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Month
図3-2 マレの全天日射量
4-3 経済・産業
モルディブの主要産業は水産及び観光産業であり、実質GDPの約40%にこれらの産業が寄与
している。2001年に発生した米国同時多発テロの影響で観光業が一時低迷した。その後、水産物
輸出の増加等により、2001年以降経済は順調に回復してきたが、2004年末に発生したインド洋大
津波の影響で甚大な被害を受け、被害額はGDPの約62%に達し、2005年のGDP成長率はー4.6%
と落ち込んだ。
しかし観光•漁業等産業の回復により2006年には23.5%のGDP成長率となった。1人あたり
のGDPは1983年の771米ドルから、2006年には3,090米ドルに達している。
そのため、2004年末に後発発展途上国(Least Developed Country : LDC)卒業が確定していた
ものの、津波被害によりOECDにより3年間LDC卒業国リストの対象国となることが猶予され、
2008年からさらに3年間のLDC卒業移行期間を経て、2011年に完全に卒業となる予定である。
4—4 エネルギー政策・法令
4 一 4 一1 エネルギー政策
モルディブは、現在「第7次国家5カ年開発計画(2006年〜2010年)」実行期間にある。こ
の計画のなかにエネルギー分野の状況や政策が掲げられている。
モルディブ政府のエネルギーに関する現状認識は以下のとおりである。
① 過去10年間にわたり電力供給の改善が進んで、2006年までにすべての住民居住島が電
カ供給可能になった。
② モルディブ電力公社(STELCO)はマレ首都圏を中心に、主要28島で電力供給を行って
いる。残りの居住島は島のコミュニティや個人所有の発電機により電力供給が行われてい
る。
③ STELCOが関わっていない居住島やリゾート島の電力供給に関するデータは入手困難な
ため、国全体の発電設備容量は不明。
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④ モルディブで使われる全電力のおよそ60%はリゾート島で消費されていると考えられ
る。
⑤ STELCOの2006年における全発電電力量185.6GWhの約72%はマレ都市部で消費され
た。さらに年率11%で増加し続けている。
⑥ 土地が限られるマレ島ではこれ以上の電力供給増強は望めない。解決のためには近隣島
で発電し、送電を検討しなければならない。
このようにさまざまな課題があるなかで、エネルギー政策として次の4項目が示されている。
政策1)すべての島で信頼性のある利用可能なエネルギー供給を行う。
2004年の津波で破壊された電力インフラのリハビリやすべての住民島を24時間給
電できる状態へのアップグレード、マレ首都圏の地域電力系統の設立などが記されて
いる。
政策2)省エネルギーとエネルギー効率化の推進と提供するサービスの質の向上
発電・配電・電力利用の面での効率化の促進、公共建物のような主要なエネルギー
消費者に焦点を当てた需要家側管理の推進、すべての新築建物でエネルギー節約を達
成するための「建築法(Building Code) Jなどに言及している。
政策3) 再生可能エネルギーと環境対応エネルギー源の推進による国家エネルギーセキュリ
ティの向上
対策として、持続可能な太陽エネルギー及び風力エネルギー応用装置の導入と実証、
家庭ごみを利用した発電可能性の検証、バイオ燃料利用の奨励などが挙げられている。
政策4)エネルギーセクターの制度的枠組みの強化
ここではエネルギーセクターの管理機能の強化、発電所のオペレーターに対する訓
練の実施、エネルギー消費を管理・評価するための基準の確立などを含んでいる。
4-4-2 エネルギー関連法令•規則
電力関係法•規則に関し、モルディブ側から入手した現地語を英語訳した情報をもとに内容
を調査した。含まれている規則及び法律は以下である。
•マレ及び外部環礁における電力供給に関する規則
(Regulations on public supply of electricity in Male’ and outer Atolls)
•公共サービス管理法(Law governing public services)
「電力供給に関する規則」では電力供給者の登録、発電機設置時の事前報告、サービスの提
供者と受益者の契約、契約違反とサービスの停止、発電所と発電機設置に関する仕様、制御室
や配電盤などに関する仕様、配電系統に関する仕様、ワイヤリング規定、電力事業に携わる人
の資格など、電力供給事業に関する一般的な基本事項が決められている。
「公共サービス管理法」はさらに基本的な考えの大枠を規定しているもので、電力供給に関
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する具体的な規定は含まれていない。
上記規定のほか、電力機器に関する規則、基準などは特にないようである。すべての機器が
輸入に頼っているため、国際標準規格IEC準拠といえる。
太陽光発電(PV)関係、特に系統連系に関する規則、基準などは当然整備されていない。PV
システムを大量に導入する政策を進めようとするならば、先進国の基準をモデルとした系統連
系に必要な保護機能、連系条件の基準などを整備していくことが必要となる。
4—4—3 その他の関連法・規格
•「モルディブ国家建築法2007J
(The Building Regulations 2007 • Maldives National Building Code 2007)
pvシステムを建物の屋根上やビルディングの屋上に設置する場合に関係するような条件は、
今のところ想定されてはいないと思われる。モルディブにおいては、建物に要求される条件の
優先度は、安全及びエネルギー効率となっている。
4-5 再生可能エネルギー導入政策
モルディブ政府は第7次国家5カ年開発計画(2006年〜2010年)の4つのエネルギー政策のな
かのひとつとして「再生可能エネルギーと環境対応エネルギー源の推進による国家エネルギーセ
キュリティの向上」を図ることを明記している。このなかで政策実現のための対策として、以下
を挙げている。
•持続可能な太陽エネルギー及び風力エネルギー応用装置の導入と実証
•家庭ごみを利用した発電の可能性開発
•バイオ燃料利用の奨励
•家庭や産業分野において再生可能エネルギー利用機器の使用を奨励
上記の目標のなかで、モルディブにおいて常時安定したエネルギー源になり得るのは、太陽エ
ネルギーであることは疑いない。
4-6 エネルギー需給状況
モルディブのエネルギーは、交通機関を除けば、ほぼすべてをディーゼル発電による電力に頼
っている。マレ首都圏をはじめ、比較的人口の多い主要な島の電力供給を担っているSTELCOは、
近年発電に用いるディーゼル燃料の高騰に苦慮している。さらに、使用している燃料油はC重油
より良質であるが値段の高いA重油のため、燃料代の影響が一層大きくなっている。
STELCOが運営する発電所の発電電力量は年々大きな伸びを示しており、年間総発電電力量は
2003年の!41GWhに対し2007年には244GWhに達している。伸び率でみると、全体では対前年
比13%〜15%前後の高い伸びを示している。開発が進むにっれて、この傾向は今後もしばらく続
<と思われる。
4—6—1マレ島の状況
マレ首都圏はマレ島、フルマレ島、フルレ島(空港)、ビリンギリ島、テラフシ島からなって
いるが、電力送配電線は連系されておらず、それぞれの島でディーゼル発電し供給している。
ディーゼル燃料は、マレ島近くの燃料島からマレ島へ1日に2、3回バージ船で搬送している。
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人口集中が著しいマレ島の電力供給は、最近の10年間で年率10%〜13%で伸び続けており、
2007年には約!77GWhに達した。ここ数年は12%を越える伸びを示しており、この傾向が続
けば、毎年3MW強の設備増強が必要になり、第7次国家5カ年開発計画が終了する2011年ま
でに、最低限11MW程度の追加設備が必要になる。
マレ島では需要増に対応するため、緊急電源として1MWのディーゼル発電機6台を発電所
に隣接した道路を封鎖して設置して急場をしのいでいる。今後の設備増強は、設置場所の制限
から、現在進められている発電機増設計画24MW (8MWX3台)が最後となり、その後は需要
の伸びに対応できない。現状の需要増加が続けば10年以内に限界に達する可能性が高いが、マ
レ島はすでに飽和状態といえる程に開発が進んでおり、これ以上の大きな電力需要の伸びが継
続する可能性は低いと思われ、いずれ電力需要も飽和に達することが予想される。この解決策
として、現在進められているフルマレ島開発計画が促進され、上記限界に達する前に需要が飽
和することが期待されている。
4-6-2 フルマレ島の状況
フルマレ島は開発マスタープランに従って、大規模な埋め立てを行い、住民移転用の住宅地、
工業地区、文教地区、外国資本を呼び込んでの商業地区、観光地区などに利用される予定であ
る。すでにマレ島からの移住が開始しており、開発計画のフェーズ1が終了する2020年ごろに
は、ひとつの大きな都市となり、飛躍的な電力需要増が見込まれている。
4-6-3 省エネルギー努力
電力需要急増の大きな原因のひとつに、効率の低い従来型エアコンの使用や国民の省エネル
ギー意識の低さがある。
モルディブ政府は第7次国家5カ年開発計画(2006年〜2010年)の4つのエネルギー政策の
なかのひとつに、「再生可能エネルギー」と同時に「省エネルギーとエネルギーの効率化」を掲
げている。しかしながら、この政策が実質的に推進されているとは思えないのが実態である。
必要以上の容量の旧式エアコンの使用、不要と思われる街路照明、狭い道路にひしめく車やモ
ーターバイクなど、危機的状況に陥る前に取り組むべき課題ではないか。
4-7 エネルギー供給体制
モルディブでは、船、航空機及び車などの交通機関用のエネルギーを除けば、エネルギーのほ
ぼすべてを輸入石油を燃料とするディーゼル発電電力に頼っている。燃料の石油はモルディブ
STO (State Trading Organization)が調達し、STELC0 に供給している。
