『【ワシントン時事】バイデン次期米大統領は新政権の米通商代表部(USTR)代表に、オバマ前政権下のUSTRで中国問題の法律顧問を務めたキャサリン・タイ氏を起用する。中国の不公正な貿易慣行に対抗するルールづくりを加速させる狙いだ。世界の経済連携に米国不在の状況が続く中、日本などの同盟国を巻き込んで「中国包囲網」を築けるか。新代表の交渉力が試される。
バイデン氏は11日、米中摩擦への対応が優先課題だと明言した。トランプ政権は、国有企業を優遇する補助金など中国の構造問題を棚上げしており、タイ氏に試練が待ち構える。世界貿易機関(WTO)訴訟を担当した経験を生かし、市場競争をゆがめる慣行に厳しい姿勢で臨む構えだ。
中国に是正を迫る手法として「同盟国と連携したルール策定」(バイデン氏)を目指す。現政権が単独主義を掲げて多国間協議に背を向けた結果、国際ルールの整備は遅れた。バイデン氏は就任早々に同盟国との協調立て直しに着手。タイ氏も、空席が続くWTOトップ選出を含め、他国との複雑な利害調整に奔走することになりそうだ。
積み上がる制裁関税の扱いも焦点となる。同盟重視のバイデン氏は「懲罰的な手法」に否定的で、現政権が日本や欧州製鉄鋼に上乗せした関税の撤回に動く可能性がある。一方、対中国の関税は「交渉材料」として当面見直さない考えを米紙に明かしている。タイ氏は中国の貿易慣行に目を光らせつつ、関税の行方を決める重責を負う。
アジアでは「米国抜き」の巨大貿易圏が相次ぎ誕生。さらに中国は11月、環太平洋連携協定(TPP)への参加意欲を電撃表明した。存在感が高まる中国に対し、バイデン氏は「自国に有益な制度づくりを狙う動き」と危機感を強める。
ただ、TPPなどの自由貿易協定交渉入りには、議会と世論の説得という壁が立ちはだかる。民主党は新型コロナウイルス危機への配慮もあり、当面は「新たな貿易協定交渉に入らない」と大統領選で公約した。保護主義に傾いた自国産業に目配りしながら、中国との覇権争いに立ち向かえるか。タイ氏は難しいかじ取りを迫られている。』
カテゴリー: 中国の戦略
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香港、リベラル教育が標的に 自由な発想より愛国
香港支局 木原雄士
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0741U0X01C20A2000000


『香港政府は2019年の大規模デモや20年の香港国家安全維持法を受けて、教育制度の見直しに乗り出した。自由な発想や多様な見方を養う目的で高校に導入した「通識教育(リベラル・スタディーズ)」を縮小して、愛国教育にカジを切るのが特徴だ。政治活動への締め付けが教育現場にも及んできた。
大規模デモには多くの中高生も参加した(2019年9月、香港)=ロイター
「生徒は国家の発展や憲法について学ぶ必要がある」。香港政府は11月、通識教育のカリキュラムを大幅に見直すと発表した。通識教育とは09年に高校で必修になり、12年からは大学入試にも採用された科目。「今日香港」、「現代中国」、「全球化(グローバル化)」など6分野、12のテーマについて幅広く学び、思考力を養うのが目的だ。3年で250時間を確保していた授業時間を半分に減らし、中国本土での視察学習を新たに取り入れるなど内容を抜本的に見直す。授業で使う教科書には審査制度を導入し、学校は当局が作成した推薦リストの中から選ぶ仕組みとする。より中国の発展や国家のアイデンティティーについて重点的に学ぶ科目になる見通しだ。
「教育制度の後退」
香港で20年以上、通識教育の教師を務める張鋭輝さんは「さまざまな問題について多角的、批判的に考え、自分の意見を持てるようにするのが狙いだ」と話す。授業では時事問題を取り上げ、生徒に議論させることも多い。天安門事件や香港の民主化デモなど政治的な話題を扱う場合も「教師が自分の意見を押しつけるのではなく、生徒自身に考えさせる」という。張さんは「通識教育は新たな時代の社会参画のために重要だとして必修科目になった。いまの議論は教育制度の後退だ」と嘆く。
見直しのきっかけになったのは大規模デモだ。19年の抗議活動は大学生から中高生にも広がり、授業ボイコットを呼びかける動きもあった。デモに絡む逮捕者は1万人を超え、そのうち少なくとも3600人が学生や生徒だった。教師の逮捕者も100人を超えた。
