カテゴリー: 日本の戦略
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オーストラリア軍艦、日本の「もがみ型」採用 価格・性能が「最良」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM050I40V00C25A8000000/『2025年8月5日 8:36
豪州に寄港した海上自衛隊の「もがみ型」護衛艦(3月、豪州南西部パース近郊)
【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリアのマールズ国防相とコンロイ国防産業相は5日、記者会見を開き、同国が導入を計画する次期フリゲート艦について「三菱重工業の提案を採用する」と認めた。価格や性能面で最も良い条件を提示したという。
三菱重工業は海上自衛隊の「もがみ型」護衛艦を建造している。マールズ氏は「今回の発表は計画を何カ月も前倒しにするもので、できるだけ早期に艦艇を就役させたい」と述べた。コンロイ氏は「価格、性能、納期内に受け渡せるか、という点において、改良『もがみ型』は明確な勝者だった」と説明した。
豪州政府は100億豪ドル(約1兆円)を投じて、11隻のフリゲート艦を導入する計画だ。最初の3隻を豪州外で造り、残りを豪州南西部パース近郊のヘンダーソン造船所で建造する。
マールズ氏はフリゲート艦導入計画について、「(米英豪の安全保障枠組み)AUKUS(オーカス)を通じた原子力潜水艦導入に次ぐ大規模な能力取得の決定だ」と強調した。
【関連記事】
・オーストラリア次期フリゲート艦、日本製採用へ 初の輸出案件に
・豪州、次期フリゲート艦の最有力候補を週内決定か 日独が候補 』 -
「中国製造 2025」と米中「新冷戦」
https://npi.or.jp/research/trumpipep_8.pdf『平和研研究ノ ート
NPI
「中国製造2025」と米中「新冷戦」
(米中経済研究会レポートNo. 8)
米中経済研究会
柚谷晴久(主任研究員)
(注)本稿は2018年11月
16日現在の情報に基づく(要旨)
?ペンス副大統領の対中対決姿勢を露わにした演説を受け「新冷戦」勃発との報道。米国の姿
勢の根底には、中国の経済発展と軍事力強化等で米国の経済・軍事覇権が脅やかされるとの
恐れが存在。技術発展への脅威から中国の産業政策「中国製造2025Jを敵視。
?ア刈カでは、習近平政権による「中華民族の偉大な復興」を目標とした動きを受け、「中国は
卑怯だ」、「中国は米国から覇権を奪うつもりだ」とのコンセンサスができているようだ。?米中「新冷戦」と呼ばれる現状に対し、「トウキディデスの罠」(覇権争いのストレス構造が戦争を
招く)、「キンドルバーガーの罠」(覇権の空白が国際秩序混乱や戦争を招く)と警告あり。
?米中両国は、こうした「罠」に配意し、間違っても「冷戦」が「熱戦」にならないようにすべき。?日本としては、両国の経済面での対立の緩和?解消のため、WTO改革、RCEP早期実現、
TPP11の拡大等通商・貿易面での「法の支配」による秩序構築?維持に引き続き努めるべき。経済面を超えても、両国に自覚を促す「国際世論作り」等の貢献等をすべき。
はじめに一「新冷戦」勃発?
「トランプ政権の通商政策と米中「新冷戦JJ(2018年11月6日、中曽根平和研HPリにおいて、
筆者は、io月初めのペンス米副大統領の対中国対決姿勢を露わにした演説に対し、「新冷戦」が始
まったと報道されている状況を踏まえ、米中対立の構図について改めてレポートすると述べた。これを受け、本稿で、米国が中国の覇権奪取の主要作戦と見る「中国製造2025」、アメリカのこれ
への対抗、両国の対立がもたらす戦争(熱戦)の危険に関して考えたい。1.中国の産業政策ー「中国製造2025」
(ペンス演説と「中国製造2025」への攻撃)
ペンス米国副大統領は前記の演説で、政治、経済、軍事、人権、宗教と幅広い分野にわたって中
1 http://www.nps.org/research/2018/11/06%5D90903.html access onNov. 12,2018
本稿での考えや意見は著者個人のもので、所属する団体のものではありません
c Nakasone Peace Institute 2018
1
国に対し厳しい主張をし、対抗姿勢を示している。その根底には、中国の著しい経済発展とそれによ
る軍事力強化、すなわち、中国が米国の経済・軍事覇権を脅かすまでの存在になったことへの恐れ
があると言えよう。中国の経済発展はその産業・技術の発展を背景とするが、米国の技術を盗む不正で達成したと
怒りをつのらせている。特に、最新兵器はハイテク技術の塊であり、技術力は軍事力に直結する。この
文脈で、中国の更なる産業・技術の発展を阻害すべく、米国は、中国の産業政策「中国製造2025」
の撤回まで貿易協議の中で要求しているとされる2。ペンス副大統領の演説でも、「「中国製造2025」計画を通じて、共産党は、ロボット工学?バイオテ
クノロジー?AI等世界的最先端産業の90%支配に照準を合わせている」と警戒している。トランプ大統領も、米国中間選挙後の記者会見で「「中国製造2025」は2025年に彼ら(中国)が経
済的に世界を乗つ取ることを意味するので、極めて無礼だ」と述べている3。(中国製造2025とは)
「中国製造2025」は、「世界の工場」として「製造大国」となったが、技術力、生産効率等でまだ劣
っている製造業の底上げと重点分野の強化によって「製造強国」になるための中国の産業政策だ。
習近平国家主席が目指す、中国建国100周年の2049年までに「総合力で世界の製造強国の卜
ップ」に立ち、「社会主義現代強国」を築く「中国の夢」「中華民族の偉大な復興」を実現するために
