令和3年8月23日 統 合 幕 僚 監 部
中国海軍艦艇の動向について
https://www.mod.go.jp/js/Press/press2021/press_pdf/p20210823_02.pdf


令和3年8月23日 統 合 幕 僚 監 部
中国海軍艦艇の動向について
https://www.mod.go.jp/js/Press/press2021/press_pdf/p20210823_02.pdf


【社説】日本の中国を巡る新たな現実
岸防衛相が太平洋における米国の相対的衰退を認める発言
https://jp.wsj.com/articles/japans-new-china-reality-11629185002
『米国の最も重要なアジアの同盟国が、中国の軍事的台頭に関する懸念の声を高めている。日本の麻生太郎副総理は先月、中国による台湾侵攻が日本の「存立」を脅かす恐れがあると警鐘を鳴らした。今度は岸信夫防衛相が、西太平洋地域における米国の相対的な衰退と、その空白を埋めるために日本が軍事面で存在感を高める必要性があることを率直に認めた。
この発言は、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドとのインタビューの中で行われたものだ。岸氏は、「米中の力関係の変化が『非常に目立ってきた』一方で、台湾を巡る軍事的争いが『中国に有利な方向に大きく傾いている』と述べた」と同紙は報じた。さらに、同氏は中国が「力と威圧を後ろ盾に一方的に現状を変えようとしている」とし、「われわれは自衛できる構造を構築しなければならない」と述べた。
日本の政府当局者は通常、公の場での物言いが穏やかだが、中国の甚大な軍備増強は無視できなくなっている。軍事アナリストのトーマス・シュガート氏が作成した豪シンクタンク、ローウィー研究所の新しいリポートによると、中国は「ほとんどの尺度で世界首位のシーパワー(海洋勢力)」となっており、過去5年に中国が追加した軍艦は80隻であるのに対し、米国は36隻にとどまる。
…(※ 無料は、ここまで。)』
台湾周辺で上陸演習実施 侵攻想定、回数増加―中国
2021年07月19日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021071900714&g=int

『【北京時事】19日付の中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は、中国軍が台湾に近い福建省の沿岸地域で上陸作戦を想定した実弾軍事演習を16日に行ったと報じた。同紙は「(演習によって)米国や台湾独立派に対する警告を発した」という専門家の見方を載せた。
中国、東シナ海で「武器使用訓練」
演習は陸軍と海軍が合同で実施。揚陸艦で運ばれた多数の水陸両用装甲車が沿岸を攻撃した。演習は夜間にも行われたという。
一方、香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は19日、過去10年の中国海軍の演習を調べたところ、2017年以降、「台湾を奪う能力」を試すものが増えていると伝えた。海軍の演習回数が増える中、台湾侵攻を仮定した訓練に重点が置かれ、中国本土から離れた海域の演習は減っているという。
中国海軍は17年に上陸作戦を担う陸戦隊の強化に着手。今年4月には初の強襲揚陸艦「075型」が就役するなど、上陸作戦能力の向上を急いでいる。』
台湾周辺で軍事演習 中国
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081700668&g=int
『【北京時事】中国軍東部戦区は17日、台湾の南西と南東の海空域で統合作戦能力を確認するため実戦的な軍事演習を行ったと発表した。発表文は「今回の演習は台湾海峡の安全と国家主権を守る必要な行動だ」として、米国と蔡英文政権をけん制した。
台湾周辺で上陸演習実施 侵攻想定、回数増加―中国
演習には艦艇、対潜哨戒機、戦闘機が参加。発表文は「最近、米国と台湾は頻繁に共謀して挑発を行い、台湾海峡の平和と安定を著しく損なっている」と主張。さらに「訓練を強化し、主権と領土保全を断固として守る」と強調した。』