中国当局は自由すぎる教育制度が反中的な思想の素地になったとにらむ。「黒い手を切り落とし、子どもたちを守れ」。中国政府で香港を担当する国務院香港マカオ事務弁公室は6月にこんな表現で教育改革の必要性を訴えた。
12年に愛国教育への反対運動に参加した黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏はのちに民主活動家になった。もともと教育問題と民主化運動のつながりは深い。香港の親中派は「学校に毒をばらまいている」などと通識教育への批判を強める。
親の間で戸惑い広がる
香港では今年、プロテストソングの演奏を許可した教師や、授業で香港の独立運動を取り上げた教師らが相次いで事実上、解雇された。政府が任意で教科書を点検する仕組みも設け、「天安門事件」や「三権分立」「雨傘運動」などの記述を削除させた。香港政府の楊潤雄・教育局局長は12月、不適格な教師を監視する新たな組織の設置を検討すると表明した。「一国二制度」が適用される香港は中国本土と教育制度が異なる。香港の教育関係者の間で通識教育への評価は高かった。6月末に施行した香港国家安全法は学校への監督強化や「国家安全教育」の推進を掲げる。教育現場にも政治的な圧力が強まり、子どもを持つ親の間では戸惑いが広がる。
親中派は自由な教育がデモの素地になったと批判する=ロイター
英国への留学などをあっせんするコンサルティング会社、英識教育の創業者である陳思銘氏は「政治的な理由から、子供の教育を海外で受けさせたいという希望が急増している。海外をめざす年齢も若くなっている」と話す。
なかでも英語教育を受けられ、香港と文化や歴史的なつながりが深い英国の人気が高い。陳氏によると、香港から英国の全寮制の寄宿学校には通常、年1600~1800人ほどが入学する。今年は同社だけで約1000人の希望者がおり、前年比1.6倍の規模という。
5歳と7歳の息子を持つ40代の母親、黄さん(仮名)は将来、子どもの教育のため英国に渡る決心をした。自身はカナダの大学を卒業して香港に戻ったが、昨年来の警察の厳しいデモ取り締まりや香港国家安全法の施行に心底、失望したという。「香港のもっとも良かった時代は過ぎ去った。戻ることはないと思う」。黄さんはそう話した。』
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM101220Q0A211C2000000

『東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、米国、中国など18カ国は10日、拡大ASEAN国防相会議をオンライン方式で開いた。南シナ海問題を念頭に国際法尊重の重要性を記した共同宣言を7年ぶりに採択した。自国の海洋権益を強く主張する中国が国際社会に同調する動きをみせた。
米国からはミラー国防長官代行、中国からは魏鳳和国防相が参加し、互いの主張を繰り返した。同会議は7回目の開催だが、共同宣言は各国の閣僚が署名する方式で2013年の第2回会合以来の採択となった。
共同宣言ではアジア太平洋やインド洋を含めた地域での自由、開放性の重要性を提起し「国際法の尊重」にも言及した。海洋の秩序に関しては航行や上空飛行の自由に触れ、国連海洋法条約を含めた国際法にのっとった紛争解決が必要との立場を示した。
各国は中国による南シナ海の軍事拠点化は国際法を逸脱していると懸念する。共同宣言で「自由」や「国際法」に触れることで、中国の動向をけん制する意味合いがある。
中国が共同宣言に同調したのは、米国が事実上の「政治空白」の状況にあることが関係している。米国では大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領による新政権が発足する見通し。中国は孤立を避ける一方で、その間隙を突き国際社会への関与を強め、秩序づくりを主導する思惑が透ける。
中国は自由貿易を巡り東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)に署名し、習近平(シー・ジンピン)国家主席が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加意欲を表明した。安全保障面でも地域の秩序づくりに足並みをそろえる姿勢を見せる。
