英国のエネルギー白書 (2020年12月14日発表)
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英国のエネルギー白書 (2020年12月14日発表)
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英国、原発計画に1100億円提供 エネルギー安全保障で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01ENM0R00C22A9000000/
『【ベルリン=共同】英政府は1日、南東部にあるサイズウェル原発の新設計画に7億ポンド(約1130億円)の資金を提供すると明かした。脱炭素化の推進に加え、ロシアのウクライナ侵攻の影響でエネルギー安全保障を強化する必要性が高まっていることも背景にある。英メディアが報じた。
「サイズウェルC」と呼ばれる今回の原発計画は、フランス電力(EDF)が手がける大型プロジェクト。英国の電力需要の約7%を賄うことができ、稼働期間は60年の見込みだ。全体の事業規模は200億ポンド規模になると推定されており、17億ポンドに上る政府の資金提供枠を活用する。
近く退任する見通しのジョンソン首相は1日の記者会見で、計画を前進させることに「自信がある」と訴えた。』
ポーランド、ドイツに183兆円賠償請求へ 大戦中の損害
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB021580S2A900C2000000/
『【ベルリン=共同】ポーランド政府は1日、第2次大戦中のナチス・ドイツの侵攻と占領による損害は約6兆2200億ズロチ(約183兆円)に上るとの試算を発表した。ドイツ政府に賠償交渉を求める。
83年前の1939年9月1日にナチス・ドイツがポーランドに侵攻し、第2次大戦が始まった。45年の終戦までにポーランドでは約600万人が犠牲になったとされる。
欧州メディアによると、ポーランドは2015年に愛国主義的な保守与党「法と正義(PiS)」が政権を取って以降、ドイツに対する賠償請求論を主張。ドイツ政府はポーランドが1953年に賠償請求を放棄したため請求権は消滅したとの立場で、賠償問題は解決済みだとの姿勢を崩していない。
ポーランド政府はワルシャワでの会合で、39年から45年にかけての戦争被害に関する報告書を公表した。PiSのカチンスキ党首は「ドイツは甚大な損害をもたらした」と訴え、賠償金を受け取るまで「長く困難なプロセス」になるだろうと述べた。
【関連記事】
・アウシュビッツで過去謝罪 メルケル独首相、初訪問(2019年掲載)
・なぜドイツは謝るのか 苦悩と葛藤の戦後70年(2015年掲載)』
バフェット氏投資会社、中国BYD株を初めて売却
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM30A660Q2A830C2000000/
『【広州=川上尚志】著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイが、24日に中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)の株式を一部売却したことが30日分かった。バークシャーは2008年にBYD株を取得し、売却するのは初めて。売却額は約70億円とみられ、利益確定の売りを入れたとみられる。
香港取引所で30日に開示されたBYD株の取引資料で明らかになった。資料によるとバークシャーはBYDの株式133万1000株を1株約277香港ドル(約4900円)で売却した。売却後のバークシャーの持ち株比率は0.57ポイント下がり19.92%となった。
BYDは深?証券取引所にも上場している。バークシャーは6月末時点で香港取引所と深?証券取引所への上場分をあわせたBYDの株式の7.73%を保有していた。
バークシャーとBYDはそれぞれ売却についてコメントしていない。BYDは電池を皮切りに自動車の製造に事業の幅を広げ、バークシャーの出資をきっかけに知名度を高めた経緯がある。』
