国防総省、ウクライナ支援資金をほぼ使い尽くしたと民主党に警告https://grandfleet.info/us-related/pentagon-warns-democrats-that-ukraine-aid-funds-are-nearly-exhausted/
※ 『しかしこうしてみるとやはりロシアのとんでもない底力というか継戦能力を再認識させられます。
ソ連崩壊後、電力不足で原潜で発電した電気を送っていたエリツィン時代から、世界、少なくとも西側と米国を敵に回しての戦いを一年以上、制裁を受けながら実行しても飢餓もハイパーインフレも凍死も起きない国に発展させたプーチン、圧倒的支持で盤石なのもうなづけます。エンジンかけっぱの例の街も相変わらずだし、まだ余裕あるんでしょう・・・。』…。
※ たぶん、周到に「準備」「備蓄」した上でのこと、だったんだろうと思う…。
※ その「準備万端」「やる気満々」を、西側は見誤った…。
『2023.10.2
国防総省は民主党に宛てた9月29日付の書簡で「ウクライナ支援資金は16億ドルしか残っておらず、追加の資金供給がなければ防空システム向けの弾薬や砲弾の供給を遅らせるか削減しなければならない」と訴えており、資金補充が実現しないと冗談抜きで支援が途切れてしまう。
参考:Democrats Appropriations Committee 参考:Congress avoids government shutdown, drops Ukraine aid 参考:Washington Insider: US Pentagon Comptroller Signals They’re Out of Money for Ukraine 参考:Министр обороны США заверил Умерова, что поддержка Украины будет продолжаться
16億ドルを使い尽くす前に資金補充が実現しないと、冗談抜きでウクライナ支援が途切れてしまう
バイデン政権が議会承認をパスして次々とウクライナ支援を実行できたのは「下院が承認した累計1,130億ドルの資金」があったためで、共和党は「何に使用するのか分からない資金=通称:白紙の小切手」の承認に不満を漏らしていたが、予算関連の先議権を有する当時の下院は民主党が過半数を占めていたため問題にならなかったものの昨年末の選挙で力関係が逆転、共和党が過半数を占めた下院では「白紙の小切手」に対する資金補充を1度も認めていない。
出典:The White House
当時のバイデン政権は「(民主党主導の下院が最後に承認した450億ドルで)会計年度末まで乗り切れる」と説明、さらに会計ミスの発覚で計62億ドルの資金が返還されたため、支援資金に若干の余裕が生まれたものの、10月以降の何処かで支援資金が尽きるのは目に見えており、バイデン政権は8月に計400億ドルの追加資金を認めるよう要請。
計400億ドルの大まかな内訳は「ウクライナへの軍事援助:131億ドル」「戦争の影響を受けた国々への経済・人道支援:73億ドル」「発展途上国に対する支援:10億ドル」「ワグナーに抵抗するアフリカ諸国の支援:2億ドル」「災害援助基金の資金補充:120億ドル」「麻薬の流入抑制」「国境警備の強化」「消防士の給与引き上げ」で、ウクライナへの軍事援助=131億ドルの中には「米軍在庫の埋め戻すための95億ドル」が含まれているため、実質的なウクライナへの軍事援助額は36億ドルに過ぎない。
この追加資金の当初、連邦政府機関の閉鎖を回避する「つなぎ予算(短期資金調達法案)」に含める予定だったが、民主党が過半数を占める上院でも支持を得られず60億ドルに減額され、共和党が過半数を占める下院ではウクライナ支援資金をつなぎ予算に含めることすら困難で、マッカーシー下院議長はウクライナ支援資金を除外することで予算を可決してしまう。
成立したつなぎ予算は45日分なので、バイデン政権は11月中旬まで「ウクライナ支援資金の補充を受けられない」という意味になり、しかも「プールされていた資金」も殆ど残っていないらしい。
出典:Democrats Appropriations Committee
国防総省のマイケル・マッコード会計監査官は下院の民主党トップ(ハキーム・ジェフリーズ議員)に宛てた書簡の中で「国防総省はウクライナ支援資金をほぼ使い尽くしており、ウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)に割り当てられた資金は枯渇した。
