月: 2022年1月
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中国軍機39機、台湾の防空圏に侵入 日米連携に反発か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM240SQ0U2A120C2000000/
『【台北=中村裕】台湾の国防部(国防省)は23日、中国軍の戦闘機など39機が防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。今年最多の侵入数で、30機以上の大量侵入は2021年10月以来、久々となる。21日にオンライン形式で日米首脳協議が開かれ、中国への諸課題に今後緊密に連携するとしたことに強く反発した可能性がある。
侵入したのは、中国の戦闘機「殲16」24機、同「殲10」10機を中心に、爆撃機や電子戦機が含まれた。台湾空軍の軍機も緊急発進(スクランブル)して対応した。
中国の建国を祝う国慶節の昨年10月には、過去最多の56機が台湾のADIZに侵入した。米国が国際社会を巻き込み中国に圧力をかける動きに反発したもので、今回も日米の連携に強く反発したものとみられる。
日米首脳協議では、岸田文雄首相とバイデン米大統領が中国の東シナ海や南シナ海での一方的な現状変更の試みや経済的威圧に反対し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した。
さらに日米両国は22日、フィリピン海で合同の演習を実施した。米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」、日本からはヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」などが参加し、自由で開かれたインド太平洋をアピールした。こうした動きにも中国側は強く反発したものとみられる。』
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「中国は超大国になれない」 エマニュエル・トッド氏
大中国の時代 識者に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC14D8L0U2A110C2000000/『世界第2位の経済大国となった中国ですが、ここにきて国際社会との向き合い方が明らかに変わってきました。中心にいるのが、今秋の党大会で異例の3期目入りを狙う習近平(シー・ジンピン)氏です。「中華民族の偉大な復興」へ向け、米国をしのぐ強国をめざす一方、既存の国際秩序との摩擦や対立も大きくなっています。24日からスタートした新連載「大中国の時代」では、膨張する中国と、それに直面する世界の行方を追いかけます。
中国は急速な少子高齢化に加え、過去の「一人っ子政策」による男女の出生数の偏りなどで、人口動態に関わる難題を抱える。人口問題は中国に何をもたらすのか。家族構造や識字率、出生率から世界を読み解く仏歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏に聞いた。
――中国の台頭をどのようにみていますか。
「新型コロナウイルス禍では、遠く離れた欧州でさえも中国からのマスク輸入に依存した。中国の経済規模や政治的な存在感を痛感し、ある種の怖さも感じた。だが、人口学者としてみれば、出生率の低さや高齢化の(進展の)速さから、中国が世界を支配する超大国になることは非現実的だ」
「2020年の合計特殊出生率が1.3と極めて低かったことから、中国が中長期的な脅威ではないことは明らかだ。実態を知るには、いつから低水準だったのかを解明する必要がある。労働力となる20~64歳の人口は60年までに15年比で35%以上減るとみられている。巨大な人口規模から労働力の一部を国外で補うこともできず、中国の人口減は日本よりも深刻なものになるだろう」
――中国の家族構造については、どのように分析していますか。
「中国の農民世帯では、古くから親子間は権威主義的であり、兄弟間は平等な関係だ。これが権威と平等を重んじる文化を生み、共産主義の発展と中国共産党の権力維持を支えてきた」
「生活水準の上昇や核家族化が進んでも、社会の根幹にある価値観の変化はとてもゆっくりとしたものだ。権威主義がシステムに根強く残る中国が、リベラルな民主主義国になることはないだろう。民主化を急ぐよう(国際社会など)外部が中国に促してもあまり意味はない。米欧でも民主主義が危機下にある現在では、中国が民主主義になるかという問題の重要性は薄れている気さえしてしまう」
「中国には平等の文化があったため共産主義革命が起きた。社会に根付く平等の価値観と、現実に拡大する格差は緊張関係にあり、人口減によって状況は一段と悪化するだろう。中国の指導者層は今でも、革命が起きることに不安を感じているはずだ」
――中国の今後を読み解くうえで何に注目しますか。
「高等教育だ。若者の25%が大学に行くようになると、社会の古いシステムが崩れる。中国はまだこの段階に至っておらず、おそらく今後10年で新たな危機を経験することになる。共産党が非常に厳しい局面を迎えるのは間違いないだろう」
「4分の1以上の人が高等教育を受けた社会では、大衆の連帯から人々が離脱する現象が起こり、不平等が生じて社会システムを不安定にしてきた。米国では1965年に新自由主義という危機が起き、格差がどんどん広がった。フランスは80年代に古いカトリック教会の思想や共産主義思想が崩壊した。ロシアは(91年の)共産主義の崩壊前にこの段階に達していた。中国での危機がどんなものになるかはまだわからない」
――米中対立をどうみていますか。
「米中の対立構造で世界が再構成されること自体が脅威だ。両国以外の国々は、この新たな冷戦という幻想に巻き込まれてはいけない。それぞれの地域圏が平和でなければ、各国は人口問題という社会の真の問題に向きあうことはできないのだ。民主的社会が生き延びられるかどうかより、そもそも社会や人の存在を維持できるかが重要だろう」
「米国ではバイデン大統領の就任後、オーストラリアとの原子力潜水艦の契約や北京冬季五輪の外交ボイコットを通して、中国との経済的な対立を軍事や外交の領域まで広げている。現在の世界に不確実性を作り出しているのは中国ではなく、米国のほうだ」
――両国のはざまにいる日本のとるべき道は。
