カテゴリー: 国内情勢
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日中首脳会談を「検討」 林外相表明、秋の実現探る
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA194NS0Z10C22A8000000/『日中両政府は岸田文雄首相と習近平(シー・ジンピン)国家主席による首脳会談の調整を始めた。国交正常化50年の節目を9月に控え関係の改善を探る。林芳正外相は19日の日本経済新聞とのインタビューで会談の実現に向け「具体的に検討する」と表明した。
首相と習氏の対話は2021年10月の電話協議以降ない。対面での首脳間の協議は19年12月以降開いていない。
日中両政府は対面やオンライン、電話での協議など形式を含め検討する。現状では今秋のオンラインでの協議が有力だ。11月にインドネシアで開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の場など日中以外の第三国で会談する案もある。
中国は4日、ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発し台湾周辺で大規模な軍事演習を始めた。日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイルが5発落下した。
林氏は中国の行動を非難したうえで「こうしたときこそ意思疎通が重要だ」と言及した。「建設的で安定的な日中関係を双方の努力で構築する必要がある」と語った。
17日には秋葉剛男国家安全保障局長が中国・天津で中国外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員と7時間会談をした。日中間の対話を継続する方針を確かめた。
【関連記事】
・日中首脳会談、オンラインや第三国案 国交正常化50年 ・林外相インタビューの要旨 ・日中、対話継続で一致 国交正常化50年を前に高官会談
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狙われる自民党総裁選 世論分断に中国・ロシアの影
風見鶏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE125X70S2A810C2000000/『「日本の政治に本気で影響を与えようと思ったら、日本国籍を取得するより自民党員になる方が簡単だ」。中国共産党員の一人は真顔で話す。
もし与党・自民党の党員になって総裁選に参加すれば事実上、首相選びに関わることができる。
自民党は入党資格として「満18歳以上で日本国籍を有する方」と掲げる。実際は身分証明書の提示といった厳格な確認をしない例もあるという。過去には党員になった覚えのない人に総裁選の投票用紙が届く「幽霊党員」問題が指摘された。
いま自民党は国会議員1人あたり年1000人以上の新規党員の獲得をノルマとして課す。党勢拡大のための活動も行き過ぎれば危うさをはらむ。
中国は民主主義の脆弱な部分を突く。それは権威主義的な国の特徴でもある。トランプ氏が勝った2016年の米大統領選はロシアの介入が取り沙汰された。
「オルタナ右翼の台頭、ブレグジット国民投票の可決、トランプ大統領の誕生。16年の主要イベントは裏ですべてつながっていた」
SNS(交流サイト)などのデータを駆使してトランプ氏が当選するよう大がかりな世論誘導をしたと内部告発したクリストファー・ワイリー氏は著書「マインドハッキング」で明かす。
同氏は16年6月の英国での欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票について、半年後に迫った米大統領選の予行演習のような位置づけだったと告白する。トランプ氏支持へと誘導する過程で、ロシア情報機関が関わったとも証言する。
事実なら16年や20年の大統領選での米国社会の分断状況をみるにロシアの情報戦は成功したといえる。
日本でも21年の自民党総裁選は異様な盛り上がりをみせた。
SNS上で高市早苗氏と河野太郎氏の支持者とみられる人が互いに批判し合う書き込みが目立った。党内が分裂しかねないと懸念した高市氏自身が「(総裁選は)たとえ正反対の意見であっても尊重し合う場です」と沈静化を呼びかける事態になった。
公安調査庁の元幹部は「証拠は見せられない」と断った上で、党内対立をあおる投稿は中国発が多かったと語る。発信は北京時間の午前9時から午後5時の間が目立ち、組織的な関与を裏付けると話す。
次の総裁選は岸田文雄首相が党総裁の任期を終える24年9月までにある。
この年は東アジアの民主主義を混乱させたい勢力にとって標的にしやすい時期に当たる。1月に台湾総統選、4月に韓国で国会議員を決める総選挙、11月に米大統領選があるからだ。
自民党は次期総裁選前に外国籍の人の不正な入党を防ぐ本人確認システムの導入を検討する。首相官邸も外国の諜報(ちょうほう)活動から守るカウンターインテリジェンスに力を入れ始めた。
それでも悪意を持って日本を狙う勢力への防波堤として十分とはいえない。
新型コロナウイルス禍で露呈したように、権威主義的な体制に比べて民主主義は意思決定に時間がかかる課題もある。「それでも民主主義には価値がある」と説くには備えが必要だ。
SNSが身近になるほど外国勢力による世論の分断工作は人ごとでなくなってきた。どんな人の心にも社会を分断する芽は潜む。あおられやすい環境だと個々が自覚し冷静さを保つことが第一歩になる。
(島田学)
【関連記事】
・台湾が迫る欧州の覚悟 ・「新常識」へ欠かせぬ想像力 アジアの中の日本に重責 ・派閥の本能と政治家の情念 ・新「X論文」が問う備え 米中対立の先にあるもの
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多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
川島真のアバター 川島真 東京大学大学院総合文化研究科 教授 コメントメニュー
分析・考察
