尖閣諸島周辺、101日連続で中国当局船
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA063DU0W3A500C2000000/
『沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で6日、中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは101日連続。
第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告した。
〔共同〕』
尖閣諸島周辺、101日連続で中国当局船
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA063DU0W3A500C2000000/
『沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で6日、中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは101日連続。
第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告した。
〔共同〕』
カナダ、中国外交官追放を検討 議員親族脅迫企て
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB052P20V00C23A5000000/
『2023年5月5日 20:43
【ニューヨーク、北京=共同】カナダのジョリー外相は4日、在カナダ中国大使館の外交官が野党保守党議員の香港に住む親族への脅迫を企てたとして、この外交官の追放を検討していると明らかにした。両国は経済的に深いつながりを持つが、最近カナダは中国の覇権主義的な言動に危機感をあらわにしており、新たな火種になる可能性がある。
カナダ紙グローブ・アンド・メールが1日、2021年のカナダ情報機関の報告書を報道したことが発端。報告書には、中国のウイグル族への人権侵害はジェノサイド(民族大量虐殺)だと非難するカナダ下院の決議を支援した保守党議員とその親族らが中国当局から脅迫の対象になっているとの指摘があり、カナダ駐在の外交官が関わっていると言及されていた。
ジョリー氏は4日、報道を認め、駐カナダの中国大使に「このような干渉は受け入れられない」と伝えると強調した。
カナダの中国大使館によると、中国大使は4日、カナダ外務省の担当者に、中国が内政干渉しているとのデマに基づき外交官を追放するとカナダが脅していると抗議した。中国外務省の毛寧副報道局長は5日の記者会見で、「中国大使館の通常職務への侮辱」だとカナダ側を非難。北米大洋州局がカナダの駐中国大使に対し「厳正な申し入れ」をしたと明かした。』
「厄介な国」と米大統領候補 消えぬ「トランプ」の残像
風見鶏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0153H0R00C23A5000000/
『岸田文雄首相は4月下旬、来日した米南部フロリダ州のロン・デサンティス知事と面会した。「近隣には厄介な国が多いと聞いています」。デサンティス氏はこう語りかけた。
政府高官によると、同氏は首相をはじめ林芳正外相や自民党の茂木敏充幹事長との会談でいずれも相手方を質問攻めにした。中心となったのは中国や北朝鮮、ロシアといった日本が直面する安全保障上の課題だ。
ウクライナ戦争で揺らぐ国際秩序を維持するため米…
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『ウクライナ戦争で揺らぐ国際秩序を維持するため米国の指導力がなぜ重要か。東シナ海などでの中国の振る舞いがどれだけ地域を不安定にしているか――。日本側はこうした点を説いた。デサンティス氏が自らの意見を表明する場面はほとんどなかった。
日本の首相が通常、米国の州知事に単独で会うことはない。政府は今回、首相との面会や外相と夕食会の機会がある「外務省賓客」として招待した。厚遇はデサンティス氏が2024年大統領選でトランプ前大統領とトップを争う共和党の有力候補と目されているからにほかならない。
デサンティス氏は3月、米国のウクライナ支援に懐疑的な見方を示し、物議を醸した。米国の海外への関与に消極的な発言をしたこともある。いずれも国際協調を軽んじるトランプ氏の「米国第一」に相通じる。
米ジョンズ・ホプキンス大のハル・ブランズ教授はデサンティス氏を「保守層が期待する政策スタンスをくみ取ることにたけている」と分析する。米ピュー・リサーチ・センターによると、米国のウクライナ支援が「過大だ」とみる共和党支持層はこの1年で30ポイント超増えて40%にのぼった。
以前のデサンティス氏はウクライナ支援に積極的な姿勢を示していた。「ウクライナにもっと武器を提供すれば、プーチン大統領を抑止する強いシグナルを送ることができる」。ロシアがウクライナのクリミア半島を併合した14年以降、複数の米メディアのインタビューでこう主張している。保守層の歓心を買うため、一時的にせよ今は従来の立場を翻したようにみえる。
米海軍では特殊部隊の法律顧問としてイラク駐留経験があり、6年務めた下院議員時代は外交委員会に所属した。ビジネスマンから転身し、4年の大統領しか政治経験のないトランプ氏より外交・安保の土地勘があるとの見方もできる。
デサンティス氏の真意はどこにあるのか。先のブランズ教授は「現段階で彼の外交・安保観が固まっているわけではない」とみる。だからこそ日本側は「あるべき米大統領像」をできるだけ早く伝える必要があると判断し、訪日を熱心に働きかけた。
トランプ氏が16年大統領選で勝利した直後、正式就任前にもかかわらず当時の安倍晋三首相は世界のどの指導者よりも早くニューヨークに会いに行った。
「安全保障で(中略)米国が国際社会のリーダーの立場を下りたら、世界は紛争だらけになる。『国際社会の安全は米国の存在で保たれている』と繰り返し言った」。安倍氏は回顧録で、トランプ氏との関係構築に腐心した内幕を明かしている。
トランプ政権下の米国が日本を含む同盟国にとって中国や北朝鮮とは別の意味で「厄介な国」だった面は否めない。トランプ、デサンティス両氏の人気は内向き志向を強める米世論の一端を映す。
44歳のデサンティス氏は仮に24年の大統領候補をトランプ氏に譲ったとしても、28年以降も有力候補になり得る。内向きの米国への備えは十分か。日本や欧州はたえず自省を迫られる。(編集委員 永沢毅)
【関連記事】
・フロリダ州で反ESG法成立 デサンティス知事が署名
・ディズニーと米フロリダ州知事、法廷闘争に共倒れリスク
・米大統領選、「ミニ・トランプ」手法物議 共和候補が自伝 』
台湾有事「日本が決定的な抑止力」 元米大統領副補佐官
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB030KB0T00C23A5000000/
『米国のトランプ前政権で対中政策の実務を取り仕切ったマット・ポッティンジャー元大統領副補佐官が日本経済新聞の取材に応じ、台湾有事を巡り「日本の戦略が決定的な抑止力になる」と指摘した。日本が東アジアの安全保障で役割を拡大することで中国を阻止できると強調した。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は台湾統一の野心を隠さず、台湾の周辺海域は緊張が高まっている。ポッティンジャー氏は「中国に支配されたアジ…
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『ポッティンジャー氏は「中国に支配されたアジアは日本にとって居心地の良い場所ではない」と指摘。台湾に対する攻撃は「日本の主権に対する重大な脅威」とし、中国の「軍事的な冒険」を阻止するのが日本の使命と述べた。
米国は韓国やフィリピンとも軍事協力の強化を急ぐが「経済力や防衛能力を考えると日本の果たす役割は最も大きい」とも指摘した。
すでにバイデン米大統領は再三にわたり、中国が台湾を攻撃した場合、米国は台湾を防衛するとする趣旨の発言をしている。ポッティンジャー氏は「中国政府は台湾有事への米国の関与は避けられないと認識済みで、実際に東アジアで抑止力を発揮できるかは日本の今後の方針が鍵を握る」と分析する。
日本は2022年末、防衛関連費を国内総生産(GDP)比で2%に倍増させ、陸海空の自衛隊と米軍との調整を担う「常設統合司令部」を創設するなど新たな安全保障戦略を打ち出している。ポッティンジャー氏は「岸田文雄首相の取ったステップを称賛する」としつつ、「時間がない。同戦略を迅速に実行に移す必要がある」と提言した。
対中強硬派として知られるポッティンジャー氏は、中国政府の政策の意図を読み取るには習氏の国内向けのメッセージを読み解くべきだと強調する。
一例に挙げたのが13年1月、習氏が国家主席に就任する直前の党幹部向けの演説だ。習氏はこの演説で「資本主義は必然的に終焉(しゅうえん)し、社会主義は必然的に勝利する」と強調したが、この内容は「海外には隠されていた」(ポッティンジャー氏)。
ポッティンジャー氏が中国語でのみ公開された同演説の原稿を初めて目にしたのはトランプ氏の側近としてホワイトハウスにいた19年。米中が貿易問題で激しい交渉を繰り広げていた頃で、この演説をもって「習氏の世界観や統治の目標がはっきり理解できるようになった」と明かした。
「中国政府は習氏の言葉を隠し、穏やかな内容に変換してから対外発信しようと努めている」と分析する。習氏の本質は国内向けの発信にあり、「習氏が自身の言葉で語った内容を読み解いてこそ、中国政府の次の動きを予測し、理解できる」と訴えた。
ポッティンジャー氏は1990年代後半から欧米メディアの記者として中国に駐在。イラクやアフガニスタンでの従軍を経て、17年に米国家安全保障会議(NSC)のアジア上級部長、19年に国家安全保障を担当する大統領副補佐官となった。現在は米スタンフォード大学フーバー研究所に所属する。』
市場揺らすFRBのトリレンマ 金融・景気より物価を優先
編集委員 大塚節雄
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK051R70V00C23A5000000/



『米連邦準備理事会(FRB)が金融の動揺が続くなかインフレ鎮圧を優先し、市場を揺さぶっている。物価安定に金融安定、景気の軟着陸。直面するのは同時には解決できない3つの課題だ。高インフレ下の利上げがもたらした1980年代の危機は事態収拾に手間取った。今回も市場の混乱は長引く懸念がある。
ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の破綻とJPモルガン・チェースによる買収が伝わった2日後、FRBは3日の…