政府、中国にらみ防衛費増額
中期防を前倒し改定へ
https://nordot.app/799020365727498240?c=39546741839462401

『政府は、防衛装備や部隊編成の整備目標などを定める現行の2019~23年度「中期防衛力整備計画(中期防)」を前倒しして改定する方向で調整に入った。台湾情勢の緊迫化や中国の海洋進出に備え、抑止力強化の一環として防衛費を総額で増額し、整備を急ぐ必要があると判断した。4月の日米首脳会談の共同声明に盛り込んだ「日本の防衛力強化への決意」を実行に移すことになる。複数の政府関係者が13日、明らかにした。
中期防改定は、早ければ年内の実現を目指す。改定に向けた議論は防衛省や国家安全保障局を中心に進められ、8月上旬には菅首相や岸防衛相らが集まり、見直し方針を確認した。』
IT・電子部品、進む中国依存 15品目でシェア3割超
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC13BY10T10C21A7000000/















『世界のIT(情報技術)・電子部品で中国依存が一段と強まっている。日本経済新聞が主要な製品・サービスの市場シェアを調べたところ、中国企業が3割超のシェアを占めた品目は液晶パネルや電池部材など15に上った。米政権が先端製品の自国生産強化を打ち出すなどしているが、中国に頼らない供給網構築の難しさが浮き彫りになった。
【関連記事】世界シェア、日本勢首位は7品目どまり
世界の経済活動で重要な最終製品やサービス、中核部品、材料の計70品目を対象に、2020年の「主要商品・サービスシェア調査」を実施した。脱炭素の流れで需要が伸びる太陽光パネルや車載電池などの環境分野や、クラウドサービスなど企業の業務革新につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)関連などが含まれる。
新型コロナウイルスの感染拡大に加え、米中の経済安全保障を巡る対立が激しくなり、世界経済の分断の動きが広がる。米国は政府調達で米国製の原材料などの使用を増やすよう促すほか、半導体などの自国生産の拡大に乗り出している。日本も半導体などの供給網強化を進める。
だが、調査結果からは重要製品で中国企業に大きく依存する姿が浮かび上がる。中国勢が3割以上のシェアを占めるのはスマートスピーカーやスマートフォン、監視カメラ、パソコン、家庭用エアコン、洗濯機など15品目。そのうち13品目で中国企業がシェア首位だ。
太陽光パネルはロンジソーラー、中大型トラックは中国第一汽車集団が20年に首位になった。IT製品に使われる中小型液晶パネルと大型液晶パネルはいずれも京東方科技集団(BOE)が首位だ。電気自動車の基幹部品の車載電池では寧徳時代新能源科技が韓国LG化学の猛追をかわした。
15年に日本勢が8割のシェアを占めたリチウムイオン電池向け絶縁体も上海エナジーが22.3%で首位。旭化成は14.5%にとどまる。
高速通信規格「5G」の通信網整備に不可欠な携帯基地局では華為技術(ファーウェイ)がシェア首位だ。米国が強い警戒感を示し、同盟国で調達見直しの動きが広がるが、シェアは4割近くに伸びた。中国ハイテク企業は部品調達や欧米での売り込みが難しくなるとの見方もあったが、影響は軽微だった。
米国勢はサーバーやルーターといったITの主要インフラなど24品目で首位だった。一方、日本勢の首位は7品目にとどまる。複写機・複合機やデジタルカメラなど市場が縮小傾向の品目が目立つ。成長分野での顧客獲得で後手に回り、産業の新陳代謝が進まない。
デロイトトーマツグループの岡野敬介パートナーは重要製品の調達が一部の国に依存することについて「事故や災害、外交問題による調達リスクが高く価格交渉などでも立場が弱くなる」と警鐘を鳴らす。重要部材の争奪戦は激しく、足元でも半導体不足でホンダが一部工場の稼働を止めている。「日本企業は不測の事態を想定したサプライチェーンを作り上げる必要がある」と指摘する。