中国やロシアが日本の国会議員選挙に介入しようと思った場合、何をどうすればいいかなかなか判断がつかないだろう。無論、「親中派」を当選させるようにし、「嫌中派」を非難したり、あるいは与党を混乱に陥れるようなスキャンダル映像なり言説なりを流すことはあろう。しかし、大統領選に比べれば、議会制民主主義を採る日本への選挙介入は容易ではない。だとすれば、もっとも簡単なのは自民党総裁選になる。中国に都合のいい候補を応援するとか、あるいは混乱させるとか、様々な工作がフェイクニュース、議論誘導、さまざまな方法で行われる可能性がある。中国による智能化戦争、ハイブリッド戦は日常生活の中でなされることを意識すべきだ。
2022年8月20日 14:05
鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー分析・考察
社会を混乱させるために偽情報を提供し、それで陰謀論者などが騒ぎ立つといったことは外部勢力でも可能だろう。ただ、日本は米英よりははるかに政治的に保守的で、組織が有効に機能し、少々のスキャンダルや噂で自民党総裁選が揺さぶられることはない。むしろマスコミが世論の方向性を誘導し、それによって大きな流れが作られることが多い。大統領選やBrexit投票のように「Yes/No」の二項対立なら煽りやすいだろうが、自民党総裁選となると、派閥や支持団体などの動きが重要で、二項対立になりづらい。こんな中で中ロが介入しようとしても、何をすれば有効なのか、見えないのではないだろうか。
2022年8月21日 18:32』 -
水面下で奔走するデジタル庁 知られざる司令塔の役割とは
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27631『水面下で奔走するデジタル庁 知られざる司令塔の役割とは
漂流する行政デジタル化 こうすれば変えられる江﨑 浩 (デジタル庁 Chief Architect/東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
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normal large日本のデジタル化というミッションを課され、発足したデジタル庁。チーフアーキテクトの江﨑浩氏に同庁の「現在地」を聞いた。
話し手・江﨑 浩
聞き手/構成・編集部(梶田美有)
江﨑 浩 Hiroshi Esaki
デジタル庁 Chief Architect/
東京大学大学院情報理工学系研究科 教授
1963年生まれ。九州大学工学部修士課程修了。東芝入社、米コロンビア大学客員研究員、東京大学大型計算機センター助教授などを経て現職。著書に『インターネット・バイ・デザイン 21世紀のスマートな社会・産業インフラの創造へ』(東京大学出版会)など多数。今、われわれが目指しているデジタル化はこれまでのものとは全く異なる。
2000年代以降、日本が進めてきたのは今あるものを効率化するという「As-Is」のデジタル化であった。一方で、現在目指しているのは「To-Be」のデジタル化だ。これは、やり方を変えることによって、単なる効率化にとどまらず、それ以上の価値や可能性を見出すことを意味する。
例えば、印鑑のデジタル化。単にデジタルの印鑑を使用するのは「As-Is」だ。一方、「To-Be」のデジタル化では印鑑が必要となる手順を整理することから始める。例えば支払い業務の決裁時、紙の書面に押印することがあるとしたら、その過程を見直すことで、そもそも押印という行為が不要となることもあるだろうし、オンライン決裁によって、決裁者がアイコンをクリックするだけで支払いまで完了されるように手順を変えることもできる。これが「To-Be」のデジタル化だ。
デジタル庁がこれまで日本のIT戦略を担ってきた組織と大きく異なるのは「実行力」。かつての組織は司令塔として規定やガイドラインを策定し、自治体などへ「推奨」することが主たる業務だった。一方、デジタル庁ではIT分野に精通した民間人材を登用することによって、推奨するだけでなく、システム自体を自分たちで開発して提供することが可能となった。
司令塔だけでなく、ベンダーとしての役割も担うデジタル庁に与えられたミッションはさまざまだ。
自治体向けに与えられた最大のミッションは基幹業務システムの標準化・共通化・モダン化(デジタルネイティブ化)だ。自治体のシステムはこれまで、各自治体専用にカスタマイズされてしまっていた。標準化・共有化・モダン化によって、自治体間でのデータ連携が可能になるため、自治体の業務効率化や国民の利便性向上を図ることができる。
この他にも、自治体同士が事例を共有し合える場を提供することにより、各自治体間でのデジタル化も後押ししている。例えばビジネスチャットツールを活用することで、気軽に「前例」を共有できるだけでなく、タイムリーなアドバイスも可能になった。現在、約5000人の自治体職員が参加し、日々活発な議論を交わしている。』
『デジタル庁に与えられた難題と国民への価値提供
デジタル庁の重要な役割の一つに各省庁が持っているシステムの共通基盤化がある。通常の入れ替えだけでも5年程度かかるシステムを、相互利用が可能な形で連携させるには、10年あっても難しいと考えている。
施策自体のコントロールを各所管省庁が担う中、共通基盤を構築・運用する側として、デジタル庁も各省庁と共通の考え方をもってシステムの仕様を決めていかなければいけない。ただ、デジタル庁内の人材も限られている中で、今後、多くの既存案件や新規案件にデジタル庁がどこまで関与するべきか、というのは目下検討中の課題だ。
デジタル庁の取り組みとして国民の目に見える成果を出すことも重要である。厚生労働省と連携したワクチン接種記録システム(VRS)や、総務省と進めているマイナンバーカード機能のスマホ搭載がその例だ。政府や自治体向けの基盤構築という長期的な取り組みと並行して、これからも国民が実感できるデジタル化を各省庁と連携しながら進めていく。
国民に対する価値提供として、今後は民間企業との情報連携を進めることも視野に入れている。国が持っているデータを民間企業が自由に正しく活用できれば、国民がメリットを享受することにつながると考えているからだ。
発足から1年が経ち、日本のデジタル化に向けたさまざまな課題が見えてきた。解決までの道のりは長いが、デジタル化によって次の世代に何を残せるか──。そのことを常に考えながら日々の業務にあたっている。
『Wedge』2022年9月号では、「漂流する行政デジタル化 こうすれば変えられる」を特集しております。全国の書店や駅売店、アマゾンでお買い求めいただけます。