重要な位置を占める。重点分野は以下の10分野。
①次世代情報技術(IT)、②高度なデジタル制御の工作機械とロボット、③航空・宇宙設備、④海
洋エンジニアリング設備とハイテク船舶、⑤先進的な軌道交通設備、⑥省エネ・新エネ車、⑦電力設
備、⑧農業機械、⑨新材料、⑩生物薬品?高性能医療機器4
各分野別に、細目分野ごとの2020年、2025年、2030年までの世界シェア等の目標、重点的製
品?技術開発、金融等支援措置のロードマップがある。(産業政策とは)
「産業政策」は、1970-80年代頃、日本の産業発展の重要な役割を果たしたとみなされ、当時日
本の経済面での追い上げに焦ったアメリカで特に研究された。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(エズ
2日本経済新聞2018年5月19日
3 https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-press-conference-
midterm-elections/ access on Nov. 9, 2018
4関志雄、「「製造強国」を目指す「メイド・イン・チャイナ2025J計画」、2015年8月4日、RIETI、
https://www.neti.go.jp/users/china-tr/jp/150804sangyokigyo.html access on Nov. 8, 2018
2
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ラ・ヴォーゲル、1979年、阪急コミュニケーションズ)、「通産省と日本の奇跡」(チャーマーズ?ジョンソ
ン、1982年、ティービーエス・ブノタニカ)等が日本でも有名だ。「産業政策」の定義は論者によって様々だが、ここでは、特定の産業を当該国家における重要産
業として選び、その産業に対し補助金、低利融資等優遇措置を実施し、保護?育成を図るような政策
を念頭に置く。(経済学から見た産業政策)
「経済学」的には、「情報の非対象性や外部性の存在」等から、「市場機能が効率的に働かない状
況」、すなわち「市場の失敗が顕在化するとき、産業政策」等「政府介入」が「正当化されうる」とされ
る。典型的な「産業政策」が日本で行われた!940-60年代には、「重化学工業のような規模の経済
性をもつ産業を国内に育成する」、換言すれば、「規模の経済性が働<資本集約的な産業に比較優
位を映していく」上で、「市場の失敗が妨げになる蓋然性が高かった」とされる5。(アメリカと産業政策)
日本や続いて類似の国家主導で発展した韓国、台湾、シンガポール等の(一時期の)経済的躍進
の歴史等もあり、ア刈力でも、前述のジョンソンの本のように日本の産業政策から学ぼうとするもの&が
見られた。クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長を務めたローラ・タイソンも「誰が誰を叩いているの
かj(1993年、ダイヤモンド社)において、ハイテク産業の特性(生産規模拡大につれ低コスト化?品質
向上し技術上の優位により他の経済活動に波及的恩恵、最初に行動し優位に立つと有利な市場参
入障壁を獲得7)から来る市場の失敗を補う産業政策的政策や管理貿易を主張。実際、アメリカでも、例えば、日米半導体摩擦のあった1987年に米国防総省と米半導体?コンピュ
ーターメーカーが共同研究機関SEMATECHを設立するなど、こうした政策が採用された。(産業政策の再考)
その後、①「政策の有効性が一般に信じられていたほど鮮明に表れてこなかった」との経済学研究、
②「市場が失敗するのと同様に政府も失敗を犯す可能性があり、後者の社会的なコストも無視し得な
いのではないか、振興すべき特定産業を政府が適切に選べるのか」8(「政府の失敗」)との批判、が
5この段落の記述は、大橋弘「「新しい産業」政策と新しい「産業政策」」、2015年11月、RIETI Policy
Discussion Paper Series 15-p-20、p4, 5 を適宜引用
6同書で通産省の産業政策と産業界の関係等が詳細に分析されているが、一つ面白かったのは、通産省
と日本産業界の「日本株式会社」と米国の「軍産複合体」の類似性に言及している点(p25)。
7タイソンP4
8大橋p5
3
本稿での考えや意見は著者個人のもので、折属する団体のものではありません
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見られ、徐々に伝統的な産業政策が喧伝されなくなった。しかしながら、産業政策の効果を確認した最近の研究も存在しており9、「政府の失敗」についても
政府が必ず失敗するとしている訳ではなく、ある国のある時期の産業・経済の発展のために効果的な
「産業政策」を実施し得る可能性はあろう。実際、政治的には「産業政策」は信奉されており、トランプ政権が「中国製造2025」の停止を要求し
ているのは、とりもなおさずその効果をおそれているということだ仲。2.アメリカの反攻
(迫りくる中国経済)
アメリカの対中貿易赤字が国別シェアで約半分の第1位にもなっていることでトランプ政権は中国
を非難している。経済規模で見れば、名目GDPで見て中国は米国の60%超まで近付いており2030年頃に米国
を抜くとも言われている。さらに、CIAが「各国の経済力や生活水準を比較するとき最高の尺度」とす
る購買力平価でGDPを計算すると、中国は既にア刈力を追い抜いたと2014年に1MFが発表し、
米国では嵐のような騒ぎになった”。米国は中国による経済覇権奪取の恐怖を感じている。
(中国技術の接近)
技術力でも、中国は、既に、相当程度ア刈力に近付いてきている。