STELC0が担っている電力供給事業は、マレ首都圏をはじめ、人口の比較的多い主要な島の28
発電所である。STELCOの総設備容量は2007年現在60.9MWであり、2007年1年間の総発電電
力量は234.8GWhであった。そのうち、首都のマレでは設備容量35.5MW (全体の58.3%)を有
し、176.8GWh (全体の75.3%)の電力量を生産しており、極端な1極集中の状態になっている。
しかし、その他の住民島や、リゾート島などSTELC 0が電力供給を行っていない島も数多く存
在する。そのような島では、島独自に発電設備をもち住民に電力を供給している。これらの電力
供給システムは、発電機の設置、運営、燃料の調達などすべてSTELC0とは無関係にそれぞれ独
自に行われている。
—15 —
4—8 エネルギー価格
4-8-1 STELCOの電力料金及び政府補助金概要
r 3 -1-2 Jに記載のとおり、電気料金は高く、マレ島でのSTELCOの電力経営は赤字で
ある。STELC0は政府からの補助金を受けている。
4-8-2 STELCOの電力料金体系
STELCOが供給する電力の料金は、首都圏の島(マレ、フルマレ、ビリンギリ、テラフシ)
の料金体系とその他の島の料金体系とで異なっている。マレ国際空港はSTELCOに頼らず独自
の発電でまかなっている。
(1) 首都圏の場合
① 家庭向け料金
② 政府、公立学校、私立学校
③ ビジネス、ビジネススペシャル
④ 特別料金
に区分され、それぞれの区分内で電力消費量によって料金単価が決っている。例えば家
庭用の場合、100kWhまでの1.6ルフィア(約14円)から301kWh以上になると2.2ルフ
ィア(約19円)であるが、ビジネス用となると1OOkWhまでの3.15ルフィア(約27円)
から301kWh以上になると3.75ルフィア(約32円)となる。
(2) 首都圏以外の島の場合
① 家庭、ビジネス、私立学校
② ビジネススペシャル、政府、公立学校
③ 特別料金
に区分され、それぞれの区分内で電力消費量によって料金単価が決っている。家庭、ビ
ジネス、私立学校の場合は1OOkWhまでの2.2ルフィア(約19円)から301kWh以上にな
ると3.5ルフィア(約30円)と、首都圏に比較して割高になっている。
ビジネススペシャル、政府、公立学校の場合は100kWhまでの2.25ルフィア(約19.4
円)から301kWh以上になると3.75ルフィア(約32円)である。
北部の島のハニマアド空港には特別料金が適用され、電力使用量にかかわらず電力量料
金単価は3.5ルフィア(約30円)である。
(3) ディーゼル燃料価格
STELCOが購入した燃料のディーゼル油の値段はマレ、ビリンギリ、フルマレの首都圏
と、その他の島の発電所用ではわずかながら違いがあり、首都圏用が少し低くなっている。
燃料12あたりの購入価格は、首都圏で2004年1月では約4.54ルフィア(約39円)、2005
年5月が6.15ルフィア(約53円)、2006年4月が7.77ルフィア(約67円)、2007年12
月が10.17ルフィア(約88円)となっている。しかし、これは市場価格ではなく、実際の
STOの原油調達先や価格は機密事項となっているため公開されていない。
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第5章 集中型太陽光発電導入の技術的検証
5-1STELC0のディーゼル発電・電力送配電状況
5-1-1発電所の概要
モルディブ電力公社(STELCO)はマレ首都圏をはじめ、主要な島に28カ所の発電所をもち、
すべてディーゼル発電機で発電している。首都圏以外の小規模発電所(140kW〜1.8MW)は、
ほかの発電所から移設された発電機を多く使用している。各発電所は、海を隔てて遠く離れて
いるため、互いの系統を連系することは不可能であり、その結果、それぞれの島で独立した小
規模電力系統で電力供給を続けている。人口が極端に密集したマレ島では、現在計画中の8MW
発電機3台の増設を最後に、スペースがなく、電力供給の限界を迎えつつある。
設備の維持管理はSTELCOが独力で行っており、発電設備のオーバーホールなど大規模な点
検修理も自力で可能な技術力を有す。
5—1—2 設備容量
モルディブでは近年電力需要の急増が続いている〇 STELCOによる電力総供給量は2003年に
141.6 GWhであったが対前年比13%〜16%も増加し、2007年には243.8GWhに達した。これに
対して、発電設備は2003年の49MWから2007年には60.9MWに増強されている。このなかで、
マレ首都圏では2003年に32.8MW (全体の67%)から2007年には41.7MW (全体の69%)と
なっている。
表5 -1はSTELCOが管理するすべての発電所設備容量、表5 – 2はマレ首都圏の発電設備
容量、表5-3はSTELCOの電力供給実績の推移を示している。
このような状況のもとで、モルディブ政府は、再生可能エネルギー活用による安定的なエネ
ルギー供給を検討している。
表5 -1STELCO発電所設備容量
Installed Capacity (kW)
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
首都圏以外合計 16,275 16,242 18,547 19,329 19,175
首都圏合計 32,790 32,790 34,010 38,730 41,730
合計設置容量 49,065 49,032 52,557 58,059 60,905
表5-2 STELC〇発電所設備容量(マレ首都圏)
Installed Capacity (kW)
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
マレ(Male’) 29,490 29,490 29,490 33,490 35,490
ビリンギリ(Villingili) 1,200 1,200 2,200 2,000 2,000
フルマレ(Hulhumale) 2,100 2,100 2,240 2,240 3,240
テラフシ(Thilafushi) – 0 80 1,000 1,000
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表5-3 STELCOの電力供給実績
(GWh)
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
首都圏以外の合計 30.0 34.0 38.4 47.0 54.8
首都圏の合計 111.6 126.2 147.2 165.4 189.0
合計 141.6 160.1 185.6 212.5 243.8
(収集資料から調査団が作成)
5-1-3 モルディブの電力品質
マレ島の電力は適正に管理されており、大規模の太陽光発電(PV)システムを系統連系する
上で大きな技術的障害要因はみあたらない。特に、小規模電力系統で問題になることが多い周
波数の変動に対しては、電子ガバナとプログラマブル・ロジック•コントローラ(PLC)を採
用し、過渡応答と定常安定性を確保している。
フルマレ島でも、制御装置はマレ島の「おさがり」を使用しているが、ディーゼルエンジン
の速度は電子ガバナを使用して高速応答を実現し、基本的にマレ島と同一管理がなされており、
現在のところ周波数、電圧変動などもpvシステムの系統連系に支障はないと考えられる。今
後、フルマレ島の開発が進み、急速に電力需要が増大すると思われるが、それに対応して、発
電機の増設とともに、マレと同様、より高度な進化した制御システムが必要になるものと思わ
れる。
その他の島は2000年以降に新設された設備のほか、1990年代の設備や他の島の発電所から
移設されたものも多く、最新の制御システムを採用していない所が数多くあり、電力の制御応
答や精度が十分ではない可能性が多いと思われる。従って、PVシステムを系統連系する場合
には、各島の系統の状態を調査してケースバイケースで対応する必要がある。
5-1-4 電力送配電状況
送配電線はすべて地下埋設方式とすることが「電力供給に関する規則」で定められている。
送電系統は3相3線式、llkV、50Hzで、低圧配電系統は各地に設置されたサブステーション
で3相3線式、400Vに降圧され、各線間電圧(単相230V)が需要家へ分配される。
マレ島の電力系統では、各地街角に設置されているサブステーションが発電所からリモート
コントロールされ、安定な電力管理がなされている。
図5-1にSTELC0が管理するマレ島の送電系統(llkV系統)のサブステーションの配置
を示す。
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図5—1 マレ島11kV系統サブステーション配置図
5-2 STELCOの需給制御システム
STELC 0が運営する発電所は、すべてディーゼル発電機による発電を行っている。発電所の規
模はホアラフシ島やグライド島発電所のような200kW足らずの発電機2台で運用している場合か
ら、マレ発電所のような6.5MWから1.0MWまで大小!3基の発電機で運用している所もあり、
事情は異なる。
マレ発電所では、負荷の増減に対して所定の運転シークエンスに従い、運転発電機の起動停止
を選択する通常の負荷対応の方法が行われている。そのほか、中小規模発電所でも、可能な限り
同様の方法が採られていると思われる。
5-3 太陽光発電導入のための技術検討
5-3-1 日射量データ
pvシステムのエネルギー源でありpv導入を検討する際、最も重要なデータである。アメリ
力航空宇宙局(NASA)のデータベースから、マレにおける10年間の平均値が利用できる。こ
れによると、マレの日射条件はきわめて良好で、1日あたりの全天日射量の年間平均値は
5.85kWh/m2に達する。系統連系PVシステム設置の実績の多い東京の全天日射量3.44Wh/m2に
比較して70%も多く、有利な条件を備えている。
-19-
表5-4 マレの全天日射量
(kWh/m2/day)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均
全天日射量 5.73 6.52 6.86 6.36 5.53 5.14 5.52 5.31 5.96 6.22 5.63 5.4 5.85
