一に傾き、自由と民主主義の旗手の座を退いた。かつて自由を希求した国が強権体制に転じる矛盾も広がる。古代ローマで「パクス」と呼ばれた平和と秩序の女神は消えた。人類が多くの犠牲を払って得た価値は色あせるのか。あなたにとって民主主義は守るに値しませんか――。
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自由のパラドックス 「パクスなき世界」を考える
民主主義、再生の道は 岩間陽子氏と室橋祐貴氏が対論
不連続の未来へ 「パクスなき世界」第1部まとめ読み「一部の加盟国で司法の独立に深刻な懸念が生じている」。欧州連合(EU)欧州委員会は9月末にまとめた「法の支配」に関する初の報告書で、ハンガリーにとりわけ厳しい視線を向けた。
同国のビクトル・オルバン首相は「民主主義は自由主義でなければならないという教義は崩れた」と公言する。2010年の政権発足以来、憲法など重要法の改正を重ね、政権寄りの裁判官を増やして権力をけん制する司法の役割を封じた。
力の源は議会の3分の2を握る政権与党の議席にある。冷戦時の共産主義から民主主義に転換し04年にEUに加盟したが、今もハンガリーの賃金水準はEU平均の3分の1。人口は30年間で7%減った。「民主化すれば豊かになれる」という夢はかなっていない。
民主主義を揺らすのは低成長と富の集中だ。1980年代に3%を超えた世界経済の平均成長率は2010~20年に2%台前半に沈み、トップ1%の所得シェアは80年代の16%から21%に高まった。難民、EU本部、自由主義。オルバン氏は次々と「敵」を攻撃し、行き場のない不満をためこむ人々の支持を集めた。
より自由になった市民が無力を味わう自由民主主義のパラドックス(矛盾)――。ブルガリア出身の政治学者イワン・クラステフ氏は中欧の難局を著書でこう表現した。冷戦時に民主化を求めたポーランドも強硬右派政権が2月、裁判官が政府の改革に異を唱えるのを禁じる法律を作った。
危機は世界を覆う。スウェーデンの調査機関V-Demによると、19年に民主主義国・地域は世界に87。非民主主義は92で、民主主義が18年ぶりに非民主主義の勢力を下回った。18年にハンガリーやアルバニア、19年にフィリピンなどが非民主主義に逆戻りした。20年に民主国家に暮らす人は世界の46%と、旧ソ連が崩壊した1991年以来の水準に沈む。非民主国家が世界の多数派だ。
選挙で選ばれた政権が民主主義を壊す悪夢は約90年前も見た。当時最も進んだ民主憲法を擁したドイツは第1次大戦の賠償や世界恐慌で疲弊し、ヒトラー率いるナチスの全体主義を選んだ。民主主義と自由主義経済の繁栄。20世紀の共通の価値軸「パクス」を守るべき大国も土台がぐらつく。
11月3日、建国以来59回目の大統領選挙に臨む米国。大票田テキサス州で与党・共和党のアボット知事は10月上旬、唐突に不在者投票の受付場所を自治体ごとに1つに集約するよう命じた。野党・民主党は高齢者らが投票しにくくなると反発し、法廷闘争が続く。
新型コロナウイルスを理由とした選挙規則の変更を巡る訴訟は全米で350件を超える。トランプ大統領は民主党候補のバイデン前副大統領に敗れた場合の平和的な政権移行すら確約しない。
民主主義の動揺を強権国家は見逃さない。中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は新疆ウイグル自治区などで少数民族の同化政策を強力に進める。香港政府は3月に5人以上の集会を禁じ、コロナを理由に抗議活動を禁止した。9月に予定していた立法会(議会)選挙も1年延期した。
ベラルーシのルカシェンコ大統領は9月、予告なしに6期目の就任式を強行した。夏の大統領選での不正への抗議デモが続くが、欧米の関心の低さを見透かす。ロシアは15億ドル(約1600億円)の支援融資を申し入れ、影響力拡大を狙う。
社会学者ラルフ・ダーレンドルフは23年前、「21世紀が権威(強権)主義の世紀にならないと言い切れない」と記した。希望はないのか。
政権の意向に縛られない新たなメディアの創設を決意したハンガリーのベロニカ・ムンクさん(撮影=Janos Bodey)