「日本は米国に付いていくか、中国と対話をしていくかを選ばなければならず、歴史的に重要な場面を迎えている。日本の真の課題は戦争ではなく、低出生率という人口問題だ。米国という国の本質や世界での振る舞いをよく分析する必要がある。本来は、人口減という共通課題に日中両国がともに向き合うことも可能なのだ。中国の人口減は安全保障面で日本の恐怖を減らすかもしれないが、経済面では深刻な影響になりうる」
(聞き手は山田遼太郎)
Emmanuel Todd 1951年生まれ。歴史人口学者でフランスを代表する知識人。乳幼児死亡率から旧ソ連の崩壊を言い当て、中年白人男性の死亡率から米トランプ政権の誕生を予見した。著書に「最後の転落」「帝国以後」など。
大中国の時代 https://www.nikkei.com/edit/topic/topic_daityuugoku.jpg 』
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「中国、ピークを前に強硬」 マイケル・ベックリー氏
大中国の時代 識者に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC143IM0U2A110C2000000/『中国は対外的な強硬姿勢を強める半面、国内で少子高齢化や不動産バブルなど多くの課題を抱え経済成長は減速している。中国が世界で最も脅威となるのはいつか。衰退する大国の危険性を指摘する米タフツ大学のマイケル・ベックリー准教授に聞いた。
――衰退に向かう大国は攻撃性を強めると主張しています。
「台頭する大国は歴史上、経済の減速や他国からの包囲網によって国力がピークを迎え、衰退に転じる際に攻撃的な行動をとってきた。長期的には状況が悪くなると分かり、いま目標を達成しなければチャンスがなくなると考えるためだ」
「戦前の日本や第1次大戦前のドイツ帝国がこうした『ピークパワー』の代表例だ。中国は同じ道をたどっているようにみえる。中国の衰退が実際には米中対立の激化を意味すると懸念している」
――中国が世界にもたらす脅威はなんでしょう。
「1つは米国との軍事対立だ。大国間の戦争は歴史的に交戦国の想定より長引いた。米中とも国力があるだけに長い戦争を戦うことができてしまう」
「次に監視カメラや顔認証を駆使するデジタル権威主義の輸出だ。かつてないほど独裁を効率的にし世界中の権威主義国が中国の技術を求めている。民主主義の没落を早めかねない」
――中国のピークはいつだと分析しますか。
「2020年代後半から30年代早期にかけてだろう。その後中国の成長は鈍り、当面は非常に強大な国ではあるが、もはや台頭する国ではなくなる。最大の課題は人口動態だ。30年代早期までに中国の生産年齢人口は7000万人減り、高齢者が1億人増える」
「習近平(シー・ジンピン)国家主席も33年に80歳となり後継問題が迫る。中国が広域経済圏構想『一帯一路』などで供与した融資の多くもこの頃に満期を迎える。借金の取り立てを始めれば、各国の歓心は反発に変わる」
――中国が米国の国力を上回る可能性はありますか。
「米中間の経済力、軍事力の差は多くの人が考えるより大きい。中国の国力が米国を追い抜くことはない。中国のような人口大国は国内総生産(GDP)や軍事支出の数字は膨らむものの、14億人もの国民の面倒をみなければいけない弱みがある。食糧確保や治安の維持といった費用を差し引くと中国の実質的な富は見かけよりも小さい」
「さらに中国は水やエネルギーなど資源不足は深刻で、取り巻く国際環境も過去と比べて敵対的だ。これら全てが長期的に中国にとって逆風となる。一方で米国はこうした難題に悩まされていない」
――台湾を巡る軍事衝突のリスクが指摘されます。
「20年代後半が非常に危険だ。中国が急速に軍艦を増やし、米国は軍備刷新への投資を先延ばしにしたため古くなった主力の軍艦や爆撃機などを退役させる必要がある。台湾海峡での軍事バランスは短期的には中国の優位に傾く」
「長期的には米台がいずれも軍事力を強化し、日米もより緊密に連携するため中国に不利になる。中国が20年代後半を台湾統一の最後の機会だと捉えてもおかしくない」
「レガシー(政治的功績)を残したいという習氏の個人的な動機と、低成長になって現在のペースで軍への投資が難しくなることも20年代後半の危険度を高める。米中対立の最も激しい局面は多くの人が考えるよりずっと近い未来に訪れる。米政府が自国の立て直しや研究・開発投資にかけられる時間は少ない」
――米国や日本は中国にどう対応すべきですか。
「最優先は台湾海峡での中国への抑止力を高めることだ。台湾周辺にできるだけ多くの艦艇やミサイル、ドローンなどを備え、台湾を簡単に侵攻できる見込みを持たせないことが大事になる。他方、中国を戦争以外の選択肢を失うほど追い詰めるのも望ましくない」
「対中同盟の側面を強める日米同盟に加え日米豪印の『Quad(クアッド)』や米英豪の『AUKUS(オーカス)』の枠組みにより、アジア太平洋での防衛協力がこの1年で広がった。日本は国防への投資を増やして自衛隊を強化し、中国を除外したサプライチェーン(供給網)づくりを進めるといった取り組みをさらに拡充すべきだ」
(聞き手は山田遼太郎)
Michael Beckley
1982年生まれ。米タフツ大学准教授、米アメリカン・エンタープライズ研究所客員研究員。近年、米外交専門誌などで「中国の台頭の終わり」を論じ、衰退時の危険性を指摘している。曽祖父母が日本出身。
【関連記事】
・「中国は超大国になれない」 エマニュエル・トッド氏
・習政権、強まる独自色 政治文書のキーワードから探る
・中国の脱貧困村の現実 「豊かさ」実感、自立は遠く多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
柯 隆のアバター 柯 隆 東京財団政策研究所 主席研究員 コメントメニュー
分析・考察
いかなる国も世界ナンバーワンでありつづけることができない。アメリカも例外ではない。
民主主義は強権政治によって弱体化しているわけではない。それ自身のパワーをつり出す力が弱くなっている。中国問題は外の包囲網によって弱体化するのではなく、中国自身の先天性の弱点、制度面の欠陥によってピークアウトするだろう。
中国共産党中央委員会の発表によれば、これまでの9年間、計700万人の腐敗幹部が追放されたといわれている。この人たちはほとんど中国のエリート。彼らの知見は国力の増強に貢献していない。彼らの優秀な頭脳は無駄になってしまった。だからピークアウトすると思われる
2022年1月24日 8:01
楠木建のアバター
楠木建
