※ どんな大義名分が、事情が、あるにせよ、父さんや母さんを、泣かせちゃダメだろ…。
※ そもそも、「軍」とは、外敵から国民を守るのが仕事のハズだ…。
※ それが、自国民を「射殺」しているんでは、本末転倒だ…。










※ どんな大義名分が、事情が、あるにせよ、父さんや母さんを、泣かせちゃダメだろ…。
※ そもそも、「軍」とは、外敵から国民を守るのが仕事のハズだ…。
※ それが、自国民を「射殺」しているんでは、本末転倒だ…。










https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM055KS0V00C21A4000000/





『【マニラ=志賀優一】中国とフィリピンなどが領有権を巡って争っている南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島のサンゴ礁周辺で、1カ月にわたり中国船が停泊を続けている。隣接するフィリピンは当該海域が同国の排他的経済水域(EEZ)だと主張し、米国とともに中国の行動を非難した。ただ、ドゥテルテ大統領は通商などで依存する中国との友好関係を保ちたい考えで、対応にはぶれも目立っている。
3月23日、ウィットサン礁の人工衛星写真=マクサー・テクノロジーズ、ロイター
「長引く中国船の停泊は明らかにフィリピンの主権を侵害している」。5日、フィリピン外務省は中国を非難した。ロレンザーナ国防相も中国船の「即時退去」を何度も要求し、連日、戦闘機を派遣すると表明した。
3月27日、南沙諸島で停泊を続ける中国船=フィリピン沿岸警備隊提供・ロイター
一方、中国政府は船は「漁船」で停泊は「嵐からの避難」だと主張するが、現地の天候は安定しており、この海域の実効支配を強める戦略の一環である可能性がある。中国外務省の趙立堅副報道局長は6日、「フィリピンは理由のない宣伝を直ちにやめ、両国関係と南シナ海の安定にマイナスの影響を及ぼさないようにすべきだ」と語った。
フィリピン政府は3月7日に西部パラワン島バタラザから西約324キロメートルにある南沙諸島のサンゴ礁周辺に中国船220隻が停泊しているのを発見した。複数回の巡察により3月末時点でも同じ場所に40隻以上とどまっており、さらに周辺の岩礁や島周辺にも中国船が停泊していることがわかった。
2012年にも、両国はフィリピンのルソン島西側に位置するスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権を巡り対立した。米国が仲介に入り、双方の公船を退去させることでいったんは合意した。しかし中国は居座りを続け、当時のオバマ米政権もこれを事実上黙認。中国はスカボロー礁の実効支配を既成事実化した。
海上輸送の要衝でもある南シナ海では中国が独自の境界線「九段線」を主張する。この主張を巡り、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は16年、フィリピンの訴えを審理し国際法上根拠がないと認定した。しかし中国は判決を受け入れず、自国防衛の「第一列島線」の一部として軍事拠点化を進めている。
これに対し、米国は自国艦船による「航行の自由作戦」でけん制を図る。南シナ海は米中対立の最前線となっている。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は3月末、フィリピン側との電話協議で、同国の立場を支持する考えを伝えた。
ただ、当のフィリピンは対中強硬一辺倒ではいられない。ロクシン外相はツイッターで「私たちは法に基づいている」「(当該海域は)我々のものだ」などと発信を続ける一方で、4月2日には中国の王毅外相の招きに応じ、訪中した。中国メディアはロクシン氏が2国間の関係発展への期待を語ったと伝えた。
背景にあるのが、経済面の中国依存だ。20年のフィリピンの輸出総額のうち、中国と香港を合わせると全体の29.3%を占め、日本(15.5%)や米国(15.2%)を大きく上回る。対中輸入は23.2%と他国・地域を引き離す。投資や観光客の受け入れでも中国の存在感は年々高まっている。
フィリピンでは3月、中国から無償提供された科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製の新型コロナワクチン投与が始まった。29日には同社製ワクチン100万回分の到着を、ドゥテルテ氏や駐フィリピン中国大使らが並んで見届ける式典も開かれた。
4月6日の声明で、ドゥテルテ氏は中国船問題についての沈黙を破り「両国の友好関係やワクチン、コロナ後の経済回復を含む協力への障害にはならない」と融和姿勢を鮮明にした。
亜細亜大学の伊藤裕子教授は「フィリピンは領有権問題で揺さぶられても、経済面やコロナ対策で中国との関係を維持せざるを得ない立場にある」と指摘する。
「海上民兵」、中国共産党が指導 対外工作の先兵か
中国は領有権を主張する海域に民兵を派遣してきた(写真は12年、尖閣諸島周辺)=海上保安庁提供・ロイター
【北京=羽田野主】南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島での中国船停泊を巡り、フィリピン政府は中国の「海上民兵」が乗船していると指摘する。中国側はこれを否定するが、1カ月にわたる海域での「漁船の避難」は異例で、中国共産党が指導する作戦の一環との見方は拭えない。
中国国防法は民兵を人民解放軍、海警局を傘下に置く人民武装警察部隊(武警)とならび中国の武装力の一角と明確に位置づけている。中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記がトップを務める軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の指導を受ける。
人民解放軍の機関紙、解放軍報によると、2010年時点で基幹となる民兵は600万人いるとされる。民兵の多くは経験豊富な退職軍人らが占める。戦時は正規軍との合同作戦や独自作戦などに従事し、平時は後方支援や社会秩序維持などを担当する。
民兵の予算は国防費に含まれる。07年時点で83.59億元(日本円で約1400億円)で、当時の国防費の2.35%を占める。21年の国防費は07年の4倍近く、民兵の予算も膨張しているとみられる。
民兵のなかでも海上民兵は漁民や離島住民や港湾関係者らにより組織される。海軍で訓練を受け武装している可能性もある。軍や海上保安機関といった位置づけがあいまいで、外国政府の機関が取り締まりにくいとの指摘がある。
中国は領有権を主張する海域に積極的に民兵を派遣してきた経緯がある。日本政府関係者は「16年8月に尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺海域に中国漁船が大量に集まったときも海上民兵が乗っていた可能性が高い」と話す。
海上民兵が乗る漁船には中国独自の衛星測位システムが搭載されていて、中国海警局などと連携を取りながら統一行動をとっているとの指摘もある。中国の主張を既成事実化する「先兵」としての役割を担っている可能性がある。