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『ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の破綻とJPモルガン・チェースによる買収が伝わった2日後、FRBは3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めた。
2カ月たらずで3つの銀行が破綻する事態。パウエル議長は記者会見で「厳しいストレスの中心には当初から3つの銀行があった。すべてが処理され、全預金も保護された」と語り、FRCの破綻は「区切りをつける重要な一歩」と表明した。
だが動揺は収まらず、著名エコノミストのモハメド・エラリアン氏はツイッターで「FRBの信頼性を損ねた過去数年の不幸な情報発信のリストに加わることを恐れる」と疑問を投げかけた。
5日の米株式市場では売り込まれていた地銀株の一角が急反発したが、空売り規制を巡る思惑で投機筋が一時的にひるんだ面もある。「FRC破綻は銀行危機の終わりではなく、始まりにすぎない」(米コーネル大学のロバート・ホケット教授)との声は根強い。
インフレ抑制に集中したいFRBは金融緩和に転じるつもりはない。利上げ休止を示唆しつつも、状況次第で追加的な引き締めに動く選択肢も残した。利下げに動く可能性は強く否定した。
高い政策金利の維持を基本線とするFRBに対して市場は秋から利下げに転じると予想し、両者はかけ離れたままだ。
金融引き締めの姿勢を保ちながら「データ次第」を決め込むFRBに市場は戸惑うが、当のFRBも袋小路に入り込みつつあるようにみえる。
インフレ抑制と景気の軟着陸の両立に苦しむなか、さらに金融の安定という難題がのしかかった。3つの課題を同時には達成できない状況を指す「トリレンマ」に近い様相を呈している。
「金融の安定と景気の軟着陸」の両立をめざすなら金融緩和への転換が正解だが、高インフレを放置し、一段の経済の混乱を招きかねない。この選択はとれない。
「物価安定と景気の軟着陸」を追求するなかで5日の米雇用統計でみられた景気の底堅さが続くようなら、金融への目配りは難しくなる。「物価安定と金融安定」を模索しようにも、金融動揺が物価に与える影響はゆっくりとしか表れず、結局は景気を犠牲にせざるを得ないかもしれない。
高インフレが急激な利上げにつながり、金融を揺るがしたケースは1980年代にもあった。
国際通貨基金(IMF)のエイドリアン金融資本市場局長は4月に「現在の混乱は80年代の貯蓄金融機関(S&L)危機と84年のコンチネンタル・イリノイ銀行の破綻に至るまでの出来事に似ている」と指摘した。
S&L危機は80年代初頭の第1次と後半の第2次の局面に分かれる。前者はボルカー議長時代のFRBの猛烈な金融引き締めが深く絡む。S&Lは短期の調達金利が急騰する一方で運用は長期固定のため「逆ざや」の拡大に直面した。基本的な構図は現在と似通う。
当時は悪性インフレ鎮圧の最終局面にあり、FRBも引き締めをやめるわけにはいかなかった。
84年5月の米銀7位コンチネンタル・イリノイ銀の破綻は高リスク投資と短期の資金調達への依存があだとなった。インフレの最悪期は過ぎていたが、再燃の兆しを嫌ったボルカーFRBは利上げを再開していた。
破綻を受けて利上げはいったん休止する。市場ではボルカー氏の引き締め路線はここで終わったとの見方も強い。実際には7、8月にも利上げを実施し、インフレの落ち着きを確認しつつ秋から利下げに転じている。
シティグループのエコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は「当時、当局は最終的には金融システムへの信頼を回復した」と評価し、「FRBは(処理の)期間中に利上げを続けることもあった」と語る。
それでも80年代は金融の安定を完全に取り戻すのに10年以上かかった。FRBがインフレ鎮圧に集中するためには当時の教訓を生かし、預金保険制度の一段の拡充も含めた抜本的な対応を早期にまとめる必要がある。
そうでないと、FRBはトリレンマにとらわれ続け、FRBの出方を読めない市場は常に不安定さを抱える。市場も折に触れて抜本的な対策を催促する銀行株売りに動き、FRBを脅かすことにもなりかねない。
(編集委員 大塚節雄)
【関連記事】
・FRB議長「我々は間違いを犯した」 相次ぐ銀行破綻で
・「コップ半分」しかない企業 消えていく巻き返しの時間
・米利上げ、打ち止め示唆 金融政策の行方を展望 』
スーダン武力衝突 きょうにもサウジアラビアで停戦向け対話か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230506/k10014058771000.html

※ 今日は、こんな所で…。
『2023年5月6日 10時11分
軍と準軍事組織の間で武力衝突が続くアフリカのスーダンをめぐって、サウジアラビア政府は停戦に向けた対話のため双方を国内に招くことを検討していると明らかにしました。双方はすでに代表団を現地に送ったとも伝えられていて、緊張の緩和につながる対話が実現するかが焦点です。
スーダンでは先月以降、軍と準軍事組織RSF=即応支援部隊との間で武力衝突が続き、スーダンの保健省によりますと、これまでに550人が死亡しました。
こうした中、サウジアラビア政府は5日、スーダン情勢をめぐってファイサル外相がアメリカのブリンケン国務長官と電話会談したと発表しました。
この中で、アメリカ政府の協力のもと、停戦に向けた対話のためにスーダン軍とRSFを西部ジッダに招くことを検討していると明らかにしました。
これについて、スーダン軍はすでに代表団をジッダに送ったと発表し、AP通信は関係者の話として、RSF側も代表団を送り、対話は6日にも行われると伝えています。
スーダンでは停戦の合意が発表されながらも戦闘が続き、さらなる人道危機の懸念が高まっていて、現地に影響力を持つとされるサウジアラビアで緊張の緩和につながる対話が実現するかが焦点です。』
スーダン和解はどの国が調停できるのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20230505-00348427
『ここ30年来のスーダン紛争長期化は、全米民主主義基金がもたらしたものだが、中国はアフリカを含めた紛争調停組織を設立し、岸田首相もアフリカ歴訪で調停に意欲を表明。その真相とゆくえを考察する。
◆スーダン紛争長期化の犯人は全米民主主義基金NED
2023年4月15日、アフリカ北東部スーダンの首都ハルツームで、国の実権をめぐって争う、国軍と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の戦闘が始まった。
アフリカはかつてヨーロッパの植民地として支配され、独立はできたものの不安定な情勢から内戦や紛争が勃発してきた。
スーダンもその中の一つで、1956年に独立した後も内紛が続き、1989年6月30日にオマル・バシール准将が民族イスラム戦線(NIF)と連携して無血クーデターを成功させた。バシールは「革命委員会」を設置し、自らが首相となったが、その後もさまざまな情勢変化があったため、1993年になって大統領に就任した。
バシール政権は誕生当初の段階ではヨーロッパ諸国との友好を重要視していたが、湾岸戦争(1990年8月―1991年3月)やイラク戦争(2003年3月―2011年12月)において、イラク(当時のフセイン大統領)を支持したことから、アメリカによるスーダン(バシール政権)に対する厳しい経済制裁が始まった。
周知のようにイラク戦争はアメリカが「イラクが大量破壊兵器を持っている」という偽情報に基づいて、突如イラク攻撃を始めた戦争だが、侵略後にイラクには大量破壊兵器は存在しなかったことが判明した「正義なき戦争」だった。
バシール政権の方でも、1998年に政党結成の自由などを含む新憲法が、国民投票で96.7%の賛成を得て誕生し、2010年4月に、24年ぶりに行われたスーダン総選挙で、又もやバシールが大統領に再選されている。
しかし2018年12月に、スーダンの国防軍が一部の地域住民の支持を取り付けてクーデターを起こし、2019年4月11日、30年にわたるバシール政権は遂に幕を閉じた。
これら一連の動きの背後に、実は全米民主主義基金(National Endowment for Democracy= NED)がいた。そのことを、どのようにして証明できるかというと、実は2020年7月23日のNEDのウェブサイトに記載されているからだ。
その情報のタイトルは<NED、スーダン市民社会に 2020 NED 民主主義賞を授与(NED HONORS SUDAN’S CIVIL SOCIETY WITH 2020 NED DEMOCRACY AWARD)>で、この授与式でNED のカール・ガーシュマン会長は、概ね次のように述べている。
――NEDの助成金プログラムは、1989年以来スーダンで継続的に行われてきた。(2018年の)12月革命の成功は、スーダンの人々とNEDの連携を深めたことによってのみ達成された。
従って、NEDは1989年にスーダンでバシール政権が発足すると同時に、スーダンに潜入したと断言することができる。
NEDは何としてもバシール政権を転覆させたかったのだ。
そのためにNEDは1996年にスーダン開発イニシアチブ(SUDIA)という組織を設立させている。
また2015年11月18日には、NEDは<スーダン・ダイアローグ>というイベントを開催しているが、その中にはSUIDAの代表者が出席しているし、また2008年に当時のブッシュ大統領によって「スーダンの8人の人権闘士の一人」として認定された、NEDが支援する人物(Niemat Ahmadi)も参加していた。
こうしてアメリカはNEDを通して、30年も続いた「バシール独裁政権」を崩壊させることに成功したのだ。
しかし、NEDは軍部を使って政府転覆を行なっているので、この政府転覆は「民主化運動」と名付けるわけにはいかない。それでもアメリカから見れば、NEDが支援した側が権力を握ったので、アメリカの言いなりになる政権が出来上がったと位置付けることができるのだろう。
今般のスーダンでの軍事衝突が、あくまでも「軍と軍」の衝突であることは注目に値する。すなわちアメリカは、親米政権を創るために、それまでの政府を転覆させただけで、「民主化」には成功していないことになる。
これは中東諸国がアメリカのNEDが起こした「アラブの春」などのカラー革命により、地域の治安が悪化して内戦を巻き起こし、経済の混乱を招いたことに嫌気がさして、遂に中国の仲介によりイランとサウジが和解した経緯と非常に似ている。経緯の詳細は4月6日のコラム<脱ドル加速と中国仲介後の中東和解外交雪崩現象>に書いた。スーダンでの状況も、中東からアフリカに移っただけで、現象は類似している。
◆中国はスーダン紛争和解に乗り出すのか?
