カテゴリー: 日本の戦略
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日本の研究者、中国で基礎科学 大学でポスト・資金充実
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC29BB70Z20C23A5000000/『中国の大学や研究機関でポストを得る日本人研究者が増えている。これまで中国は日本企業の技術者を招請していたが、天文学など基礎科学の研究者も迎え入れ始めた。大学の予算減で研究者の就職が厳しい日本とは対照に、この20年で予算を大幅に増やし、論文の量や質で米国と競うほど研究レベルが上がっている。
「研究者として早く独立したかった」。東北大学の助教だった亀岡啓さんは2022年9月、上海市にある中国科学院分…
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『東北大学の助教だった亀岡啓さんは2022年9月、上海市にある中国科学院分子植物科学卓越創新センターのグループリーダーになった。植物研究で世界的に著名な英ジョンイネスセンターと中国科学院が共同運営する組織の中で、自身の研究グループを立ち上げた。
亀岡さんは東京大学大学院修了後、大阪府立大学(現・大阪公立大学)などを経て、20年に東北大で任期付きの助教になったばかりだった。だが早く独立して研究室を主宰したかった。研究者にとって「PI(主任研究者)」と呼ばれる研究室の主宰者になることは大きな目標だ。
研究費9千万円
海外のポストに応募するための書類を作る機会だと考えて応募し「1発目で運良く通った」。オンラインと英国での対面の計2回の面接を突破し、採用が決まった。亀岡さんの研究テーマは土の中にすんでいる菌と植物の共生関係だ。「アーバスキュラー菌根菌(AM菌)」というカビの仲間は土の中のリンや窒素を集めて植物に与え、成長を助ける。環境負荷の小さい「微生物肥料」として農業に役立つ可能性がある。
亀岡さんはAM菌だけを培養して増やすことに世界で初めて成功した。中国では学生や研究員と従来の研究テーマを深掘りしながら、新しいテーマにも挑戦する考えだ。
研究所には腰を据えて研究に取り組める環境がある。「中国の中でも恵まれているほうだ」。研究室を立ち上げる初期費用と5年間の研究費として計約9000万円が用意された。質量分析計や共焦点顕微鏡などの高額な実験機器を共同利用できる施設が充実し、機器メンテナンスなどを担う技術スタッフもいる。
50〜60人規模の植物研究者が集まる研究所は世界的にも珍しいという。仲間意識も強く、実験機器をシェアするなど「すごくいい雰囲気だ」。亀岡さんの任期は5年で、審査に通ればさらに5年延長される。「5年より長く腰を据えたい」と意欲を燃やす。
中国に渡る日本人研究者の全体像を示すデータはあまりないが、現地の日本人研究者らは増えてきていると口をそろえる。背景の一つに中国の研究レベル上昇で好条件のポストが増え、研究環境の魅力が向上していることがある。
上海にある復旦大学の服部素之教授は中国に渡ろうと考える日本人研究者からの相談をよく受ける。服部教授は「レベルの高さとポストの行きやすさは別の話だ」と強調する。レベルが高くても大量採用していれば行きやすい。「中国には圧倒的にポストがあり、日本は圧倒的に少ない」
特に中国に渡る研究者が多いといわれる分野がバイオ・生命科学系と天文学や基礎物理学だ。基礎科学の代表格である天文学は世界的に研究者のポストが不足している。一方で中国は近年、応用科学だけでなく基礎科学の強化も打ち出し、学科や研究所の新設が活発だ。
上海交通大学の李政道研究所は天文物理学分野で世界トップレベルを目指す研究機関だ。ノーベル物理学賞を受賞した中国系米国人の李政道氏が提唱し、16年に設立された。天文学と量子力学、素粒子物理学を柱としている。
スパコンすぐ利用
ブラックホールの天文学を研究する水野陽介さんは20年から同研究所の准教授を務める。ブラックホールの撮影に成功した国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」の参加メンバーの1人でもある。京都大学大学院を修了後、米国で米航空宇宙局(NASA)や大学の研究員のポストを得た。その後、台湾の大学やドイツ・フランクフルトのゲーテ大学に勤めた。EHTに参加しながら日本を含めポスト探しも続けた。子供の教育も考えて日本人学校がある地域を探し、採用されたのが上海の研究所だった。