岸信夫防衛相は会議で「法の支配は自由で開かれた海を確保するうえで必要な条件だ」と語った。中国の名指しを避けつつ「それとは逆行するような緊張を高める行動が見られる」と批判した。「深刻な現状に対してASEANと懸念を共有する」とも言及し、日本の立場を訴えた。
日本はバイデン氏による新政権とも「自由で開かれたインド太平洋」の理念を共有しようとしている。オーストラリア、インドやASEANとの連携を深めて、インド太平洋地域へ米国を引き寄せたい考え。岸氏は会議で「自由で開かれた国際秩序の形成に全力で取り組む決意だ」と訴えた。(ハノイ=大西智也、甲原潤之介)』
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM105220Q0A211C2000000

『【上海=張勇祥】中国の国有半導体大手、紫光集団が2度目の社債債務不履行に陥った。10日に利払い日を迎えた人民元建て債の利息を支払えなかった。同じく10日満期のドル建て債も償還は難しい状況だ。紫光集団は「傘下企業は正常に運営している」とするが、習近平(シー・ジンピン)国家主席が掲げる半導体国産化に支障を来す可能性もある。
2018年12月に発行した社債の利払いが滞り、11月の私募債13億元(200億円強)に続く債務不履行となった。紫光集団は7日時点で「資金繰り難のため利息の支払いに不確実性がある」と表明、中国国内の格付け会社も投資不適格の「シングルB」まで格付けを引き下げていた。
ドル建て債4億5千万㌦(約470億円)の償還に必要な資金の手当ても進んでいないもよう。紫光集団は20年6月末時点で1566億元の有利子負債を抱え、うち5割強が1年以内に期限を迎える。
過剰債務や収益化の遅れに加え、中国政府の補助金が削られたとの見方もある。紫光集団は中国では最先端の半導体製造技術を持つ。傘下の長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ)でNAND型フラッシュメモリーを生産、DRAM工場の建設も計画する。紫光集団は「当社は持ち株会社だ」と強調、グループ企業の生産活動に影響は出ていないとする。
中国では債務不履行を起こした企業にも銀行が当座の運転資金を供給するケースが多い。紫光集団も現時点で経営が完全に破綻したわけではない。だが海外投資家も保有するドル建て債で不履行になれば今後の資金調達に影響を及ぼしかねず、紫光集団の再建は難度を増している。』
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0925A0Z01C20A2000000


『日本経済研究センターは10日、アジア・太平洋地域の15カ国・地域を対象に2035年までの経済成長見通しをまとめた。中国が28年にも名目国内総生産(GDP)で米国を超えると予測した。新型コロナウイルスの感染拡大による影響からの回復スピードの違いで、早くても36年以降となるとみていた中国の逆転時期を前倒しした。
【関連記事】
中国データ圏、米の倍に 攻守逆転で深まる分断
中国、2035年「先進国並みに」 米覇権の揺らぎ示唆同センターは新型コロナの影響について、今後4~5年で収束する「標準シナリオ」のほか、収束時期が標準シナリオよりもさらに4~5年遅くなる「深刻化シナリオ」の2つを基本想定として経済規模の推移を算出した。昨年調査時点では35年までには中国が米国のGDPを追い抜くことはないとの見通しだった。今回の調査では米中のGDPが逆転する時期について標準シナリオでは29年、深刻化シナリオの場合は28年になると予測した。
新型コロナの影響で、米中の就業者数や研究開発(R&D)費などの見通しに大きく差が出ることが主因としている。米欧を含む先進国では新型コロナの感染が再拡大しており、20年の経済成長は軒並み大幅なマイナスになる見通しだ。一方、中国は徹底した感染対策で、いち早く感染拡大が沈静化している。経済成長率をみても、中国は前年比でプラスを維持する見込みだ。
深刻化シナリオでは、35年時点で中国の名目GDP(香港含む)は41兆8000億㌦に達し、米国と日本を足した規模(41兆6000億㌦)を上回る見通しだ。ただ1人当たりの所得をみると35年時点で中国が約2万8000㌦と、米国(約9万4000㌦)や日本(約7万㌦)と大きな差が残る。
日経センターは「アジア経済中期予測」として、国・地域別の成長率見通しを年1回発表している。』
『設立・沿革