【関連記事】
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点検 世界シェア 』
中国、日米に強く反発 「デマ、中傷」―東アジア外相会議
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021080501085&g=int

『【北京時事】中国の王毅国務委員兼外相は4日、オンライン形式で開かれた東アジアサミット外相会議で、茂木敏充外相やブリンケン米国務長官が香港や新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐり「デマを飛ばし、中傷した」と強く反発した。中国外務省が発表した。
南シナ海めぐり米中応酬 東アジアサミット外相会議
王氏は最初の発言後、日米外相に反論するため2回目の発言を求め、認められた。香港に関して王氏は、国家安全維持法の制定後、安定を取り戻したと主張。懸念を表明する日米などに「香港の混乱を繰り返し、『香港独立』勢力を再び街頭に繰り出させたいのか」と疑問を投げ掛け、「はっきり言うが、諦めた方がいい。そんな日は二度と来ない」と批判を拒絶した。
米政府が「ジェノサイド(集団虐殺)」が起きていると非難する新疆についても王氏は、人口や平均寿命の増加などを説明。「米国の(先住民)インディアン虐殺こそが真のジェノサイドだ」と過去の歴史を持ち出し論点をずらした。』
2つの東京五輪またぎ中国が操る「北方領土カード」
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK022T30S1A800C2000000/





『東京五輪の開催中も国際政治を巡る厳しいせめぎ合いが続いている。話題になっているのは、日本の北方領土を巡る中国政府のスタンスの微妙な変化である。「中国外務省が表明した最新の見解と、北方四島に関する中国の地図表示には統一性がない。中国は一体、どうするつもりなのか」「これは今後の日中関係、そして米中関係をも左右する」。アジアの外交関係者らはこう指摘する。
問題となったのは、中国外務省の副報道局長、趙立堅による7月27日の記者会見だ。日本政府がロシア首相のミシュスチンによる北方領土訪問に抗議したことについて「世界反ファシズム戦争勝利の成果は適切に尊重され、遵守(じゅんしゅ)されるべきだ」と一歩、踏み込んだ見解を示した。
7月26日、北方領土の択捉島で水産加工施設を訪れたロシアのミシュスチン首相=タス共同
この前段で「これはロシアと日本の2国間問題であり、双方の話し合いで解決すべきだ」と従来の立場を述べているものの、後段と合わせると、ロシア側に寄り添った雰囲気を醸し出すよう工夫されている。
「台湾で手を出せばロシアに肩入れ」示唆
そもそも「反ファシズム戦争(第2次世界大戦)勝利の成果」という表現は、ロシアが実効支配を正当化する際に使う表現である。これを「適切に尊重・遵守(じゅんしゅ)せよ」というなら間接的ながらロシアの主張を認めていることになる。
中国外務省の記者会見で、ロシア首相の北方領土訪問、関税を免除する特別区の設置提案について質問した共産党機関紙・人民日報傘下の国際情報紙である環球時報は、通信アプリ「微信(ウィーチャット)」公式アカウントで「(中国が)誰を支持しているのかは既に明確だ」などとする記事を掲載した。
2018年に中国企業代表団が択捉島を訪れ、旅行や養殖業での協力の可能性を検討した経緯に触れ、最後は「もし日本が続けて台湾、新疆ウイグル自治区など中国の内政問題に手を出すなら、中国企業は完全にロシアとともにさらに大きな一歩を踏み出す」と締めくくった。
「中国は時が来れば南千島の開発に参画する」。踏み込んだ見出しの記事は中国内で広く転載されている。中国政府が直接言わない意図の恣意的な解説は、宣伝当局の意向に沿って国際的な宣伝戦を有利に運ぶ「ポジショントーク」を含んでいる。
台湾を巡って日本は米バイデン政権と連携を強めている。21年版の防衛白書は「台湾をめぐる情勢の安定は、わが国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要」と初めて明記し、中国への警戒感を前面に出している。