水野さんは数値シミュレーションの研究が専門だ。スーパーコンピューターによる計算結果やEHTの観測画像を組み合わせ、ブラックホールに物体が落ちる仕組みなど理論の検証に取り組んでいる。
上海交通大学の李政道研究所は天文物理学分野で世界トップレベルを目指す(同所の計算機センター)
日本や米国では研究プロジェクトが採用されればスパコンを無料で利用できるが、中国はお金さえ払えばスパコンを使える独特な運用だ。研究所では初期資金として約1500万円が提供され、研究をすぐに始めることができた。中国の大学では天文学科の設立が相次ぎ、天文学者の研究ポストも増えている。欧米の研究者にとっては中国との生活文化の違いが大きく、中国に渡るのはハードルが高い。水野さんは「日本人にはチャンスがある」とみる。
日本人研究者が中国に渡る背景には研究力が低迷する日本の環境が厳しく、若手研究者が独立できる機会が少ないことも大きい。日中の研究格差が一段と広がる可能性がある。
研究者数、中国が世界一
中国が日本人研究者を引き寄せる原動力は、世界一の研究者数と、年々伸び続けて米国に迫る世界2位の研究開発費だ。豊富な資金が設備やポストの充実、研究室の開設などに向けた手厚い支援体制を生み、研究に打ち込みやすい環境ができている。「中国の研究レベルがここまで高くなるとは予想しなかった」。こう振り返るのは山東大学威海校の研究員、野和田基晴さんだ。
野和田さんは2023年3月、3年ぶりに中国に戻った。新型コロナウイルスの流行で大学から帰国を勧められ、20年2月から日本からオンラインで研究を続けてきた。専門はオーロラなどの宇宙プラズマ物理学だ。太陽から太陽風として飛んでくるプラズマ粒子が地球の大気とぶつかるとオーロラができる。
中国の研究者はフランクな関係だという(山東大学・野和田研究員のグループの議論)
オーロラのでき方は地球の磁気圏と太陽風の相互作用に影響される。強いエネルギーの太陽風によって磁気圏がかき乱されると、地球を周回する人工衛星の故障などにつながる。太陽風や磁気圏の予測は「宇宙天気」と呼ばれる。野和田さんはオーロラの形に注目して分析に取り組む。東海大学の大学院修了後、台湾の大学などを経て10年に北京大学の研究員になった。きっかけは北京大教授の論文だ。次のポストが見つからずに苦労していたところ、面白い論文だと目に留まった。「一緒に研究したい」と直談判のメールを送り、少ない給料だったが採用してもらえた。
5年の任期が終わって帰国してからの就活も難航した。日本や欧米の大学からは不採用の連続だったが、中国での人脈が今につながった。北京大の教授に相談のメールを送ると、教え子が山東大で研究者を探しているという。北京大研究員のときに面識があった関係で採用が決まった。
野和田さんは中国の研究の雰囲気やスタイルが「自分に合っている」と話す。実力主義が強く、30〜40代の教授も多い。研究者や学生が自由に意見や助言を出し合う風通しのいい環境だという。
米中の対立、研究に影
メールより「微信(ウィーチャット)」などの対話アプリのやりとりが一般的だ。自由闊達な環境が研究者を育て、中国の研究力を高めていると野和田さんは考える。中国は00年代に入り、研究開発の国際舞台で急速に存在感を高めてきた。文部科学省の科学技術・学術政策研究所によると、研究論文で分野ごとの引用数が上位10%に入る「注目論文」の数で、中国は00年(99〜01年の3カ年平均)に初めて世界10位に入った後、08年からは米国に次ぐ2番目が定位置となった。18年には世界一になった。
基礎科学で世界トップレベルの研究水準を目指す中国だが、足元で課題もみえる。米中対立の深刻化で米国との共同研究は難しくなった。軍事技術に直結しない基礎科学の研究でも国際情勢が影を落とし始めているという。
日本は論文ランク低下
台頭する中国に対し、00年代から低迷の道をたどっているのが日本だ。注目論文の数で06年に中国に抜かれて5位に転落し、その後は低落の一途をたどる。今や韓国やインドに抜かれ、12位に落ちた。「中国の躍進からは、日本が学ぶ教訓もある」と話すのは、岡山大学の河野洋治教授だ。奈良先端科学技術大学院大学から15年に中国へ渡り、中国科学院で19年まで勤務した。中国の特徴に、若手の自由な発想に基づく研究活動の広がりや基礎研究を含む広範な分野への予算配分を挙げる。「『選択と集中』では、日本の研究力を取り戻すことはできない」と強調する。