5-3-2 期待される発電電力量と波及効果
上記NASAの日射データをベースに計算すると、系統連系PVシステムIkWあたり、1日
3.7kWh〜5.2kWh、年間!,600kWhの電力量が得られることが期待される。もし、1MWのPVシ
ステムを設置した場合には、1日3.7MWh〜5.2MWh、年間1.6GWhの電力量が得られることに
なる。この電力量は2007年度マレ発電所の年間発電電力量約177GWhの0.9%に相当し、フル
マレ発電所の年間発電電力量5.8GWhの約28%になる。
マレ発電所の燃料消費は、発電電力IkWhあたり約0.2555であるから、1MWのPVシステム
による年間燃料節約は 約400皿程度になる。この燃料を排出係数2,709.4kg-CO2/kfiを適用して
炭酸ガス排出量に換算すれば、およそ1,100トンになる。
図5—2 マレにおける日負荷曲線
5-3-3 電力需要傾向(日負荷曲線)
負荷需要傾向は3つのパターンに分かれる。これらのパターンの違いはPVシステムを系統
連系した場合、その効果に大きな違いをもたらす。
(1) 需要のピークが昼間に現れる、先進国にみられるパターン
マレ、ビリンギリなどにみられる。日中に電力のピークが起こるこのパターンは、首都
圏でも大きな産業用需要が乏しいモルディブでは、政府関連施設やアパート、商店などの
エアコンによる電力需要が大きな割合を占めている。
(2) 需要のピークが日没後に現れる、途上国にみられるパターン
Guraidhoo島、Hoarafush i島などにみられる(図5 — 3参照)。日没後に電力のピークが
起こる⑵の場合は、比較的小規模発電所が多く、夜間の照明やテレビなどの負荷が中心で、
エアコンなど電力多消費負荷は少ないと考えられる。
-20-
Daily Load Curve in Guraidhoo
11 Oct 2007
図5 — 3 Guraidhoo島における日負荷曲線
(3)日負荷曲線とPVシステムの関係
pvは、日射強度に比例して昼間だけしか発電できない。電力は蓄電池など特別なエネ
ルギー貯蔵装置を装備していない限り、昼間に発電した電力は発電と同時に消費しなけれ
ばならない。従って、昼間にピークがある負荷の場合、PVにより発電された電力はピー
ク電力の一部を担い、発電機の負担を減らす役割を果たし、ディーゼル発電とPVの相乗
効果が発揮される。
一方、負荷需要のピークが日没後に現れるパターンでは、ピーク負荷に対してPVシス
テムは全く役割を果たせず、発電機の負担軽減にはならない。逆に、日中の軽負荷時にPV
による電力が供給されると、ディーゼル発電機はさらに軽負荷運転を強いられる事になり、
好ましくない状況も起こりうる。
5-3-4 PVシステムに必要な敷地面積
太陽エネルギーはクリーンかつ無料で、場所を選ばず利用できる魅力的なエネルギー源では
あるが、はるか彼方の太陽からの放射エネルギーを利用するため、エネルギー密度が低く、大
きなエネルギーを集めるためには、広大な面積を必要とする。
現在の大容量PVモジュール(175W型、200W型など)は変換効率が14%弱のものが多く、
IkWあたりのPVモジュール面積は約7.2m2~7.5m2程度になる。作業スペースなど、必要スペ
ースをモジュール面積の50%〜60%確保し、モジュールの集合体、すなわち所要PVアレイ面
積とする。
この基準で計算すると、1MWのPVシステムに必要な面積は1万Hi2〜1万2,000m2程度(例
えば100m X120m)になる。敷地はビルの谷間など日陰でなければ、地上である必要はなく、
建物の屋根上などの遊休地が活用できる。
5 — 3 — 5 PVシス’7・ムの設置場所
それぞれの島の状況によってPVシステムの設置可能な場所はさまざまな制約を受けるため、
PVシステムの設置場所については地域の事情をよく見極める必要がある。
-21-
(1) マレ島の場合
一般的に、開発途上国は、PVシステムを導入する場合には、太陽電池アレイを設置で
きる遊休地を探すのはそれほど困難ではない。しかし、モルディブのような島!国は、陸
地そのものが狭く、大規模システムを設置できる場所を確保するのは容易ではない。貴重
な土地をPVシステムが単独占有することは、国土の有効利用の観点からも許容されない
状況にある。
特に、モルディブの首都圏のマレ島は雑然としたビルが建ち並び、ほとんど空き地など
広大な敷地は存在しない。ビルの屋上もさまざまに利用され、PV Tレイを設置できる場
所は限られる。公共のビルの屋上、船着場の屋根上、グラウンドの周囲などが可能性とし
て考えられる。技術的には利用可能なこれらの場所も、建物の所有者、関係他省庁などと
の調整、建築基準法との整合性などといった問題の解決が不可欠になると思われる。
パイロットプラントとして中規模のPVシステムを設置する場合の設置場所としては、
マレ島のSTELCOの屋上もひとつの候補になりうる。
(2) フルマレ島の場合
フルマレ島は、さんご礁の縁を削り、浅瀬を埋め立てて陸地を造成しており、現在、広
大な空き地になっている。しかし、これらは開発計画が決められており、pvアレイを地
上に設置できる余地はない。STELC0が所有する発電所に隣接した上地も、フルマレ島の
開発につれて、電力供給を増強していかなければならない発電設備の予定地であり、PV
アレイの地上設置は不可であることが明らかになった。このような状況のため、フルマレ
島においても、今後建設される建物を含め、ビルや公共施設の屋根上など、スペースの有
効利用が最も現実的な方法と考えられる。
これを可能にするためには、環境・エネルギー ・水省(MEEW)とS TELC 0だけではな
く、フルマレ開発公社(HDC)や建設•公共インフラ省(MCPI)などとの調整が必要に
なるだろう。
フルマレ開発計画の早期にpv設置について調整をつけることで、今後、フルマレ島に
おけるpv設置を促進させることが可能であり。あわせて、モルディブの玄関口であるフ
ルマレ島に、大規模開発と平行してクリーンなエネルギーであるPV設置を促進している
ことは、各国に対して気候変動へのモルディブの取り組みのアピールにもなりうる。
(3) その他の島の場合
マレ首都圏の島を除けば、発電規模も小さく、PVシステムを設置する場合でも、公共
施設の屋根をはじめ地上の空き地も利用できると思われ、首都圏のような設置場所の制約
は小さいと思われる。
5-3-6 モルディブに導入可能な系統連系PVシステム
モルディブ首都圏においては、地上の広大な土地に太陽光発電所を建設するための場所の確
保が不可能であることから、1カ所の発電所で発電した電力を送配電線を通して需要家に供給
する「集中型PVシステム」は成立しないことが判明した。
それに代って、需要家の屋上などを利用して発電し、至近の電力系統に接続する「分散型PV
-22-
システム」の方式が現実的となった。この方式は、日本をはじめ、多くの国ですでに実施され
ている。分散型PVシステムは、設置場所の制約にあわせて、大小さまざまな容量で設計でき
る自由度が大きく、また、発電場所が需要端に近いため、送電ロスの軽減にもつながるもので
あり、モルディブ、特に開発が始まったフルマレ島では、開発ペースにあわせて追加設置して
いくのに有効なシステムといえる。
需要家の屋根の上にPVシステムを取り付けることを想定した場合、需要家、すなわち現地
住民に対してPV普及の意識啓発を行うことが重要である。あわせてPVにより発電した電力
に余剰が生じた場合、STELCOに売電することが想定される。
電力の売電については、料金設定等の規定についてSTELCO及びMEEW等関係機関の調整
が必要になる。なお、売電のしくみについては、日本で運用されている規定も大いに参考にな
ることが想定される。
5-3-7 モルディブでの再生可能エネルギー導入に対する試算
第7次国家5カ年開発計画によると、モルディブ政府は運輸関係を除く全エネルギーの10%
以上を再生可能エネルギー源に置き換えることを検討するとしている。すなわち、発電電力量
のio%以上を再生可能エネルギー源に頼りたいというものである。
STELCO全体の発電電力量の10%をPVシステムから供給する場合、2007年ベースでは
244GWhの10%、つまり24.4GWh分を発電するのに必要なPVシステムはおよそ!5MWにな
る。マレの発電電力量に適用してみると、2007年の発電電力量約177GWhの10%を置き換え
るために必要なPVシステムはおよそ11MWになる。PVシステムを設置可能な場所が限られ
ているマレでは、ほぼ絶望的な数字であり、フルマレ島への移住計画を進めている所以でもあ
る。
確保すべき設置場所の面積は、少なくとも全体で18万m2(例えば12〇mxi〇〇mを15カ所)、
マレ対応には13万2,000m2 (例えば120m Xl〇〇mを11カ所)と見積もられる。
-23-
第6章 予備的財務検討
6 一1STELCOの財務状況
モルディブの会計年度は1月から12月である。今回の調査では、2002年度から2006年度まで
の会計監査報告書を取得することができた。会計報告と発電部門の統計資料などを予備的に検討
した結果、過去2、3年でモルディブ電力公社(STELCO)の財務状況は急速に悪化していること
がわかった。その要因は高騰する燃料代と、急増する電力需要である。
表6 -1に損益計算書を示す。ここに示されているように、STELCOは2006年度にネットで大
幅な赤字となった。純益の減少は2004年度から始まっているが、2004年度の純益減少はその年
に行われた料金値下げも影響を与えていると思われる。表6 — 2「売電収入と売電費用の変遷」
に示されているように、売電収入は、2004年の電気料金値下げの年を除いて毎年高い増加率を示
している。この売電収入増加は表6-3「供給費用と平均電気料金の分析」に示されている発電
量(Total Generated)の増加が示すように、需要増がその要因となっている。しかし、売電費用の
増加は売電収入の増加をはるかに凌駕して、毎年30%前後から2006年には48%の増加となった
結果、売電収入は2006年に売電費用とほぼ同じになってしまった。
このような売電費用の急増は、燃料代の急増に起因している。表6 – 3に示されているように、
売電できた単位kWhあたりの燃料費用(Fuel Cost for Unit Sale)は2003年度から継続的に上昇を