中国無人機、また沖縄通過 空自がスクランブル
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE30D7I0Q2A830C2000000/

『防衛省統合幕僚監部は30日、中国のTB001偵察・攻撃型無人機1機が同日午後、沖縄本島と宮古島の間を通過し、東シナ海と太平洋を往復したと発表した。太平洋側では、宮古島や石垣島など先島諸島の南側を東西に移動し、周回するような飛行もした。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。
防衛省によると、このタイプの無人機は、中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を開始した今月4日にも、沖縄を通過して東シナ海と太平洋の間を飛んだのを確認している。〔共同〕』
[FT]中国のスパイ活動が「ロシア並み」に 米欧は警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB310SI0R30C22A8000000/
※ 『西側の情報当局者が中国とロシアの情報工作の違いを説明する際、海岸から砂を持ち帰れという指令が、例え話としてよく使われる。
ロシアは夜間に潜水艦から数人だけ上陸させ、バケツ1杯の砂を持ち去る。ところが、中国は白昼堂々、多数の海水浴客をビーチに送り込み、それぞれに少しずつ砂を持って帰らせることで、結果として大量の砂を手に入れるという寓話(ぐうわ)だ。
元CIA職員で中国に詳しいニコラス・エフティミアデス氏は、こうして「情報活動の実行方法に新たなパラダイム」が生じていると語った。
西側の複数の情報当局者によると、中国のやり方は非効率で、統制がとれない可能性があり、同一のターゲットに複数のスパイがアプローチすることもある。それでも成果は出やすい。』…。
※ まあ、象徴的な話しだな…。
『フランスのテレビのスパイドラマ「ザ・ビューロー」にありそうな話だ。仏情報機関のメンバーであるアンリ・Mが北京に派遣され、駐中国仏大使の通訳とプライベートで親しくなり、機密情報を中国側に流し始める。
FBIのレイ長官は中国のスパイ活動の高度化に驚く(8月上旬、米連邦議会)=ロイター
アンリ・Mはすぐフランスへ呼び戻された。それから20年余り後の2020年の裁判でこのスパイは「フランスの利益を損なう情報」を外国に漏らした罪で投獄8年の判決を受けた。同僚のピエールマリー・Hは17年に逮捕されるまで中国のスパイとして活動したが、アンリ・Mと同じ裁判で投獄12年を言い渡された。
2人が受けた量刑は重く、罪は公開裁判で問われた。この事実は、中国のスパイ活動が広がり、欧州にとっては旧敵であるロシアをしのぐ脅威になりかねないという危機感を映している。
「工作員の能力で、中国はロシア並みになってきた」。米中央情報局(CIA)の欧州部門でトップを務めた経験のある人物は証言する。西側の情報機関員の一人も「中国はロシアと、最も高度な情報活動では肩を並べるようになった」と話す。中国には「忍耐力が極めて強い」工作員がいると、付け加えた。
サイバー攻撃ではすでに高水準
中国のサイバー攻撃はすでに、水準の高さで知られている。21年に米マイクロソフトのシステムが狙われ、世界の3万社・機関が被害を受けたハッキング事件では米国、欧州連合(EU)、英国が、中国政府の命令を受けた犯罪組織の犯行だと断定した。中国側は「根拠がなく無責任な」言いがかりだと主張し、疑いを否定している。
一方、西側の現役とOBの情報機関のメンバー8人によると、中国は人物との接触を通じた「ヒューミント」と呼ばれる情報活動でも、ロシアに劣らないレベルに到達した。こうした状況で、米欧は中国への警戒を強めている。
英秘密情報部(MI6)長官を務めたことのあるアレックス・ヤンガー氏は「ロシアは帝政時代からスパイ活動を続けている。それが好きでたまらないのだ」と話す。「中国はヒューミントでかなり劣っていたのに、最近では右肩上がりだ」