一橋大学 教授
コメントメニュー分析・考察
何をもって「超大国」とするかによるが、21世紀半ばからは、20世紀的な意味での超大国がどこにも存在しなくなるという方向に進化していくと考える。
つまり、「覇権」「ナンバーワン」という概念そのものが有効性を喪失していくという成り行き。損得勘定で言っても、かつての覇権主義は国益に直結したが、これから先はかえってコストやリスクがベネフィットよりもずっと大きくなるだろう。そうした時代に覇権主義をとるのは根本的に無理がある。
2022年1月24日 8:21
青山瑠妙のアバター
青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
コメントメニューひとこと解説
アメリカでは、アリソン教授が警鐘を鳴らした「トゥキディデスの罠」はもう昔の話。
この記事でマイケル・ベックリーの指摘している「中国衰退」説がむしろ主流になりつつある。
つまり、アメリカなどの抑止政策、中国の人口問題などで中国の国力はもうすぐピークオウトする。ピークオウトする前に中国が冒険的な対外行動をとる。だから危ないのだという。
こうした「予測」に基づいてアメリカは対中政策を立てている。
しかし中国の現状はむしろその中間ー超大国にはなれないが、崩壊もしないーにあるのではないかだろうか。
2022年1月24日 8:22 』
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台湾うかがう「強国」の橋 習氏の焦燥、爪を隠せず
大中国の時代 坂の上の罠①
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00000600Z01C21A2000000/










『 誰も見たことのない「強大国」中国が現れた。独善、そして威圧的な行動から透けるのは、自信だけではない。急成長から一転し、衰退へと向かう新興大国が陥る「坂の上の罠(わな)」――。その矛盾が各所で噴き出しつつある。急転する中国と世界を追う。
「おい見ろ、ここだ。この橋が台湾まで延びる。車で1時間半で、台北にも行けるようになるぞ」
中国南部、福建省福州市。男性運転手の呉峰(57)はそう言って、海沿いにタクシーを止めると、巨大な橋を指さした。全長16キロメートル。橋は中国大陸から台湾海峡に浮かぶ小さな平潭(ピンタン)島に向かって、突き出るように架かる。2020年12月に完成したが、それで終わりではなかった。
21年3月11日、全国人民代表大会(全人代)の最終日。中国政府はその平潭に至る橋をさらに延伸させ、台湾の本島にまでつなげる建設計画案を可決した。無論、台湾側は了承などしていない。
平潭島に架かる全長16キロメートルの巨大橋の上層には高速道路、下層は高速鉄道用の線路が敷かれる(21年12月、福建省福州市)中国は全長130キロメートルに及ぶ巨大大橋の完成を13年後の「2035年」と明記した。海上での建設作業は難航必至だ。代わりに台湾海峡の下に海底トンネルを掘り、北京と台北を高速鉄道などで結ぶ案も示し、統一に並々ならぬ執念をみせた。
その全人代から2週間後だ。「平潭はいま、千年に一度の好機を迎えた。中台融合のため、大きな一歩を踏み出すべきだ」。国家主席の習近平(シー・ジンピン、68)は自ら現地に入り、福建省幹部らに「統一」に向けた大号令をかけた。
いまはのどかな平潭島も、台湾と橋でつながれば、中国屈指の都市へと開発が進むと予想される(21年12月、福建省福州市)「強国有我(強国に我あり)」。習氏が異例の3期目入りを狙う中国でいま、自らの国力を誇示するネット用語が流行する。鄧小平氏以来の爪を隠して力を蓄える「韜光養晦(とうこうようかい)」戦略は過去のものとなり、かつてない強硬路線がむき出しになる。
台湾海峡が「世界一危険」と呼ばれるようになったのも、中国内で広がる「偉大な復興」への自信と熱狂が大きい。米軍は習氏の3期目が終わる27年までに、中国が武力侵攻に動くとみる。
だが現実の「大中国」はもっとしたたかだ。
中台統一を視野に整備した平潭駅に高速鉄道がつながった。台湾に最も近いこの駅からは、北京まで乗り換えなしで12時間強で行ける(21年12月、福建省福州市)中国が領有権を認められていない南シナ海で7つもの人工島を造成し、軍事拠点化を進めていた18年10月。習氏はその海域をのぞむ中国南部にいた。
香港から広東省珠海市、マカオを結ぶ世界最長級の「港珠澳大橋」開通式典に出席。中国大陸と香港、マカオを一体化する全長55キロメートルの海上大橋と海底トンネルを9年余りで完成させ、習は壇上で「国力だ」と誇った。
香港市民は巨大橋の完成を恐れた。「このままでは、香港が大陸にのみ込まれる……」。わずか1年半後。香港国家安全維持法(国安法)がスピード成立し、香港は中国の強権下にあっさり落ちた。
まず造る。既成事実化し、あとは押し切る。リアルな軍事力ではない。それが最善の近道だ、と中国は知っている。戦わずして勝つための作戦が進む。
次は台湾だ。
「環太平洋経済連携協定(TPP)加盟申請に向け、台湾当局が加盟各国と進めていたやり取りが中国側に漏れた可能性がある。全て防げるものではない」
台湾でサイバーセキュリティーを手掛ける大手、TEAMT5の最高経営責任者(CEO)である蔡松廷は悔しげに振り返る。21年9月中旬、中国は台湾より1週間早い僅差のタイミングでTPPへの加盟を申請し、台湾当局を出し抜いた。単なる偶然とみる者は少ない。
さらに21年10月4日、過去最多の中国軍56機が台湾の防空識別圏に侵入し、威嚇行為が最高潮に達したちょうどその頃。地上の台湾中枢部にも、中国のサイバー攻撃が襲いかかっていた。
台湾軍、外交部(外務省)、与党・民主進歩党(民進党)、経済部(経済省)――。狙われたのは、対中政策で厳しい姿勢をみせる主要機関だ。個人宛てに偽のログイン画面を大量送付し、機密情報を巧みに抜き取った。「21年に台湾の政府・官庁が受けたサイバー攻撃のうち、実に9割は中国からだった」と蔡は分析する。
にぎわう台湾の朝市。中国の脅威が身近に迫っていることを知る台湾人はまだ少ない(21年12月、台北市)
台湾の国防部(国防省)が21年11月に公表した21年の国防報告書。強調したのはやはり、軍事力には頼らない統一作戦への脅威だった。19年から21年8月までに14億回を超えるサイバー攻撃があったと断定。偽ニュースやメディアを使う世論操作と合わせ、台湾社会が揺さぶられる実態を列挙した。