握手する習近平・中国国家主席㊨とプーチン・ロシア大統領(2019年11月、ブラジリア)=AP
中国としては、北方領土問題でロシア寄りの姿勢を示すことで日本側をけん制する狙いがあるもようだ。一部で「半同盟関係」と評される中国とロシアの両軍は、東京五輪閉幕直後の8月9~13日に中国・寧夏で合同演習を予定している。一連の動きにはロシアへの配慮もある。9日はソ連が日ソ中立条約を破って旧満州(現中国東北部)に攻め込んだ日でもある。
中国の地図は今もロシア占拠を明記
とはいえ、中国の地図では今も北方四島について、本来、日本の領土である場所をロシアが占拠しているという意味のかっこ書きが付いている。日ロの国境線も択捉島とウルップ島の間に描かれている。日本政府の主張通りだ。
これらは大手IT企業、百度(バイドゥ)のサイトで検索できる地図でも確認できる。中国の国土資源省が管轄する国家測絵地理情報局が指示する統一表記だという。中国はいつでもこれを変えることができる。そういう脅しを日本にかけ始めた。
しかし、これは言葉でいうほど簡単ではない。中国による北方領土を巡る日本の立場支持には長い経緯がある。その起源が、1972年の日中国交正常化よりはるか前、建国の指導者、毛沢東による明言にあることはあまり知られていない。
話は64年の前回東京五輪の直前に遡る。「毛沢東主席が(日本への)南千島(北方領土)返還を支持」。64年7月13日付の日本経済新聞1面は香港発の記事でこう伝えている。
毛沢東主席が社会党訪中団に北方領土の日本返還を支持したと伝えた1964年7月13日付の日経新聞1面
毛沢東は同7月10日に佐々木更三ら社会党訪中団と会談。「社会党は南千島返還を要求しているが、どう思うか」との質問に、毛沢東は「ソ連は領土を取りすぎているので南千島を日本に返すことに賛成だ」と明言した。
1964年の毛沢東発言以来、中国の一貫した政策
続いて同8月1日付朝刊各紙は、社会党訪中団に参加した岡田春夫の話を香港電で伝えた。「(当時の首相である)周恩来も日本の対ソ領土返還要求を原則的に支持した毛主席の発言は、日本に対する一時的な戦術的考慮ではなく、中国の一貫した政治的主張である、と述べた」という。これは毛沢東発言が報道された後、日本国内で「日本に対する戦術的な考えに過ぎず、警戒すべきだ」という論評が出たのを気にしたものだった。
ちなみに中華人民共和国は、国交がない日本で64年10月10日開幕した前回東京五輪に参加していない。そして開幕から6日後の10月16日には、新疆で初の核実験に踏み切り、アジア唯一の核保有を宣言した。
前日の10月15日には毛沢東が敵視したソ連の第1書記兼首相のフルシチョフが辞職願に署名して失脚し、北京では「修正主義反対闘争の偉大な勝利」という歓呼の声が広がった。華やかな東京五輪の裏で中ソ対立を含む国際政治は風雲急を告げていた。
最高指導者、毛沢東の対日発言を受けて、人民日報はソ連の覇権主義を背景にした北方領土の占領を非難する記事を繰り返し掲載する。そして日中関係は72年の国交正常化に向けた道を歩み始める。ソ連への対抗は、対米関係の正常化という大きな決断にもつながった。
だが、その後のソ連崩壊は大きな転機になった。中国とロシアは国益を重視する戦略的な協調関係に動く。北方領土問題で日本を支持する利点は小さくなった。そこに目下の激しい米中対立も関係してくる。
中国共産党創建100年の祝賀大会を終えて参加者に手を振る、党総書記の習近平国家主席(前列左から2人目)ら。下は毛沢東の肖像画(7月1日、北京の天安門)=共同
毛沢東が日本への返還支持を明言してから57年。毛のような確固たる地位を目指す国家主席の習近平(シー・ジンピン)が、64年と2021年の2つの東京五輪をまたぐ形で毛と逆の決断に踏み込むのか。
周恩来がわざわざ「一時的な戦術ではない」と説明した歴史的な政策を覆すなら、中国の地図の表記は1950年代の中ソ蜜月時代に戻り、この50年、発展してきた日中関係も大きな転機を迎える。そして日本の同盟国である米国と中国の関係にも影響を与えるだろう。(敬称略)
