月: 2022年1月
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【独自】海自潜水艦に1000キロ射程ミサイル…敵基地攻撃能力の具体化で検討
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211229-OYT1T50258/
『政府は、海上自衛隊の潜水艦に、地上の目標も攻撃可能な国産の長射程巡航ミサイルを搭載する方向で検討に入った。ミサイルは海中発射型とし、自衛目的で敵のミサイル発射基地などを破壊する「敵基地攻撃能力」を具体化する装備に位置づけられる見込みだ。
複数の政府関係者が明らかにした。相手に発見されにくい潜水艦からの反撃能力を備えることで、日本への攻撃を思いとどまらせる抑止力の強化につなげる狙いがある。配備は2020年代後半以降の見通しだ。
岸田首相は22年末に改定する安全保障政策の基本指針「国家安全保障戦略」に、「敵基地攻撃能力」の保有について明記することを目指している。保有に踏み切る場合、潜水艦発射型ミサイルは有力な反撃手段の一つとなる。
搭載を検討しているのは、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」を基に新たに開発する長射程巡航ミサイル「スタンド・オフ・ミサイル」。射程は約1000キロ・メートルに及び、敵艦艇などに相手のミサイル射程圏外から反撃することを想定する。将来的には敵基地攻撃への活用も可能とみられている。
スタンド・オフ・ミサイルは現在、航空機や水上艦からの発射を前提にしている。防衛省は22年度予算案に開発費393億円を盛り込んだ。
潜水艦に搭載する場合、浮上せずに発射できるよう、垂直発射装置(VLS)を潜水艦に増設する方式や、既存の魚雷発射管から発射する方式などが検討されている。自衛隊は、スタンド・オフ・ミサイルより射程は短いが、魚雷発射管から発射する対艦ミサイルは既に保有している。
中国は日本を射程に収める弾道ミサイルを多数保有するほか、近年、日本周辺海域や南・東シナ海で空母を含む艦隊の活動を活発化させ、軍事的挑発を強めている。北朝鮮も核・ミサイル開発を進めている。
日本を侵略しようとする国にとっては、先制攻撃で自衛隊の航空機や水上艦隊に大打撃を与えても、どこに潜むか分からない潜水艦から反撃される可能性が残るのであれば、日本を攻撃しにくくなる。
自衛隊の潜水艦は現在21隻体制で、航続性能や敵に気付かれずに潜航する静粛性などに優れ、世界最高水準の技術を誇る。
政府はこの潜水艦の能力を生かし、弾道ミサイルによる攻撃や、艦隊などによる日本の 島嶼 部への侵略を防ぎたい考えだ。 』
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米中、冷戦期より「熱戦」の恐れ ジョン・ミアシャイマー氏
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022010200103&g=int
『米中衝突の可能性は高いと予測するシカゴ大のジョン・ミアシャイマー教授に米中関係の今後の展望を聞いた。
激しさ増す米中対立 「衝突回避」焦点
―米中「新冷戦」が「熱戦」(実際の戦争)に転じる可能性は。
(熱戦にならなかった)冷戦期の欧州と(現在の)東アジアは地理的条件が異なる。南シナ海、台湾、尖閣諸島を含む東シナ海の三つの発火点があり、核兵器を使わない限定戦争に発展し得る。欧州では、核兵器で武装した軍隊がにらみ合っていた。米国とソ連が戦端を開けば、核戦争にエスカレートするため、戦争の可能性は低かった。
―有事への対応は。
日本は米国の「核の傘」による抑止を当てにしている。もし米国が尖閣を守らなければ、東アジアの同盟網は崩壊する。米国は台湾や尖閣の防衛に強い関心があり、(有事には)守るだろう。また、日米は中国が東アジアで勝利するのを防ぐために圧倒的な通常兵力の構築が必要だ。中国を抑止するため、日本も自ら弾道ミサイルを保有すべきだ。
―バイデン米政権の対中政策は。