多様な観点からニュースを考える
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岩間陽子のアバター
岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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別の視点
これは本当に対処が難しい。いつ、日本近海で起こってもおかしくない事態。
他方、フィリピン政府が望む以上のエスカレーションをしても、迷惑をかけるだけです。背景にはアジアでの米中軍事バランスが完全に中国有利になっている現状があり、そこにしっかり対処しない限り、「言葉の戦争」だけ続けても、外交的な出口は見出せないでしょう。
また、ワクチン戦争で日本が完全に戦力外になってしまった現状は、日本自身の安全保障問題です。ワクチン製造能力がない国は、特定の種類の攻撃に対して脆弱です。一定の緊急時には、既存の手続きを変更して猛スピードでワクチン開発・認可・製造ができる法的枠組みを整備する必要があります。
2021年4月8日 19:01
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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別の視点
船を横につけてその規模を誇るのは「赤壁の戦い」で痛い目にあっているはずなのだが、それでもこうやって存在を誇示する手法を使うのは、おそらくフィリピン相手なら火をつけることはないだろうという見通しがあるのだろう。
しかし、こうした「居座り」戦術が一般化してくると、今後、東シナ海でも似たような手を使ってその存在を既成事実化し、領域の主張をしてくる可能性がある。
中国は国際法上の合法性を無理やりこじつけながら、大胆なことをやってくるというパターンがここでもみられる。
2021年4月8日 18:43 』
ミャンマー情勢の鍵握る少数民族武装勢力の動向
「前例のない大規模な内戦」目前か 停戦無視で空爆
海野麻実 (記者、映像ディレクター)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22648


『国軍によるクーデターが実行され、1日で2カ月が経つなか、国軍による市民への弾圧は激化し、500人以上が犠牲になるなど緊迫感は高まっている。1日、抗議デモに協力している少数民族武装勢力に対し、自ら発した停戦を無視して空爆を行い、武装勢力は反撃を開始。事態は緊迫化している。
先月31日、国連の安全保障理事会は国軍のクーデターによる犠牲者が相次ぎ混乱が深まるなか、非公開の緊急会合を開催。会合で演説したブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)は、「前例のない大規模な内戦が起きる可能性が高まっている」という強い言葉を使い、国際社会の結束を訴えたうえで、国軍と「少数民族武装勢力」との間の緊張が高まっていることを指摘した。
事態の鍵握る少数民族武装勢力の動向
もはや手段を選ばない国軍による残虐な攻撃が続くなか、今ミャンマー情勢の最も鍵を握るのが、この「少数民族武装勢力」の動向だ。これまで非暴力の抗議運動が呼びかけられ、武器を持たない市民らはあらゆる知恵を絞りながら丸腰で戦い続けてきたなか、国軍は容赦なく不服従運動やデモ抗議に参加した人々らを逮捕・拘束、さらには住宅への放火や銃撃などで女性や子供を含め多くの犠牲者を出してきた。残虐な行為はますます加速する一方で、市民の側に立つことを表明し、デモ抗議を行う人々らを警護、弾圧から逃れた不服従運動のメンバーなどをかくまうなどして注目されているのが、「少数民族武装勢力」だ。
国軍の空爆で破壊されたミャンマー・カイン州にある学校 (Free Burma Rangers提供)
なかでも目立った動きを見せているのが、南東部カイン(カレン)州のタイ国境地帯を拠点とする「カレン民族同盟」(KNU)である。「カレン民族同盟」は、国内最大規模の反政府勢力で、軍政に対して自治権やカレン族の権利尊重などを要求して戦ってきた。ミャンマー国軍はクーデター後から少数民族勢力の懐柔に努めてきたが、カレン民族同盟は早い時点から「民主化プロセスを阻害し、国の将来に悪影響を及ぼす」と国軍を強く非難。
武装組織メンバーが、デモ抗議参加者を警護する様子などはソーシャルメディア上で広く拡散され、民主化に向けた抗議の連帯を、民族を超えて高める一役を担ってきた。ミャンマー市民らは、次々に「カチン族も民主化を求めて戦ってくれている」「今度はシャン族も連帯を示してくれている!」など歓喜の声を惜しみなく上げている状況だ。
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『国民の3割占める少数民族の存在感
ミャンマーでは、主に仏教徒のビルマ族が国民の約7割を占めているものの、カレン族、シャン族、カチン族などを始めとした少数民族が135にも及んでいると言われている。これらの少数民族は、1948年の独立直後から自治権の拡大や民族間を超える平等を求めて、国軍と衝突を繰り返してきた。この背景には、歴代の政府が多数派のビルマ族を優遇し、少数民族の土地にビルマ人を移住させるなどの政策が取られてきたことがある。国境沿いを中心に、ミャンマーの国土の実に3分の1が武装勢力によって支配されているとの統計もあり、人口の3割を占める少数民族の影響力は決して無視できないものだ。
2016年にアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟・NLD政権が発足した後は、最優先課題の一つとして少数民族との和平が掲げられたものの、自治権などを巡って完全な合意が得られることはなく和平交渉は停滞してしまった。NLDが主導する和平協議に対して国軍が協力的でなかったことが理由の一つとして挙げられる。しかし、ここへきて、「国軍」という共通の敵を前に、俄かに少数民族とビルマ族との連帯の空気が醸成され始めている。
この多数派のビルマ族と少数派民族の間の「連帯」の動きは、国際社会からも大きく非難を浴びてきたイスラム系少数民族ロヒンギャとの間にさえも起きた。
ロヒンギャの難民キャンプから続々と、民主化に向けた市民の抗議運動を指示する写真がフェイスブックなどに投稿され、3本指を立てて連帯を示すロヒンギャの姿が拡散されると、ミャンマー市民からは「これまでロヒンギャについて声を上げなくてごめんなさい」などの声が相次ぎ、さらには、学生連盟などが正式なロヒンギャへの「謝罪文」を公開するという、クーデター前からは考えられない、異例の事態が起きている。
少数民族出身のササ氏が「革命の顔」として発信
こうした少数民族との間の動きは、政治的思惑をはらみながら国軍とNLD側双方において意図的に行われてもいる。NLDの議員らがクーデター後に臨時政府のような形で設置した「連邦議会代表委員会(CRPH)」は、これまでに(3月17日)、すべての武装勢力について非合法組織の指定を解除するとの声明を発表、抗議活動を続ける市民を保護していることへの感謝の意を表すなど、積極的な姿勢を見せている。さらに「CRPH」は、少数民族が長年にわたって要求してきた連邦制民主国家の樹立を約束しており、少数民族に対して「共通の敵」である国軍への明確な共闘姿勢を打ち出している。