大統領権限(PDA)に割り当てられた資金も16億ドルしか残っておらず、追加の資金供給がなければ防空システム向けの弾薬や砲弾の供給を遅らせるか削減しなければならなくなる。
さらにウクライナ軍に不可欠な155mm砲弾の調達契約にも影響を及ぼす恐れがある」と訴えている。
しかも本書簡は9月29日付のものなので、バイデン政権が実行可能なウクライナ支援の手段は相当限られていると思った方がいい。
出典:PRESIDENT OF UKRAINE
USAIの資金が尽きているということは「ウクライナ軍が必要とする装備、弾薬、サービスを産業界から調達する資金がない」と、PDAの資金が16億ドルしか残っていないということは「米軍在庫から引き出す装備・弾薬の提供を3回~5回行うと資金が枯渇する」という意味で、1度も使用されなかったウクライナ・レンドリース法は9月30日に期限切れを向かえているため、バイデン政権に残されたウクライナ支援はPDA経由しか残されておらず、16億ドルを使い尽くす前に資金補充が実現しないと冗談抜きで支援が途切れてしまう。
因みにバイデン政権は「次のつなぎ予算」に向けて動き出しており、ここで支援資金の補充が出来ないとウクライナが示唆している冬季攻勢を支えることも、ロシア軍が冬場に実行するであろうインフラ攻撃を阻止することも出来なくなる。
出典:Рустем Умєров
追記:ウクライナのウメロフ国防相は1日「オースティン国防長官が米国のウクライナ支援は今後も継続されると保証してくれた」と述べたが、議会が資金補充に同意しない限り支援継続は見通せない。
関連記事:米下院がつなぎ予算を可決、共和党に譲歩してウクライナ支援資金は除外 関連記事:バイデン政権、ウクライナ関連を含む計400億ドルの追加資金を議会に要求 関連記事:1度も使用されなかったウクライナ・レンドリース法、ウクライナ側は延長を要求
※アイキャッチ画像の出典:出典:U.S. Army photo by Spc. Christian Carrillo シェアする ツイートする Twitter で Follow grandfleet_info
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投稿者: 航空万能論GF管理人 米国関連 コメント: 23 』
『 なっしー 2023年 10月 02日
当初あれだけ騒がれたレンドリース法って結局どうなったんだ… 9
分析
2023年 10月 02日
返信 引用
結局使われず仕舞いでしたね。
ちなみに真面目に使ったとしても即効性があったかは怪しいところです。
アメリカは第二次世界大戦の頃の製造業から、金融等第3次産業で稼ぐ国に変化をしており、特に軍事生産業は未だに世界トップクラスとはいえ、中国やロシアに量的には劣っているからです(質は勝ってるかもですが)。
勿論平時の産業(自動車や航空産業)を軍事関係に転換すればロシアを凌駕することは可能でしょうが、アメリカそのものが攻撃を受けていないのに、純軍事態勢への移行は有権者が認めないでしょう。
そもそもの生産量が限られてるので、仮に無制限にウクライナに援助可能となっても、どこかで供与限界が来ます。
西側諸国は汗をかく生産業を発展途上国に移管し、デ室内でデータを触って稼ぐ産業に転換しましたが、いざ有事になるとそれが弱点になりましたね。
16 』
『 拓也さん 2023年 10月 02日
なんか明るい話題がないですね。 今回の予算の問題だってかなり前から言われていたけどポーランドやスロバキアの動きを見てるとタイムリットが近づいているのを実感する。 来年の今頃は現状とは様変わりしてるかもしれないですね。 10
謎の密使
2023年 10月 02日
返信 引用
それこそが正にロシアのハイブリッド戦争の神髄で
「戦場で勝てなければ外交で勝てば良い、情報戦でウクライナの支援国を減らせば良い」
という戦略に移行したと見て良いでしょう
どうも、西欧諸国はロシアのハイブリッド戦争の神髄「戦場で勝てなくても戦争に勝つ事は出来る」を見落とした可能性が有ります
19
Rex
2023年 10月 02日
返信 引用
戦術的には勝てなくても、肉壁で押し留めて戦略的には勝つ。
ソ連時代からのお家芸だな。
捨て駒扱いで肉壁された人達には同情するわ、、
8 』
『 ひろゆき 2023年 10月 02日
ウクライナ戦争や台湾危機もそうだけど分断が広がった政治&複雑なグローバルチェーンで西側の継戦能力が極めて傍若になってて、ソ連崩壊後にやってきた西側の基本方針が全部中国とかの独裁国の利になってるの失笑もんですわ