再びハンガリー。ベロニカ・ムンクさんは10月、仲間とニュースサイト「テレックス」を開設した。同国最大手ネットメディアの副編集長を7月に辞めた。政権に近い実業家が経営に介入し、編集長を解任したからだ。「独立は自らの足で立つことでしか得られない」。新サイトは主に寄付金と購読料で運営する。法の支配や言論の自由を常に磨く。誰にも縛られない発想を育む礎は誰かが守ってくれるわけではない。米フーバー研究所シニア・フェローのラリー・ダイアモンド氏は「民主主義を改革する新たな時代を」と訴える。未来を守るカギは私たち一人ひとりの手にある。
キーワード「米中新冷戦」
貿易、金融、技術、軍事――。米国と中国はあらゆる分野で覇権を競い、対立している。中国が一党独裁の強権体制に一段と傾くにつれ、米国とソ連の冷戦になぞらえて「新冷戦」と呼ぶことが増えた。では世界がこのまま民主主義と自由という価値観を巡って二分されるのかといえば、冷戦時と異なる点も多い。
トランプ米政権が中国共産党を「全体主義」(ポンペオ国務長官)と非難し、米中対立は価値観闘争の色彩も帯びる。ただ米国の資本主義とソ連の共産主義のイデオロギー対立が世界を分断した冷戦と違い、世界1、2位の経済大国である米中の相互依存は深い。
戦後世界を東西に分断した冷戦時代、米ソ間の経済交流はほぼなかった。2019年の米国の貿易額のうち中国向けは13%を占める。中国は共産党の一党支配でありながら経済は実質的に資本主義だ。01年に世界貿易機関(WTO)に加盟し、グローバル化の恩恵を受けて経済発展した。米中の経済関係や国際供給網は深く複雑に結びつく。
米中対立を「冷戦」と呼ぶことに疑問の声もある。それでも超大国・米国に迫り、米主導の国際秩序に挑む中国という構図が「新冷戦」のイメージとなっている。12年に発足した習近平(シー・ジンピン)指導部は広域経済圏構想「一帯一路」や「中国製造2025」といった長期戦略を打ち出し、米国の中国への警戒感を一気に高めた。
中国による高度な市民監視システムの輸出も「世界に自由で民主的な社会が根付くことを望んできた米国外交の基本と衝突した」(佐橋亮東大准教授)。米国は通信網など機微に触れる分野から中国企業の締め出しに動く。
多くの専門家は、中国には米国に代わって世界の覇権国になる意図も能力も今のところないとみる。米国からみれば自国の利益を中国に日々削り取られているのが現状だ。相互不信が高まり、偶発的な軍事衝突が起きる恐れもくすぶる。
中国は一党支配体制を守るために欧米中心の自由や民主主義という価値観とは一線を画し、香港などで統制を強めている。一方の米国は大統領選を控えて国内各地で暴力衝突が起き、国際社会を主導する力は衰えた。
冷戦研究の第一人者である米エール大のオッド・アルネ・ウェスタッド教授は覇権を争う2国が長く併存した例に古代ギリシャのアテネとスパルタ、16世紀のイングランドとスペインなどを挙げ、米ソ冷戦以外は最終的に全面戦争に至ったという。米中の争覇は21世紀の世界だけでなく、自由と民主主義の未来にも大きな影響をおよぼす。』
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65511140X21C20A0910M00/
『インドと米国は軍事協力を強化する。両政府は27日、インドの首都ニューデリーで外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開き、衛星情報の共有などで合意する見通しだ。インドと国境沿いの係争地域で対立する中国へのけん制が念頭にある。日本とオーストラリアも加わる「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進に弾みを付ける。
印米は27日の外務・防衛担当閣僚協議で軍事協力の強化を確認=AP
画像の拡大両政府の2プラス2は2018年から定例化し今回で3回目にあたる。印側はジャイシャンカル外相、シン国防相、米側はポンペオ国務長官、エスパー国防長官が参加した。シン氏とエスパー氏は26日、協議に先立って重要事項について意見を交わした。印国防省はその後に「今回の訪問で地理空間情報の交換に関する協定に署名するだろう」との声明を出した。