世界全体の国際特許出願数に占める各国の割合を見ると、2000年にはアメリカが40%、中国は
9河村徳士、武田晴人「機械工業化と産業政策」、2016年3月RIETI Policy Discussion Paper Series
16-J-029は、「機械工業振興臨時措置法」の助成措置の効果を分析し、その効果が高成長につながった
旨結論付けている。10丸川知雄東大教授は、「中国製造2025」について、「発展しそうな産業技術分野、中国が遅れている分
野の膨大なリスト、定義曖昧な目標の羅列に過ぎない」この「影響は大きくないが、いずれにせよ、国内
産業と内需に牽引され(中国の)ハイテク産業は発展するだろう」と効果的とは考えていないようであ
る。(「不毛な貿易戦争の着地点とは」、中央公論2018年11月号また、最近、米国等の批判等を受け、また、過剰投資への警戒もあり、中国政府が地方の行き過ぎた優
遇政策を諫めたり、政府機関・メディアでの「中国製造2025Jの取上げが明確に減少したりする動きが
見られるとされる。(「軌道修正が進む「中国製造2025」、SMBC China Monthly第160号(18.10号)」
11グレアム・アリソン、「米中戦争前夜」、2017年、ダイヤモンド社、P24
4
本稿での考えや意見は著者個人のもので、所属する団体のものではありません
c Nakasone Peace Institute 20180.8%だったが、2017年にはアメリカ23.2%、中国20.1%になっている”。
国際特許出願数の上位企業ベスト!0を見ると、2005年には米国企業3社、中国企業はゼロであ
ったが、2016年には米国企業は3社で不変だが中国企業は3社となり、しかも、ZTEとファーウェイ
で1位或位を独占している吐デジタル・データの通信に重要な世界の基地局のランキング(2017年売上げ)で見てもファーウェイ
がシェア27.9%で1位、ZTEが!3.0%で4位、アメリカ企業はベスト7に入っていない[七(軍事面での追上げ)
11月6日に中国で開催された航空ショーでは、先端技術を使って中国が開発した無人航空機や
最新鋭のステルス戦闘機が披露された[七中国は海洋進出の意欲も旺盛で、習主席が「広大な太平洋には中米両大国を受け入れる十分な
余地がある」とオバマ大統領時代に述べたとされ佑、中国産の空母「遼寧」の2012年の就航もニュー
スになった。中国が技術覇権・軍事覇権を脅かし始めている状況が、「中国製造2025J等産業政策や知財の
窃盗に対する前述のペンス大統領の演説での対中攻撃につながっている。アメリカは中国潰しに本
気になったようだ。(中国の謀略)
アメリカの対中認識に関しては、ペンス演説の会場であったハドソン研究所に属し、同演説の冒頭
で名前が挙げられ、トランプ大統領が「中国に関する指導的な権威」と呼んでいる”、元CIAの中国
専門家マイケル・ピルズベリー氏は、著書rchina2049J(2015年、日経BP社)において中国による米
国からの覇権奪取の計画があると記載。これが、現在、トランプ政権の認識になっているものと思わ
れる。也経済産業省、「通商白書2018」、P205
13通商白書2018、P217
14日本経済新聞2018年10月21日 英1HSマークイットの資料から日本経済新聞が作成した図表よ
り
15日本経済新聞2018年11月?日
的櫻井よし子「中国の太平洋進出の野望と焦りが明らかになった米中首脳会談」、「週刊ダイヤモンド」
2013 年 6 月 22 日号 https://yoshiko-sakurai.jp/2013/06/22/4762 access on Nov. 9, 2018
17中間選挙後の記者会見でもピルズベリー氏に言及し、その際、その旨述べている。
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-press-conference-midterm-
elections/ access on Nov. 9, 2018
5
本稿での考えや意見は著者個人のもので、折属する団体のものではありません
c Nakasone Peace Institute 2018同書は、歴代中国共産党指導者は、アヘン戦争以来のrri〇〇年の屈辱」に復讐」するため、「中
国共産党革命!00周年の2049年までに世界の経済・軍事?政治リーダーの地位をアメリカから奪取
する」「100年マラソン」計画を遂行してきたとする18。マラソン戦略は中国戦国時代の「孫子」「戦国策」等から構築し、例えば、以下の要素を持つと述
ベている也?敵の自己満足を引き出して警戒態勢をとらせない。
?勝利獲得まで数10年、それ以上耐える。
?戦略的目的のため敵の考え・技術を盗む。
・「勢い」を見失わない。「勢い」とは、敵を動かざるを得なくして勝つ神秘的な力。
?他国の包囲や欺岡を警戒する。(「囲碁」の極意)中国はずっと「多極化世界で限定的指導力しか考えない」2°とアメリカをだましてきたが、2008年の
世界金融危機でアメリカの凋落を確信し、現在、「中華民族の偉大なる復興」をうたう習主席の下、覇
権奪取の目標を着々と実現しているとする。(ルトワック)
戦略国際問題研究所(CSIS)シニアアドバイザーのエドワード・ルトワック氏は、著書「中国4.0-暴発
する中華帝国J(2016年、文春新書)において、「完全に平和的で国際ルールに従うので中国を恐れ
る必要がない」として「平和的台頭」してきた2000年代(「中国1.0J)18 19 * 21 * 23の後、リーマンショック後の世界
経済構造変化の中舞い上がり「百年国恥」を晴らす時が来たと思ってしまった結果、「対外的強硬路
線」に転換(南シナ海、尖閣列島の問題惹起)した(「中国2.0」淀2との認識を示している。(ワシントン・ニュー・コンセンサス?)
