カテゴリー: 中国の戦略
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米中首脳電話会談――勝敗は「ペロシ下院議長の訪台」次第
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220730-00307944『7月28日夜、習近平・バイデンの電話会談があったが、米中の勝敗と今後の世界のゆくえはペロシ下院議長が訪台するか否かで決まる。中国があれだけ抗議した中で行われたからだ。
◆ペロシ下院議長の訪台に対する中国側の尋常ではない抗議
ペロシ米下院議長が台湾を訪問する予定があると最初に報じたのはイギリスのフィナンシャル・タイムズで、7月18日のことだった。すると翌19日の定例記者会見で中国外交部の趙立堅報道官は直ちに反応し、「断固として反対する」と激しい顔で叫んだだけでなく、その後も複数回にわたって抗議を表明し、しまいには「可能な限りの無慈悲な懲罰を与えると思え」という趣旨の言葉を使うようになり、抗議表明がエスカレートしていった。
抗議をしたのは外交部だけではない。
中国国防部の報道官までが<もしペロシが訪台すれば、中国の軍隊は絶対に座視しないと思え>と宣告し、「レッドラインを超えるな」という勢いだった。
国防部までが抗議表明したのは、相当に危険領域に入っているという事態を表している。
一方、7月20日、バイデン大統領は記者会見でペロシの訪台に関して聞かれ、「軍(国防総省)があまり賛成していない」という趣旨のことをムニャムニャと言葉を濁しながら言っている。
電話会談が始まる前の7月27日のBloombergは、ペロシのアジア訪問には、日本、インドネシア、シンガポールへの訪問が含まれる予定だが、台湾訪問の可能性は、公式の旅程から外れたままであると関係筋が述べていると書いている。ペロシ自身は「安全上の懸念を理由に」旅行スケジュールについて公表することを避けているという。
多くのメディアは、ペロシが訪台すると、これは1997年に共和党のギングリッチ下院議長が訪台して以来のこことなると報道しているが、中国の元政府高官を取材したところ、ギングリッチの場合は、きちんと北京を訪問して、「挨拶」をした上で台湾を訪問しているので、「こんなことは初めてだ!1997年の情況とはわけが違う!」と立腹している。
調べてみると、たしかにギングリッチの場合は1997年3月29日に江沢民国家主席に会い、同じ日に李鵬首相にも会っていて、その上で3月30日に東京に向かい、その後、4月2日に台北に行って李登輝総統に会っている。
したがって、中国政府の元高官が言う通り「わけが違う」のかもしれない。
今般は、このような中で行われた米中首脳電話会談なので、一つの可能性として考えられるのは、水面下で「ペロシ訪台をやめた」とアメリカ側が譲歩したからこそ習近平はバイデンと電話会談することを承諾したのかもしれないことが考えられる。しかし、もうひとつには、ペロシは下院議長としてバイデンの指令下にはない独自の決定権を持っているので、あるいは29日にワシントンを出発したと言われているペロシのアジア歴訪は、「台湾」を含んでいる可能性も、完全には否定できない。
となると、米中首脳電話会談の勝敗は、「ペロシ下院議長の訪台」如何(いかん)にかかっているということになる。
つまり、会談前に「ペロシの訪台を取り下げなければバイデンとは会談しない」と習近平が突っぱねたのであれば、この時点で条件闘争において習近平の勝ちだし、ここまで抗議したにも拘(かか)わらず、結局ペロシが訪台するとすれば、習近平のメンツは丸つぶれになるということだ。
◆中国側が発表した米中首脳電話会談の内容
7月29日の00:05に中国外交部が発表した電話会談の内容によれば、米中首脳は双方の懸念事項について率直なコミュニケーションと交流を行ったとのこと。
習近平は、「世界の混乱に直面して、国際社会と国民は、中国とアメリカが世界の平和と安全を維持し、世界の発展と繁栄を促進する上で主導的な役割を果たすことを期待している」と述べた上で、以下のようなことを言っていると報道している。
●戦略的競争という視点から米中関係を定義し、中国を最大のライバルとみなすことは誤算を生み、中国の発展を誤読することにつながる。双方は、あらゆるレベルのコミュニケーションを維持し、既存のコミュニケーションチャネルをうまく利用して、協力をこそ促進するべきである。
