カテゴリー: 世界情勢
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軍事演習に台湾招待促す 米、国防権限法が成立
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN27CKS0X21C21A2000000/
『【ワシントン=共同】バイデン米大統領は27日、2022会計年度(21年10月~22年9月)の国防予算の大枠を決める国防権限法案に署名し、同法は成立した。22年の米海軍主催の「環太平洋合同演習(リムパック)」に台湾を招待するよう政権に促し、中国への対抗姿勢を鮮明にした。総額は約7780億ドル(約89兆円)規模。
台湾が参加すれば米国との断交後初めて。米台が軍事面の結び付きを強めれば、台湾統一を目指す中国が激しく反発するのは必至で、バイデン氏が実際に台湾を招待するかどうか注目される。』
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北南米で異常気象、カナダで氷点下51度 ブラジルで洪水
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN27CNE0X21C21A2000000/
『【ニューヨーク=野村優子】北南米で相次ぎ異常気象が確認されている。カナダから米北西部にかけて寒波が襲来し、カナダ北部で今季の最低気温となるマイナス51度を記録した。ブラジル北東部では大雨による洪水が発生し、少なくとも18人が死亡した。
カナダの気象情報サービス、ザ・ウェザー・ネットワークによると、北極からの寒気の影響によりカナダ北部ノースウェスト準州のラビット・ケトルで26日、マイナス51度を記録した。寒波は1週間にわたって続く見込みで、現地当局は極寒警報を発令して住民に警戒を呼び掛けている。
寒波の影響は、米北西部にも広がっている。オレゴン州は23日、気温低下や大雪の影響を踏まえて緊急事態宣言を発令した。アラスカ州やカリフォルニア州では大雪などの影響で大規模な停電が発生した。
一方、南米ブラジルでは大雨による洪水被害が広がっている。北東部バイア州の当局によると、11月から続いた大雨の影響で同州の少なくとも18人が死亡し、280人以上が負傷した。25日には2つのダムが決壊し、さらなる被害を引き起こしている。』
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中国、インドネシアに資源開発の中止要求 南シナ海
領有権主張、尖閣式で揺さぶり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM151KG0V11C21A2000000/


『【ジャカルタ=地曳航也、北京=羽田野主】インドネシアが南シナ海の排他的経済水域(EEZ)で進める資源開発について、同海域の主権を主張する中国が中止を求めていることがわかった。インドネシアは中国との間に南シナ海の領有権の問題は存在しないとの立場だが、中国が揺さぶりをかけている。
インドネシアは南シナ海の南にある自国領ナトゥナ諸島の周辺のEEZにある「トゥナ・ブロック」と呼ばれる海域で、7月から海底の石油と天然ガスの状況を調査する掘削作業を進めている。
インドネシア政府関係者は日本経済新聞の取材に、中国政府から「インドネシアの掘削作業が中国の主権を侵す」として複数回、抗議と掘削中止要求を受けたと明らかにした。作業現場周辺で中国海警局とみられる船の目撃情報も確認したという。
ただ、インドネシア政府は中国による抗議と中止要求を公表していない。中国との間に南シナ海に関する領有権の争いはないとの立場で、抗議を公にして反応すれば、領有権問題の存在を国際社会に認めることにつながる可能性があるためだ。
同国海上保安機構のアアン長官は22日、当面の掘削作業を11月下旬に完了したと明らかにした。
中国は南シナ海のほぼすべての沿岸国・地域と領有権を争っている。これまでにフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾が領有権を主張している。
ナトゥナ諸島周辺のインドネシアのEEZをめぐっては、南シナ海で主権が及ぶ範囲として中国が独自に主張する「九段線」と一部が重複する。2019年末ごろから周辺海域で中国船の動きが活発化し、インドネシアとの対立が目立ち始めた。
20年5月下旬、インドネシアは九段線や中国が域内で主張する歴史的権利を否定する書簡を国連に送った。中国も南シナ海での主権を訴えつつ、交渉による解決を求める書簡を国連に送り返した。インドネシアは交渉を拒否した。
中国が一方的に領有権の問題を訴えて力を背景に実効支配をうかがう構図は日本の沖縄県尖閣諸島をめぐる日中の対立と似る。海上保安庁によると21年1月から12月26日までで、尖閣諸島周辺の領海に中国の海警局の船が計40日間、侵入した。
日本政府は尖閣諸島は固有の領土で領有権の問題は存在しないとの立場だが、中国側が領海侵入するたびに抗議をせざるを得ない。中国には日本に反応させることで、日中に領有権の問題があると国際社会に印象づけようとする狙いがある。
「習氏は自ら戦略と戦術の配置をして、さらには自ら参与した」。中国国営の新華社は11月8日、中国海警局の尖閣諸島周辺の領海侵入を巡る指示や、南シナ海の仲裁裁判所の判決などへの対処方針について習近平(シー・ジンピン)国家主席が深く関与していると明かしている。