1958年、日本経済新聞社本社内に中川順を室長にして開設された「経済研究室」を礎石として[1]、1963年に設立された非営利の民間研究機関。圓城寺次郎(元日本経済新聞社社長)が初代理事長となり、若手の経済学者に研究と発表の場を提供したのがその始まり。その後、大来佐武郎、香西泰など日本を代表するエコノミストを歴代の理事長に迎え、短期経済予測(年4回)の発表、産業構造の変化を踏まえた中期経済予測(年1回)、アジア・国際経済研究、金融問題に関する報告書、経済問題に対する報告書などを発表している。短期経済予測では民間シンクタンク有数の水準。中期経済予測は会員企業である大手企業の経営計画の基礎データとして活用されている。民間の大手シンクタンクでも中期経済予測を安定して継続予測・発表している研究所は10社に満たない中、同センターの中期予測を支持する企業は多い。組織は会員制の社団法人として運営されており、会員には日本の大企業、官庁などが参加している。また企業や官庁から委託研修生を受け入れて、スタッフと共同して経済予測や調査を行うことを特徴としており、エコノミストの養成機関となっている。研修生OBには嶋中雄二、森永卓郎など著名人も多い。上場企業の社長も多数輩出してきた。
2010年3月19日内閣府の公益認定を受け4月1日から公益社団法人として新たに法人登録を行った(旧 社団法人)。これに伴い公益に貢献するシンクタンクとして環境対策など政策研究・提言活動を一段と強化させている。会員参加型の研究プロジェクトも推進中。2008年から企業参加型の研究プロジェクトをスタートさせた。同年の「GSR(地球規模の社会貢献)」を皮切りに、2009年には「働きたい会社」、2010年からは「地域経営」の研究を順次開始している。企業を取り巻く環境が安定せず、見通しが難しい状況が続いているため、従来にも増して、経済予測、セミナー、研修を充実させ、会員企業に役立つ情報・サービスの提供を継続的に引き上げることに取り組んでいる。』
『歴代会長
1963-1973年 有沢広巳
1973-1982年 大来佐武郎
1982-1987年 圓城寺次郎
1987-1997年 金森久雄
1997-2003年 香西泰
2004年-2008年 小島明
2008年-2012年 新井淳一
2012年-2015年 杉田亮毅
2015年-2017年 斎藤史郎
2017年 平田保雄
歴代理事長
1963-1964年 圓城寺次郎
1964-1973年 大来佐武郎
1973-1987年 金森久雄
1987-1997年 香西泰
1997-2000年 土志田征一
2000-2005年 八代尚宏
2005年-2010年 深尾光洋
2010年 – 岩田一政』 -
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM114YM0R11C20A2000000

『【北京=羽田野主】11月下旬に着任した垂秀夫駐中国大使は11日、北京市で就任後に初めて記者会見した。日中関係の改善に向けて「主張すべきことは主張する。是々非々で安定的で建設的な関係を構築していきたい」と話した。
延期になった習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓訪日は「具体的な日程調整を行う段階にない」と語った。
中国が環太平洋経済連携協定(TPP11)への参加を検討していることには「TPPは市場アクセスやルール面でとても高いレベルを求めている」と指摘した。「(中国のために)ルールを曲げて例外事項をつけるのはありえない」と強調し、中国が参加の基準を満たしているのか慎重に見極める考えを示した。
沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の近海で中国政府に所属する中国公船が領海侵入をくり返している状況には「全く受け入れられない。国際法的にも歴史的にも日本の主権だ。しっかりと働きかけていく」と述べた。
垂氏は外務省で中国を専門にする「チャイナスクール」出身だ。菅義偉首相や自民党の二階俊博幹事長と近いことで知られる。』
中国、米通信社の北京支局助手を拘束 中国籍の女性
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM119TC0R11C20A2000000『米ブルームバーグ通信は11日、北京の支局で助手として働く中国籍の女性が「国家の安全に危害の疑い」で中国当局によって拘束されたと報じた。女性は7日から行方がわかっておらず、当局に情報提供を求めているという。