●現在の世界経済情勢は困難を極めており、米中はグローバル産業のサプライチェーンの安定性を維持させ、世界のエネルギーと食糧安全保障の確保など、主要な問題についてコミュニケーションを維持すべきだ。ルールに反して意図的に連鎖を断ち切れば、アメリカ経済にも災いをもたらし、世界経済をより脆弱にさせるだろう。
●特定の地域の熱くなった問題点を煽るのではなく、その温度を下げるために努力すべきで、コロナと経済衰退のリスクを下げるべく国連を中核とする国際システム及び国際法に基づく国際秩序を維持するよう支援すべきである。
●台湾問題に関する中国の原則的立場を重視すべきだ。台湾海峡の両側が「一つの中国」に属するという事実と現状は明確であり、「一つの中国」原則は中米関係の政治的基盤だ。 我々は、「台湾独立」という分裂と、外部勢力の干渉に断固として反対し、いかなる形態の「台湾独立」勢力にもいかなる余地を与えない。台湾問題に関する中国政府と中国人民の立場は一貫しており、中国の主権と領土の一体性を断固として守ることは、14億人以上の中国人の確固たる意志である。もし中国の民意に逆らって火遊びをすれば、大やけどを負うことになるだろう。
これに対してバイデンは、以下のように述べたという。
〇米中協力は、両国の国民だけでなく、すべての人々にも利益をもたらす。アメリカは中国との円滑な対話を維持し、相互理解を促進し、誤解を回避し、利益を共有する分野で協力し、相違を適切に管理したいと考えている。
○私は、アメリカの「一つの中国」政策が変わっていないこと、また、アメリカが台湾の「独立」を支持していないことを改めて述べたいと思う。
その上で両首脳はウクライナ危機などについても意見交換を行い、習近平は中国の原則的立場を改めて表明した。両首脳は、この電話は率直で深く、今後もコミュニケーションと協力を継続するために、連絡を取り合うことに同意したと、中国外交部は報道している。
◆アメリカ側が発表した米中首脳電話会談の内容
アメリカ時間7月28日、ホワイトハウスは米中首脳会談に関する内容を以下のように発表した。その概略を示す。
○バイデン大統領は本日、中華人民共和国の習近平国家主席と会談した。この呼びかけは、米中間のコミュニケーションを維持し深め、責任を持って私たちの違いを管理し、私たちの利益が一致する点では協力するというバイデン政権の努力の一環である。
○この呼びかけは、3月18日の2人の指導者の会談と、米中両国高官の間の一連の会話に続くものだ。両首脳は二国間関係やその他の地域的および世界的な問題にとって重要なさまざまな問題について話し合い、特に気候変動と健康の安全に取り組むために、今日の会話をフォローアップし続けるようチームに命じた。
○台湾について、バイデン大統領は、「アメリカの政策は変更されておらず、アメリカは、現状を変更させる一方的な動きや、台湾海峡の平和と安定を損なうことに強く反対する」と強調した。
◆ペロシの動きに関して
7月29日に行われた中国外交部定例記者会見において、記者が「米中首脳会談中にペロシ下院議長訪台に関する話題は出ましたか?」と質問したのに対して、趙立堅報道官は「皆さんご存じのように、このたびの電話会談はペロシ下院議長が訪台を計画しているという背景の下で行われたのだ」と回答し、質問をはぐらかした。
アメリカのペンシルバニア州にいる友人からメールが来て、ペロシはもう82を過ぎていて年齢的に次はないので、自分の後継者に関してバイデンに圧力をかけるため、嫌中行動を強行しようと、一種の交換条件を提示しているという要素があると知らせてきた。
次期政権がバイデンになるとは限らないし、バイデンの支持率が低迷しているので民主党が勝つとは限らないのではないかと聞いたところ、「ペロシは自分の夫がNVidiaの株を購入することに関してインサイダー取引があったのではないかという批判を浴びている(すなわち、アメリカでのCHIPS法案が成立する直前に株を購入してぼろ儲けをしている)ので、その批判をかわすためにバイデンや民主党に対して利益交換をしているとも言われている」と教えてくれた。
加えて、ペロシが呼び掛けた訪台代表団に関しては、少なからぬ議員が「都合が悪いので」などと言い訳をして断っているという情報も飛び交っている。
あるいは、バイデンとしては、習近平には「台湾独立を支持しない」と言いながら、ペロシ訪台に関しては下院議長としての意思決定なので、自分にはどうしようもないとして逃げる可能性もなくはない。
そうは言っても現実問題として、ウクライナ戦争を仕掛けたバイデンとしては、ウクライナに何としても勝ってもらわないと困るが、アメリカのLNG(液化天然ガス)産業関係者と武器製造業者だけはぼろ儲けしていても、物価高騰などによりアメリカ経済は疲弊しているので、ここに台湾衝突が加われば対処しきれず、中間選挙も大統領選も失敗する可能性が高くなるので、ペロシの訪台はバイデン政権にメリットをもたらすとは思えないという側面は否めない。