バイデン大統領は中国封じ込めが必要だと理解し、必要な措置を取っている。関与政策から封じ込めに転じたトランプ前大統領の後に続いているが、トランプ氏との違いは同盟国とうまく連携していることだ。
―日米豪印4カ国(クアッド)連携の評価。
中国に対抗する同盟の中心は、日米や米韓など2国間同盟であり、クアッドや米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」も重要だが副次的なものだ。参加国同士が遠すぎるため、東アジアに意味のある軍事同盟を構築するのは困難だ。核の傘を含む「拡大抑止」の点でも2国間同盟が重要だ。
◇ジョン・ミアシャイマー氏
ジョン・ミアシャイマー氏 1970年、米陸軍士官学校卒。空軍士官を経て、コーネル大で博士号。著書に「大国政治の悲劇」「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」など。』
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独新政権、前面に「価値の外交」 理想主義か、現実的対中戦略か
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022010300235&g=int

『【ベルリン時事】昨年12月に発足したドイツの社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党による新連立政権は、民主主義や人権など西欧の「価値に基づく外交」を新機軸に掲げる。ベーアボック外相はじめ緑の党所属の政治家の「理想主義」を指摘する声がある一方、中国やロシアに対抗する現実的な戦略との評価もある。ドイツは今年、先進7カ国(G7)の議長国を務める。こうした新政権の外交の真価が問われる機会も多くなりそうだ。
【地球コラム】30年に再生エネ8割、脱石炭も
「中国との長期的な経済協力の成功には、共通の価値についての合意が必要だ」。ベーアボック氏は昨年12月の独紙ツァイトとのインタビューで断言した。これ以外の機会でも、頻繁に「価値」に言及。3党の政策合意書の中国の項目では、新疆ウイグル自治区での人権侵害など、民主主義や人権を損なう行為を批判する表現が並んだ。
若年層や市民活動家の支持が多い緑の党には、理想主義的でイデオロギー先行のイメージが付きまとう。41歳と若く外交の実務経験がなかったベーアボック氏はこうした批判にさらされやすく、SPD所属のシュレーダー元首相は独テレビで「(中ロとは)経済的理由で、無傷の関係が必要」であり、「緑で世界を癒やすモットー」は不要だとベーアボック氏をこき下ろした。
一方、オランダのライデン大学の東アジア専門家、カスパー・ウィッツ氏は米政治専門紙ポリティコへの寄稿で、新政権の方針は「国際秩序に挑戦する大国に対抗する、最も現実的な方法だ」と評価。メルケル前首相が経済重視で人権侵害に戦略的沈黙を続けた結果、中国は安保・経済でドイツや欧州を脅かすまでに成長したと指摘した。
価値の外交は、ドイツが中国以外のアジアの民主主義国との関係を重視し始めたという側面もある。ショルツ首相は就任前後から、日本や韓国など「価値を共有」するアジア諸国との連携に繰り返し言及。アジア外交を多角化する方針を示している。』
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恒大に建物39棟の撤去命令 新たな重荷に―中国
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022010400204&g=int
『【北京時事】中国不動産開発大手・中国恒大集団は4日、同国南部の海南島で手掛けるリゾート施設「海花島」をめぐり、地元当局から39棟の建物の撤去を命じられたと発表した。対象となる不動産の価値は総額77億元(約1400億円)と試算されており、経営危機に直面する恒大にとって新たな重荷になる可能性がある。
中国恒大株、一時10%高 取引再開で急伸―香港市場
香港証券取引所はこれを受け、3日から停止していた恒大株の取引を4日午後1時(日本時間同2時)に再開する。』
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2022年 知っておきたいマネーカレンダー