2023年1月の、中国外交部のウェブサイトによれば、中国は1959年2月4日にスーダンと国交を樹立してから、長年にわたって非常に友好的な関係を続けてきたとのこと。江沢民・胡錦涛・習近平政権ともにスーダン政権と政府高官のシャトル外交を継続し、特に習近平政権になってからは関係強化が加速している。
たとえば、2022年1月6日に当時の王毅外相がケニアを訪問した時、「非洲之角(アフリカの角)和平発展構想」を提案して、「アフリカの角事務特使」を任命すると発表した。事実、2022年2月には、薛冰(せつ・ひょう)を「アフリカの角事務特使」に任命している。
2022年6月に開催された「アフリカの角和平会議」にはスーダンも参加している。
一方、中国は2023年2月16日に「国際仲裁院(International Organization for Mediation)準備弁公室」なるものを正式に立ち上げている。加盟国としては「インドネシア、パキスタン、ラオス、カンボジア、セルビア、ベラルーシ、スーダン、アルジェリア、ジブチ」などがあり、スーダンは2011年の最初の企画段階から参加しているので、当然のことながら中国が仲裁する対象となり得る。
スーダン側は中国が国際紛争を解決する積極的な役割を果たしてほしいと、何度も大使館を通して正式に意思表明をしてはいる。2023年4月23日には「アフリカの角事務特使」薛氷がエチオピアで開催された和平プロセス感謝イベントに出席し、感謝状を授与されてもいる。
しかし、実際に今回も中東の和解外交雪崩現象と同じように、中国が表に出るか否かは、実は未知数だ。
◆日本がスーダン紛争和解に乗り出すのか?
ならば、日本はどうだろうか?
アフリカ4ヵ国歴訪前の4月29日に岸田首相が<スーダン情勢安定化も協議したいと述べた>と、日本の共同通信が報道した。その報道には、岸田首相はアフリカ訪問に関し「予断を許さない状況にあるスーダン情勢についても関係国と議論し、安定化に向け協議したい」と述べた、と書いてある。
その後、日本の複数のメディアで3日にはケニアで、4日にはモザンビークで、実際に首脳会談や会談後の記者会見などにおいてスーダン情勢に関して述べ、「日本はG7議長国、安保理非常任理事国として、スーダンの安定化に積極的に貢献する」との決意を示したと書いてある。具体的には、アフリカの各担当大使の派遣や緊急人道支援の実施などを通じ、事態の鎮静化や民政移管プロセスの再開、秩序の回復に向け、各国と連携していくとのことだ。
この発想は、中国の国際仲裁院体制の範疇を出ていない上に、数十年前からアフリカに深く食い込んできた中国には勝てないだろう。
興味深いのは、中国大陸のネット上にある「共同網」という、共同通信社と連携したウェブサイトが、5月4日、<日本・ケニア首相は協力強化で一致した>というタイトルで、岸田首相が歴訪先のケニアで、スーダン情勢に関して「大きな懸念を表明し、緊急人道支援を可能な限り早期に検討する」と表明したと、詳細に書いていることだ。
また、中国版「共同網」では、中国批判のときの常套句になっている「法の支配」が、ロシアだけを対象に書かれており、中国包囲網のために創り出した言葉であるはずの「自由で開かれたインド太平洋」構想が、中国抜きで語られている。アフリカは数十年かけて中国が築いてきた地盤なので、そう簡単には日本に乗り換えることはしないだろうことがうかがえる。
何と言っても、グローバルサウスの国々はNEDが「民主」の名の下に仕掛けてきた紛争にこりごりしている。日米が連携すればするほど、(頂くものは頂くとしても)日本から離れていく傾向にある。
◆ならば、どの国・組織がスーダン紛争和解に乗り出すのか?
おそらく今回の仲裁は、東アフリカの政府間開発機構であるIGAD(Inter Governmental Authority on Development)ではないかと推測される。IGADの加盟国はケニア、スーダン、ウガンダ、エチオピア、エリトリア、ジブチ、ソマリアの7ヵ国で、事務局はジブチに置かれている。
先述した、中国が主催する国際仲裁院の加盟国と重なっているので、中国は側面から支援しながら、IGADが動く可能性が高い。というのは、5月4日の中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」の「軍事」ウェブサイトは<スーダン武装部隊は、1週間の停戦延長を含む、IGAD調停提案に同意している>と報道しているからだ。
今後どうなっていくのかに関しては、まだ成り行きを見守る姿勢が要求されるが、本稿では、現状における基本的な状況の考察を試みた。
追記(筆者からのお詫び):読者の方々には大変ご迷惑をお掛けしていますが、現在、本稿でも触れた中東和解外交雪崩現象をきっかけに、「第二のCIA」と呼ばれるNEDがこんにちまで何をやってきたのかを、NEDのホームページにある情報を基に分析し、今後の世界新秩序を展望する本を出版すべく執筆に没頭しているためコラムを書く時間が取れません。書名は仮ですが、『習近平が起こす地殻変動 「米一極」から「多極化」へ』とするつもりで、7月半ばには本屋に並ぶと思われます。6月半ばまではコラムを中断することが多いかと思います。申し訳ありません。
記事に関する報告
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』
現代中国96号
特集
建党-00年と「社会
毒」中国のゆくえ
習近平政権の「思想学習」
——社会の領域を中心に
中央大学及川淳子
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwiFsJ_40t_-AhXAglYBHfX6A00QFnoECAQQAQ&url=https%3A%2F%2Fspc.jst.go.jp%2Fcad%2Fliteratures%2Fdownload%2F12926&usg=AOvVaw0xgz8CEjAISc_PqayW65Wk
※ .pdf→.txt変換した。



中国共産党の建党100年を迎えた中国は、今
後いかなる変貌を遂げていくのだろうか。
「社
会主義」を掲げる中国のゆくえを展望するため
には多様な専門領域からの考察が必要不可欠で
あり、党の思想宣伝工作に対する研究は現代中
国研究における古くて新しい課題といえよう。
党100年の歴史は、思想宣伝工作のあゆみでも
ある。政治権力の闘争は言わばイデオロギーを
めぐる対立と闘争でもあり、中華人民共和国の
建国から現在にいたるまで数多の政治運動は思
想宣伝工作と表裏一体である。
習近平政権は思想統制の強化や政治指導者に
対する個人崇拝など毛沢東時代との近似性が指
摘されているが、その実態はいかなるものだろ
うか。
「習近平新時代中国特色社会主義思想」
を掲げる現政権の思想宣伝工作に対する考察を
通して、「社会主義現代化強国」の建設を目指
す党と社会の関係性について、その特性や構造
的な変容を読み解くことは可能だろうか。
小論は以上の問題意識に基づき、習近平政権
の思想宣伝工作の現状について、その諸様相を
社会の領域から考察するものである⑴。
ここ
では、党内における思想教育とは視点を変えて、
党内外の社会全般に対する思想宣伝工作を「思
想学習」と定義して議論したい。
筆者が社会の
領域に着目するのは、近年の思想宣伝工作が社
会全般に向けて強力に推進されている傾向を重
視する所以による⑵。
2021年9月からは学校
教育における思想学習が強化され、新たなガイ
ドラインの制定や教科書の使用が日本のメディ
アでも取り上げられた⑶。
そこで、小論では
社会の領域、特に学校教育の現場における動向
に着目し、広範な社会の領域において展開され
ている思想学習の被覆性や浸透性の強化を「社
会実装」という視点で議論し、習近平政権下で
推進されている思想宣伝工作の意義およびその
機能的役割について検討する。
「社会主義」中
国のゆくえを展望する際の留意点として、習近
平政権の思想学習が中国社会全般に及ぼす中長
期的な影響についても指摘したい。