最近、異口同音に、米国ではトランプ大統領周辺のみならず、議会共和党?民主党、官僚等誰も
が反中になっていると聞く。エズラ・ヴォーゲル氏も「ワシントンでは反中機運が本当に高まっている」23
と指摘する。「中国は卑怯だ」、「中国は米国から覇権を奪うつもりだ」とのコンセンサスが米国ででき
ているようだ。18ピルズベリーp22
19ピルズベリーp56-60
2〇ピルズベリーp28
21ルトワックpl8
22ルトワックp26-55. 97
23 2018年10月26日日本経済新聞
6
本稿での考えや意見は著者個人のもので、所属する団体のものではありません
c Nakasone Peace Institute 2018(国家安全保障戦略)
このような反中の考えは、昨年12月に米国が発表した「国家安全保障戦略」において、中国を口
シアとともに米国の国益や国際秩序に挑む「修正主義勢力」と位置付け、「強国同士の競争が再び
戻ってきた」と危機感を表明し、国防予算の拡大などを通じて「米軍の力を再建する」と明記した24時
に既に表れていた。その後の米国による宇宙軍創設の動き25も、中国が「空軍」を「航空航天軍」に再編し宇宙での実
践を視野に入れ始めた26ことへの対抗だろう。(対中の安保措置)
また、米国が、今年になって、対中制裁関税を課すとともに、中国を念頭にした対米投資の審査
強化やハイテク輸出制限の検討開始など、経済面を超えた技術面・安全保障面での措置をとってき
た背景にも、こうした反中の考えがあるのだろう。10月末に米国商務省が発表した、中国半導体メーカー福建省普華集成電路(JHICC)に対する
米国企業との取引制限の制裁は、「中国製造2025」の半導体国産化目標(現在1割台ー2025年
自給率70%)の達成のために設立された同社が米国メーカーの半導体製造装置を使えなくし量産で
きなくするためとも言われる27。9月に習主席が米国の攻撃を踏まえ中国の「自力更生」を唱えていたが、半導体製造装置を製造
できる中国企業は育っていないとされ、米国には「自力更生」の道を塞ぐ意図があるのであろう28。3.「罠」
(米中覇権争いへの警告)
米国からの圧力は高まる一方だが、中国は中国で「中華民族の偉大な復興」の国家目標を譲るこ
とはできない。中国は「面子」を重んずる国でもある。
「中国製造2025」については、中国側からすれば、r!〇〇年の屈辱」の間不当に奪われた発展を取
り戻す当然の権利の行使だ、先に発展した国も行ってきたではないか、米国は主権国家としての「産
業政策自主権」を奪う「不平等ディール」を押し付けようとしている、と、米国への反発をつのらせてい
るだろう。24 2017年12月19日 日本経済新聞電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24799350ZllC17A2MM0000/ access on Nov. 8, 2018 * * * * *
25福島康仁「なぜ今、宇宙軍なのか?」 NIDSコメンタリー第87号2018年10月19日
26 HUFFPOST「中国「第2の建軍」(上)「空天軍」創設で「宇宙」実戦段階へ」
https://www.huffingtonpost.jp/foresight/china-rnilitary_b_8007594.html
27 2018年10月31日 日本経済新聞
28 2018年11月7日 日本経済新聞
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本稿での考えや意見は著者個人のもので、所属する団体のものではありません
c Nakasone Peace Institute 2018このような、米中「新冷戦」29と呼び得るような現状に対し、米中の覇権争いによる混乱や戦争の可
能性への警告が発せられている。(トウキディデスの罠)
ハーバード大・ケネディースクール初代学長のグレアム・アリソンは、「トウキディデスの罠」に注意を
呼び掛ける。アリソンは、著書「米中戦争前夜」(2017、ダイヤモンド社)で以下を述べている。
・トウキディデスはペロポネスス戦争を観察し「アテネ台頭とそれで抱いたスパルタの不安が戦争を
不可避にした」と記述3°?新興国が覇権国を脅かした過去500年のI6件のうち4件のみ戦争回避3i(開戦確率?5%)
・米中両国の衝突はアテネ・スパルタやイギリス・ドイツと同じ悲劇に進むか。イギリス・アメリカやアメ
リカ・ソ連のように戦争回避か。?トウキディデスのいう構造的ストレスが米中間で今後拡大。歴史を直視し、流れを変える責務あり。
(キンドルバーガーの罠)
やはりケネディースクール元学長のジョセフ・ナイは、「キンドルバーガーの罠」を警告する。
キンドルバーガー(マーシャルプラン設計の経済学者)は、イギリスから覇権交替した米国が公共財
提供の役割まで引き受けていなかった!930年代、世界システムが崩壊し大恐慌や世界大戦を招い
たと指摘。ナイはキンドルバーガーが指摘した「覇権の空白」に伴う構造的死角とも言える「キンドルバーガー
の罠」も要注意とし、見誤りと軽率な判断を回避することが何より大事とする。29 30 * 32 334.おわりに
29本稿では、「冷戦」を「砲火は交えないが、戦争を思わせるような国際間の厳しい対立抗争の状況」
(広辞苑第5版)という一般的な意味で使用している。また、本稿で通商面に関して「冷戦」の語を使
用している場合は、対立関係を国家関係全体、特に、軍事的対立に例えて比喩として用いていることは
言うまでもない。30アリソンp5
31アリソンp8,9
32アリソンp xvi (まえがき)
33 Joseph S. Nye “The Kindleberger Trap” 2017.1.9
https://www.chinausfocus.com/foreign-policy/the-kindleberger-trap access on Nov. 8, 2018
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c Nakasone Peace Institute 2018(覇権争いは長期化)