特に注目されているのは、チン州出身の少数民族である医師、ササ氏の「国連特使」としての起用だ。ササ氏は、欧米メディアを始め、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアでも積極的に海外に向けての発信を担うなど、革命の「顔」として活躍しており、国軍に対抗する姿勢を打ち出しながら少数民族の支持拡大を狙う「CRPH」側の戦略は明らかに功を奏しているように見える。
事実、歯に衣着せぬ発言で、国軍への強い非難も辞さず、連帯を呼びかけるササ氏のソーシャルメディアのアカウントは、民族や宗教に関係なくミャンマー人から今、絶大な支持を集めており、彼が発する文言は瞬く間に拡散されている状況だ。国軍が政治関与への理由付けとして掲げてきた少数民族の武装組織鎮圧に対し、和平を促進することにより国軍統治の必然性を崩していき、国際社会による支援をさらに取り付けたい背景もある。
ササ氏は既に、南東部のカイン州に多いカレン族の自治拡大を求め国軍と衝突してきた武装組織カレン民族同盟(KNU)の代表や、北東部のシャン州、西部のチン州の武装組織の幹部とも相次いでZoom会談を行ってソーシャルメディアを通じて報告をし、ビルマ族だけでなく少数民族からも非常に好意的に受け止められている。
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『少数民族武装勢力の懐柔に国軍も躍起
だが、少数民族の懐柔に躍起になっているのは、国軍も然りだ。クーデター直後から国軍は、武装勢力との和平実現を優先政策として掲げ、最高意思決定機関「行政評議会」のメンバーに少数民族出身者を登用。そのメンバーには、モン州やシャン州出身の少数民族のほか、国軍との間で戦闘を繰り返してきた、西部ラカイン州の武装勢力アラカン民族党(ANP)の出身者も含まれていた。
さらに3月に入ってからは、国軍が大規模な掃討作戦を行うなど、激しい戦闘を繰り広げてきたラカイン州の武装組織「アラカン軍(AA)」のテロ組織指定を解除するなど、大胆な動きにも打って出た。そうした経緯もあり、アラカン軍は、民衆による抗議を大々的に支援するカレン民族同盟などとは異なり、しばらくその態度を明確にしてこなったわけだが、ここへきて、中国国境付近を拠点とする「タアン民族解放軍」(TNLA)と「ミャンマー民族民主同盟軍」(MNDAA)と共に、声明を発表。「もし市民の殺害を続けるならば、『春の革命』を掲げる市民とともに立ち上がる」として、軍が市民への残虐な弾圧をやめない限り、報復を辞さないと警告した。これは国軍にとって大きな誤算であるとも指摘されている。
事実、国軍は先月31日、翌4月1日からの1カ月間に渡る停戦を一方的に宣言。「武装勢力から新たな攻撃がなければ、軍事作戦は1日から1カ月停止する」と発表し、混乱する事態になんとか手立てを打とうとするような動きを見せたものの、「政府の安全を妨げる行為に対する防衛」は停戦対象外としており、市民らへの武力行使が収まる兆しは見えない。
むしろ、今や複数の武装組織が「民主主義を掲げる市民の抗議デモを支援する」として市民を守るだけではなく、反撃も辞さないプロアクティブな態度を表明していることから、これまで非暴力が掲げられてきた民衆による抗議運動は、武装組織を交えた国軍との報復の応酬へと異なる様相を呈してくる懸念が高まっている。こうした状況が、先般の安保理での「内戦」への発展に対する深刻な指摘に繋がっている。
激化する「内戦」の様相呈し始めたミャンマー情勢
花を一輪手にそっと持ち3本指で抵抗を示すフラワーストライキ (ミャンマー市民提供)
現に、暴力の連鎖は始まっている。
「国軍記念日」の式典が開かれた先月27日、抗議デモを行う市民らを警護するなどしてきたカレン族が自治を行う地域の村が空爆され、複数の死傷者が出た。これにより、住民3000人以上が隣国タイに避難をする事態となり、情勢は緊迫さを増している。さらに、冒頭述べたように、国軍は自ら停戦を無視して1日、再び空爆を行うなどもはや戦闘態勢に入ることを辞さない構えにも映る。カレン民族同盟側が停戦協定を破って、国軍の基地を攻撃したことへの報復だと強調しているが、非暴力での抗議を持ってして、犠牲者が後を絶たない現実に、次第に市民の側でも「戦わざるを得ない」との意思を固くする人々が出てきていることも確かだ。
ヤンゴン出身の女性はソーシャルメディア上で、「もう既に内戦は始まっているのです。私たちは戦わなければならない段階に来ているのかもしれません」と投稿。女性や子供までもが犠牲になる残虐な攻撃も辞さない国軍の態度を前に、手段を失った一部の市民らが少数民族側の武装組織に入って訓練を受け始めたという報道もされ始めている。
奇しくも、2日、ミャンマー市民らのソーシャルメディア上は、美しい花の写真で溢れた。「フラワーストライキ」——若者たちによって呼びかけられたこのストライキでは、可憐な花を一輪、抵抗を示す3本指の中にそっと抱えて撮影した写真が次々に静かに投稿され、犠牲になった英雄たちへの思いを込めて手向けられた。暴力を望まない、ただ民主主義を求めて戦う市民らの心は果たして通じるのか。
「ミャンマー国内ではもう立ちゆかない問題です。国際社会の皆さんの声が必要なのです。もう事態は一刻の予断も許さない状況です」ソーシャルメディアを通じて世界へ向けて懸命に訴えるミャンマー市民らの声が今、重く響く。』

米中対立下の世界で「いいとこどり」はできない
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22607

『中国政府は、3月11日に閉幕した全人代で、香港の立法委員選挙の制度を変えることを打ち出し、香港の一国二制度をほぼ完全に葬り去ろうとしている。直接選挙される立法委員を50%から22%まで減らす。従来は行政長官を選んでいた選挙委員会の権限を拡大し、立法会の議員の一部も選ぶようにする。資格審査委員会を設置し、候補者が「愛国主義」であるかどうかなどの審査を受けるように求める。などといった内容である。これは、中国による自由主義の価値への重大な挑戦の最新の例の一つである。
Rawf8 / timbaba / iStock / Getty Images Plus
こうした香港情勢をとらえて、エコノミスト誌3月20日号は‘How to deal with China’と題する社説を掲載し、これから中国に見られる専制と自由の価値を擁護する勢力間の長い闘争が行われていくという情勢判断をしている。香港の自治と民主政が中国に踏みにじられていったこと、中国の政治の在り方を見て、こういう判断に行きついたということだろう。3月下旬のアンカレッジでの米中会談を見ても、この情勢判断は正しいと思われる。
日本は、米中対立の時代が来ていることを明確に理解し、その価値観からして米国の側に立つというのが基本である。安全保障は米国に依存するが、中国との関係も特に経済面では重視するというような姿勢をとれるような生易しい状況ではない。
