















ミャンマー軍と経済、中国・ロシアが侵食 政変1年
ミャンマー政変1年(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM173ZK0X10C22A1000000/

『ミャンマー国軍が政変で実権を掌握してから2月1日で丸1年を迎える。米国や欧州は国軍が拘束した民主化指導者アウンサンスーチー氏の解放に向け圧力をかける一方、米欧と対立する中国やロシアは国軍への関与を強め、影響力の確保を狙う。一時は民主化の成功例とされたミャンマーは、西側と対抗する中ロの強権体制の陣営に組み込まれつつある。
2021年12月、中国と国境を接するミャンマー北東部シャン州の山あいの都市モンラー。ミャンマー国軍の幹部一行は、対立する6つの少数民族武装勢力の代表者と向き合った。「中国当局の関係者が少なくとも5人、参加していた」。国軍幹部は日本経済新聞の取材に明かした。
ミャンマーは多くの少数民族を抱え、一部は独自の軍を持つ。約20の武装勢力のうち10勢力は条件付きで停戦協定に署名したが、12月の会合に出席した6勢力はいずれも未署名だ。国境地帯の不安定化を懸念する中国が仲介役になったとみられる。
中国海軍は同12月24日、中古の潜水艦をミャンマーに無償譲渡した。ミャンマー海軍にとっては2隻目の潜水艦で、国軍トップのミンアウンフライン総司令官自ら、同日の就役式に出席した。
ミャンマー国軍はクーデターにより米国や欧州連合(EU)から経済制裁を受け、国際的に孤立している。経済的に困窮するなか、手を差しのべる中国は国家運営上、大きな助け舟だ。当局が市民に接種する新型コロナウイルスワクチンの大半も中国が供給している。
中国のミャンマーへの接近は、インド太平洋地域での米国をにらんだ軍事戦略の一環でもある。現在のインド洋への主要航路はマラッカ海峡を経由するが、同海峡は有事には米海軍に封鎖される恐れがある。中国にとって陸路で直接インド洋にアクセスできるミャンマールートの価値は大きい。
中国は経済面でも影響力を強めている。ミャンマー中央銀行は12月、中国との国境貿易で人民元での決済を認めると発表した。ミャンマーの貿易業者は人民元建ての銀行口座を開設できるようになる。
中国共産党系の環球時報(英語版)は「経済的困難を背景にミャンマーが陥っている米ドルなどの外貨不足に対処することが目的だ」と解説した。天然ガスなどの中国向けパイプラインの起点となるインド洋岸のチャウピューに中国企業主導で大規模港湾を建設し、中国・雲南省とつなぐ「中国・ミャンマー経済回廊」構想もある。
中国との関係を深める軍事大国、ロシアもミャンマーに接近する。政変後の21年3月、フォミン国防次官が国外からの唯一の賓客としてミャンマーの国軍記念日式典に出席した。それ以降も国防関係者の往来は活発だ。同年6月にはミンアウンフライン氏も約1週間ロシアに滞在した。
ウクライナ問題で米欧の制裁が続くなか、ロシアにとってミャンマーは武器の輸出先として重要だ。タス通信によると、ショイグ国防相は21年12月21日、国防省の会合で、中国やインドなどと並べてミャンマーの名を挙げ「軍事協力の分野でパートナーであり続ける」と強調した。
あるミャンマー国軍幹部は「中国やロシアとの友好関係があれば、何の問題もない」と強気の姿勢をみせる。民主主義のリーダーを標榜し、国軍に厳しい態度で臨むバイデン米大統領は今秋の中間選挙を前に有権者の関心が高い対中政策やウクライナ危機への対応に忙殺され、ミャンマー問題に注力できていないのが実情だ。
バイデン政権はミャンマー国軍幹部や関連企業への制裁を発動し、スーチー氏の解放などを求め続けている。だが、市民生活への影響を考慮し、11年以前に軍事政権に科した広範な経済制裁には踏み込んでいない。米ランド研究所のズィグラー氏は「制裁はほぼ効果がなかった」と話す。
AFP通信は22年1月11日、ミャンマーの活動家グループの話として、21年に米国の制裁で禁輸対象になっているチーク材1600トンが米国企業に輸出されたと伝えた。多方面で外交課題を抱える米国の監視網が緩くなっている可能性がある。
ミャンマーが加盟し調整役を担うはずの東南アジア諸国連合(ASEAN)は内部の路線対立で機能不全に陥っている。国軍との対話の必要性を主張する22年議長国カンボジアのフン・セン首相は7日にミンアウンフライン氏と会談したが、一部の加盟国が同氏の融和姿勢に不満を表明。直後に予定されていた外相会議がキャンセルされる一幕もあった。(ヤンゴン=新田裕一、ジャカルタ=地曳航也)』
EU、中国をWTO提訴 リトアニアへの差別的措置で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR279K70X20C22A1000000/