両国の対立は、上記に述べたように、また、「トランプ政権国際経済研究会」のレポートNo.2や「卜
ランプ政権の通商交渉と米中「新冷戦」」でも述べたように34、覇権争いという、根深くかつ構造的な
対立に至っており、長期化する見込みだ35。(「罠」に陥るな)
第2次世界大戦後の覇権を謳歌してきた米国としては簡単に中国に覇権を奪われる訳には行くま
い。依って立つ基本原理も中国は市場経済民主主義ではない。
他方、中国は中国で「100年の屈辱」
への復讐、国家目標の「中華民族の偉大な復興」を譲ることはできない。これから長期にわたるであろう覇権争いの間、米中両国は、待ち受けるたくさんの「罠」に陥いること
のないようにしなければならない。間違っても両国が軍事的に砲火を交える「熱戦」になる事態はあっ
てはならない。(日本の役割)
日本としては、両国の経済面での対立の緩和?解消のため、欧州、オーストヲ>!ア等同志国とも協
カしてWTO(世界貿易機関)改革、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)早期実現、TPP(環太平
洋貿易協定)11の拡大、将来的なFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)実現等通商・貿易面での「法
の支配」による秩序構築?維持に引き続き努めるべきである。また、経済面を超えても、米中両国の「大国としての責務」を折に触れて両国に対し説くとともに、
両国に自覚を促す「国際世論作り」に資する国際的フォーラム作りや国際的シンポジウム開催等の
形で貢献することも考えられる。平成30年11月16日
・「トランプ政権国際経済研究会」は「米中経済研究会」に改組・改称しました。(レポート番号は通算)
34報道等一般には現在の米中関係を指して「冷戦」と呼ばれることも多いが、ジョセフ・ナイ氏は、現
在の米中の関係について、「旧ソ連と米国は貿易関係がなく社会的な接触もほとんどなかった。事実を
ベースにすればいわゆる冷戦構造という考えは間違っている」としている(2018年10月27日日本経
済新聞)。35習主席と電話会談をしたトランプ大統領が11月末からのG20の機会の首脳会談での中国とのディール
を示唆したとのニュースがあるが、本稿で述べているように米中対立は覇権争いの様相を呈し、また、米
国全体が中国許さじの雰囲気になっていることから、一時的に両国政府が妥協しても覇権争いの構造が
続く限り両国の対立・争いは続くとの考えが通説になっていると思われる。
9
本稿での考えや意見は著者個人のもので、所属する団体のものではありません
c Nakasone Peace Institute 2018』 -
林官房長官「総合的に検討」 英仏などパレスチナ国家承認受け
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA011UP0R00C25A8000000/『2025年8月1日 12:13 [会員限定記事]
林芳正官房長官は1日の記者会見で、英仏やカナダがパレスチナを国家承認する意向を表明したことに触れた。「平和の進展を後押しする観点から、パレスチナの国家承認について適切な時期やあり方も含め総合的に検討をする」と述べた。
米国務省が…
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日本とEU、経済版2プラス2発足へ 共同でレアアース調達
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR17CGA0X10C25A7000000/『2025年7月17日 22:52 (2025年7月17日 23:13更新) [有料会員限定記事]
think!
多様な観点からニュースを考える
竹内舞子さんの投稿
竹内舞子日本と欧州連合(EU)は外務・経済閣僚による協議「経済版2プラス2」を発足させる方針だ。レアアース(希土類)など重要鉱物の調達を巡り、中国依存からの脱却に向けて官民の共同事業を検討する。パートナーとしての関係を一段と深める。
このほど日EUの事務レベルで合意し、23日の首脳会談に合わせて公表する成果文書案に追加で盛り込んだ。「競争力アライアンス(連合)」の関係を結び、重要鉱物の供給網整備をともに…
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「解放の日」以降の関税の答合わせと内申点(炭鉱のカナリア、炭鉱の龍)
https://www.shenmacro.com/archives/38711071.html※ 全体的な「構造」問題として、トランプ減税の「源資」をひねり出すためには、「関税収入」が必須であることも、指摘しておこう…。
※ 7月9日に、「書簡」を送り付けられて、他の先進諸国より高い関税を示され、右往左往…。
参院選にも敗北して、政治的な混乱も極まる…、というのが最悪のシナリオだろう…。※ 世界戦略的には、7月20日の結果を見てから、じっくり考える…、というところか…。
『July 07, 2025 01:39
「解放の日」関税の騒ぎから既に3ヶ月経っており、米国の貿易相手国に交渉の機会を与えるために一旦延期された関税の交渉期限が再び近付いている。
本ブログは4月の段階から「4/9から始まる90日間は基本的にローズガーデンで広げた風呂敷を畳むプロセスであり、逆ではない。
ドタ勘では最終的にはトランプ政権の公約の一律10% +中国60% +安全保障に絡む品目の個別関税、という組み合わせの、せいぜい少し上に着地するのではないかと思っている」との方向性を示してきた。
リスク資産への投資指針を決定する上でこの基本予想の方向性は大いに有益であったと信じている。
この3ヶ月の通商交渉を振り返ると、対中国の風呂敷がさっさと畳まれた以外、ディールは全くなかったわけではないが、通商関連のニュースはかなり少なかったように思える。
以下ではまずディールや暫定ディールに到達したケースを整理する。
・中国