インドネシアは中国がナトゥナ諸島周辺の実効支配の機会を探ろうとしているとみて、周辺の防衛・警備体制の強化を急いでいる。国軍は同諸島にある基地の滑走路を拡張し、戦闘機の配備を増やすほか、潜水艦の基地も建設する。地元漁民による中国船の早期通報システムも整備している。
米国との安全保障協力も進めており、周辺の海域では共同で沿岸警備の訓練施設を建設している。8月には離島防衛を念頭に、国内の3カ所で両国の陸軍が過去最大規模の軍事演習を実施した。
ナトゥナ諸島をめぐる対立も影響し、インドネシアの一部国民の対中感情は悪化している。ジャカルタ特別州警察によると、12月8日、首都ジャカルタにある在インドネシア中国大使館前で、市民20~30人が抗議集会を開いた。
ただ、インドネシアにとって中国は最大の貿易相手国だ。経済面の依存も深まっており、政府は偶発的な衝突は避けたいのが本音だ。新華社によると、11月30日に中国とインドネシアの国防相はオンラインで協議し、プラボウォ国防相は中国軍と信頼醸成に向け人的交流を拡大したい考えを示したという。』
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欧州に原発回帰の動き 脱炭素・エネ安保で、日本は停滞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR180F40Y1A211C2000000/


『欧州で再び原子力発電所を活用する動きが活発になっている。フランスや英国が主導する。電力の安定供給を保ちつつ気候変動対策を進める。欧州連合(EU)域外からの天然資源に依存しない、エネルギー安全保障の観点からも重視している。東日本大震災から10年を迎えた日本では原発に関する真正面の議論を避け、原発の位置づけは定まらないままだ。
EUのフォンデアライエン委員長は10月に「我々には安定的なエネルギー源である原子力が必要だ」と述べた。EUは経済活動が環境に配慮しているか判断する基準「EUタクソノミー」で原発を「グリーン電源」に位置づけるか、加盟国間で激しい議論が続く。
マクロン仏大統領は11月、国内で原発の建設を再開すると表明し、英国も大型炉の建設を進める。両国は次世代の小型炉の開発にも力を入れる。オランダは12月半ば、総額50億ユーロ(約6500億円)を投じる、原発2基の新設計画をまとめた。
原発回帰の最大の理由は気候変動対策だ。EUは2030年の排出削減目標を1990年比40%減から55%減に積み増した。原発は稼働中の二酸化炭素(CO2)の排出がほとんどない。風力や太陽光と異なり、天候に左右されない。EUは19年時点で総発電量の26%を原発が占める。
11年の日本の原発事故を受け、EUは原発の安全規制を強化してきた。17年には原発を安全に運用するには50年までに最大7700億ユーロの投資が必要との文書を作成。認可基準の擦り合わせや、原子炉の設計標準化などの対応を求めている。
ドイツは他の加盟国と一線を画し、メルケル前政権が22年末までの「脱原発」を掲げる。新政権もこの方針を堅持するものの、ロシアへの天然ガス依存やガス価格高騰で脱原発方針を延期するよう求める声もある。
日本は原発活用に向けた議論が停滞している。エネルギー基本計画では、30年度に電源に占める原発比率は20~22%を目標とする。ただ、達成には再稼働済みの10基に加えて再稼働をめざす17基を動かす必要がある。日本は長期の戦略を欠く。
9月の自民党総裁選では次世代原発の小型炉などの新増設を進めるべきだとの意見も出たが、政策の変更も含めて活用の是非の議論すら封じる流れは変わっていない。
日本では事故を受けて国民の反発も根強く、政府はより丁寧な説明が求められる。事故処理や放射性廃棄物の最終処分場も決まっていない。
日本は再生可能エネルギーの導入でも周回遅れだ。政治が責任を持って議論を主導せずに先送りを続ければ、脱炭素の取り組みは遅れるばかりだ。(ブリュッセル=竹内康雄、気候変動エディター 塙和也)
【関連記事】
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・欧州の天然ガス調達、危ういロシア依存 最高値更新多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
竹内純子のアバター 竹内純子 国際環境経済研究所 理事・主席研究員 コメントメニュー
ひとこと解説
メディアが報じてきた「世界は脱原発」はあまりに単純化した論調でした。
西洋諸国において原子力の新設が停滞したのは、自由化した場合、同じ発電事業なら、より楽というかリスクの少ない再エネあるいは(気候変動問題がこんなに盛り上がる前であれば)石炭の開発の方が資金がつきやすかったから。
震災前国産化率99%と言われていた日本の原子力技術はこの10年で弱体化してしまいましたが、中国は2010年以降39基が送電開始、ロシア11、韓国6、インド4(原産協会)。
再エネポテンシャルに乏しいわが国では少なくとも、脱炭素と脱原発の二兎は追えません。安全性効率性を高めてうまく使う方法を考える必要があります。
2021年12月28日 10:00
上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
コメントメニュー別の視点
フランスや英国で原子力発電を推進する動きが出やすい背景には、これらの国は地震が少ないという事情もある。