続けており、前年度と比べた2006年度の上げ幅は特に大きかった。表6-3で、売電費用ととも
に減価償却費を含んだ管理費や支払利子である財務費用などを加えた総費用に対する単位売電量
あたりの総費用(Total Cost for Unit Sale)も、2003年度から毎年増加を続けている。単位売電量
あたりの総費用に占める燃料費用の割合(% of Diesel Cost in Unit Sale Cost)は2003年の41.7%
から2006年度の60.6%へと大幅に増加しており、単位売電量あたりの総費用増加の主因は燃料
の高騰であることが理解される。
また、表6 — 3では平均売電料金(Average Electricity Price)と単位売電量あたりの総費用を比
ベてみた。この表に示されているように、2003年度と2004年度は平均売電料金が単位売電量あ
たりの総費用より高かったものが2005年度に逆転し、総費用が平均売電料金よりも高くなり、そ
の差は2006年度になってより拡大した。つまり、2005年度からは電気を売れば売るほど赤字が
増えることになり、赤字の増加率は2006年度になりより増加した。2007年度の統計資料を今回
入手できなかったが、この傾向はより悪化していると予想される。このようなSTELC 0の費用構
造にもかかわらず需要は増加し続けており、需要の増加がSTELCO収支の悪化に拍車をかけてい
る。
また純益を検討する際に留意すべき点は、雑収入(Other Income)の項目である。表6 -1に
示すように、雑収入は2005年度に前年度と比べて大幅に増加して6,062万3,000ルフィアとなっ
ている。これはこのなかに5,468万2,000ルフィアの政府からの無償供与があったためである。
この政府無償供与がないと、2005年度もネットで赤字となっていた。この政府無償供与の内訳は
2005年度について記述がなく不明だが、2006年度の政府無償供与額1,646万2,000ルフィアは、
緊急電源として調達したー体型ディーゼル発電設備の資金であった。このように収支が急速に悪
化した結果、2003年度まで支払われていた配当は、2004年度から支払われなくなった。
-24-
表6 -1 モルディブ電力公社損益計算書(INCOME STATEMENT)
(Unit:Thousand Rf)
Year ended Dec 31 2002 Year ended Dec 31 2003 Year ended Dec 31 2004 Year ended Dec 31 2005 Year ended Dec 31 2006
Revenue 346,433 391,428 411,535 480,907 566,643
Cost of Sales (169,068) (216,014) (278,288) (374,227) (555,280)
Gross Profit 177,365 175,414 133,247 106,680 11,363
Other Income 2,631 2,241 1,603 60,623 30,138
Administration Expenses (73,945) (80,328) (115,803) (84,41 2)
Other Expenses (77,630) (7,915) (57,816)
Profit/(Loss) from Operating Activities 102,366 103,710 46,607 51,500 (100,727)
Finance Income 751 82 413
Finance Cost (30,894) (33,150) (24,754) (23,557) (21,879)
Net Profit/(Loss) fbr the Year 71,472 70,560 22,604 28,025 (122,193)
Earnings per Share 一 Basic 476 470 151 187 (814)
※STELCO財務諸表より作成。
表6-2 売電収入と売電費用の変遷
(Unit:Thousand Rf)
Year ended Year ended Dec 31 2003 Year ended Dec 31 2004 Year ended Dec 31 2005 Year ended Dec 31 2006
Dec 31 2002
Revenue 346,433 391,428 411,535 480,907 566,643
Increase in Revenue n.a. 13.0% 5.1% 16.9% 17.8%
Cost of Sales 169,068 216,014 278,288 374,227 555,280
Increase in Sales Cost n.a. 27.8% 28.8% 34.5% 48.4%
% of Sales Cost in Revenue 48.8% 55.2% 67.6% 77.8% 98.0%
※STELCO財務諸表より作成。
表6-3 供給費用と平均電気料金の分析
Year ended Dec 31 2002 Year ended Dec 31 2003 Year ended Dec 31 2004 Year ended Dec 31 2005 Year ended Dec 31 2006
Total Generated (kWh) n.a. 141,564,008 160,114,369 185,553,022 212,482,579
Increase in Total Generated n.a. 13.1% 15.9% 14.5%
Estimated Total Billed (kWh)湘 n.a. 125,991,967 142,501,788 165,142,190 189,109,495
Cost of Sales※之(Thousand Rf) 169,068 216,014 278,288 374,227 555,280
Administration Expenses (Thousand Rf) 73,945 80,328 115,803 84,412
Other Expenses (Thousand Rf) 77,630 7,915 57,816
Finance Cost (Thousand Rf) 30,894 33,150 24,754 23,557 21,879
Total Cost (Thousand Rf) 277,592 323,109 391,285 513,587 719,387
Total Cost for Unit Sale (Rf/kWh) n.a. 2.56 2.75 3.11 3.80
Cost of Diesel (Thousand Rf)※” 135,373 134,811 201,970 293,477 436,283
Fuel Cost for Unit Sale (Rf/kWh) n.a. 1.07 1.42 1.78 2.31
% of Diesel Cost in Unit Sale Cost n.a. 41.7% 51.6% 57.1% 60.6%
Revenue 346,433 391,428 411,535 480,907 566,643
Average Electricity Price※‘(Rf/kWh) n.a. 3.11 2.89 2.91 3.00
※STELCO財務報告書及び発電統計より作成。
※1:売電電力量のデータがなかったため、入手できた2007年の総発電量と請求された発電量から所内電力と配電損失を推計し、
推計された損失率をこれらの年度に適用して総売電量を求めた。
※2:Cost of Salesには、ディーゼル燃料代の他に、顧客サービス経費、補助燃料、スペアパーツ、潤滑油、職員の給与と手当てなどが含まれる。
※3 :Administration Expensesには、減価償却費、通信費、事務所など管理部門の維持管理などが含まれる。
※4 :2002年と2003年はディーゼル燃料代の項目がなかったため、燃料を一括して輸入しSTELCOへ供給しているState Trading Organization Pic.
への支払額を燃料代とした。したがって、2002年と2003年の数値は実際の燃料調達費よりも大きくなっていると思われる。
※5 :平均電気料金(Average日ectricity Price)は売電収入(Revenue)を請求されたkWh(Estimated Total Billed)で割って求めた。
-25-
6-2 プロジェクト財務性の予備的検討
6-2-1諸条件
(1) プロジェクトの想定
5年間にわたり系統連系PVシステムを設置することとする。1年目はlOOkW、それ以後
5年目まで100kWずつ年間設置容量が増加し、5年目には500kWの設置となり、合計で
l,500kW設置されて新規設置がマレ島で終了すると想定した。
(2) PVシステムの経済的耐用年数
何年間の経済的耐用年数となるかは、系統連系pvシステムが比較的最近設置されてい
るため、実証的データを探すのは難しい。ここでは一般的年数として25年を想定した。
(3) PVシステムの建設費推計
現在のpvモジュール価格も、近年の高騰している原油価格に影響されてかなり高騰し
ており、モルディブで実際に国際入札にかけた場合いくらになるか予想することはかなり
難しい状況にあるが、系統連系pvシステムのモジュール、インバーターなどの機器の価
格をIkWあたり150万円と想定した。この価格に輸送費、工事費、試験調整費として想定
した62万円を上乗せした212万円をマレ島価格としてベースケースの建設費とした。分析
ではルフィアを使用し、日本円とモルディブ・ルフィアの換算レートを0.1(ルフィア/円)
とした。
(4) PVシステムの発電量
米国航空宇宙局(NASA)のデータをもとに、PVを担当した皆元団員が推計したIkW
あたりのモルディブでの年間発電量、l,600kWhを使う。
(5) 財務便益(歳入)
財務便益は電気料金収入である。ベースケースの電気料金として、表6-3で計算され
た2006年の平均電気料金3 (ルフィア/kWh)を使う。この平均電気料金とPVシステムの
年間発電量の積を財務便益とした。火力発電や水力発電など通常の発電プロジェクトでは、
発電所の立地地点から需要家までかなり離れており、送配電損失を考慮するのが普通だが、
