鳩山元総理「台湾は中国の一部なんだという事を認め、逸脱する行為は慎まなければなりません!」
https://hosyusokuhou.jp/archives/48917134.html

鳩山元総理「台湾は中国の一部なんだという事を認め、逸脱する行為は慎まなければなりません!」
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遠のく中国の米国超え、リスクは「満ちあふれる自信」
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK1524V0V10C22A1000000/




『「2021年通年の8.1%成長と人民元高もあって、中国の経済規模(ドルベース)が米国の8割にも達しそうな勢いなのは誇らしい。だが足元の深刻な経済減速を考えれば、期待されていた『米国超え』はむしろ遠のいている。皆、分かっていない。過剰な自信は中国の発展にかえってマイナスだ」――。21年10~12月の成長率が前年同期比4.0%にまで落ち込んだニュースが世界を駆け巡った後、ある中国の経済関係者が率直に語った。
過剰な自信が国を誤らせる危険性を別の角度から指摘した興味深い分析があった。中国で大きな話題になったブログのタイトルは「閻学通:学生らに客観的事実を理解させ、盲目的な自信(の落とし穴)を避けるよう指導しなければならない」。
閻学通は清華大学国際関係研究院の院長だ。そんな著名な国際政治学者が、講演で今の学生の信じがたい偏ったものの見方に警鐘を鳴らした。国家主席の習近平(シー・ジンピン)も卒業したエリート校の学生でさえそうなのだ。反響は大きかった。
著名国際学者も学生らの過信に苦言
「2000年以降に生まれた中国の(若い)大学生は強烈な優越感と自信を持つ。高所から他国を見下ろすような態度、自らの願望に基づく思考で国際関係を眺め、中国の対外政策の目標を達成できると考えてしまう。平和、道徳、公平、正義など人類の普遍的な価値観を中国特有の伝統だと思い、中国だけが正義で、西洋諸国は『邪悪』とみなす。とりわけネット言論の影響は深刻で、ネットの有名人らの(怪しい)陰謀論さえ常識とみなして信じている」
清華大学国際関係研究院の院長である閻学通氏
こうした学生気質は将来に禍根を残すと考えた閻学通は、国際関係の授業で過剰な自信に陥ることを避けるよう学生を指導し、歴史をひもときながら世界の多様性を認識させるべきだと提言したという。
閻学通は中国のリアリズム外交を代表する。鄧小平が提起した爪を隠して内に力を蓄える「韜光養晦」(とうこうようかい)という外交・安全保障の基本政策は既に過去のものだと明言し、米国との摩擦激化も予言したのは10年ほど前だ。当時、トップに立ったばかりだった習の考え方に近いため重用され、発言力も強まってゆく。
中国の学生が持つ夜郎自大の考え方は、共産党政権が重視してきた愛国教育のたまものでもある。米国に強い態度で臨むよう主張してきたイメージが強い閻学通まで学生の考え方の偏りに苦言を吐くのはよほどのことだ。時代の変化を感じざるをえない。
たった1年前は全く違った。新型コロナウイルス感染症の抑え込みに大成功した中国の「ひとり勝ち」が宣伝されていたのは、ちょうどその頃である。代表的なのは、中国人民大学教授で同大国際関係学院副院長の金燦栄の物言いだ。
「中国はまず25年に国内総生産(GDP)で米国に追い付く。35年には中国の科学技術の実力で米国を超え、軍事力でも西太平洋、インド洋ともに優勢が明らかになる。工業生産能力で米国は比べものにならない。総合国力で米国を超えた中国の国際的な影響力は大きくなる」。これは21年3月、米アラスカで米中外交トップが激突する1カ月ほど前の意見表明だった。
中国人民大の金燦栄教授(2021年1月、北京市)
自信の背景にあったのは、コロナ対応の失敗を指摘された米国の経済停滞だった。中国内には国力が衰退する米国を皮肉る言論が充満し、習は共産党統治システムに対する「制度への自信」を繰り返し訴えていた。
3年間で初、旧正月移動を完全規制か
22年1月中旬、中国を巡る懸念を増幅する出来事や発表が次々あった。15日には首都北京で初めて「オミクロン型」の感染者が確認された。17日には中国の21年出生数の5年連続減少が明らかに。1949年の建国以来の最低で、人口減少社会の訪れが予感される。
拍車をかけたのが経済減速である。この傾向はなお続く。湖北省武漢での初期対応に失敗した習政権は徹底した「ゼロコロナ政策」にカジを切り、20年後半になると、抑え込みに完全成功したと中国国内では信じられるようになった。
21年前半までの中国経済の急回復と、米欧の低迷もあって習政権は自信過剰に陥る。これは、閻学通が指摘したようなエリート学生らを含む国民の意識と呼応しながら社会的な高揚感を醸し出す。ある種の自己陶酔である。先の共産党中央委員会第6回全体会議(6中全会)で採択した「第3の歴史決議」で習が強調したのも自信だった。
防護服姿で天津市街地を消毒する要員(1月9日)=AP
ゼロコロナ政策の「成功体験」は、22年秋の共産党大会でトップとして3期目をめざす習の政治的な実績として既に織り込まれている。今更、路線変更は不可能だ。路線が変わらない以上、1月下旬からの旧正月長期休暇、3月に北京で開く全国人民代表大会の前、そして秋の共産党大会の前は物々しい移動制限があるだろう。
「この3年間の旧正月休みで初めて帰省できなくなった。消費への影響は大きい」「全市民に1日以内にPCR検査を受けるよう命令が下った。今回で3回目だ。やりたくないが、逃れられない」。中国の北部と南部の両方から聞こえてくる声である。
実は武漢でコロナ禍が深刻化していた20年の旧正月休暇の前は事実が完全隠蔽されており、移動制限がなかった。翌21年の旧正月休みの帰省は、コロナ抑え込みの成果で一部可能だった。
ところが今年の旧正月休暇(1月31日~2月6日)は、2月4日開幕の北京冬季五輪と重なる特殊要因もあり、各地で帰省が全面的に制限される可能性が高い。22年は第1四半期から経済に強い下押し圧力がかかる。経済専門家からは「後半の盛り返しを期待するにしても5%成長の達成には相当の困難がある」という見方が出ている。
ゼロコロナ政策以外で景気を落ち込ませている原因も、ほぼ全て北京の要人の執務地、中南海から発せられた急激で硬直的な政治主導の政策にある。最も影響が大きいのは、経済への寄与度が高い住宅市場を急激に冷え込ませた政策だ。並行してIT大手、ゲーム業界、教育産業への圧力も続いた。
経済低迷なら習近平氏の権力にも影響
日本経済研究センターは21年末、中国の名目GDPが米国を上回るのは33年になるとの予測を公表した。たった1年前に示していた「早ければ28年」という予測からみれば、5年も遅れることになる。
その原因として、中国政府の民間企業に対する規制強化による生産性の伸び鈍化と、長期的な人口減少による労働力不足を挙げた。前者は、権力集中に成功した習が自信をもって突然、打ち出す様々な極端な政策の副作用である。いわばリスクは習自身という解釈もできる。21年からの米経済復調もあって、米中の成長率の差は縮小傾向にある。
WEFの関連会合で北京からオンライン演説する習近平国家主席(17日)=新華社・AP
「(今年秋の)共産党大会までに経済状況を改善できなければ、(習の)権力にも影響がでかねない」。政界関係者はささやく。なぜなら「35年に現代化建設を基本的に実現する」という大目標は、17年の共産党大会で習自身が鳴り物入りで打ち出したものだからだ。その意味は、米国を凌駕(りょうが)することだった。
17年当時、「従来の目標年次を15年ほど前倒しした」と説明した経緯を考えれば、その達成は習が自らに課した義務である。計画の頓挫は本来、許されない。だが、習政権は自ら「政策不況」を招いている。過剰な自信はトップばかりではなく官僚、一般国民、清華大学の学生に至るまで自己陶酔に陥らせ、客観的な判断力を鈍らせてしまった。
「国内外の経済環境の変化がもたらす巨大な圧力を受けているが、我々は中国の経済発展の前途に満ちあふれる自信を持っている」。中国の直近の成長率落ち込みが世界に衝撃を与えた17日、習は世界経済フォーラム(WEF)関連会合でオンライン演説した。この「満ちあふれる自信」は、内外で懸念される過剰な自信とは違うのか。柔軟な政策調整につながる端緒なのか。しばらくは観察が必要である。(敬称略)
中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞』