マッカラム英情報局保安部(MI5)長官とレイ米連邦捜査局(FBI)長官は7月にロンドンで共同記者会見を開き、中国共産党による秘密情報活動が盛んになっている現状が「ゲームチェンジ」につながる可能性を秘めていると指摘した。
マッカラム氏は「私たちはオオカミ少年でない」と主張した。欧州の安全保障にとって数十年ぶりの深刻な脅威であるロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにして、この言葉は重い意味を持つ。
スパイの手口は中国とロシアではかなり異なる。西側の情報機関は対策を練り直す必要がある。
MI5は22年に入ってから、英国籍の弁護士、クリスティン・リー氏に対し、違法行為は確認されていないが、中国の利益のため英政治に干渉していると公に警告した。
ロシアの工作員とは全く異なる手法
話を聞いた8人のうち、ヤンガー氏の次の情報機関員は「中国のスパイ活動はロシア(によるアプローチ)と全く異なる」と語った。「誰が中国のスパイなのかを定義するだけでも難しい」というのだ。
複数の情報当局者によると、ロシアの対外情報活動は、暗号通信などスパイ技術の訓練を受けたエリートの情報機関員に頼る部分がなお大きく、目標を定めて活動する。しかし中国のスパイは、政治家への影響力の行使、経済や技術に関する機密情報の入手など、様々な目的を持つという。
3番目に取材した情報機関員は「ロシアはスパイ行為の標的を絞り込んでいるが、中国は『全社会』アプローチを採用している」と指摘した。この発言は、17年に成立した中国の国家情報法で「あらゆる組織と市民」が「国の情報活動への支援、助力、協力」を義務付けられた事実を踏まえている。
4人目の情報機関員はロシアの工作を、リスクが高く、ある意味「ならず者」のようだと話した。そのうえで、ロシアと英国の二重スパイだったセルゲイ・スクリパリ氏が18年にイングランド南部で毒薬によって殺されかかった事件を引き合いに出した。
8人のうち、元CIA職員は「ロシアのスパイは、手口が器用でないうえ、かなり傲慢だ。『できるものならば捕まえてみろ』という態度に見えることがある」と説明した。中国の場合は「相手国との良好な関係の維持を目指し、スパイ絡みの不祥事は避けたがる」と語った。
西側の情報当局者が中国とロシアの情報工作の違いを説明する際、海岸から砂を持ち帰れという指令が、例え話としてよく使われる。
ロシアは夜間に潜水艦から数人だけ上陸させ、バケツ1杯の砂を持ち去る。ところが、中国は白昼堂々、多数の海水浴客をビーチに送り込み、それぞれに少しずつ砂を持って帰らせることで、結果として大量の砂を手に入れるという寓話(ぐうわ)だ。
元CIA職員で中国に詳しいニコラス・エフティミアデス氏は、こうして「情報活動の実行方法に新たなパラダイム」が生じていると語った。
西側の複数の情報当局者によると、中国のやり方は非効率で、統制がとれない可能性があり、同一のターゲットに複数のスパイがアプローチすることもある。それでも成果は出やすい。
年83兆円相当の知的財産を米国から盗む
米政府の試算によれば、中国の産業スパイは年間で最大6000億ドル(約83兆円)相当の知的財産を米国から盗み出してきた。だが、中国は否定する。EUは、知的財産が盗まれたことで毎年500億ユーロ(約6兆9000億円)相当の損害を受け、67万1000人の雇用が失われていると推計している。
元MI6副長官で、現在は英国際戦略研究所(IISS)の上級アドバイザーを務めるナイジェル・インクスター氏は「効率よりも成功率の高さの方が、中国の情報機関にとっては大事だ」と話す。
人種に基づいて捜査対象を絞り込む手法を避けながら中国のスパイを特定しなければならないのも課題だと、複数の情報当局者は指摘する。
この面でもロシアとの違いがくっきりと浮かび上がる。欧州諸国は22年、ウクライナ侵攻が始まってから、ロシアの外交官やスパイとみられる人物ら計600人以上を国外に追放してきた。
インクスター氏は「中国政府に同様な対応をとるのは難しい」と語った。当事国の対中関係が希薄になり、揺らぐ可能性があるためだという。