このプロジェクトではマレ・システムという非常に小さな系統の需要家の屋根にPVシス
テムが設置されることから、送配電損失は無視した。
(6) 内部収益率の計算
毎年の純便益(純歳入)からなる30年間のキャツシュ・フローから内部収益率を求めた。
この際に将来的な電気料金単価の増加や、PVシステムの維持管理費用と将来的な再投資
は無視した。
6-2-2 財務内部収益率計算のケースの設定
財務内部収益率は、建設費と電気料金により大きく変動する。ここでは4つのケースをそれ
ぞれ下記のように想定した。
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(1) ベースケース
上述のように、建設費を212万円/kWとし、電気料金を2006年度の平均売電料金3 (ル
フィア/kWh)として計算した。
(2) ケース1
建設費はベースケースと同じとし、電気料金を2006年度の平均電気料金の1.5倍とした。
(3) ケース2
建設費をベースケースの80%とし、電気料金を平均電気料金の1.5倍とした。
(4) ケース3
建設費をベースケースの60%とし、電気料金を平均電気料金の2倍とした。
6-2-3 財務内部収益率計算の結果
ベースケースの内部収益率は一3.97%となった。これはプロジェクト期間中の電気料金収入
総額が、PVシステム建設費総額よりも小さいことを示す。建設費は同じで電気料金を1.5倍【こ
したケース1でも、内部収益率はやはり一1.22%だった。建設費を80%まで下げ、電気料金を
1.5倍にすると、内部収益率はやっとプラスに転じ、0.46%であった(ケース2)。建設費をさ
らに下げて60%とし、電気料金を2倍にすると、内部収益率は5.63%となった(ケース3)。
6-2-4 プロジェクト財務性の評価
このように財務内部収益率が計算されたが、系統連系PVシステムのプロジェクトは、一般
発電設備と異なり規模の経済が働かず、初期投資が大きいため、財務性を確保することは非常
に難しい。今回の例でも建設費を80%まで下げ、電気料金を1.5倍の4.5 (ルフィア/kWh)と
いう、日本円で45円程度の電気料金にすることでやっとプラスの内部収益率を計算できた。こ
のように、このプロジェクトは財務的採算性を取ることが難しく、クリーン開発メカニズム
(CDM)による追加性を検討することは重要と考えられる。
6—3 本格調査へ向けた諸課題
(1) 経済分析の実施
今回は経済分析を行わなかった。国家経済の視点からプロジェクトの効率性を評価する
経済分析を左右する要素は、建設費の経済費用と、経済便益計算の根拠となるモルディブ
経済の経済的希少性を反映した経済電気料金である。しかし、今回の現地調査では十分な
時間がなく、必要なデータなどを取得できなかった。本格調査では経済費用と経済便益を
推計するための手法を検討し、必要なデータを取得して経済分析を実施する必要がある。
(2) 財務分析の課題
財務分析に求められる役割は2つある。今回予備的に検討したように、モルディブ電力
公社(STELCO)の事業体としての財務状況を分析するものと、系統連系PVシステムプ
ロジェク自体の財務的実施可能性を検討するものである。本格調査ではSTELC 0財務状況
-27-
をより多面的な側面から分析するとともに、プロジェクトの財務的実施可能性については、
現実的なプロジェクトの実施計画をいくつか想定し、CDMの要素も含めて検討することが
必要である。
(3)電気料金分析の重要性
電気料金はプロジェクトの経済的実施可能性と財務的実施可能性を検討する上で重要な
要素である。既存の電気料金は経済的希少性を反映したレベルにあるのか、電力の供給費
用を回収するために十分なレベルなのかなど諸条件を検討し、この検討結果を経済分析•
財務分析に反映させる必要がある。また、民間がPVシステムを設置しSTELC0に売電す
ることも想定し、民間がSTELCOに電気を売るときの価格をどう決定するのか、その価格
検討と決定の枠組みを提言し、その枠組みに従った売電料金の試算、及び民間がこのよう
なプロジェクトを実施するときの財務的採算性の可能性をCDMも考慮して検討するなど、
経済財務分析には重要な役割が期待されている。
-28-
第7章 国際機関・各ドナーの協力状況
7 一1 国際機関・各ドナーの協力状況
7-1-1 UNDPとの協力•再生可能エネルギーの基礎データの収集
国連開発計画(UNDP)の再生可能エネルギー技術開発及び応用プロジェクト(Renewable
Energy Technology Development and Application Project)が 3 年前から地球環境ファシリティー
(GEF)からの資金支援を受けて開始され、開始当初はモルディブの再生可能エネルギーの基
礎データの収集を重点に実施した。ビリンギ島での太陽光発電に関してデータ収集を行い、風
カデータに関しても検討した。プロジェクトはカウンターパート(c/p)である環境•エネルギ
一 •水省(MEEW)を支援し、プロジェクトのモニタリングを行う形で進められた。
また、現地の職業訓練校と連携して、再生可能エネルギーに関するトレーニングプログラム
を実施した。
なお、現在GEFHIが終了し、GEFIVが始まった段階である。
7-1-2 フランスエネルギー環境機関資金によるパイロットプロジェクト
フランスエネルギー環境機関(French Agency for Energy and the Environment : ADEME)のタ
イド資金により、2005年にマレの南西約!00kmに位置するアリフ環礁のマンド島に、パイ口
ットプロジェクトとして、太陽光発電(pv)システムとディーゼル発電のハイブリッドシステ
ムを設置した。このシステムはモルディブ電力公社(STELCO)により運営されている。
マンド島には約40家族が住んでいて、この電気を接続している。このハイブリッドシステム
は、12.8kWの太陽光発電と既存の28kVAと43kVAの2セットのディーゼル発電機から構成さ
れており、PVシステムは昼間に28kVAのディーゼル発電から電力供給を引き継ぎ、夜間は以
前のとおり43kVAのディーゼル発電から電力を供給する。このように、このシステムはディー
ゼル発電とpvは連系して運転されることはなく、それぞれ切り替えて単独で運転される。
国連開発計画(UNDP)によるパイロットプロジェクトの支援は、島のインフラ整備を目的
としたものではなく、サイトエンジニアの維持管理技術向上など、キャパシティ・ビルディン
グに焦点を当てている。
この他、UNDPは技術支援の一環として、キャパシティ•ビルディングを目的としたエネル
ギー研修を実施した。研修の対象はMEEWや民間セクターなど広く募り、STELC0職員も参
加した。
-29-
第8章現地踏査結果
8一1現地踏査概要
モルディブの発電、送配電、太陽光発電(PV)システムを設置する際の設置環境などを調査す
る目的で、マレ島及びフルマレ島の現地調査を行った。また、ノンプロ無償により供与され、現
在稼動中の系統連系PVシステムがあるラーム環礁のフォナード島及びガン島の視察を行い、既
存システムの運転状況の実態を確認した。
マレ島は、モルディブ電力公社(STELCO)の発電所を中心に、設備状況、運転管理状況、設
備拡張スペースなどを確認した。フルマレ島、ラーム環礁については以下に詳細を記述する。
8-2 現地踏査結果
8 — 2 —1 フルマレ島の調査
フルマレ島のフルマレ開発公社(HDC)を訪問し、フルマレ開発の現状について、説明を受
けた。また、HDCの案内で、車によるフルマレ島一周の視察を行った。
フルマレ島の開発は現在第1段階(フェーズ1)であり、島の埋め立てはフェーズ1として
はほぼ完了し、街づくりが始まっており、2020年の完成を目処に進められている。
街は、居住地区の他商業地区や産業地区などが計画されており、すでにHDCの本館をはじ
め、病院や学校、モスクなどが外国の援助で完成し、多くの中層アパートなども建設されてい
る。産業地区には、水産加工関係の会社の進出が予定されている。
居住地区へは2004年から入居が始まっており、同時にSTELCOによる電力供給も開始され
た。
フルマレ島の発電施設は、現在旧式の800kWディーゼル発電機2台と640kW及びl,000kW
をあわせて4台3.24MWの能力で運営しているが、島の開発にあわせて発電設備の増強も計画
され、現在の発電所に隣接して1MWのディーゼル発電設備の増設も計画されている。
開発の第2段階(フェーズ2)はフェーズ1の北側の海を埋め立てて土地を造成する計画で
ある。
図8 -1 フルマレ開発計画(フェーズ1)模型
-30-
図8-2 フルマレ島の病院と学校(赤屋根)
図8-3 フルマレ島の埋め立て工事
8 — 2 — 2 ラーム環礁PV施設調査
津波復旧•復興支援プロジェクトで設置された系統連系PVシステムの設置後の運転状況を
確認し本調査の参考にするため、ラームアトールを訪問した。ラームアトールには、ガン島の
合同行政庁舎の多目的ビルの屋根に11.2kWの太陽電池アレイが設置されており、フォナドー
島の行政事務所の屋根に5.6kWの太陽電池アレイが設置されている。
両システムとも順調な運転を続けていた。しかし、pvシステムについて維持管理担当者は
詳細にいたるまでは理解がいたっておらず、システムの恩恵や意味は理解されているとはいえ
ない。
PVシステムが連系されている発電所はSTELCOとは無関係に島独自で運営している。フォ
ナドー島の発電所は設備が新しく、所内は清潔に保たれていた。発電設備は、250kW1台、200kWl
台で2台とも常時運転している。所内のメーター表示は午後1時頃、発電電力170kW、力率
PF=0.58を示していた。負荷は旧式(インバータ制御でない)エアコンが多く力率(PF)が悪
く電力多消費型になっている。
ガン島の施設は現在古い発電所が主に使用されているが、新しい発電所も完成し、近く切り
-31-
替える予定である。新発電所は320kVA (256kW)のディーゼル発電機が3セット設置されてい
るが、無用な機能のはずの静音型発電機を使用したり、過剰といえる街路灯を設置したり、計
画も運営も貧弱であった。STELCOとの技術•管理レベルの差は非常に大きい。
-32-
付属資料
1.署名した協議議事録(M/M)
2 .収集資料リスト
3 .訪問議事録
1■署名した協議議事録(M/M)