中国が台湾侵攻を決断へ その日、日本が〝戦場〟になる
日米戦略協議の深化を急げ
村野 将 (米ハドソン研究所研究員)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25441





『「台湾危機はどれほど切迫しているのか」。長らく台湾の安全保障をめぐる問題は、日米の外交・防衛当局者や一部の専門家など、ごく一部の限られた人々の関心事項に過ぎなかった。しかし、今や台湾問題は、メディアで最も頻繁に取り上げられるようになった国際政治上の課題の一つと言っても過言ではない。』
『米国内でも別れる「切迫した脅威」への見解
台湾の安全保障への関心が急速に高まる直接のきっかけとなったのは、2021年3月9日にフィリップ・デイビッドソンインド太平洋軍司令官(当時)が行った「台湾への脅威は、今後6年以内(筆者注:2027年)に明らかとなる」との議会証言であった。また、これに続く3月23日の議会公聴会では、デイビッドソンの後任となるジョン・アクイリノ現インド太平洋軍司令官が「(中国による台湾侵攻の脅威は)多くの人が考えているよりも切迫している」と証言し、関心の高まりに拍車をかけた。
事実として、台湾に対する中国の軍事的圧力は日に日に強まっている。例えば、中国軍機による台湾の防空識別圏への侵入は増加傾向にあり、21年10月4日には、12機のH-6爆撃機や36機のJ-16戦闘機を含む計56機の侵入が確認された(20年9月に台湾国防部が中国軍機の動向を公表し始めて以来、最多)。その後、台湾の邱国正国防部長は、10月6日に行われた立法院の国防予算審議の中で、「中国は2025年には全面的に台湾に侵攻できる能力を持つ」とさえ語っている。
しかしその一方で、日を追うごとに高まる台湾問題への危機感をトーンダウンさせるような動きも見られるようになっている。米軍トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は、6月17日の議会公聴会において、「中国にとって台湾は、依然として核心的利益だ。しかし、現時点で台湾を軍事的に統一しようという意図や動機もほとんどなく、(中略)近い将来にそれが起きる可能性は低いと思う」と証言している(11月3日、ミリー氏は「(近い将来とは)向こう半年から1、2年」という意味だとも述べている)。
同様に、日米の中国専門家の中にも「米軍と衝突する可能性の高い台湾本島への本格的な武力侵攻は、政治的にも軍事的にもハードルが高く、習近平にとってリスクが大きすぎる」「台湾情勢は世間で騒がれているほど切迫しているわけではない」という声は少なくない。
必要なのは危機への予想ではなく、危機を防ぐ具体策
台湾危機は差し迫っているのか。こうした観点から、世間やメディアの関心が高まるのは自然なことではある。しかし、国際情勢の変化は、地震や台風などの自然災害のように、個人や国家の意思が及ばないところで、ある日突然起きるものではない。それは国家間の意思や能力の相互作用の中で生じるものであるから、各国が「今、何をするか」によって、将来起こりうる事態の性質やそのタイミングは自ずと変化する。
台湾有事が起きれば、それがどのような形であったとしても、日本も当時者となることは確実であり、決して傍観者ではいられない。こうした点に鑑みれば、われわれにとって重要なのは、台湾危機や米中戦争が起きるか起きないかをあたかも占いのように予想することではなく、それらの危機をできる限り遠ざけるために、「今、何をしなければならないのか」という視点に立って直面する課題を捉え直すことである。』
『台湾をめぐって危機が発生する状況としては、明示的な武力行使を伴わないグレーゾーン・シナリオから、離島に対する限定侵攻シナリオ、経済・情報封鎖によって中国との外交交渉を強制するシナリオ、そして台湾本島への全面的な武力侵攻シナリオに至るまで、さまざまなシナリオが考えられる。しかし一つ確かなのは、これらの現状変更行動はいずれも中国側から開始されるということだ。言い換えれば、中国の台湾に対する強制行動はどのような形であれ、中国に対する抑止が「失敗」することによって始まる。
対中抑止が「失敗」する可能性
では、台湾をめぐる対中抑止の「失敗」はどのように生じるのだろうか。台湾は、米国の軍事的な後ろ盾無くして、自身の存立を維持することはできない。したがって、中国の台湾に対する誘惑を思いとどまらせることができるかどうかは、米国が介入するか否かにかかっている。
当然ながら、米国が台湾を防衛するにあたり西太平洋地域に戦力を投射する場合には、日本はその最重要拠点となる。それゆえ、日本が米国の台湾防衛作戦を支援するかどうかも、対中抑止の成否を分ける死活的に重要な要素となることには留意すべきだ。しかし、日本もそれ以外の米国の同盟国も、まずは米国が介入することを決断しなければ、独力で台湾を守ることはできないことから、やはり米国の行動が決定的な重要性を持つことに変わりはない。
その上で、台湾をめぐる対中抑止が失敗するケースとしては、大きく分けて2つの原因が考えられる。
一つは、米国が台湾防衛に十分な能力を持っているにもかかわらず、その能力を行使しない場合。もしくは米国に台湾防衛の意思があったとしても、中国に対してそれが正確に伝わらず、「米国は介入してこないだろう」との誤算に基づいて、中国が台湾に手を出してしまう場合である。そしてもう一つは、米国の台湾を防衛するための能力自体が欠けている場合である。
危機の原因が中国による米国の意思の見誤りにあるのだとすれば、そうした危機は、台湾に対する米国の防衛コミットメントの意思をより明確かつ具体的にすることで未然に防止することができる。外交問題評議会会長のリチャード・ハースらが提唱している「戦略的曖昧性」の見直しなどは、その一例と言える。
しかし、宣言政策の修正によって抑止できるのは、東沙諸島や南沙諸島の太平島などの離島を短期間で奪取して既成事実化を試みようとする場合のように、中国が米国の介入可能性を相対的に低く見積もっているシナリオに限られるだろう。
中国は米国の介入「意思」だけでなく、「能力」を見る
中国が最終的に台湾本島への侵攻にエスカレートしうるような武力行使を決断するとすれば、それは中国指導部にとって失敗の許されない極めて大きな利益のかかった作戦となる。失敗した場合に被る政治的リスクの大きさに鑑みれば、中国指導部が台湾への本格侵攻に着手する際に、「米国は介入してこないだろう」などという不確実な期待に賭けて行動を起こすことは考えにくい。
だとすれば、中国が本格的な侵攻を決断するのは、米国が介入してくることを覚悟した上で、たとえ衝突に至ったとしてもそれを実力で退けることができるという自信をもった時ということになる。
この場合、中国は米国の介入「意思」ではなく、介入「能力」を低く見積もることによって行動を起こすのであるから、本格的な侵攻は、米国政府がどんなに力強い言葉で台湾防衛の意思を示したとしても、中国の目標達成を実力で拒否する能力が伴っていなければ阻止できない。
米中関係をめぐっては、「中国は、米国と本気で戦争することを望んでいるわけではない」と説明されることがある。しかし、こうした説明は台湾をめぐる対中抑止政策を考える上ではほとんど意味がない。』
『多くの中国専門家が指摘しているように、現在の中国指導部が、本格侵攻による武力統一以外のオプション(例:武力による脅しを背景とした強制や親中世論の醸成)を優先的に追求しているのだとすれば、それは武力統一に伴う米国との衝突リスクを高く見積もっていることの裏返しでもある。
逆に言えば、米国の介入能力が低下してしまえば、中国は武力衝突に伴うリスクが低くなったと判断して、台湾に対してより大胆な脅しをするようになるであろうし、実際に武力統一に乗り出す誘因も高めてしまうことになる。つまり、中国の強制力を弱めるにしても、本格侵攻を阻止するにしても、米国が十分な介入能力を保持しておくことは中国に対処する上での絶対条件なのである。
中国は日本の基地を無力化させる力持つ
改めて整理すると、「中国が台湾へ本格侵攻する可能性は当面低い」との評価は、武力統一が失敗するリスクが高いとの前提に則っており、そのリスクは主として、①米国の介入と、②着上陸侵攻能力の不足に由来する。
だが近年中国は、米国の介入を阻止するための能力を驚くべき速さで向上させている。中でも注目すべきなのは、中距離ミサイル戦力、爆撃機戦力、艦艇・船舶の建造能力、そして核戦力の増強傾向である。