あと数日で趨勢は決まるだろう。
この視点でゆくえを見守っていきたい。
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』
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台湾と協力「安倍氏後」探る 議員外交の動き相次ぐ
安全保障軸にパイプ構築
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA25A4V0V20C22A7000000/『日本の国会議員が台湾を訪問する動きが活発になってきた。台湾は安全保障上の重みが増す半面、政府間の外交関係がないため、議員外交がパイプの役割を持つ。日台協力を重視した安倍晋三元首相が亡くなった影響も踏まえ、新たな軸を探る。
自民党の石破茂元幹事長ら超党派の「日本の安全保障を考える議員の会」のメンバーが27日から台湾を訪れた。同党の浜田靖一元防衛相、長島昭久衆院議員、日本維新の会の清水貴之参院議員も加わる。
台湾の外交部(外務省)は同日に「訪問を心から歓迎する」との声明を発表した。
蔡英文(ツァイ・インウェン)総統や頼清徳副総統との会談のほか、国防部(国防省)も訪れる。軍関係者と台湾海峡での中国軍の動きや台湾の防衛体制など巡り意見を交わす見通しだ。総統府直轄の国家安全会議(NSC)の幹部とも会う。
石破氏は「安全保障を目的とした議員の台湾訪問は珍しい。実地で知識を得たい」と話す。議員の会に所属する国民民主党の前原誠司元外相は「安保に関しては与野党関係ない。現実的な安保政策はどの立場であっても必須だ」と語る。
自民党の鈴木馨祐衆院議員も25日から訪問した。現地の会合に出席し、日本側の台湾を巡る動きなどを説明した。5月には自民党青年局の議員団が台湾を訪ねた。
相次ぐ日本の議員訪問に台湾側も蔡総統をはじめ政府高官が積極的に対応している。
超党派の議員連盟「日華議員懇談会」の古屋圭司会長は27日の取材に「8月に事務局長の木原稔衆院議員と台湾を訪問し、政府関係者と会談する」と明かした。日華懇はかねて国交のない台湾との関係構築を進めてきた組織だ。
21年夏には自民党と台湾の与党、民主進歩党(民進党)の外交・防衛政策の責任者が協議した。日本側は外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の「与党版」と位置づける。
台湾は沖縄県与那国島からおよそ110キロと近い。仮に中国が台湾に侵攻すれば日本も無縁ではいられない。日本にとっても台湾有事を念頭に置いたパイプづくりや情報収集は不可欠だ。
米バイデン政権は非公式の代表団を台湾に頻繁に送る。最近は国防部幹部とも面会する例がある。日本の議員の動きも米国と歩調をあわせる一環になる。
ペロシ米下院議長は8月に台湾を訪問する計画を立てる。現職の米下院議長の訪台が実現すれば1997年以来となる。
日本政府は1972年の日中共同声明を経て中国を「中国唯一の合法政府」と認定した。台湾との関係は「非政府間の実務関係として維持している」との立場をとる。政府高官らの公的な会談はなく、国会議員らが要人との交流を担ってきた。
近年の台湾との関係構築を中心的に進めたのが安倍氏だった。首相退任後に顧問を務めた日華懇を軸に活動した。生前には参院選後に台湾へ訪問する意欲も示していた。
日本と米国、台湾の議員の連帯も探った。2021年夏には日米台の議員有志による「戦略対話」を実現した。21年12月に台湾で開かれたシンポジウムにオンライン参加し「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と訴えた。
蔡総統とも親交があり、今年3月にはオンラインでウクライナ情勢や日台関係について話しあった。安倍氏の葬儀には頼副総統が私人の立場で来日して参列した。
台湾との関係は歴史的に自民党の清和政策研究会(現安倍派)に所属した議員との関わりが深い。2000年に台湾の李登輝元総統の来日問題が浮上した際は当時の森喜朗首相の働きかけで01年に実現した。
安倍氏の祖父、岸信介氏は1957年に首相に就任すると初の海外訪問先に東南アジアと台湾を選んだ。
高市早苗政調会長は24日、日台関係を巡り講演し「安倍氏の遺志を同志議員と引き継いで台湾と一層強固な関係を構築したい」と語った。自民党には安倍氏の死去の影響を危惧する声もある。