中国は習(写真左=ロイター)が3期目でさらに地歩を固め、敵視する台湾総統の蔡英文(同右=台湾総統府提供)の任期が切れる24年に狙いを定める
中国が統一を譲ることはない。むしろ、その執拗さは今後さらに増す可能性が高い。「中国はピークパワーの罠に陥りつつある」。米タフツ大学准教授のマイケル・ベックリーは台湾、そして世界が直面する新たなリスクを指摘する。
平潭島の「台湾に最も近い場所」である海岸には、すでに多くの中国人観光客が押し寄せる(21年12月、福建省福州市)
新興大国が経済の急減速に苦しむと、対外的に強権、高圧的になる状態を指す。ベックリーは第1次大戦前のドイツ帝国、戦前の日本を例に挙げ、こう警告する。「台頭する大国は歴史上、衰退期を迎えると、目標を達成しなければという焦りから攻撃的になる」
これまで成長の足取りが速かった分、坂の上の先への恐怖も増す。世界最大の経済大国の座を目前にする中国だが、不動産バブルや少子高齢化で限界も見える。だからこそ、着実な詰め手を急ぐ。
中国が台湾統一に向け、狙いを定めるのは、米軍が警戒する27年ではない。反目する台湾総統、蔡英文(ツァイ・インウェン)の任期が切れる24年だ。「いまは待っている。次期総統選で親中派の国民党を勝たせるよう後ろ盾となり、その新政権とともに24年から統一を目指して事を仕掛けていくのだろう」。中台の外交専門家らのほぼ一致した見方だ。
いまの台湾なら、ミサイルや爆撃機を使わずとも、容易にねじ伏せられる。中国はそう踏む。
平潭島の1キロメートル先に浮かぶ島には飛行場を建設し、空からも台湾本島との一体化を推し進める計画だ(21年12月、福建省福州市)
「台湾に最も近い中国」として知られる小さな島、平潭はまさにそのための足がかりになる。35年完成へ。現地ではいま、巨大橋の建設に向け、地質調査・測量工事が静かに動き始めた。
いまの中国が、もはやかつての中国でないことは明らかだ。
「中国の民主化はもう期待できない」。ソ連崩壊や米トランプ政権の誕生を予見した仏歴史人口学者のエマニュエル・トッドは憂う。「世界は中国と共通の課題で対話するか、米中対立の渦に巻き込まれるかの選択を迫られる」。国も企業も、そして個人も「大中国」とは無縁でいられない。危うさと背中あわせの新時代が始まった。(敬称略)
「中国公船から逃げろ」
尖閣沖に向かう命懸けの漁師「海警の船が出てきたぞ、気をつけろ」。2020年1月下旬、尖閣諸島から東に数キロメートルの沖合で鹿児島県の漁師、宮崎卓己さん(61)は仲間の漁師4人にこう叫んだ。
沖縄県・尖閣諸島周辺を航行する中国海警局の船(21年2月15日)=仲間均氏撮影
どこからともなく突然現れたのは中国の海上保安機関「海警局」の大型巡視船。漁船の動きに合わせるように数百メートルまで接近してくると、同行する海上保安庁の巡視船が間に割って入り護衛する。停泊中は夜も眠れぬ緊迫状態が2~3日続いた。
尖閣周辺はアオダイやハマダイなどが釣れる豊富な漁場だ。約10年前は鹿児島県から10隻超の漁船が尖閣を目指していたが、20年1月は2隻のみで出港した。宮崎さんは「昔は南シナ海まで航海することもあった。今は行きたくても口に出さない仲間が増えている」と肩を落とす。2年ぶりに再び漁へ向かう計画を練っている最中だが、不安は募るばかりだ。
40年近く尖閣諸島沖で漁をする宮崎卓己さん(61)=尖閣諸島文献資料編纂会提供
中国は海上民兵と呼ばれる準軍事組織も操り、あの手この手で日本の漁船の動きをうかがっている。米戦略国際問題研究所(CSIS)は21年11月、南シナ海へ21年3~4月に押し寄せた中国船について、フィリピンとベトナム当局が海上から撮影した映像や写真を分析し、少なくとも122隻の海上民兵船を特定した。
日本経済新聞がこれらの船舶情報をもとに、世界中の船の位置情報を提供するサイト「マリントラフィック」で海上民兵船の過去1年間の挙動を追ったところ、12隻が台湾や尖閣周辺を航海していたことが分かった。南シナ海以外にも影響力を拡大しようとしている狙いが透ける。
なかには、中国海軍の拠点のある海南島から台湾の北端を通り、21年7月下旬には尖閣諸島の魚釣島から西に25キロメートルの沖合に進出していた例があった。位置や針路などを発信する船舶自動識別システム(AIS)の信号が途切れる船も見つかった。AISは衝突防止や運航管理を目的とした国際条約で、世界を航行する300総トン以上の船舶や全ての旅客船に搭載が義務付けられている。航路を隠すためにAISのスイッチを切った可能性がある。
CSISのグレゴリー・ポーリング氏は「中国の海上民兵船には軍事的機能を備えたプロの船と、政府の補助金制度によって採用された商業漁船の2種類がある」と話す。後者は特に見分けがつきづらく、「表向きは漁師だが、軍からの命令があれば防衛任務などを担う」(笹川平和財団の小原凡司上席研究員)という。
中国政府が周辺海域への実効支配を強めれば、日本の漁場の安全が危ぶまれる。海警局は18年に治安維持を担当する人民武装警察部隊の指揮下に編入されて事実上の「第二の海軍」となった。21年2月施行の海警法では、主権を侵害する外国船舶への武器使用も初めて認められた。
「尖閣周辺に姿を現す中国の巡視船は基本的に4隻で、少なくとも1隻は常に武器を積んでいる」(海保)という。海警局は部隊の増強を進めており、20年時点で満載排水量千トン級以上の船舶は131隻と、8年間で3倍強になった。海保は「常に中国を上回る数の巡視船を派遣し、漁船などの安全確保に努めている」と話す。
日本の領海での活動に萎縮すれば、さらなる中国の増長を招く。「僕らはただ安全に漁がしたいだけなんです」。海警局の威嚇にもひるまず尖閣に漁に向かう宮崎さんはこう理由を教えてくれた。
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大中国の時代阿部哲也、島田学、岩崎航、原島大介、黄田和宏、桃井裕理、中村裕、土居倫之、小川知世、若杉朋子、多部田俊輔、川手伊織、川上尚志、渡辺伸、比奈田悠佑、山田遼太郎、綱嶋亨、西野杏菜、羽田野主、松田直樹、山下美菜子、本脇賢尚、高橋耕平、遠藤智之、大塚節雄、木原雄士、小林健、大越優樹、金子冴月、高野壮一、佐藤季司が担当します。』
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日本も紛争当事国、平和な日常に潜む「非暴力」の脅威
学び×国際紛争(1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOKC0699L0W2A100C2000000/