第一に、中国の中距離ミサイル戦力が増強され続けてきたことは、日本でもようやく一般に認知されるようになってきた。しかし、その増強ペースは専門家でも〝度肝を抜かれる〟ほどだ。日本では北朝鮮のミサイル発射が注目されがちだが、中国が20年に実験や訓練などで行った弾道ミサイル発射は250発を超える。これは同年に中国以外の国で行われたミサイル発射を全て足し合わせた数よりも多い。
ミサイル本体や移動式ランチャー(車載型のミサイル発射装置)の増産も著しい。例えば、米軍の一大拠点であるグアムを攻撃範囲に収める射程4000キロメートルの中距離弾道ミサイル(IRBM)DF-26のランチャー数は、18~19年のたった1年間で80両から200両へと2倍以上に増加している。
19~20年にかけてはランチャーの増勢は見られなかったものの、DF-26のミサイル本体については約200基から300基へと100基分の予備弾が増産されたことが確認されている。また、日本を射程に収める準中距離弾道ミサイル(MRBM)は、19~20年に100両分が増産されて計250両となった上、ミサイル本体に至っては19年に150基以上とされていたものが、20年には600基と凄まじい勢いで増産されていることが明らかになった。
しかもこれらの増加分の多くは、DF-17と呼ばれる極超音速滑空ミサイルだとみられる。21年の時点で、DF-17が即時投入可能なMRBM戦力の約4割を占めていると仮定すると、20年代後半にはこれらの増勢がさらに進んで、南西諸島を含む西日本の自衛隊基地・在日米軍基地の大半が開戦と同時に瞬時に無力化されてしまうという状況が現実味を帯びてくる。これは日本の防衛態勢を考える上で極めて憂慮すべき事態である。
さらに言えば、MBRM戦力の増勢はより射程の長いDF-26に運用上の柔軟性を与えることにも繋がる。これまでにもDF-26は、DF-21Dと並んで「空母キラー」と称されてきたが、ランチャーの増勢によって同時発射能力が強化されたことに加え、予備弾が追加されたことで、DF-26は空母のような高価値目標に限定することなく、イージス艦や補給艦などのその他の艦艇にも使用されうる対艦弾道ミサイル(ASBM)となりつつある。
このままDF-26の増勢傾向が続けば、危機の際にマラッカ海峡などのシーレーンを封鎖しようと東南アジアやインド洋の東側に展開する米軍や同盟国の艦艇にも脅威がおよぶ可能性が出てくる。
先行使用の可能性も見せる
またDF-26が艦艇を攻撃できるほどの命中精度を持っているとすれば、それは地上目標に対する精密打撃能力としても用いられる可能性がある。これはレーダーや無人機の管制システム、指揮統制ネットワークなどの地上ユニットが、第一列島線はもとより第二列島線内のどこにいても、常にDF-26の攻撃に晒されるリスクがあることを意味する。』
『DF-26の増勢に憂慮すべき理由は他にもある。それはDF-26が核・非核両用のIRBMだということだ。元々、中国のミサイル戦力はICBMと短射程の戦術ロケットを除けば、その大半が核・非核両用の運用能力を持っているとされている。ただし、これまで中国は、安全のために平時には核弾頭をミサイルから分離して保管していると言われており、それが核の先行不使用(no first use: NFU)政策を一定程度裏付けるものと見られていた。
ところが、近年情報機関や専門家による分析の結果、人民解放軍のミサイル部隊は、即応性向上の観点から、戦闘準備態勢と厳戒態勢とを絶えず繰り返すローテーション訓練を定期的に行なっている様子が確認されている。中でもDF-26を運用する旅団は、前線で通常弾頭と核弾頭を素早く交換する訓練を実施しているとみられる。
これは従来の定説と異なり、核弾頭の一部が平時からミサイルに搭載されたまま、即応状態を維持していることを示唆している。さらに言えば、DF-26が本当に高い命中精度を持っているのだとすれば、なぜ核・非核両用の運用態勢をとっているのかを合理的に説明することは難しい。これらを総合すると、中国のミサイル運用態勢は、核の先行不使用を裏付けるというよりも、むしろ特定の状況下での先行使用可能性を示唆するものだと考えられるのである。
爆撃機戦力の近代化進める
中国の対米介入阻止能力を支える第2の要素が、爆撃機戦力の近代化と増勢である。中国の主力爆撃機であるH-6は、元々1950年代にソ連で開発されたTu-16爆撃機を国産化したもので、ミサイル搭載能力やその投射距離も限定的であった。ところが、2009年から実戦配備が始まったH-6Kは、機体設計やエンジンの改修が行われており、ほとんど別の爆撃機となっている。
その結果、作戦行動半径は3500キロメートルに延伸され、巡航ミサイルの搭載能力も2発から6発に拡張されている。加えて、ミサイル(YJ-18超音速対艦巡航ミサイルなど)の射程も延伸されているため、中国の近代化された爆撃機部隊は、第二列島線内の地上部隊や空母打撃群をスタンドオフ攻撃することが可能となっているのである。さらに近年では、空中給油能力と空中発射型弾道ミサイル搭載能力を持つH-6Nと呼ばれるタイプも確認されており、米国防省はこれをもって中国が核戦力の「三本柱(陸:ICBM、海:SLBM、空:爆撃機)」を完成させたと分析している。
また中国は、旧型のH-6を近代化改修型のH-6K以降のタイプに置き換えるだけでなく、爆撃機戦力全体の規模を拡大しているとみられる。長年米海軍で情報分析や戦略立案に関わってきた経験を持ち、現在は新米国安全保障センター(CNAS)客員上席研究員を務めるトマス・シュガート氏が商用衛星画像を基に中国の爆撃機基地の拡張状況などを継続的に確認したところ、近代化されたH-6の総数は18年時点で200機強、20年時点で最低でも230機以上が配備されていると推定されている(なお、ミサイル搭載能力や運用構想の観点から単純な比較はできないものの、20年時点で米空軍が保有する爆撃機の総数は、B-1、B-2、B-52を合わせて158機である。さらに、米国の爆撃機戦力のうち核搭載能力を持つ機体については、米露間の軍備管理条約である新STARTのカウンティング・ルールに合わせて制約を受ける)。
これらの爆撃機部隊は、有事の際には地上発射型の中距離ミサイルと合わせて、日本やグアムの固定施設や、移動中の海上自衛隊・米海軍艦隊を脅かし、日米のミサイル防衛体制に多くの負荷をかけることになるだろう。
造船は軍、商用の両面でペースを上げる
注目すべき第3の要素は、中国の艦艇建造能力である。ミサイル戦力の増勢もさることながら、中国は艦艇の建造ペースも非常に速い。中国海軍は既に15年の時点で、総隻数という観点からは世界最大の海軍となった。もっとも、これは中国海軍が比較的小型の艦艇を大量に保有することからくるもので、総トン数では未だ米海軍に優位がある。
中国による艦艇の建造・就航は急ピッチで進んでいる
しかしながら、この優位は次第に自明視できるものではなくなりつつある。中国が15~19年のうちに進水させた艦艇の総計は60万トン以上と、同じ期間に米海軍が進水させた艦艇の総トン数の2倍に相当する。実際、中国の造船所では、空母や最新鋭の駆逐艦、大型巡洋艦、強襲揚陸艦、潜水艦などが急ピッチで建造されている。これらを踏まえると、中国海軍は35~40年頃までに、総トン数においても米海軍に匹敵する規模となる可能性がある。
これと関連して注視すべき点は、中国の造船ペースの速さは軍だけの傾向ではないということだ。中国は世界最大の商用造船能力を持っており、20年には総計2300万トンもの船を建造している。これが何を意味するのか。前述の通り、中国が台湾への本格侵攻を実行するにあたって大きなリスクとなるのは、米軍の介入可能性に加えて、大規模着上陸侵攻に必要な海上輸送能力が不足しているという点だった。この事実は、米国防省のみならず、多くの軍事専門家の間で共有されている。』
『中国―韓国間のフェリーは「軍民両用」
しかしここでいう海上輸送能力とは、主として中国海軍が持つ軍用の水陸両用艦艇にのみ着目した評価である。正確な時期は明らかではないものの、中国政府は商用の大型フェリーやコンテナ車両輸送船の造船業者に対して、戦時動員された際に国防上の必要性に応じることができることを保証する技術基準証明を発行してきた。
また、中国―韓国間で運行している大型フェリーのプレスリリースには、軍民両用であることが明記されている。実際、近年人民解放軍はこれらの商用船舶を動員して、水陸両用作戦を実施する演習を定期的に行なっている。