女性は2017年から同社に勤めており、米CNBCや米CBS、中東の衛星放送局アルジャズィーラなどでの勤務経験もあるという。中国当局関係者は「犯罪行為に従事した疑いがあり、調査中だ」と回答したという。』
香港紙創業者、国安法違反で起訴 外国勢力と結託した罪
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM114C30R11C20A2000000
『【香港=木原雄士】香港警察の国家安全部門は11日、民主派に影響力を持つ香港紙創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏を香港国家安全維持法に違反した罪で起訴した。外国勢力と結託して国家安全に危害を加えた罪に問われている。民主派への締め付けが一段と強まっている。
黎氏が創業した香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)は中国共産党に批判的な論調で知られる。同紙は2019年の大規模デモの際も、一貫して民主派支持の論陣を張った。黎氏自身も長年、民主化運動を支援し、19年には訪米してペンス副大統領やポンペオ国務長官と会談した。
中国はこうした黎氏の行動を繰り返し批判してきた。香港警察は8月に黎氏らを香港国家安全法違反容疑で逮捕し、同紙を発行する壱伝媒(ネクスト・デジタル)本社を200人規模で捜索していた。
黎氏は詐欺罪でも起訴され、3日に刑事施設に収監されていた。香港国家安全法の初公判は12日に開かれる予定だ。外国勢力との結託は同法で定められた4つの犯罪類型の1つで、最高刑は終身刑となる。黎氏の拘束が長引く可能性がある。
香港メディアによると、6月末に施行された香港国家安全法違反での逮捕者は少なくとも40人に達した。起訴は黎氏で4人目とみられる。これまでの3人は国家分裂罪やテロ活動罪での起訴だった。外国とのつながりを問題視したことで、欧米諸国の反発が広がる可能性がある。
8月に黎氏とともに香港国家安全法違反の容疑で逮捕された民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏は、19年の違法集会に絡み実刑判決を受けた。このところ民主派の逮捕や収監が相次いでおり、香港で政治活動の自由度は急速に低下している。報道機関トップの訴追によって、言論の自由が後退するとの指摘もある。』
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN080KS0Y0A201C2000000

『米国のアーミテージ元国務副長官ら超党派の有識者グループは7日、日米同盟の強化に向けた報告書をまとめた。中国への包囲網を強化する一環で、日米両国に台湾への支援や機密情報の共有といった協力を促した。かつて目立った対日圧力の色彩は薄まり、中国への懸念を鮮明にした。
報告書はアーミテージ氏やナイ元国防次官補ら知日派が2000年に初めて作成し、今回は5回目となる。大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領の21年1月の政権発足をにらみ、とりまとめた。
米英など英語圏の5カ国の枠組みである「ファイブ・アイズ」に日本を加え、機密情報の共有を広げるよう提言した。日米双方に「シックス・アイズ」実現への努力を促した。いずれも経済・安全保障両面で強権路線に傾斜する中国への対処策の位置づけとなる。
前回の報告書にはなかった台湾有事への警戒感について「中国の台湾への軍事的・政治的圧力への米国の懸念を日本は共有している」と明記し、日米が協力して関与を強める必要性を訴えた。』(※ 一部を抜粋)
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07BRI0X01C20A2000000
「シックスアイズ」へ日米協力を、米専門家グループ提言
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM07A0F0X01C20A2000000米、台湾にまた武器売却 野外通信システム
大統領選後、初の案件