日本のお隣の韓国も半島部分は地震が少ない国であり、原発積極論が出やすい。
これに対し、日本の場合、地震が多い国である上に、東日本大震災という惨禍を経験しており、国民感情として原発には一定の抵抗感があるとも言えるだろう。
気候変動対応として原発をどこまで活用するかを議論する際は、他国で積極活用の動きがあるという点にとどまらず、多面的な思考を経て国民の合意形成を図る必要がある。
2021年12月28日 7:38
福井健策のアバター
福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
コメントメニュー分析・考察
上野さんのご意見に尽きるでしょう。日本では、「欧米ではこうなっている」というだけで、あたかも「そうすべき」理由になるような倒錯がよく起きます。
が、他国の事情は参考情報として活用すべきであって、それ自体は本来何らの行動決定の理由にもなりませんね。
なお、欧州に学ぶのであれば、2030年までに32.5%ものエネルギー消費の削減目標を打ち出し、「エネルギー消費の効率化(energy efficiency)こそ、最大のエネルギー源であり競争力強化策」と明言したEUの「エネルギー効率化指令」など、もっと注目されても良いと思います。
2021年12月28日 7:56 (2021年12月28日 8:54更新)
鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー分析・考察
欧州は一方で原発事故のリスクに対する根強い反原発の動きがあるのに対し、気候変動やエネルギー安全保障の観点から積極的に原発を推進する勢力もあり、完全に二分している。
しかし、近年、気候変動への関心が高まったことと、ロシアへの天然ガスの依存への懸念が高まったことで、原発推進勢力が優勢になりつつある。
これが最終的に積極的な原発活用という流れになるかどうかはこれから次第だが、少なくとも、原発を選択肢として議論が進んでいることは間違いない。
2021年12月28日 2:56 』
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新たな日米共同作戦計画と最前線の楽園
https://kotobukibune.at.webry.info/202112/article_27.html※ 今日は、こんなところで…。


『1.日米外務・防衛閣僚オンライン会合
来月7日にアメリカで開催予定だった外務・防衛閣僚会合「2+2」がオンライン形式での開催に変更されることが明らかになりました。
日米「2+2」については、今年3月に東京都内で開催されたのに続いて、年内にもう一度、実施する方向で検討が進められていたのですけれども、日米両国の政治日程から年内の開催が難しくなったため、林外相と岸防衛相が年明けにアメリカを訪問し、来月7日に行う方向で調整が進められていました。
これが突然のオンライン会談となった訳です。
政府関係者によれば、「2+2」がオンライン会談になったことを受け、岸防衛相の訪米は見送られる方向となりました。ただ、林外相は来月4日からニューヨークの国連本部で開かれる核拡散防止条約(NPT再検討会議)への出席にむけ、ぎりぎりまで調整を進めると報じられています。
岸田総理は来月17日の通常国会までに訪米し、バイデン大統領との会談を目指していると言われていますけれども、複数の政府関係者によると「オミクロン株の影響で相当厳しい」との見通しを示しているほか、アメリカ側からも「バイデン大統領も高齢のため避けた方がいいのではないか」との意向が伝えられているようです。
そもそも、首脳会談前の露払いにあたる「2+2」がオンラインになったのですから、この時点で対面での日米首脳会談はほぼ無くなったとみてよいのではないかと思います。
やはり、北京冬季五輪に対して明確に「外交ボイコット」と公言できなかったことなど、バイデン政権側から、岸田政権に一定の不信感が持たれているからではないかと思います。
2.新たな日米共同作戦計画
それでも「2+2」そのものがキャンセルにならなかったのは、勿論、行う必要があるからです。
複数の日本政府関係者によると、自衛隊とアメリカ軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画の原案を策定したことが分かったと報じられています。
これは、台湾有事の緊迫度が高まった初動段階で、九州から台湾まで続く南西諸島にアメリカが臨時基地を設置して海兵隊を投入するというものです。
臨時基地には高機動の砲兵ロケットシステムを配備し、自衛隊は弾薬や燃料などの補給を担当。後方支援も行うとしています。
この計画を年明けの「2+2」で正式な計画策定に向けた作業開始に合意する見通しだと報じられています。
台湾有事が迫っているとされる中、流石に日本にとっての安全保障に直結する事項は先延ばしには出来ません。
3.遠征前進基地作戦
今年4月、アメリカ海兵隊のデイヴィッド・バーガー司令官は、『フォース・デザイン2030:年次改訂版(Force Design 2030 Annual Update)』を発表しました。
これは1年前に公表された改編構想をアップデートしたもので、海兵隊の将来像をより具体化したものです。
この中で、アメリカ海兵隊が従来の強襲揚陸作戦による戦力投射から脱却し、対艦ミサイルを含む分散型拠点を一時的に敵対勢力の影響下にある海域内の島嶼や沿岸部に前進配備することによって、海軍のシーコントロールを図るという作戦構想の転換を図っています。