長島氏は「安倍氏が象徴的に引っ張る姿でなくなるかもしれないが、より裾野を広げるため各議員が強い絆を台湾と築くのが大事だ」と話す。
【関連記事】台湾との関係「安保協力が重要」 日華懇・古屋圭司会長
Twitterで最新情報を発信 https://twitter.com/nikkeiseijibu/?n_cid=MCH998 』
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第1列島線とは 米中が対峙する軍事ライン きょうのことば
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB276740X20C22A7000000/
『▼第1列島線 中国が勢力圏を確保するため、海洋上に独自に設定した軍事的防衛ラインの一つ。九州沖から沖縄、台湾、フィリピンを結び南シナ海に至る。中国が台湾有事を想定し、米軍の侵入を防ぐ自国防衛の最低ラインとしている。
米国は第1列島線を安全保障上の脅威と捉え、対抗軸の構築を進めている。米インド太平洋軍は第1列島線に沿って、ミサイル網などを整備することを視野に入れる。台湾海峡の安定は地域の安全と平和に深くかかわることから、日本も射程1000キロメートル超の巡航ミサイルを配備することを目指す。
中国がさらに外洋に設定したのが「第2列島線」だ。小笠原諸島や米領グアムを経由してパプアニューギニアに至る防衛ラインで、海洋安全保障を巡り、米国との対立が激しくなっている。
【関連記事】
・米陸軍、アジアに新部隊配置検討 サイバーや防空強化 ・米軍、対中国へ分散戦略加速 補給体制と連動カギ ・台湾併合が招く悪夢 米中秩序、逆転の引き金に 』
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台湾・蔡総統、石破氏らと会談 安保巡り意見交換
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM283A10Y2A720C2000000/『【台北=龍元秀明】台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は28日、総統府で自民党の石破茂元幹事長ら超党派の「日本の安全保障を考える議員の会」の国会議員団と会談した。中国が統一圧力を強めるなか、安全保障面の連携について意見交換した。
議員団の訪問は、日台協力を重視した安倍晋三元首相が亡くなった影響を踏まえ、新たな協力軸を探る狙いがある。蔡氏は安倍氏が示していた「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」との見方に触れ、「地域の安全保障に重要な意義がある」と指摘した。
中国の軍事圧力を念頭に「台湾は(沖縄からフィリピンを結ぶ)第1列島線の防衛線上にある。民主主義国のパートナーと協力し合い、地域の平和と安定に取り組んでいく」とも強調した。
石破氏は「有事にならないために、我々は備えておかねばならない」と応じた。抑止力を高めるため、有事の際に想定される事態などについて日台で具体的な協議を進めたいとの認識を示した。
議員団は石破氏のほか、自民党の浜田靖一元防衛相、長島昭久衆院議員、日本維新の会の清水貴之参院議員で構成され、27~30日の日程で訪台している。国防部(国防省)の訪問や、2020年に死去した李登輝・元総統の墓参りも予定する。』
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中国、工業・情報化相を調査 現職閣僚が失脚か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM289V40Y2A720C2000000/『【北京=羽田野主】中国で汚職を摘発する共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会は28日、肖亜慶・工業情報化相を規律に違反した疑いで調べていると発表した。現職閣僚の調査は異例だ。党の幹部人事を決める5年に1度の党大会が秋に迫り、習近平(シー・ジンピン)指導部が反腐敗運動を加速させている可能性がある。
工業情報化省は産業育成を担う官庁で、肖氏は人工知能(AI)産業の振興や産業サプライチェーン(供給網)の構築、高速通信規格「5G」の基地局整備などに向けて旗を振っていた。規律違反の内容などは明かしていない。