『【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の欧州委員会は27日、中国がEU加盟国のリトアニアに差別的な貿易措置をとったとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。リトアニアへの圧力を強める中国に対抗するが、中国側は反発している。
欧州委によると、中国はリトアニア製品の通関を拒否したり、中国に輸出しようとするEU企業にリトアニア産原材料をサプライチェーン(供給網)から外すよう圧力をかけたりしたという。こうした差別的な貿易措置はWTOルールに違反しているという。
欧州委のドムブロフスキス上級副委員長(通商政策担当)は記者会見で「EUの単一市場を脅かす(中国の)WTO違反の行為に対して、EU一丸となって行動する」と語った。状況改善に向けた外交努力も並行して進めるとも述べた。
EUと中国はまず、WTO協定のもとでの当事者間での協議に入る。欧州委は問題解決のために中国側に情報提供を求めている。60日以内に解決できない場合、欧州委はWTOに紛争解決のためのパネル(紛争処理小委員会)の設置を要請できる。
一方、中国外務省の趙立堅副報道局長は27日の記者会見で「中国とリトアニアの問題であって、中国と欧州の問題ではない」と強調。「リトアニアが中国と欧州の関係まで巻き込もうとたくらんでいる」と述べた。
リトアニアは台湾との関係を強化し、2021年に自国に台湾の事実上の大使館の設置を認めた。これに中国が反発し、様々な形で圧力を強めていた。通商分野は加盟国ではなく欧州委の権限で、EUはリトアニアに寄り添う姿勢を示す。』
米副大統領、台湾副総統とあいさつ ホンジュラスで
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN280H70Y2A120C2000000/

『【ワシントン=中村亮】ハリス米副大統領は27日、訪問先の中米ホンジュラスで台湾の頼清徳・副総統と短くあいさつを交わした。米ホワイトハウス当局者が明らかにした。米台関係の強化を象徴するナンバー2の接触に対し、中国が反発する公算が大きい。
両氏はホンジュラスでシオマラ・カストロ氏の大統領就任式に出席し、式典の合間にあいさつを交わした。ハリス氏は記者団に対し、頼氏が自己紹介をして「この地域での共通の利益について話した」と明らかにした。ホンジュラスは台湾と国交を持ち、米国は中米の経済発展に向けて台湾の貢献を期待している。
米台の接触をめぐり米国のトランプ前政権では、18年に当時のペンス副大統領がパプアニューギニアで開いたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議の合間に台湾代表と会談したことがある。
バイデン政権は21年4月、米台交流の拡大に向けて新たな指針をまとめた。自粛していた連邦政府の建物で実務者レベルの定期会合の開催を積極的に認めた。米国の上下両院の議員が台湾を相次いで訪れ、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統らと面会した。ともに米国の台湾支持をアピールする狙いがある。
米国は台湾と正式な国交関係を持たないが、民主主義の成功例と位置づける台湾と関係を強化している。中国は中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」原則を唱え、米台の接触を強く非難している。』
米、チャイナユニコムの免許取り消し決定 中国通信大手
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN27FOJ0X20C22A1000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米連邦通信委員会(FCC)は27日、中国の国有通信大手、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)の米国事業免許を取り消す方針を決めた。中国政府のスパイ活動に米国の通信インフラが使われるなど、安全保障上の懸念が大きいと判断した。
チャイナユニコムの米子会社に60日以内に米国事業を中止するよう命じる。与野党のFCC委員4人が全会一致で賛成して承認した。同社はクラウドやインターネットなど米国と中国にまたがる国際通信事業を手掛けてきた。
FCCは免許取り消しを決めた理由について「20年前に免許を与えたときから中国に関する安全保障の環境が変わった」と指摘した。中国政府が米国の通信インフラを混乱させてスパイ活動などを手掛ける懸念があると説明した。