この分散型拠点を前進配備するという作戦は「遠征前進基地作戦(EABO: Expeditionary Advanced Base Operation)」と呼ばれ、それを実現する部隊として「海兵沿岸連隊(MLR: Marine Littoral Regiment)」を配置するとしています。
従来の強襲揚陸作戦が海上・航空優勢を獲得してから行われるのに対し、遠征前進基地作戦(EABO)は、海上・航空優勢獲得のために作戦する艦隊をサポートするもので、拮抗する敵対勢力が存在する中での作戦行動となります。
そのため、海兵隊が一時的に小規模かつ分散した拠点を前進させることが主眼となり、その拠点は、対艦火力、局地防空、航空燃料・弾薬の再補給に必要な能力を有し、かつ、迅速に展開できる機動性に富んだものとなります。
そして、海兵沿岸連隊(MLR: Marine Littoral Regiment)は遠征前進基地作戦(EABO)を実現するために特化された部隊です。
現存する3個海兵連隊を改編してハワイ、沖縄及びグアムに配置するものとみられています。
それぞれの海兵沿岸連隊は歩兵大隊及び長射程対艦ミサイル中隊を基幹とする沿岸戦闘団(Littoral Combat Team: LCT)を中心とし、防空、対空監視警戒、航空燃料・弾薬再補給を任務とする沿岸防空大隊(Littoral Anti-Air Battalion)及び兵站大隊(Combat Logistics Battalion)から編成されます。
報道によれば、2022年までに仮編成を完結、実際の部隊活動などを通じて検証を進めつつ、続く2個連隊を改編していく計画とされています。
一方、陸自も近年、南西地域の防衛態勢整備に注力。2016年に与那国島に警戒監視のための部隊を新編したのに続き、奄美大島と宮古島に新たな部隊を配置、現在も石垣島での部隊新編の準備を進めています。
特に奄美大島と宮古島に配置された部隊は、それぞれ中隊規模の歩兵部隊、地対艦ミサイル部隊及び地対空ミサイル部隊で、海兵隊ほどの機動力はないものの、その戦闘力と機能は海兵沿岸連隊と同じ質を持っています。
更に、これら部隊を事前に島嶼部に配置することで、有事における後続部隊の来援を容易にする効果もあります。
このように陸自の動きもアメリカ軍の遠征前進基地作戦(EABO)構想とリンクしているのではないかと思います。
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4.高機動ロケット砲システム「HIMARS」
今回の計画では、アメリカ海兵隊が設置する臨時基地には高機動砲兵ロケットシステムを配備するとしていますけれども、これは長射程の阻止砲撃用としてアメリカ陸軍が開発した装輪式自走多連装ロケット砲(High Mobility Artillery Rocket System:HIMARS)のことと思われます。
HIMARSは、1980年代初頭にロッキードマーチン社を中心に、米・英・仏・独・伊5カ国で共同開発された地対地ロケット弾システムである多連装ロケットシステム(MLRS:Multiple Launch Rocket System)の小型版として主にアメリカ軍の緊急展開部隊である空挺部隊と海兵隊、迅速な輸送で集中的な運用が可能な軽歩兵師団に配備されています。
HIMARSは、タイヤで移動するいわゆる装輪式車両で、車体後部にはロケット弾の発射装置が設けられています。この発射装置には、射程数十kmのGPS誘導ロケット弾「GMLRS」6発や、数百kmもの射程を有する「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)」1発を搭載することができます。
HIMARSの最大の特徴はその展開能力の高さで、自力で長距離を走破できることはもちろん、車体重量が軽いためにC-130をはじめとする各種輸送機によって空輸することもできます。
この空輸によって、例えば島嶼部など陸路では到達できないような場所にも速やかに展開できるという特徴も持っています。
更にHIMARSの展開は陸地だけではありません。船の上でも運用できます。
2017年10月にアメリカのカリフォルニア州沖で実施されたアメリカ海軍と海兵隊の合同演習である「ドーンブリッツ」では、輸送艦「アンカレッジ」の飛行甲板上から海兵隊のHIMARSがロケット弾を発射し、約70km先の地上標的に命中させています。
ですから、海自護衛艦「ひゅうが」や「いずも」の格納庫の片隅にでもHIMARSを載せておけば、飛行甲板を使わないときに、HIMARSを出してやれば簡易ミサイル艦に化けることも可能になるという訳です。
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5.最前線の楽園
陸自は与那国島に警戒監視のための部隊を新編したのに続き、奄美大島と宮古島に新たな部隊を配置、現在、石垣島での部隊新編の準備を進めていると先述しましたけれども、防衛省は2022年度末に陸上自衛隊のミサイル部隊を配備する予定です。
新たに常駐するのは、地対艦・地対空ミサイルの運用部隊と、武力攻撃や大規模災害への初動対応を担う警備部隊の計500~600人規模の部隊で、駐屯地は石垣市の市街地から離れた島内のゴルフ場跡地などに作り、隊舎や弾薬庫、訓練場なども設けるとしています。