コロナ禍を契機に社会のデジタルシフトが加速した。だが今や、その流れに取り残されつつあるのが行政だ。国の政策、デジタル庁、そして自治体のDXはどこに向かうべきか。デジタルが変える地域の未来。その具体的な〝絵〟を見せることが第一歩だ。◇◆Wedge Online Premium(有料) ◆◇
https://note.com/wedge_op 』 -
富士通、国産量子計算機を初の実用化へ 理研と共同
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC122B90S2A810C2000000/※ 『量子コンピューターは計算の基本単位となる「量子ビット」の数が進化の目安で、富士通が23年度に開発する計算機は64量子ビットにのぼる。グーグルが量子超越を達成した際の53量子ビットを上回る。IBMが21年に開発した127量子ビットなどに次ぎ、現状では世界でも競争力の高い性能になる。富士通は26年度以降に1000量子ビット超も実現する見通しだ。』、と言っているんで、「量子ゲート方式(汎用的なもの)」なんだろう…。


『富士通は理化学研究所と共同で次世代の高速計算機である量子コンピューターの実用化に向け、2023年度に企業への提供を始める。金融市場の予測、新素材や薬の開発への活用を見込む。米グーグルなど海外勢が開発を主導しており、幅広い分野の計算ができる汎用型を国内企業が手掛けるのは初めてになる。産業競争力や安全保障を左右する次世代技術開発の起爆剤になる可能性がある。富士通は21年4月に埼玉県和光市に理研との連携センターを設置し、約20人の研究者が参加して量子コンピューターを開発してきた。23年度に実機をつくり、企業に公開して研究に生かしてもらう。
量子コンピューターはスーパーコンピューターに比べて計算速度が飛躍的に速い。素材開発などに革新をもたらす可能性を秘めており、化学や製薬、自動車、金融など幅広い産業の競争力を左右する見通しだ。富士通は4月から富士フイルムと材料設計に関する共同研究を始めた。連携先を広げ、協力して将来の活用に向けた知見を蓄える。
国内では21年に米IBMが自社開発の量子コンピューターを川崎市に設置した事例があるものの、海外勢に比べ日本としての開発は遅れていた。富士通は理研から技術やノウハウの提供を受けて日本企業として初の実機をつくる。グーグルやIBMと同様、極低温に冷やして電気抵抗をなくす「超電導」の回路で計算する方式を採用する。
量子コンピューターの製造には高度な技術が必要だ。世界の開発競争はこれまで米テック企業が主導してきた。グーグルは19年にスパコンで1万年かかる問題を約3分で解き「量子超越」と呼ぶ成果をあげた。近年は中国勢の技術も向上し、新興企業の台頭も目立つ。
一方で現在の量子コンピューターは開発途上で、解ける問題は限られる。計算に伴うエラーの克服も難題だ。グーグルは創薬や新型電池の開発などへの応用を視野に29年の実用化を目指すが、今後の開発の壁は高い。最終的に誰が勝者になるかは見通せず、強みを持つ超電導の制御技術などを生かせば日本勢にも巻き返しの余地はある。
量子コンピューターは計算の基本単位となる「量子ビット」の数が進化の目安で、富士通が23年度に開発する計算機は64量子ビットにのぼる。グーグルが量子超越を達成した際の53量子ビットを上回る。IBMが21年に開発した127量子ビットなどに次ぎ、現状では世界でも競争力の高い性能になる。富士通は26年度以降に1000量子ビット超も実現する見通しだ。
量子コンピューターはスパコンで何億年もかかる計算を数分や数時間で実行する可能性を秘める。ボストン・コンサルティング・グループは40年ごろに新素材の開発などで最大8500億ドル(約110兆円)の経済効果を生むと予測している。
(AI量子エディター 生川暁、山田彩未)
イブニングスクープ
翌日の朝刊に掲載するホットな独自ニュースやコラムを平日の午後6時頃に配信します。この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Technology/Fujitsu-to-offer-1st-Japan-made-quantum-computer?n_cid=DSBNNARニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop
【関連記事】
・量子コンピューターに第3の方式急浮上 日本も先頭集団 ・量子コンピューター、半導体製造技術で巻き返す日本 ・量子計算機、Google・IBMに挑む イオン方式で新興台頭
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
浅川直輝のアバター 浅川直輝 日経BP 「日経コンピュータ」編集長 コメントメニュー
ひとこと解説
理研は量子コンピュータ研究センター(RQC)の中村泰信センター長を中心にゲート型量子コンピューターの開発を進めており、2022年度中に64量子ビット機を稼働させる予定です。国内外の研究者などにもオンラインで公開する考えとのこと。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01158/061500037/
一方、富士通と理研は2021年4月に連携センターを設置し、1000量子ビット級の超電導量子コンピューターおよびソフトウエアの共同開発を進めています。富士通は量子の発想をデジタル回路に生かした「デジタルアニーラ」で顧客企業とPoC(概念実証)を進めており、富士通が産業界のニーズを吸い上げる形で理研の量子コンピューターの用途開拓に乗り出す可能性があります。
2022年8月22日 19:16竹内薫のアバター
竹内薫
サイエンスライター
コメントメニュー分析・考察
「量子コンピューターはスパコンで何億年もかかる計算を数分や数時間で実行する可能性を秘める。ボストン・コンサルティング・グループは40年ごろに新素材の開発などで最大8500億ドル(約110兆円)の経済効果を生むと予測している」。そんなに大きな経済規模になるのですか。たしかに、アルゴリズムが発見されていて、計算できるものは限られていますが、今後、新たなアルゴリズムも発見されるでしょうし、われわれには想像もつかないような超計算社会が出現するのだと思います。これまで、アメリカや中国に開発面で遅れを取ってきたイメージがありますが、日本の頭脳を結集して、巻き返しの第一弾となるでしょうか。期待が大きいです。
2022年8月22日 18:40』 -