この協定は、米国が強みとする衛星情報などを活用し、相手の兵士の位置や軍事施設に関する正確なデータを瞬時に共有することを狙いとする。両政府が意識しているのはインドとの国境沿いで兵士や軍事施設を増強する中国の存在だ。
インドと中国はヒマラヤ山脈などで国境が3千キロメートルほど画定していない。印中は5月から印北部ラダック地方の係争地域でにらみ合いを始め、6月半ばには両軍の衝突によって45年ぶりに死者を出した。印中は閣僚や軍司令官の対話を重ねているが、いまも解決策を見いだせていない。
対立が長引く一因には国境沿いの地形が複雑だという事情もある。対立する地域は一部で標高4千メートルを越え、湖、渓谷、温泉がある。両国の実効支配線がわかりにくいため、現場では偶発的な衝突が起こるリスクがつきまとう。印メディアによると、印中両軍は係争地域に総勢10万人ほどの兵士を配置している。
インドは今回の協定の締結によって、これまで難しかった中国の軍事情報を把握しやすくなる。中国がどこに重点的に兵士を配置しているかがわかりやすくなり、新しく設ける軍事施設も見つけやすくなるとみられる。航空や航海の地理情報をいかし、兵器を搭載したドローンなども活用できる。米国にとっては印側に最新鋭の兵器を供給する道が開けそうだ。
米国は11月にインド洋で日本やインドと実施する海軍の共同訓練に、豪州も参加することに「歓迎する」との意向を示した。日米豪印が参加する共同訓練は13年ぶりで、自由で開かれたインド太平洋構想に基づく連携を深める好機になる。
4カ国は10月上旬に東京で開いた外相会談でも年1回の会合を定例化することで合意した。南シナ海などで軍事行動を活発にする中国を念頭に、4カ国は相次ぎ協調する姿勢を打ちだしている。インドは国境対立をきっかけに中国への経済制裁も発動し、従来の各国との等距離外交から4カ国での連携に傾斜し始めたとの見方が出ている。
(馬場燃)』















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https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2010/26/news131.html




『東京商工リサーチは、新型コロナウイルス関連の経営破綻(負債1000万円以上)が、2月から10月26日午後4時時点までに累計619件に達したと発表した。また、負債1000万未満の小規模倒産は累計32件と判明し、小規模倒産を含めた新型コロナ関連破綻は合計で651件に到達したことが分かった。
負債額1000万円以上の企業の都道府県別破綻状況(以下リリースより)
月別に見ると、単月最多は6月の103件で、9月は3カ月ぶりに前月を上回る100件に達した。7月は80件、8月は67件だった。10月は26日時点で78件となっており、9月に続いて月間100件ペースで推移している。
都道府県別では、東京都が142件と最多で、全体の22.9%を占めた。以下、大阪府(64件)、北海道(31件)、兵庫県(27件)、愛知県、神奈川県(26件)と続く。
突出する飲食業
業種別では飲食業が103件と突出していて、ついでアパレル関連が64件、宿泊業が53件、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が37件となっている。さらに、飲食料品卸売業は32件、食品製造業も27件に達し、飲食業界の需要減が関連業種にも影響する結果となった。
「コロナ破綻」した企業名
新型コロナ関連破綻のうち、正社員の従業員数が判明した570件の従業員合計は1万1079人となり、1万人を突破。従業員5人未満が255件で4割以上を占めた一方、従業員50人以上の事業者は月間1件にとどまっていて、小規模事業者ほど新型コロナの打撃を大きく受けていることが鮮明となった。