FCCは中国の国有通信大手3社への警戒を強めてきた。これまでに中国電信(チャイナテレコム)の免許も取り消しを決めたほか、中国移動(チャイナモバイル)の参入申請を却下している。
【関連記事】
・米、チャイナテレコムの通信免許取り消しへ 安保懸念で
・中国通信3社、増収増益 1~9月 5G伸びる
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分析・考察専門家の間でも、米中ディカップリングはあり得ないとの指摘があるが、日用品に関して、ディカップリングは当然あり得ない。それは正しい指摘である。
しかし、このニュースにもあるように、national securityにかかわると思われる分野では、ディカップリングがすでに進んでいる。
その背景に、米中の相互不信が極端のレベルにまで達していることがある。それを修復できるかどうか、わからないが、短期的には無理だろう。しかも、双方の努力が求められる
2022年1月28日 16:11いいね
3 』
経済強国は「17年天下」か ともに豊かに、重圧900兆円
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00000610Q1A211C2000000/







『たった3年だ。中国内陸部、巫山県双竜鎮白坪村。それまでの底辺の生活が夢だったかのように、妻や94歳の母らと暮らす劉道学さん(64)の毎日も一変した。
水もガスも道路もまともに通っていない極貧集落だった。「貧困人口をゼロにする」。習近平(シー・ジンピン)国家主席が掲げた目標を死守するため、1000万元(1億8000万円)超を投じて大型観光施設を建設。インフラ整備も進み、村民282人が貧困を脱した。
福建省への出稼ぎで年1万元を得るのがやっとだった劉さん一家も、世帯収入が5倍に増えた。特需や補助金はいつまで続くか分からない。それでも「習主席のおかげ」と幸せをかみしめる。』
『歴代王朝が苦しんできた貧困との戦いを制し、長期に渡る最高権力者として「大中国」を統べる。異例の3期目を狙う習氏の権威を支えるように、いま多くの寒村には真新しい住宅や各種「箱物」が立ち並ぶ。
世界との摩擦もいとわない強国路線の中心にいるのが習氏だ。それは絶大な権力で内政を掌握しつつある自信の表れともとれるが、同時に不安と背中合わせの虚勢もちらつく。
世界最大の経済大国の座は長く持たない――。日本経済研究センターが中国の国内総生産(GDP)を予測したところ、新たな傾向が見えてきた。
インフラや不動産など過剰な投資に頼る経済は限界に近づき、ネット企業などへの統制強化も生産性を鈍らせる。名目ベースで米国を上回るのは2033年と、昨年推計から4~5年遅れる見通しだ。
さらに試算では50年に、米国に再逆転を許す。人口減と高齢化が重荷となり、中国の「17年天下」が現実味を増す。
習氏が「共同富裕(共に豊かになる)」を急ぐのも、懸念が募っているからだ。急速に老いる14億人を養い、正当性を証明し続けなければならない。代価も桁違いだ。』
『習政権が掲げる当面の目標は35年だ。この年までにすべての市民に「豊かになっている」と実感させ、共同富裕の定着を狙う。
現在は農村部を中心に、約5億人が単純計算で年1万6000元(約30万円)以下の厳しい暮らしを強いられている。人口比では4割だが、この層の所得は合計しても中国全体の14.1%にとどまる。あと10年強で、仮にこの下位40%の所得割合を先進国平均の20.6%にまで引き上げ、上位との格差を縮めるには、5億人全員の収入をいまから3.4~4.3倍に増やす必要がある。』
『中国国家統計局のデータなどから割り出した。
現状の経済成長シナリオでは、5億人の所得は2.3~3.0倍程度にしか増えない。共同富裕の実現には、さらに地域振興や産業誘致で累計900兆円、こうした低所得層の収入を積み増さなければならない。』
『しかしそれが達成できてもなお、農村の5億人は年100万円程度の生活だ。習政権がめざす「中等先進国」には遠い。
豊かとされる都市部でも、市民の間には先行きへの不安が広がる。
「違法だが、雇ってもらう立場だから」。北京市で昨夏まで塾講師をしていた劉暁雯さん(40)は視線を落とす。職場に入る条件として、毎月の給与を現金かアプリ決済で払うと提示された。
経営者からは「社会保障費を抑えるためだ」と告げられた。中国の年金や医療保険は雇用主の負担が大きい。銀行振り込みでなければ痕跡が残らず、企業は得をする。
単発仕事で暮らすギグワーカーの増加もあり、年金未納が相次ぐ。「会社員らが加入する公的年金の積立金が35年に枯渇する」。中国社会科学院も警鐘を鳴らし、諦観が働き盛り世代を覆う。年金を持続させるには、毎年12兆円もの財政補塡が必要との試算もある。