日本は04年に国立大学が法人化され、国からの運営費交付金が年々削減されるようになった。人件費や管理費の削減で教員ポストは減り、増え続ける業務に忙殺されながら十分なサポートも受けられず、「研究時間が減って研究力は低下し、さらに交付金が削減される負の悪循環に陥っている」と河野氏は指摘する。
巻き返しに向け、日本政府は10兆円の「大学ファンド」を創設した。年3000億円と見込む運用益を使い、選抜した数校を「国際卓越研究大学」と認定し支援する。支援対象の公募には東京大、京都大などが応募した。だが、大学ファンドは新たな「選択と集中」になりかねないリスクもはらむ。
河野教授は中国では「若い世代の教授が爆発的に増え、競争も激しい。今後20年ほどで優れた成果が出るのではないか」とみる。日本が20年後を見据えて再び研究分野で国際的な地位を取り戻す策を打つために、残された時間は長くない。
(越川智瑛、松添亮甫)
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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。小玉祥司のアバター
小玉祥司
日本経済新聞社 編集委員
コメントメニュー別の視点 研究者がよりよい研究環境を求めるのは当然で、特に資金やポストに恵まれない日本の若手研究者が中国だけでなく海外に研究場所を求めるのは当然でしょう。若手だけでなく日本の大学や研究機関で定年を迎えた高名な研究者も、定年後は日本ではよい研究環境を得られないため中国などに拠点を移す例をよく耳にします。若手のチャンスを広げるとともに、実績のある研究者が研究に専念できる体制作りも重要です。資金の充実はもちろんですが、人材活用のあり方も見直す必要があるのではないでしょうか。
2023年6月7日 11:47 』 -
「釣魚島が全てではない」 中国、搦め手の対日軍事外交
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE041E40U3A600C2000000/
『対外的な説明の少なさから強硬とみられがちな中国の「軍事外交」が、対日関係の文脈でにわかに注目されている。目をひくのは、沖縄県の尖閣諸島について、中国が自らの主張をする際の呼び名である釣魚島に関わる発言だ。
「釣魚島問題は、中国と日本の関係の全てではありません。双方が長期的、大局的な視点からこの問題をとらえるべきです」
中国の国務委員兼国防相の李尚福が、シンガポールで初めて対面で会談した防衛相の浜…
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『中国の国務委員兼国防相の李尚福が、シンガポールで初めて対面で会談した防衛相の浜田靖一に述べた冒頭の言葉である。長く日中両国のやりとりを観察していれば、違和感があるはずだ。何かが違うと。話し手は、硬直的な強硬さが目立っていた中国軍事外交の担い手。しかも、これは日本など多くの海外メディアも前にした公開発言だ。
確かにこの発言の前後には「台湾問題に手を出さないように」「日本側が中国に歩み寄り、摩擦や衝突を避けるよう希望する」という強い言葉がある。日本にクギを刺し、けん制しているのは変わらない。
中国外務省を飛び越えた伝達
ただし、尖閣問題が両国関係の全てではないのだと明言したうえで、双方が長期的な視点からこの問題をとらえるべきだと続けたのは、これまでより、相当程度、踏み込んでいる。見逃すべきではない。
もちろん、日本政府の立場は「日中間に領土問題は一切、存在しない」というものだ。この視点からみると、李尚福の言葉は、正面攻撃ではなく、裏の搦め手(からめて)から攻める奇手にもみえる。領土問題の存在と、尖閣の日本領海に中国公船が常時侵入している現状を暗に認めさせ、それを台湾問題にまで結びつける巧妙な手法だ。
本来、中国で対日外交を専管的に担うのは、中国外務省である。それにもかかわらず、軍事外交だけを担う閣僚が、その領域を飛び越えるかのように、あえてこういう発言をするのは異例だ。当然、それなりの意味と背景がある。
そもそも、中国側でかつて「尖閣問題は対日関係の全てではない」と強調していたのは、どういう勢力なのか。それを考えるには、11年前、在中国の日本企業も破壊対象になってしまった激しい反日デモ前後数年の日中関係の歴史を振り返る必要がある。