-35-
-36-
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-38-
-39-
-40-
-41-
-42-
2 .収集資料リスト
No. 資料の名称 発行機関•入手機関
1 Design specifications of PV-diesel hybrid system for Mandhoo island MEEW
2 National Energy Policy – MALDIVES 2005 (Draft) MEEW
3 Technical Report Energy Supply and Demand MEEW
4 Technical Report Action Plan MEEW
5 Technical Report Assessment of Alternatives MEEW
6 Technical Report Biomass Survey MEEW
7 Final Report (DRAFT) Assessment of Least-cost, Sustainable Energy Resources MEEW
8 MALDIVES SUSTAINABLE ENERGY PLAN (Proposed) MEEW
9 Installation of a hybrid solar PV/diesel powerplant on Mandhoo Island, Republic of the Maldives MEEW
10 The Implementation potential of Renewable Energy Technologies in the Maldives MEEW
11 STELCO Financial Statement STELCO
12 Company Profile (State Electric Company Limited) STELCO
13 State Electricity Company Limited Organization Chart 2007 STELCO
14 Electricity Production for MALE’ -Unit generated, STELCO
15 Electricity Production for MALE’ -Fuel Consumption, STELCO
16 Electricity Production for MALE’ -Maximum Demand STELCO
17 Power Generation Department (Maximum Load in MALE’ (Monthly data for 2005, 2006 and 2007) STELCO
18 Generator Sets Specification STELCO
19 STELCO Power Generating Capacity STELCO
20 Electricity Production 2007 (Monthly data for each station) STELCO
21 Electricity Production 2003 STELCO
22 Electricity Production 2004 STELCO
23 Electricity Production 2005 STELCO
24 Electricity Production 2006 STELCO
25 Male’ Medium Voltage Distribution Network Hulhumale HV Ringmain Distribution System STELCO
26 Medium Voltage Electrical Substations STELCO
27 Capacity of Power Plants STELCO
28 Quality of Electric Power Managed by STELCO STELCO
-43-
29 Supplied Electric Power, Fuel Consumption STELCO
30 Fuel Price for STELCO STELCO
31 Main Household Electrical Appliances Used in Male’ STELCO
32 Male’ Daily Load Curve STELCO
33 Male’ Load Curve STELCO
34 Thilafushi Load Curve STELCO
35 Villingili Load Curve STELCO
36 Thinadhoo Load Curve STELCO
37 Gadhdhoo Load Curve STELCO
38 Kudahuvadhoo Load Curve STELCO
39 Guraidhoo Load Curve STELCO
40 Maafushi Load Curve STELCO
41 Kaashidhoo Load Curve STELCO
42 Naifaru Load Curve STELCO
43 Eydhafushi Load Curve STELCO
44 Hulhudhuffaaru Load Curve STELCO
45 Hoarafushi Load Curve STELCO
46 Milandhoo Load Curve STELCO
47 Thuraakunu Load Curve STELCO
48 Kulhudhuffushi Load Curve STELCO
49 Hanimaadhoo Load Curve STELCO
50 Dhidhoo Load Curve STELCO
51 Velidhoo Load Curve STELCO
52 Holhudhoo Load Curve STELCO
53 Hulhumeedhoo Load Curve STELCO
54 Fuvahmulah Load Curve STELCO
55 Himmafushi Load Curve STELCO
56 Thulusdhoo Load Curve STELCO
57 Hinnavaru Load Curve STELCO
58 Central PowerStation Load Curve STELCO
59 Monthly Electric Supply STELCO
60 Electricity Tariff Rates STELCO
61 Maintenance Cost of Diesel Power Generation System STELCO
62 Male’ Peak Load Projections STELCO
63 STELCO Power Generating Capacity 2008 STELCO
64 Regulations on public supply of electricity in Male* and outer Atolls STELCO
65 Agreement for the connection of electricity STELCO
66 Hulhumale,: A Spectrum of Investment Opportunities STELCO
-44-
67 Hulhumale, Tour Map and Guide Hulhumale’ Development Corportation Ltd.
68 Hulhumale5 Information Booklet Hulhumale’ Development Corportation Ltd.
69 Hulhumale’ brochure Hulhumale’ Development Corportation Ltd.
70 Basic Data and Information for the Consultative Committee concerning Japan’s Food Aid(KR) in Fiscal Year 2006 (The Government of the Republic of Maldives, Japan International Cooperation System) JICAモルディブ駐在員事務 所
-45-
3.訪問議事録
日時 :2008年2月4日11:00-
訪問先:環境・エネルギー ・水省(MEEW)
先方応対者:Mr. Abdul Razzak Idris (Deputy Minister, MEEW)、Mr. Ahmed Nasheed (Director, MEEW)、
Dr. Abdul Shaheed (Chairman, Maldives Energy Authority)、Mr. Abdulla Wahid (Deputy
Director General, Maldives Energy Authority)
訪問者:林団長、皆元団員、篠田(記)、野々部駐在員
概要:冒頭、双方から挨拶、及び林団長から今回の調査の概要説明があったのち、協議を行った。
主な協議概要は以下のとおり。
(要請の背景について)
- 2004年の津波発生により協議に遅延が発生したが、本要請はマレ島・フルマレ島を対象に実施
可能性調査(F/S)を行うものである。特にマレ島は土地が限られているため、これ以上の発電
所の拡張は難しい一方、エアコンの使用等により電力需要が増大している。マレ島はモルディ
ブで電力消費の最も多い島で、ピーク時には24.5MWほどの消費があり、年8%の割合で電力
消費量が増加している。
そこで、環境にやさしい再生可能エネルギーの導入が必要で、太陽光発電(PV)に限定しての
調査実施を要請するものである。(Mr. Abdul Razzak Idris)
(M/Mのサイナーについて)
•協議を経て2月14日に協議議事録(M/M)に双方署名することを考えているが、モルディブ
側のサイナーは誰となる予定か。本調査の実質的なカウンターパート(C/P)はMEEW及びモ
ルディブ電力公社(STELCO)であると認識している。(林団長)
ーサイナーは外務省外部資源局①ER)になると思われる。DERに確認する必要がある。(Mr. Abdul
Razzak Idris)
(マレ島・フルマレ島の系統連携について)
・フルマレ島に集中型太陽光を設置する場合、マレ島と系統を連系することでマレ島の電力供給
を補うことが可能であるが、両島の系統連系については議論がなされているのか。(林団長)
-2006年に貿易工業省(Ministry of Trade and Industry)と協議した。発電所をマレ島の外に設置
して、近隣島と系統を接続することを検討した。フルマレ島•空港島•マレ島•ビリンギリ島(住
民島)及びティラフシ島(工場島)を結ぶもので独立系発電事業(Independent Power Producer :
IPP)で実施する予定である。!PPに興味のある民間会社を募ったが、2社から応募があった。
ディーゼル発電と海底ケーブルのF/Sも含めて、民間会社が実施する予定である。(Mr. Abdul
Razzak Idris)
(公社の屋根利用について)
•マレの電力の需要曲線はpvを導入するにあたり、理想的であるが、マレ島は設置場所が限ら
れている。(林団長)
一公官庁の庁舎を含め屋根などの設置場所があると思料。(Mr. Abdul Razzak Idris)
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(PVに対する規制について)
-PV導入には資金が必要で、初期設置費用は高い。民間による導入を促すための規定等は検討
されているのか。(林団長)
ーグリーン電力規制のようなものを電力局(Maldives Energy Authority)が検討している。また民
間企業によるpv設置が可能となる規制についても検討が必要と認識しており、本調査の一環
として関連規定についてもデザインができたらよいと考えている。(Mr. Abdul Razzak Idris)
(CDMについて)
•要請ではクリーン開発メカニズム(CDM)についても言及があり、UNPCCCのHPによるとモ
ルディブは Ministry of Home Affairs, Housing and Environment が指定国家機関(Designated
National Authority : DNA)に登録されているようであるがCDMプロジェクトとして進行してい
るものはある力、。(篠田)
一登録の省庁は2004年に改編になっている。DNAにあたる機関は存在しないものと思われる。
環境セクションの担当に聞けば情報を得られるかもしれない。(Mr. Abdul Razzak Idris)
(フルマレ島開発について)
•フルマレ開発ユニット(HDU)が開発を担当しているようだが、訪問する意義はあるか。(林
団長)
一大いにある。滞在中に計画の全体像(M/P)を把握することは非常に有意義である。(Mr. Abdul
Razzak Idris)
(UNDPによるパイロット・プロジェクトについて)
-PVの導入事例としては、国連開発計画(UNDP)のパイロット•プロジェクト(PP)によりマ
ンド島(離島)に!5kWのPVシステムが導入されている。ディーゼルとのハイブリッドシス
テムである。(Mr. Abdul Razzak Idris)
以上
-47-
日時 :2008年2月4日12:00〜
訪問先:国連開発計画、モルディブ事務所(UNDP Maldives Office)
参加者:Ms. Melaia Vatucawaqa (Deputy Resident Representative, UNDP Maldives)、Ms. A. HudhaAhmed
(Assistant Resident Representative, UNDP Maldives) A Mr. Ahmed Nasheed (Director, MEEW)
概要:冒頭、双方から挨拶、及び林団長から今回の調査の概要説明があったのち、協議を行った。
主な協議概要は以下のとおり。
(新しいプロジェクトについて)
- UNDPは2008年1月から持続可能な技術の移転、気候変動対策等を目的に環境セクターに対し
ての新たなカントリープログラムを実施しているところである。(Ms. Melaia Vatucawaqa)
(UNPD-Renewable Energy Technology Development and Application Project の概要)
3年前から開始され、モルディブの再生可能エネルギーについての基礎データの収集を行った。
協力は、MEEWを支援し、またプロジェクトのモニタリングを行う形で実施され、再生可能エ
ネルギーのアセスメントを行っている。(Ms. Melaia Vatucawaqa)
・パイロット・プロジェクトについて(マンド島)
マンド島ではフランス(ADEME)からのタイド資金により、2005年にパイロットプロジェク
卜(PP)を実施し、pvとディーゼルのハイブリッドシステムの導入を行った。ただし、現在
の島の電力消費は導入したPVシステムよりも大きくなっている。なおPPはSTELCOにより
運営されている。
なお、UNDPによるパイロットプロジェクトによる支援は、大きなインフラ整備を目的として
おらず、サイトのエンジニアのメンテナンス技術向上など、キャパシティビルディングに焦点
を置いている。
•研修について
支援の一環としてMEEWや民間セクターを対象にエネルギー研修を実施し、3年間で延べ200
名以上の参加があった。
キャパシティビルディングを目的としているため、研修の参加者は省庁職員に限ることなく、
民間セクターのエンジニア等から広く募り、STELC 0職員も参加した。
また、インドへのスタディツアーを実施し、UNIDOが実施している先進的なバイオガス事例の
視察及びインド関係政府を訪問した。視察は7名参加した。
•職業訓練校との連携
職業訓練校と連携して、再生可能エネルギーについてのトレーニングプログラムを組み、教材
の作成等を行い、再生可能エネルギー分野の人材育成を3年間の活動の最後として計画している。
UNDPでは民間セクターのエンジニアや技術学校と連携し、再生可能エネルギーに精通した人
材を育てることが重要と認識している。
(プロジェクトの出口戦略について)
•本プロジェクトの出口戦略として、小規模なファンドを設立し、PV メンテナンス等に使用す
る予定である。ファンドの規模は2万5,000米ドルで、地球環境ファシリティー (GEF)から
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の出資である。(Ms. Melaia Vatucawaqa)
(UNIDOによる協力)
•昨年、離島(バーチョ島)においてキャパシティビルディングを主な目的としてPVのPPを実
施。(Ms. Melaia Vatucawaqa)
(アセスメントの実施について)
•ビリンギリ島でPVデータを収集した。その他に風力のデータについても算出を行った。(Ms.
Melaia Vatucawaqa)
(リゾート島について)
•リゾート島では海洋温度差発電を試みているところもあるようである。(Ms. Melaia Vatucawaqa)
ー今回のJICAでの調査をリゾート島でのPV導入のモデルケースとして適応できる可能性がある
ため、場合によってはプロジェクトの対象範囲に含めることも考えられる。(林団長)
(GEF及びCDMについて)
•現在GEFIHが終了し、GEFIVが始まったところである。ただし、GEFIVについてはモルディブ
政府からは要請がまだない。またCDMについては3年のプロジェクト期間では短かすぎるた
め、着手していない。(Ms. Melaia Vatucawaqa)
(パートナーシップフォーラムについて)
•持続可能な環境開発に向けての資金メカニズムについて協議するフォーラムで、第2回が2007
年6月に開催された。JICAスリランカ事務所からも出席があった。(Ms. Melaia Vatucawaqa)
以上
-49-
日時 :2008年2月4日13:00〜
訪問先:環境・エネルギー ・水省(MEEW)
参加者:Mr. Any ad Abdulla、Mr. Ahmed Nasheed (Director, MEEW)
概要:冒頭、林団長から今回の調査の概要説明があったのち、CDMについての協議を行った。
主な協議概要は以下のとおり。
(CDMプロジェクトの進搦状況)
•現在までに多くの機関と協議を行っているが、まだCDMプロジェクトはない。モルディブは
温室効果ガス(GHG)の排出量は少ないものの、気候変動の影響を大きく受ける国であり、自
ら積極的にCDMを進めることを考えている。
(DNAについて)
•MEEWの環境セクションがDNAの登録を行った。CDMプロジェクトがないため、プロジェ
クト設計書(PDD)作成の経験はないが、PDD作成の困難性については特段問題視していなか
った。
(CDMプロジェクト実施のためのコストについて)
- CDMを考慮して本調査を実施した場合、PVシステムを屋根に設置するためには応分のコスト
が必要であるが、コストの捻出については財務省及びドナーと相談する必要がある。
また、民間企業の投資も想定している。
(原油高の影響)
•昨今の原油高で原油の値段が高騰しているが、STELC 0は政府の補助金を得て電気料金を据え
置きにしている。補助金による支援がいつまで続くか不透明である。
以上
-50-
日時 :2008年2月5日 9:00〜
訪問先:外務省外部資源局(DER)
参加者:Ms. Aishath Azeema、Mr. Mohamed Ifah
訪問者:林団長、皆元団員、篠田(記)、野々部駐在員
概要:冒頭、双方から挨拶、及び林団長から今回の調査の概要説明があったのち、協議を行った。
主な協議概要は以下のとおり。
(M/Mのサイナーについて)
•通常、Executive DirectorのDr.ニアスがサインし、あわせてC/Pとなる省庁もサインすること
になるだろう。(Ms. Aishath Azeema)
一MEEWもサイナーに加えてほしい。STELC0は入れる必要があるか。(林団長)
ー了解した。MEEWをサイナーに入れるのであれば,STELCOは入れる必要はないであろう。(Ms.