この計画について、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が「The Island Paradise Near the Front Line of Tensions Over Taiwan」という記事を掲載しています。
記事では、「少し前まで日本は、領土問題や第二次世界大戦の遺産、貿易問題などで緊張が高まることがあっても、中国を主に経済的な機会としてとらえていた。北京が国家安全保障に深刻な脅威をもたらすという考えは、主に右派の先入観に基づくものだった」という考え方が変化したと述べています。
そして、この変化について、神奈川大学で日本の外交・安全保障政策を研究するコリー・ウォレス助教授による「政治的見解の変化は、日本が長年にわたり文化的、経済的、安全保障上の利益を共有してきた台湾の問題で特に顕著だ」との指摘を紹介しています。
6.時代遅れの琉球新報
12月25日、今回の台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画について、琉球新報は「台湾有事日米共同作戦 『軍の暴走』は認められない」という社説を掲載しました。
その内容は次のとおり。
・台湾有事が起きれば米軍が台湾軍を支援するため、米軍基地が集中する沖縄が巻き込まれる。 ・自衛隊が後方支援などを行えば、必然的に自衛隊基地も攻撃対象となる。 ・軍隊は住民を守らない。 ・他国の戦争への介入は明らかな憲法違反だ。 ・自国を戦場にする愚を犯してはならない。 ・日本政府は、有事を起こさせない真剣な外交に全力を傾注すべきだ。
いつものあっち系のロジックです。琉球新報が嫌がることは中国が嫌がっていることでしょうから、この計画は非常に効果があるとみてよいのではないかと思います。
けれども、先述したニューヨークタイムズ紙の記事と比べると、日本の中国に対する見方が変化しているとしたニューヨークタイムズ紙に対し、琉球新報は、戦争に巻き込まれる論とか、本土は沖縄なんてどうでもいいと思っている論で、視野の広さの違いが浮き彫りになっています。
世論の変化は選挙となって現れます。先の衆院選でも自民は前回2017年の衆院選から1議席増やし、「オール沖縄」との勢力図が2対2と同数になっています。
今後、琉球新報のような見方はどんどん時代遅れとなり、それが表にも見えてくるようになるのではないかと思いますね。』
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習近平氏が毛沢東になる日は来るのか
編集委員 中沢克二 ~「日本の論点2022」から
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD141HT0U1A211C2000000/



『中国共産党という存在が、いまほど世界中で意識された時代はない。それは、党総書記で国家主席の習近平が北京・天安門の楼上に立った2021年7月1日、結党100年の大イベントで一つのピークを迎えた。しかし、22年は、さらに大きな注目を集めるだろう。5年に1度の共産党大会が、中国ばかりではなく今後の世界の行方をも左右するからである。
世界第2位の経済大国は近いうちに経済規模で米国に追いつき、軍事・安全保障分野を含めた世界の勢力図を何らかのかたちで塗り替えるに違いない、とみられている。もしそうなら、われわれ日本を含めた各国が受け入れてきた「第2次世界大戦後の世界秩序」の再編が本格的に始まることを意味する。
中国の改革・開放と急成長が長期にわたって成り立った基礎は、まさに戦後世界秩序にある。もしこれが変質して崩れるなら、中国の改革・開放も実質的な意味で崩壊してしまう。「中華民族の偉大な復興」というスローガンを掲げて経済・軍事両面で米国超えを目指す習近平政権は今後、どう動くのか。
一つのヒントが、共産党創立100年の記念式典にあった。習近平は、ある種の視覚的なトリックまで駆使して、建国の指導者である毛沢東の地位にいつの日にかのぼりつめるという幻影を映し出した。天安門広場にいた群衆側から見ると、天安門の壁にかかる大きな毛沢東の肖像画のちょうど真上に、現在のトップである習近平が立つ構図になる。
22年夏まで続く権力闘争しかも、習が身に着けていたのは、灰色の人民服(中山服)だった。足元の肖像画に描かれている、毛のトレードマークである灰色の人民服と同じである。7万人の目からは、習と毛が完全に重なって見えた。特に式典が終わるとき、右手を高々と挙げた習の姿は、かつて全国各地にあった毛沢東像のポーズとうりふたつだった。
共産党は、1976年に独裁者、毛沢東が死去すると、悲惨だった文化大革命期(66~76年)の反省に立って集団指導制に舵(かじ)を切る。できあがったのが、指導者の交代に関する厳格なルールである。国家元首である国家主席の任期は憲法で「2期10年」までに制限し、これに党トップである党総書記の任期も準じるという暗黙の了解だ。
この集団指導制の伝統を一気に壊した第1段階が、2018年の憲法改正だった。国家主席の任期制限を撤廃したことで、暗黙の了解だった党総書記の任期制限も事実上、存在しなくなったと考えてよい。
22年秋の党大会でまず総書記職の続投を決めて、翌23年春の全国人民代表大会(全人代)で国家主席としても続投するのか、それとも22年秋の党大会で、かつての毛沢東の地位である党中央委員会主席(党主席)といった新たなポストを用意し、そこに座るのか、多くの選択肢がある。習の灰色の人民服姿は、毛沢東の地位への意欲を示している。そういう受け止め方が多い。