習氏は党が27日まで開いた重要会議で「根気よく綱紀粛正を続ける」と表明。党トップとして異例の3期目入りに意欲をみせたうえで、習氏続投への異論を封じ込める姿勢をみせていた。』
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クロアチアで巨大橋が開通、中国企業が建設
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR26AEB0W2A720C2000000/
『【ウィーン=細川倫太郎】クロアチア南部で中国企業が建設を請け負った巨大な橋が開通した。ボスニア・ヘルツェゴビナを通過せずに、北部や中部から観光都市ドブロブニクなどに行くことができるようになる。
橋は本土とペリエシャツ半島を結び、全長は約2400メートル。地元メディアによると、総工費は5億2600万ユーロ(約730億円)で、欧州連合(EU)が3億5700万ユーロを拠出した。中国国有の道路建設大手、中国路橋工程(CRBC)などのコンソーシアム(共同事業体)が建設した。
クロアチアのプレンコビッチ首相は26日の開通式で「クロアチアにとって歴史的な日で、誇りのプロジェクトだ」と強調した。
クロアチアは南部が飛び地で、北部や中部から向かうにはボスニアを通らなければならない。ボスニアを経由しなくてもいいようにクロアチアは橋の建設に乗り出そうとしたが、ボスニアは貨物船の出入りが妨げられるなどの懸念から難色を示した。最初の計画が発表されてから、2018年に着工するまで20年以上を要した。
中国は広域経済圏構想「一帯一路」のもと、インフラ整備などで欧州で影響力の拡大をめざすが、近年、中・東欧では中国と距離を置く国が増えている。中国の人権問題への懸念や、中国からの投資がさほど進んでいないためだ。バルト3国の一つ、リトアニアは21年、中国と中・東欧の経済協力の枠組み「17+1」から離脱を宣言した。
一方、クロアチアは中国に接近している。プレンコビッチ氏は5月、中国メディアのインタビューで「中国との政治、経済の関係の深化を楽しみにしている」と語った。クロアチアは23年1月から通貨ユーロを導入することが決まり、中国からの投資と合わせ経済発展に弾みをつけたい狙いがある。
バルカン半島の小国モンテネグロでは、中国が融資し大規模な高速道路の建設が進んでいる。ただ、工事は大幅に遅れ、コストが増大し、モンテネグロは21年4月にEUに債務の肩代わりを求めた。今回のクロアチアの橋はEUが主な資金の出し手のため、債務危機に陥るようなことはないとみられている。』
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アジア最大REITも香港離れ リンクリート、投資分散急ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM01ARL0R00C22A6000000/


『【香港=木原雄士】アジア最大の不動産投資信託(REIT)、香港の領展房地産投資信託基金(リンクリート)が投資先の分散を急ぐ。中国本土やオーストラリアで資産取得を重ねており、ビジネスハブとして香港の魅力が低下するなか、投資先の香港比率を足元の75%から2025年に60%台に下げる。同社の戦略転換によって、香港以外で優良物件の獲得をめぐる競争が激しくなりそうだ。
中国本土や豪州にシフト
リンクは5月、中国の浙江省嘉興市と江蘇省常熟市にある3つの物流施設の取得を決めた。投資額は9億4700万元(約190億円)。21年10月にも上海周辺と並ぶ中国の物流ハブである広東省の2つの物流施設に投資したばかりだ。
同社の王国龍・最高経営責任者(CEO)は「電子商取引(EC)で拡大する物流産業の力強い成長を取り込める」と説明する。この1年余りで上海や広州、豪シドニーの商業施設やオフィスに立て続けに投資した。
さらに米ブルームバーグ通信は最近、リンクがシンガポールの商業施設への投資を検討していると報じた。投資見込み額は約3900億円と、実現すれば同社にとって最大の海外案件になる。
同社は日本経済新聞の取材に「豪州や英国、シンガポール、日本などで投資機会を探っている」と回答した。円安で割安感が強まる日本の物件取得も視野に入れる。
香港市場6割占める「巨人」
リンクは時価総額が170億ドル(約2兆3000億円)に上るアジア最大の上場REIT。1社で香港のREIT市場の6割強を占める「巨人」だ。これまで香港の老朽化した商業施設を改良して賃料を上げたり、テナントを入れ替えたりする手法を強みにしていた。