この米中対立については、イデオロギー対立なのか、経済・技術の主導権争いなのか、あるいは大国間の勢力争いなのか、いろいろな説明があるが、これらの対立が複合的に重なり合ったものであると考えるべきだろう。米ソ冷戦時代はソ連の経済力は弱く、対立はイデオロギー対立と軍事対立を中心に行われたが、今度の米中対立は、中国が強い経済力を持つ中で、経済技術面での競争がかなりの比重を占めることになるだろう。これが物事を複雑化する。
短期的には、もし選択を迫られれば多くの国は西側より中国を選ぶ可能性もある。中国は64か国にとり最大の商品貿易パートナーであるが、米国は38か国にとりそうであるに過ぎないからだ。長期的には、国の大きさ、多様性、革新性により、中国は外部圧力に適応できる能力を備えているかもしれない。香港での民主主義の後退は香港のドル決済や株式市場の繁栄に影響を与えていないし、中国本土への投資も盛んであるという。レーニンは「資本家というものは自分を縛り首にする縄さえ利潤のためには売るものである」といったことがあるが、大企業も徐々に中国への投資などを考え直すべきであろう。
上記社説は、厳しい米中対立を予測しつつも、対応策として対中国「関与」が唯一賢明な道であるというが、これには必ずしも賛成できない。「関与」は何を意味しているのか、分からないが、中国の国際法違反を看過して普通の対話をするということならば、賛成しがたい。ダメなものはダメとし、それなりのコストを課していくべきであろう。
より長期的には、中国の勢いはそれほど続かないと思われる。人口の少子高齢化はすでに始まっており、一人っ子政策のマイナスは大きくなっている。特に若年層での男女の比率の不均衡は、さらなる少子化につながる。環境面での制約、水不足や大気汚染はいまそこにある危機である。さらに言うと、専制体制は政治の不安定化の危険と隣り合わせである。国民の負託を受けているとの正統性がない政権には脆弱性がついて回るものである 』
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM07A570X00C21A4000000/


『【北京=羽田野主、台北=中村裕】台湾問題に関して中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が米欧日などに反発姿勢を強めている。各国が連携して台湾への関与をみせる動きにいらだち、台湾周辺で軍事行動をくり返すなど、台湾や南シナ海を含む「核心的利益」で譲らぬ姿勢を誇示している。7月の共産党創立100年を控え、応酬がエスカレートするとの見方もある。
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台湾侵攻なら中国に経済対抗策検討 米下院小委員長
中国軍機15機が再び台湾防空識別圏に侵入
「米国は台湾問題が高度に敏感であることを十分に認識し、一線を越える火遊びのような間違った危険なやり方をやめるべきだ」。中国外務省の趙立堅副報道局長は8日の記者会見でこう発言した。
趙副報道局長が批判したのは、積極化する米国の軍事的な関与だ。米海軍第7艦隊…
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米海軍第7艦隊(神奈川県横須賀市)は7日、ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が、中国大陸と台湾を隔てる台湾海峡を同日通過したと発表した。声明で「米軍は国際法が許す限り、どこでも飛行、航行、展開を続ける」と主張した。
もっとも、当の中国による軍事的な威嚇も際立っている。中国軍は4月5日ごろ、空母「遼寧」を中心とする軍事訓練を台湾周辺で実施した。7日には戦闘機など15機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入し、一部は台湾の東側海域まで飛行した。中国共産党系メディアの環球時報は7日付の紙面で「台湾を完全に包囲できる能力を示した」との見方を伝えた。
足元で中国の動きが活発になっているのは、4月中旬に予定する日米首脳会談への警戒がある。日米両政府が、共同声明で台湾海峡の安定が重要との認識を盛り込む方向で調整が進んでいるためだ。中国メディアの関係者も「王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が5日に茂木敏充外相に電話をかけたのは、菅義偉首相の訪米前に台湾問題でクギを刺す狙いがあった」と話す。
台湾以外でも、南シナ海には4日に米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」が入り、同時期にはインド東方のベンガル湾で日米豪印と仏の海軍による海上共同訓練「ラ・ペルーズ」が始まった。広域で進む中国の海洋進出へのけん制に対し、中国としては矛先を向けやすい対台湾への威嚇で反発を示している可能性がある。
台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の蘇紫雲所長は「7月の共産党創立100年を前にし、まだ序の口レベルの行動だ」と指摘する。「欧米などによってさらにインド太平洋地域に変化が起きれば、中国は台湾への威嚇をさらにヒートアップさせる」とみる。
習指導部にとっては、2022年の北京冬季五輪と共産党大会を前に国際社会の猛反発を招く軍事行動はとりにくい。当面は、台湾の領空近くでの軍事訓練など、いわゆる「グレーゾーン作戦」による圧力で、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権を抑え込む戦術とみられる。マクマスター元米大統領補佐官は3月、「22年以降が台湾にとって最大の危機を迎える時期になる」と警鐘を鳴らしている。
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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説
3月に米インド太平洋軍の司令官が「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と話し、先の日米2プラス2の共同声明にも「台湾海峡の平和と安定の重要性」が盛りこまれました。中国の強硬姿勢の裏側でバイデン米政権の危機感と積極姿勢がめだちます。
日米安保条約の目的にある「極東の平和維持」には台湾も含まれるのが日本政府見解で、万一の有事には在日米軍が使われるでしょう。そのとき米国は日本に何を求めるのか。
脅威が生じたときは随時日本と協議することになっていますが、台湾周辺での緊張拡大は日本にとって人ごとではなく、いざとなったときに慌てないための準備が必要になります。
2021年4月9日 8:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN032OB0T00C21A4000000/