スパイ対策に携わる担当者の一部は、海岸から砂を持ち帰る指令の寓話(ぐうわ)について、中国が最近使うようになった洗練された工作の印象を薄め、誤解を招くとの見方を示した。
情報活動における中国とロシアのアプローチの違いはさておき、西側諸国は事件の多さに戸惑っている。中国のスパイ活動と疑われる案件について、FBIは12時間に1件のペースで新たな捜査が始まると発表した。この件で、MI5の取扱件数は18年以降、7倍に増えた。
FBIのレイ氏は「ここまで労力を惜しまない中国には驚かされる」と感嘆した。
By John Paul Rathbone & Demetri Sevastopulo
(2022年8月30日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』
習近平氏、長期政権へ側近昇格狙う 党大会10月16日開幕
首相人事が焦点に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2994H0Z20C22A8000000/


『【北京=羽田野主】中国共産党の権力体制を固める第20回党大会が10月16日に開幕する日程が決まった。異例の3期目入りを固め長期政権をにらむ習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は最高指導部に側近の引き上げを目指している。経済政策のかじ取りをする首相人事が焦点になる。
8月30日の党中央政治局会議ですんなりと日程が決まったのは、今夏に開かれたとみられる党幹部や長老らによる「北戴河会議」で習氏の人事調整が順調に進んでいる可能性を示している。
党大会で習氏の続投が決まれば2027年まで5年間の新たな任期を得て異例の3期目に踏み出すことになる。
総書記の任期は決まっていないが、国家主席の2期10年と連動するとみられてきた。18年の憲法改正で国家主席の任期を撤廃したことで、習氏は3期目への道を開いた。
党大会で建国の父、毛沢東が死去するまで手放さなかった任期のない「党主席制」の復活や、習氏の権威を高める「人民の領袖」の称号を獲得する案もささやかれる。
現状7人いる最高指導部で、栗戦書(リー・ジャンシュー)全国人民代表大会(全人代)常務委員長(国会議長)や韓正(ハン・ジョン)筆頭副首相は引退する可能性がある。
1強を固めてきた習氏だが、最高指導部のメンバーで若いころから関係を深めたのは栗氏だけだった。習氏は序列25位以内の政治局員である丁薛祥・党中央弁公庁主任らを引き上げ、側近で固めたい考えとみられる。
経済運営を担ってきた現職の李克強(リー・クォーチャン)首相は憲法で首相職の3選は禁じられており、23年3月で退任する。全人代常務委員長に転じて最高指導部に残るとの観測は根強い。
有力な次期首相候補が汪洋(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席や胡春華(フー・チュンホア)副首相だ。
汪氏は中国経済の要となる広東省や重慶市のトップを歴任した。改革開放を進めた鄧小平に見いだされたエピソードがある。
習氏と特別なつながりはないとみられるものの、新疆ウイグル自治区やチベット自治区と民族・宗教面で敏感な地域の政策を担当し、習氏の意向を踏まえて無難にこなしてきたとの評価がある。
胡氏と予想する声もある。副首相として貧困対策や農業政策を担ってきた。党内きっての政策通で知られるが、習氏が団結力を警戒してきた党の青年組織、共産主義青年団(共青団)出身のホープで、距離があるとされてきた。
首相は副首相経験者から選ぶのが慣例で、汪氏の前職は副首相だ。習氏が党内のバランスにどの程度配慮するかが判断のポイントとなる。胡氏を首相候補にせずに最高指導部入りさせる選択肢も取り沙汰される。
李強・上海市党委員会書記は習氏の浙江省トップ時代の党秘書長で、首相の最有力候補とみなされてきた。だが、上海市の都市封鎖(ロックダウン)を巡る混乱で手腕を疑問視する見方が党内で広がった。習氏が押し切るかに注目が集まる。