リンクリートのニコラス・アレン会長は資産の多様化を進める方針を示す(6月の決算会見)初めて香港外の投資に踏み切ったのは15年。北京の商業施設だった。22年3月末時点の運用資産の内訳は香港75%、中国本土17%、豪州や英国が8%。25年には香港を60~70%に下げ、中国本土を20~25%、その他を10~15%にする計画だ。
投資分散に動く背景には、香港に特化した成長モデルに陰りが見えてきた事情がある。
国安法と「ゼロコロナ」で地盤沈下
05年の上場以来、16年連続で増配を達成したリンクだが、当初10%を超えていた分配金の伸び率は低下傾向が鮮明だ。上場以来ほぼ右肩上がりで一時は約10倍になった投資口価格(株価)も19年の大規模デモをきっかけに低迷が続く。
リンクは既存施設の改装や店舗入れ替えが一巡し、伸びしろが限られる香港の物件を売却し、海外資産に入れ替える戦略を採る。光大証券国際の伍礼賢ストラテジストは「新型コロナウイルスの感染拡大で商業施設が打撃を受けても、オフィスでカバーするなど、資産の多様化によって一極集中リスクを回避できる」と指摘する。
香港の不動産市場を取り巻く環境は厳しい。20年の香港国家安全維持法(国安法)施行後に子育て世帯の海外移住が増え、中国式の「ゼロコロナ政策」で金融やIT(情報技術)を中心に外資系企業の香港離れが始まった。
不動産コンサルタントのコリアーズ・インターナショナルによると、22年上期の香港の不動産投資額は289億香港ドル(約5000億円)と、前年同期比15%減った。直近ピークの18年上期のわずか2割程度。不動産サービス大手CBREのまとめでは、上位「グレードA」オフィスの6月の空室率は11.9%と、03年以来最悪の水準だ。
企業イメージもリスクに
リンクが保有する小売物件の収益性を示す期待利回り(キャップレート)にも影響が出ており、香港の3.1~4.5%に対して、中国本土は4.25~4.75%。オフィスも香港の3%に対して豪州は4.4%、英国は5.19%と相対的に魅力が大きい。
さらにリンク固有の域外シフトの事情として「リンクは香港で染みついた悪い企業イメージを変えたいのだろう」(不動産関係者)という見方もある。同社は香港社会で「地産覇権(不動産支配)」の代表格として知られ、零細企業に冷たいとの印象を持たれているためだ。
地元マーケットの運営を監視する非政府組織(NGO)によると、ある地域でリンクが運営するマーケットの食品価格は他に比べて平均23%高かった。高い賃料が消費者の負担増につながっていると批判する。
別のNGOの領匯監察も19日、商業施設の転売禁止やREIT規制の強化を求める提言を発表した。習近平(シー・ジンピン)指導部は香港の民生改善を重要課題にあげており、リンクへの政治的な批判が強まるリスクもゼロではない。
中国本土も競争激しく
もっとも、中国本土では優良物件の取得をめぐる競争が激しくなっている。リンクで最高財務責任者(CFO)を務めた経験がある翟迪強・順豊房地産投資信託基金(SFリート)CEOは「ECが急速に浸透し、ここ3、4年は物流関連の不動産への関心が急速に高まっている」と話す。
リンクリートが取得した中国の物流施設(江蘇省常熟市)
SFリートは6月に主要スポンサーの中国の宅配物流大手、順豊控股(SFホールディング)から中国内陸部・湖南省長沙の大型物流施設を4億9320万元で購入した。翟氏は「多くのファンドや投資家が物流関連に参入し、優良物件の価格が上がっている」と強調する。
三井住友DSアセットマネジメントの秋山悦朗リートグループヘッドはリンクの戦略転換について「成長期から成熟期に入り、投資先の分散によって安定志向に傾いている」と指摘。ただ「分散はどのREITもやっているので、中国本土で成長機会をつかめるかが重要だ」と話す。
【関連記事】
・香港の人口2年連続減 21年末740万人、域外に流出も ・香港、ゼロコロナで人材流出 シンガポールにシフトも ・香港、ハブ機能低下の兆し 外資の「地域本部」流出 』
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中国人民解放軍に募る焦燥 共産党大会前に「手柄争い」
迫る中国共産党大会(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM018JA0R00C22A6000000/『7月8日、中国人民解放軍機が台湾海峡の停戦ライン「中間線」を越えて台湾側に侵入した。台湾軍の地対空ミサイルシステムが異常を察知し、偵察機がただちに現場へ向かった。
