核やミサイル開発懸念、中国核機関など追加 経産省
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA29BC00Z21C23A1000000/
『経済産業省は6日、大量破壊兵器の開発などの懸念がある「外国ユーザーリスト」を改正した。核兵器開発を担う国家機関の中国工程物理研究院(CAEP)をなどを追加した。11日から適用する。軍事転用されるおそれのある民生技術の流出を防ぐ。
今回の追加措置により、リストに挙げた組織は計36組織・機関増えて、15カ国・地域の計706件になった。国・地域別ではイランが223件で最も多く、北朝鮮の153件、中国と…
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『国・地域別ではイランが223件で最も多く、北朝鮮の153件、中国とパキスタンがそれぞれ101件で続く。イランと香港は計5件をリストから削除した。
中国は新たに7件が追加された。特にCAEPについては日本経済新聞の調査で日本企業がからむ工作機械が使われている可能性があると分かっている。
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中国に狙われた工作機械 核開発のサプライチェーンに潜む闇
中国のうち9割がミサイル開発への懸念が高いとされる組織が占める。他にも研究所や大学といった公的機関とみられる組織も多く、軍事技術開発で「軍民融合」の色が強いことがうかがえる。
外国ユーザーリストには核兵器やミサイルといった大量破壊兵器などの開発や製造に関わっているおそれの高い組織や企業が掲載されている。政府が2002年に導入し、経産省の調査に基づいて対象を選び、年に1回程度更新している。
輸出管理を巡っては兵器に転用できる品目を列挙した「リスト規制品」がある。国際合意を踏まえて定められたもので、これらの輸出には経産相の許可が必要だ。
該当しない品目でも輸出先に安全保障上の懸念があると許可がなければ輸出できない。輸出元の企業などは許可の申請にあたって大量破壊兵器への転用の可能性がないかなど、輸出先の用途を確認する義務がある。
海外では類似の制度に米国の「エンティティーリスト(EL)」がある。米国の安全保障や外交政策に反する世界中の組織や個人を列挙している。1997年に初めて公表され、掲載数は2000超に増えた。
単純比較はできないが、日本の外国ユーザーリストはELよりも実効性を欠くとの指摘がある。米国はEL掲載先への輸出を原則禁止している。日本は要注意リストにすぎず、直ちに輸出が禁じられるわけではない。
日本のリストはカバー範囲も限られる。
米国は大量破壊兵器の開発以外にも安保上懸念のある組織などを掲載しており数え方に差はあるものの、日本の外国ユーザーリストの掲載数は700程度にとどまる。国別でみても中国関連の数では米ELの600件程度と比べ、日本は101件と少ない。
今回追加したCAEPについても米商務省は97年からELに載せている。
懸念のある組織がリストから漏れればチェックをすり抜ける恐れがある。掲載される組織も大量破壊兵器への関与にとどまり、一部の軍需企業は含まれていない。
ユーザーリストには中国や北朝鮮の組織でも英語表記しかない例もあり、日本企業からは使い勝手が悪いとの不満も出ている。
調査や分析の人員が限られる企業にとってユーザーリストは輸出先を精査するための重要な情報源となる。中国やロシアなどは情報統制を強めており、日本企業だけでは資本関係に関する情報すら集めることが難しい例も増えている。
工作機械の中核部品を製造・販売する企業の輸出管理担当者は「企業が自主的に詳しく調べるのは限界がある」と話す。そのうえで「審査に数カ月かかれば事業機会を逃しかねない。少しでも懸念がある組織は掲載してほしい」と訴える。
輸出管理に詳しい拓殖大の佐藤丙午教授は「米国は懸念組織の部署単位まで細かくチェックしており、数と質の両面で網羅している」と指摘する。「経産省内に精緻な情報分析を担う専門組織を立ちあげるべきだ」と提起する。
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竹内舞子
経済産業研究所 コンサルティングフェロー、CCSIアジア太平洋 CEO
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貴重な体験談 かつてこのリストの作成に関わっていました。このリストへの掲載は制裁とは異なるので、取引の全面禁止や資産凍結というような効果はありませんが、企業に対し、大量破壊兵器開発に関与している疑いがある外国企業に関する情報提供をするとともに、取引の際にはリスクを踏まえて厳格な審査を求めるために公表されています。
民生品の性能向上や、軍事転用可能な技術のすそ野の広がりに伴い、軍事とは無縁と思っている企業の製品も海外の軍事関連企業に狙われています。個々の企業にとって、海外企業に関する情報収集は必ずしも容易ではありません。政府がリスクの高い海外企業の情報を公表することは、日本企業を守るうえで重要な取組です。
2023年12月6日 11:43 』