また、約9割が消滅型の「破産」(500件)を占め、再建型の民事再生法は1割未満だった。このことから、新型コロナによる倒産企業の多くは、業績不振状態で新型コロナが拡大し、とどめを刺された形となっている。』
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香港に続く「台湾有事」は「日本有事」になる――香田洋二(元海上自衛隊自衛艦隊司令官)【佐藤優の頂上対決】
ビジネス 週刊新潮 2020年10月22日号掲載https://www.dailyshincho.jp/article/2020/10270555/?all=1



『国際的な批判をものともせず、国家安全維持法を成立させて一国二制度の「香港」を自国に組み込んだ中国。その次なる狙いは「台湾」である。建国100年を迎える2049年までに、台湾への侵攻に踏み切る可能性が高い。その時、アメリカはどう動くのか、そして東アジアはどうなるのか。
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佐藤 9月の国連総会で、トランプ大統領は中国に対して新型コロナ感染拡大の責任を追及し、改めて対決姿勢を印象づけました。この非常時にあっても米中の対立はますます激化しています。
香田 コロナ禍の中で、中国は香港での国家安全維持法を成立させて施行するとともに、南シナ海でも領土・領海拡大の活動をやめようとしていません。中国の冒険主義にも拍車がかかっているように見えますね。
佐藤 アメリカは、スパイの拠点だとしてヒューストンの中国総領事館を閉鎖させました。これに対抗して中国は成都の米国総領事館を閉鎖しています。関税問題からのこうした一連の流れを、ほとんどの日本の有識者たちは「新冷戦」と言いますが、私はちょっと違うのではないかと思っています。
香田 かつてのソ連との冷戦とはまったく違いますね。
佐藤 あの時は米ソが数千発の核兵器を持ち、両者の力が均衡していたからこそ武力行使ができない状況が生まれました。しかしいま、米中の力の不均衡は明らかで、まだまだアメリカが優位にあります。その中で、アメリカに追いつこうとしている中国が、状況打開に向け、局地的に「熱戦」を仕掛ける可能性は排除できないと思います。
香田 オバマ政権時代に中国は、領土紛争のある南シナ海の西沙(パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島で人工島造成を行い、滑走路を作って軍事基地化しました。それまでアメリカは、中国と現在の国際秩序の中で共存できると考えていました。共産体制でもいつかは民主主義を理解し、貿易のルールを守るようになって、自由主義陣営と協調してやっていけると。オバマ大統領は軍事拠点化を黙認してしまいましたが、中国への認識が誤りだとはっきり自覚し、トランプ大統領は2018年7月、関税の引き上げという形で中国への態度を豹変させました。アメリカは軍事力を使いたがる国ですが、ここでの軍事的手段の行使はお互いの被害が大きすぎる。だから経済とハイテク分野に対し関税と圧力をかけていく形で、中国を抑え込もうとしたわけです。
佐藤 しかし中国も力をつけてきています。しかもそれまで何も言われなかったわけですから、当然反発します。
香田 やはり2010年にGDPが日本を超えて世界第2位になったことが大きい。あれから国民の意識が大きく変わったと思います。当時、私はハーバード大学の研究員だったのですが、アメリカの中国人たちはお祭り騒ぎでした。これからはアメリカと中国のG2で世界を二分する、という意識が生まれました。
佐藤 ただ人口は日本の10倍以上ありますから、1人当たりのGDPだとまだまだ低い。
香田 だから中国は、自分たちはまだ経済的に発展途上国であるとして、WTO(世界貿易機関)では途上国としてのさまざまな優遇措置を受けています。
佐藤 かなり歪な形の発展です。
香田 もう意識としては大国ですから、トランプ政権の関税措置に対し、受けて立とう、ということになります。さらには国際的なルールを無視して、領土拡大を狙い、一帯一路という対外政策も推し進めています。もうこれからは自分たちのやり方でやる、と言っているに等しい。ここで起きている対立は、我々が理解している「冷戦」とは違うものです。