前回の17年党大会で習氏は後継候補をつくらずに、権力集中を進めた。丁氏や胡氏が最高指導部入りすれば、「ポスト習」候補の立場が明確になりそうだ。
【関連記事】
・中国経済救える次期首相、「団派」傍流の汪洋氏も候補に
・習近平軍事委主席が裁可した日本EEZ内のミサイル着弾
・「グローバル化新時代」準備整う米国 駐日米大使寄稿
・台湾、中国の「ハイブリッド戦」を強く警戒 年次報告書
ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』
[FT]中国、不動産主導成長モデルは終わった(社説)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB010SH0R00C22A9000000/
※ 「(社説)」とあるから、これが「社としての公式見解」だと、考えてよい…。
『少なくとも過去20年間、世界経済をけん引してきた中国の不動産主導の成長モデルが、今急速に崩壊しつつある。これを修復する、あるいは、世界第二の経済大国が不動産に代わる成長エンジンを見つけるには、何年もかかる可能性がある。中国政府が現在直面している政策判断は極めて重要だ。
中国・広東省深?で建設中のマンション=ロイター
まずは、問題の原因を究明する必要がある。表面上は単純に見える。史上最大の不動産ブームが終わり、バブルがはじけたということだ。しかし、より深く分析すると、中国の政治経済システムの核の部分にあるより複雑で厄介な問題が見えてくる。
中国の地方政府は、投資活動の資金を基本的に土地を不動産開発業者に売って調達してきたが、債務が膨らみ、返済や金利の支払いが難しくなってきている。開発業者の資金が枯渇し、土地を購入する意欲がなくなったためだ。20社近くが資金繰りに困窮しており、今年に入ってオフショア債の債務不履行に陥った。
1100兆円の隠れ債務
この力学が連鎖反応を引き起こしている。地方政府が所有するインフラ投資会社である融資平台(LGFV)が全国で数千もあり、規制が行き届かないまま、多額の「隠れ債務」を抱えている。ゴールドマン・サックス証券の推定によると、その総額は2020年末の時点で、国内総生産(GDP)の52%に当たる53兆人民元(約1100兆円)に上るという。中央政府は地方政府に対し、こうした貸借対照表に記録されない債務を一掃するよう求めており、融資平台の活動にブレーキがかかっている。
その結果、今年になって固定資産投資(FAI)が急減している。FAIは、都市近郊の開発や道路、鉄道、港湾の建設、その他のあらゆるインフラ整備の資金源だ。FAIの伸び率は1996~2022年の間は平均17.87%に上ったが、今年の1月から7月の間では5.7%に低下し、経済をけん引する重要な力の1つが失われた。
中国政府は、不動産部門を救済するために公的資金をいくらか投入しているが、問題の抜本解決は厳しい。世界の繁栄に大きく寄与した成長エンジンが過剰債務で止まってしまった今、それを代替するものはあるのだろうか。
個人消費主導経済への転換
明らかな答えが一つある。中国経済は抜本的に、不動産投資へ過度に依存する従来のモデルから、消費者支出がけん引する経済に移行する必要がある。中国では、名目GDPに占める個人消費の比率は昨年末で38.5%にすぎない。米国や欧州連合(EU)で一般的な水準に比べ格段に低い。
従って、中国政府は、今後数年かけて地方政府の過剰債務問題の出口を探るなかで、一般家庭に負荷を掛けてはならない。給与が堅調に増え、管理の行き届いた活気ある金融市場が貯蓄に対し、健全で長期的な利益をもたらす経済を築く必要がある。
加えて、中国政府は、同国の過去40年に渡る異例の経済発展が民間企業の力強い活動によってもたらされてきたことを忘れてはいけない。だが現実には、ネット通販最大手アリババ集団の創始者、馬雲(ジャック・マー)氏が失脚し、代表的な大手民間ハイテク企業の存在感が低下しており、世界は、中国政府が民間企業への支援を後退させていると見ている。