一度はデッドロックに入ったようにも見える中国との報復関税合戦について、前回の記事で「中国政府は恥をかかないような降り方を探しているところであると推測できる」述べた通り、大方の予想よりも収束は素早かった。
先に電話すると負けた気がするという状態からようやく通商交渉が始まるのだが、交渉の場所も、米国まで呼び出される形を嫌がった中国政府のわがままでスイスになったと思われる。
いずれにしろ、5/12にトランプ政権はジュネーブで中国側の交渉担当者と共同声明を発表し、中国に対して125%まで引き上げた相互関税率を34%に引き下げた上で、うち24%の執行を90日間停止し、基礎関税の10%を適用する。ただし
(1) 1974年通商法301条に基づく中国原産品への7.5~100%の追加関税(第一次トランプ政権から続いている分)
(2) 国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくフェンタニルの流入防止を目的とした中国原産品に対する20%の追加関税
(3) 1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品や自動車・同部品に対する25%の追加関税
等は維持する。
トランプ政権は後に対中関税を55%と表現しているが、これは猶予期間の相互関税10%にフェンタニル関税20%、更に第一次トランプ政権で多くの品目に25%の関税を課しているためである。
中国も米国原産品への125%の追加関税率を当初の34%に戻した上で、うち24%の執行を90日間停止し、追加関税率を10%とする。
加えて、4月2日以降に米国に対して講じた非関税措置を停止、または廃止するために必要な行政措置を講じる。5/12から90日間なので、8/12に猶予期限がやってくる。
まだ正式なディールではないものの、中国への暫定関税は想像以上に甘い印象を与えた。
本ブログでも公約通りの60%を想定しており、トランプ政権の55%というカウントの仕方を信じればニアピン賞と言えるものの、ヘッドラインに書かれる「フェンタニルを足して30%」という数字はかなり低いと言え、この暫定ディールは激しいリスクオンを招いた。
フェンタニルの分もいずれ対策提示と共に撤廃されるとの観測もあるが、それで10%になるとはさすがに考えない方がいいのではないか。
世界で唯一相互関税への対抗関税を大々的に発表した中国が、さっさと暫定ディールに到達したことが、他国の通商交渉担当者の心理にも微妙な影響を与えた可能性がある。
・イギリス
イギリスは最初にトランプ政権との間に「ディール」に到達した国である。
元々イギリスは対米貿易赤字国であるにもかかわらず10%の一律関税を課せられていたが、この10%の一律関税はディールでも免除にならず、イギリスは米国製品の市場アクセスの開放と引き換えに、232条に基づく自動車関税25%から「10万台の10%関税枠」を勝ち取ることができた。
“Economic Prosperity Deal”と名付けられたこのディールは我々や、恐らくトランプ政権が当初思い描いて「関税を武器に通商面の有利な条件を引き出す」ディールにかなり近い形式である。
またこのディール内容から10%の一律関税は何があってもなくなることはないことが判明したと言えるだろう。
・ベトナム
「解放の日」に46%というかなり重い関税を課せられたベトナムも何とかディールに到達した。
ベトナムは対米関税をゼロにする代わりに関税を20%まで下げてもらうことに成功した。
ただし、前回の記事でも強調したように、トランプ政権が広範な国々への一律関税に踏み切ったのは、そうしないとどうせ中国からの迂回輸出が行われるからであるからだが、ベトナムはまさにその最前線であり、従ってベトナムは迂回輸出阻止に対して何らかのコミットを見せなければならなかった。
ベトナムはゼロ関税を提案して断られた後に様々な定性的な迂回輸出対策を提示したと思われるが、結局「迂回輸出と認定された商品は40%関税」という着地となった。
どのような商品が何を根拠に迂回輸出(第三国からの積み替え品)と認定されるかについては明らかになっていない。
ベトナムが迂回輸出の最前線という特殊性もあるとはいえ、このケースからは、ディールに到達しても相互関税が10%まで下がらないことがあることが判明したと言えるだろう。
またしてもトランプが飽きる
7月初旬時点での進展はこの程度である。
「解放の日」関税を主導したピーター・ナヴァロなどは当初「90日間で90件の交渉が成立する可能性」を見込んでいたが、これはさすが実務に疎い思想家らしいとも言うべき短慮である。
インドをはじめとしてディールが近い国も10ヶ国程度あるようだが駆け込みでディールのヘッドラインが飛ぶ可能性もあるか(ただし筆頭のインドについては報復関税をチラつかせるなど、難航しているとの観測もある)。
大半の国が間に合わないことが判明するとベッセントも「重要な18ヶ国との交渉を9/1のレイバーデーまでに」とゴールポストを動かした。
ローズガーデン関税リストでは123ヶ国が10%の最低関税率となっていたが、ベッセントは約100ヶ国が10%で着地すると述べており、123ヶ国も100ヶ国も大して変わらない。
一方、「解放の日」直前と同様の心理となるが、トランプ自身は自分で設定した締め切りが近付くにつれてまたしても煩雑な交渉に飽きてきたらしく、7月に入って間に合う数ヶ国を除く重要国には「20~30%の関税率」を提示する書簡を一方的に送り付けると言い出した。
6月時点は延期に前向きだったにもかかわらず、である。
この書簡を受け取るのは10ヶ国程度となる。
更にトランプによるとこの書簡は作成済であり、10~12ヶ国に対し、8月1日発効の10~70%の幅広い関税率を、7月7日に送付することになっている。
「延期」に関しても、ベッセントのフレンドリー的なコメントをトランプ自身の言葉が否定した場合は後者を準拠すべきなのが原則である。
実際ベッセントも「われわれは大統領の意向に従う。貿易相手が誠実に交渉しているかどうか判断するのは大統領だ」とトランプに追従することになる。
12ヶ国の内訳はさすがに明らかになっていない。
8月1日までに駆け込み土下座も不可能ではないため最終解答ではないが、とにかく週明け以降、書簡を解読する時間帯に入る。