佐藤 アメリカはウイグルの人権問題を持ち出すなど、さらに価値観の対立軸を作り出そうとしています。
香田 人道とか人権、自由といったものは、支持党派の別なくアメリカ人にアピールしやすいものです。
佐藤 そもそもアメリカはそうした理念によって移民が集まってできた国です。
香田 トランプ大統領としても、そこは大統領選にも効いてくると考えていますから、ますます人権問題を突いてくるでしょう。
佐藤優
佐藤優氏(他の写真を見る)知られざる危機
佐藤 アメリカやアジア各国との軋轢を生みながらも、冒険主義とも戦狼外交とも呼ばれる政策を取り続ける中国は、どこを目指しているのでしょうか。
香田 当然、アメリカに負けないということですが、具体的には台湾の統一でしょう。中国は2049年に建国100年を迎えます。それまでに何とか国家統一を成したい。特に人民解放軍はそれを最大の任務だと心得ていますし、それが国民との絶対的な約束であるという心理的な負荷もかかっています。
佐藤 台湾統一は、共産党統治の正統性を守るためにも譲れない。
香田 そうです。共産党政権の正統性、主権、領土保全は最重要国益と位置づけられます。そして中国が主張する「核心的利益」は、もともと台湾とチベットのことでした。
佐藤 いまは尖閣諸島も入っていますが、広げすぎです。
香田 もちろん冷静に分析すれば、2049年までにアメリカと互角に戦えるようになることは難しい。それは中国もよくわかっています。ただ一方で、チャンスはあるとも思っている。おそらく今回のコロナ禍はその一つになると中国は期待していた節があります。
佐藤 アメリカは想像以上にコロナで混乱が深まっていますからね。
香田 3月に、太平洋に展開する原子力空母「セオドア・ルーズベルト」でコロナの感染が広がりました。同船には約4800人の乗組員がいますが、千人以上が罹患した。
佐藤 ニュースでも大きく取り上げられましたね。しかもその対応を巡って艦長が解任された。
香田 おそらく中国は、コロナが米軍全体、陸、空、海、海兵隊に蔓延するだろうと思ったでしょう。そしてこのチャンスを生かせないかと考えたはずです。
佐藤 何か兆候はあったのですか。
香田 南シナ海での活動を活発化させました。西沙諸島周辺では、日本の海上保安庁にあたる中国の海警局がベトナムの漁船に体当たりをして沈没させていますし、ベトナムがアメリカと契約している石油会社の探査船も妨害しました。また中国の海洋調査船がベトナムのEEZ(排他的経済水域)に侵入し、さらにマレーシア、ブルネイの近海にも入りました。
佐藤 尖閣諸島の接続水域にも、4月から8月まで連続111日間、海警が入ってきましたね。
香田 ええ。ここでも動きが活発化しましたね。ベトナム沖には、佐世保に展開している「アメリカ」という大型の強襲揚陸艦が急遽出動しました。中国もアメリカにそこまで出てこられると引かざるを得ない。
佐藤 空母はどうなりましたか。
香田 ペンタゴンはすぐ手を打ちました。通常、アメリカはペルシャ湾と太平洋の二つの地域で空母駆動隊を展開しています。「ルーズベルト」がコロナ禍に見舞われグアムで立ち往生した時、もう1隻の「ハリー・S・トルーマン」は、ペルシャ湾での7カ月の展開を終え、母港であるバージニア州のノーフォーク港に帰港直前でした。それを大西洋上で待機させたのです。
佐藤 それはコロナ対策というより、中国を睨んでのことなのですね。
香田 大西洋では台湾から遠いのですが、台湾で何か悪さをやろうと思ったら中国にもそれなりの時間が必要です。「トルーマン」がその兆候を察知して駆けつけるなら、間に合いはしないけれども、少し遅れて着くことはできる。このように中国にメッセージを発したのです。
佐藤 なるほど。
香田 同時に、次に展開することになっていた「ニミッツ」では、乗組員と搭載する70機の航空部隊合わせて約5千人を1カ月間隔離しました。発病リスクのある2週間を優に超える期間、徹底的に管理して万全な態勢で洋上に出したのです。横須賀の「ロナルド・レーガン」でも感染者が出ましたが、これもたちまち態勢を整え、出港させました。