当然ながら党内には、習の権力がこれ以上強まることに裏で異を唱える勢力が存在する。習がまず警戒しなければいけないのは、自分と同じような革命時代からの高級幹部の子息である「紅二代」だ。彼らには人脈だけでなく資金力もある。
紅二代は、習政権の発足当時、自分たちの利益を代表していると考えた新星の登場を歓迎した。そして習の激烈な「反腐敗」運動に協力もした。しかし、期待は2期目に入るころから急速にしぼんでゆく。習が抜てきするのは自らに近い側近ばかりで、紅二代への配慮は薄れてゆく。そればかりか、長期政権の確立に向けた個人崇拝の色を強めていく。
習としては、早めに彼らの支持を取り付けるのがベストだが、できなかった場合に備えた布石も打っている。紅二代である本人にまでは手を出さないが、その側近らを汚職で摘発するのも一つの手段になる。すでに引退した人物でもその標的になる厳しい措置だ。こうした裏の戦いは、22年夏まで続くだろう。
IT大手に圧力
20年初以来の新型コロナウイルス禍をめぐっては、武漢での初期対応には失敗したものの、後の厳格できめ細かな人的接触の制限によって事態を収拾し、経済の早期回復につなげた。中国経済は、インフラ投資拡大や輸出増に支えられて引き続き順調に見える。
だが、懸念材料は多い。20年、コロナ禍で打撃を受けた雇用や所得の回復はなお遅れている。特に問題なのは若者の就職難だ。21年夏、中国の大学、短大、専門学校の卒業生は過去最高の900万人超になったが、主力である民間企業からの求人は少なく、職が決まらない学生が非常に目立つ。首相の李克強が就職問題を最優先課題に挙げたのも危機感の表れだった。
習近平政権は国有企業を重視する半面、大手IT企業など民間企業への統制を急速に強めている。なかでも、資本市場の証券違法活動を厳格に取り締まる新たな規制や、インターネット安全保障策の強化は、内外への影響が非常に大きい。
中国のインターネット規制当局は、海外で上場を予定している中国企業について、個人ユーザー数が100万人超の場合、審査が必要と発表した。当面、中国企業が米国で上場するのは難しい。
米国に協力を呼びかける一方、米中両国の資本市場の分断を加速しかねない措置を自らとるのは矛盾だ。中国経済の将来を左右するのは、自由な発想に富む民間企業の活力である。過剰に締め付ければ優良な企業の成長力が失われ、やがて雇用にも影響する。
米中関係は歴史的な転換点に米ホワイトハウスで、オンライン形式の「民主主義サミット」を開いたバイデン大統領(9日、ワシントン)=UPI共同
米中関係はいま、歴史的な転換点に立っている。50年という単位で両国の向き合い方を考えるなら、変質は避けられない。
ここで思い起こすべきは、半世紀前に世界を驚愕(きょうがく)させた「ニクソン・ショック」である。それは1971年7月15日に始まった。当時の米大統領ニクソンは、大統領補佐官だったキッシンジャーの派遣による秘密交渉を明らかにし、国交のなかった中華人民共和国への訪問を予告した。それは翌72年2月21日、北京に降り立ったニクソンが中南海で主席の毛沢東と握手したことで完結した。
このときの裏の主役はソ連である。ソ連への対抗という目的で一致した米中は、政治体制の根本的な相違などに目をつぶって国交正常化に突き進んだ。経済的に見れば中国はとるに足りない存在だった。ソ連はニクソン・ショックの20年後、91年にあっけなく崩壊する。それから30年。今度は、矛盾に目をつぶって手を組んだ中国が、経済・軍事両面で米国の最大の脅威になっている。
実際、習近平政権は、2035年までに経済面で米国に追いつき、追い越そうとする具体的な目標を掲げている。軍事面も同じで、ここに米中両国の技術覇権争いが絡んでくる。米国側から見れば、自ら育てた中国が今度は米国を標的にしはじめたのを見過ごすわけにはいかない。これが米中「新冷戦」といわれる構造だ。
米国超えを視野に入れた習近平政権による「2035計画」の内容が明らかになったのは、17年の中国共産党大会だ。この方面の勘に優れた前米大統領のトランプは、習近平政権が掲げはじめた、かつての中国とは異なる種類の野望に比較的早く反応し、一気に対中強硬路線に傾斜してゆく。
米中の力の接近を背景にした対立激化はある程度、予想できたが、それが前倒しで進んだ背景には、中国政治の抜本的な変化がある。とりわけ、18年の憲法改正で、対外強硬路線をとる習近平政権が長く続くことに気づいた米側の動きは早かった。
追い打ちをかけたのが、19年に香港で起きた容疑者の中国移送を可能にする逃亡犯条例改正案に反対する大規模デモへの対処と、その翌年、香港立法府の頭越しに香港国家安全維持法制定を決めた手法だった。中国が国際的に公約した香港の高度の自治を保障する「一国二制度」は事実上、崩れた。
そして2021年には言論弾圧が加速し、香港民主派を支持する唯一の主要な香港紙「蘋果日報(アップル・デイリー)」が廃刊に追い込まれた。創業者の黎智英(ジミー・ライ)が抗議活動に絡む実刑判決で服役中の出来事だった。警察は本社を捜索し、記者や編集者のパソコンも大量に押収、メディアグループ幹部を相次ぎ逮捕した。
多くの著名な民主活動家も収監されたままである。羅冠聡(ネイサン・ロー)ら海外に渡った活動家は事実上、香港に戻れない。香港問題が米欧日など西側自由主義社会に与えた衝撃は計り知れない。新疆ウイグル自治区の少数民族、ウイグル族らへの人権弾圧をめぐって米国のみならず、欧州連合(EU)まで制裁に踏み切った裏には、香港問題の影響も大きかった。