日野自動車不正、販売不能の異常事態 信頼回復険しく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2263K0S2A820C2000000/
『日野自動車の不正に終わりが見えない。小型トラックまで広がったことで、国内向けはほぼ全車が出荷停止となり、売る商品がなくなる異常事態に追い込まれた。すぐに経営基盤が揺らぐ状況にはないが、企業統治(ガバナンス)軽視による信頼失墜は大きい。日野自だけでなく親会社のトヨタ自動車を含めたグループとしての信頼回復が急務だ。
「顧客に信頼してもらう土俵に上がっていない」。小木曽聡社長は22日にオンラインで開いた会見でこう述べた。
生産や販売への影響は深刻だ。東南アジアなど海外向けや電気自動車(EV)トラックなど一部は生産を継続するが、2022年3月期の国内販売5万8千台のうち99%に当たるトラック・バスが出荷停止となった。
業績にも響く。市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(16日時点)では、23年3月期の連結最終損益が496億円の赤字(前期は847億円の赤字)と3期連続の赤字予想で損失はさらに膨らみそうだ。外資系証券の一部では23年3月期に最終赤字が2000億円規模になるとの見方もある。
東海東京調査センターの杉浦誠司氏は「国内の収益源がなくなるほか、新たな不正で追加の補償費用など特別損失がさらに増える」とみる。同社株は22日、一時前営業日比6%安の611円と年初来安値をつけた。
出荷を停止した「日野デュトロ」=共同
日野自の22年3月期末の連結純資産は5160億円で自己資本比率は36%と高い。有利子負債額は1709億円といすゞ自動車など同業と比べても低く、一連の不正ですぐに資金繰りが立ちゆかなくなる状況ではない。小木曽氏も会見で「資金調達がすぐに必要な差し迫った状況ではない」としている。
日野自の不正拡大を受けて、50.1%を出資するトヨタの豊田章男社長は「ステークホルダーの期待や信頼を再度大きく損なう事態に至ったことは極めて残念だ」とのコメントを発表した。トヨタも日野自からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける車両の出荷を停止している。
トヨタの長田准執行役員は22日、オンラインで報道陣の取材に応じ「気持ちを新たにやってきたばかりで心から残念でならない」と語った。
トヨタは不正問題の発覚以降、技術者を日野自に派遣するなどの支援を始めた。検査時の工程などの分野でトヨタ式のチェック体制導入を促している。ただ乗用車とトラックなど商用車の違いは大きく、長田氏は「トヨタの知見だけでは再生は難しい」と課題は多いとの認識を示した。
トヨタは日野自を01年に子会社化した。同年以降、4代続けてトヨタ出身者が日野自の社長に就くなど、経営幹部を送り込んできた。トヨタグループの商用車部門の中心に位置付けてEV展開も加速する矢先の不正発覚だった。
「トヨタグループだから大丈夫というおごりの意識」――。日野自が2日公表した調査報告書には、物言えぬ企業風土や社内チェック体制の不備、トヨタに寄りかかった社内意識などが不正の背景にあると指摘した。ガバナンスの不備を長年放置してきたツケはメーカーとして「物を売れない」という最悪の事態になった。
顧客や市場などの視線はトヨタグループとしての日野自がどう信頼を回復していくかに注がれる。日野自とトヨタはエンジン不正を巡って損害賠償などを求める訴訟を米物流企業などから起こされた。米国では北米市場向けのエンジンで排ガス試験が適切だったか、米司法省の調査がまだ続いており新たな火種もくすぶる。
信頼回復は日野自だけでなくトヨタにとっても険しい道のりになる。
【関連記事】
・日野自動車の小木曽社長「経営責任、3カ月以内に精査」 ・日野、国内向けトラック全量出荷停止 小型でも不正発覚 ・トヨタ社長「極めて残念」 日野自動車エンジン不正受け
BSテレ東「日経ニュース プラス9」でこのニュースを解説
ニューズレター
多様な観点からニュースを考える※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
中西孝樹のアバター 中西孝樹 ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト コメントメニュー
ひとこと解説
再建には長い時間が必要だと感じます。いみじくもトヨタの長田執行役員のコメントにあるよう「トヨタの知見だけでは再生は難しい」という状況は本音でしょう。もともと、商用車事業をマネージすることは困難であるという認識がトヨタ内に過去からありました。出資比率51%をとって以降、連結子会社化しながらも、ダイハツ工業のように100%子会社化し事業一体化を日野で目指さず中途半場が長期化したのはそういった背景があります。それにも関わらず、トヨタ社員の天下りの温床ともなり、経営は迷走しました。トヨタの責任は重く、「放置」したつけを今になって支払うことになります。
2022年8月23日 8:43 』 -
入国前の現地コロナ検査免除、政府検討 水際対策見直し
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22A4R0S2A820C2000000/『政府は日本への入国・帰国時に求めている海外での新型コロナウイルス検査について、条件付きで不要とする検討に入った。ワクチン接種済みなら免除するなど段階的に緩和する案がある。入国者数の上限引き上げも調整する。国内の新規感染者を全数把握する運用も見直す。感染状況を踏まえ、近く判断する。
岸田文雄首相は22日、新型コロナの対応について「保健所や医療機関のさらなる負担軽減策を一両日中に示すようにしたい」と述べた。首相公邸からオンラインで記者団の質問に答えた。
現状の水際対策では1日の入国者数の上限を2万人とし、出国前72時間以内の陰性証明書を求めている。主要7カ国で最も厳しく、検査体制が縮小する国では証明書の取得が難しくなっているとの指摘もある。日本から海外出張や旅行がしにくいほか、一部再開した訪日客受け入れの障害になっているとの批判があった。
新型コロナ感染者の全数を把握する運用を改める。医師が詳細を報告する対象者を高齢者ら重症化リスクの高い人に限定する方向だ。