老いる中国は人ごとではない。もはや中国とつながっていない国などないからだ。坂の上を越しつつある「大中国」を世界最大のリスクとみるか、それとも対話すべき隣人ととらえるか。次世代のために誰もが考える時に来ている。』
『中国「米国に比肩」の夢
GDP逆転、9年後か幻か
中国の習近平(シー・ジンピン)政権は建国100年の2049年までに米国と肩を並べる強国を築く方針を掲げる。米中の経済規模の首位逆転の時期やその後の見通しは、国際社会における双方の勢力圏づくりに大きな影響を及ぼす。今後を左右する様々な条件から描く中国経済の未来図は、規制や改革など当局の手綱さばき次第で良くも悪くも大きく変わる。
名目国内総生産(GDP)で33年に中国が米国を追い越し、17年後の50年に米国が抜き返す――。日本経済研究センターは最新の調査でこう分析する。標準的なケースでは中国のGDPは38年に米国を5%近く引き離す。40年代は差が縮み、米国に再逆転を許した後、60年には米国を1割下回ると予測した。』
『日経センターは企業の設備(資本)、労働力、技術進歩や効率化が左右する生産性の3つの条件から、60年までのGDPをはじき出した。これまでの経済発展で資本蓄積が進み、今後は設備投資の伸びが鈍化。不動産の過剰投資規制も中期的に投資を抑える。働き手の減少で労働参加率は低下が続き、ネット企業などへの規制強化が生産性向上の足かせになると想定した。
これら3つの条件次第では楽観的な見通しも描ける。ハイテク関連などで設備投資が大幅に増え、企業への規制緩和やさらなる対外開放で生産性の伸びが落ち込まなければ、比較的高い経済成長率を保てる。定年延長などによる労働参加率の上昇も含めて3つの条件すべてが上振れすれば、米中逆転の時期は31年に早まり、その後、米中の差は開き続ける。中国が覇権を取る時代の未来図といえるかもしれない。
反対にすべての条件が下振れする場合は「米国に比肩する強国づくり」という夢も幻に終わる可能性が高まる。この場合、中国のGDPは米国を追い越せず、対米比率は36年前後に9割に達した後、低下に転じる。60年には65%まで下がり、17~18年の水準に逆戻りするという結果になった。』
『中国では激しい競争社会や高い生活コストに嫌気が差し、最低限の生活が送れれば満足する「寝そべり族」と呼ばれる若者が増えている。「お金は通常の生活が送れれば十分だ。足りない分は働いて稼ぐが、多く稼ごうなんて思わない」。山東省の田舎で国語教師を勤めていた牛暁雨さん(26)は自ら寝そべり族だと認識する。
教壇に立っていた時は、校長をはじめ教員は皆「点数至上主義」に染まっていた。勉強を嫌々させられている児童の顔を見て矛盾が膨らみ、心理的な負担を重ねた牛さんはうつ病を患った。長期休暇をきっかけに「金をはじめいろいろなものへの興味がうせた」。
第一生命経済研究所の星野卓也主任エコノミストは「将来の教育費を抑えるために子を産まないという選択が増える可能性を示唆する現象だ」と指摘する。星野氏は女性が生涯に産む子の数を示す合計特殊出生率に注目。現状、1.3の出生率が21年以降、1.0で推移すると、米中のGDP再逆転は日経センターの標準ケースよりも早く、最短で45年に前倒しになると予測する。
「子は1人」という家族観が根強く、現役世代の老後への不安もくすぶるなか、出生率はさらに下がるとの見方もある。長年の産児制限のツケで歯止めがきかない出生率の低下は将来の労働力確保に重荷となる。』
『「大中国の時代 坂の上の罠」記事一覧
( https://www.nikkei.com/theme/?dw=22012100 )
①台湾うかがう「強国」の橋 習氏の焦燥、爪を隠せず
②米全土2回買える「地価」 鬼城が映す不動産バブル
③世界3万都市に監視の目 中国、制裁かわし半導体強国へ
④中国14億人市場の重力圏 近づけば不評、離れても打撃
関連記事
・「中国は超大国になれない」 エマニュエル・トッド氏
・「中国、ピークを前に強硬」 マイケル・ベックリー氏
・中国の脱貧困村の現実 「豊かさ」実感、自立は遠く
・習政権、強まる独自色 政治文書のキーワードから探る』
『「大中国の時代」取材班 阿部哲也、島田学、岩崎航、原島大介、黄田和宏、桃井裕理、中村裕、土居倫之、小川知世、若杉朋子、多部田俊輔、川手伊織、川上尚志、渡辺伸、比奈田悠佑、山田遼太郎、綱嶋亨、西野杏菜、羽田野主、松田直樹、山下美菜子、本脇賢尚、高橋耕平、遠藤智之、大塚節雄、木原雄士、小林健、大越優樹、金子冴月、高野壮一、佐藤季司で構成しました。』
WTO、中国の730億円の対米報復関税を容認