今回の件でロシアの軍事力が底上げされて台湾有事の際に北海道の上からミサイル攻撃されても困るし、なんとか予算を通してロシアをもうちょい削ってくれるようにバイデン頑張ってくれないかな〜
5
他人のお金目当てで戦争するというのはこういうことですからね。 バイデン大統領は早速共和党批判をしてる様子ですが、民主党内部にも少なからずウクライナ支援に懐疑的な議員がいる様子。 離反者が出るのは常とはいえ、両党共にまとまりに欠けてるように見受けられるし、支援が継続されても先細りしていく可能性もあるのかな。 17
ku
2023年 10月 02日
返信 引用
日本もアメリカの軍事プレゼンス頼りの現状なので同じというかウクライナ以上に恩恵を受けている
地政学的に見ればアメリカの軍事プレゼンなしに日本は国家としての存在は危うい
15 』
『 ku 2023年 10月 02日
いくつかの国で親露・親中政権が誕生しじわじわ来てる感じ。 民主主義の意思決定の遅さと戦略の統一性のなさが最悪のシナリオを招く。 最終的には専制国家が勝利する銀英伝を思い出す。 11
XYZ
2023年 10月 02日
返信 引用
あれは最良の専制政治でしたからね。
ドラスティックな改革をやるには専制政治が向いているとも言ってましたし。
しかし、専制政治の歴史を見ると当たりの独裁者は極めて稀です。
奇跡に賭けるのはリスクが高い。
10 』
『 永谷園 2023年 10月 02日
共和党がもはや矛盾した行動をし続けるのは様式美だが そもそもウクライナ支援が減退してるのは国内の深刻なインフレですよ
そりゃ名目上はアメリカも賃金上がってますけど物価の上昇が中間層以下を直撃して それが支援反対派を勢いづかせている
残念ながらこのインフレ対応についてはバイデンとFRBは敗北し続けている 15 』
『 名無し太郎 2023年 10月 02日
なんだか本当に第三次世界大戦が起きるんじゃないかと、不安になってきた。いわゆる総力戦みたいなものは起きなくても、常に世界中の半分ぐらいの地域がテロと紛争に巻き込まれている状態なんて、世界大戦が勃発していると同じようなものだろう。
利己的な人間は、一から巨大な権力を手に入れることは難しい。大義のために自分を捨てられる人間でないと、独裁者に担ぎ上げられたりはしないと思う。歯止めのきかない人間が、彼方此方で狂った大義を唱える不安定な世の中になるのではないだろうか。
一種のドミノ理論なのかもしれないので、被害妄想かもしれないが。私の杞憂で終わって欲しいが、ガチで心配になってきた。
紛争が多発する時代になったら、グローバリズムは終焉して資源価格は高騰する。高騰した資源価格は資源ナショナリズムを増長させ、ますます世界情勢は不安定になる。だから日本は直接の紛争に巻き込まれなくても、絶対に影響は受ける。
バイデンは判断が遅過ぎたために事態を悪化させ、共和党は近視眼的な視点で最悪の判断を行なった。十年後には、資源価格の高騰で経済が崩壊した世の中で、そんなことが言われるようになるのではないだろうか。 4
ななし
2023年 10月 02日
返信 引用
現在はハイブリッド戦争(中国の軍人が提唱した超限戦というのをロシアが言い換えただけだが)というのが主流になってきていて弾丸が飛び交ってなくても自国を有利にするために各種情報操作やサイバー攻撃を行うのが当たり前になってきている
戦時と平時の境界があいまいになってるので、平和だと思っていたら実は影でバチバチやりあっていたとか珍しくもない状況
日本が望もうが望むまいが中国やロシアがその気なんだから戦争に巻き込まれるのは確定している
8 』
『 野村 2023年 10月 02日
しかしこうしてみるとやはりロシアのとんでもない底力というか継戦能力を再認識させられます。
ソ連崩壊後、電力不足で原潜で発電した電気を送っていたエリツィン時代から、世界、少なくとも西側と米国を敵に回しての戦いを一年以上、制裁を受けながら実行しても飢餓もハイパーインフレも凍死も起きない国に発展させたプーチン、圧倒的支持で盤石なのもうなづけます。エンジンかけっぱの例の街も相変わらずだし、まだ余裕あるんでしょう・・・。
資源、国土がいかに重要かを思い知らされると同時に、それを長年の歴史で何度も感じてきたからこそウクライナの穀物に適した土地も欲しいんでしょうね。NATO云々ガス代未払い云々などより、単純な領土拡張の野望にしか見えなくなってきました。 4 』