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0817H0Y0A201C2000000 -
中国「戦狼貿易」が掘る墓穴 米英豪など対抗策も
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODB045NN0U0A201C2000000



『豪州は4月、新型コロナウイルスの発生源をめぐって独立調査を求めた。怒った中国は検疫問題やダンピングがあったとして、豪州産の牛肉輸入を制限し、大麦にも80%超の追加関税を課した。
両国の報道によると、11月上旬には銅やワイン、石炭、木材など7品目の輸入も差し止めた。輸出の3割超を中国が占める豪州には、大きな打撃である。
コロナ発生後、中国は好戦的な言動を強め、世界から戦狼外交と呼ばれた。これにならえば、中国の強硬な通商政策は「戦狼貿易」ともいうべきものだ。
これまで標的となった国も少なくない。2019年には中国通信大手、華為技術(ファーウェイ)幹部を拘束したカナダに輸入制限を科した。外交対立から、日本へのレアアース(希土類)輸出を止めたり、韓国製品の不買運動をあおったりもした。フィリピンやノルウェーも被害に遭っている。
公平にみれば、貿易措置によって他国に外交圧力をかけるやり方は、中国に限ったことではない。米国や欧州連合(EU)はしばしば強権国に制裁を科し、人権の改善などを迫ってきた。』
『しかし、それでも中国の行為は見過ごせない。他国にはない危険性をはらんでいるためだ。主要国の通商当局者らに聞くと、少なくとも2つの問題点がある。
第1に中国の戦狼貿易はWTOルールに反するばかりか、対象があまりにも広い。
豪戦略政策研究所(ASPI)が9月にまとめた分析によると、10~20年の間に、貿易や投資の制限、輸入品の不買運動を中国が予告ないし実施し、外国政府に圧力をかけた事例は100件にのぼる。標的にされた国・地域のうち、いちばん多いのが欧州(29件)で、豪州・ニュージーランド(20件)、米国・カナダ(19件)、東アジア(16件)と続く。
第2に中国による恣意的な制裁が世界にもたらす影響は、他の主要国の比ではない。中国は今や130を超える国と地域にとり、最大の貿易相手国だからである。』
『もっとも戦狼貿易を続ければ、中国自身も深く傷つくことになる。ASPIのマイケル・シューブリッジ氏は指摘する。
「貿易制裁によって豪州に政策の再考を強いる。それによりアジアや欧州の国々を怖がらせ、服従させられる……。中国がこう考えているとすれば、誤りだ。豪州は(中国に対抗する)決意と結束を強めるだけのことだ。他の国々も対中経済依存のリスクを思い知り、輸出先やサプライチェーンの分散化を急ぐにちがいない」』
『すでに、そうなりつつある。日米欧は中国に偏ったサプライチェーンの見直しを検討中だ。外交面でみても、戦狼貿易は各国の反発を招き、かえって中国包囲網を強めている。
19カ国・地域の議員でつくる「対中政策に関する列国議会連盟」は12月、豪州への連帯を示そうと豪州産ワインを買う運動を始めた。
複数の外交筋によると、米欧軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)のほか、米英豪、カナダ、ニュージーランドでつくるスパイ連合「ファイブ・アイズ」も、戦狼貿易への対抗策の検討をひそかに進めている。実際、NATO幹部からは最近、中国の戦狼貿易を問題視する発言が漏れてくるようになってきたという。』
『当面、考えられる対抗策としては、(1)戦狼貿易の動向について、NATOや「ファイブ・アイズ」内で常時、緊密に情報を共有する(2)メンバー国が脅威にさらされた場合、直ちに共同で問題を提起し、不当な貿易制裁を科さないようそろって中国に求める–などの案だ。
この枠組みに入っていない日本やインドなどが連携に加わることも、検討課題になるだろう。
中国はただでさえ米国と反目し、国境紛争でインド、尖閣諸島では日本、南シナ海では沿海諸国とぶつかる。なぜ貿易でも強硬策を振りかざし、自ら墓穴を掘るような行動に走るのか。
中国内政に詳しい中国専門家らにたずねると、外交よりも内政に原因があるとみる向きが多い。
習近平国家主席は米国に対抗しようと、国内で強国路線の太鼓を鳴らす。共産党、政府、軍の各部門は忠誠心を示すため、競って対外強硬策に走る–。こんな見立てだ。