これらの商用船舶は非常に大型であり、上記の水陸両用強襲演習に参加したと見られる商用フェリー「渤海玛珠」は約3万3450トンもの大きさがある。先のシュガートらの推計によると、中国が有する大型フェリーは約75万トン、コンテナ車両運搬船は約42.5万トンにものぼり、これらの合計(117万トン超)は中国海軍が現在保有している全ての水陸両用揚陸艦艇の総数(37万トン)の3倍以上に達する(いずれも容積トン換算)。
これらの大型商用船舶の多くは、平時には北部戦区(黄海周辺)と南部戦区(海南島周辺)に近い海域で運行されており、有事の際には速やかに東部戦区に移動して台湾侵攻にあたる部隊を支援しうることから、中国の海上輸送能力を飛躍的に向上させる可能性を秘めている。
もはや「最小限抑止」にとどまらない核戦力
台湾有事を考えるにあたって注視すべき第4の要素が、核戦力の増強傾向である。中国の中距離ミサイルは基本的に核・非核両用能力を持っていること、また近年では爆撃機にも核搭載能力が備わりつつあることは既に指摘した。これらは主として西太平洋地域までをカバーする核戦力であるが、中国の核態勢や核戦略が変化してきていることを伺わせる状況証拠は、米国本土まで到達するICBM戦力の動向にも現れている。
21年には複数の民間専門家が行った商用衛星画像の分析を通じて、中国が最新型のICBM・DF-41用と見られるサイロを200カ所以上建設していることが明らかにされた。米国防省は既に20年版の年次議会報告書の中で、中国がDF-41用のサイロを建設している可能性を指摘していたが、公開情報分析によって、その実態がより詳しく世に知られることになったのだ。
DF-41は1基あたり最大10発もの核弾頭を搭載しうるように設計されたICBMとされている(もっとも、実際に10発の核弾頭を搭載できるかどうかは、弾頭の軽量化技術に拠る)。このことは、米中の戦略的安定性と中国の核戦略にとって重要な意味を持っている。
商用衛星画像で既に場所が特定されているように、固定サイロに配備されたICBMは先制攻撃に対して脆弱性が高い。しかも、1基に複数の核弾頭を搭載したミサイルは、それだけ戦力としての価値が高くなるから、中国としてはこれらが先制攻撃で破壊される前に発射してしまおうという誘因が働きやすく、危機における安定性が極めて悪化することが懸念される(こうした状況を避けるために、米国のICBMは多弾頭搭載能力を持ちながらも、全て単弾頭化されている)。
米国防省は20年版の年次議会報告書から、中国の一部の核戦力が警報を受けた時点で、即時発射できるような態勢に移行しつつある可能性を指摘していたが、多数のICBMサイロの発見はこうした分析により説得力を与える材料になっている。
さらに専門家を驚かせたのが、中国の核弾頭製造能力に関する評価である。中国が保有する核弾頭の数については、20年版の年次議会報告書でも「(現在の200発強から)今後10年で少なくとも倍増するだろう」と見積もられていた。ところが21年版の年次議会報告書では、高速増殖炉や核燃料の再処理施設を建設して、プルトニウムの生産・分離能力の向上が図られていることに鑑み、「30年までに少なくとも1000発の核弾頭を保有することを意図している可能性が高い」と、その見積もりを大幅に上方修正したのである。
世界各国の核態勢に詳しい米科学者連盟のハンス・クリステンセン氏は、長らく中国の核戦力は、報復によって米国の一部の都市だけ破壊しうる最小限の核戦力を保持する戦略(最小限抑止)の下で抑制的に発展してきた、と主張してきた。しかし、そんな彼も「もはや、中国が最小限抑止を維持していると考えることは難しくなった」と認識を改めている(奇しくも、クリステンセンはこれらの新設サイロ群を発見した専門家の1人である)。
中国が行動に出る危険性は高まるばかり
また21年7~8月にかけて、中国が地球を周回する極超音速滑空体の実験を複数行なっていたことも確認されている。中国の報道官はこれを「再利用可能な宇宙機の実験」と説明しているが、米軍関係者によれば、滑空体は「(減速せずに)目標に向かって加速した」と証言している。』
『このことからすると、中国は米国本土のミサイル防衛を確実に突破することを目的として、冷戦期にソ連が開発していた部分軌道爆撃システム(FOBS)と、ブーストグライド型の極超音速滑空体を組み合わせた技術を開発している可能性がある。元々、米国本土のミサイル防衛は、大量のICBMによる攻撃を阻止することは想定されていないため、中国がFOBSを配備したとしても米中間の戦略的安定性に大きな変化はない。しかし、アラスカに集中配備されたミサイル防衛を迂回して米国本土を攻撃できるとなれば、中国は大量のICBMによる大規模核攻撃を伴わない形で、米国に限定攻撃を仕掛けるという、これまでにない段階的エスカレーションの一手段を獲得することになる。
ICBMの増勢やFOBSに相当する技術の蓄積を通じて、中国は米国に対して、両国間の相互脆弱性をより公式な形で認めさせようとしていると考えられる。もし米国本土が容易に脅かされるような状況になれば、中国はたとえ危機がエスカレートしたとしても「米国の核使用を抑止できる」との自信を強めるようになり、結果的に、台湾を含む西太平洋地域におけるグレーゾーンや通常戦力の睨み合いの中で、リスクを厭わない行動を取るようになる危険性がこれまで以上に高まることになるだろう。
今、何をしなければならないのか
このように、中国は台湾有事に際して、米国の介入を実力で阻止する能力を着実かつ急速に構築している。そしてそれらの諸要素は、平時・グレーゾーンにおける台湾に対する強制力行使から、通常戦力による対米介入阻止、そして核エスカレーションの管理に至るまで、全てが相互に連関している。
「中国が台湾の武力統一を試みる蓋然性は高くない」という見通しは、ただ単に現状を説明にしているにすぎない。われわれが自らの能力を高める努力を怠れば、そうした前提は近い将来、覆されてしまうだろう。対中抑止の「失敗」を避けるためには、平時の情報収集・監視・偵察能力から、宇宙・サイバー・電磁波領域を含む各種通常戦対処能力を経て、最終的には米国の核戦力にまで連なる「切れ目のない」能力を速やかに強化する以外にない。
現在バイデン政権は、国家防衛戦略(NDS)や核態勢の見直し(NPR)をはじめとする戦略文書を策定している最中にあるが、岸田文雄政権も同様に、22年末までに日本の安全保障政策の根幹となる戦略文書(国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画)を見直すことを表明している。
この点につき、22年1月7日に行われた日米安全保障協議委員会(2プラス2)において、両国は「同盟としてのビジョンや優先事項の整合性を確保することを決意」し、とりわけ日本は「ミサイルの脅威に対抗するための能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」ことを米国に公約した。また両国は、「このプロセスを通じて緊密に連携する必要性を強調し、同盟の役割・任務・能力の進化及び緊急事態に関する共同計画作業についての確固とした進展を歓迎」してもいる。
日米2プラス2では、台湾有事も想定した「緊急事態に関する共同計画作業」への進展も歓迎している
すなわち、今後日米は、同盟の役割・任務・能力の見直しを行う中で、いわゆる敵基地攻撃能力を含む新たな要素をどのように位置付けていくかを議論していくこととなる。そして、「緊急事態に関する共同計画作業」には、台湾有事を想定した共同作戦計画の具体化が含まれることとなろう。
「ミサイル攻撃後」の対応に注力を
抑止とは、本質的に逆説的な概念だ。抑止の「失敗」を避けるためには、もしも抑止が失敗した場合に、可能な限り損害を限定して、戦争を有利な形で終結させるための一連の戦い方=「セオリー・オブ・ビクトリー」をあらかじめ考えておかなければならない。「平和を欲するなら、戦争に備えよ」という古代ローマの格言は、その本質を端的に表している。
前述のように、凄まじい勢いで増強される中国のミサイル脅威に対し、既存のミサイル防衛態勢による対処が困難なのは明らかだ。緒戦のミサイル攻撃によって、日本の航空基地の大半が無力化されてしまえば、基地機能を復旧させるまでの間、航空自衛隊や米軍の戦闘機の多くは飛び立つことすらできなくなってしまう。
よって、日本に必要な長距離打撃能力を、F-35やF-15などの航空機をベースとした空中発射型のスタンドオフ防衛能力(長距離巡航ミサイル)の延長線上で考えるのは適切ではない。