!習近平政権の思想宣伝工作
1.「習近平思想」の概要
2017年に開催された中国共産党第19回代表
大会において、中国共産党が長期にわたり堅持
しなければならない指導思想として「習近平新
時代中国特色社会主義思想」(以下、「習近平思想」
と略記)が「中国共産党党規約」に明記された⑷。
2018年の第13期全国人民代表大会では「中華
人民共和国憲法」にも記載され、「党と国家の
重要思想」として定義された。
習近平総書記の
報告や講話などを時系列で編纂した『談治国理
政』によれば、「習近平思想」とは「新時代の
中国共産党の思想の旗印であり、国家の政治生
33
活と社会生活の根本的な指針であり、現代中国
のマルクス主義、21世紀のマルクス主義であ
り、中華民族の偉大なる復興を実現させるため
の行動指針を提供する」と記されている⑸。
政治指導者の名前を付した指導思想の提起
は、「毛沢東思想」以来の重大な変化である。
また、「現代中国のマルクス主義、21世紀のマ
ルクス主義」という位置づけは、圧倒的な権威
性を象徴するものといえよう。
習近平総書記は、
自らの名前を刻んだ「習近平思想」を「21世
紀のマルクス主義」と規定するにあたり、いか
なる認識を有していたのか。
この点については、
習近平総書記が2018年にマルクス生誕200周
年記念大会で発表した談話を参照したい⑹。
「現代中国のマルクス主義、ニ^一世紀のマル
クス主義の新たな境地を絶えず切り開こう」と
題した講話で、習近平総書記は「マルクスの世
界観全体は教義ではなく方法である。
それが提
示したのは既成の教条ではなく、さらなる研究
への出発点とその研究に用いる方法である」と
いうエンゲルスの言葉を引用した上で、
「現代
中国の偉大なる社会変革は、中国の歴史・文化
の単純な延長でもなく、マルクス主義の原典の
著者が構想した枠に単純に当てはめることでも
なく、他国の社会主義をめぐる実践の重版でも
なく、海外の近代化の発展の模倣でもない」、
「理論の生命力は絶えざる革新にあり、マルク
ス主義の絶え間ない発展を推進することは中国
共産党員の神聖なる職責である。
我々はマルク
ス主義を用いて時代を観察し、時代を読み解き、
時代を先導することを堅持し、現代中国の生き
生きとした豊富な実践によってマルクス主義の
発展を推進する」と強調した。
このように、「習
近平思想」は「21世紀のマルクス主義」とし
ての権威性が確立されたのである。
「習近平新時代中国特色社会主義思想」を換
言すれば、その特性から「新時代思想」あるい
は「強国思想」と概括できる。
建国以来の毛沢
東時代を経て、登&小平、江沢民、胡錦濤が率い
た改革開放政策の時期とは明確に画期されたの
が「習近平の新時代」である。
第19回党大会
で三時間余りに及んだ習近平総書記の重要講話
では、「長期にわたる努力を経て、中国の特色
ある社会主義は新時代に入った」、
「近代以来、
長期にわたり苦難を味わった中華民族が立ち上
がり、豊かになり、強くなることで偉大な飛躍
を成し遂げ、中華民族の偉大な復興への実現に
向けて明るい前途を迎えたことを意味する」と
強調した⑺。
習近平総書記が自らの名を冠し
た「習近平思想」は、新たな時代に強い中国を
目指すための「党と国家の重要思想」として規
定されたのである。
2.思想宣伝工作の方針
習近平政権は、いかなる方針に基づいて思想
宣伝工作を展開しているのだろうか。
ここでは、
全国宣伝思想工作会議に注目したい。
政権発足
後の2013年に開催された全国宣伝思想工作会
議において、習近平総書記は重要講話を発表し
て以下のように述べた(8>。
思想宣伝工作を強化するには、必ず全党
を挙げて着手しなければならない。
各級の
党委員会は政治責任と指導責任を果たすべ
く、思想宣伝分野の重要な問題に対する分
析、研究、判断と重大な戦略的任務への包
括的指導を強化し、絶えず思想宣伝工作の
指導の能力とレベルを高めなければならな
い。
包括的宣伝という工作理念を打ち立て、
各戦線の各部門が共に取り組むように働き
かけ、思想宣伝工作と各分野の行政管理、
業種管理、社会管理をさらに緊密に結びっ
34
現代中国96号
けなければならない。
「包括的指導」と「包括的宣伝」の原文は、
それぞれ「統警指導」と「大宣伝」である。
「統
警」は「統合的な」という意味もあるが、ここ
では外文出版社の公式訳から「包括的」という
訳語を引用した。
2013年の重要講話から読み
取ることができるのは、党内にとどまらず社会
全般に対して思想宣伝工作を「包括的に」徹底
するという方針である。
第19回党大会後、2018年に開催された全国
宣伝思想工作会議では、「新たな情勢下におけ
る思想宣伝工作の使命と任務を自ら進んで担お
う」と題した重要講話が発表された(9>。
習近
平総書記は「中国の特色ある社会主義は新時代
に入り、思想を統一し、力を凝集させることを
思想宣伝工作の中心部分としなければならな
い」と強調した。
2013年の方針で「包括的指導」
と「包括的宣伝」が提起された点と比較すれば、
2018年の方針は「戦略的な任務」の実践が具
体化されたことが特徴だ。
重要講話では以下の
ように言及されている(10)〇
強い結束力と牽引力を備えた社会主義イ
デオロギーの構築は、全党とりわけ思想宣
伝戦線が必ずや担わなければならない戦略
的な任務である。
マルクス主義の宣伝教育
工作をしっかりと行い、とりわけ習近平新
時代中国特色社会主義思想の学習、理解、
実践に力を入れなければならない。
ここでは思想宣伝工作という「戦略的な任務」
の実践について、「学習、理解、実践」の各段
階で強調されている。
さらに注目すべきは、「思
想宣伝工作は人を対象とする仕事であり、民族
復興という大任を担う時代の新人育成を重要な
職責としなければならない」、「青少年の価値観
の形成と確立のカギとなる時期をしっかりとつ
かみ、青少年が人生の最初のボタンをきちんと
かけるように導く必要がある」という記述であ
る(11>。
全国宣伝思想工作会議の重要講話を参照する
と、習近平政権の思想宣伝工作は、包括的かつ
戦略的な方針に基づいて推進されている点が明
瞭だ。
近年、社会全般に対する思想宣伝工作が
強化されている実態について、「習近平新時代
中国特色社会主義思想」という新たな思想を掲
げるだけでなく、その実践が極めて戦略的に展
開されている点を指摘したい。
π習近平思想の「社会実装」
1.「社会実装」の視点による議論の試み
習近平政権が包括的かつ戦略的に思想宣伝工
作を推進する中で、近年は特に党の内外を越え
た広範な社会の領域で思想学習が強化されてい
る。
社会の広範囲における思想学習の被覆性や
浸透性の強化について考察することが本節の課
題であり、社会の実像を構造的に理解し、その
特徴を解明するには多種多様な観点からの分析
が必要だと考える。
そこで、議論の試みとして
援用するのが「社会実装」の視点だ。
「社会実装(Social implementation) J は、最新科
学技術のイノベーションを社会で実用する際の
実証過程や社会的課題の解決を目指すための変
革について用いられることが多い用語である(12))
日本では、平成28年(2016年)に内閣府が公
表した「第5期科学技術基本計画(平成28〜平
成32年度)」において、科学技術イノベーショ
ン推進の必要性を強調した際に「社会実装」と
いう用語が多用されている(13)。国立研究開発
35
法人科学技術振興機構(JST)の社会技術研究
開発センター (RISTEX)では、企業の研究開
発で成果を確認するために行われる「現場実験」
を例にして、社会のための研究開発を実証する
過程を「社会実装」と定義している(14)〇
また、
テクノロジーによる社会変革に関する研究と実
践に取り組む東京大学産学協創推進本部の馬田
隆明の著作によれば、「テクノロジーそのもの
のイノベーションだけでなく、組織や法制度、
慣習といった社会的な仕組みにもイノベーショ
ンが必要」であるとして、「社会的な仕組みの