Aishath Azeema)
(pv設置資金の捻出について)
-JICAによる開発調査でF/Sがなされた後の事業化、特に資金の捻出について、具体的な検討は
なされているか。(林団長)
-2004年、津波前に国際協力銀行(JBIC)からの支援を検討していた。しかし、津波の復興によ
り延期となった。再生可能エネルギーは優先項目事項である。モルディブの温暖化ガス排出量
は先進国と比して少ないが、モルディブ政府の姿勢を世界に示すためにも再生可能エネルギー
を有効利用したい。JBIC等日本の支援に期待したい。(Ms. Aishath Azeema)
一 JBICによる円借款で現在、津波復興支援を行っていることから、新規供与は現段階では困難な
ものと思われる。(林団長)
一理解している。またJBICプロジェクトについても遅延しているのが現状である。モルディブ
にとり初めての円借款供与であり、プロジェクトを進めるプロセスを実施しながら学んでいる
のが現状である。(Ms. Aishath Azeema)
ー他のドナー等による支援の検討は如何。(林団長)
一 UNDP-GEFによる支援や商業ベースでのPV設置は考えられる。(Ms. Aishath Azeema)
ー現在のGEFIHプロジェクトは近く終了となり、GEFIVについてはモルディブ政府からの要請待
ちの状況であるとUNDPから聞いた。(林団長)
一JBIC以外の資金調達の見込みについてより多くの情報を得たい。本件についてはM/Mに加え
ることを考えている。MEEWやDERのなかで検討いただきたい。(林団長)
ー了解した。(Ms. Aishath Azeema)
以上
— 51 —
①②③④⑤⑥⑦
日時 :2008年2月5日10:00〜
訪問先:モルディブ電力公社(STELCO)
先方応対者:Mr. Mohamed Latheef (Director, STELCO)、Mr. Azzam Ibrahim (Senior Engineer,
STELCO)、Mr. Ahmed Marsoom (Assistant Engineer, STELCO)、Mr. Ibrahim Nashid
(Assistant Engineer, STELCO)、Mr. Abdulla Mushrif (Senior Engineer, STELCO)、Mr.
Ibrahim Athif (Senior Engineer, STELCO)
訪問者:林団長、篠田職員、皆元(記)
概要:冒頭、先方のD irectorから挨拶、及び林団長から今回の調査の目的、調査スケジュールな
ど概要説明があったのち、双方で協議を行った。協議のなかで、下記資料を受領した。主
な協議概要は以下のとおり。
受領資料:
Company Profile (State Electric Company Limited)
State Electricity Company Limited Organization Chart 2007
Electricity Production for MALE’ (Unit generated, Fuel Consumption, Maximum Demand)
Maximum Load in MALE’ (Monthly data for 2005, 2006 and 2007)
Generator Sets Specification
STELCO Power Generating Capacity
Electricity Production 2007 (Monthly data for each station)
(STELCOのシステム全般概要について)
下記のようなSTELCOの電力運営全般に関して、ディスカッションを行うとともに、発電所内
部の視察を行った。
•モルディブ(マレ島)の送配電線が地下方式を採用していることに対して、システムが小
規模であるがゆえに可能になった。(STELCO)
•モルディブの電力系統は各島で独立に運用されているが、おのおののシステムサイズが小
さく、系統を連系させることは困難な状況にある。
•モルディブの電力システムは高圧送電系統がllkV、低圧配電系統は400V (3相3線方式)
が採用されている。
•マレの発電所で採用しているディーゼル発電セットの制御方式は、電子制御ガバナと、プ
ログラマブルロジックコントローラ(PLC)を併用している。急激な負荷変動による発電
機の回転速度すなわち発電機の周波数の変動には電子制御ガバナが高速応答し、エンジン
の回転速度の変動を補償し周波数の変動を抑制する。さらにPLCにより定常安定を保つ。
負荷変動に伴う電圧変動に対しては、当然AVR (Automatic Voltage Regulator)が対応する。
負荷急変などに起因する周波数変動に対して、上記制御の対応力を超えた場合には、周波
数ダウンに対して、2段階で保護機能が働く。
第1段階:f<49Hzの状態が2秒継続した場合
第2段階:f<48Hzの状態が1秒継続した場合
注)f=49Hzは定格周波数50Hzの2%低下、f=48Hzは4%にあたり大きな変動
-52-
といえる。PVシステムをこの系統に連系する場合には、PVシステムの保護レ
ベルのチューニングが必要になろう。
なお、周波数上限の保護設定レベルは51Hzとのことであった。
変動幅が上記保護レベルに到達し、システムダウンする経験は多くはないが、今年はすで
に2回発生したとの事であった。
電力系統保護に使用している装置はSePam-Controllerで上述のPLCである。これにより、
過電圧、過電流、周波数異常、地絡事故などすべてに対応していると説明を受けた。
- STELCOの電力供給量は年々急速に増加しており、マレの発電所に8MWのディーゼル発
電設備を3台増設する準備を行っている。建設工事は18カ月を見込んでいる。
発電設備の増設に伴い、貯油タンクも800kfi容量4基増設する。この増設工事を最後に、
マレでは場所がなく増設できない状況にある。
緊急電源として高速回転エンジンの1MWのディーゼル発電機を、発電所前の道路を封鎖
して6基設置している。これ以外に発電所建屋には2.25MW (2基)、4.5MW (1基)、6MW
(1基)、6.75MW (2基)のディーゼル発電機が設置されており、維持管理の状態は良好
と観察された。
•燃料油はマレ島とフルマレ島の中間にある小島の貯油施設から、毎日2〜3回マレ発電所
の貯油タンクに運んでいる。STELCOはSTO (政府出資企業)からオイルを買っている。
オイル価格や調達方法は機密事項である。リゾート島の発電用燃料油はSTELCOとの関係
はなく独自に調達している。
-6.75MWのディーゼル発電機は重油を燃料として使っていたこともある。しかし、重油か
ら混ざり物を除去し、粘性を高めたりという手間があり、また、購入量が非常に少ないの
で供給業者が料金を下げず、ディーゼル燃料とあまり変わらない値段であるため、現在、
すべてディーゼル燃料で運転している。このため燃料の高騰がより大きな問題となってい
る。将来、別の島でディーゼル発電する際は重油を考えるが、今のところディーゼルで発
電を続ける。
-STELCOのマレ発電所の設備稼働率(Availability Ratio)は95%である。1947年に設立さ
れたSTELCOは、現在では、発電所の維持管理は、設備の故障修理、機器のオーバーホー
ルを含めてすべて自力で行っている。
注)pvシステムに関しても、技術の伝承を行うことにより、モルディブサイド独
自で維持管理できるポテンシャルは十分に感じられる。
-2002年と2004年に電気料金が引き下げられたが、それ以後原油価格が上昇し、2004年か
ら電力料金の補助を政府から受けている。原油価格がこれほど高騰する前は、マレ島で利
潤を出し、その利潤で他の島の赤字を補填する内部補助が機能していた。
(STELCO関係施設の運転データなどについて)
本調査に先立ち提出していた質問表についての解答データの不足分や追加依頼を行った。
口頭での回答、後日資料をもらう確認などを行った。
•電力のピークデマンドがシーズンによって差があることに関して、3月、4月はエアコン需
要などで若干の増加があると思われるが、大きな差があるとは認識していない(受領した
月別供給電力データで詳細分析可)。
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-1日の電力需要の推移データのうち、すでに入手済のマレ発電所以外の何点かのデータ(フ
ルマレ他)を入手する。
•主要電力系統図(マレとフルマレ)が入手可能を確認した。
(PVシステム関係について)
PVシステムの概要や、システムの導入、課題などに関してディスカッションを行った。
•モルディブサイドとしては、昨今の石油の価格上昇や、10〇%輸入に頼っているエネルギー
セキュリティーの観点からも、再生可能エネルギー利用の可能性を検討する必要性を認識
している。
-PVシステムの導入を促進するためには、個人が設置できるようにし、発電した電力を
STELCOが通常の電力料金と同等の値段で買い取る制度を整備する必要がある。(日本側よ
り提案)
-PVシステムを系統に接続するためには、STELCOと接続者との合意が必要になるが、現
在は、その規制などはまだ整備されていない。
• PVシステムのコストは、現在のPVモジュールの供給不足による相場の高騰を受け、1,500
万円/kW程度である。
• pvシステムの設置に必要な用地面積の目安は、現在流通しているpvモジュールの面積よ
り算出し、IkWのPVシステムあたり、モジュール面積で7.5m\ 作業スペースを含める
と11〜12m2と説明した。
例えば1MWのシステムに必要なPVモジュール設置面積は1万2,000m2ということにな
る。
•モルディブの日射エネルギーは日本に比べて約50%〜60%も大きく、太陽光発電には好ま
しい条件を備えている。日本と同じ設備で、50%〜60%も大きな電力が得られる。(日本側
説明)
•マレ島の典型的な電力需要曲線は、STELC 0提供のデータによれば、昼間の電力需要が大
きく、夜間が小さい先進国型のパターンを示している。このことは、電力需要の多い昼間
だけに発電するPVシステムの導入は、ディーゼル発電機の負荷率の平準化に役立ち大変
好ましい状況にある。(日本側説明)
同様な検討のために、pvシステム導入サイトと考えられているフルマレ島の電力需要曲
線のデータが不足しているので、STELCOから提出してもらうことにした。
•PV用パーツの購入(輸入)に関してSTELC0の輸入であれば関税免除を適用できる可能