知っ得・お金のトリセツ(72)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB271K40X21C21A2000000/

『 不確実性を増す世の荒波のなかで確実なことが一つ。2022年もお金に関する関心は高まりこそすれ、減じることはない1年になるということだ。社会保障から節約、教育まで、変化の大きい今年のマネーカレンダーを点検しておこう。一言で言うと「人生100年仕様」の制度が実装される1年が待っている。
1月 団塊の世代が75歳以上に
今年はかねて日本の人口動態上の節目とされる「2025年問題」のとば口にあたる。1947~49年生まれ「団塊の世代」のトップバッターが1月以降75歳の誕生日を迎え、医療や介護の必要性が増す後期高齢者に分類され始める。今後3年かけて650万人もの後期高齢者が新たに誕生することで、日本の社会保障制度にかかる負荷は一段と高まる。いずれ国民の4人に1人が75歳以上になる将来を見据え、単純な「支える側 vs 支えられる側」で終わらないチャレンジが社会でも個人レベルでも本格化する。
1月 マイナポイント第2弾スタート
昨年11月の経済対策で盛り込まれた「マイナポイント第2弾」が1月1日から始まった。マイナポイントとは予算を原資にした、いわば国によるキャッシュバック事業。マイナンバーカードを作り、所定の手続きをした上で任意の民間キャッシュレス決済サービスとひも付ける。その上で2万円分の買い物やチャージをすると最大5000円分(還元率25%)のポイントがゲットできる仕組みだ。もともと2020年9月から始まった「第1弾」で既に全額ポイントを獲得済みの人以外は皆対象だ。これから新たにカードを作る人はもちろん、第1弾の行程が途中になっている人も第2弾が始まったことで、本来昨年末までだった締め切りが撤廃されている。今後、夏前をメドにマイナンバーカードの健康保険証としての利用申し込みで7500円分、公金受取口座の登録で7500円分と、マイナポイントをもらえる機会が続く。早めに慣れておこう。
4月 公的・私的、2つの年金の変更続々
改正年金法が施行され、4月以降年金を巡るルールが順次「人生100年仕様」に変わる。目玉のトップバッターが公的年金の繰り下げ受給。もらい始めの上限年齢が70歳から75歳へ5歳後ろ倒しに。これまで65歳を中心に60~70歳の幅で繰り上げ・繰り下げ受給が可能だった年金に新たに「75歳まで受け取らない」という選択肢が加わるわけだ。すると月々の受給額は65歳時点と比べて84%も増える。
その間の生活はいかに賄うか? できるだけ長く働き、自分で備える私的年金を活用するのが世の流れ。そのためのインフラ整備も進む。これまで60代前半で年金をもらいながら働く場合、収入が月28万円超になると年金カットの憂き目に遭っていたが、4月以降は基準額が月47万円と緩やかになる。同時に、65歳以降厚生年金に入って働く場合、毎年の年金増が「見える化」されて励みになる制度(在職定時改定)も始まる。
足並みをそろえる形で私的年金でも「老後」を5年、後ろ倒ししやすくする制度改定が続く。まずは4月から確定拠出年金(DC)の分野で企業型、個人型(iDeCo、イデコ)ともに受給開始上限が75歳まで繰り下がる。
4月 学校で金融教育スタート
年金にたどりつくまで人生100年時代のお金の歩みは長く、時に厳しい。正しい理解を若いうちから身につけてもらう取り組みも始まる。4月から高校の家庭科の授業に金融教育が組み込まれる。人生で必要なお金への向き合い方や、株式・債券など金融商品の基礎を学校で学ぶ時代の到来だ。
4月 成人年齢が20歳→18歳に
関係があるのが成人年齢の引き下げ。民法上の成人の規定が2歳若くなり、自分だけの判断でクレジットカードをつくったり借金をしたり投資を始めたりすることが可能になる。半面、「未成年だから」と行使できた契約取り消しのハードルも上がる。
5月 DCでの運用が5年長く可能に
改正年金法の第2弾は5月に施行される。DCに加入可能な年齢上限がやはり5歳伸びて後ろ倒しされる。イデコは65歳まで、企業型DCは70歳まで加入が可能になり、その分運用期間を長く取ることができる。