11月1日発行の共産党理論誌「求是」によると、習近平氏は4月の党内会議で、各国に経済の対中依存度を深めさせ、中国が制裁を受けても強力に反撃できる体制を築くよう命じたという。
まるで戦狼貿易を奨励するかのようだ。このような指示を出したとすれば、側近が止めるのは難しい。習氏が築いた強権体制の欠陥と弱さがここにある。』
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https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00650/


『国際社会の批判が高まる中国の人権問題
中国・武漢発の新型コロナウイルスの感染が再拡大し、世界各地で猛威を振るう中、英国と豪州を中心に、2022年北京冬季五輪をボイコットする動きが水面下で進んでいる。新彊ウイグル自治区での中国共産党による民族浄化ともいえる激しい人権侵害を見過ごすことができないためだ。
コロナウイルス感染症の隠蔽(いんぺい)をはじめ、香港デモへの弾圧や内モンゴル自治区での中国語教育の強化による同化政策、チベットでの人権問題など中国の行動は、国際社会から強い不信を招き、北京冬季五輪に自国選手を送り込んでよいのかとの懸念が英国と豪州をはじめ西側諸国に広がり始めた。日本は東京五輪を成功させるため、あまり波風を立てたくない事情もあり、今は中国の人権問題に絡んだボイコットには同調しにくい。
「一般論としては、スポーツと外交・政治は分離しなければならないと考えるが、それが不可能な場合もあり得る」
ドミニク・ラーブ英国外相が、中国による新疆ウイグル人への迫害の証拠が増えた場合、北京冬季五輪不参加の可能性を示唆したのは、2020年10月6日の英議会外交委員会でのことだった。
中国共産党による人権侵害が激化したとはいえ、平和とスポーツの祭典に政治が介入してよいのか。独善的に現状を変更する中国に対する脅し(ブラフ)ではないのか。こんな疑問が湧いたので、英国駐在時に懇意になった英外務省関係者に電話で聞いた。
「ウイグル自治区における中国の弾圧は許容範囲を超えており、人権の観点から、英国は同盟国と連携してボイコットすることは十分あり得る」
ラーブ外相の発言は脅しではなく、本気で不参加を検討しているという。ただし、英国だけでは「超大国」中国には対処できない。「証拠を集め、国際社会におけるパートナーと連携し、どのような措置を講じるべきかを検討する」(ラーブ外相)ことになった。
次期首相有力候補のラーブ外相は、中国の隠蔽が原因でコロナが感染拡大した4月、「中国との関係はコロナが終息しても、平常通りには戻れない」「中国は厳しい質問に答えなければならない」と対決姿勢に転ずる対中政策の見直しをいち早く表明した。対中強硬派の旗頭だけに、発言にも重みがある。
香港への国家安全法制の導入を決めた中国に対して強い姿勢で臨もうという動きは、さらに加速している。6月に日米欧の16カ国の議員らが結成した世界的な議員連盟、「対中政策に関する列国議会連盟」の初代議長で保守党の元党首、イアン・ダンカン・スミス議員も8月、英国政府が国際オリンピック委員会(IOC)に中国から2022年五輪開催権を「はく奪」するか、「公式代表者の参加禁止」を要請すべきだと提案している。
160以上の人権団体がIOCに開催再考訴え
また、世界60カ国以上の300以上の人権団体が、中国の人権侵害問題に対して緊急の対応をとるよう国連に呼び掛け、このうち160以上の人権団体が9月、IOCに人権侵害を理由に北京冬季五輪開催再考を求める書簡を提出した。「中国全土で起きている人権危機の深刻化が見過ごされれば、五輪精神と試合の評価は一段と損なわれる」としている。
ラーブ外相の発言を受けて同じ10月6日、米ニューヨークの国連で開かれた人権会議で、ドイツの主導により、英国や豪州、日本など39カ国が中国の人権問題を批判する共同声明を発表し、中国に対して100万人が収容されている新疆ウイグル自治区の収容施設に、国連人権査察団が「直接的で意味のある自由なアクセス」ができるよう求めた。
「国際社会におけるパートナーと連携したい」。ラーブ外相の呼びかけに真っ先に応じたのは、コロナ感染経路の独立機関による調査を主張したことに端を発して中国の経済制裁を受け、対中関係が「過去最悪」となっている英連邦の兄弟国、豪州だった。