佐藤 アメリカはこれまでに750万人近い世界最大の感染者数を出し、死者も20万人以上ですが、軍隊はまったく対応が違いますね。
香田 トランプ大統領の方針とは関係なく、軍は軍で情報収集を行い、冷静に情勢判断して対応しています。もちろん中国の動きを睨みながらです。その結果、6月には「レーガン」「ニミッツ」とコロナから回復した「ルーズベルト」の原子力空母3隻が太平洋に同時展開しました。これは北朝鮮情勢が緊迫した2017年11月以来のことです。8月に米軍全体の機能が正常に戻るまで、アメリカは4カ月間、踏ん張ったのです。
佐藤 4月から7月くらいまでが、知られざる危機だったのですね。
香田 一番危ない時期でした。
台湾有事で沖縄侵攻も
佐藤 中国はアメリカが混乱する機を常にうかがっている。香田 これから行われる大統領選もそうです。4年ごとに訪れる大統領選は、アメリカの分裂、混乱を招くきっかけともなりますから、そこを注視している。
佐藤 そうした混乱期をとらえるにしても、軍事力の差がある中で、中国には台湾統一に向け、どんなプランがあるのでしょうか。
香田 アメリカに十分な軍事力を発揮させない前提で、三つの道があると考えられています。一つは、台湾の社会や経済活動に香港以上の自由度を保証すると宣伝して大多数の賛同を集める。そして反対する人たちだけを特殊部隊で一気に制圧して統一する方法です。これは台湾人の同意のもとに中国が併合する形ですから、流血は極めて少なく済みます。また国際社会には内政問題とアピールできますから、アメリカとしても手を出しにくい。ただ、香港が強引に中国に飲み込まれてしまったいま、このプランは難しいでしょうね。
佐藤 一国二制度の実質破棄は、台湾に強烈な印象を残したでしょう。
香田 二つ目は、経済的に立ち行かなくさせて占領する。実は台湾の石油の備蓄量は、ものすごく少ないのです。石油危機を経験した日本は、200日分はありますが、台湾は約10日分と言われています。しかも脱原発を進めています。だから海上封鎖で10日ほど干上がらせてしまえば、電気がなくなり、台湾が息切れします。そこに攻め込む。
佐藤 アメリカは動きますよね。
香田 10日もあれば、ホワイトハウスも腹を決めるには十分です。
佐藤 あくどいやり口ですが、台湾の政府も抵抗しているとなれば、アメリカとしても軍事介入の名目が立つ。
香田 そして三つ目のシナリオが武力統一です。
佐藤 普通なら正面切って切り込まないでしょう。
香田 もちろん台湾を懐柔して入る第一のプランが一番いいわけで、最初から大きな損害を覚悟してというのは、なかなか考えにくい。ただ混乱に乗じるなど、アメリカがすぐに対応できない状況なら、可能性はあります。この時、問題なのは台湾有事が「日本有事」にもなることです。
佐藤 どのような形で日本が巻き込まれるのですか。
香田 人民解放軍は陸、海、空、海兵隊などを合わせ、約200万人です。うち陸軍が100万人です。それが5軍区に分かれていて、例えば西部軍区は、チベットを睨みつつ、インド、パキスタンを担当していますし、北部軍区は日本と朝鮮半島を見ている。台湾侵攻の最大の問題は、130キロの台湾海峡を越えて行かなければならないことです。数十万人の地上軍を集めて送るには、一定期間、米軍の干渉を排除し、制海権、制空権を握らなければならない。
佐藤 米軍が来る前に台湾へ渡りきらないといけないわけですね。
香田 そこが難問で、いざ中国が兵力を集め始めたら、アメリカは1990年にサダム・フセインがクウェートに侵攻した時と同じように、短期間で空母機動部隊5隊を集めます。米空軍も同じです。すると海峡を横断中にやられてしまう。その際、米軍は日本政府と交渉していくつかの基地を使うでしょう。そして台湾海峡だけでなく、人民解放軍の出撃基地、ミサイル発射基地も叩きます。8月に中国がミサイルDF26と21Dを南シナ海に撃ちこんだ基地です。
佐藤 軍事作戦としては当然でしょうね。