10月 パートの年金拡充、「全員イデコ時代」到来
公的・私的両方の年金で加入者のパイを広げる改正が10月に待つ。まずは厚生年金の適用拡大。これまで厚生年金加入の対象外だった中小企業で働くパートやアルバイトに枠が広がる。段階的に門戸を広げている最中だが、10月からは就労時間など一定の条件を満たすと従業員数101人以上の会社で対象となる。
私的年金ではイデコに加入できる会社員が増える。今までは実質的にイデコに加入することができなかった企業型DC制度を持つ企業の従業員にも門戸が広がり、「全員イデコ時代」が到来する。
10月 75歳以上の医療費自己負担 1割→2割へ
75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」で大きな変更がある。昨年6月成立の法改正により、一定の所得のある高齢者の医療費の窓口負担割合が現行の1割から2割に上がる。単身世帯で年収200万円以上、高齢夫婦世帯で320万円以上がメド。厚労省の試算では75歳以上人口のおよそ5人に1人が該当する。ただ、激変緩和措置として今後3年間は外来受診時の増額分が月3000円を超えないことになっている。』
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韓国の池明観氏が死去 民主化弾圧をペンネームで告発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM020BV0S2A100C2000000/※ 「世界」「T・K生」「韓国からの通信」と言えば、当時は相当に有名だった…。
※ オレも、いくつかの「通信」を、見た記憶がある…。
※ なにせ、「軍事政権」下、韓国の情報は殆ど入ってこないような状況だった…。
※ それで、「かろうじて」状況を伝えてくれる「通信」が、貴重な存在だったわけだ…。
※ 今は、昔の話しだ…。

『【ソウル=恩地洋介】1970~80年代に、韓国民主化運動の弾圧を「T・K生」のペンネームで日本の月刊誌に連載し告発した東京女子大元教授の池明観(チ・ミョングァン)氏が1月1日、ソウル近郊の病院で死去した。97歳だった。金大中政権の対日政策ブレーンとして日韓交流の発展に尽くした。
死去した池明観氏=共同
現在の北朝鮮にある平安北道に生まれ、ソウル大学大学院で宗教哲学を学んだ。朴正熙(パク・チョンヒ)政権下の弾圧を逃れて72年に来日し、93年の帰国まで約20年の亡命生活を送った。岩波書店の雑誌「世界」に73年から88年まで「韓国からの通信」を連載し、韓国のキリスト教関係者らから得た情報をもとに、軍事政権の人権抑圧や民主化運動の実態を伝えた。金大中政権が終わった2003年に記者会見し、自身が「T・K生」であったことを明かした。
金大中政権では日韓の交流促進をめざす「韓日文化交流会議」の座長を務めた。日本の大衆文化の開放に奔走し、日本の歌謡やドラマが韓国で親しまれるようになった。』
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韓流エンタメ輸出急拡大 5年で倍増、21年1.3兆円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM300J60Q1A231C2000000/


『韓流コンテンツの躍進が止まらない。動画プラットフォームやSNS(交流サイト)などオンラインで音楽やドラマが拡散し、2021年のコンテンツ輸出額は5年前の倍の115億ドル(約1兆3000億円)に達する見通しだ。製造業に偏った産業の多角化に向けて政府が取り組んだ育成策の結果、韓国のコンテンツ産業は日本を圧倒する勢いを示しており、食品や化粧品などの輸出にも好影響をもたらしている。
【関連記事】
・アジアのヒット2021 中国「華流」、韓国「イカゲーム」
・韓国CJが米映画製作会社買収 880億円、コンテンツ拡充政府機関の韓国コンテンツ振興院が21年のコンテンツ輸出額の試算を公表した。新型コロナウイルス禍による巣ごもり消費で躍進した20年比で7%増となり、過去5年間で92%増と大きく伸びた。一方の輸入額は19年時点で輸出の8分の1の水準で減少傾向が続いており、コンテンツ産業だけをみると大幅な輸出超過が続く。
