米軍、沖縄に戦闘機の常時配備再開へ 抑止力空白を解消
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN150030V11C23A2000000/
『【ワシントン=中村亮】米空軍は嘉手納基地(沖縄県)で戦闘機の常時配備を再開する方針だ。戦闘機が不在になって中国への抑止力に空白が生じるとの懸念を払拭する。米議会が配備数を2割以上減らす案に懸念を示し、調整を急ぐ。
米空軍は2022年から戦闘機F15Cなど約48機を嘉手納基地から段階的に退役させ、代わりに別の戦闘機を交代で一時配備している。常時配備に比べて戦闘機が不在になりやすく、米国によるインド…
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『常時配備に比べて戦闘機が不在になりやすく、米国によるインド太平洋への関与が弱まると懸念する声が出ている。
米太平洋空軍のケネス・ウィルズバック司令官は13日の日本経済新聞のオンライン取材で「恒久的に一時配備にすると想定していない」と語り、常時配備に戻すとの見通しを明言した。再開時期に触れなかったが、25年以降になるとみられる。
常時配備の再開は米中競争の最前線で、平時に中国への抑止力を示す必要があるからだ。
ウィルズバック米太平洋空軍司令官は嘉手納基地に関し「いっそう重要になっている」と強調した(3月、コロラド州)=米空軍提供
中国との有事を想定すると、地理的に近い嘉手納基地が攻撃を受けやすいとの分析がある。滑走路が使えなくなると戦闘機は離着陸できない。ウィルズバック氏は同基地の有用性が下がったとの見方に関し「むしろ逆だ。いっそう重要になっている」と反論した。
有事に即応するための拠点になるシナリオに言及した。攻撃を受けても嘉手納基地からインド太平洋の他国に戦闘機を分散させて作戦を続けられるとした。米軍はフィリピンやパプアニューギニア、オーストラリアなどで作戦拠点を増やしている。
複数の議会関係者によると、空軍は36機の新型F15EXを嘉手納基地に常時配備する案を検討している。従来に比べて機体の性能は向上するが、配備数は25%減らす案だ。空軍が議会の関連委員会に嘉手納基地をめぐる暫定計画を最近提示した。
下院軍事委員会のロブ・ウィットマン副委員長(共和党)は日経の取材で、嘉手納基地での常時配備を歓迎しつつ、配備数の削減に懸念を示した。「前方展開部隊の削減が正しいと裏付ける空軍の運用分析を期待する」と語った。
ウィットマン米下院軍事副委員長は嘉手納基地の戦闘機配備数を25%減らす案に懸念を示した(2月、ワシントン)
アメリカン・エンタープライズ研究所のザック・クーパー上級研究員は「国防総省は、F15EXが特にインド太平洋地域に展開する他の戦力と連携する場合は旧来機に比べて効果的だとして、配備数の削減を正当化するのだろう」と指摘した。
空軍によると、F15EXは空対空ミサイル(AMRAAM)を12発搭載し、旧来機より5割増える見通しだ。高性能のレーダーやセンサーで情報を集め、敵に見つからないステルス性も高いとされる。
空軍は中長期的に配備数の削減を無人戦闘機の活用で穴埋めするシナリオを視野に入れる。ウィルズバック氏は嘉手納基地への無人戦闘機の展開が検討対象になるかとの質問に「もちろんだ」と答えた。
空軍が開発中の無人戦闘機は有人機のパイロットから指示を受けながら作戦を実行する。爆撃や情報収集、電子戦など幅広い役割を担う見通しだ。
ウィルズバック氏は有人戦闘機と無人戦闘機を常に同じ拠点に配置する必要はないとも指摘した。無人戦闘機は嘉手納基地に常駐させるのではなく、機動的な運用が望ましいとの見方を示唆した。
米軍は6日、日本の鹿児島県屋久島沖で11月末に起きた輸送機オスプレイの墜落事故を受けて全世界で飛行を停止すると発表した。
ウィルズバック氏は「万全を期すために飛行を停止して何が起きたのかを把握し、必要な措置を講じる」と重ねて表明した。乗組員の捜索活動などで協力する日本の自衛隊や海上保安庁に謝意を示した。
米軍が嘉手納基地や横田基地(東京都)に配備するオスプレイも飛行停止の対象になっている。
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神保謙
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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分析・考察米軍の前方展開戦力が、中国の接近阻止・地域拒否能力の拡大によってどう影響するか、大きく分けて脅威圏内の戦力維持、脅威圏外からの戦力投入の2つの方向性がある。
脅威圏内の戦力を維持するコストは増しているが、即応性や関与のシグナリングは圧倒的に高い。
脅威圏外は戦力保全は可能だが、戦力投入の難しさに加え、即応性を失わせ、抑止力の肝となる迅速な意思決定を阻害する。
嘉手納基地における米空軍戦闘機を常駐させ、危機のレベルに応じて他の作戦拠点に分散配備できる態勢が望ましい。
2023年12月18日 6:45いいね 5 』