香田 だから中国にすれば、台湾だけを考えていたらダメなのです。米空軍を擁する沖縄の嘉手納基地が脅威になるし、与那国、石垣、宮古の各島にも2千メートルの滑走路があり、F15戦闘機がギリギリ発着できる。そんな物騒なものがあったら、台湾侵攻の脇腹をやられるだけでは済まない。だからそれらが米軍に使われないように、取りにきます。一方で台湾が実効支配している東沙(プラタス)諸島にも侵攻する。いまは1200メートルの飛行場しかありませんが、南沙諸島で中国が使った工法によれば、3千メートルの滑走路を造成できます。
佐藤 台湾の北も南も基地になりそうな場所は同時に取りにくるわけですね。
計画も作れない自衛隊
香田 やるとなったら、中国軍は台湾の両側をきちんと押さえ、まなじりを決してやります。そんな時に、話せばわかると言ったって意味がない。だからそうなる前に政治と外交で全力を尽くさなければなりませんが、三つ目の事態、すなわち武力侵攻になった時に、日本は何をするか準備しておくことが必要です。そこで問題なのは、台湾で有事でも先島は有事ではないとして、政府が自衛隊に作戦計画を作るのを許さないことです。佐藤 だいたい、日本には仮想敵も想定されていません。
香田 さらに言えば、日本人が犯す多くの間違いの根幹にあるのは、自衛隊を見る目で各国の軍隊を見てしまうことです。
佐藤 確かに自衛隊と軍隊は似て非なるものですからね。
香田 自衛隊は、世界の軍事力ランキングでは、米露中印日韓仏英の順番で、けっこう強い軍事力を持っています。けれども憲法と政治の制約があって、軍隊としての機能は著しく制限されます。例えば、尖閣諸島のどこかに正体不明の人間が上陸して五星紅旗(中国国旗)を振っているとしましょう。これにどう対応するかといえば――。
佐藤 沖縄県警ですね。
香田 はい。それが一般市民なのか、武装漁民なのか、あるいは特殊部隊なのか、まず見にいくのは、沖縄県警と海上保安庁です。でも中国が本気で仕掛けてきたのなら、ただのチンピラが来るわけがない。県警と海上保安庁の部隊が重火器でやられて屍の山を築くことになります。それで初めて自衛隊の偵察だということです。自衛隊が出るにしても自衛隊法で縛られている。そこで防衛省設置法第4条の「調査・研究」で出動しますが、その任務だと丸腰です。それがやられてしまう頃には、相手は周りを固めているでしょう。
佐藤 散々な展開ですね。
香田 これがアメリカなら、自国の島を占領して中国国旗を振っているなら、それを国家意思による活動と見なして警告を発した上で、降伏、投降しない場合には蜂の巣にして対処終了です。米軍も人民解放軍もそうした組織です。だから自衛隊が外国の軍隊と軍事交流をするのは、本来の軍隊はどんなところかを見るためでもあるのです。
佐藤 国際的な紛争を考える際に、日本の自衛隊の尺度で対応策を立てると大きく間違えてしまうわけですね。
香田 米ソ冷戦の時代は、ソ連に対してそうした事態を考えなくてもよかった。全面核戦争につながる恐れがありましたから、抑止が主目的でした。つまり、ソ連が実際に動く公算は極めて小さかったのです。でも中国は違います。こと台湾の場合、国内事項と言っていますから、国際社会が何を言おうと、アメリカが刀を抜かないと判断したら、取りにいきます。その際、人民解放軍を自衛隊の延長だと考えると、大きな被害を出すことになる。
佐藤 政治家はわかっているでしょうか。
香田 2015年に第3次安倍内閣で平和安保法制が成立しましたが、その後、政府と官僚はこうした残された問題に取り組まず、寝てしまっています。台湾や朝鮮半島の有事の際に、自衛隊がどういう警戒監視体制を敷いて、日米がどのような協力体制を作るかなど、法案が通ったすぐ後から始めなければなりませんでした。
佐藤 それができないのは、ある意味、当然です。公明党が連立政権に入っている以上は難しい。代表の山口那津男氏は、平和安保法制で認められた集団的自衛権について、あれは個別的自衛権の範囲だと言っています。自公で齟齬があれば、政治的にこの問題を寝かさざるを得ない。
香田 自衛隊は訓練していないことはできません。それは他の国の軍隊でも同じです。そしてその元となるプランニングがなければ、有事に対応しようがない。