イノベーションとしての法整備や教育システ
ム」についての指摘がある。
「テクノロジーの
社会実装とは、テクノロジーの力によって社会
を変えようとする営みであると同時に、社会の
仕組みを変えることによってテクノロジーが活
用される社会を作り出す営み」でもあるという
指摘は極めて示唆に富むものだ(15)。
「社会実装」の類語としては、「社会実験」が
挙げられるだろう。
筆者の理解では、期間や地
域などの範囲を限定化して新たな技術や制度を
試行した上で、その有効性を検証して評価する
ことが「社会実験」であるのに対し、「社会実装」
は研究開発によって得られた新たな技術やシス
テムが機能するように社会に組み込んで実用化
や普及を図るという相違がある。
「組み込む」
と言えば、イメージとしては「インストール
(install)Jに近いところもあるが、ここで「社
会実装」を暫定的に定義すれば、何らかの社会
的課題の解決を目的とした研究成果や知的財産
の具現化や実用化、あるいは一般化といえるだ
ろう。
最新の科学技術やイノベーションに限ら
ず、例えばある思想を「社会実装」すると考え
た場合、思想を専門性の高い学術的領域に留め
るのではなく、社会の広範囲に普及させて社会
的な課題解決のために思想を実践するという意
味合いになる。
最新の科学技術やイノベーションなどと親和
性の高い「社会実装」を思想の領域に援用し、
さらには習近平政権の思想学習について検討す
ることの有効性については限界や批判もあるだ
ろう。
しかしながら、「社会実装」によって広
く社会全般に対して一般化されるという点につ
いて検討すれば、社会に対する被覆性や浸透性
という観点から、思想学習の目的やその機能的
役割について構造的にとらえることができるの
ではないだろうか。
2.「社会実装」としての思想学習
それでは、習近平政権が社会の領域における
思想学習を強化している現状を「習近平思想の
社会実装」と仮定した場合、その目的や方策と
はいかなるものだろうか。
まず、目的について筆者が想起するのは、「主
要な社会矛盾」の解決である。
習近平総書記は、
第19回党大会の重要講話で「中国の特色ある
社会主義が新時代に入り、我が国の主要な社会
矛盾は、人民の日ごとに増大する素晴らしい生
活への需要と不均衡で不十分な発展との間の矛
盾へと変化している」、「主要な社会矛盾の変化
は全体の局面に関わる歴史的な変化である」
と強調した(16)。
「主要な社会矛盾の変化」に
ついては、党の重要文献においても大きく取り
上げられており、習近平政権の重要な政策課題
として位置づけられている(17)。
新時代の主要
な社会矛盾を解決するのは習近平総書記率いる
中国共産党であり、社会矛盾の解決において重
要な成果が示されれば、それはすなわち中国共
産党による統治の正統性が確保され、現体制を
維持し、さらには党の求心力強化に繋がるだろ
う。それこそが習近平政権の最重要課題であり、
最終的な目的だといえよう。
広範な社会に対す
36
現代中国96号
る習近平思想の学習という「社会実装」は、強
力な実行力によって推進され、党の権威性を高
めるために社会に対する党の影響力を拡大し、
強化しているものと考えられる。
筆者が本稿で「社会実装」の観点から思想学
習について考察するのは、党と社会の関係性を
明らかにするためでもある。
習近平政権の発足
後、党は言論や思想に対する統制を強化し、AI
やビッグデータなどの最新科学技術を用いた社
会管理によって中国共産党が社会を一元的に管
理するという社会体制が確立され、「デジタル・
レーニン主義」、「ビッグデータ独裁」と言わ
れるように、さらに厳格化の傾向にある(18>。
一方、党と社会の関係性という構造に着目する
と、一定の変化が生じていると見ることもでき
る。
すなわち、党が社会を一元的に管理してい
ると同時に、中国共産党による統治の正統性を
確保し証明するという現政権の政治目的が、実
際のところ社会との関係性において追求され、
その為に規制や統制がさらに強化されていると
いう構造である。
ここで、前述した馬田隆明の指摘について再
考してみよう。
「テクノロジーの社会実装とは、
テクノロジーの力によって社会を変えようとす
る営みであると同時に、社会の仕組みを変える
ことによってテクノロジーが活用される社会を
作り出す営み」でもあるという指摘の部分だ。
逆説的に考えれば、新たなテクノロジーが活用
できない社会は、社会の側に変革が迫られると
同時に、テクノロジー自体の真価が問われ、イ
ノベーションを迫られ、場合によっては淘汰さ
れる可能性もあるだろう。
このように「社会実
装」の視点を援用して考察すると、習近平思想
の学習という「社会実装」の推進は、党が社会
を変革するだけでなく、党自体もまた変革を迫
られるという双方向性を有し、今後はその傾向
が次第に表出され、顕著になる可能性もあるの
ではないだろうか「。
習近平思想の社会実装」は、
社会に対する党の影響力を拡大させ、その被覆
性や浸透性を強化しているが、同時に、社会の
側は常に受け身の状態にあるばかりではなく、
党は社会の側からその真価が問われるという可
能性についても指摘しておきたい。
習近平政権
の徹底した思想統制は強権的な統治の象徴だ
が、視点を変えれば、思想学習が徹底されれば
徹底されるほど、党と社会の関係性に構造的な
変化が生じる可能性もあるといえよう。
m社会に対する「思想学習」の現状
1.「人民」に対する思想学習
前項では、習近平政権による思想学習強化の
現状を「習近平思想の社会実装」と仮定し、そ
の目的や今後の可能性について議論した。
ここ
では、習近平政権が広範な社会において推進し
ている思想学習の具体的な方針や方策について
検討する。
前述した全国宣伝思想工作会議の方針に基づ
き、近年は思想学習に関する重要文献が相次い
で発表されている(19)〇
中央宣伝部や中共中央
党校が発行した重要文献を概観して想起される
のは、重要文献の発行後に各級の党組織におい
て党員の思想学習が徹底的に実施されるという
キャンペーンの展開だ。
党員の思想学習ではス
マートフォンのアプリなども活用されており、
党員生活の変化も興味深い話題であるが、それ
らについてはいずれ稿を改めて論じたい。
ここ
では社会全般に対する思想学習に焦点を絞り、
その方針および方策について検討しよう。
2021年7月、中国共産党100周年を盛大に
祝う記念式典が開催された数日後、党中央と国
37
務院は「新時代における思想宣伝工作の強化と
改善に関する意見」(以下、「意見」と略記)を
公表した(20)〇
「思想宣伝工作の強化と改善」
とは、つまり具体的な方針と方策について言及
したものである。
「意見」では、思想宣伝工作
について「党を治め、国を治めるための重要な
方法とし、思想政治教育を深く掘り下げて展開
し、基層レベルにおける思想政治工作の質と水
準を引き上げ、新時代における思想政治工作の
正しさと革新的な発展を推進」するという方針
が強調され、以下のように記述されている(21)〇
人民を中心とする旨を堅持し、党の大衆
路線を実践し、人民のより良い生活に対す
る憧れを奮闘目標とし、大衆を組織し、大
衆を宣伝し、大衆を教育し、大衆に奉仕し、
自信を強め、民心を集め、人々の心を温め、
団結を築くことを堅持する。
「意見」の中で筆者が注目したのは、思想宣
伝工作が党と国を治めるための「重要な方法」
として規定されていることである。
つまり、思
想学習は「党を治め、国を治める」ことに加え
て社会を統治して管理するための「重要な方法」
でもあるということだ。
もうひとつ指摘してお
くべきは、「人民」という用語である。
思想宣
伝工作は「党員」のみならず「人民を中心とす
る」ものでなければならず、「人民のより良い
生活に対する憧れを奮闘目標」とすることが明
記されている。
「人民のより良い生活に対する憧れ」を党の
奮闘目標として掲げたのは、習近平総書記の就
任演説に遡る。
2012年開催の第18回党大会第