中国の戦略計算を変えうる「ゲーム・チェンジャー」となるのは、精密誘導が可能な中距離弾道ミサイルと極超音速滑空ミサイルだ。既に中国側が圧倒的な優位を持つ緒戦のミサイル攻撃を防ぐのではなく、滑走路、格納庫・掩体壕、弾薬庫、燃料貯蔵庫、レーダー施設、通信施設、指揮統制システムなどの固定目標を弾道ミサイルによって瞬時に「狙撃」する態勢をとり、ミサイル攻撃に続く爆撃機の発進や、戦闘機による航空優勢の確保を阻止することに注力するのである。』
『中国の台湾侵攻作戦は、宇宙・サイバー・電磁波攻撃による情報システム、早期警戒・ミサイル防空態勢の弱体化→ミサイル攻撃による防空態勢の物理的な破壊→海上・航空優勢の確保・機雷敷設などによる封鎖網の確立→着上陸作戦の実施、というように逐次的に設計されており、いずれかの段階で作戦が行き詰まると、作戦全体が頓挫するという問題を抱えている。つまり、最初のミサイル攻撃に成功したとしても、その後台湾や東シナ海周辺での海上・航空優勢の確保が難しいとなれば、そもそも中国側から攻撃を始める誘因自体が低下するはずである。
日米は核兵器も含めた戦略策定を
次期防衛大綱・中期防の策定にあたって、日本政府は陸上自衛隊に中距離弾道ミサイル部隊を編成し、今後5年以内に実戦配備することを真剣に検討すべきである。ミサイルの長射程化は、ペイロードの増加に伴ってより破壊力の大きな(通常)弾頭の搭載を可能にするだけでなく、配備地点の柔軟性を高めることとなる。
例えば、射程2000キロメートル級のMRBMであれば、ランチャーを九州にも配備した場合でも、中国沿岸から約1000キロメートル以内に位置する航空基地を13分以内に攻撃することが可能だ。一方、射程4000キロメートル級のIRBMであれば、ランチャーを北海道の演習場などに配備した場合でも、約20分で同様の目標を攻撃することができる。2000キロメートル遠方から発射することで生じる約7分の時間差は、固定目標を攻撃する上ではほとんど問題にならない。
同様の効果は、米陸軍が開発を進めている射程約2800キロメートルの極超音速滑空ミサイル=LRHW(Long-Range Hypersonic Weapon)によっても得ることができる。米国は23年末までにLRHWのプロトタイプの配備を開始する予定であるが、中国は日米のような広域のミッドコースミサイル防衛システムの配備が進んでいないことから、通常の弾道ミサイルであっても有効な打撃を与えることは可能である。したがって、中距離弾道ミサイルと極超音速滑空ミサイルであれば、開発・配備・量産までにかかる期間が短い方を優先して取得・配備すべきであろう。
これらの新たな打撃力が中国の台湾に対する誘惑を思いとどまらせ、地域の安定化に寄与するためには、米国がより高次――核レベル――での優越を維持し、中国が「核の影」をちらつかせてエスカレーション管理の主導権を奪おうとするのを阻止する努力も必要だ。だが、日米が配備する地上発射型の中距離ミサイルに、核弾頭の搭載を検討する必要はない(米国が開発している中距離ミサイルは全て通常弾頭用であり、そのことは国防長官を含む高官らによって何度も強調されている)。
死活的に重要な米国の核戦力は、危機における安定性を悪化させないためにも、非脆弱な環境で運用されるべきであり、その役割は今後もSLBMが担い続けることが最適だからだ。この点において、18年以降に導入された低出力核SLBMは、即時対応可能な事実上の戦域核戦力としてエスカレーション・ラダーの隙間を埋める重要な役割を果たしている。
先の日米2プラス2共同発表において、米国は「核を含むあらゆる種類の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントを改めて表明」した上で、両国は「米国の拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を確認」した。類似の文言は、過去の日米共同文書にも盛り込まれてはいるものの、核の役割低減を謳うバイデン政権からこのような言質をとったことには政治的な重要性がある。
2プラス2の冒頭発言において、ロイド・オースティン国防長官が「統合的抑止力」の重要性に言及したように、今日必要な抑止力のあり方を考えるにあたって、核とそれ以外の要素を切り分けて議論することはできなくなっている。今、日米に必要なのは、グレーゾーンでの抑止から核エスカレーションの管理までを一体のものとして捉えた、真に統合的な同盟の抑止戦略に他ならない。
この文脈において、日本が打撃力を持つことは、核を含む日米双方の能力をいつ、どのように、どの目標に対して使用するかに関する作戦計画立案とその実行プロセスに、日本がより主体的に関わるためにも必要不可欠と言えるだろう。』
日本人は中国を敬っていない! だが「いずれ崇拝するようになる」=中国
https://news.searchina.net/id/1704786?page=1

『近年、急速に台頭してきた中国だが、「中国は国力に見合うだけの崇拝を日本人から得られていない」として不満に思う中国人は多いのだという。だが、中国メディアの百家号は11日、「日本人は将来、中国を崇拝することになる」と主張する記事を掲載した。
記事はまず、中国はこれだけ発展し、国力も日本を大きく上回ったというのに「日本は中国を敬っていない」として不満を持っている中国人は多いと紹介した。日本は古代中国から多くを学んだのに、近代から現代においては対立することが多いため、「日本は恩を忘れた」と感じている中国人が多いと論じた。しかし記事は、「日本は必ず中国を崇拝するようになる」ので気に病むことはない、と主張した。
続けて、「日本は必ず中国を崇拝するようになる」と主張する理由として、日本人は「強者を崇拝する」傾向があるからだと説明し、いつの時代も日本は最強の国を崇拝してきたと振り返っている。唐の時代には唐を崇拝し、明の時代には明を崇拝し、近代に入ってからは英国や米国が崇拝の対象となったと主張した。
それで記事は、日本に崇拝されるためには「強くなれば良い」と論じた。現時点では米国が世界最強なので、政治・経済・文化・軍事の全てで台頭し、米国を超えて世界一になれば、日本は自然と中国を崇拝するようになると主張。その時には、日本は再び中国文化を受け入れ、全面的に学ぶようになるだろうと期待を示している。
中国のネット上では、「とにかく強くなればほかの国から尊敬される」との主張をよく見かける。しかし、このような考え方をしているうちは、日本を含め他国の尊敬を勝ち得ることはできないのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)』
バイデン米政権、中国の南シナ海「権益」違法 報告書
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1311Z0T10C22A1000000/
※ ちょっと、疲れてきた…。
※ 今日は、こんなところで…。

『【ワシントン=中村亮】米国務省は12日、南シナ海をめぐる中国の主張について報告書を公表した。「南シナ海の大半で違法な海洋権益を訴えている」と結論づけ、南シナ海のほぼ全域の「管轄権」を主張する中国を批判した。トランプ前政権の方針を踏襲し、南シナ海について中国に譲らない姿勢を鮮明にした。
国務省は報告書を踏まえた声明で、中国に「国連海洋法条約に反映されているような国際法へ海洋権益を合致させるよう改めて求める」と表明した。中国は南シナ海に記した「九段線」の範囲内で事実上の主権とみられる管轄権を主張しているが、この法的根拠を否定した2016年7月のオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決に従うべきだと主張した。
声明は「南シナ海における違法で威圧的な活動を停止すべきだ」とも求めた。
報告書は国際法などを踏まえたバイデン政権の見解を示し、トランプ前政権の立場を引き継いだ。ポンペオ前国務長官は20年7月の声明で「南シナ海の大半の地域にまたがる中国の海洋権益に関する主張は完全に違法だ」と批判していた。違法認定によって、南シナ海で活動する中国企業などに対する経済制裁を可能にした。
バイデン政権はこのタイミングで報告書を公表することで、南シナ海問題に関与していく姿勢を改めて示した。ブリンケン国務長官は21年12月、訪問先のインドネシアで中国が南シナ海の実効支配を進めて「年3兆ドル(約340兆円)以上に相当する物流を脅かしている」と非難。東南アジア各国と協力して中国に対抗する姿勢を示した。
ベトナム、フィリピンなど東南アジア諸国の一部は南シナ海の領有権を中国と争っており、バイデン政権にも関与の継続を求めていた。