新型コロナは感染症法上、新型インフルエンザ等感染症に分類され、診断した医師はすべての患者について保健所に届け出る義務がある。足元の感染急増で医療機関や保健所の業務負担が大きい。政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志も見直すよう提起していた。
新型コロナ特集ページへ https://www.nikkei.com/theme/?dw=20012202&n_cid=DSBNHE
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Coronavirus/Japan-weighs-ending-pre-arrival-COVID-test-requirementニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop
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詫摩佳代のアバター 詫摩佳代 東京都立大学 法学部教授 コメントメニュー
分析・考察
先月のフランス出張の際、この検査要請は様々な意味で負担でした。タイトなスケジュールの中、わざわざ検査を受けにいかねばならず(もっともこの要請が国際的にあまりにも有名になっていたお陰で、会議を抜け出して検査を受けに行くことの許可や理解はすんなり得られましたが)、また万が一感染した場合を憂慮する精神的な負担も大きかったです。加えて、コロナが共生の対象となる一方、サル痘など新たな脅威が出現する中、この検査要請が水際対策としてどのくらい効果的なのか疑問に感じていました。脅威は流動的です。変化する脅威を適切に見極め、ヘルスセキュリティと利便性を賢く両立させられる水際対策のあり方を目指して頂きたいです。
2022年8月23日 9:15 (2022年8月23日 9:23更新)加藤史子のアバター
加藤史子
WAmazing 代表取締役/CEO
コメントメニュー分析・考察
コロナ禍前の2019年、訪日外国人旅行者数は3188万人でした。これを365日で割ると1日8.7万人になります。3割を占めていた中国はゼロコロナ政策が続いているので、3割減にしても平均して1日6万人は入れないとコロナ禍前には戻れません。現在は2万人、かつ旅行目的の場合にはビザ申請必要、旅程提出必要、添乗員必要(究極1人旅行でも要件を満たせば入れるので団体とは限りませんが実質的には管理型団体旅行)ということで現在、自由旅行者は殆ど入国できていません。国内感染者が1日に20万人を超える日もある中で「水際対策とは何か」を再考する時期かと思われます。
2022年8月23日 6:03蛯原健のアバター
蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
コメントメニューひとこと解説
リテール、飲食、観光宿泊等の訪日関連産業においては近々押し寄せる観光客需要への対応力準備を万端にすべきでしょう。欧米のみならずシンガポールもタイバンコクもかなり観光客が戻ってきています。日本も早晩そうなるはずにて。報道の内容についてはいずれももって改むるに憚る事なかれという類のものですが特に個人観光客の解放やビジネス入国におけるインビテーション等煩雑手続き廃止、1日上限数の解放などの優先度が高いでしょう。搭乗前PCR検査についてはもはや無意味な手間とコストが省ける事よりも万が一陽性が出るとしばらく足止めをくらい予定が全て狂うというリスクと恐怖の軽減効果でしょう。
2022年8月22日 23:52津川友介のアバター
津川友介
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 准教授・医師
コメントメニュー分析・考察
妥当な判断だと思いますが、いつも通り対応がワンテンポ遅いと思います。新型コロナは変異するごとに特性も状況も変わっているので、状況の変化に合わせてスピード感を持った迅速な対応の変更が重要です。日本は非常にリスク回避型になっている気がするのですが、制度変更のタイミングが遅くなることで生じる「機会損失」もきちんと計算すべきです。日本の方が感染者数が多い状況において、水際対策の必要性があるとは思えません。ワクチン接種証明書の提示だけで十分だと考えます。外国人の日本入国の制限の緩和もスピード感を持って行われることを期待します。
2022年8月23日 9:28小平龍四郎のアバター
小平龍四郎
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
コメントメニュー貴重な体験談
6月下旬にロンドンに出張しましたが「出国72時間前PCR検査」は本当に精神的な重荷でした。セントポール寺院近くの検査所は日本人出張者がよく利用するところで、検査してくださる方々も手慣れたもの。出国時にプリントアウトして携えていった証明書も完備し、結果はPDFでスマホに送ってくれました。サインやスタンプがなくて本当に大丈夫か何度も念を押しても、先方は笑って「大丈夫、大丈夫。日本人は心配性だね」と取り合ってくれません。日本式ルールは相当に奇異の目で見られ、しかも運用が形骸化していると実感した次第です。「この程度のことはもったいぶらずに、とっととやっておいてほしい」というのが記事の率直な読後感です。
2022年8月23日 8:36 (2022年8月23日 9:21更新)楠木建のアバター
楠木建
一橋大学 教授
コメントメニュー分析・考察
手段の目的化、ここに極まれり。感染対策ではなく、誰かに叱られないようにすることが目的になっています。ここまでくると、もはや滑稽です。
2022年8月23日 7:53山崎俊彦のアバター
山崎俊彦
東京大学 大学院情報理工学系研究科 准教授
コメントメニュー貴重な体験談
まだどなたも指摘されていないことを。
個人的な体感でしかないことを最初にお断りしておきますが、私が直接見聞きした範囲では日本に入国する人に限らず海外でも、フライトに乗る前にPCR検査・抗原検査を受けて陰性でも、帰国後体調の不調を覚えて改めて検査すると陽性であることが判明する方が、フライト前の検査で陽性となる人とほぼ同じ数いる印象です。きっと潜伏期間などの関係で現地では出ないのでしょう。
2022年8月23日 6:04 (2022年8月23日 6:38更新)鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー分析・考察