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR26F880W2A120C2000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】世界貿易機関(WTO)は26日、中国が米国に対し年間最大で約6億4000万ドル(約730億円)相当の報復関税を課すことを認める仲裁決定を下した。米国が対中関税をめぐるWTOの判断を守っていないとして、中国が対抗措置を申請していた。中国が実際に発動すれば、米中貿易摩擦が再燃する恐れもある。
米国は中国の鉄鋼・アルミ製品などが政府補助金の影響で安く流通し、米産業に打撃を与えていると主張し、中国の太陽光パネルなどに相殺関税を課した。これに対し、中国は2012年、相殺関税はWTOのルール違反として提訴。WTOの最終審にあたる上級委員会は中国の主張を認める判断を下した。
だが、その後も米国は相殺関税を継続していた。中国は19年10月に年24億ドルの報復関税を申請したが、米国は中国の損害額に比べ報復関税の規模が大きすぎるとして異議を申し立てた。WTOは仲裁する形で妥当額を検討してきた。
米メディアによると、米通商代表部(USTR)のホッジ報道官はWTOの決定に対し、「深く失望している」と述べた。「中国の貿易をゆがめる補助金から労働者や企業を守るWTO加盟国の能力を損なう」などと非難した。
米国は上級委の委員選任を拒んでおり、WTOの重要な柱である紛争処理は事実上、機能不全に陥っている。』
先鋭化する米中対立、経済安保で衝突回避を
学び×国際紛争(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOKC069IM0W2A100C2000000/




『世界中の様々な紛争をテーマにした話題の漫画「紛争でしたら八田まで」を監修する、東京海上ディーアール主席研究員の川口貴久さんに聞く「国際紛争」の現状。最終回のテーマは「経済安全保障」です。
近年、経済安全保障への関心が劇的に高まっています。経済安保とは、経済的手段で安全保障上の目標を達成することとされ、非常に幅広い分野が含まれます。日本政府も対策に本腰を入れています。
岸田内閣で担当相新設
岸田文雄首相は2021年10月に発足した内閣で、新たに経済安全保障担当の閣僚を置きました。17日に召集された通常国会で経済安保推進法案を提出します。同法案は①サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化②基幹インフラの安全性・信頼性の確保③先端的な技術分野の官民協力④特許の非公開制度――という4本柱の構成です。
このタイミングで経済安保の推進を打ち出す背景には先端技術、貿易や人権などで対立が先鋭化する米国と中国との関係があります。
トランプ前米大統領は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の機器に安全保障上のリスクがあるとして、高速通信規格「5G」からの排除を同盟国に求めました。その後も供給網や先端技術を中国に握られるのを避けるため、輸出・投資規制の強化など矢継ぎ早に対抗手段を打ちだしました。バイデン大統領の現政権も基本的にこの方針を引き継いでいます。米国の対中政策については超党派の合意が形成されているからです。
中国もまた「国家安全」を掲げて戦略物資の輸出管理を強化し、中国向け投資の規制を強めます。中国建国100周年の2049年までに、社会・国家、軍事、経済・産業などのあらゆる面で米国を追い越そうとする長期戦略も背景にあります。
日本企業は米中間で板挟み
多くの日本企業にとって米中両国は重要な開発・製造拠点であり、巨大な市場でもあります。日本政府は経済安保の推進を掲げて対応を加速させていますが、企業の間では米中の板挟みとなることへの危機感も高まっています。焦点の一つは先端技術の保護です。
米中は、先端技術の獲得が将来の技術・軍事覇権を決定づけるという認識の下、開発や輸出規制に力をいれています。米国では従来よりも幅広く、今後実用化される「新興技術」とすでに広く実用化されている「基盤技術」の輸出管理の強化を進めようとします。習近平(シー・ジンピン)指導部も15年に、民間資源の軍事利用や軍事技術を民間転用する「軍民融合」を国家戦略に引き上げ、軍事利用可能な先端技術をあらゆる手段で収集しているとみられます。
米中の対立が深まるなか、経済安全保障の重要性が高まっている(1月21日、首相官邸でバイデン米大統領とテレビ会議形式で会談する岸田首相)=内閣広報室提供
情報収集・分析で危機回避
業種にもよりますが、企業が取れる自衛の策はあります。一つが技術の世代管理です。最先端の技術・製品を日本や米国のような同盟国で開発・生産し、数世代遅れたものを中国で生産し、先端技術の流出を防ぐ手法です。半導体などを手がけるメーカーなどがこういった手法を採用しています。