オースティン国防長官は一時、22年初めに東南アジアを訪問する方針を示した。これは新型コロナウイルスの感染拡大で延期するが、東南アジアへの関与には引き続き意欲をみせている。
トランプ前大統領は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の国際会議の多くに欠席し、歴代の米政権では、この地域への関心の低さが際立っていた。』
中国、対米の輸出入額最大 相互依存強まる
焦点はハイテク・人権に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM13BGE0T10C22A1000000/


『【北京=川手伊織、ワシントン=鳳山太成】中国税関総署が14日発表した貿易統計によると、2021年の対米貿易総額は過去最大となった。輸出入ともに前年より3割増えた。中国の黒字拡大など通商摩擦は解消していないが、貿易での相互依存はむしろ強まっている。今後はハイテク分野や人権問題をめぐる対立が焦点となる。
対米貿易総額は前年比29%増の7556億ドル(約86兆円)で、3年ぶりに最大を更新した。20~21年はいずれも対米輸出の増加額が輸入の増加額を上回り、貿易黒字は拡大した。21年は25%増の3965億ドルと、過去最大を記録した。
輸出は米個人消費の回復でパソコンや玩具の出荷が好調だった。東南アジアなどで新型コロナウイルスの感染が再び広がり、サプライチェーン(供給網)が打撃を受けたことも供給元として中国への依存が強まった面もある。
輸入の拡大は資源高が一因だ。脱炭素に向けて、液化天然ガス(LNG)の調達を増やした。20年2月に発効した米中貿易協議の第1段階合意で、中国は米国から輸入するモノやサービスを20~21年に17年比で2000億ドル増やすと約束した。合意に基づき、工業製品の輸入も増えた。
それでも摩擦が消えたわけではない。中国が約束した輸入拡大の目標は未達に終わった公算が大きい。米ピーターソン国際経済研究所によると、21年11月までの中国のモノの対米輸入(購入拡大の対象品目ベース)は目標の6割どまりだ。
中国人民大学は21年12月に公表した研究リポートで「米国が仕掛けた貿易戦争は失敗に終わった」と指摘したが、中国側にも打撃はある。
米商務省が最先端半導体の禁輸措置を厳格化したため、華為技術(ファーウェイ)はスマートフォンの生産が落ち込んだ。21年12月期の売上高は前の期より3割減った。米国もハイテク制裁を緩めるそぶりは見せない。
「(22年は)第1段階合意に基づいて中国が義務を果たしているかどうかに焦点をあてる」。米通商代表部(USTR)のタイ代表は1日のビデオ演説でこう述べた。知的財産権の侵害停止や金融市場の開放を引き続き求めていく考えだ。
USTRは21年10月に中国との貿易交渉を再開したが、新たな協定を結んだり制裁関税を見直したりするかなど今後の方針を決めていない。中国に圧力を強めるため、同盟国とどこまで足並みがそろうかを踏まえて判断する構えだ。
米欧は人権問題での対中批判で歩調を合わせる。ハイテク分野などの経済安全保障や人権といった新たな焦点が、米中両国の通商政策に大きな影響を与えそうだ。
【関連記事】
・中国の貿易黒字最大 21年輸出3割増、米欧向け伸びる
・米中対立、日本企業どう対応? ファストリ柳井氏に聞く 』
[FT]「欧州は中国に立ち向かうべきだ」 リトアニア外相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB144AO0U2A110C2000000/

『バルト3国のひとつ、リトアニアのランズベルギス外相は、中国がリトアニアや中国で活動する外国企業に「違法な」圧力をかけていると告発した。欧州は中国に立ち向かうべきで、さもなければ国際貿易体制が打撃を受けるリスクがあると指摘した。
リトアニアのランズベルギス外相(2021年11月、ビリニュスでの共同通信のインタビュー)=共同
フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューに応じたランズベルギス氏は、中国がリトアニアと台湾の関係に絡む摩擦を広げ、リトアニア製の部品を使用する欧州企業にも嫌がらせをするようになったと話した。14日まで2日間の欧州連合(EU)の外相理事会で、こうした現状をほかの加盟国の各国外相に訴えると語った。
さらに「欧州はいま、極めて明確な回答を示す時を迎えた。(中国に対し、EUという)単一市場に示す態度ではないと言わなければならない。これは、ルールに基づく国際通商体制が直面する試練だ。欧州は立ち向かわなければならない」と述べた。
リトアニアの台湾代表機関の名称に中国が反発
リトアニア政府が、台湾の中心都市の名称「台北」を引用する、よくあるごまかしでなく、「台湾」と明示して台湾の代表機関を開設することを認めた。その後、リトアニアは地政学上の論争に巻き込まれた。
このリトアニアの判断に中国は猛反発した。駐リトアニア大使を召還し、北京のリトアニア大使館を格下げした。リトアニア製品の輸入を差し止め、ドイツの自動車タイヤメーカー大手、コンチネンタルをはじめとする欧州企業にリトアニア製の部品を使わないよう求めた。
中国は世界各国の政府に対し、台湾の主権を認めるような対応を控えるよう要請している。台湾の公式な名称だとされる「中華民国」や地理上の呼び名である台湾の使用に反対している。台湾独立の策動につながると考えているからだ。
ランズベルギス氏をはじめとするリトアニア政府の高官は、中国の方針に従ってきたものの、同国が台湾と商業や文化の面では自由に関係を築けると強調した。
そのうえで「リトアニアは間違ったことを何もしていない。違法なこともしていない。国際社会における義務にも反していない。現実はまさに逆だ。(中国によって)リトアニアの企業になされていること、大使館の名称が一方的に変更されたこと、足元で欧州企業に対して実行されていること。これらはすべて、間違いなく違法行為だ」と訴えた。
台湾はリトアニア関連の基金を2つ設立
台湾はリトアニアとの共同プロジェクトにあてる10億ドル(約1140億円)の信用基金と2億ドルの投資基金をリトアニアに設けることで、同国が中国政府の反発で被るダメージを緩和しようと考えている。ほかに中国の港で足止めされている120個の貨物コンテナを買い上げる。
リトアニアのナウセーダ大統領は最近、リトアニアにおける台湾の代表機関の名称を「台北」ではなく「台湾」としたのは「間違い」だったと明言した。これでリトアニアの立場は曖昧になった。ランズベルギス氏は、ナウセーダ氏とリトアニア政府がともに「全体の状況を同じように」見渡しており、見解を「一致させるプロセス」を進めていると指摘した。だが、詳細には触れなかった。
ランズベルギス氏は、リトアニアのほかの国の企業に対して中国が「前代未聞の」嫌がらせを仕掛ける現状をみれば、欧州だけでなくほかの様々な地域も「(中国からの)圧力に抵抗する措置を急いで用意する必要がある」と主張した。
「これはEUだけでなく、すべての西側諸国にとっての試練だ。西側社会は第2次世界大戦後、ルールに基づく通商体制を構築する責任を感じた。これがうまくいった。いま、その秩序を維持できるのか、まさに試されているのだ」と続けた。
東部国境でロシアからは軍事的な圧力
リトアニアが圧力を受けている相手は中国だけではない。国境付近ではベラルーシやロシアの脅威も感じている。ランズベルギス氏はロシア政府を「地政学上のかく乱要因だ」と呼び、ウクライナとの国境地帯におけるロシアの行動で生じた波紋がリトアニアや近隣諸国に及んでいるとの認識を示した。
ランズベルギス氏によると、リトアニア政府は(ウクライナ問題を巡り)ロシアが(米欧の)譲歩によって利益を得る事態を懸念している。そして、ロシアが部隊をウクライナから、リトアニアと接するベラルーシに移す可能性も憂慮しているという。
「極めて深刻な回答が(ロシアの)プーチン大統領に提示されなければならない」とランズベルギス氏は言明した。(リトアニアの安全保障を巡る)事態がエスカレートした場合、北大西洋条約機構(NATO)がバルト3国の防衛を固めると確信していると力を込めた。
By Richard Milne
(2022年1月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
英フィナンシャル・タイムズ(FT)と日経新聞の記者が、アジアのテクノロジー業界の「いま」を読み解くニュースレター「#techAsia」の日本語版をお届けします。配信は原則、毎週金曜。登録はこちら。