国会議員の多くが超党派で、「1936年のヒトラーのナチス政権下で開催されたベルリン五輪と類似性」があるとして、北京冬季五輪のボイコットを支持し、豪州選手に不参加を呼びかけた。上院のレックス・パトリック議員とジャッキー・ランビー議員が動議を出して豪連邦議会は11月9日、北京冬季五輪不参加について審議、採決したが、過半数に達せず、不参加の決議には至らなかった。
しかし、中国が豪州産の輸入制限を継続し、外務省報道官が虚偽画像をツイッターに投稿するなど関係悪化が続いており、ボイコット論は「高度な長期戦」に突入した格好だ。
パトリック議員は中国共産党による深刻な人権侵害がある中で、「豪州選手の五輪参加は無謀で危険。道徳的に誤り」と主張、エリック・アベッツ上院議員は、IOCが「野蛮で権威主義的、全体主義的な政権」に開催を許可すれば、IOCの立場は損なわれると警告する。英国のスミス議員は、「中国の経済制裁を恐れて、五輪ボイコットを躊躇(ちゅうちょ)してはならない」と毅然(きぜん)とした対応を求めた。五輪ボイコットでも英国はまず、機密情報を共有する政府間の枠組みであるファイブアイズのアングロサクソン同盟国の豪州とスクラムを組む。
では、「特別の関係」の米国はどうだろうか。世界的な反中の「列国議会連盟」に加入している共和党のマルコ・ルビオ上院議員とロバート・メネンデス上院議員がボイコットを呼びかけ、3月には共和党のリック・スコット上院議員が主導して12人の超党派議員がIOCに22年冬季五輪開催地を再検討するよう要請した。スコット議員は五輪を中継するNBCに対し、人権に配慮して放映を取りやめるように求めている。
西側23カ国が潜在的ボイコット連合
米オンライン外交論壇誌「The Diplomat」によると、冬季五輪でメダルを獲得できる国は西側先進国が多く、不参加を決めれば、結束しやすいという。そして2019年7月にウイグル族の拘束を問題視して国連人権理事会に送付した共同書簡に署名した日本と英国をはじめとする22カ国に、署名しなかった米国を加えた23カ国がボイコットの潜在的連合になると指摘している。
ただ中国に対決姿勢で臨んだトランプ政権に対し、次期大統領就任が確実となった民主党のバイデン政権がどのような対中政策を取るかは未知数だ。人権問題には厳しく対処すると伝えられるが、融和に転じる可能性もある。1980年のモスクワ五輪は米国主導で西側がボイコットした。米国がどのように判断するか、注目される。
08年の北京夏季五輪でも、チベットなどでの人権問題が批判を集めたが、22年冬季五輪ではウイグルなどでの批判がより高まっている。「列国議会連盟」のメンバーのドイツのラインハルト・ビュティコファー欧州議会議員は「ワシントン・ポスト」紙に、「08年五輪開催の際、中国はIOCに人権問題向上を約束したが、12年経過して全く逆の方向に悪化した」と指摘し、「中国の王毅外相の訪欧の際に、欧州各国の議員と連携して対処したが、北京冬季五輪の対応でも共闘することを検討したい」と語っている。
東京五輪開催最優先?で静観する日本
対中政策で連携する仲間として英国は、ファイブアイズの次にアジアの最大のパートナーで日米豪印の「QUAD(クアッド、日米豪印戦略対話)」として日本に協力を求めるだろう。しかし、日本オリンピック委員会(JOC)など日本側は、東京五輪を控え、腰が定まらない。
五輪に関わる官邸筋は「西側の一員として北京五輪ボイコットに参加すべきだが、東京五輪を成功させたいので、日本が旗を振りにくい」と打ち明ける。「列国議会連盟」に参加する自民党の中谷元衆議院議員、無所属の山尾志桜里衆議院議員は、北京五輪不参加について発信していない。
22年秋に共産党大会を控え、そこで再選を望む習近平国家主席にとって、北京冬季五輪は是が非でも成功させたい大イベントだ。しかし中国の人権弾圧が拡大すれば、英豪米が中心となり、五輪ボイコットの流れが広がるだろう。そこで、日本が座視すれば、英米との信頼関係を損ね、西側諸国の中で存在感を失いかねない。
コロナが終息する保証はない。IOCの最古参委員のディック・パウンド氏が「東京五輪が中止になったら北京冬季五輪も開催困難」との見通しを示すが、英豪のボイコットの動き次第では今後、北京冬季五輪の開催はどうなるのか、日本も無関係ではいられなくなるかもしれない。
バナー写真:2022年北京冬季五輪・パラリンピックの競技場間の運行路線となる北京市と河北省張家口市を結ぶ京張高速鉄道の太子城駅の通路。2019年12月30日 新華社/共同通信イメージズ 「新華社」』