入国前72時間のPCR検査は、多少の効果があるとはいえ、それによって失っている利得の方が圧倒的に大きいので、止めるというのは合理的な判断。しかし、外国からの旅行者を増やすためには、PCRだけでなく、ビザの取得や団体旅行限定という制約がなくならなければ意味がない。PCR検査免除は基本的にビザの取得が不要で、団体旅行を義務づけられない日本国籍保持者のみにとって恩恵となる。
2022年8月23日 3:06室橋祐貴のアバター
室橋祐貴
日本若者協議会 代表理事
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ちょうど来月海外渡航の予定が入っているのですが、明らかに過度に厳しいので現地でのコロナ検査、免除してもらいたいです。そもそも出国前72時間以内の陰性証明書提示にどこまで効果があるのか不明です。現状、日本から外国への短期渡航の場合は、日本で取得した検査証明書でも使えるようになっており(つまり、日本出国前に陰性証明を取得すれば、渡航先で仮に新型コロナウイルスに感染したとしても、日本への帰国便に搭乗できます)、形骸化しているのではないでしょうか。
2022年8月22日 22:53 』 -
ソフトバンクG、繰り返す法人税ゼロ 税制見直し議論も
2007年3月以降の15年間で課税は4回
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC030BU0T00C22A1000000/※ プラットフォーマーなんかの巨大IT企業にも、通じる話しだ…。
※ さんざん、通信インフラとか、電力とか、公共インフラとか利用しておいて、それを維持・保守するための「原資」には、ちーとも貢献しない…。
※ 大体、企業の利益獲得活動というものは、それの「原資」となっている「国民」の生活・活動あっての話しだ…。
※ そこに「貢献」しないのでは、「白い眼」向けられても仕方がない…。
※ 徐々に、「排除の力学」が作用していくだろう…。





『ソフトバンクグループ(SBG)に2007年3月期以降の15年間で、法人税が生じたのは4期だったことが日本経済新聞の取材で分かった。「法人税ゼロ」の年が繰り返されたのは、税法で非課税となる配当が多いためとみられる。合法な税務処理だが、税負担の軽さについて、現在の税制が妥当なのかなど議論を呼ぶ可能性もある。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(6月24日)=同社サイトより
税負担、利益の0.25%関係者によると、直近15年でSBG単体に法人税が課されたのは10年3月期、12年3月期、13年3月期、17年3月期だった。法人税額は計約170億円で、この間のSBG単体の税引き前利益(計約6兆6千億円)の約0.25%だった計算となる。
連結純利益が日本企業で史上最高の約5兆円となった21年3月期も、単体の法人税はゼロだった。SBGは22年3月期は連結、単体とも大幅な赤字を計上するなど足元の業績は苦戦している。
SBGは有価証券報告書に法人税に関するデータも記載しているが、これは「会計上で税負担とみなす分」などを示したもので、税務上のSBG単体の法人税額とは異なる。SBGは傘下企業とは別に単体で税務処理し、法人税額などは開示されていない。
課税が少ない理由は、収益の大半が税法上は非課税となる傘下企業などからの配当だからとみられる。税法では一定条件を満たす国内子会社からの配当金は全額が、海外子会社からの配当金は95%が非課税となる。
一連の税務処理は合法だ。法人間の配当に課税しない制度も、欧米など海外でも一般的といえる。
ただ今回のように会計上の利益と実際の法人税額が極端に開いた例が明らかになるのは珍しい。一部の専門家は「税負担が軽すぎるとの不公平感から、税制や納税状況の説明が十分かという議論につながる可能性がある」と話す。
【関連記事】法人税ゼロは妥当か ソフトバンクGと税、識者の見方
欧州やオーストラリアでは、大企業の税負担が合法的に少ないことが問題視され、納税情報を透明化する制度作りが進んだ。
財務諸表にのぞく納税状況各企業が支払っている法人税額は通常は外部にわからない。税務会計は決算短信などを作成する企業会計とは計算方法が異なるうえ、納税額などを記す確定申告書も公表義務がない。
上場企業が公表する決算短信は法人税に関する複数の項目を含むが、大半は会計上の税負担とみなされるもので実際の納税額とは違う。ただし損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」の項目は、数値の動き方が法人税の有無の目安となる。同じ数値が何年も続く場合は、資本金などの外形的な条件で決まる地方税分のみが反映され、業績で増減する法人税が生じていない可能性が高い。
SBGの場合、「法人税、住民税及び事業税」は過去15年のうち13の期間で同じ「500万円」だった。SBGの関係者は日本経済新聞による20年の取材時、この項目が500万円で固定されている場合について「法人税が生じていない」と認めていた。別の複数の関係者によると、修正申告などを経て課税された年もあり、最終的に税負担が生じたのは10年3月期など4回だった。
課税がわずかな理由は、収益の大半が子会社などからの配当金という、純粋持ち株会社として独特の収益構造の影響が大きいとみられる。21年3月期の開示資料によると、SBG単体の営業収益(約1兆6千億円)は、ほぼ全てが国内外の関係会社からの受取配当金だった。現行の日本の税法では原則、3分の1超の株式を持つ国内子会社からの配当金には税金がかからず、海外子会社からの配当金も95%が非課税となる。
税務と会計で2つの顔SBGは非課税収入が多いだけでなく、税務上の赤字(欠損金)が積み上がっているのも特徴的だ。同社の資料などによると、20年3月末時点で約3兆4千億円(連結ベース)の繰越欠損金を保有し、その多くがSBGのものとされる。
この欠損金の多くは、16年に約3.3兆円で買収した英アーム・ホールディングス株を巡る取引などで生まれたとみられる。18年3月期に中核事業を担う同社子会社「アーム・リミテッド」株を配当として受け取り、価値が下がったアームHD株の大半を「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)などに譲渡した。この取引で約2兆円の税務上の欠損金が生じた。