『【ワシントン=中村亮】中国による台湾攻撃を抑止するため、米議会として中国が武力行使した際の経済対抗策を検討し始めた。与党・民主党のアミ・ベラ下院議員が日本経済新聞の電話インタビューで明らかにした。現段階で具体的な内容には踏み込んでいないが、米軍のアジアシフトと合わせ、中国をけん制する狙いがある。
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アジア政策に関する立法や予算に強い権限があり、バイデン政権の対中政策にも影響力を持つ。台湾有事に特化して中国に経済制裁を科す法制度は未整備で、新法制定の動きにつながる可能性がある。
ベラ氏は、下院外交委で非公式に「中国が台湾侵攻を行った場合の経済面の報いについて議論している」と明らかにした。米国の経済対抗策を「中国共産党政治局が(台湾攻撃について)部内会議をするときに認識していることが重要だ」と述べ、台湾侵攻を思いとどまらせる効果を狙う。バイデン政権とも連携していく考えだ。
同氏は台湾情勢について「中国が一段と攻撃的行動をとっている」と批判。「(米国は)いかなる攻撃的行動にも迅速に対処するという強いメッセージを送りたい」と述べた。
米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は3月、中国が6年以内に台湾に武力を行使する危険性が高まっていると主張。台湾有事を想定し、アジアにミサイル網をつくる構想を掲げた。
ベラ氏は具体的な対抗策への言及を避けたが、オバマ政権時に米財務省で経済制裁を担当したブライアン・オトゥール氏は「新法を伴う新しい制裁の枠組みが選択肢になる」とみる。最近は米国で米台高官の往来や台湾への武器売却を促す法律が相次いで成立した。ともに台湾を外交・安全保障面で支援する狙いだが、中国が台湾に侵攻した場合の経済制裁には触れていない。
現状では台湾侵攻に対して経済制裁を科す場合、米政権は国際緊急経済権限法を適用することが考えられる。同法は有事の際に民間の商業活動を制限する強大な権限を大統領に付与し、トランプ前政権は中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の制限などで活用した。議会関係者は同法について「あらゆることに適用できるだけに特定の事象を抑止する効果が薄い」との認識を示す。
別の議会関係者は「武力には武力で対抗しなければならない」と指摘し、経済面の対抗措置をちらつかせても中国に対する抑止効果は弱いとみる。議会では米国の台湾防衛を義務にすべきだとの意見がくすぶり、特に共和党でこうした考えを支持する向きがある。
Ami Bera 米民主党の下院議員。カリフォルニア州7区選出。2019年12月に下院外交委員会のアジア・太平洋・中央アジア・不拡散小委員会のトップに選出される。インド系米国人で、米韓議員連盟の共同議長も務める。政界入り
前は医療業界で勤務。
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00702/?cx_recs_click=true



『尖閣を中国が実効支配している現実を作り出す
中国は1992年に施行した「領海法」に、「釣魚島(中国表記で、尖閣諸島の魚釣島のこと)を含むその付属諸島」が領土だと規定した。一方、日本は1895年に尖閣諸島を沖縄県に編入し、領土としており、尖閣が日中対峙(たいじ)の海となっている。
2012年4月に東京都(石原慎太郎都知事)が魚釣島など尖閣3島の購入を表明し、その年の9月、日本政府が尖閣3島を国有化した頃から、事態が大きく動いていく。宮本氏はこう説明する。
「この年5月の人民日報ネット版は、『日本のコントロールに対応して、中国は早急に海洋安全戦略を制定する必要がある』と書いている。それまで中国には、海洋安全戦略がなかったということだ。中国の海の警察権は公安だけでなく、漁業、税関などがバラバラに行使していたが、国家海警局に一本化し、人民解放軍の系列下に入れた。こうした整備のまとめとして今年1月に制定したのが海警法。中国の立場からすると、海警法は海警局を管理するためのものだ。
中国は尖閣を自分たちのものと主張しているので、日本の実効支配の現実を覆す、つまり日本と同じように、中国も実効支配しているような現実を作り出す、というのが中国の基本政策だ。だから、中国にとって自分たちの領海で日本漁船が操業していれば、海警船が取り締まることになる。
尖閣における現状は、中国に勢いがあり、日本は押され気味だ。中国が実力によって現状変更を行い、海警局をさらに強化し、変更された現状を日本に認めさせようとしている。そういう中での海警法の登場であり、日本が警戒するのも当然だ。力による現状変更は国際法違反であり、『いかなる紛争も平和的に解決を』と定めた国連憲章違反である」
海警法は国際法違反と言えるか
しかし、「海警法は国際的水準からすると問題がある法律ではあるが、国際法違反と断定するのは難しい」と宮本氏は指摘する。武器使用についても、「アメリカのコーストガード(沿岸警備隊)でも武器は持っている。だから、海警法が武器使用を定めたからといって、国際法違反とは言えない」と話す。
問題は、国連海洋法条約では領海内に限定されている外国軍艦等に対する強制措置を、管轄水域内でとることができる、としている点だ。
しかも海警法には、中国の管轄海域に関する具体的な定義が記載されてない。「当然、その点は批判されるべきだ。しかし、中国には中国の解釈があり、国際法違反をしているつもりはない。しかも、どちらが正しいか裁定する仕組みも弱い。国際政治の現場においては、実際の行動のせめぎ合いの中で、国際慣行法が出来上がるという側面もある」
「国際法の問題はデリケートで、日本の皆さんの意見と、国際政治の現場感覚が合わないこともある。しかし、主張し行動しないと日本に不利な慣行が出来上がってしまう。だから日本も発言し行動する必要がある」と宮本氏は指摘する。
「日本は中国の力に屈する」と思わせてはならない
尖閣問題の今後について、宮本氏はこう提案する。
「今すぐに中国と話し合いを始めると、中国内に『やっぱり力で日本を押したのは正しかった』と誤解する輩(やから)が出かねない。そうではなくて、日本は海上保安庁の力を強化し、海上保安庁と海上自衛隊の連携を強化し、いざという時には日米安保条約の発動があるとの前提で演習を行い、『尖閣は日本の領土であり、断固守り抜く』との決意を中国に示した後、話し合いに入るべきだ。軍事力による解決は、すべての国の望むところではない」
「中国の圧倒的な軍事力の前に、日本が黙らされるようなことがあってはいけない。しかし、中国が軍事力増強を続ける限り、日本は中国と口も利かない、というのもよくない。日本は中国と太いパイプを持って、ガンガン話し合いをすべきだ。経済関係も、日米の安全保障にマイナスの影響を及ぼさない範囲で強化すべきだ。日本経済の再活性化のため、中国市場を最大限に使うべし」
米中の全面対決は両国も望んでいない
だが、3月中旬の米アラスカでの米中外交トップ会談で見られたように、今、2大大国が激しく対立している。全面対決はあるのか。宮本氏はこう否定する。