21年も堅調だったのが音楽分野だ。K-POPは欧米市場でも一つのジャンルを確立。BTS(防弾少年団)を筆頭に、ブラックピンクなどが続く。ユーチューブやファンサイトなどでの無料視聴で広くファンを増やし、楽曲購入やオンラインライブのチケット販売につなげている。
「イカゲーム」は米ネットフリックスの歴代最多視聴記録を塗り替えた
輸出増の流れに拍車をかけたのが「イカゲーム」に代表される韓国ドラマだ。米ネットフリックスで配信開始から28日間で1億4200万世帯が視聴し、歴代最多視聴記録を塗り替えた。ネットフリックスでは10月中旬以降、非英語の番組の視聴ランキングでトップ10に韓国作品が3〜4本ランクインし続けている。特に日本や東南アジア、中東などで韓国ドラマの視聴が多い。
日本のお家芸だった漫画も今や韓国勢がプラットフォームを握りつつある。ネット大手のネイバーとカカオが、スマートフォンで読みやすく縦にコマ送りする「ウェブトゥーン」で覇権争いをしており、両社のプラットフォームに世界の漫画家が作品を投稿する傾向が強まっている。
韓国コンテンツ産業の特徴は、オンラインのプラットフォームを活用して世界でファンを獲得する点だ。創作段階から人口約5200万人の国内市場ではなく、世界市場を狙って作品を制作する傾向も顕著だ。人口減少が始まった国内にとどまれば成長は難しいという危機感が強い。
他産業への波及効果も大きく、韓国製品の輸出拡大につながっている。21年の食品輸出額は初めて100億ドルを突破。化粧品の輸出額は10月までで既に前年を上回って過去最高を更新した。
韓国では1998年に金大中(キム・デジュン)政権が「文化は21世紀の基幹産業になる」とし、各大学に関連学科を整備するなどコンテンツ産業育成に乗り出した経緯がある。新設学科出身者が音楽プロデューサーや俳優として活躍する。こうした長期的視点での人材育成も韓流の躍進を支えている。
韓国はコンテンツ産業で日本をはるかにしのぐ勢いをみせている。詳細な定義が異なるので単純比較は難しいが、韓国の放送コンテンツ輸出額はすでに19年時点で6億6800万ドル(約770億円)と日本(530億円)を上回っていた。音楽分野では、K-POPアーティストの所属事務所の韓国内売上高は3~4割程度で海外比率が高く、日本の音楽産業との違いは鮮明になっている。(ソウル=細川幸太郎、シリコンバレー=佐藤浩実)』
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シンガポールGDP7.2%増 2021年
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM030CV0T00C22A1000000/

『【シンガポール=中野貴司】シンガポール貿易産業省は3日、同国の2021年の実質国内総生産(GDP、速報値)が前年比で7.2%増加したと発表した。電気製品の輸出が好調な製造業が12.8%増となり、景気回復をけん引した。新型コロナウイルスのワクチン接種完了率が9割近くに高まり、行動制限が緩和されたことで小売りや飲食業などのサービス業もプラスに転換した。
リーマン危機後の経済復調で14.5%の伸びを記録した10年以来、11年ぶりの高い成長率となった。20年はマイナス5.4%と1965年の独立以来、過去最悪の成長率に落ち込んだが、21年の急回復でGDPはコロナ前の19年の水準を上回るまでになった。政府は22年も3~5%と堅調な成長が続くと予測している。
21年の高成長の主因は輸出だ。世界的な半導体需要の増加を受け、21年11月の輸出が前年同月比で24.2%増と約10年ぶりの高い伸びとなるなど、年間を通じて増加が続いた。サービス業に加えて、20年は労働者不足で35.9%減だった建設業も21年は18.7%増に転換し、持ち直した。