「日本を中国の一つの省(地方)として領土化せよ」という過激なスローガンまで掲げられた中国の反日デモ(2012年9月、北京で)
2012年9月、突然、反日デモが勃発する前のことだ。「中国の改革・開放政策を進めるためには、安定した国際環境の維持が必要条件で、これが中国外交に課された責務である」――。そう考える中国外交の主流派が、焦点になってきた尖閣問題について「これは対日関係の全てではない」と唱えていたのである。
鄧小平時代からの外交路線を重視する勢力は、中国外務省傘下のシンクタンクなどでも主流を占めていた。ただ、中国経済の驚くべき急成長に伴い自信がついたことで、「中国は『軟弱外交』を排して、対外交渉にもっと(軍事的な)力量を使うべきだ」という勢力も台頭してきていた。
軍絡む強硬派が尖閣を主テーマに
中国の軍、安全保障を担当する部門の対日強硬派が、東シナ海や尖閣諸島を巡る問題を対日関係のメインテーマであるかのように押し上げていく発端は、遡れば08年にある。
当時の中国国家主席、胡錦濤(フー・ジンタオ)と、首相だった福田康夫が主導した東シナ海の日中ガス田合意。尖閣と同じ東シナ海に関わる合意が、軍を含む対日強硬派の圧力を受けて潰れ、実行されなかったのである。
「もし、この合意が履行されていれば、中日関係はここまで悪化しなかっただろう」。これは、かつて中国側の内部事情を知る関係者が漏らした意味ある一言である。
そこから事態は悪化の一途をたどる。10年の尖閣での漁船衝突事件、12年の日本政府による「尖閣国有化」に端を発する大規模反日デモにつながっていく。これ以降、尖閣問題が日中間の外交・安全保障のメインテーマ、しかも、その全てであるかのように動いてきたのは、まさに中国側である。これが、日本側が抱く率直な感覚だ。
かつて、中国で外交的な穏健派が唱えていた「尖閣問題は対日関係の全てではない」という、まともにみえる主張を、今回、軍が公開の席でするに至ったのは、なぜなのか。
まず、制服軍人から抜てきされた李尚福が、中国軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の7人しかいないメンバーのひとりである点を考える必要がある。その中央軍事委のトップは、中国共産党総書記兼国家主席の習近平(シー・ジンピン)だ。
習近平が、中央軍事委主席に就いて以来、尖閣での動きは加速する。中国公船を指揮する海上法執行機関、中国海警局は18年、中央軍事委の指揮下にある人民武装警察部隊(武警)に編入された。
21年には武器使用を認める海警法を施行。海警トップには、海軍出身者が就いている。そして、尖閣周辺の日本領海への中国公船の侵入は、既に常態化してしまった。その公船を操っているのは、まぎれもなく中央軍事委=軍なのである。
中国を巡る国際情勢の悪化と関係
つまり、新任の軍事外交の担い手、李尚福は、暗に中央軍事委から発言権を付与されているとみてよい。そうであれば、中国外務省が発している「対日強硬」ばかりにじむ画一的なメッセージより、軍当局からの直接の声の方が、実態をよく表しており、はるかに重要という理屈になる。習指導部は特に軍重視、国家安全重視を宣言しているのだから。
3日、シンガポールで会談前に中国の李尚福国務委員兼国防相(左)と握手する浜田防衛相=共同
一連の動きは、シンガポールで中国が味わっていた孤独感と関係する。盟友、ロシアの国防相はいない。李尚福は、米国防長官のオースティンと現場で握手だけはしたが、会談は敢然と拒否した。個人への米国の制裁が解除されないことが理由だ。中国が自任する大国としての体面を優先したのである。
とはいえ、李尚福は、日韓両国の防衛、国防担当閣僚とは会談した。中国は、一段のウクライナ支援に踏み出した日韓の動きに気をもんでいたのである。原因はもうひとつあった。悪化していた日韓関係が一気に雪解けに進んだのも大いに気になっていた。
中国が日韓との会談まで避ければ孤立感が一層強まる。それを巧みに回避したのである。中国は、日本との間で不測の事態を回避する「海空連絡メカニズム」が始動し、李尚福自身が浜田とホットラインで通話もしていた。ここは大きな変化である。
一方、李尚福は最後にウクライナ国防相のレズニコフと会談した。ただし、ウクライナ側は「まずはロシアが軍を撤退させなければならない」とクギを刺した。ロシアとの仲介に意欲を示す中国に、いますぐの交渉は必要ないとの意志を明確に伝えたのだ。
中国の対米強硬の裏側