『民族や宗教の違いに端を発した対立から、核兵器の拡散、資源や領土・国境をめぐる国家間の緊張――。「国際紛争」という言葉に、軍事的衝突を思い浮かべる人は多いはず。でも近年では、政治介入やサイバー攻撃など非暴力行為が主流になりつつあります。政府間だけでなく民間人や民間企業に対処が求められる場面もあり、太平洋戦争終結以降、長年にわたって平和を享受してきた日本人にとっても決してひとごとではないのです。
漫画好きで知られる麻生太郎前財務相が番記者に薦めたことで話題になった「紛争でしたら八田まで」(田素弘著、講談社)。地政学リスクの知識を武器に、世界中で様々な紛争や事件を解決する女性コンサルタントの活躍を描いた連載中の漫画です。今回の「学び」編では、この作品を監修している東京海上ディーアールの主席研究員、川口貴久さんに国際紛争について解説してもらいます。
そもそも「戦争」「紛争」とは?現代の国際紛争の特徴を理解するため、国際紛争の典型である「戦争」の位置づけの歴史的な変遷をおさえておきましょう。
まず、戦争を論じるうえで欠かせないのが「正戦論」です。目的や理由によって戦争を「正しい」「正しくない」と区別する理論で、17世紀までに西欧で確立しました。キリスト教の教義が起源で、自己防衛や攻撃者への制裁・処罰、財産権を回復するための戦争は正しいものとされました。中世から続く際限なき戦争の発生を制限することが目的でした。
一方、キリスト教新旧両派の宗教対立による30年戦争を終わらせたウェストファリア条約が1648年に締結され、欧州では主権国家体制が成立しました。これを契機に西欧の絶対的な権威のキリスト教の影響力は低下し、正戦論は単なる観念論として廃れていったのです。
18~19世紀には「無差別戦争観」が主流になりました。全ての主権国家は戦争を行う自由・権利があるという考え方です。「戦争論」で知られるプロイセンの軍人クラウゼヴィッツが「戦争は他の手段による政治の延長」と主張するように、近代を代表する戦争観とされ、帝国主義の列強が戦争を繰り広げました。
その結果、20世紀前半~半ばに第1次、第2次世界大戦が勃発しました。多くの犠牲を払う悲劇を二度と繰り返さないために、国際連盟規約(1919年)やパリ不戦条約(28年)、国際連合憲章(45年)といった条約で戦争を違法化する動きが広がりました。さらに核兵器の誕生、米ソ冷戦下の同盟関係による勢力均衡、経済的相互依存の深化で、大国間の全面戦争は現実的ではなくなっていったのです。
「ハイブリッド戦争」の台頭では現在、戦争はなくなったのでしょうか? 答えは「ノー」です。世界各国に異なる利益がある限り、火種は決してなくなりません。もし伝統的な全面戦争となれば両当事者とも大損害は免れず、国家の存亡に関わる事態にもなりかねません。
米ペンシルベニア州立大などが調査した、国家間武力衝突データセットによると、確かに21世紀以降、大国間戦争はほとんど確認されていません。それでも、戦争「未満」の武力行使や軍の動員は20世紀後半と同水準にあります。
国際紛争の新たな形として注目されているのが「ハイブリッド戦争」です。軍事戦略の一つで、正規戦や非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせていることが特徴です。言い換えるなら、①正規軍の戦争行為には至らない軍事活動②軍事以外のあらゆる手段による準戦争行為――で相手を弱体化させて領土拡張などの現状変更をしかけようとする考え方です。
主流は「非正規」な戦闘に2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島の併合は、ハイブリッド戦争の典型例とされています。クリミア危機の初期、クリミア議会や空港を占拠した武力勢力はロシア軍とみられていますが、彼らは正規軍の制服や腕章を身につけていなかったため外形的には正体不明でした。
その後、プーチン政権はロシア系住民の保護を目的にクリミアに派兵します。この状況下でクリミアのロシア編入に関する住民投票が実施されました。クリミア併合は国際法で禁じられた侵略行為によってではなく、クリミア住民が望んだものだと国際社会に印象付ける狙いがあったとされています。
このように国家の戦略目標を達成する手段としては、正規軍同士による戦争よりも非正規の戦闘が現代の戦争の主流になりつつあります。
際限なく拡大する領域・手段中国では1999年に「超限戦」が提唱されました。軍事と非軍事、戦場と非戦場、戦闘員と非戦闘員の間に境はなく、平時から競争相手にあらゆる手段で戦争を遂行すべきだという考え方で、ハイブリッド戦争よりも広い概念として捉えられています。
中国は台湾への軍事的・経済的手段での影響力行使を展開している=ロイター近年注目される台湾をめぐる問題は国際紛争の伝統的側面と新しい側面を備えています。中国は東沙諸島の制圧や台湾島の封鎖といった伝統的な軍事行動を起こす場合、同時にサイバー攻撃や偽情報の流布を実行することはほぼ確実です。平時においても、経済的手段による影響力行使が繰り広げられています。中国が大陸から台湾への旅行者数を「絞る」ことは、台湾経済への打撃を狙った典型例といえます。
国際紛争は、戦車、艦船、戦闘機、ミサイルだけで繰り広げられるのではありません。経済的相互依存やデジタル技術の革新が進むなか、国際紛争の領域や手段は際限なく拡大しています。日本は朝鮮半島や台湾海峡といった伝統的な意味での軍事衝突に巻き込まれるリスクにさらされながら、新しい国際紛争においてはすでに当事者でもあります。
平時であっても何かしらの形で損害を被るような脅威にさらされているのです。正確に言えば、常に「平時」とは断定できず、有事と平時の中間にある「グレーゾーン」という見方もあります。しかも攻撃の対象は政府や軍の関係者だけでなく、民間企業や一般市民まで無差別に広がっています。
次回からは、認知空間やサイバー空間における戦争、経済的手段による戦争を紹介します。
(井上航介が担当します)
連載記事一覧はこちら
https://r.nikkei.com/stories/topic_story_22010601?n_cid=DSST001 』 -
※ 今日は、こんなところで…。
※ 徳川慶喜公よりも、こっちの方に興味を持った…。
※ 世のなか、いろんな「障害」があるもんだな…。

『執筆者: Andrew Skodol
, MD, University of Arizona College of Medicine