現時点のカテゴリー
整理すると、世界中の通商交渉の相手国は概ね以下のように分類されるのではないか。
①一律10%で放免となる約100ヶ国②7/9までにディール成立(10ヶ国以内)
③9/1まで交渉延長を認める
④誠意が認められず、関税率の書簡を送りつけて交渉終了(10~12ヶ国)
①は主に対米貿易黒字額がほとんどない小国である。
主要先進国については不透明な密室の中での進捗があるともあまり思われず、②のメンバーはあってもあまり重要でない新興国になるだろう。
主要先進国の大半は③になると思われる。
問題は誰が④に含まれるかである。
トランプ政権は「交渉の誠意次第」と内申点並みに曖昧で主観的な表現を用いているが、素直に考えればこの通商交渉ラッシュにまともに参加すらしなかった国々ということになる。
真面目に交渉を行ってさえいれば、関心・意欲・態度が下位12番以内に入ることはないはずだ。
しかし、トランプ政権が書簡を送付する先として日本を例に挙げ、また「30~35%」という妙に具体的な数字を示したのが混乱を招いた。
書簡組の具体的な関税率は素直に考えると「解放の日」への回帰になるはずだが、日本の35%が妙に高いのと、10〜70%というレンジの上限が「解放の日」の上限より高いところが気にならなくもない。
強硬な日本政府
実際、中国は別格として、今ラウンドの交渉で主要先進国の中で最も強硬で態度が悪かったのは日本政府である。
中国さえ含む大半の国は10%関税を既に所与として捉え、何かと引き換えに相互関税率の引下げ、また232条対象の自動車等についても免税枠の設定を追求してきた。
それに対して日本政府は意外なまでに強硬であり、最後まで関税の完全撤廃を、少なくとも表向きには唱え続けた。
少なくとも自動車に関してはそもそも「解放の日」関税ですらなく232条対象なので、232条関税の存在を認めた上で免税枠の設定や拡大を交渉目標とするのが定石であり、232条対象なのに日本相手だけ免除させるというのはさすがに想像しづらいというか、そのような要求は米国側の担当者を大いに困らせることになったのではないか。
日本側が出せるカードでまず思い付くのが農産物のアクセス拡大であり、トランプ自身も度々それをヒントとして提示してきたのだが、運悪く農林色の強い内閣に当たったことでそれも困難となり、そうなるともはやカードの交換ではなくただ「説明」を行っていたようである。
そうなるとトランプ政権側から見て7/9が迫る中で「説明を聞く」行為はもはや時間の無駄なので、日本との交渉を一旦打ち切って後回しにした。
ベッセントは日本との交渉の難航について「日本は参院選前だから」と述べており、言い訳とも、取りなしているようにも見える。
その相手は当然、交渉の難航を見て激怒したトランプであり、ベッセントは日本を④から③に何とか持って行こうとしているようにも見えた。
ただ、そう見えることから「交渉の芸術」の一環だった可能性も否定されない。
元より多数の国から構成され意思決定が遅いと思われていたEUは早々と7/9までのディールを諦めている。
EUは10%の一律関税はなくならないものと認識しており、その上で地理的に近いイギリスと似たような形で、米国への投資拡大と引き換えに自動車の関税軽減枠の獲得を目指している。
また最終ディールがまとまらなくても暫定ディール(原則合意)と現状維持を求めていく。
韓国も概ね同様であり、これらの主要国は③となるだろう。
いずれにしろ、今から米国の関税率は暫定一律10%から再び引き上げ局面に入ることが予定されている。
とはいえ金融市場も「どうせ再延長だ」とは思っていても「どうせ一律10%だ」と織り込んでいるとも思われず、従って懸念材料としては「④にどれだけ先進国が含まれているか」が鍵となる。
先進国の中でも日本がその先頭にいることはどうも間違いないが、そうは言っても大量の先進国の④堕ちは想像しづらい気がする。これは内申点と同じ、相対評価だからである。
やはり違法だったIEEPA関税余談となるが、本ブログはかねてからIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく、貿易赤字を理由に関税を掛ける論法に無理があると考えており、「トランプ政権の中にも雑な論法を使っているという自覚はあるだろうから、ローズガーデンの関税率は”吹っ掛けてみた”に限りなく近い」と述べてきたが、果たして5/28に米国の国際貿易裁判所(CIT)はIEEPAを根拠とした相互関税に違法判決を出している。
もっともトランプ政権は直ちに連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)に控訴し、CAFCは結論を出すまで関税の継続を認めたため、ゴールドマンが言うようにCITの違法判決は実効的には「ナッシングバーガー」であった。
この裁判は1年以上かけて連邦最高裁までもつれ込む可能性が高く、そうなると連邦最高裁は保守系6名、リベラル系3名の判事から構成されるため共和党寄りであることが効いてくる。
もっとも共和党出身とは言ってもジョージ・ブッシュ大統領が指名した判事も複数存在しており、これまで確かに国家緊急事態法とIEEPAは濫用されており、議会報告も形骸化してきたものの、あえて正面から問われて合法との結論を出すのはかなり恥ずかしい行為である。何年かかってもIEEPA関税は違法行為であると示されるだろう。
もっともトランプ政権も――恐らく最初から怪しいと思っていたからこそ――プランBも用意しており、貿易赤字(!)対処のために15%までの関税を150日間課徴する権限を大統領に付与した1974年通商法122条で5ヶ月ほど時間を稼ぎ、その間301条を動員する調査を済ませるという算段を立てる。
なお122条はこれまでに発動された前例がない。
金融市場では1日でナッシングバーガー認定を受けているが、違法判決は通商交渉の遅滞にも少しは寄与したのだろう。
最初から違法と分かっている関税を取り消してもらうのに、どうして米国に何らかの利益を与えなければならないのか。
もっともこの判決でさえ232条関税には触れておらず、それだけ232条関税を他国が交渉で撤廃してもらうのは難しいということである。