シンガポールで目立った米中の対峙だが、そこには隠れた裏もある。米中国防相の直接会談はなかったが、その下のレベルでの意思疎通を含めて全くなかったわけではない。「(衝突回避に向けて)現地で一定の接触はあったと考えてよい」。これが米中関係筋の見方である。続いて5日には、北京でも米中高官の会談があった。
会談を避けた李尚福国務委員兼国防相(左)と、オースティン米国防長官=AP
台湾を巡って中国は決して譲歩はできない。だが、米日韓とこれ以上、摩擦が強まれば、中国が置かれている総合的な安全保障環境が悪化し、軍事外交の余地も狭まる。これは、最終的に中国の「安全」を左右する中国経済にまで響いてくる。
中国は今、軍事外交という手段も駆使しながら、安保環境のこれ以上の悪化を防ごうとしている。中国にとって最大の問題は、もちろん米国だが、その範囲のなかに日本も入っていることを忘れてはならない。
日本にとっても「防衛外交」は思った以上に重みがある。ただ、中国の「軍事外交」に微妙な変化があるからといって、尖閣周辺で、中央軍事委が究極的な指揮権を握る中国公船の挑戦的な行動が根本的に改まるはずもない。今後も中国の動きを注意深く観察していくしかない。(敬称略)
中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。【関連記事】
・尖閣諸島周辺、101日連続で中国当局船
・中国、地図に「釣魚島」明示を義務化
・習近平氏、権力固めに尖閣諸島利用 現状変更重ねた10年 』 -
防衛装備の生産・輸出費助成、新法成立 企業の撤退防ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA06ABB0W3A600C2000000/
『防衛装備の生産や輸出を後押しするための法案が7日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。製造の効率化や供給網の拡充に必要な経費を補助し、輸出用に仕様を変える費用を助成する基金も設ける。利益率の改善を促して事業撤退を抑制し、防衛産業の維持・育成につなげる。
10月1日に施行する。施行後5年をめどに運用状況を点検し、法改正など必要な措置を検討する。
政府は自衛隊の任務に不可欠な装備をつくる企業のサイバー防御対策の拡充や事業承継の費用を支える。日本政策金融公庫は装備の生産や輸出の促進を目的とする資金の貸し付けに配慮すると法律に記した。
国が一連の支援策を講じても経営難からの脱却が難しい場合に限り、国が製造施設を保有し別の企業に運営を委託する。
経済安全保障の視点も反映した。防衛省は他国に意図せず機微な情報が流出するリスクなど供給網の安全性を調べる。企業は調査に回答する努力義務を負う。
情報管理も強める。自衛隊が使う装備に関する秘密を漏洩・盗用した場合、2年以下の拘禁や100万円以下の罰金といった刑事罰の対象となる可能性がある。いまは契約上の守秘義務にとどまり、違反しても受ける代償が比較的軽いとの指摘がある。
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米国、ウクライナ向け155mm砲弾製造に必要な火薬を日本から調達か
https://grandfleet.info/japan-related/u-s-procures-explosives-from-japan-to-manufacture-155mm-ammunition-for-ukraine/


『ロイターは2日「米国は155mm砲弾用のTNTを日本で調達しようとしている」と報じており、この件に詳しい関係者は「155mm砲弾を製造するサプライチェーンに日本企業を組み込みたいと米国は考えている」と述べている。
参考:US seeking explosives in Japan for Ukraine artillery shells
工作機械が直ぐに手に入らない米国、155mm砲弾に必要な火薬を日本から調達か
ウクライナとロシアの戦いは互いの防空システムが機能しているため「航空機の接近拒否」が成立、そのため戦場が要求する火力の大部分は砲兵戦力が提供しており、ウクライナのレズニコフ国防相は「戦闘任務を成功させるのに最低でも月36.6万発の砲弾を必要としている」と訴えてEUに月25万発の155mm砲弾を供給するよう要求、米国も備蓄分の取り崩しだけでは到底足りないため155mm砲弾の増産(2025年までに月9万発)に向けて準備を進めているものの、問題は増産に必要な工作機械の入手に時間が掛かる点だ。