一連の取引を巡って国税当局は約4000億円の申告漏れを指摘し、SBGも修正申告した。だが税務上の欠損金が多かったため、追徴課税は発生しなかった。また税務と会計ではルールが違い、会計上の損失は計上されなかった。
こうした手法には「税制の抜け穴」との指摘も上がった。国税当局や財務省はその後、「ソフトバンク税制」と呼ばれるルール改正に着手。20年度税制改正で子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた節税策を封じた。
現在、税務上の繰越欠損金は10年間有効だ。SBGに今後、課税所得が発生しても当面は欠損金と相殺され、税額が圧縮される。SBGは過去に長らく会計上で多くの利益を計上してきたが、税務上は巨額の赤字会社という全く別の顔を持っている。
専門家から「違和感」専門家の中には「もともと持ち株会社は非課税の収益が多い性質がある」(企業税務に詳しい税理士)や、「グローバル企業が最適な税負担を求めて様々な仕組みを検討するのは当然だ」(企業の税務戦略に詳しい山田典正税理士)などの声もある。
一方で、財務省で法人税制の改正に長く携わった朝長英樹税理士は「適法でも兆円単位の利益のある会社が何年も法人税額がゼロなのは違和感がある。制度に問題がないか検討すべきだ」とみる。
企業税務に詳しい弁護士も「SBGは日本に本社を置き、株式市場などの公共サービスを利用している。株主には配当を行い、自社株買いなども実施している」と指摘したうえで、「これほど法人税が少ないと、自社の株主には還元するが日本国には還元しないとも解釈でき、バランスが悪いと感じる」と話す。
こうした「違和感」や「不公平感」の声が高まれば、法人税の負担を巡るルール見直しの議論につながる可能性もある。
SBGの税負担を軽くしている要素のうち、賛否を呼びそうなのは海外子会社の配当金の95%を非課税とする制度だ。リーマン・ショック後、日本企業の海外資金を国内に戻しやすくする狙いなどで導入された。海外での納税の有無を問わないため「国内外で二重の非課税となる恐れもある」との指摘がある。現制度では海外子会社への課税の詳細について、日本の国税当局も直接の把握は難しい。
SBGは21年2月、英国子会社から40億ドル(当時のレートで約4200億円)の配当を受けたことを公表するなど、海外子会社からの配当利益も発生している。
投資会社を巡る税制の見直し議論に発展する可能性もある。国際税制に詳しい弁護士は「一般的に投資会社は積極的な節税策で税負担が軽い例が多いといわれる」と話す。米国が大企業への課税強化にかじを切るなど、海外でも法人税制の強化が目立つ。業種による税負担の不公平感の解消も課題となっている。
税制や透明性に議論も納税情報の開示を巡る課題も浮かぶ。ESG(環境・社会・企業統治)重視を受け、納税額などを自主公表する企業が増えている。しかしSBGの手法はグループの一部のみの開示で「都合のいい部分のアピール」と指摘される可能性がある。
SBGの場合、会計上の利益が多い自社単体の納税情報はほぼ非公開とする一方、傘下で事業会社のソフトバンクや同社の関連30社分などはまとめて開示している。20年度の日本での税前利益は計8451億円で、法人税等支払い額は計3894億円だった。「納税が多い企業分だけ開示している」とみられる可能性もある。
企業税務に詳しい筑波大学の本田光宏教授は「大企業がなるべく多くの納税情報を明かすことは適切な納税を示す『税のガバナンス』の一貫といえる。公平な税制に向けた建設的な議論にもつながる」と話している。
SBGは課税回数や税額、税負担が軽い理由などの日本経済新聞の取材に「有価証券報告書に記載のSBG単体の法人税の欄以外に開示しているものはない。(日経の質問には)間違いが散見されるが、これ以上の回答は控える」と答えた。その後日経は課税回数などを再取材で確かめ、再びSBGに質問したが同社は「(前回以上の)回答はない」とした。国税庁は「個別企業の納税状況については回答できない」としている。
(企業税務エディター 川瀬智浄、宮川克也、鈴木亘)
この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/The-Big-Story/The-mystery-of-SoftBank-s-zero-tax-bill?n_cid=DSBNNAR
Nikkei Asia
ソフトバンクGに対する取材の経緯日本経済新聞は2021年末にソフトバンクグループ(SBG)の法人税の納税などについて同社に取材を依頼した。質問要旨と回答は以下の通り。
(注)実際に日経がSBGに送った質問の一部には納税額など未確認の数字も含まれているため、質問は要旨のみ示します。
【質問1】SBGが税務上の所得が生じた期がいつかについての質問
【質問2】日本企業として過去最高の連結純利益(会計上の数値)となった21年3月期にも、SBGに税務上の所得、法人税が生じていないという事実確認を求める質問
【質問3】SBGに課税所得が発生したとみられる2010年3月期、12年3月期、13年3月期、17年3月期の法人税額(課税額)の合計についての質問
【質問4】上記4期間での、実際の法人税の納税額についての質問
【質問5】課税が少ない理由について、SBG単体は子会社や海外子会社からの配当が多いことが要因だという日経による分析に対する、SBGとしての見解を求める質問
【質問6】SBG単体に法人税負担が少ないことについての、会社としての考えを求める質問
【質問7】SBGは会計上と税務上の見え方が大きく異なることについての、会社としての意見を求める質問
SBGの回答ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の法人税については、有価証券報告書に記載のSBG単体の法人税の欄をご覧ください。この他に開示しているものはございませんので、いただいた個別のご質問に対する回答は控えさせていただきますが、間違いが散見されますので、ご留意いただければと思います。また、本件について、これ以上の回答は控えさせていただきます。
上記のやりとりを受け日本経済新聞は、SBG単体の法人税額などを追加取材で確認し、2022年2月にSBGに再び取材を依頼した。そのときの質問要旨と回答は以下の通り。
【質問1】2007年3月期以降でSBG単体に法人税負担が生じた(課税所得が発生した)期間は、10年3月期、12年3月期、13年3月期、17年3月期の4つの期だったということを確認する質問
