プライドの為に亡国するのかイギリス
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『「世界最先端のエコロジー国家」を目指すイギリスは、2030年までにガソリン車、ディーゼル車など、化石燃料を使うガソリン車の販売をゼロにすると宣言しています。こうした欧州の動きが、今まではEV推進派のバックボーンになっていたのですが、昨今のエネルギー危機で、イギリス市民がゲロを吐くレベルで、光熱費の高騰に苦しんでいるのは、このブログで解説してきた通りです。まぁ、普通に考えて「無理なんじゃね? 強行したらイギリスの経済が終わるよ?」と考えると思います。私も、そう考えます。
もともと、2040年までの達成を前倒しして、2030年としたのは、保守党のジョンソン前首相なのですが、保守党内でも政策を巡って対立が起きています。昨日の記事でも書きましたが、左派の特徴は、ファンタジーに合わせて現実を変えようと本気で努力する点です。思想が現実を変える事ができると、ガチで信じているので、手段は選ばないし(正しい事をしているのだから、法律や道徳に縛られる必要はないという論理)、社会にどれだけの負担と不都合を押し付けても、それは理想の為に払うに値する対価と考えます。
しかも、色々と落ち目(すいません。言葉を選べないのは、私の特性と思って下さい。自分なりに事実を短いセンテンスで表現しようとすると、こういう表現になります)のイギリスの唯一の誇りは、風力発電で40%を賄う環境先進国という部分だけになりました。なので、引くに引けない状況でもあります。論理で説いても心情で国民が納得できないという話ですね。もう、こうなると論理の世界では、ありません。
実際、風力発電は出力が不安定なので、結果として、電気が足りなくなると、進化が止まって骨董品になっている古い火力発電所で石炭を燃やして発電するしかないのですよ。イギリスは島国なので、ドイツみたいに隣のフランスから足りない電気を買う事もできないですからね。ちなみに、ドイツは原発稼働ゼロにして、フンフン鼻を高くしていますが、緊急時に原発大国のフランスから電気を買えるという条件があるから余裕をかましていられるだけです。こういう事を抜きにして、欧米追従で日本で自然エネルギー発電の比率を単純に増やすと、亡国に繋がる道にまっしぐらです。エネルギー危機が起きても、誰も送電なんかしてくれないのは日本も同じです。
今、現在の地位を投げ出す事ができないので、実は政治家の大部分も、今の首相のスナク氏も含めて、本音では実現不可能だと思っていると思われます。しかし、国民の意見を代表するという名分を得ている議員は、簡単に「じゃ、止めましょう」とか「延期しましょう」とか言えないのですね。次の選挙で落選しますから。
イギリスも補助金や歪な法整備でEV推進をしてきたのは、スウェーデンと同じです。その為、新車のEV購買比率は近年では23%になっています。そして、買い替えを強制する為に、ガソリン車のオーナーに対する嫌がらせを散々にやってきました。例えば、Low emission zoneという区域を設けて、そこをガゾリン車で通過すると罰金を払わないといけない制度があります。まぁ、暗に「ガソリン車を売ってEVに買い換えろ」と言っているようなものです。悲惨なのは、知らない間に自分の住んでいる区画が、このエリアに指定されると、ガソリン車を保有している限り、乗った瞬間に罰金の対象になる事です。イギリスも、そこそこ監視カメラが多いので、自動で割り出されて郵送で罰金支払いの請求書が郵送されてきます。
ある意味、嫌がらせとしか言えない法律ですが、ここまでEV化を推進した結果、電気の需要に供給が間に合わず、生活に困難が生じるくらい、光熱費が暴騰しているのも事実です。本音のところを言えば、EVどころの話ではありません。毎月の請求で、家賃並の光熱費を支払うとしたら、生きていけます? しかも、状況は、今後悪化する見通しが濃厚です。イギリスに工場を持っているトヨタも、ガソリン車の販売を全面禁止するなら出ていきますみたいな話になっていますし、自力で自動車産業のブランドを確立できる力の無いイギリスにとって、ドイツなんかより遥かに既存の産業の転換は、致命傷になる可能性があります。まぁ、でも止められないんですよね。色々と発言もしちゃってますし、止めたら笑いものです。
ファンタジーを政策にすると、一時的な称賛は受けますが、実現できなかった時の反動も凄いです。意外と、それこそ左翼の皆さんの大好きな「革命」によって、ファンタジーの末の地獄のような経済状況の合法的な政権が、クーデターで倒れたりします。政権崩壊した国の政策を見ると、まぁ、「こうなったらいいなぁ」を、国の実情を顧みず、法律と規制でがんじがらめにして、強行した結果、辛抱できなくなった軍がクーデターを起こして、軍部主導の独裁政権が誕生するケースが多いんですよね。まぁ、ファンタジーが独裁の揺りかごという事です。「夢で飯は食えません」から。
で、世の中、色々と人生に対する啓蒙が進んだ結果、「タダ生きる」という、これでも、昔は少数の人しか達成できなかった事に満足できない人が増えています。自然死できた人の割合は、昔はお祝いするくらい少なかった。何かしらの災害、疫病、戦争、飢饉に巻き込まれて、本来生きられた寿命未満で死ぬ人の比率は、多かったのです。自分の存在に何かしらの「意義」を見つけたい人が、思想に没頭して、極めて狭窄した視野で物事を推進する事が増えました。なので、何をするにしても急進的で、対立する意見を踏み潰しながら、爆進して、結果として更に問題を増やすという事を繰り返しています。イギリスの目隠しして、全力ダッシュしているようなエコ政策も、このまま行くと亡国に繋がると思います。
イギリスは4つの王国が結合した、連合王国という歴史的な経緯があるのですが、どこか独立を公然と言い始めるかも知れませんねぇ。少なくても、「付き合ってられるか」と啖呵を切って、出ていく地域が出てくる可能性があります。
※追記
文章は書いている中で思考が整理される事があります。まぁ、だから、こうも駄文を日々書き連ねていく事ができるわけですが、クーデターが起きる原因について、ちょっと自分でも今までに無い視点が開けたので、述べておきます。クーデターの主な原因は、「経済的な困窮」と言い切ってしまえるぐらい、これで説明が付きます。宗教や民族も原因になり得ますが、経済が好調だと、クーデターまで行きません。ブツブツいいながら、それなりに国家運営ができてしまいます。昔、麻生氏がイスラエルに行った時、「中東の情勢は、経済が立ち直れば解決する」と、すごく乱暴な言い方をして話題になりましたが、これ、実は真実の一端を確実に喝破しています。
しかし、ちょっと眺め方を変えると、基本的にリアリストでないと務まらない軍人と、志すからには、なんだかんだ言っても理想を追求したい政治家という人間の特性が、基本的に相容れないからというのもあるのかなと思います。政権でも腐敗していて、汚職や贈賄がバッチコイみたいな国の場合、意外と軍部と政権の仲はいいんですよね。お金って現実そのものじゃないですか。これが、妙に理想を振りかざし、あまっさえ、その為に国民の生活を犠牲にする事も厭わないような政権になると、高確率で軍部と喧嘩して、軍の指導者に暴力革命によって倒されます。理想で飯は食えないからです。基本、リアリストの軍人に我慢しろと言っても無理です。手元には、銃があり、それで政権を倒すのが不可能ではないのですから、その誘惑に抗しきれる人ばかりじゃないですからね。』