出典:Сухопутні війська ЗС України
米陸軍で調達や兵站を担当するブッシュ次官補は3月「155mm砲弾の製造に必要な原材料は大量の備蓄があり、鋼材も十分過ぎるほどの供給量があるので原材料不足が今直ぐ問題になることはないが、工作機械だけは直ぐ手に入らないので砲弾増産は長い道のりになる」と述べており、どれだけ原材料があっても工作機械が手に入らない限り増産は出来ない。
月25万発の155mm砲弾を要求されているEUも直ぐに増産体制を整えるのが難しいため、砲弾製造に必要な部品(砲弾本体や炸薬など)の「域外調達」を承認したが、ロイターは複数の関係者からの話として「米国は155mm砲弾用のTNTを日本で調達しようとしている。日本側も工業用TNTの販売を許可すると米国に通知している」と報じており、この件に詳しい関係者は「155mm砲弾を製造するサプライチェーンに日本企業を組み込みたいと米国は考えている」と付け加えている。出典:U.S. Army Photo by Dori Whipple, Joint Munitions Command
因みにロイターは「火薬を製造する日本企業の中で『工業用TNTを製造している』と回答したのは広島にある中国化薬だけだ」と報じており、遂に155mm砲弾問題の話題に日本の名前が登場した。
関連記事:砲弾の増産に必要な原材料は十分過ぎるほどある、問題は工作機械の入手性
関連記事:EUがウクライナ向け砲弾の共同購入で合意、払い戻し対象は欧州製砲弾のみ※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Sgt. Victor Everhart, Jr.
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国連安保理、北朝鮮衛星めぐり緊急会合 結論出せず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02EDO0S3A600C2000000/『【ニューヨーク=佐藤璃子】国連の安全保障理事会は2日、北朝鮮による「軍事偵察衛星」の発射を受けて緊急会合を開いた。各国から北朝鮮を非難する発言が相次いだが、今回も一致した対応を取れなかった。中国やロシアが依然として北朝鮮への非難に反対の立場を示している。
会合は日本や米国、英国など7カ国の要請で開催された。米国のロバート・ウッド代理大使は「北朝鮮の衛星打ち上げを、最も強い言葉で非難する。今後さらに違法な兵器や弾道ミサイルの開発計画が進む可能性があるため、安保理は打ち上げの失敗を無視することはできない」と指摘した。
マルタの代表は「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に対し、安保理が対応できていないことは遺憾だ。北朝鮮による違法行為が当たり前になり、世界中の核拡散の危機に対し我々が無力であると受け入れていることを意味するだろう」と語った。
北朝鮮はすでに「速やかに2回目の発射を断行する」と主張している。国連のディカルロ事務次長は、弾道ミサイル技術を使用した発射は安保理決議に違反しているとした。
一方、ロシアのエフスティグニエワ国連次席大使は「きょうの会合で米国や韓国、日本が軍事活動を強化し、地域で悪影響を及ぼしていることについて誰も語らなかった。偏った発言ばかりで、極めて非生産的だ」と強調した。』
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米国、ウクライナ砲弾用に日本でTNTを求めている:報告書
https://www.aljazeera.com/news/2023/6/2/us-seeking-tnt-in-japan-for-ukraine-artillery-shells-report(※ 翻訳は、Google翻訳。)
『輸出規則では日本企業が海外に凶器を販売することを禁じているため、調達をめぐっては論争が起きる可能性がある。
ウクライナ軍の砲撃がバフムト近郊の前線に向けて発砲。 銃は迷彩の下に隠されています。 煙とオレンジ色の炎が出ています。
TNT は砲弾に使用される [ファイル: Kai Pfaffenbach/Reuters]