最終査読/改訂年月 2018年 8月
プロフェッショナル版で 同じトピックをみる依存性パーソナリティ障害は、世話をしてもらいたいという広汎で過度の要求を特徴とし、服従的でまとわりつく行動を生じます。
依存性パーソナリティ障害の患者は自分で自分の面倒をみることができると考えておらず、服従することで他者に自分の世話をしてもらおうとします。 依存性パーソナリティ障害の診断は、世話をしてもらいたいという要求や、自分の世話をしなければならないことに対する恐れなどの、特定の症状に基づいて下されます。 自立への恐れを検討することに焦点を合わせた精神療法が役立つことがあります。
パーソナリティ障害(人格障害とも呼ばれます)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。
依存性パーソナリティ障害の患者は、世話をしてもらうことを求め、自分で自分の面倒をみることに強い不安を抱いています。自分の望む世話を手に入れるためには、進んで自立性や関心を手放します。このため患者は過度に依存的、服従的になります。
依存性パーソナリティ障害は米国の一般の人の1%未満でみられます。女性の方が多く診断されますが、男女で同じように生じることを示す研究もあります。
他の病気もしばしばみられます。患者には、しばしば以下のうち1つ以上の病気もみられます。
うつ病や気分変調症(持続性抑うつ障害)などの抑うつ障害 不安症 アルコール使用障害 別のパーソナリティ障害(境界性や演技性など)
原因
依存性パーソナリティ障害の原因に関する情報はあまりありません。関わっている可能性のある因子には以下のものがあります。
文化的因子 幼児期の否定的な体験 不安になりやすい先天的傾向 家族内で受け継がれる特性(服従性、自信のなさ、控えめな行動など)
症状
世話をされる必要性
依存性パーソナリティ障害の患者は自分で自分の面倒をみることができるとは考えていません。患者は服従することで他者に自分の世話をしてもらおうとします。
この障害のある人は、一般的に、通常の判断を行うにあたりふんだんな安心と助言を必要とします。患者はしばしば他者、しばしば一人の人に、自分の生活の多くの側面について責任を負ってもらいます。例えば、患者は配偶者に依存し、何を着て、どのような種類の仕事を探し、誰と付き合うべきかを教えてもらいます。
依存性パーソナリティ障害の人は、依存対象のごく少人数の人としか社会的に交流しない傾向があります。親密な関係が終わると、患者はすぐに代わりとなる人を見つけようとします。患者は世話をしてもらうのに必死であるため、代わりとなる人を選ぶにあたり、見境がない場合があります。
依存性パーソナリティ障害の患者は、理由がない場合でも、依存している相手に見捨てられることを過度に恐れています。
過度の服従性
依存性パーソナリティ障害の患者は、支持や承認を失うことを恐れるため、他者との意見の違いをなかなか口に出すことができません。他者の支援を失うリスクを冒すくらいなら間違っていることが分かっていることに同意することもあります。怒って当然の場合でも、患者は支援を失うことを恐れて友人や同僚に怒りを向けることがありません。
依存性パーソナリティ障害の患者は世話と支援を得るために多大な労力を払います。例えば、不快な課題をこなしたり、不当な要望の言いなりになったり、身体的、性的、または情緒的虐待に耐えたりすることさえあります。患者は自分で自分の面倒をみることができないと恐れるため、一人でいることに強い居心地の悪さを感じたり、恐れたりします。
自信のなさ依存性パーソナリティ障害の患者は自分が劣っていると考え、自分の能力を卑下する傾向があります。患者はあらゆる批判や否認を自分の能力のなさの証拠と受け取り、さらに自信を失います。
自立心のなさ
依存性パーソナリティ障害の患者は自分が一人では何もできないと確信しているため、新しい課題を始めたり、独立して働いたりすることに困難があります。患者は責任を負う必要のある課題を避けます。患者は、常に支援と安心を必要とする、能力のない存在として振る舞います。能力のある人が依存性パーソナリティ障害の患者を監督したり、承認したりして安心感をもっている場合、患者は十分に役割を果たすことができる傾向があります。しかし、見捨てられることを恐れてあまりに能力があるようにみられることを望みません。その結果、患者の経歴が損なわれることがあります。患者は自立して生活する技能を学ばないことが多いため、依存性を長続きさせます。
診断
具体的な診断基準に基づく医師による評価
パーソナリティ障害の診断は、通常は米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)に基づいて下されます。
依存性パーソナリティ障害の診断を下すには、以下の5つ以上に示されるように、服従的でまとわりつく行動に至る、世話をしてもらいたいという持続的で過剰な要求が認められる必要があります。
他者からの過剰な量の助言や安心なしに日常的判断を下すことが困難である。 生活のほとんどの重要な側面について他者に責任を負ってもらう必要がある。 支援や承認を失うことを恐れることから、他者との意見の不一致をなかなか口にできない。 自分の判断力や能力に自信がないあまり(意欲や気力がないためではなく)、一人で計画を始めることに困難がある。 他者からの支援を得るために、進んで多大な労力を払う(例えば、不快な課題をこなす)。 自分の面倒を見ることができないことを恐れるあまり、一人でいるときに居心地悪く感じたり、無力感を感じたりする。 親密な関係が終わったときに、世話と支援をしてくれる人と新たな関係を築く差し迫った必要を感じる。 一人にされて自分の面倒をみることになる恐れにとりつかれている。
また、症状は成人期早期までに始まっている必要があります。
治療
認知行動療法 精神力動的精神療法
依存性パーソナリティ障害の一般的治療は、すべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。
自立への恐れと自己主張することの困難さを検討することに焦点を当てた精神力動的精神療法と認知行動療法が、依存性パーソナリティ障害患者に役立つことがあります。
薬が有用であるかどうかは不明です。ときに、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬が抑うつと不安の治療に使用されることがあります。』