【質問2】上記の4つの期の法人税の合計は約170億円だった(ただし税額控除などが行われる前の数字)ということを確認する質問
【質問3】法人税が課されていない(課税所得が発生していない)年が多い理由のひとつは、SBGの収益の多くが子会社からの配当など非課税(益金不算入)であるからということを確認する質問
SBGの回答先日回答差し上げた以上の回答はございません。
日本経済新聞は、SBG単体の法人税額に関する質問とは別に、SBGに対して2022年2月、納税額の開示姿勢を巡っての見解も求めた。この点に関する日経側の質問要旨とSBGの回答は以下の通り。
【質問】SBG傘下のソフトバンクは、サステナビリティリポートで税務戦略を開示され納税額なども開示されている一方、SBG単体は納税情報に関する開示はない。子会社の税負担が生じている部分だけ開示し、実際に税負担が生じていない親会社は開示をしないのは、「都合の良い情報だけを発信している」とみられる可能性があると考えるが、その点についてSBGの見解をうかがいたい。
SBGの回答当社は適切な開示を行っております。税務ポリシーについては 2〜3カ月以内に当社Webサイトで開示する方向で検討中です。なお、子会社の開示については、各社の判断で実施しているものです。
さらに日本経済新聞はSBGに対して7月26日、その後、税務ポリシーについて開示したのか質問した。するとSBGは7月29日、同社のホームページの中で、法令順守や適切な納税と税コストの適正化などについての方針を明示した「税務ポリシー」を開示し、同日より施行したと回答した。
国税庁への質問と回答(2022年2月)質問:ソフトバンクグループ(SBG)について、15年間で4回しか法人税負担が生じていないと承知しております。連結会計で約5兆円の純利益を計上する企業に対して、このようなことが生じることに対して、どのようにお考えでしょうか。
回答:個別にわたる事柄は守秘義務が課されている関係上、お答えすることは差し控えさせていただきたい。一般論で申し上げれば、企業会計と税務会計では差異が生じることがあり、会計上で利益が生じていたとしても、必ずしも法人税が課されるとは限りません。いずれにしても国税当局としては個別の事実関係に基づいて、法令等に照らして適正に取り扱っていきたいと思います。質問:税制などの問題点もあると思いますが、どうお考えでしょうか。
回答:国税当局としては、税務調査などにより、適正公平な課税に努めているところであり、個々の実態を見極めた上で、税制上の問題点を把握した場合には財務省主税局に対して、税制改正意見を申し入れるなどの対応を行っていきたいと考えています。質問:過去にはソフトバンク税制とよばれる税制改正も行われました。何か具体的な対応などご検討されているようなことがあれば、教えてください。
回答:過去の改正により導入された税制については、法令に基づき的確に執行していきます。繰り返しになりますが、税制の問題点を把握した場合には、財務省主税局に対して、税制改正意見を申し入れるなどの対応を行っていきたいと考えています。
ビジネスセクション
多様な観点からニュースを考える※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
蛯原健のアバター 蛯原健 リブライトパートナーズ 代表パートナー コメントメニュー
分析・考察
記事で言及される違和感とは主にPL上の巨大な損益とのバランスだがその点が同社の、と言うより会計制度上のミスリーディングな点、つまり持株評価額の短期の上下動がそのまま損益にヒットする故巨額となるがその殆どは未実現の帳簿上の損益に過ぎない点でしょう。無論実現益もあるがそれは法人税ではなくキャピタルゲイン課税がされているはず。同社は投資会社と持株会社の2つの性質を有するが前者ビジョンファンドにかかる税は主にキャピタルゲイン課税、但しファンド管理報酬が少なからずあるはずにてそれが最大の法人税源泉でしょう。一方後者ソフトバンクKKやTモバイル、アリババ、ARM等の保有においては法人税はほぼ発生し得ない。
2022年8月20日 9:06』 -
沖縄 宜野湾で保育園児に車衝突 園児7人 病院に搬送
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220819/k10013778371000.html『19日午前、沖縄県宜野湾市の横断歩道で、保育園児が乗った手押しのカートに軽乗用車が突っ込み、園児7人が病院に搬送されました。
警察によりますと、現時点で重傷の園児はいないということです。警察は軽乗用車の運転手を逮捕し当時の状況を詳しく調べています。19日午前9時20分ごろ、宜野湾市伊佐の横断歩道で保育園児を乗せた散歩用の手押しのカートが横断中、走ってきた軽乗用車に衝突され、園児7人が病院に搬送されました。
消防によりますと、搬送時、いずれも意識はあったということで、警察によりますと切り傷などを負った園児はいるものの、現時点で重傷者はいないということです。
警察は軽乗用車を運転していた中城村の池原優香容疑者(21)を過失運転傷害の疑いでその場で逮捕し、当時の状況を詳しく調べています。
現場は国道58号線のバイパスから入った場所で、住宅や店舗が建ち並ぶ地域です。
伊佐区の自治会長の安良城かつみさんはNHKの取材に対し「救急車の音が聞こえたあと、事故を見ていた方が公民館にAEDを取りに来て、事故のことを知って現場に駆けつけた。散歩中だった保育園児のグループに車が突っ込んできたと聞いた。現場には搬送されなかった園児が4人ほどいて呆然とした様子だった」と話していました。』
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スマホ決済「d払い」一部端末で使いづらい状態 NTTドコモ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220819/k10013778501000.html『NTTドコモによりますと、スマホ決済のサービス、「d払い」で、19日午前10時すぎから一部の端末で利用しづらい状態になっているということです。
復旧の見込みはたっていないということで、現在、会社が影響の広がりや原因を調べています。
「d払い」の利用者は4500万人余りで、NTTドコモでは「お客様にご迷惑をおかけして申し訳ありません。復旧まで今しばらくお待ちいただきたい」とコメントしています。』