リー・シェンロン首相は21年末の国民向け談話で、「我々の喫緊の課題は単に新型コロナに対処することを超えて、コロナ後の経済で雇用を創出し、繁栄を築くことだ」と強調。1日に発効した東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)を活用して、貿易の拡大をはかる方針を示した。新たな変異型「オミクロン型」の動向を注視しつつ、国境を越える往来も一段と促進すると説明した。
21年通年の速報値と同時に3日に発表した21年10~12月期のGDP(速報値)は5.9%増だった。同年7~9月期(7.1%増)からは伸び率が鈍ったものの、回復基調が続いている。』
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世界の高齢化が促す低金利(The Economist)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2121X0R21C21A2000000/
『それは世界の人口動態にとって大きな出来事だった。2021年11月24日、インド政府は1人の女性が生涯に産む子供の数を示す同国の合計特殊出生率が2.0に低下したと発表した。現在の人口規模を維持するのに必要とされる人口置換水準を下回り、多数の富裕国と同じ領域に入った。
ロンドンからスコットランドを初めて訪れた孫との出会いを喜ぶ祖父母。世界的に少子高齢化が加速している=ロイター
実際のところ、現在すべてのBRIC諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)で出生率が人口置換水準を下回っており、ロシアと中国では人口が減少に転じたとみられる。先進国がかつてたどった人口動態変化の道を新興国が後追いすること自体は驚くべきことではない。しかし、その変化のペースは加速しており、世界経済に深刻な影響を与える可能性がある。
多産多死から少産少死へ
社会科学者が「人口転換」と呼ぶ現象(多産多死から多産少死、少産少死に移行するプロセス)は長年にわたり、経済の近代化と切り離せない変化とみられてきた。産業革命以前の社会では普通出生率と一般死亡率(人口1000人当たりの出生数と死亡者数の比率)がともに非常に高く、人口増加率は不安定な状態にあって、増加のペースは概して緩慢だった。
だが18世紀には欧州北西部の一部で死亡率が下がり始めた。この変化はその後に続く劇的な人口動態の変化の第1段階となった。死亡率の低下によって人口は急増し、英国では人口が1760年から1830年の間に約2倍に膨らんだ。
だが、18世紀後期には出生率も低下し始めた。20世紀に入る頃には富裕国の出生率と死亡率はともに低水準で安定するようになった。移民がいない場合、人口増加率はおおむね低水準にとどまり、場合によってはマイナスに転じることもあった。
人口転換は様々な要素が絡み合う複雑な社会現象だ。死亡率が低下する理由は比較的説明しやすく、栄養状態や医療、公衆衛生の向上がその原因と考えられる。出生率の低下には、経済的な動機が関連している。例えば、身に付けた技能に対する収入が高くなれば、各家庭は子供の数を減らし、ひとりひとりの子供の教育により多くの投資をするようになる傾向がみられる。
その他に、文化的な要因も見逃すことはできない。米タフツ大学のエンリコ・スポラオーレ教授と米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のロメイン・ワチアーグ教授は近年の論文で、出生率の「新常態」が18世紀後半から19世紀前半のフランスで、最初に誕生したと指摘している。
その少子化の流れは、世俗主義や啓蒙思想を背景とする世界観の変化や家族計画に関する情報の普及に根ざしていると論文は分析している。その後、出生率の低下は欧州全域に拡大したが、特にフランスと言語的・文化的に結びつきが強い場所では、より早い段階で転換が始まり、しかもより速いペースで変化が進んだという。
米クレアモント・マッケナ大学のマシュー・デルベンサル准教授、米ペンシルベニア大学のヘスス・フェルナンデスビラベルデ教授、スペイン・バルセロナ自治大学のネジヘ・グネル教授は別の最近の論文で、現代の人口転換が先の論文が指摘している過去の変化に相当程度類似したパターンをたどっていると指摘している。