1期全体会議終了後、就任したばかりの習近平
総書記が内外記者会見で特に強調したものだっ
た(22>。
以下、当時の講話から「人民」につい
て言及した箇所を一部抜粋してみよう。
「人民
の幸せな生活への憧れこそ我々の奮闘目標であ
る」、「この大きな責任は、党に対する責任であ
る。わが党は誠心誠意人民に奉仕する政党であ
る」、「人民は歴史の創設者であり、大衆は真の
英雄である。人民大衆は我々の力の源である」、
「我々は必ず人民と心を一つにし、人民と苦楽
を共にし、人民と団結奮闘し、日々怠りなく勤
勉に働くことで、歴史と人民に対して合格点の
答案を示さなければならない」。
これらの発言
から、習近平政権が「人民」との関係性を極め
て重視していることが確認できる。
「国民」、「公民」、「市民」、「大衆」、「老百姓
(庶民)」とは異なり、「人民」は政治的な概念
だが、習近平政権は「人民」という存在をどの
ように認識しているのだろうか。
「人民」と言
えば、想起されるのはかって毛沢東が論じた「人
民内部の矛盾」である(23」。
毛沢東が指摘した
ように「人民内部の矛盾」は依然として存在し、
矛盾は拡大しているとも考えられるが、それ以
上に注視すべきは、「人民内部の矛盾」よりも「人
民と党の間の矛盾」ではないだろうか。
習近平
政権は、その点を熟知して警戒感を強めている
からこそ、「人民のより良い生活に対する憧れ
を奮闘目標」とする一方で、広範な社会におい
て「人民」を対象とした思想学習を徹底してい
ると考えられる。
2.学校教育における思想学習
習近平政権の思想学習が社会の領域で徹底さ
れる重要な契機となったのは、建党100周年を
迎えた2021年であり、同年9月の新学期にあ
わせた一連の改革である。
学校教育における新
たな方針として、国家教材委員会が「習近平新
時代中国特色社会主義思想をカリキュラムと教
材に組み込むガイドライン(以下、「ガイドライ
38
現代中国96号
ン」と略記)」を発表した(24)〇
ここでは「ガイ
ドライン」の記述を確認しながら、学校教育に
おける思想学習の動向について検討したい。
まず、「ガイドライン」が重要な意義として
強調しているのは、「習近平新時代中国特色社
会主義思想は、新時代における中国共産党の思
想の旗印であり、国家の政治生活と社会生活の
根本指針であり、現代のマルクス主義、21世
紀のマルクス主義である」という点だ。
これは
前述したように、党規約や憲法に明記された文
言と完全に一致するものだ。
それをふまえて強
調されているのが、以下の記述である。
習近平新時代中国特色社会主義思想を指
導思想として一貫して堅持し、教育教学力
リキュラムのすべての過程と段階において
貫徹させなければならない。
習近平新時代
中国特色社会主義思想を全てのカリキュラ
ムと教材において全面的に実行し、広範な
青少年がマルクス主義の信念を打ち立て、
中国の特色ある社会主義の道に対する自
信、理論の自信、制度の自信、文化の自信
を揺るぎないものとし、党の話を聞き、党
と共に歩むという志を立て、正しい世界観、
人生観、価値観を形成することに重大な意
義がある。
「国家の政治生活と社会生活の根本指針」と
して習近平思想が規定されたことにより、学校
教育の現場では思想学習を徹底して「党の話を
聞き、党と共に歩むという志を立て、正しい世
界観、人生観、価値観を形成する」ことが重要
な教育目標となった。
また、「ガイドライン」
では「習近平新時代中国特色社会主義思想を教
材に組み込み、教室へと前進させ、学生の頭に
浸透させ、系統的かつ全面的で生き生きとした
具体的なものにする」という記述もある(25」。
以前、学校教育の現場では主に「道徳」や「政
治」などの個別の科目で思想教育が行われてい
たが、前述した「意見」に続いて「ガイドライ
ン」が発表されたことにより、小学校から大学
院までのあらゆるカリキュラムと科目において
習近平思想の学習が重視されることになった。
3.教科書に見る「習近平思想」
学校教育における思想学習は、2021年9月
の新学期から新たな展開を迎えた。
その象徴と
して挙げられるのは、「習近平新時代中国特色
社会主義思想学生読本(以下、「学生読本」と略
記)」である。
小学校低学年用、高学年用、中
学校、高校用の合計4冊の教科書が発行され、
週1コマの授業が必修科目となった(26」。
これまで検討してきた思想宣伝工作の方針や
「ガイドライン」は、実際のところ教科書の中
でどのように具体化されているのだろうか。
4
冊の教科書はいずれもカラー刷りでイラストや
写真が多用されている。その中でも小学校用の
教科書は子どもたちのイラストや親しみやすい
デザインが特徴的だ。また、低学年の教科書で
はアクティブ・ラーニングの要素を取り入れて
いる点も興味深い。
ここでは、具体的に以下のニ点について教科
書の記述を確認しよう。
まず、2018年の全国
宣伝思想工作会議で習近平総書記が述べた「青
少年の価値観の形成と確立のカギとなる時期を
しっかりとっかみ、青少年が人生の最初のボタ
ンをきちんとかけるように導く必要がある」と
いう一文についてである。
小学校低学年用の教
科書では、第6講「新時代のよい少年になろう」
の単元で、次のようなイラストと記述がある(写
真2参照)。
教科書では「人生の第一ボタンをきちんとか
39
写真1「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本小学低年級」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
写真2 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本小学低年級
人民出版社•人民教育出版社、2021年、47頁
ける」と題して、以下の説明がある(27)〇
「習
近平おじいさんは言いました。価値観を作り上
げるのは服のボタンをかけるのと同じです。も
しも初めのボタンをかけ違えたら、残りのボタ
ンも全部かけ違えてしまいます。人生のボタン
は初めからきちんとかけなければいけません」。
教室にいる子どもたちの様子を描いたイラスト
の吹き出しには、「もし初めのボタンをかけ違
えたら、服が歪んでしまって、カッコ悪いよね」、
「僕たちは人生の第一ボタンをどうやってかけ
るのか今から理解しなければいけません」とい
うコメントがある。
青少年に対する思想宣伝エ
作を「人生の最初のボタンをきちんとかける」
と例えた習近平総書記の言葉は、小学校低学年
の子どもたちにも分かりやすい事例として教科
書で大きく取り上げられた。
次に参照するのは、習近平総書記が第19回
党大会の重要講話で述べた「主要な社会矛盾」
についてである。
中学校の教科書では、「我が国
の社会の主要な矛盾の変化」について次の記述
が見られる(写真4参照)。
1981年の第11期
六中全会当時の「人民の日ごとに増大する物質
文化の需要と立ち後れた社会生産との間の矛
盾」という指摘から、2017年第19回党大会で
提起された「人民の日ごとに増大する素晴らし
い生活への需要と不均衡で不十分な発展との間
の矛盾」が併記され、「主要な社会矛盾」が変
化している点が図表で強調されている(28。。
高校教科書では、「主要な社会矛盾」に関す
るイラストや図表は見られないが、第19回党
大会の習近平講話の文言を引用して以下のよう
に記述されている(写真6参照)(29。。
中国の特色ある社会主義が新時代に入
り、我が国の主要な社会矛盾は人民の日ご
とに増大する素晴らしい生活への需要と不
均衡で不十分な発展との間の矛盾へと変化
しており、これは中国の特色ある社会主義
の新時代における重要な特徴である。
新時
代の我が国の主要な社会矛盾の変化は、全
体の局面に関わる歴史的な変化であり、我
が国の社会のニーズと社会生産の新たな特
40
現代中国96号