中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。』
日本政府、「世論戦」で対抗 尖閣周辺の海警船、動き活発―中国海警法施行から半年
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021080100192&g=pol

『中国海警局に武器使用を認める「海警法」が2月に同国で施行されてから、1日で半年が経過した。この間、海警船が沖縄県・尖閣諸島周辺海域で武器を使用するような事態には至っていないが、日本政府は海洋進出を強める中国を警戒。各国との会談を通じて、同法への懸念に理解を求めるなど「世論戦」で対抗している。
離島警備隊の訓練施設整備へ 沖縄、尖閣上陸に対処―警察庁
岸信夫防衛相は7月30日の記者会見で、「今後も海警法に対する懸念を共有し、力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対していくという強いメッセージを国際社会に向けて発信していく」と強調した。
海警法は中国が「管轄海域」と一方的に見なす海域で、海警船に武器使用を認める内容。日本政府は、「適用海域が曖昧」などとして、国連海洋法条約に違反する可能性があると指摘している。
防衛省幹部は「武器使用などの懸念は今のところ現実化していない」としているが、尖閣周辺の海警船の活動はむしろ活発化している。接続水域内の航行は2月13日から7月19日まで連続157日となり、過去最長だった昨年の111日を更新した。領海侵入事案も今年は7月末までに25件に上り、既に昨年1年間の24件を超えた。
尖閣周辺での中国の手法は「サラミ戦術」と言われる。サラミを薄くスライスするように小さな既成事実を積み上げ、最終的な目標を達成するというわけだ。
これに対し、日本政府も海警法施行をきっかけに、対抗措置を強化している。その一つが、中国の行動は海洋秩序を乱すものだとして、そのイメージを国内外に広める「世論戦」だ。
防衛省はホームページ上に英語などで海警法に関する解説を掲載。同法が国際法に反している可能性を指摘した上で、海警船の装備を増強したり、海軍出身者が主要ポストを占めたりするなど、軍事色を強める海警局の「実態」を紹介している。
また、岸氏は海警法施行以降、2国間会談や国際会議の場で同法の問題を提起。懸念を共有する米国やオーストラリアなどの国以外にも賛同を広げていきたい考えだ。』
米国は30年前と同じ、半導体交渉当事者がみる米中対立
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65263770R21C20A0000000/

『半導体をめぐる米中の対立の余波を分析する。今回は、歴史をひもときながら米中半導体戦争の本質を探る。歴史は繰り返すのか。
「このままでは中国は八方ふさがりだ。まるで30数年前と同じですよ」
こう話すのは元日立製作所専務の牧本次生氏。1986年から10年間続いた日米半導体協定の終結交渉で日本側団長を務めた、半導体産業の歴史の証人だ。米国と中国が繰り広げる半導体をめぐる対立に日米半導体摩擦を重ね合わせる日本人は多い。牧本氏は「ここで覇権争いに負けたら、中国は30数年前の日本のように競争力がそがれるだろう」と警鐘を鳴らす。
米国は2020年9月に華為技術(ファーウェイ)に対する輸出規制を発効し、中芯国際集成電路製造(SMIC)向けの製品出荷にも規制をかけた。「『一国の盛衰は半導体にあり』をよく理解している米国は、ファーウェイやSMICへの禁輸など、中国のエレクトロニクス産業の生命線を絶とうとしている」(牧本氏)
牧本氏は、最先端半導体の製造技術で中国に追いつかれないよう米国が神経をとがらせていることに注目する。微細化に欠かせない露光装置を手掛けるオランダの装置メーカー、ASMLの機器や技術が中国に渡らないよう、米国は19年からオランダ政府に働きかけてきた。
国防の観点から米国が警戒心
「米国の半導体関係者を刺激したのも日本の先端半導体開発プロジェクトだった」。牧本氏はこう記憶をたどる。