「アメリカは同盟国の意向を聞きながら、そこを固めて、中国と対峙する姿勢を取っている。日本は尖閣問題で、日米の軍事安全保障の柱が大きくなった結果、アメリカに引っ張られる。一方、中国もあわてて走り回り、王毅外相が中東に行ったりして、自分たちを支持する人たちを固めようとしている。このまま行ってしまえば、米ソ冷戦時代の復活になってしまう。
米中の全面対決はアメリカも中国も全く望んでいない。これはバイデン大統領もよく分かっていると思う。アメリカ経済にも響いてくるので、中国との経済の全面的なデカップリング(分断)をやる気もありません」
中国の台湾侵攻の可能性は
ところが、最近、「台湾有事」が心配されるようになってきた。典型的な例は、デービッドソン米インド太平洋軍司令官が米上院軍事委員会の公聴会で行った「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」という証言だ。
宮本氏は「中国が軽々に軍を発動することはない。もし台湾を攻撃したら、中国の評判は世界中で落ちてしまう」と、次のように解説する。
「この地域の米中の軍事バランスは中国有利に展開している。この地域では、米海軍の第7艦隊(西太平洋とインド洋が担当海域)が重要な役割を果たしてきた。だが、中国が軍備増強を続けた結果、台湾有事の際に第7艦隊は台湾に近づけなくなった。つまり現時点では、第7艦隊がぽっくり空いた形で米中の軍事バランスが考慮されなければならないようになった。
アメリカはトランプ政権時代から、台湾との関係を強化しようと、次々と手を打ってくる。それを中国が座視すれば、アメリカの行動を認めたことになる。ゆえに対抗策として中国は、人民解放軍による台湾への威嚇を行い、台湾と中国の中間線を越えたり、どんどん軍事演習をエスカレートさせたりしている。それを見た米軍人が『中国が出てくるかもしれない』と思い、今回の議会証言となった。
2020年8月10日、台北市内の総統府で会談した台湾の蔡英文総統(写真右)と米国のアレックス・アザー厚生長官。アザー氏は1979年の米台断交以降、訪台した最高位の米閣僚。=台湾[総統府提供] 時事
習近平国家主席が歴史に名を残すために、台湾の統一をやるのではないか、という声がある。しかし、中国の立場になって考えたら、現状における軍の発動は国民に説明ができない。台湾が、今攻撃しないと独立してしまう、という切迫した情勢になって、初めて台湾攻撃は可能になるのだ。でも、台湾の蔡英文総統もよく分かっているから、一定の線を超えることはない。
台湾は、世界の半導体の主要生産国の一つであり、もし中国が台湾を攻撃したら、世界の株価が暴落し世界経済は大混乱となる。その結果、中国経済の足も引っ張られ、中国国民が『なんで台湾を攻撃したのか』と習政権を批判するだろう。中国の一般国民にとって、生活が何にもまして重要であり、台湾問題はそれほどの重要性を持っていない。
米太平洋司令官が、これからの6年間で、台湾で戦争が始まる可能性が高いと言った。この6年間というのは意味深長だ。アメリカは6年間使えば、台湾海峡の軍事バランスを、少なくともイーブン(互角)に持ってこられると思っているのだろう。これからアメリカは、日本に対する軍事的要求を強める可能性は高い」
世界は中国と共存できるか
新疆ウイグル自治区の人権問題を理由に、米欧が中国に制裁措置へ踏み切るなど、中国包囲網が広がっている。世界は中国と共存できるのか。
「習主席は再三再四、『自分たちは現行の国際秩序の破壊者ではなく、擁護者だ』と言っている。国連憲章の精神と原則に代表される国際法を順守する、とも言っている。数千年の時代が流れてきた中国で、歴代王朝の統治システムを抜本的に改めたのが中華人民共和国で、指導者はどうガバナンス(統治のプロセス)を整備していくか、悪戦苦闘している。世界が中国を我々と一緒になって国際秩序を作る方向に、いかに誘導していくかだ。そのために、現在の国際秩序の中で、中国がその力に見合った待遇を受けることを認める必要がある。
『中国は異質で、我々との併存は不可能だから、中国と対抗し、中国共産党を打倒しなければならない』という意見がある。しかし、このロジックでやる限り、中国は必死になって対抗してくる。中国は既存の国際社会に対する憎悪を、今の何倍にも増大させるだろう。そういう中国と、我々の孫たちが直面しなければならないという事態は避けたい。
中国を既存の秩序に入れて、それから我々は中国と真っ向から論戦を挑んでいく。そういう中で、新しい落ち着き先ができるという方向で努力すべきだと思う。中国を我々の方向に誘導していくことは、日本にとって非常に重要な役割になる」
「(中国が何かした時)日本は中国に対して、日本の立場をきちんと表明する必要がある。ただ、それを中国に押し付けてはいけない。日本としては、その実現を希望するだけであって、中国がどうするかは中国国民が決めるべき問題だからだ。中国国民の感情を傷つける行動を日本がとると、中国が猛反発してくることもあるので、慎重さが必要になってくる」
バナー写真:乾杯をするバイデン米副大統領(当時)と習近平・中国国家主席(アメリカ・ワシントンで2015年9月25日撮影) AFP=時事 』
国軍の独善、ミャンマー混迷 樋口建史前大使に聞く
日本政府は最悪見据え、企業と情報共有を
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD058I30V00C21A4000000/
『国軍によるクーデターから2カ月あまり。ミャンマーでは市民らの抗議活動が続き、すでに500人を超える市民が殺害されるなど混迷が深まっている。ミャンマー情勢はどう推移していくのか。日本はどう向き合えばいいのか。前駐ミャンマー大使(元警視総監)の樋口建史氏に話を聞いた。(聞き手は編集委員 坂口祐一)
国民民主連盟(NLD)を率いるアウン・サン・スー・チー氏と、国軍のミン・アウン・フライン総司令官。大使在…
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大使在任中に2人の「当事者」と何度も会談するなど、双方の事情に通じた樋口氏が発したのは「事態は悪化の一途をたどっており、好転する展望は持てない。それを前提にした決断が必要になる」という厳しい言葉だった。
――市民に対する残虐な行為が、なぜここまでエスカレートしているのか?
「国軍は本気で自分たちが正義だと思い込んでいる。武器で鎮圧する以外の術(すべ)も知らない。2014年にタイで起きたクーデター後の対応処理をモデルにした甘い見込みが外れ、先鋭化しているように見える。1988年の民主化運動を軍が鎮圧したときでさえ外国人には手を出さなかったが、今回はNLD政権に協力したオーストラリア人が拘束され、アメリカンセンターに銃弾が撃ち込まれるなど、一線を越えている」
「ミン・アウン・フライン総司令官とは大使在任中、個別の会談を含め20回近く会った。政治的野心は感じたが、ロヒンギャ迫害問題で話した際には現場の写真を示しながら国軍の立場を丹念に説明するなど、良識のある信用できる人物だと思っていた。だが今回の事態を見れば、国軍にも彼自身にも国を率いる資格がまったくないことは明らかだ。見抜けなかった不明を恥じている」
――この先の展開をどう見ているか?