https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?me=B009&n_cid=BREFT053 』
ミャンマー民主派、仮想通貨で抵抗
「テザー」の国内流通後押し、通貨発行権握る国軍に挑戦状
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0337S0T00C22A1000000/


『クーデターで全権を掌握したミャンマー国軍に抵抗する民主派の「挙国一致政府(NUG)」は2021年12月、暗号資産(仮想通貨)の一種である「テザー(USDT)」の国内流通を公式に認めると発表した。「国内通貨の唯一の発行者および管理者」である中央銀行の通貨管理に挑戦する動きだ。国軍は経済をコントロールしようと躍起だが、市民側はフィンテックを活用して抵抗を続けている。
NUGは、国軍が無効とした20年の総選挙で当選した民主派の議員らが4月に発足させた。国軍を非難し、一部地域では武力によって抵抗を続けている。ミャンマーの実権を国軍から取り戻す力はないが、市民の支持率は高い。
テザーは米ドルと価値が連動する「ステーブルコイン」と呼ばれる仮想通貨で、ブロックチェーン(分散型台帳)を使い、ネット上で所有権を移転する。国軍が中銀や民間銀行を統制下におくなか、市民にとっては当局の監視や妨害を心配せずに決済や送金ができる利点がある。
NUGがテザーの流通を後押しするのは、通貨発行権を握る国軍の力をそぐことにつながる可能性があるためだ。ヤンゴン在住の経営コンサルタントは「仮に国民の大半が日常的に暗号資産を使うようになれば、中銀がいくら紙幣を印刷しても単なる紙切れになる」と指摘する。
仮想通貨を活用した抵抗運動には前例がある。昨年8月には匿名グループによる「MYD(ミャンマードル)」というプロジェクトが話題になった。「中央集権的な通貨制度を使わずに全ての市民の財産的自由を確保する」ことが目標で、独自に仮想通貨を発行して55%を市民に分配し、残る45%をNUGや慈善団体に割り当てて活動の資金源にしてもらう構想だった。
だが、MYDは12月に活動を停止し、ウェブサイトを閉鎖した。現地のIT(情報技術)専門家は「取引市場を構築できず、構想に賛同した市民もMYDを入手することができなかった」と分析する。
一方、テザーは既存の仮想通貨で、世界各国で決済手段として定着している。ミャンマー国内での取引は公には認められていないが、個人間であれば発覚する可能性は低い。NUGは11月から活動資金を賄うために利息ゼロの債券の発行を始め、テザーでの決済を認めた。この専門家は「認知が広がれば、市民間でも流通するようになる可能性がある」と話す。
さらにミャンマーの通貨、チャットの信認低下がテザー普及の追い風となりそうだ。1月に1ドル=1300チャット前後だったチャット相場は、国軍のクーデター後に急落。中銀の参照レートは現在1800チャット前後だが、市中両替商のレートは1900チャットまで下落している。資産を持つ市民の間では手持ちのチャットをドルに替える動きが加速する。
そもそもチャットは非常に使いにくい通貨となっている。クーデター直後、公務員に加え、銀行員の間でも職場放棄して国軍に抗議する「不服従運動」が活発になった。この結果、銀行の窓口が閉鎖され、人々は預金を引き出すためにATMに殺到した。各銀行は5月ごろに営業を再開したものの、現在も預金流出を恐れ、引き出し額に上限を設けている。ATMもほとんど止まったままだ。
国軍は2月以降、弾圧によって市民の街頭デモを抑え込んだ。銃撃や拷問によって1400人超の犠牲者が出たとされる。だが、市民や民主派はスマートフォンで撮影した弾圧の動画をSNS(交流サイト)で拡散させ、抵抗運動を続ける。社会の変化に合わせて専制体制に対抗する手段は進化しており、暗号資産が手段の一つになる可能性は否定できない。
(ヤンゴン=新田裕一)』
米国「東アジア版NATO」を加速化…「クアッド・プラス」への圧力、韓国の選択は
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/37718.html
※ ちょっと激しく雑用に見舞われているんで、今日はこんなところで…。

『米日豪印の「4カ国安保対話」が水面上に浮上
米国の狙いをうかがわせたビーガン発言
「インド太平洋地域にはNATOがない
4カ国が先に始めるのが重要」
中国を包囲する集団安保体制を構築する意思
米日同盟、グローバル同盟の主軸に
オーストラリアやインドと様々な軍事演習
「クアッド」結成のための基礎固め中
「クアッド・プラス」への圧力、韓国の選択は
来年、米次期政権で本格化する見込み
米中の間で韓国のバランス外交が試験台に
中途半端に巻き込まれた場合は、中国の反発は必至 』
『香港問題と南シナ海などをめぐり鋭く対立している米中が、9日にテレビ電話会議で開かれた東アジア首脳会議(EAS)の外相会議で初めて向き合い、熾烈な舌戦を繰り広げた。米中の対立が激しさを増すにつれ、中国牽制に向けた米国のインド太平洋戦略が、米国、日本、オーストラリア、インドによる「4カ国安全保障対話」(クアッド、QUAD)などで具体化されており、両国の間で“外交的バランス”を守ろうとする韓国政府の賢明な対応が求められる。
カン・ギョンファ外交長官は9日、テレビ電話会議で行われたASEANプラス3(韓中日)、韓-ASEAN、東アジア首脳会議の外相会議に順に出席した。同日の会議の目玉は、米国のマイク・ポンペオ国務長官と中国の王毅外交部長が共に出席した東アジア首脳会議の外相会議だった。ポンペオ長官は昨年は同会議に出席しなかったが、今年は2日に出席する意向を表明した。彼は同日の記者会見で「我々は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や北朝鮮、南シナ海、香港などをはじめ、トランプ大統領が米中関係で互恵性を回復するため、いかなる努力をしてきたかについても言及するつもりだ」と述べた。今回の会議を“中国牽制”と共に、理念を同じくする同盟国・パートナー国間の“結束の誇示”の舞台に活用する考えを明らかにしたのだ。
これと関連し、スティーブン・ビーガン米国務副長官は先月31日、米印戦略的パートナーフォーラムで、インド太平洋地域には「明らかに北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)のような多国間構造がない」としたうえで、(クアッドと呼ばれる)4カ国が先に始めることも非常に重要であろう」と述べた。この発言が注目を集めたのは、米国が2010年代に入って推進した対中国牽制の動きが「リバランス戦略」や「インド太平洋戦略」など抽象的概念を超え、対中包囲のための集団安保体制「クアッド」構想などに具体化しているからだ。
中国を牽制するために「リバランス戦略」を掲げたオバマ政権は、2015年4月に米日防衛協力指針の改正を通じて米日同盟をグローバル同盟に強化した。トランプ政権はその後、日本を中心パートナーとし、2017年11月に「自由で開かれたインド太平洋」を両国の共同戦略にすると共に、米国防総省は2019年6月に「インド太平洋戦略報告書」を発表し、韓国や日本、オーストラリアなどインド太平洋地域の同盟国・パートナー国と力を合わせて中国の挑戦をはねのけ、地域の覇権を維持する意思を明らかにした。米国はこうした決意を誇示するかのように、同時期にアジア太平洋軍司令部の名前を「インド太平洋軍司令部」に変えた。
以後、米日は太平洋~インド洋でオーストラリアやインドなどと多様な形態の合同軍事演習を行い、クアッドの結成に向けて基礎を固めてきた。彼らは昨年9月にはニューヨークで初めて4カ国外相会議を開き、「『自由で開かれたインド太平洋構想』の実現に向けて協力する」ことで合意した。
韓国に関しては具体的な動きはないが、米国がインド太平洋の繁栄と発展の「核心軸」(linchpin)と呼ぶ韓米同盟の戦略的重要性を考えると、「クワッド」を拡大した「クワッド・プラス」には何らかの形で参加を要請するものとみられる。9日、横須賀に空母を置く米海軍第7艦隊は、「統合された多国間領域の作戦遂行のため」米駆逐艦がハワイからグアムまで、韓国・日本・オーストラリア海軍とともに航海すると明らかにした。