2023 年 6 月 2 日発行2023 年 6 月 2 日米国政府がロシア軍に対する計画的な反撃のためにウクライナに武器と弾薬を急ぐ中、米国は日本での155mm砲弾用TNTの供給を確保しようとしている。
平和主義者の日本にとって、ウクライナが南東部を占領するロシア部隊に毎日発砲する榴弾砲のような致死性の物品を輸出規則で日本企業が海外に販売することは禁止されているため、いかなる調達も論争を引き起こす可能性がある。
読み続けます
4つのアイテムのリスト
リスト 1/4
ロシア、さらなるベルゴロド攻撃を阻止、ウクライナを非難
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米国、新START核合意に基づきロシアとのデータ共有を削減
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ロシア・ウクライナ戦争: 主要な出来事のリスト、464 日目
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逃げ場なし:ウクライナの防空壕問題を住民が指摘
リストの終わりそれにもかかわらず、同盟国は世界的な弾薬不足の中でTNT販売を可能にする回避策を見つけたようだと、この問題に詳しい関係者2人がロイター通信に語った。
この問題に関する日本での議論に詳しい関係者の1人は、この問題のデリケートさを理由に匿名を条件にロイターに対し、「米国が日本から爆発物を購入する方法がある」と語った。
商業的に販売される軍民両用製品または機器の輸出制限は、純粋に軍事目的の品目ほど厳しくありません。
ロイド・オースティン米国防長官を今週接待した東京は、爆発物は軍事用途のみの製品ではないため、工業用TNTの販売を許可すると米国政府に伝えたと、別の関係筋が伝えた。
米国は、155mm薬莢に爆発物を詰めて米軍所有の軍需工場に爆発物を納入するために、TNTのサプライチェーンに日本企業を加えたいと考えている、とその関係者は付け加えた。
日本の通産経済省は、日本企業がTNTの輸出について打診したかどうかについては明らかにしなかった。同省は電子メールで、軍事制限の対象外の品目は、その使用が国際安全保障を妨げるかどうかなど、買い手の意図を考慮した通常の輸出規則に基づいて評価されると付け加えた。
日本の防衛省防衛装備庁はコメントを控えた。
米国務省は、米国が日本でTNTを購入する計画があるかどうかに関するロイターの質問には直接答えなかったが、米国は同盟国やパートナーと協力してウクライナを守るために「必要な支援をウクライナに提供する」と述べた。
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日本はすでにロシアのウクライナへの本格的侵攻をめぐり制裁を発動しており、防弾チョッキや食糧など非致死的援助の形で支援を提供している。
先月広島で開催されたG7首脳会議中にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が日本を訪問したことを受け、日本の岸田文雄首相はジープとトラックの寄贈に同意した。
岸田氏がウクライナ支援を望んでいるのは、ロシアの勝利が中国の自治島台湾攻撃を勇気づけ、同国を地域戦争に巻き込むことを政権が懸念しているためだ。
昨年、彼はウクライナが「明日は東アジア」になると警告し、彼の政権は日本の第二次世界大戦以来最大の軍事増強を発表した。
笹川平和財団の渡辺恒夫上級研究員は、ウクライナへの軍事援助の提供については日本でも受け入れが広がっているようだが、致死性の程度については議論があると述べた。
「日本がウクライナにトラックを供与することを決定したという事実は、状況が変わりつつあることを示している。しかし、致死性の救援物資を送る問題に関しては、まだ政治的合意が得られていないようだ」と彼は述べた。
日本は、軍事サプライチェーンの逼迫に苦しむウクライナに対し、米国政府が武器供与への支援を求めている数十の同盟国の一つだ。
韓国も155mm砲弾を使用しており、米国が接近している国の一つだ。韓国国防当局者はロイターに対し、キエフへの致死的支援の提供に対する韓国の立場は変わっていないと語った。
オースティン氏は今週東京で、致死的支援に関する日本の政策変更の可能性について質問され、記者会見で、いかなる変更も日本の問題だが、ウクライナへの「いかなる支援」も「いつでも歓迎」だと述べた。