1970年代、米国ではIBMがICを大きく上回る性能の大規模集積回路(LSI)を使ったコンピューター「フューチャーシステム」の構想を進めていた。これに対抗すべく76年に日本で立ち上がったのが「超LSI技術研究組合」。富士通や日立製作所、三菱電機などが参加した官民連携計画で、コンピューターの中核となる超LSIを開発することが目標だった。シリコンウエハーに回路パターンを転写する露光装置など半導体製造技術の発展に大きく貢献し、その後の半導体材料や製造装置などの川上産業の強化につながった。その結果、「国防の観点から米国が日本の半導体産業に大きな警戒心を持つようになった」と牧本氏は分析する。
官民プロジェクトの成果もあり、日立製作所や富士通、NECなど「日の丸半導体」の中核製品だったDRAMは世界市場を席巻した。81年には64キロビットDRAMのシェアで日本メーカーは合計70%を占め、米国の30%を大きく上回った。米国の雑誌に「不吉な日本の半導体勝利」と題した記事が出るなど、日本脅威論が米国内に広がっていった。
「日本の半導体メーカーが不当に廉価販売している」。85年6月、米国半導体工業会(SIA)が日本製半導体をダンピング違反として米通商代表部(USTR)に提訴した。ここから日米政府間交渉が始まり、1年後の86年9月に締結したのが日米半導体協定だった。(1)日本市場における外国製半導体のシェア拡大、(2)公正販売価格による日本製半導体の価格固定――。協定で定められたこの2つの取り決めが「日本の半導体産業が弱体化する1つの引き金になった」と牧本氏は振り返る。
「85年は日米経済関係が一番緊張した時代に入った頃だった。米国が一番うるさかったのは、繊維、通信機器、自動車で、アメリカの財界が悲鳴をあげていた。日本からアメリカへの輸出過多の品目に一つ一つ手当てをしていった記憶がある」。故・中曽根康弘元首相はインタビュー形式の著書『中曽根康弘が語る戦後日本外交』でこう触れている。
公正販売価格でじわじわと競争力を失う
対日貿易赤字が拡大し米国企業の業績が悪化する中、高品質で低価格の「メード・イン・ジャパン」製品の勢いをどう食い止めるか。米国が狙い撃ちしたのが「日本の技術力の象徴だった半導体、しかも強いDRAM、巨大な日本市場だった」(牧本氏)。日本の半導体産業は世界で圧倒的な存在感があっただけに、持ちこたえられるだろうという甘い読みがあった。
その後の日本のDRAM産業は、気付かないまま競争力を失っていった。「日本の半導体産業は米国からたたかれたイメージが強いが、内部にいるとぬるま湯のようだった。(日米半導体協定の)公正販売価格がじわじわと麻薬のように効き、開発意欲が失われていった」。総合電機メーカーの半導体部門OBはこう証言する。
協定によって決めた最低価格以下では販売できないため固定価格になり、その価格が高く安定していたため各社のDRAM事業は「特段なにもしなくても高い利益率を得られる状況だった」(同幹部)。他社と新製品の技術開発で競争をしようというモチベーションがなくなった日本企業は、現状維持に甘んじるようになった。短期的にはマイナスの影響が見えづらかった日本製DRAMの価格安定は、後に韓国企業が安値で攻勢をかける要因にもなった。
100%の報復関税に衝撃受け半導体減産
日本市場における外国製半導体のシェア拡大という協定も半導体産業の競争力をむしばんだ。日本の電子機器メーカーは、半導体の調達額の5分の1程度は外国製を買わなければならなかった。協定締結の翌年には「日本が半導体協定を守っていない」として米政府が日本製のパソコンやカラーテレビ、電動工具に100%の報復関税をかけるなど、強硬な手段もいとわなかった。
「DRAMは需要がある分だけつくれ」。報復関税に衝撃を受けた日本側は、通商産業省(現経済産業省)が半導体メーカーに指示を出した。各社は減産を余儀なくされ、その結果、外国製半導体の日本市場でのシェアが拡大していった。
「何をやるにしてもがんじがらめだった。『もうDRAMをエース格の事業としては扱えない』との雰囲気が広がった」。牧本氏は、日立では日米半導体協定の締結後すぐに別の半導体に経営資源を移そうという議論が始まったと明かす。