米中対立をめぐっては、バイデン民主党政権の誕生でそれなりの変化があるとの見方もあったが、対中政策は一段と厳しい方向に進んでいる。特に日本、英国、EUなどとの同盟を強化して中国に対処する手法は明確である。(敬称略)
▼発売中の「これからの日本の論点2022 日経大予測」の一部を抜粋、加筆・再構成した。同書の詳しい内容はこちらから。(https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/21931) 』
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ロシア、LNGに賭ける 北極海航路で8割アジアへ
ソ連崩壊30年 産業盛衰(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR15E850V11C21A2000000/



『【モスクワ=石川陽平】1991年12月のソ連崩壊から30年、ロシアの経済構造は資源依存型をまだ脱せず、世界経済をけん引する民間のハイテク分野でも後れを取る。地球温暖化への対策が叫ばれるなか、ロシアは資源大国の地位にこだわり、液化天然ガス(LNG)の輸出拡大に活路を求める。
極寒のガス田開発
11月末、北極圏にあるロシア北西部ムルマンスク郊外の巨大な工場群を訪れた。あたり一面、雪と氷に覆われ、午後1時の外気気温はセ氏マイナス約20度。高台から見下ろすと、バレンツ海の入り江に面したドックに、縦152メートル、横330メートル、高さ100メートルもの巨大な建造物が白く浮かぶように見えた。
この建造物は、プーチン政権に近い天然ガス会社ノバテクが進める資源開発プロジェクト「アークティックLNG2」の生産施設だ。
ドックからプロジェクトの現場までは直線距離で約1500キロメートル。作業がしやすいドックでLNG生産施設を前もって建造したうえで、ガス田がある現場の半島沿岸までえい航する。こうした手法は世界初の試みという。土台も含む総重量は64万トン。自らの重さで浅い海底に固定される「重力式」だ。
総投資額2.4兆円
このプロジェクトは3系列の生産施設からなり、合計で年産約2000万トンの国内最大級のLNG基地になる。総投資額は213億ドル(約2兆4千億円)で、仏トタルが10%、中国企業が20%、三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)も10%を投資する。第1系列の稼働は23年、完工は25年末を予定している。
ノバテクが照準を合わせる市場は、需要が高まるアジアだ。同社の海外販売の責任者、ユーリー・エロシェン氏は日本経済新聞社の質問に答え、「8割をアジア太平洋市場に供給する計画だ」と明らかにした。日本や韓国に加えて、インドや中国の市場拡大が見込めると指摘した。
アークティックLNG2の天然ガス採掘現場(ウトレンネエ・ガス田)旧ソ連とその継承国ロシアは石油や天然ガスなどが豊富な資源大国で、資源価格の変動が国運を左右してきた。1980年代後半には原油価格が1バレル10ドル台に低下し、91年のソ連崩壊の一因となった。2000年代の油価高騰はプーチン政権の政治基盤を強化し、大国復活に道を開いた。
「30~35年間は競争力」
そして今度は温暖化がロシアを揺さぶる。主な資源輸出先の米欧は「脱炭素社会」にかじを切り、政治的に対立するロシアからの調達削減に動く可能性がある。資源エネルギー部門が連邦予算の歳入の4割前後を占める資源依存型のロシア経済はいずれ大きな試練に直面する恐れがある。
だが、したたかなプーチン政権は温暖化も好機の一つととらえた。石炭などに比べて二酸化炭素(CO2)排出量が少ない天然ガスの需要が高まり、「ロシアの天然ガスは今後30~35年間は競争力がある」(エネルギー省)と予想する。ロシアが特に期待するのは、同じく温暖化で恩恵を受けるようになった北極圏航路によるLNG輸出だ。
プーチン大統領は温暖化を好機ととらえた=AP日本海に面した韓国南部のコジェにある造船所。ノバテクの発注を受け、商船三井の支援で大宇造船海洋が大型のLNG積み替え施設の建造を急いでいる。LNG積み替え基地はユーラシア大陸の東西を結ぶ北極海航路の東方にあるカムチャツカ半島と西方に位置するムルマンスクの2カ所に設置する計画だ。
温暖化で海氷減る
近年の温暖化で氷の面積が後退し、北極海航路の利用可能な期間が延び、通年輸送も可能になる見通しだ。商船三井はアークティックLNG2などから砕氷LNG船で積み替え基地にLNGを運び、在来型のLNG船に載せ替え、輸送コストや温暖化ガス排出を削減する。同社はJOGMECと組み、積み替え事業への出資交渉も急いでいる。
ノバテクによると、世界の天然ガス市場では21年、LNGでの供給がパイプライン経由を上回りつつある。市場の急速な変化を受け、ロシア政府は3月、LNG長期発展プログラムを承認し、年3000万トンに満たない現在の生産能力を35年までに最大で1億4000万トンに引き上げる目標を明記した。世界シェアも18年時点の約6%から20%以上に引き上げるという。資源国家ロシアの今後数十年はLNGが握る。』
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ロシア製品「0.3%」の国際競争力 民生ハイテク育たず
ソ連崩壊30年 産業盛衰(下)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR16BG00W1A211C2000000/