佐藤 相手はプランニングがあって訓練もしているわけですからね。軍事的合理性から考えたら、あらゆる事態に備えて、どう準備しておくか考えるのは当たり前です。
香田 唯一の救いは、台湾有事とは関係なく始めた「南西諸島防衛構想」が政府のオーソライズされた政策になったことです。私から見れば、微々たる進歩ですが、与那国島に続き2019年から自衛隊が宮古島や奄美大島に駐留、駐屯を始めました。ただ中国の先制攻撃の際に、増援兵力が来るまで、少なくとも数週間は持ちこたえる必要があります。さらにその時の日米の作戦計画も必要です。でも私の知る限り、そうしたものはありません。
佐藤 そこは政治のリーダーシップの問題になってきます。
香田 今回、香港での一国二制度という国際的な約束が反故にされました。中国が、約束があっても自分の都合であんなものはなかったと、意味がないんだと、平気で言う国であることが改めてわかった。だからアメリカだけでなく、一時は中国に目がくらんでいたイギリスもオーストラリアも大きく対中政策を転換させています。日本も、いまこそ一から対中政策全般を練り直さなければならないと思います。
香田洋二(こうだようじ) 元海上自衛隊自衛艦隊司令官
1949年徳島県生まれ。72年防衛大学校卒業(第16期)、海上自衛隊入隊。92年米海軍大学指揮課程修了。2003年護衛艦隊司令官、05年佐世保地方総監、07年自衛艦隊司令官などを歴任して、08年に退官。09~11年ハーバード大学アジアセンター上席客員研究員。現在は、ジャパン マリンユナイテッド顧問。』 -
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65489650X21C20A0MM0000/




『【ワシントン=中村亮】米議会上院は26日夜の本会議で、トランプ大統領が連邦最高裁判所判事に指名した保守派エイミー・バレット氏(48)の承認について採決する。与党・共和党の賛成多数で承認する見通しだ。トランプ氏は保守派有権者の価値観に近い判事の承認を通じ、来週に迫った大統領選へ巻き返しを目指す。
判事承認には上院(定数100)で過半数の賛成が必要だ。共和党は53議席を握る。大統領選の直前に採決することに反対してきた共和党のリサ・マカウスキ上院議員は24日、賛成票を投じる立場に転じた。これにより共和党からの反対は1人にとどまり、52人が賛成するとみられる。民主党議員47人(無所属含む)は反対に回る見込みだ。
トランプ氏は9月下旬、膵臓(すいぞう)がんのため亡くなったリベラル派のルース・ギンズバーグ判事の後任にバレット氏を指名した。承認されると女性として5人目の最高裁判事となる。バレット氏は保守派として知られ、中西部のインディアナやウィスコンシン、イリノイの各州を管轄する連邦控訴裁の判事を務めてきた。
バレット氏が承認されれば、最高裁は長期にわたって保守寄りの判断を下す可能性が高まる。最高裁判事9人のうち少なくても5人が保守派になるからだ。保守派は人工妊娠中絶やLGBT(性的少数者)の権利に否定的で、個人の銃保有に賛成する傾向が強い。低所得者に医療保険加入を促す制度にも批判的だ。判事は終身制のため死亡するか、辞任しない限り職務を続けられる。
最高裁は米社会に大きな影響を及ぼすため国民の関心が高い。1954年に公立学校での黒人隔離を違憲と判断し、人種差別是正に向けた画期的な判決となった。妊娠中絶については73年に女性の権利とする歴史的判決を下した。2000年には大統領選の決着にも関わった。
トランプ氏は支持基盤の保守派有権者に対し、最高裁を保守寄りにした成果をアピールする。採決に先立ち、26日の東部ペンシルベニア州での選挙集会で「神に与えられた自由を守るため私はバレット氏を指名した」と語ると、支持者から大歓声があがった。「彼女はすばらしい。(最高裁に)長くいることになるだろう」とも強調した。』












































