消費者や民間部門の成長を受け入れるよう、経済モデルをシフトするということは、従来の常識に反する考え方の転換が必要になる。権威主義の政府は、自らが管理できる経済手段を志向する。強靱(きょうじん)な公的投資を通じて供給をもたらすことで、支配政党が支配的地位を維持できるためだ。だが、消費者の民主主義志向に応えると支配的な地位を保つことは難しくなる。
中国政府は、経済の転換に備えるべきだ。長く、困難だが、避けられない道だ。そして世界は、40年に渡った中国過剰成長の時代が終わることを覚悟しなければならない。
(2022年8月29日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
【関連記事】
・不動産安、地方財政に打撃 中国「恒大」危機が映すもの
・中国地方政府の土地収入、7年ぶり前年割れの公算 22年
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中国最大の淡水湖が「川に干上がる」 長江の川底が「草原に」
https://www.visiontimesjp.com/?p=36227&

『長江流域で高温・少雨が続く影響で、長江の水位が急激に低下し続け、多くの水域の江水が干上がり、川底が露出している。
中国の公式メディアによると、高温少雨が続き、長江からの水量も少ないことが重なり、江西省の鄱陽湖(はようこ)の水位が急激に低下した。
国家衛星気象センターの観測データで、鄱陽湖の面積は明らかに「縮小」していることが分かった。18日の鄱陽湖の水域面積は約1113平方キロメートルで、7月10日の水域面積より約66%減少した。
衛星図を見ると、中国最大の淡水湖である鄱陽湖は今、湖に見えず、主な湖面が消えて、むしろ川のように見える。
鄱陽湖の水位低下に伴い、廬山水域の湖底にある「落星墩(らくせいとん)」古跡が全貌を現した。「落星墩」周辺の水はすべて干上がり、まるで草原にいるような状態になっている。落星墩は鄱陽湖に浮かぶ岩の島で、総面積約1800平方メートル、江西省廬山市のシンボルとなっている。
ネットユーザーが投稿した俯瞰映像では、鄱陽湖の水位が急激に低下し、面積も大きな湖から川へと縮小していることがわかる。干ばつで多くの海岸がひび割れ、海岸に取り残された魚は干物になり、見るに忍びない。
鄱阳湖的水位下降得很厉害。面积也从一个大湖缩成了一条河。 pic.twitter.com/SceJ5gVGzT
— bridgeduan (@bridgeduan) August 21, 2022
8月20日,江西九江都昌县,鄱阳湖水位跌破10米创历史同期最低,干涸的湖水呈现树状奇观…小鱼被晒成鱼干。天降大旱,也不见英明猪头领导人亲自指挥,亲自部署了,反向视察,东边有事往西跑,南边大旱往北跑。活脱脱一头猪! pic.twitter.com/WuEMGrlfeG
— 老司机 (@h5LPyKL7TP6jjop) August 21, 2022
鄱阳湖流域大旱,水位告急,已跌破历史同期极值! pic.twitter.com/NN5ISDo7ob
— 全哥不吃鱼 (@JY33503792) August 20, 2022
(翻訳・藍彧)』
[FT]中国の干ばつ、温暖化による経済被害を浮き彫り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB014PN0R00C22A9000000/

『ビザ(査証)コンサルタントのエル・フーさん(31)はほぼ毎日、中国南西部にある重慶市の高層ビルで働いている。だが、中国が過去数十年で最悪の干ばつに見舞われて重慶で森林火災が発生すると、バイクに飛び乗り、消火活動の物資運搬を手伝うために郊外へ走った。
干ばつのために亀裂が広がった川底(江西省南昌市)=ロイター
フーさんは「山には1000~2000人の消防隊員がいたが、バイクのボランティアも大勢いた」と言い、自動車は泥道を走るのに四苦八苦していたと話す。
四川省は8月28日から工場向けの電力供給を再開し始めたが、熱波が経済全体に与えた影響は深刻だ。熱波で重慶の気温は過去10年間の平均を7度上回った。中国南西部に広がった電力不足で産業がマヒ状態に陥り、科学者らはこれは恐らく気候変動が招いた危機だと言う。