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精神科医が語る、徳川慶喜の“逃亡癖”と依存性パーソナリティ障害…長州征伐、大坂城逃亡
https://biz-journal.jp/2022/01/post_274365.html※ 徳川慶喜公は、「依存性パーソナリティ障害」の気味があったのでは…、という診たてだ…。
※ 興味がある人は、リンクで飛んで、見てくれ…。

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中国が崩壊するとすれば「戦争」、だから台湾武力攻撃はしない
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220120-00278217



『中国共産党政権が崩壊するとすれば、その最大のきっかけは「戦争」だ。だから台湾政府が独立を宣言しない限り、習近平は絶対に台湾を武力攻撃はしない。軍事演習は独立派への威嚇と国内ナショナリストへのガス抜きだ。
◆戦争を避けるために台湾経済界を取り込む
昨年12月3日のコラム<習近平、「台湾統一」は2035年まで待つ>に書いたように、習近平は台湾の「武力統一」はしないつもりで、2035年まで待って台湾経済界を絡め取って「平和統一」に持って行くつもりだ。
2030年頃には、中国のGDPがアメリカを凌駕していて、2035年頃には少なくとも東アジア地域における米軍の軍事力は中国に勝てなくなっているだろう。だから2035年まで待つ。これが習近平の長期戦略だ。
それまでに台湾経済を絡め取っていく戦略は、独立傾向が強い民進党の蔡英文政権が誕生してから積極的に動くようになった。
以下に示すのは、中国中央行政省庁の一つである商務部が出している『中国外資統計公報 2021』から引用した「台湾の対中投資推移(1990-2020)」だ。中国語を日本語に翻訳し、かつ本稿のために説明しやすいよう矢印や政権の文字などを書き入れた。
中国庶務部の『中国外資統計公報 2021』を基に筆者が作成
赤い矢印で示したのは、(「一つの中国」を受け入れる)親中的な国民党の馬英九政権が誕生した年と、(独立傾向の強い)反中的な民進党の蔡英文政権が誕生した年だ。
蔡英文政権が誕生した2016年5月以降、青色で示した「対中投資をしている台湾の新規企業数」が急増していることに注目していただきたい。
日本と同様に台湾でも「政冷経熱」が加速し、少なからぬ経済界は中国大陸、北京政府の方に近づいているのである。
馬英九政権の時は、馬英九(総統)が親中的だったため、中国は必死になって経済界を大陸の方に呼び込まなくても大丈夫だったが、民進党に入ってからは、むしろ必死になって台湾経済界を呼び込まないとまずいので、その結果がデータに表れている。
◆もし中国軍が米軍に勝てない状況が続いた場合
万一にも何かのアクシデントで大陸の軍隊(人民解放軍)と米軍が衝突した場合、もし近い時期であるなら、まず中国軍が負けて中国共産党による一党支配体制は崩壊する。だから台湾政府が独立宣言をしない限り、近い内に中国の方から戦争を仕掛けることは絶対にしない。
もう少し時間が経って中国軍が少しは強くなり、すぐには敗戦しないで、米中間の戦争が長引いた場合のシミュレーションが重要でかつ深刻だ。
米軍はまずマラッカ海峡などの航路を海上封鎖し、中国の輸出入を封じてしまうだろう。
中国は石油の70%、天然ガスの40%など、エネルギー源を輸入に頼っている。しかもその多くはマラッカ海峡を通って運搬されている。もし海上封鎖されたら、中国は経済的に決定的な打撃を受ける。特に東海岸沿いの都市へのダメージは激しく、いつ直接攻撃されるか分からないだけでなく、物価が高騰したり、不動産価格が急落したりなど、激しい社会不安を巻き起こすことは避けられない。
社会不安ほど一党支配体制を揺るがすものはほかにないと言っても過言ではない。中国共産党にとっては恐ろしい現象だ。
もしそのような事態が来れば、中国共産党による一党支配体制は、やはり崩壊するだろう。
したがって、それを避けるために、中国は少なくとも2035年までは自ら台湾に戦争を仕掛けることはないのである。
しかし万一にもそのような事態になった時のために、南シナ海の埋め立て地を米軍に対峙する軍事拠点として堅固なものにしようとしている。
またパキスタン回廊などを確保しながら「一帯一路」構想を強化するのも、海上封鎖された時のための「エネルギー源の輸送路を確保するため」である。
中国は現在でもすでに世界の太陽光パネルの58%強を生産しているが、今年1月3日のコラム<ウイグル自治区トップ交代、習近平の狙いは新疆「デジタル経済と太陽光パネル」基地>に書いたように、習近平は新疆ウイグル自治区を太陽光パネルの基地にするという戦略で動いている。
これはエネルギーの国家安全保障を狙った線上にある習近平の長期戦略で、ウイグル問題と台湾問題とは、このように「エネルギーの国家安全保障」という視点において繋がっているのである。
◆台湾周辺での軍事演習は中国国内のナショナリストへのガス抜き
それならなぜ、あんなにまで激しい軍事演習を台湾周辺の海空で行っているのかというと、一つには独立派への威嚇ではあるが、もっと大きな要因は、実は中国国内、特にネット空間にある。
まず独立派に対する威嚇という視点から見ると、2016年5月に民進党の蔡英文が総統に就任したとき以降から、中国人民解放軍の海空軍による台湾周辺での軍事訓練が急増し始めたことが挙げられる。
これをデータとして定量分析をしたいところだが、何せ軍事情報であるため、どこも系統だった量的推移を発表していない。
わずかに『中華民国国防報告書(民国106年版)』(民国106年=西暦2017年)に、2016年後半および2017年から中国軍による領海領空侵犯が急増したという記述があることを確認することができる。
2016年1月に実施されることになっていた台湾での総統選挙に際し、国民党の馬英九に有利になるように、習近平は2015年11月7日にシンガポールのシャングリラホテルで当時の馬英九総統と会談した。1949年に中華人民共和国が誕生して以来、実に66年ぶりの国共両党首による再会だった。にもかかわらず、台湾独立傾向の強い民進党が勝利して蔡英文総統が誕生したので、習近平の顔は丸つぶれだった。
そこで、もし台湾政府として独立を叫べば「痛い目に遭うぞ」という威嚇のために、台湾周辺における軍事演習を活発化させたのである。
しかし、それ以上に、習近平が手を焼いているのが、ネットにおける歪んだ憎しみに燃えたナショナリズムだ。