これまで韓国政府は、米国が首脳会談などで反中国色の強いインド太平洋戦略に触れるたびに、ASEAN諸国との経済協力を深める独自の戦略「新南方政策」を打ち出してきた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、昨年6月30日に訪韓したトランプ大統領との首脳会談後、「開放性・包容性・透明性という域内協力の原則に基づき、韓国の新南方政策と米国のインド太平洋政策間の調和と協力を推進することにした」と述べており、チョ・セヨン前次官も7月9日のビーガン副長官との外交次官韓米戦略対話で、このような基調を維持した。
クアッド構想の具体化に向けた動きは、来年1月末に米次期政府が発足した後、本格化するものとみられる。ビーガン副長官も11月の米大統領選挙の日程を考慮したように、「トランプ政権2期か次期大統領の第1期に一度試してみるといいと思う」という意見を明らかにした。現在トランプ大統領もバイデン民主党大統領選候補もインド太平洋戦略推進には意見が一致しており、誰が当選しても「クアッド」構想が進められる可能性が高い。
もちろん、米中の間でバランスを維持しようとする韓国やインド、ASEANなどの抵抗と中国の強い反発で、計画が順調に実行されるかどうかは不透明だ。韓国が安易な判断を下した場合、「中国と韓国の戦略的協力パートナー関係を新たな段階に引き上げよう」(先月22日、楊潔チ外交担当政治局員)と提案した中国が強く反発するものと予想される。
キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/961552.html
韓国語原文入力:
訳H.J
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「味方にも損害」 習近平寵臣、対米消耗戦に覚悟の諫言
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK07AQ90X00C22A1000000/




『中国への帰任後、半年近く姿をくらましていた前駐米大使の崔天凱が突如、公の場に現れた。その目的は、米国の戦略的で徹底した抑え込み策に中国が十分、対応できていない危うい現状に警鐘を鳴らすことだった。とりわけ目を引くのは、強硬一辺倒の「戦狼外交」は米側の挑発に踊らされている面もあるという示唆だ。「冷静さを欠く対応が味方にもたらす損害」にまで触れた勇気ある発言は今、中国の政界、外交関係者の間で大きな話題になっている。
「決して、私たち自身の不注意、怠惰、無能によって味方に損害を与えてはならない」
「中国の対米政策で重要なカギは『対等な対抗措置による反撃』ではない。中国人の利益になる反撃を考えることだ」
「原則として、準備のない戦い、現状把握なしのむちゃな戦い、腹立ちまぎれの戦い、消耗戦をしてはいけない」
ちりばめられたストレートな批判
崔天凱の真意は、中国内の関連記事の見出しで広く流布された3つの文に凝縮されている。上意下達の中国の外交官としては驚くほどストレートな表現だ。もちろん、表向き、国家主席の習近平(シー・ジンピン)の名を随所に織り込み、顔を立てている。人種差別的な意識から中国台頭を徹底的に抑え込もうとする米国への非難が基調である。
中国の崔天凱・前駐米大使(2018年)=ロイター
だが発言内容をじっくり分析すれば、最高指導者におもねるほかの官僚らとの違いは明らかだ。ジェットコースターに乗ったような状況でも米側の挑発に乗らない冷静な対応の重要性を説きながら、中国外交の問題点を鋭くえぐっている。
しかもこれは2021年12月20日、中国外務省傘下の政策提言機関などが主催した重要な討論会での公式発言だ。会場が外国要人の接待にも使われる北京の釣魚台迎賓館だったことも格式の高さを裏付ける。
中国内で崔天凱発言への興味深い見方があった。「科学的知見によって(習近平政権がこだわる)『ゼロコロナ政策』から『コロナとの共存』への早期転換を提案し、袋だたきにあった張文宏教授の語り口に少し似ている」というのだ。中国の感染症対策の権威として尊敬を集めた張文宏は、半年ほど前、忖度(そんたく)なしに持論を公表していた。
現在の対米強硬路線を推し進めてきたのは、外交トップである共産党政治局委員の楊潔篪(ヤン・ジエチー)、そして国務委員兼外相の王毅(ワン・イー)らだ。とはいえ、全ての重要政策を決めているのは習近平である。
年頭所感を述べる中国の習近平国家主席(中国国営中央テレビより)
つまり、崔天凱は対米外交を担った当事者ならではの自省に、習近平路線への批判をにじませた。「自身の無能によって味方に損害を与えるな」というのは、まさに君主をいさめる忠告を意味する諫言(かんげん)でもある。
形だけの「対等な対抗措置」に苦言
もっと具体的なのは、形だけにこだわった「対等な対抗措置」への強い疑義だ。これはバイデン米政権による様々な対中制裁に対し、メンツを最優先して全く同じ形の対米制裁を打ち出す中国外交の行動様式を指す。
これが実際のところ中国国民の利益になっていないと言い切っている。そして、重要なのはアップル、インテルなどのハイテク企業を米国に引き戻そうとする米政府のワナに陥らず、米企業が中国に残って発展する環境を整えることだと訴えた。
中国外交トップの楊潔篪氏㊨と王毅国務委員兼外相(2021年3月18日、米アラスカ州)=ロイター
崔天凱は新中国(中華人民共和国)の歴史上、最も長い8年間も駐米大使を務めた米国通で、駐日大使も経験している。オバマ、トランプ、バイデンという米大統領3代の対中政策の変化を現場で観察してきた。バイデン政権になった後の21年3月、米中外交トップらが米アラスカ州で激突した協議にも同席した。現地での記者会見では「米国との妥協はあり得ない」と、勇ましい言を吐いていた。
注目したいのは、崔天凱は習近平が最も信頼する寵臣(ちょうしん)だったことだ。11年8月、当時、米副大統領だったバイデンが中国を訪れた。北京では国家副主席だった習と会談して3日間滞在。その後、四川省に足を延ばす計6日間のリラックスした旅だった。習はバイデンのカウンターパートとして長旅に同行した。
その際、事実上の通訳として付き添ったのが、外務次官だった崔天凱だ。経緯を知る関係者は「崔天凱への信頼はこの長旅で強いものになり、(習政権時代の)異例の長期間、ワシントンで対米外交を担う端緒となった」と証言する。
握手する習近平氏㊨と当時、米副大統領だったバイデン氏(2013年12月、北京)=ロイター
しかし、習に信頼されていた崔天凱が21年6月、ワシントンを離れる際、米中関係は危機に陥っていた。米側の主要人物に離任あいさつの面会さえ拒まれる厳しさだったという。米中関係は根本的に変化し、同年11月の米中首脳オンライン協議後も膠着している。
習氏3期目のカギ握る経済と対米関係の連動
この局面で第一線から引退している習近平の寵臣が諫言に踏み切ったのは意味がある。とりわけ「準備のない戦い、むちゃな戦い、腹立ちまぎれの戦い、消耗戦をするな」という言葉は意味深長だ。
ここには米中が激突する文字通りの戦争、実戦を避けるべきだという意味もある。しかし、本意はいまの対米外交戦略への苦言だ。周到な準備もなく、感情に流された「消耗戦」に陥っているのではないか、という示唆である。
目下の消耗戦とは何なのか。そこにはバイデン政権が英国、日本、オーストラリア、インドなどの同盟国や中国の周辺国との関係強化で築いた中国包囲網への強い警戒感がある。かつて米国、英国など4カ国による「ABCD包囲網」に苦しんだ太平洋戦争前の日本を想起すればわかりやすい。
中国包囲網は技術覇権争い、サプライチェーン(供給網)の分断と絡み、中長期では中国経済の足かせになりかねない。外交と経済は密接にリンクしている。「時と勢いは我々の側にある」と訴えてきた習近平はなお強気だが、バイデン政権の対中戦略が着実に効いてきているのも事実だ。崔天凱の覚悟の諫言はその証左でもある。
これで中国の方針が変わるかは微妙だ。とはいえ、節度さえ守れば、そうした発言が許され、広く流布される雰囲気が出てきたのは、ちょっとした変化である。これは急減速が大問題になっている習近平式の経済政策に関する議論についてもいえる。裏を返せば、中国の外交、経済が置かれた現状はそれほど厳しいのだ。
22年秋の共産党大会でトップとして異例の3期目入りを目指す習近平にとって、最大の課題は困難な対米関係と減速する中国の国内経済だ。これらのコントロールにてこずれば、闘いのヤマ場に向けた政局運営が一段と難しくなる。(敬称略)
中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞 』