「残念ながら、明るい展望は描けない。想定される事態の一つは、国軍が弾圧と殺りく、大量の身柄拘束で抵抗する民衆に恐怖を植え付け、ねじ伏せてしまうというものだ。そのうえで経済対策と次の総選挙の日程を打ち出すつもりだろう」
「総選挙を経て国軍と一体の政権をつくってしまえば、欧米や日本も『民主政権』としてある程度認めざるを得なくなる――そう読んでいると思う。もちろん選挙で勝つためには、スー・チー氏を排除しNLDを非合法化するといった手段をとるはずだ。それまでは国際社会からいくら非難されようと断固譲らず、隣国や東南アジア諸国連合(ASEAN)を融和的な姿勢に引き込みながら、耐えしのごうと考えているのだろう」
駐ミャンマー大使当時の樋口氏(右端)とアウン・サン・スー・チー氏(左から2人目、2018年3月、ネピドーの外務省)=一部画像処理しています
――総選挙を実施すると表明したところで、事態が収まるとは思えないが?
「総選挙を経て国際社会に認められるというのは、『予測される事態』というより、国軍がその可能性にすがりついているシナリオ。そこでもう一つのあり得る予測は、国家統治が機能しない混迷状態。市民の抵抗がさらに拡大すると40万人の国軍と7万人の警察では制御し切れなくなる。10年間も民主社会の空気を吸ってきた国民は、何をされようと軍政を受け入れないのではないか。加えて国境地域の少数民族武装勢力も反国軍の姿勢を取り始めており、今後、戦闘が頻発する可能性がある」
「こうして国軍が完全に手詰まりとなり、総司令官の求心力が低下していけば、軌道修正を図るか、退役するか、軍内部でクーデターが起きるか。最悪のケースとして、かつての軍政時代のような鎖国状態に向かうこともあり得る」
――日本はどう対応していけばいいのか?
「甘い見通しや客観性を欠いた思い込みを捨てるのが大前提。一般論ではなく、国軍の偏狭な本質や現地の情勢をよく見て事態の推移を冷静に見通す必要がある。その分析のうえに立って、対応を判断しなければならない」
「対処にあたって日本が大事にすべきなのは、もちろんミャンマーの人たちの人権であり、命。ミャンマー国民は日本に圧倒的な信頼を寄せている。政府はミャンマー国民の命をどうやったら救えるか、そのために何ができるかを最優先で考える。そのうえで、日本の国益を守るための対応が求められる」
ミン・アウン・フライン国軍総司令官と会談する当時の樋口大使(2017年10月、ネピドーの国軍迎賓館)
――日本の国益とは、具体的には?
「『アジア最後のフロンティア』といわれたミャンマーには400社を超える日本企業が進出している。日本政府もそれを後押ししてきた。そのことは私自身責任を感じている。今回のことで、ミャンマーはいつでもクーデターが起き得る、カントリーリスクの高い国になってしまった。まずは、いま困難に直面している企業をどう守れるか、だ」
「現状は、すでに健全なビジネスができる状況にない。もちろん判断するのはそれぞれの企業だが、撤退まで視野に入れ決断を迫られている企業の相談に対しては、政府も大使館もできる限りの対応をしてもらいたい。最悪を見据えた掛け値のない情勢認識が共有されるべきだと思う」
「政府開発援助(ODA)の見直しも避けられない。2011年以降、積み上がった円借款は1兆円規模に達している。新規案件は凍結するとして、進行中の案件をどうするか、またどうやって資金を回収するか。いずれも難しい問題だが、支援する前提条件が覆った今、抜本的な見直しが迫られる。国軍との防衛交流なども再検討せざるを得ないだろう。現地に残っている邦人約1600人の安全も、帰国を含めて見極めを急がなければならない」
――日本政府は国軍にも独自のパイプがあるので、それを生かして調停すべきだ、といった指摘もあるが?
「現状では、日本は国軍の存続計画から外れているのだと思う。仮に会談を申し入れたとしても、宣伝に利用されるだけで聞き入れるとは考えにくい。逆にいきり立たせることになりかねない。だが国の運営が破綻し国軍が追い詰められる事態になれば、接触し、プランを示すことができるのではないか。そのためにも米国と認識を共有し、制裁面でも足並みをそろえておく必要がある」
――厳しい態度で臨むと、国軍を中国側に追いやる結果になる、と懸念する声もあるが?
「それほど単純な構図ではない。中国にとって内政不干渉は絶対譲れない一線だが、今回のクーデターは中国にとってはむしろ迷惑で、苦々しく思っているはず。国軍の背後に中国がいると信じるミャンマー国民は多い。このため反中感情が高まり、石油、ガスのパイプラインなどミャンマー国内の中国の権益が危うくなっている。中国にとっては自国の権益を確保することがすべて。そのためには手段を問わないが、目的に照らして合理的な行動をとるはずだ」
「中国の動きをあえて読めば、国際的な非難が集中する市民の殺害をやめさせ、国軍がもくろむ次の総選挙を国際社会が受け入れざるを得ない環境を整えようとするだろう。そのためには内政不干渉になじみのあるASEANを取り込み、中国に歩調を合わさせようとするのではないか。少数民族武装勢力への影響力の行使も考えられる」
「ただ忘れてならないのは、国軍自身が、中国以外の選択肢がない状況に戻りたいとは考えてはいないということだ。日本も国際社会も、この点を念頭において行動すべきであろう」
樋口 建史(ひぐち・たてし)
1953年生まれ。愛媛県出身。78年東大法卒、警察庁入庁。北海道警本部長、警察庁生活安全局長、警視総監などを歴任。DNA型データベースや携帯電話の本人確認、防犯カメラを使った捜査などの仕組みを導入した。2014年~18年、駐ミャンマー大使を務める。現在、カジノ管理委員会委員。
唐突な日中外相の長話、習氏が悩む隠された台湾問題
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH05B7Q0V00C21A4000000/






『5日、唐突に1時間半もの長話となった日中外相電話協議は中国側からの要請で開かれた。その日、中国は先祖を弔うため墓に参る大切な清明節の連休最終日に当たっていた。
休みを返上した国務委員兼外相の王毅(ワン・イー)のめまぐるしい動きからは、国家主席の習近平(シー・ジンピン)が、16日に予定する首相の菅義偉と米大統領バイデンの初の直接会談を相当、気にしている様子が手に取るようにわかる。
習近平の意を受けた…
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習近平の意を受けた王毅は今回、外相の茂木敏充が「深刻な懸念」を中国側にぶつける発言機会をわざわざ与えたことになる。茂木が取り上げたのは、新疆ウイグル自治区の人権状況、香港問題、沖縄県・尖閣諸島での中国海警船の領海侵入など全てのテーマだった。
中国側発表にない台湾問題が最大の焦点
王毅は茂木に発言機会を与えるという「譲歩」の代わりに、米欧と足並みをそろえた対中制裁などに踏み込まないよう強く警告した。いわゆるレッドライン(越えてはならない一線)を示した形だ。「中国は、日本が独立自主国家として客観的に理性的に中国の発展をみるよう望む」。王毅は茂木にこう強調した。