今後どのような品目が重要視され、米中による規制競争に巻き込まれる恐れがあるのか。情報収集を手がける専門部署を設けることも危機を回避する有効な手段です。ポイントは輸出管理に関わる政策動向のみならず、日本をとりまく安全保障環境や米中関係の将来について公開情報を集め、分析することです。政策の大きな方向性や論点が把握できるはずです。
防衛産業、金融機関や商社など一部のリスクマネジメント先進企業はすでにこういった部署を持っていますが、ほとんどの企業では導入が遅れています。人的資源の制約から情報収集が難しいのであれば、外部の専門家を活用するなどの方法があります。
データを守る規制・法整備を
現在の経済安保議論であまり触れられていないのは「21世紀の石油」ともいえるデータです。事業で蓄積される膨大な産業データや個人データに対する各国の関心は高いです。そのため近年では、各国政府が企業の保有するデータに強制的にアクセスすること、いわゆる「ガバメントアクセス」への懸念が高まっています。
その手段の一つは、外国企業に対して、データを現地国内に保存することを義務付けたり、データの第三国移転に制限を課したりすることです。こうした法整備はデータローカライゼーション規制と呼ばれます。データが自国内にあれば、物理的に法執行権限を及ぼすことができます。
海外で先端技術を研究する際には細心の注意が必要だ=ロイター
しかし日本国内にデータがあれば安心というわけではありません。外国の開発・運用委託先を通じた国内へのアクセスにも注意が必要です。
21年3月に対話アプリ「LINE」の中国関連会社から日本国内に保管されている個人データにアクセスしていたことが明らかになって以降、国境を越えた外国からのアクセスへの注目が高まりました。中国国家情報法(17年6月施行)は中国企業に対する「国家情報工作」への協力を求めるため、安全保障上のリスクが懸念されました。
コストや利便性より重要なリスク管理
データの物理的保管場所やクラウドサービスを含む委託先企業の選定にあたり、コストや利便性を重視した判断は安全保障上のリスクを見落とすこともあります。
先端技術の開発拠点やデータの保管場所、委託先企業を選ぶ際には米欧などが主導するいくつかの枠組みも参考になるでしょう。米英豪などで機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」や、日米豪印の4カ国による「Quad(クアッド)」などが有力です。いずれの国も民主主義陣営に属し、ビジネス環境としての信頼度は相対的に高いといえます。
ただし、委託先企業の所在国だけでの判断にも危うい部分は残ります。企業支配の構造、株主や経営者のデューデリジェンス(調査・査定)も必須です。
米中の国力差が縮むなか、米中関係が急に改善に転じることは考えづらいです。日本国内でも経済団体による動きが活発になっていることから分かるように、経済安保への対応は企業にとって新たな常識となっています。
=おわり
(井上航介が担当しました)
グラフィックス 藤沢愛
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柯 隆
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分析・考察
この問題について完璧な回答がない。
この難題に対処するならば、何かの犠牲を払わないといけない。
岸田首相はスピーチなどでいつも、リアリティ外交やしたたかな外交を連発するが、じゃ、具体的に何をするの、について答えを明らかにしていない。
現実問題として、アメリカに歩調を合わせなければならないが、中国との経済関係を考えて、ほんとうにその一部を犠牲にする覚悟があるのかがとわれている。
自動車産業を例にあげれば、中国はもっとも大きな自動車市場になっている。かといって二股外交を展開すると、米中のいずれにも相手にされなくなる可能性がある。かなりの覚悟が必要だ
2022年1月27日 7:54 』
[FT]中国海軍、日本南方と台湾東方に常時展開態勢で圧力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB254K00V20C22A1000000/
※ 今日は、こんなところで…。

『中国海軍は日本南方、台湾東方の両海域で艦艇が常時展開する態勢を整えている。中国は将来戦場になりうる両海域に焦点をあて海軍力を大幅に増強している。
誘導ミサイルを搭載した中国の駆逐艦を警護する人民解放軍海軍の兵士。台湾をめぐる緊張は島の西側だけでなく東側でも急速に高まっている=ロイター
台湾、日本、米国の国防関係者によると、中国人民解放軍海軍は少なくとも6カ月前から南西諸島最南端の東側および南側に駆逐艦と小型ミサイル艦を展開させている。