企業側だけではない。日米半導体摩擦の心的外傷は大きく、超LSIプロジェクト終了後は半導体関連の大きな国家プロジェクトがなくなった。80年から90年代半ばまで大型の官民プロジェクトがなかった時期を牧本氏は「空白の15年間」と呼び、「その時期に米国や欧州、韓国などが産官連携による半導体産業の強化策を次々と打ったのも日本半導体の産業基盤の足腰が弱くなった要因」と指摘する。
十分に競争力をそいだはずなのに…
86年に日本は半導体の世界シェアで46%を取って米国を追い抜いたが、93年には米国が日本を逆転して首位に返り咲く。日本の競争力が十分にそがれた96年にようやく日米半導体協定は終結を迎えることになるが、牧本氏は米国が終結交渉で見せた執念深さに驚きを隠せなかったという。
96年2月にハワイで始まった交渉は、「日米の思惑が180度違った」(牧本氏)。日本側が「不公平な協定を一刻も早くきれいに終わらせたい」と交渉に臨んだのに対し、米国は「協定が完全になくなればまた日本がダンピングをするかもしれない。エッセンスを残そう」と主張。引き続き政府を関与させることを提案してきた。
5回に及ぶ会合を経て、牧本氏らは政府関与をなくすことを米国側に飲ませた。その一方で、日本市場での外国製半導体のシェア確保を目的とする協議会を3年間残すことを承諾せざるを得なかった。協定下の10年間で日本市場の外国製半導体シェアは20%を超えるまでに拡大していたが、米国側はどこまでも日本半導体の復活の芽をつもうとしていたのだ。
86年には世界の半導体メーカートップ10のうち6社を占めていた日本勢。しかし、最新の2019年にトップ10に入ったのは東芝から独立したフラッシュメモリーのキオクシアホールディングスのみ。日米半導体協定によって牙を抜かれた日本のDRAMは日立とNEC、三菱が事業を統合させてエルピーダメモリとして再出発したが、韓国や台湾との投資競争に敗れて経営破綻した。東芝はDRAMを捨ててフラッシュメモリーに集中し、世界2位を堅持してきたが、システムLSI事業からの撤退を9月に決めた。富士通やパナソニックも半導体事業や工場を海外企業に譲渡した。
1986年には半導体売上高トップ10のうち日本企業が6社を占めるほどの隆盛を誇ったが、各社の半導体部門は徐々に本体から離れ、規模も縮小。多くの事業が最終的に売却や撤退に追い込まれた
日本の半導体メーカーの衰退には3つの遅れが関係している。パソコン市場の急激な拡大に乗り遅れ、総合電機メーカーの1事業だったために設備投資の意思決定も遅れた。ファウンドリー(半導体受託製造)や設計専業などの水平分業への対応も遅れた。ただ、「日米半導体協定がトリガーとなって競争力がそがれたのはやはり大きかった。その後は冷え切った半導体への熱を取り戻せていない」と牧本氏は悔やむ。
「一国の盛衰は半導体にあり」。牧本氏は結局、この認識があるかないかが日本と米国の違いだったと振り返る。日本は半導体摩擦で敗れた結果、国内市場を開放し、産業振興も影を潜め、企業は巻き返しのすべを見つけられなかった。
「もっと一緒にできないか」
牧本氏は「中国はここで負けたら国の将来に関わるとして必死に反撃するだろう」と予測する。米国に反発する中国には復活シナリオがまだ残されている。
「米国の攻撃は終わりが見えないが、必ずアジアの時代が来る。もっと一緒に何かできないか」
ある国内半導体メーカーの経営幹部は最近、中国・清華大学の教授からこんな連絡をもらって驚いたと明かす。習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校で、半導体を中心としたハイテク産業振興をけん引する清華大学。その姿勢から見えてくるのは、攻め手を止めない米国を前にしても、中国が決してあきらめていないということだ。
日米半導体摩擦からの学びが、中国を徹底抗戦へと向かわせたというのはうがち過ぎだろうか。技術の覇権争いであきらめない中国の姿勢こそ、今の日本が学ぶべきことなのかもしれない。
(日経ビジネス 岡田達也)
[日経ビジネス電子版2020年10月21日の記事を再構成]』