干ばつで水力発電所に水を供給する河川が干上がった。これは中国で最も長く、最も重要な物流航路である長江も例外ではなく、水位が過去最低水準まで下がった。重慶近辺では水位が極端に下がったため、何世紀も水面下に沈んでいた約600年前の仏像が姿を現した。
気候学者で気候の歴史学者でもあるマキシミリアーノ・ヘレラ氏は「中国東部でのこの熱波の継続期間、範囲、激しさの組み合わせは世界の気候史上前例がない」と話す。「2022年以前は13年の熱波が最も厳しかったと考えられていたが、今回の熱波は期間が2倍に延び、格段に厳しく、より広範な地域に広がった」と同氏は説明する。
ジェット気流の蛇行が原因か
大気科学を専門とする香港城市大学のジョニー・チャン名誉教授は、この極端な気候の理由の一つは、気候変動がジェット気流(中緯度地域の気候を左右する風速の大きい気流の帯)を「蛇行」させたことだと推測する。
チャン氏は「ジェット気流が不安定だと、暖かい空気が南から北に流れ続けるブロッキング現象が生じることがある」と説明し、熱帯性の高気圧も以前よりも中国中部のより広い地域を覆ったと指摘する。「こうした高気圧は通常沿岸部にとどまるが、現在は内陸に大きく張り出している。中国中部では湖が干上がっている」という。
人口が合計で1億7400万人を上回る四川省、重慶市、湖北省は、中国東海岸の製造業の拠点に電力を供給している。だが、コンサルティング会社ランタウ・グループのエネルギー市場アナリスト、デビッド・フィッシュマン氏によると、四川の水力発電所は今年、平均発電能力の20%程度で稼働している。同氏は電力需要が最低水準であることに触れ、「河川の流量が落ち込んでいる限り、四川の水力発電はベースロード電源として扱われるだけの能力がない」と語った。
熱波はエアコン使用と電力需要を急増させ、四川省ではピーク時の電力需要が過去最大を記録した。当局は製造業者に対し、2週間以上の生産停止を命じることを余儀なくされた。
操業停止強いられ生産減少
コンサルティング会社トリビアム・チャイナのアナリスト、イーブン・ペイ氏は「企業に対する影響はかなり広範に及ぶ。四川では災いが重なるパーフェクトストームの状況になった。どんなタイプの製造業も問題を抱えている」と話す。
トヨタ自動車や台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)のようなメーカーは生産を停止した。米電気自動車大手テスラの上海事業や中国国有自動車大手の上海汽車集団では、電力不足によってサプライチェーン(供給網)問題が生じた。国有自動車大手の重慶長安汽車は、計画停電で四川工場の操業停止を強いられ、8月の生産台数が当初目標より10万台減ると発表した。
四川はリチウムとポリシリコンの重要な産地でもある。どちらも電気自動車や太陽光パネルの生産に欠かせない素材だが、両業種は減速する中国経済で成長を回復させる起爆剤として中国政府が期待を寄せている。
電力制限は電池生産に使われるリチウムの生産減少につながる。情報会社の上海メタルズ・マーケットによると、8月の炭酸リチウムの生産量は1250トン、水酸化リチウムの生産量は3050トン減少すると推計されている。
生産減少で経済生産高は縮小したが、極端な気候の下で生活する人には特に大きな負荷がかかっている。当局がオフィスの管理者に対し、節電のためにエアコンの設定温度を上げるよう指示したため、従業員は暑さをしのごうと扇風機の前に氷を置いた。市が照明を落としたため、住民は車内が暗くなった地下鉄に乗った。そして中国政府の「ゼロコロナ」政策を徹底して順守するために、重慶市当局は8月24日、燃え盛る山を背景に市全体のPCR検査を実施した。
「自然災害の前では、なすすべもない」と冒頭のフーさんは嘆いた。
By Primrose Riordan, Gloria Li and Andy Lin
(2022年8月31日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』