ロイターの取材に応じた関係者らは、米国政府に爆発物を供給する日本企業の特定を避け、ワシントン政府がTNTをどれだけ購入したいかについても言及しなかった。
ロイターは日本火薬類工業協会のウェブサイトに掲載されている火薬メーカー22社に問い合わせた。工業用TNTを製造していると述べたのは、広島に本拠を置き、日本の軍需品を供給している中国化薬社だけである。
同社は電子メールで「米国政府や米軍から直接の問い合わせは受けていない」と述べた。
産業用TNT製品をウェブサイトに掲載している同社は、仲介業者を通じたTNT販売について協議しているのかとの質問に対し、顧客や潜在的な買い手の身元は明らかにしていないと答えた。
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国際海事機関が北朝鮮非難 「航行の安全に脅威」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR020J20S3A600C2000000/
『【ロンドン=共同】北朝鮮が5月31日に行い失敗した「軍事偵察衛星」の打ち上げについて、国際海事機関(IMO)は同日、本部があるロンドンで安全保障委員会を開き、国際的な航行や船員の安全に深刻な脅威を与えているとして非難決議を採択した。ロイター通信が報じた。
決議案は米国や日本、韓国、ウクライナなど13カ国が共同で提出した。北朝鮮はこれを拒否し「国家の安全を守るための自衛措置だ」と反発。「正確な科学的計算と、落下点や船舶のルートを考慮した」と主張した。
IMOは船舶の安全確保や海洋汚染防止を目的とした国連の専門機関で、北朝鮮を含む175カ国が加盟している。北朝鮮は5月30日、IMOに対し、衛星を発射すると通告していた。』
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米インドネシア演習に陸自水陸機動団 離島防衛を前面に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM295810Z20C23A5000000/『【ジャカルタ=地曳航也】米国とインドネシアの両陸軍は毎年実施する合同演習「ガルーダ・シールド」の2023年の概要を固めた。欧州や東南アジアなど20カ国を招待し、日本の陸上自衛隊の水陸機動団も初めて参加する方針だ。水陸両用の作戦の訓練を強化し、南シナ海の離島防衛という想定を前面に打ち出す。
8月末から9月中旬にかけ、インドネシア東ジャワ州の海岸にある同国海兵隊の訓練場など3カ所で実施する。イギリス…
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『イギリスやフランス、ドイツ、インド、韓国などを招待した。インドネシア国軍によると、一部はオブザーバー参加の見通しで、日本とオーストラリア、シンガポールは部隊の派遣を決めた。
海からの上陸など水陸両用作戦のほか、空挺(くうてい)、実弾使用の訓練を予定する。インドネシアは南シナ海の自国領ナトゥナ諸島の周辺の排他的経済水域(EEZ)で中国と資源をめぐって対立する。演習への参加が見込まれるフィリピンやブルネイは中国と南シナ海の領有権を争っている。
07年に始まったガルーダ・シールドは、中国の海洋進出をにらみ、参加国数や訓練の内容を年々拡大させてきた。日本や豪州を含め過去最大規模の10カ国以上が加わった22年は「スーパー・ガルーダ・シールド」と称した。23年も名称を維持し、拡大版を定着させる。
目玉の一つは、離島防衛を専門とする日本の水陸機動団の参加だ。18年の創設以降、フィリピンなど外国での訓練実績を増やしてきた。22年のガルーダ・シールドでは、初参加となった陸自が第1空挺団を派遣した。米グアム島からインドネシアのスマトラ島まで輸送機で移動し、パラシュートで着陸する練度の高い訓練を実施した。インドネシアはグローバルサウス(南半球を中心とした新興・途上国)の一角で、日米欧にも中国・ロシアなど権威主義諸国にもつかない独自のバランス外交を展開する。西側諸国にとってグローバルサウスの国々をいかに自陣営に引きつけるかは外交・安全保障の課題になっている。
インドネシアにとって、南シナ海での中国への対処は安保上の最大の懸案といえる。23年のガルーダ・シールドの招待国には日本や欧州など米国の同盟国が多く含まれ、西側諸国としてインドネシアを引きつけたい思惑も透ける。』