『【モスクワ=石川陽平】ロシアの首都モスクワから南へ約500キロメートル離れた工業都市ボロネジ。市内の一画に廃虚となった工場群がある。ソ連末期、コンピューターの部品やビデオをはじめとする電子機器を生産した、かつてのハイテク団地だ。
「国営36社が集積」敷地に入ると、白い壁が汚れ灰色になった8~9階建てのビルが見える。1970年代に建てられ、国内有数のコンピューター用のプロセッサー工場だったという。いまは窓が割れ、屋内はごみが散乱する。地元案内人のマルデルさんによると、91年12月のソ連崩壊で工場は閉鎖され、生産用の希少金属や様々な装置が盗まれていった。
ソ連末期、ボロネジのハイテク工場で働いていたウラジミル・ニコライチュクさん当時、市内の電子機器の工場で働き、労働組合長も務めたウラジミル・ニコライチュクさんに話を聞いた。この地域にはソ連末期、エレクトロニカ社をはじめ電子機器関連の国営企業だけで36社を数え、11万人が働いていた。「コンピューターの国産化をはじめソ連の電子産業が発展しつつあった」と振り返る。
「失業も給与の遅配もなく、違法な解雇もなかった」。ウラジミルさんはこう語り、労働の功績をたたえる勲章を付けた自身の昔の写真を見せてくれた。「みな、熱意と誇りを持って働いていた」。貧富の格差も広がったいまのロシア経済が「不法状態」にさえ見える。
家電や電子機器立ち遅れソ連は国内総生産(GDP)で米国に次ぐ2位の規模を誇った。だが、80年代には社会主義の計画経済が行き詰まり、特に民生用の電子機器や家電で豊かな欧米に大きく立ち遅れた。経済再建を目指すゴルバチョフ・ソ連書記長は1985年の演説で「物質的、技術的生産基盤の変革」を掲げ「ウスカレーニエ(加速化)」を打ち出す。
ゴルバチョフ・ソ連書記長は経済発展加速の大号令をかけた(1985年)=APボロネジは、政府の号令で「加速化」を実現し、ハイテク製品の大規模な国産化を急ぐための重要な拠点になった。だが、国が生産を管理する計画経済の矛盾を解消できなかったソ連は崩壊し、国営企業の多くが閉鎖に追い込まれた。それから30年、市場経済に転じたロシアは「ボロネジの夢」を実現できたのだろうか。
ハイテク分野の現状について、国内有数の教育・研究機関である高等経済学院が2021年4月にまとめた報告書がある。電子製品や情報通信、先端素材、バイオテクノロジー製品など世界のハイテク製品の輸出額は18年に総輸出額の21.4%に達した。だが、ハイテク製品の総輸出額のうちロシアが占める割合は0.3%にとどまる。中国の19.4%、ドイツや米国の8.8%とは大きな差がついた。
原子力・武器を旧ソ連諸国へ
しかも、ロシアのハイテク分野の輸出は原子力と武器が大半で、輸出先も旧ソ連諸国が多い。ソ連時代と同じような貿易構造のままだ。報告書はロシアがハイテク製品の「後進生産国」であり、このまま後進グループにとどまるか、先進国を追うグループに入れるか「岐路に立つ」と危機感を示した。
ロシア政府も傍観していた訳ではない。10年にはモスクワ郊外でイノベーションセンター「スコルコボ」の整備に着手し、3000を超す研究・開発機関や先端企業を集積させた。「ロシア版シリコンバレー」とも呼ばれる。
再び強まる国家管理ただ、IT(情報技術)を中心に民間企業の活力があふれるシリコンバレーとは違い、「スコルコボ」は資源依存の経済構造を多様化させるための国家プロジェクトだ。ロシアのハイテク分野の地盤沈下を止めることはできても、国際競争力の向上にまでつながったとは言いがたい。
「強い国家こそロシア発展の基礎的条件である」。プーチン大統領はこう強調する。ロシアは国が経済活動で大きな役割を果たす「国家資本主義」を構築し、ソ連経済を想起させるような国家管理の手法も再び強まってきている。ハイテク産業が今後、国家主導でどこまで育つのか疑問は消えない。
ソ連崩壊30年 産業盛衰(上)はこちら https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR15E850V11C21A2000000/ 』
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ロシア軍、1万人以上撤収 南部のウクライナ国境
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2707Z0X21C21A2000000/※ 総兵力「17万人」とも伝えられているんで、「1万人」くらいが撤収しても、まだまだ「危機は、去った。」とは言えんだろう…。

『【モスクワ=共同】インタファクス通信は26日までに、ロシアの南部軍管区に属する1万人以上の部隊がクリミア半島などでの展開を終えて駐留する基地に撤収を始めたと伝えた。
南部軍管区はウクライナに近いロシア南部の各州を管轄。欧米は衛星写真などを基に、ロシアがウクライナ国境付近に約9万人の部隊を集結させ、年明けにもウクライナに侵攻する可能性があると主張してきた。今回の撤収が欧米とロシアの間の軍事的緊張の緩和につながるかは不明。
同軍管区は25日、インタファクスに対し、計1万人を超す部隊が1カ月の訓練を終えて撤収中だと明らかにした。
ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は今月9日、各国のモスクワ駐在武官を集めた会合で、ウクライナ侵攻を準備しているという指摘は「マスコミを通じて流されたうそ」と否定していた。』