写真3 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本初中」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
写真4 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本 初中」
写真5 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本高中」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
人民出版社・人民教育出版社、2021年、17頁
写真6 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本高中」
徴を本質的に反映している
以上、学校教育における思想学習の新たな展
開について「ガイドライン」や実際の教科書に
注目したが、新カリキュラムの運用について
は、今後、教育現場についての考察やさらなる
分析が必要だ。
学校教育の現場で習近平思想の
人民出版社・人民教育出版社、2021年、5頁
学習が週1コマの必修科目になったため、他の
科目の学習や入試制度にいかなる影響が生じて
いるかという点も興味深い。
また、子どもたち
の学習負担と家庭の経済負担を軽減させるため
に宿題や塾を減らし、ひいては少子化問題の改
善も期待されているいわゆる「双減政策」との
関連など、学校教育における思想学習との関わ
41
りで議論すべき課題は多岐に及ぶといえよう。
2021年から新教科書で習近平思想を学ぶ学
生たちは、建国100周年を迎える2049年には
中国社会を担う年齢層となる。
習近平政権の思
想学習が中国社会に及ぼす中長期的な影響につ
いても、今後見極めていく必要があるだろう。
結びにかえて
小論は、習近平政権の思想宣伝工作の現状に
ついて社会の領域から考察した。
学校教育のガ
イドラインや新教科書が象徴するように、近年
の思想宣伝工作は社会全般に向けて強力に推進
されている。
広範な社会の領域で深化している
思想学習について、その被覆性や浸透性の強化
を「社会実装」という視点で議論するという試
みが果たして論理性や説得力をもつものであっ
たか否か、これについては読者からのご叱正を
乞うところである。
筆者が小論で指摘したのは、党と社会、党と
人民の関係性という構造的な問題の所在とその
変容についてである。
社会主義現代化強国を目
指す中国共産党政権のもと、党と社会、党と個
人は、いかなる関係を構築していくのだろうか。
思想学習の徹底は、強権的な政治手法によると
ころが大きく、社会に対する党の影響力拡大と
いう側面に目を奪われがちだが、社会の側は常
に受け身の状態にあるばかりでなく、党と社会
の関係性には常に構造的な変化が生じる可能性
も内包されている。
小論では「人民」という用語で議論したが、
もとより「人民」は個別具体的な「人」である。
中国の社会で逞しく、しなやかに、したたかに
生きる人々が、果たして思想学習を受容してい
くのか、あるいは面従腹背でやり過ごしていく
のか、中国社会の実相は極めて興味深い。
その
意味でも、中国社会の構造変容について考察す
る際に、社会を構成する人々の思想や行動につ
いて理解を深め、同時代を生きる隣人として中
国社会の諸様相に関心を寄せる視点を持ち続け
たいと考える。
注)
(1) 本稿は、2021年10月23日開催の日本現代中国学
会第71回全国学術大会共通論題「建党100年と「社
会主義」中国のゆくえ」における報告をもとに執筆
したものである。全国学術大会の開催校である西南
学院大学、全国理事会、西日本部会、共通論題のコ
メンテーター各位にあらためて感謝を申し上げたい。
また、投稿に際しては『現代中国』編集委員会、学
会事務局の各位より格別のご高配をいただいた。付
して感謝いたします。
(2) 思想宣伝工作に対する論考として、以下を参照さ
れたい。拙稿「『習近平時代』の思想宣伝工作——学
校教育と家庭教育における最新動向」(連載“習近平
の中国”:ヤヌス像のアナトミー 4)『東亜』一般財
団法人霞山会、2022年1月号。
(3) 例えば、以下など。「中国全教育課程で『習近平思
想』指導」『東京新聞』2021年8月26日。「小学校教
科書に登場する「習おじいさん」中国で進むある「変
革」」朝日新聞デジタル版、2021年10月4日。
(4) 外文出版社の刊行物や国営新華通訊社などの公式
日本語訳では、「習近平の新時代の中国の特色ある社
会主義思想」と記述されるが、小論では中国語の原
文「習近平新時代中国特色社会主義思想」のまま表
記し、本文中では「習近平思想」と略記する。
(5) 習近平『談治国理政第三巻』外文出版社、2020年、
巻頭「出版説明」より。なお、『談治国理政』の引用
箇所の日本語訳は筆者によるが、訳語については日
本語版『国政運営を語る』を適宜参照した。
(6) 「不断開辟当代馬克思主義、二十一世紀馬克思主義
新境界」(2018年5月4日)『談治国理政第三巻』外
文出版社、2020年、74-76頁。
(7) 「決勝全面建成小康社会、奪取新時代中国特色社会
主義偉大勝利」(2017年10月18日)前掲、『談治国
理政第三巻』外文出版社、2020年、8頁。
(8) 「把宣伝思想工作做得更好」(2013年8月19日)習
近平『論党的宣伝思想工作』中央文献出版社、2020年、
14-18頁。引用箇所は、18頁。なお、会議の名称は「全
国宣伝思想工作会議」のままとしたが、引用箇所で
は「宣伝思想工作」ではなく「思想宣伝工作」と訳
出した。
42
現代中国96号
(9) 「自覚承担起新形勢下宣伝思想工作的使命任務」
(2018年8月21日)前掲『論党的宣伝思想工作』337
-342 頁。
(10) 同上、340頁。
(11) 同上。
(12) 中国語では> Social implementationの訳語として「社
会実施」の使用例が見られる。例えば以下など。趙
紅梅「経済法的私人実施與社会実施(〇n Private and
Social Implementation in Economic Law)」『中国法学』
中国政法大学民商経済法学院、2014年第1期、177-
195 頁。
(13) JST-RISTEX [研究開発成果実装支援プログラム]
『社会実装の手引き——研究開発成果を社会に届ける
仕掛け』工作舎、2019年、8頁。「第5期科学技術基
本計画(平成28〜平成32年度)」(平成28年1月22
日閣議決定)は、以下を参照。
内閣府、(https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index5.
html>(2021年8月31日閲覧)。
14」同上『社会実装の手引き——研究開発成果を社会
に届ける仕掛け』8-9頁。
(15) 馬田隆明『未来を実装するテクノロジーで社会を
変革する4つの原則』英治出版、2021年、68-69頁。
(16) 前掲「決勝全面建成小康社会、奪取新時代中国特
色社会主義偉大勝利」(2017年10月18日)『談治国理
政第三巻』9頁。
(17) 例えば、以下など。中共中央宣伝部『習近平新時
代中国特色社会主義思想三十講』学習出版社、2018
年、65-73頁「第六講」。
(18) この点については、以下を参照されたい。拙稿「中
国『デジタル•レーニン主義』の思想的背景」『国際
問題』公益財団法人日本国際問題研究所、No.705、
2022年2月。
(19) 主要な文献として、以下などを参照されたい。中
共中央宣伝部『習近平新時代中国特色社会主義思想
学習綱要』学習出版社•人民出版社、2019年。中共
中央党校(国家行政学院)『習近平新時代中国特色社
会主義思想基本問題』人民出版社・中共中央党校出
版社、2020年。中共中央宣伝部『習近平新時代中国
特色社会主義思想学習問答』学習出版社、2021年など。
(20) 中共中央、国務院印発「関於新時代加強和改進思
想政治工作的意見」2021年7月12日、<http://www.