中国海軍はこの1年、南西諸島と台湾の間の海域でプレゼンスを拡大してきた。米国防総省高官によると、現在艦艇1隻が常駐し、多くの場合もう1隻が随行しているという。
第1列島線の外側に艦艇を継続配備
日本からフィリピンに連なり、中国と太平洋を隔てる第1列島線の外側に中国海軍が艦艇を継続的に配備するのは初めてだ。
中国はこの海域で自由航行能力を備えることで海軍力は飛躍的に向上するとみている。軍事アナリストによると、中国が台湾を攻撃した場合、この海域が米中の主戦場になる可能性が高い。
中国海軍の増強を受けて、日米両国は台湾危機に備えた共同作戦計画の策定を急いでいる。
台湾と日本の防衛専門家は中国海軍の動きについて、中国が台湾有事に向けた重要な訓練をしているのは明らかだと話す。地下格納庫を備えた台湾東部の空軍基地を攻撃し、日本やグアムからの米軍部隊の援軍を遮断するための訓練も含まれるという。
「中国海軍は主に尖閣諸島(中国名・釣魚島)有事を想定してこの地域に展開しているという狭い解釈も過去にはあった」と日米共同作戦計画の内容を知る高官は語った。「だが、リスクは南西諸島と台湾で高まっていることがより明確になってきた」
この高官によると、日米共同作戦計画では高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」を装備した米海兵隊を南西諸島へ緊急展開することを優先事項に盛り込んでいる。共同通信も最近同じ内容を報じた。
南西諸島の近くに展開する中国艦艇がハイマースの射程に入る。この件に詳しい別の人物は「これは有事に向けて共同作戦計画を練った際に出た案の1つだ」と語った。
中国軍は「台湾の東側の海域を戦場に想定」
台湾軍の元高官は「中国軍は素早く決定的な勝利を収めようとするだろう。そのためには台湾が島の東海岸側に退避させる戦闘機や戦艦を破壊する必要がある」と話す。
中国軍が従来の想定通りに台湾島の西側から攻撃してきた場合、台湾は島の東側に艦艇を移動させるという有事作戦を描いている。戦闘機も東部・花蓮県にある基地の山岳地帯のトンネル内に避難させる。
台北の中華戦略及兵棋研究協会(CSWS)の研究員、スー・イェンチ氏は「我々は中国人民解放軍の台湾南西部や南東部への展開ばかり議論しているが、中国軍は東側の海域を戦場に想定した訓練をしている」と述べた。
昨年11月、中国海軍の071型ドック型揚陸艦2隻が台湾東部沖と、150キロ離れた沖縄県与那国島の間の海域を通過した。揚陸艦は部隊やヘリコプター、上陸用舟艇を積載でき、上陸用舟艇は花蓮にある空軍基地への攻撃に使用される可能性が高い。
台湾をめぐる緊張の高まりを示すように、台湾の国防部(国防省)は23日、中国の戦闘機39機が台湾の防空識別圏に相次ぎ侵入する挑発行為を行ったと発表した。
前日には米海軍が原子力空母2隻などをフィリピン海に派遣し、日本との合同演習を実施したばかりだった。
By Kathrin Hille and Demetri Sevastopulo
(2022年1月24日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
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日本海で「特異な動き」 中ロ接近、軍事同盟の様相
編集委員 高坂哲郎
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM192PM0Z10C22A1000000/
※ 今日は、こんなところで…。
※ 激しく、雑用に見舞われている…。
※ バタバタと、一日中走り回った…。世界情勢分析の”ネタ”となる「情報収集」している時間すら無かった…。
※ 世界情勢緊迫で、じっくり「情勢分析」していたいところだが、巡り合わせでそうもいかないのが、世の中だ…。



『中国軍とロシア軍が日本周辺で進める軍事協力が、新たな段階に入っている。両軍は特に日本海北部海域を重視しているようだ。東アジアの秩序を揺るがす潜在力を秘めており、北朝鮮の最近のミサイル連射の背景にある生き残りの思惑まで読み取れる。
Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。
「特異な動きだ」。日米の防衛当局が驚きをもって受け止めた動きが、2021年11月19日に起きた。日本海北部で中ロ両空軍の爆撃機計4機が南下を始めていた。両空軍の日本周辺での合同飛行は、19年7月、20年12月に続いて3回目とみられるが、今回が過去と大きく異なるのは中国軍機の飛行ルートだった。