ではトップの習近平が今、最も気にしているのは何か。それは中国外務省が会談後に発表した2つの文章の行間に透ける。逆説的だが、直接には一言も書いていないテーマがもっとも重要なのだ。間違いなく台湾問題である。2022年の共産党大会でのトップ続投を手始めに長期政権を狙う習近平にとって、台湾問題は自らの運命をも左右する重大な問題である。
日米両政府はワシントンでの首脳会談の際、発表する共同文書で「台湾海峡の安定が重要だ」との認識を明記する方向だ。台湾海峡の問題を日米首脳会談の文書に書き込むのは異例である。中国との国交正常化前の1969年に当時の首相、佐藤栄作と米大統領のニクソンが共同声明で、台湾地域の平和と安全の維持が日本の安全に重要だと指摘した例などはある。
3月中旬、米国務長官のブリンケンと国防長官のオースティンがそろって来日し、日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開いた際も、共同発表に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した」と記し、中国を名指しで批判した。この時、中国外務省は「自ら進んで米国の顔色をうかがい、戦略的な属国になっている」と日本を厳しく批判している。
菅首相とバイデン大統領
過去の日米2プラス2の共同発表では、中台に関して「両岸関係の改善に関するこれまでの進捗を歓迎しつつ、対話を通じた平和解決を促す」などとした例がある。こうした当事者に「促す」形と違い、今回は危険を予想しながら日米が共同対処を検討するニュアンスが出ている。
その前提は3月9日、退任する米インド太平洋軍司令官、デービッドソンの発言だった。急速に軍事力を増強する中国による台湾侵攻の可能性について、今後6年以内に明白になると予測している。
台湾対岸の福建省から発信
習近平がどれほど台湾を重視しているかは、米アラスカでの厳しい米中対立後の3つのエピソードが証明している。直後の3月下旬、習は福建省の茶の名産地、武夷山で悠々とお茶を飲み、竹の筏(いかだ)船に乗って川下りを楽しんだ。夫人の彭麗媛を伴ったリラックスした旅の様子は、中国のニュースでも紹介された。
福建省の武夷山付近で竹製の筏船に乗る習近平国家主席(3月下旬、中国国営中央テレビの映像から)
習にとって福建省は1985年から17年を過ごした故地だ。今回、自らは訪れなかったが、台湾海峡に臨む都市、アモイは習夫妻にとって新婚時代を過ごした思い出深い地でもある。3月22~25日の4日間にわたるのんびりとした福建省視察は、派手な米中のやりあいなど気にしていないというポーズにも見えた。
その実、習のホームグランドといえる福建省への旅は、後に仕組まれていた中国外交の大パフォーマンスの序章だった。判明したのは習が去ってから6日後である。今度は中東歴訪から戻ったばかりの王毅が慌ただしく福建省に入った。
訪れたのは武夷山の山麓にある景勝地の南平と、海沿いのアモイだ。米欧中心の中国包囲網に対抗する駒に使われたのはシンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンという東南アジア諸国連合(ASEAN)4カ国と韓国の外相らだ。
会談に先立ち握手する韓国の鄭義溶外相(左)と中国の王毅国務委員兼外相(3日、中国福建省アモイ)=聯合・共同
福建省が選ばれた背景にも政治的に大きな意味があった。「忘れないでほしい。福建の対岸は台湾だ。これほど多くの国が中国を支持していると台湾に見せつけているのだ」。中国共産党機関紙、人民日報系のメディア人は自身のブログでストレートに福建省での外交の意義を説明している。
とりわけ4月3日、王毅が韓国外相、鄭義溶(チョン・ウィヨン)と会談したアモイは微妙な場所だ。台湾海峡を巡って米中の緊張が高まっていた。習近平の一見、優雅にみえた福建省視察、そして王毅の福建省での一連の外交は、台湾というキーワードでつながっていたのだ。
日中協議に当てた台湾周辺での空母訓練発表
台湾を意識した3つ目のエピソードは軍事面である。日中外相電話協議と時を同じくする5日、中国海軍の報道官は空母「遼寧」を含む艦艇が台湾周辺の海域で軍事訓練を実施したと発表した。中国空母を核とする艦隊はその前の3日、沖縄本島と宮古島の間を抜けて南下し、太平洋側から台湾周辺に達していたのだ。
艦載機の離着艦訓練を実施する中国の空母「遼寧」(2018年4月)=共同
日本側が持つカードは、ドイツとの間で4月中旬、初めて実施する方向で調整している外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)だ。今回はオンラインでの開催となるが、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた安保協力を議論する。ドイツの影響力が大きい欧州連合(EU)はウイグル族の人権問題で対中制裁に踏み切ったばかりだけに、中国側の警戒感は極めて強い。
米アラスカ州での対峙が一つの起点となった米中の激しいせめぎ合い、そして国際的な孤立状態の回避を最優先して休みなしで様々な外交戦を展開する中国。来年、国交正常化から50年を迎える日本と中国の関係も大きな影響を受けるのは間違いない。今回の日中外相電話協議での腹の探り合いはその一つにすぎない。(敬称略)
中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。
クリックすると習近平指導部データへ https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/chinese-communist-party-leaders/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA057LX0V00C21A4000000/

『海上自衛隊は5日、米国、オーストラリア、インド、フランスの海軍と共同訓練を実施すると発表した。インド東方のベンガル湾で7日まで開く。インド太平洋地域での中国の海洋進出を念頭に、日米豪印の協力枠組み「クアッド」と太平洋に領土を持つフランスの連携を深める。
日米豪印の海上共同訓練「マラバール」に参加した艦船=4日、インド沖のベンガル湾(インド海軍提供、共同)
仏海軍の強襲揚陸艦「トネール」が主導する。海自の護衛艦、米海軍のドック型輸送揚陸艦、豪印両軍のフリゲートなどが参加する。対空戦や対水上戦、洋上補給などを訓練する。
2020年11月にはベンガル湾で日米印の海上演習「マラバール」に豪州が13年ぶりに参加した。今年3月には初の4カ国の首脳会談をオンラインで開催した。仏軍主導の訓練に日米豪印がそろって参加することで「クアッド」の協力を深める。
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