この論文では、186カ国のデータを分析した結果、11カ国を除くすべての国で死亡率が産業革命前より大幅に低く、安定した水準に移行する転換が起きていたことが判明したとしている。そのうち約70カ国は1960年から90年の間に出生率の低下が始まった。出生率の転換が始まっていないのはチャドの1カ国だけだった。なお、80カ国においては、死亡率と出生率の双方が新常態とされる低水準に移行するプロセスが既に完了しているという。
速まる人口転換
特に注目すべきなのは、各国が人口転換を遂げるペースが加速しているという重要な指摘だ。英国の転換は1790年代から1950年代にかけて約160年の間で緩やかに進展したが、チリでは1920年代から70年代の約50年のより短い期間で転換を完了した。20世紀終盤に変化が始まった国々にいたっては、20~30年で転換のプロセスを終えている。
この加速は、同論文の著者らが「人口動態伝染」と呼ぶ現象を反映しているとみられる。出生率の低下が進んだ場所に地理的・文化的に近い場所では人口転換が早期かつ急速に起きるということだ。この近接性に基づく波及効果は、人口転換が従来よりも低い所得水準で始まるという近年の傾向にもつながっているとみられている。
過去200年間に出生率転換が始まった国のその時点での1人当たり平均国内総生産(GDP、購買力平価ベース、2011年物価換算)は約2700ドル(約30万円)だった。だが、1990年代以降の数字を見ると、転換が始まる時点の水準は約1500ドルに低下している。
人口転換の加速が進むと、全世界で出生率と人口増加率が着実に低下する。実際に、1980年代半ばには世界の合計特殊出生率は3.5だったが2019年には2.4まで下がった。しかも、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下で富裕国の出生数が減少したとみられており、少なくとも一時的には世界全体の出生率は人口置換水準の近くまで低下した可能性がある。
ただし、出生率が人口置換水準まで下がったとしても、多数の人々が出産育児年齢に達したり近づいたりするため、世界の人口はその後もしばらくは増加を続けるとみられている。
例えばインドの人口は、最新の予測に基づけば今世紀半ばごろに約16億人に達すると見込まれている。だが、これは従来の予測に比べるとピーク時の人口が約1億人少なく、天井を打つ時期も10年程度早まっている。
国連は、現段階では2100年までに世界の人口が110億人に達すると予想している。しかし、世界全体で出生率が急速に低下する傾向があることから、インドの場合と同様に、いずれ予測の下方修正を余儀なくされる可能性がある。
経済に複雑な影響
世界的に人口転換が進展すると、派生的な問題が起きる可能性がある。例えば、米スタンフォード大学のエイドリアン・オークラート准教授とフレデリック・マルテネ氏、米ミネソタ大学のハンネス・マルムバーグ准教授、米ノースウエスタン大学のマシュー・ログンリー准教授による最近の論文は、人口動態の変化が長期的なマクロ経済に複雑な影響を及ぼしかねないと指摘している。
この論文は、高齢化が進むと貯蓄が増大し、インフレ率と金利の低下につながると分析している。世界の人口に占める50歳を上回る人々の割合が現状予測の通りに、直近の25%から2100年に40%に上昇した場合、低金利が定着して、資産の収益率が低下し、世界的な不均衡が一段と拡大する可能性があると指摘している。
その一方で、人口転換は様々な形の経済的なメリットをもたらす可能性もある。二酸化炭素の排出量削減は世界にのしかかる大きな課題だが、人口増加率が低下すれば、実現を後押しする要因になり得る。教育水準が高まったり、女性の労働参加が拡大したりする結果、少ない労働人口で生産性が高まる可能性も期待できる。
そのとき、従来は脅威と受け止められてきた移民の到来は、家族にとっての新生児の誕生と同じように特別な意味合いを持つようになるかもしれない。
(c) 2021 The Economist Newspaper Limited. December 11, 2021 All rights reserved.
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