gov.cn/zhengce/2021-07/12/content_5624392.htm) (2021
年8月31日閲覧)。
21」同上。
(22) 「人民対美好生活的向往就是我イ門奮闘的目標」(2012
年11月15日)『談治国理政』外文出版社、2014年、
3-5頁。「人民」に関する引用箇所はこれによる。
(23) 毛沢東『人民内部の矛盾を正しく処理する問題に
ついて』外文出版社、1968年。
(24) 「国家教材委員会関於印発『習近平新時代中国特
色社会主義思想進課程教材指南』的通知」中華人民
共和国教育部、2021年7月21日、
(2021年8月31日閲覧)。以下、「ガイドライン」の
引用はこれによる。
(25) 同上。「教材に組み込み、教室へと前進させ、学
生の頭に浸透させ」の原文は、「進教材、進課堂、進
頭脳」。
(26) 「学生読本」の編集、審査、発行については、前
掲の拙稿「『習近平時代』の思想宣伝工作——学校教
育と家庭教育における最新動向」を参照されたい。
27。「習近平新時代中国特色社会主義思想 学生読本 小
学低年級」人民出版社•人民教育出版社、2021年、
47頁。
(28) 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本初
中」人民出版社•人民教育出版社、2021年、17頁。
(29) 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本高
中」人民出版社•人民教育出版社、2021年、5頁。
参考資料(分野別・発行年順)
〔習近平著作(中国語版)〕
目近平«淡治国理政»外文出版社、2014年
目近平«淡治国理政第二卷»外文出版社、2017年
目近平«淡治国理政第三卷»外文出版社、2020年
目近平«^党的宣借思想工作»中央文献出版社、
2020 年
目近平«^中国共尹党折史»中央文献出版社、2021
年
〔習近平著作(日本語版))
習近平『国政運営を語る』外文出版社、2014年
習近平『国政運営を語る第二巻』外文出版社、2018
年
習近平『国政運営を語る 第三巻』外文出版社、2021
年
党主要文献〕
中共中央宣借部«目近平新吋代中国特色社会主又思
想三十供»学目出版社、2018年
全国干部培^教材編串指身委貝会組象編写«全国干
部学目培^教材新吋代新思想新征程»人民出版社・
党建^物出版社、2019年
中共中央宣借部«目近平新吋代中国特色社会主又思
想学目察要»学目出版社•人民出版社、2019年
中共中央党校(国家行政学院)«目近平新吋代中国特
色社会主又思想基本|、可題»人民出版社•中共中央
党校出版社、2020年
中共中央党史和文献研究院編«目近平新吋代中国特
色社会主又思想学目名イ第一^〜第五^»中央文
献出版社、2020年
43
中共中央宣借部«目近平新吋代中国特色社会主又思
想学目|、可答»学目出版社、2021年
〔学校教科書〕
教育部組象編写«目近平新吋代中国特色社会主又思
想学生^本小学低年纖»人民出版社、人民教育出
版社、2021年
教育部組象編写«目近平新吋代中国特色社会主又思
想学生^本小学高年纖»人民出版社、人民教育出
版社、2021年
教育部組象編写«目近平新吋代中国特色社会主又思
想学生^本初中»人民出版社、人民教育出版社、
2021年
教育部組象編写«目近平新吋代中国特色社会主又思
想学生^本高中»人民出版社、人民教育出版社、
2021年
〔インターネット資料〕
中共中央国多院印失«夫于新吋代加強和改迸思想政
治工作的意見»、2021年7月12日、(2021年
8月31日閲覧)
国家教材委貝会夫于印失«目近平新吋代中国特色社
会主又思想迸^程教材指南»的通知、2021年7月
21日、<http://www.moe.gov.cn/srcsite/A26/s8001/202107/
t20210723_546307.html)(2021年 8 月 31日閲覧)
〔日本語文献〕
加藤隆則『習近平の政治思想「紅」と「黄」の正統』
勉誠出版、2015年
柴田哲雄『習近平の政治思想形成』渓流社、2016年
石川禎浩『中国共産党、その百年』筑摩書房、2021
年
高橋伸夫『中国共産党の歴史』慶應義塾大学出版会、
2021年
JST-RISTEX [研究開発成果実装支援プログラム]『社
会実装の手引き——研究開発成果を社会に届ける
仕掛け』工作舎、2019年
馬田隆明『未来を実装するテクノロジーで社会を変
革する4つの原則』英治出版、2021年
〔拙稿〕
「『習近平時代』の思想宣伝工作——学校教育と家庭
教育における最新動向」(連載“習近平の中国”:ヤ
ヌス像のアナトミー 4)『東亜』一般財団法人霞山会、
2022年1月号
「中国『デジタル•レーニン主義』の思想的背景」『国
際問題』公益財団法人日本国際問題研究所、
No.705、2022 年 2 月 44
面子で生きる共産国の正体を良く表す出来事
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31454429.html
『上の動画は、トルコで行われた黒海経済会議で、ロシアの外交官がウクライナ外交官からウクライナ国旗を奪うという騒動が起きた様子を映したものです。しかしウクライナの外交官はすぐさま掴み掛り、国旗を取り戻すことに成功する映像が話題になっています。
「まぁ、なんて卑劣な事をするんだ」という感想を持つと思いますが、実は、この行動に「思想的な正しさ」で国を作った共産国の本質が出ています。いわゆる、民主国家や資本主義国家の場合、実際の運用がちゃんとされているかは、置いておいて、システムとしては、民意の反映で政治をやっています。色々と言いたい事があるのは判りますが、それが機能していないのであれば、それはシステムの問題ではなく、運営している我々の問題です。
ところが、共産国というのは、「正しい思想」が国家の根幹を成していて、それを擁立している唯一の集団が共産党という位置づけです。なので、独裁国家になりやすいのです。「正しい思想」が決まっているので、それ以外の事を検討するという事が、罪になるような考え方をするわけです。国の成り立ちって、数十年も続くと、国民の思考パターンにすら影響を与えるのですね。なので、ロシアの外交官は、黒海経済会議という場で、ウクライナの旗を強奪するという行為であっても、旗が隠されればロシアの面子が立つと、恐らくある程度マジで考えています。「ウクライナという民族と国は、存在してはいけない」とロシアが大真面目に考えて、それを履行する事を、本気で考えているのが判る場面です。実は、プーチン氏が核爆弾を落とすとか言うよりも、政府側とは言え、ロシア人(スラブ民族)が、ナチュラルに、こういう行動に出るほうが恐ろしいのです。つまり、これが、多くのロシア国民の中で一般化しているという事です。
なぜ、ウクライナという国が領土を奪還するまで、戦争を続ける必要があるかという理由が、ここにあります。停戦しても、準備が整えば、いずれロシアは「ウクライナ人とウクライナを地上から抹殺する為」に攻めてきます。それが、ロシアの指導者が決めた判断であり、その後ろには「正しい思想」があるからです。まぁ、だから、私は思想と宗教は、国にとって時に有害と考えています。それを成し遂げる事が、ロシアという国の目標になり、面子になっちゃっているのですね。ウクライナ語廃して、文化的な建造物や物品は破壊し、歴史の教科書を書き換え、地理の地図からウクライナを消す。代わりにロシア語を植え付け、ロシア人と交配させ、ロシア人が入植し、ロシアの指導者を讃えさせる。そうする事で、ウクライナという国が存在した事すら、歴史から消すまでロシアは戦争を止めません。停戦しても、いずれイチャモンをつけて、侵攻してきます。その為には、全てを犠牲にするでしょう。良い悪いの問題ではなく、彼らにとっては、そうしなければならない問題だからです。
先日、ロシアで10歳の女児が、平和を望む絵を授業で描いたら、父親が懲役20年の刑罰を受けて、その子供は孤児として施設に出されるという事件が起きました。ロシアにおいて、ウクライナを支配下に置くという事は、このレベルで国家が成すべき事と考えられていて、そこに妥協は無いという事です。「人命が大事だぁ。停戦しよう」みたいな、いかにもな方々による集会が日本でも行われていますが、「話し合いが成立する相手と、そうでない相手」が世界にはいるという事です。それが、行動として現れているのが前出の動画です。「これだから、ロシアは。あはは」で済ませられない、無意識に行われたロシア人の意識が現れた映像なんですよ。
共産国の基本的な考え方は、どんな歪んだ形でも、思想的正しさと彼らが考える事に、現実を合わせるという事です。なので、一度始まった国家事業は、いかに間違っていても、最後まで続けるし、その結果として消滅したのが、世界4位の淡水湖だったアラル海です。灌漑計画で環境に甚大な被害が出ても、一度計画したら止められる人がいなかったからです。丁度、一年位前に、ウクライナ侵攻が始まった頃、このブログで「プーチンは既に戦争に勝利している」みたいな事を書きました。ロシアにとって、戦勝とは、具体的な事実よりは、そう考えられる根拠を何点か押さえてしまえば、成立するんですよね。なので、現実がどうであろうと、「プーチンが勝った」と言えば、ロシアの戦勝は確定なのです。そういう意味で、「プーチンが戦争を始めた時点で、結果がどうなろうと、ロシアという国家が消滅しない限り、戦勝は規定事実として記録される」という意味で言いました。外交の舞台というのは、そういう国家の本質が垣間見える場所でもあります。』
米国の国家情報局長が上院の軍事委員会で証言。プー之介は、ウクライナ征服は諦め、…。
https://st2019.site/?p=21115
『Tom Porter 記者による2023-5-5記事「Putin has given up on ambitions to conquer Ukraine after military losses that could take a decade to repair, says US intel」。
米国の国家情報局長が上院の軍事委員会で証言。プー之介は、ウクライナ征服は諦め、次等の目標として「ウクライナをせめてNATOには加盟させない」ことを、再設定した。
※これでますます戦争の短期終息は見えなくなってきた。バイデンの選挙対策本部としては、大統領選が本格化するタイミングで、対露の直接交戦が今にも始まるような危機が醸成されてくれるのが理想的であろう。
つまり、あと1年半、プーチンに粘ってもらった方が、米政府としては嬉しいのだ。
ただし、一寸先は闇とも言う。もし突如としてプーチンが暗殺されたり病死したりすれば、米大統領選挙前の劇的な「手打ち」が起きるかもしれない。
その場合、クリミアは勢いで奪回され、ロシアの頭首はプリゴジンになっているだろうと私は予想するが、それはともかく、そうなった場合には、バイデンは選挙で負けてしまうであろう。
また全然かんけいないが、米共和党員はいったい何を考えているんだ? 英国王の戴冠式に米大統領は参席するべきだ――とトランプが発言しているんだぞ。《リパプリック》とは何だ? それは君主を戴かないという精神の標榜である。トランプは、自分は王党派だと自白したようなものだ。いやしくも「米国共和党員」なら、そんな発言できるわけがない。即時、追放に値するであろう。』