19年と20年の際、中国軍機は中国領から対馬海峡などを経由して日本海上空に達し、ロシア軍機と合流して東シナ海や太平洋で合同飛行を実施した。こうした動きに対し21年の飛行時は、中国領北部から洋上に出ずに直接ロシア極東部に入り、ロシア領内で同国空軍機とともに日本海上空に出ている。
並んで航行する中国(右側)とロシアの海軍艦艇(2021年10月、長崎県男女群島の南南東海域)=防衛省提供
軍事訓練には、有事の予行演習の意味合いがある場合もある。ロシアが有事に自国領を経由した外国軍機の作戦行動を容認し始めたとすれば、中ロの関係は単なる「軍事面での協力」の段階を過ぎ、事実上の「軍事同盟」のレベルに達し始めたともいえる。中ロ両軍は21年10月にも、計10隻の艦艇を投入し、津軽海峡から本州沿いを経て東シナ海に至る艦隊機動訓練というもう一つの「特異な動き」をみせた。
「接近阻止戦略の一環」
海空両戦力を動員したこうした動きは何を狙うのか。「日本海北部海域に米軍や自衛隊を近づけさせないようにする接近阻止戦略の一環だ」とある防衛省情報部局OBは断言する。
日本海北部に面する北朝鮮東岸に羅津(ラジン)という港湾都市がある。かつては旧日本海軍も使っていた羅津から少し沖合に出れば一気に水深が深くなり、潜水艦が隠れるのに非常に適した海域となる。中国海軍は現在、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)巨浪(JL)3と、搭載する「唐級」新型戦略原子力潜水艦を開発中だ。日米防衛当局者たちは、中国軍が唐級原潜をいずれ日本海北部に配備するだろうと以前からみていた。日本海北部の海域からなら、ワシントンを含む米東海岸を攻撃できるとみられるからだ。
当然、米軍も日本海での中国の接近阻止戦略を防ぎ、JL3を無力化しようと手を打ち始めている。北海道の小樽港には、19年2月には米第7艦隊の旗艦ブルーリッジが寄港し、22年2月には米海軍艦艇としては3年ぶりにミサイル駆逐艦ストックデールが寄港する予定だ。中国海軍だけでなく、宗谷海峡を経由して日本海とオホーツク海を往来するロシア海軍艦艇に対するけん制でもある。
百戦錬磨の米軍に現代戦の経験がほとんどない中国の海空軍が対抗するには、ロシア軍に共同訓練などを頼み、技量の向上を図ることが欠かせない。中国の思惑が一連の海空での中ロ両軍の動きにあらわれる。ロシアは近年、地下資源や武器など自国産品を中国に買ってもらうことで自国経済を維持しているのが実情で、中国から合同訓練を頼まれれば断れない。
21年11月に日本海などでロシア軍と合同飛行をした中国軍の爆撃機H6には核兵器を搭載できるタイプもある。中国軍は、自らの「虎の子」兵器であるJL3を無力化するため米軍が日本海北部に突入してくるなら、戦術核兵器でこれを排除することも辞さないとの強烈な威嚇を合同飛行を通して示したともいえる。
日米豪欧各国が最近、東アジアで多国間の艦艇機動訓練をしきりにしていることにいらだつ中国としては、ロシアとの合同訓練には「自国が孤立しているわけではない」と国民に訴えかけられる内政上の利点もある。
北朝鮮が実施したミサイルの発射実験(1月17日)=朝鮮中央通信・共同
焦燥感募らせる北朝鮮
中国軍の日本海シフトに焦燥感を募らせているとみられるのが、北朝鮮である。中国軍にとってJL3と唐級原潜は対米軍事戦略上、最重要の兵器システムだ。突き詰めれば、唐級の母港として最適な羅津港を含む北朝鮮の日本海側を中国領にしてしまうのが望ましいだろう。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は中国の思惑を強く警戒しており、中国海軍艦艇が北朝鮮領に寄港した事例は近年、ほとんど確認されていない。
長年にわたる中国やロシアの北朝鮮支援には、米軍の関心を引き付ける「おとり」を育てる意味合いがあったといえる。北朝鮮を使って朝鮮半島有事を引き起こさせれば、米軍の関心が向かう。中国には台湾侵攻、ロシアにはウクライナ攻略といったそれぞれの国益追求の機会が訪れるだろう。朝鮮半島有事の末に現体制が崩壊したとしても、すかさず中国軍が北朝鮮を占領し、羅津一帯も押さえられるというわけだ。
こうした状況下で金正恩体制が今後も北朝鮮の地で存続するには、米国と衝突する事態はぎりぎりで回避する一方、中国軍の米軍への対抗行動に同調することで中国に存続を容認してもらうしかない。北朝鮮が日本海に向けてしきりにミサイル発射し、接近する米軍をけん制する能力を誇示している背景には、いままで各国の軍関係者の間でしか認識されてこなかった「中国軍の日本海シフト」を受けた北朝鮮の生き残り戦略という意味合いもあるのだ。北朝鮮は21年の中ロ艦隊の機動訓練の際も、応援するかのようにミサイル発射をしている。
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