実は中国国内における愛国主義的なナショナリストの好戦性が止めがたい勢いで激しくなっている。
もちろん1994年から江沢民が始めた愛国主義教育の影響や、習近平が掲げる「中華民族の偉大なる復興」が中国の若者の自尊心を刺激し、中国経済の成長が若者たちを自信過剰にさせているという背景があるにはあるが、もっと直接的な原因は「ネット空間」そのものにある。
トランプ政権は対中制裁を加速させると同時に、台湾への接近を強化していき、米台蜜月状況を作っていた。
それまでは少なからぬ中国の若者はアメリカに憧れを抱いており、その流れの中で、「アメリカの民主」へのほのかな敬慕の思いを心深くに隠し持っていた。しかしトランプ政権の言動に接し、アメリカへの憧れは対抗心に変わり、民主への敬慕は幻滅へと変わっていった。
そのような中、ネットでは同じ中国語を通して、台湾と大陸の若者が激しく罵倒し合う状況が生まれてきたのだ。大陸の若者は特殊なソフトを使ってGreat Fire Wall の壁を乗り越え(翻牆=ファン・チャン)、西側諸国のネット空間にいくらでも入っていける。
台湾の若者が「習近平、死ね!」とコメントに書き込めば、大陸の若者は「留島、不留人!」(台湾という島は残すが、台湾人は皆殺しにせよ!)といった具合の激しい罵りあいが展開されている。その罵りあいは、突如、どこからでもやってきて、たとえばオンラインゲームなどに大陸と台湾の若者がゲームのグループとして入っていると、共通の敵に挑みながら、互いに大陸と台湾を罵倒し始めるという状況もある。
中国国内のインフルエンサーたちも、より激しい内容を発表してはアクセス数を稼ぎ、ナショナリズムを煽っている。たとえば2021年7月17日のコラム<「日本が台湾有事に武力介入すれば、中国は日本を核攻撃すべき」という動画がアメリカで拡散>に書いたように、軍事オタクが発表した動画に多くのネットユーザーが集まるのだが、習近平としては海外の人たちに中国が本気で核攻撃するなどと思われてはならないので、こういった動画を削除する作業に追われている。
そのため習近平は「中国はもっと(海外から)愛される国にならなければならない」いう発言をしたほどだ。
これは誰でもがネットにアクセスすることができるようになった結果がもたらした「時代の子」的な現象だが、中国のネット空間はこのような若者に満ちている。誰もが自分の存在意義を主張し確認しようと、言葉は激しくなる一方で、心は互いへの侮蔑と憎しみに歪んでいる。
だから習近平は、台湾周辺での軍事演習を激しくやっては、中国の若者に見せ、「ほら、中国政府はこんなに激しく台湾に接しているので、中国共産党は生ぬるいなどと責めてはダメだよ」とナショナリストたちを説得しているのである。
言うならば、ナショナリストの憤懣へのガス抜きという側面を持っていることを見逃してはならない。
◆勝てない戦争は絶対にしない――中国共産党一党支配体制維持を優先
以上より、「中国は勝てない戦争は絶対にしない」と言うことができ、もし逆に中国共産党の一党支配体制を崩壊させたいのなら、「アメリカや台湾の方から中国に戦争を今すぐにでも仕掛けるといい」という、何とも皮肉な現実が厳然と横たわっている。
習近平にとって、何よりも重要なのは中国共産党による一党支配体制の維持なので、中国自らが率先して台湾を武力攻撃することはない。
これを勘違いすると、日本は「政冷経熱」を正当化して、経済における日中交流、日中友好ならば「安全だ」と勘違いし、その結果、習近平の思う壺にはまっていくという危険性を孕んでいる。
注意を喚起したい。
(なお、本稿の内容に関しては、NHKの籾井元会長とも激しく議論を交わし、その対談内容は今月26日に発売される月刊誌『Hanada』に掲載される。)
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。』
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ウクライナ問題でNATO東方拡大停止を求めるロシア 協議は膠着 高まるロシア軍事進攻への警戒感
https://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/48d9fbac1eeb37076f4fe5b0346fa68c
『【膠着状態のロシアとの協議】
NATO東方拡大停止を求めるロシアが大規模な部隊を国境地域に集結させて軍事進攻の可能性も見せ、これに対しアメリカが「もしロシアがウクライナに軍事進攻すればロシアに重大な代償を負わせる」と牽制するなど、緊張が高まっているウクライナ情勢については、アメリカとロシア、NATOとロシア、欧州安保協力機構(OSCE)という各種のレベルで連日の協議が行われましたが、互いの主張の溝は埋まらず膠着状態になっています。』
『****米ロ主張、平行線たどる ウクライナ情勢、継続協議へ****
ウクライナ国境付近でのロシア軍の増強で緊張が高まる中、米国とロシアの代表団が10日、スイス・ジュネーブで協議した。
部隊撤退を求める米国に対し、ロシアは米側が拒む北大西洋条約機構(NATO)の拡大停止などを実現するよう要求。主張は平行線をたどったままで、さらに協議が続けられることになった。
協議ではロシア側がウクライナを攻撃する意図を否定した。ただ10万人規模とされる国境付近のロシア軍部隊について、米国のシャーマン国務副長官が協議終了後、記者団に「攻撃の意図がないことは兵力を引き揚げることで証明できる」と述べたのに対し、別に会見したロシアのリャプコフ外務次官は「我が国の領土内で活動しており、状況悪化の懸念はない」と従来の見解を繰り返した。
協議は、ウクライナのNATO加盟を認めないことや、東欧に配備された部隊や兵器の撤去を求めるロシアの要求を受けて開かれた。シャーマン氏は会見で改めてNATO拡大の停止を拒否したと述べた。
一方で、米側はトランプ前政権が中距離核戦力(INF)全廃条約から撤退したことで再配備の懸念が高まるミサイル問題や、ロシア国境付近での軍事演習の制限では議論に応じる構えを示した。シャーマン氏は「ロシアが緊張緩和への具体的な動きをとれば、進展が得られる」とも述べた。
ただ、ロシア側はNATOの拡大停止を「絶対条件」とする姿勢を崩していない。リャプコフ氏はウクライナとジョージアを「将来の加盟国」とした2008年のNATO首脳会議の決議が「次の6月の首脳会議で撤回されることを望む」と述べた。(後略)【1月12日 朝日】』