性がある。
(屋上pvシステム設置場所について)
マレ島は地上の空き地がほとんどなく、PVシステムを設置する場合は、屋上など既存施設の
空スペースの有効利用を考える必要がある。モデルケースとして、STELC 0の建屋の屋上を視
察した。詳細は今後の検討課題として、およそ数十kwのシステム設置が可能と思われる。実
証設備として好都合であろう。
-54-
(STELCOの人材について)
- STELCOの重要な位置を占めるEngineerの人数を調査し、連絡してもらうことを確認した。
以上
-55-
日時 :2008年2月10日 8:30〜
訪問先:フルマレ開発公社(HDC)(マレ島で)
参加者:Mr. Suhail Ahmed (Director)、Nuha Mohamed (Deputy Director)
訪問者:林団長、皆元団員、篠田(記)、Mr. Ahmed Nasheed (MEEW)
概要:冒頭、双方から挨拶、及び林団長から今回の調査の概要説明があったのち、協議を行った。
主な協議概要は以下のとおり。
・フルマレ島開発計画における電力供給についてはどのように考えているのか。(林団長)
ー電力供給については原則的にSTELC0が担当するものと考えている。もちろん、STELC0と共
同で開発にあたっていく必要があると感じている。(Mr. Suhail Ahmed)
•土地が限られるため、屋根にpvシステムを設置することを考えている。玄関口であるフルマ
レ島の屋根にPVが導入されることは、気候変動への取り組みとしてモルディブ政府から全世
界へのメッセージとなる。ただし、屋根への設置は建築基準等の変更が必要であると思われる
がHDCとしては如何に考えているか。(林団長)
一再生可能エネルギーを導入することに対して関心があるが、建築基準は現在いまだ起草段階で、
既存のガイドラインは包括的なものではない。建築基準については建設•公共インフラ省
(MCPI)が現在ドラフトを終えたところであると聞いている。(Mr. Suhail Ahmed)
•シンガポールの支援で建設される学校の屋根はpv設置に最適であると思料。(林団長)
ー現在まだ建設は開始されていない。以前は屋根から飲料水を取っていたが、現在はその必要は
ないため、PV設置は考えられる。(Mr. Suhail Ahmed)
以上
—56 —
日時 :2008年2月10日12:00〜
訪問先:建設•公共インフラ省(MCPI)
参力口者:Mr. Mohamed Ali (Director of Construction Industry Development Section)
訪問者:林団長、皆元団員、篠田(記)、Mr. Ahmed Nasheed (MEEW)
概要:冒頭、双方から挨拶、及び林団長から今回の調査の概要説明があったのち、協議を行った。
主な協議概要は以下のとおり。
•今回の調査で、土地が限られるため屋根の上にpvを設置することが効果的と考えられる。建
築基準の整備状況及びその内容は如何。(林団長)
ー現在、6カ月のパブリックコメント聴取が終わり、原稿が完成したところである。今後、建築
理事会(Construction Board)を経て制定予定。約3カ月後に施行するものと思われる。規定に
ついてはMCPI及びCIDBが行い、運営はマレ市に任される。
また内容としては、現在建築基準がないため、ビル建設における安全性の確保が最重要であり、
並んで省エネ促進について盛り込んでいる。(Mr. Mohamed Ali)
•マレ島で今後、PVを屋根に設置していくことはますます難しくなる。新しいビル建築、特に
個人所有の家では、土地・空間の有効活用のためにビルの屋上にテラスをつくるのが主流とな
ってきている。そのため屋根は非常に小さくなっている。一方で政府機関は屋根をもつ建築の
ため設置にはよいものと思料。(Mr. Mohamed Ali)
ーテラスに設ける日よけにpvを設置することが考えられる。pvを設置したとしても日よけの下
は暑くなったりせず涼しい。日よけにも十分PVは設置できる。(皆元団員)
ーそれは良いアイディアかもしれない。(Mr. MohamedAli)
- PVは初期投資にかかる費用が非常に大きい。だれが初期投資を負担するのか。(Mr. Mohamed
Ali)
ーモルディブ政府側で検討する必要のある課題であるが、初期投資は確かに高い。まず、モデル
として政府のビルに設置することが考えられる。
ー費用便益分析のF/Sをすることが必要と思料するが、政府ビルは設置する場所のよい選択肢の
ひとつである。初期費用の高さから勘案するに、各家庭による設置を想定するには時期尚早で、
電力会社による設置、または国際機関による支援があって初めて実現の可能性があるものと思
われる。(Mr. Mohamed Ali)
一 CDMプロジェクトとして実施することで民間セクターにとって魅力的になるかもしれない。
(林団員)
•マレ首都圏の島を海底ケーブルで結んでの電力供給計画がMCPIで進んでいると聞いたが、進
揚は如何。(篠田)
ーティラフシ島に発電所をつくりそこから電線を引くという計画らしいが、現在はまだ発想段階
である。数年かけての計画になろう。(Mr. Mohamed Ali)
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マレの消費電力は大きいため、PVによる発電効果は小さい。一方で離島は消費電力が小さい
ため、PV設置が大きなインパクトとなる。マレ島以外の離島またはリゾート島でのPV設置を
検討することがよいと思われる。(Mr. Mohamed Ali)
以上
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日時 :2008年2月11日 10:00〜
訪問先:外務省外部資源局(DER)
参加者:Dr. Hussain Niyaaz、Ms. Aishath Azeema
訪問者:林団長、皆元団員、篠田(記)、Mr. Ahmed Nasheed (MEEW)
概要:冒頭、双方から挨拶、及び林団長から今回の調査の概要、及び協議議事録(案)の説明が
あったのち、協議を行った。主な協議概要は以下のとおり。
-PVはこれまで初期投資、維持管理費が大きいといわれていた。今回のF/SでPV設置や財務的
観点から基礎調査を行うことの意義は大きいと思料。ディーゼル燃料を節減できることは魅力
的である。(Dr. Niyaaz)
ー現在、モルディブはディーゼル燃料調達コストとディーゼル燃料依存という2つの問題を抱え
ている。io%の再生可能エネルギーの導入を政府の優先課題としているなか、PVを導入する
意義はある。(林団長)
ーエネルギー節減に対しての人々の啓発も必要であると感じている。(Dr. Niyaaz)
•本格調査実施を検討するにあたり、ひとつの大きな問題は開発調査の結果をいかに事業化する
かである。事業化、特に資金について現在の想定は如何。(林団長)
ー現段階では明確な回答はできないが、国際協力銀行(JBIC)はひとつの選択肢となろう。また、
伝統的に支援を続けているドナーやアジア開発銀行(ADB)、デンマーク等も考えられる。デ
ンマークはSTELC 0へのソフトローンによる支援実績もある。ただし、他の援助機関等による
支援も検討していきたい。(Dr. Niyaaz)
一JBICについては円借款による津波復興が2011年まで続くものと思われる。その間の新規支援
は難しいものと思われる。(林団長)
•食料支援無償(KR)による見返り資金をPV設置に活用することはできないか。(篠田)
一見返り資金については現在モルディブ政府内でガイドラインを整備し、主にコミュニティー開
発を目的にした活用を考えている。マレにおけるPV設置への活用は検討を要する。日本政府
との調整も必要であろう。ただ、集中型太陽光設置の資金としては不十分ではないか。(Dr.
Niyaaz)
ーマレ島、フルマレ島は特に土地が限られるため、集中型の太陽光発電設備を平地に据え付ける
ことは現実的ではなく、屋根の上の設置が想定される。また段階的なPV設置を行っていく必
要があるため、必ずしも大きな資金ではなくても導入は可能である。(林団長)
以上
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日時 :2008年2月11日12:00〜
訪問先:モルディブ電力公社(STELCO)
先方応対者:Mr. Mohamed Latheef (Director, STELCO)、Mr. Azzam Ibrahim (Senior Engineer,
STELCO)、Mr. Ibrahim Nashid (Assistant Engineer, STELCO)、Mr. Abdulla Mushrif
(Senior Engineer, STELCO)、Mr. Ibrahim Athif (Senior Engineer, STELCO)
訪問者:林団長、皆元団員、篠田(記)Mr. Ahmed Nasheed (MEEW)
概要:冒頭、林団長から調査の進搦状況の説明があったのち、協議議事録(案)について双方で
協議し修正点等の確認を行った。また前回訪問時に依頼していた下記資料を受領した。
受領資料:
① Electricity Production for MALE’ 2003, 2004, 2005, 2006 (Unit generated, Fuel Consumption,
Maximum Demand)
② STELCO Power Generating Capacity 2008
③ Load Curve (Male’, K.Thilafushi, K. Villingil, Gdh.Thinadhoo, Ga. Villingili, Dh.
Kudahuvadhoo, K. Guraidhoo, K.Maafushi, K. Kaashidhoo, Lh. Naifaru, B. Eydhafushi, R.
Hulhudhuffaaru, Ha. Hoarafushi, Sh. Milandhoo)
④ Male’ Daily Load Curve
(5) Central Powerstation Load Curve
その他
財務諸表の提出についてはJICAからの正式なレターの依頼が必要である旨説明を受けた。本日
中にレターをFAXで送付することをSTELCO側に伝え、早急に準備するよう依頼した。
以上
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