要約
・「解放の日」以来イギリス、ベトナムだけがディール締結
・10%基礎関税はなくならない
・ディールは10%基礎関税のみになるとは限らない
・放免、ディール、延長、書簡の4組が存在する
・EUと韓国など主要先進国は基本線が「9/1まで延長」
・日本は主要先進国の中では最も態度が悪く、書簡に近い可能性
・基本的には主要先進国は書簡組に入らないだろう
・主要先進国が書簡組に入った場合は衝撃に備える必要
・IEEPA関税は数年後に違法との結論になる可能性が高い
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第2次トランプ政権の追加関税措置(2025年6月) | 調査レポート – 国・地域別に見る – ジェトロ
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石油も食料も入ってこない…日本の致命傷になり得る「シーレーン封鎖」 安全保障戦略に横串通せ
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『2025年3月14日
兼原信克(同志社大学特別客員教授)インタビュー
兼原信克( 同志社大学特別客員教授)
鈴木賢太郎( Wedge編集部員)石油も食料も入ってこない……。シーレーン封鎖はわが国にとって致命傷だ。しかし、日本は〝総合的な〟安全保障が不在だという。どう備えるべきか? 「Wedge」2025年3月号に掲載されている「食料危機の正体 日本の農業はもっと強くできる」記事の内容を一部、限定公開いたします。
「戦争は銃で始まるが、決着をつけるのは常にパンである」
第二次世界大戦中の1943年、米国のフーバー元大統領はこう発言した。安全保障の根幹は、国民の生命と生活を守ることだ。そして、国民の胃袋を満たすことは、万国共通の重要課題である。
しかし、80年前、米国の飢餓作戦に屈した日本は、食料安全保障はおろか、総合的な安全保障戦略を立案しないまま、今日まで至っている。
島国である日本は、国内総生産(GDP)で500兆円規模の経済を回すエネルギーとカロリーベースで62%の食料を輸入しており、そのほぼ全てを海運業界に依存している。そして、エネルギー安全保障と食料安全保障は、結局のところ、海上交通路(シーレーン)の安全問題に帰着する。
写真を拡大
ここ数十年で憂慮すべき事態は、台湾有事の発生懸念である。中国は台湾統一のために、台湾軍の屈伏を図るだろう。
まず想定されるのは、台湾周辺の海底ケーブルを切断し、政権中枢への情報を遮断することだ。その後、発電所やダムといった重要インフラや金融システムにサイバー攻撃を仕掛け、台湾全土を混乱に陥れる。現代版の「大空襲」である。
次の段階で狙われるのがシーレーンだ。台湾は日本と同様、海に囲まれており、エネルギーと食料の自給率が低い。中国は原油備蓄タンク、タンカーへのミサイル・ドローン攻撃や台湾周辺及び西太平洋での潜水艦攻撃、機雷の敷設など、シーレーンの封鎖により台湾の継戦能力を断つことが想定される。』
『シーレーンの封鎖は日本の命運を左右することになる。今も紅海でのフーシ派の攻撃のために、多数の船がスエズ運河を避けて喜望峰を経由している。台湾有事となれば、台湾周辺だけでなく、東シナ海や南シナ海、セレベス海、スールー海が戦闘海域となり、マラッカ海峡・ロンボク海峡も使えなくなる。国民はパニックになり、日本国内は相当に混乱するであろう。
商船が一隻でも撃沈されれば
迂回航路は大回りにGDP世界第4位の日本経済を支えているのは、わずか4000隻の船舶である。そのうち、約6割にあたる2206隻を日本商船隊が担い、そのうち、日本の法律に則り運航される日本籍船は285隻で、全体の約13%しかない(22年の年央ベース)。そして、残りのおよそ9割が外国籍船で占められている。さらに、日本商船隊の運航のほとんどはフィリピン人船員が担っている。
台湾周辺が戦闘水域に指定され、機雷が敷設されたり、潜水艦が航行したりしている状況では、海上保険会社は船舶保険の付保を拒否し、船主は一斉に船を引き揚げるだろう。政府が保険をカバーするとしても、商船隊は太平洋を大きく東側に回り、いったん十分に北上して中国潜水艦の攻撃をかわす以外に方法はない。仮に1隻でも商船が撃沈されれば、その海域を避けて迂回航路はさらに大回りとなる。最悪の事態は、豪州の南極側を通り、小笠原諸島東部を回る大迂回路となり、数千キロ・メートルの大回りを余儀なくされる。時間もお金もエネルギーも大きく浪費することになる。しかも機雷は戦争が終わるまで撤去できない。また終わってもすぐには撤去できないため、影響は長期間にも及ぶ。
食料に限っていえば、
※こちらの記事の全文は「食料危機の正体 日本の農業はもっと強くできる」で見ることができます。』
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米の不確実性、アジア安保に不安 日本にも踏み絵リスク
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA042OB0U5A300C2000000/『2025年3月4日 19:11 [会員限定記事]
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みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部 プリンシパル分析・考察 長らく「Gゼロ」という言葉が使われてきたが、ここにきて「G3+弱小連合」の構図に変化し、弱小連合の各国こそが「自立自強」を迫られているようにみえる。ドイツが国防費増強に向けて債務ブレーキの緩和に踏み込む決断をしたが、ドイツだけの話には留まらない。「米国に頼り切っていい時代が終わった」という識者の発言どおりで、日本をどう守るか、党派を超えた合意形成が急がれるだろう。(ドイツの記事:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR04E6P0U5A300C2000000/ )
ウクライナ侵略 』