中国軍が台湾への圧力を強めている。2022年版防衛白書によると、中国の台湾も射程に入れる中距離・準中距離弾道ミサイルの保有数は21年に278基と前年より24基増えた。弾頭部分を極超音速滑空体にした新型ミサイルも含まれる。
米中央情報局(CIA)長官のバーンズは5月、ワシントン市内で開かれた英紙フィナンシャル・タイムズ主催の会合に出席し、ウクライナ侵攻でのロシアの苦戦を目の当たりにした総書記の習近平(シー・ジンピン)が「動揺している印象を受ける」と指摘した。習指導部の台湾統一計画が遠のく可能性にも言及した。
米国はハイテク兵器を売却し、台湾の「軍事要塞化」を進める。要人の訪問も増やし米台の結束を深めようとしている。
5月、1人の中国軍人を糾弾する文書が中国共産党内で出回った。名指しされたのは階級最高位の上将で、国防大学政治委員を務めた劉亜洲だ。
「政治的投降の思考の軌跡」と題する文書は、劉がかつて米国を「唯一無二の超大国」と評価し、台湾の武力統一に反対したことを責め立てた。「必ず批判を加え、粛清すべきだ」と結んだ。著者は退役軍人だ。
習と劉はかつて親しい間柄で知られた。なのに非難文書が出回るのはなぜか。内情に詳しい関係者は「台湾問題の解決が遠のきかねない状況に、軍内で不満が募っている」と話す。
軍のいらだちを示す動きはあちこちで起きている。5月に南シナ海上空でオーストラリア軍の哨戒機の前を中国軍の「殲16」が横切り飛行を妨害した。6月には同海上で米軍の輸送機に中国の「スホイ30」が異常接近した。朝鮮半島の近くでカナダ軍の哨戒機が中国軍機から威嚇される事態も起きた。
安全保障を担う日本政府関係者は「このタイミングで軍事的緊張を高めることは必ずしも最高指導部の意向と一致しない。党と軍の人事を決める党大会が迫り、軍が手柄争いをしているのではないか」と分析する。
習政権の3期目をにらんだ思惑が交錯するなか、党幹部や長老らが集まる夏の北戴河会議が始まる。(敬称略)
中国総局の桃井裕理、川手伊織、多部田俊輔、羽田野主が担当しました。
【ルポ迫真「迫る中国共産党大会」記事一覧】
・習近平氏「刃を内にむけよ」 3期目へ異分子をけん制 ・中国「対米休戦を急げ」 景気浮揚へ制裁関税撤廃狙う ・ジャック・マー氏、つかの間の安息 ネット統制に恭順
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ひとこと解説
ロシアの対ウクライナ軍事作戦の長期化を見て、中国の習近平国家主席は憂慮しているだろう。武器を含むロシアへの積極的支援は見送っているようであり、自国に火の粉が飛んでくるのを回避したい様子がうかがえる。一方で、「一つの中国」原則は絶対に譲れない一線。米国が台湾に武器を売却するなど肩入れしている状況は座視し得ず、厳しいコメントが中国から出ている。そうした中、記事によれば、中国人民解放軍の一部は指導部の舵取りに不満を抱いているようであり、独断専行的な行動に出ているという。以前に北朝鮮の軍部隊についても同様の話が出ていたが、現場の跳ね上がり的な行動は、不測の事態につながりかねないリスク要因である。
2022年7月29日 7:42 (2022年7月29日 7:43更新) 』 -
中国国策半導体ファンド、トップが身柄拘束
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM293GI0Z20C22A7000000/『【北京=多部田俊輔】中国の国策半導体ファンド、国家集成電路産業投資基金(国家大基金)の経営トップ、丁文武総裁が身柄を拘束されたことが29日までに明らかになった。中国メディアの財新が伝えた。中国政府が補助金を投じる中で「半導体バブル」が起きており、資金の流用などの不正が相次ぎ摘発されている。
国家大基金は2014年に設立。第1期は約1400億元(約2兆8000億円)を半導体企業の育成に投じ、19年からは約2000億元規模の第2期の投資も行っている。丁氏は工業情報化省出身。国家大基金の設立を受け、同基金で陣頭指揮してきた。
中国メディアによると、丁氏は16日の半導体業界の会議に参加したのを最後に姿を現しておらず、当局の調査を受けているとみられる。国家大基金を巡っては、ファンドの資金を管理する企業の前トップも、7月中旬に身柄を拘束され調査を受けている。
国家大基金の投資先には、中国の半導体大手である紫光集団の傘下企業も含まれる。財新によると、紫光集団の前トップ、趙偉国氏も7月上旬に身柄を拘束された。同氏の経営する企業と紫光集団の傘下企業の間で不適切な利益移転があった疑いが浮上している。』





































