靖国参拝などに「深い失望と遺憾」 韓国外務省が論評
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM153SM0V10C22A8000000/
『【ソウル=細川幸太郎】韓国外務省の報道官は15日、日本の岸田文雄首相による靖国神社への玉串料奉納や、閣僚の参拝を受け「深い失望と遺憾の意を表する。日本の責任ある人物が歴史への謙虚な省察と真摯な反省を行動で示すよう求める」との論評を出した。
論評は2文のみで、1年前の終戦記念日に出したものより短く、定型的だった。』
靖国参拝などに「深い失望と遺憾」 韓国外務省が論評
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM153SM0V10C22A8000000/
『【ソウル=細川幸太郎】韓国外務省の報道官は15日、日本の岸田文雄首相による靖国神社への玉串料奉納や、閣僚の参拝を受け「深い失望と遺憾の意を表する。日本の責任ある人物が歴史への謙虚な省察と真摯な反省を行動で示すよう求める」との論評を出した。
論評は2文のみで、1年前の終戦記念日に出したものより短く、定型的だった。』
尹大統領、日韓関係改善へ意欲先行 初の光復節演説
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM154VP0V10C22A8000000/

『【ソウル=恩地洋介】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は15日の演説で、日本との間で山積する歴史問題への解決に意欲を示した。自由への脅威に立ち向かうため、日本と協力していく姿勢も強調した。文在寅(ムン・ジェイン)前政権との違いをにじませたが、関係改善への具体策には触れなかった。
韓国の光復節は日本の植民地からの解放を記念する日で、大統領が対日関係などについて演説する。5月に就任した尹氏にとっては初となった。
尹氏は焦点の歴史問題に関して「普遍的価値を基盤に両国の未来と時代的使命に向かって進めば、歴史問題もきちんと解決できる」と述べた。解決方法への言及や、日本への注文はなかった。
大統領候補の時と同様、1998年に当時の小渕恵三首相と金大中大統領が署名した日韓共同宣言を継承したい考えを示し「韓日関係を早期に回復させ、発展させる」と語った。同宣言は植民地時代の韓国国民の苦痛を巡る日本側の痛切な反省と心からのおわびを盛り込んでいる。
元徴用工訴訟は原告が差し押さえた日本企業の資産が近く現金化される可能性がある。尹氏が具体的な対応に触れなかったのは、韓国内の意見集約が難航しているからでもある。
韓国外務省の官民協議会では、企業や個人が出資する基金や韓国政府が「代位弁済」する案などを検討したが、賠償の履行を求める一部原告は反対している。協議会に参加していた原告側代理人も、3回目の会議から出席をとりやめた。
こうした現状から、韓国政府は日本による謝罪などを念頭に「日本側の誠意ある呼応」(朴振外相)を求める。しかし日本は1965年の日韓請求権協定で問題は解決済みとの立場を取っており、韓国側がまず解決策を示すべきだとの姿勢を譲っていない。
原告と日本政府の板挟み状態に陥った尹政権は、大法院(最高裁)による現金化判断の先送りに期待をかけている。地裁が出した三菱重工業資産の売却命令について、最高裁が同社の再抗告を棄却すれば現金化の手続きが始まってしまう。
韓国外務省は7月下旬に「多角的な外交努力を傾けている」と訴える意見書を最高裁に提出した。現金化までの時間を稼ぎ、その間に国内調整と日本との外交交渉を進めたい考えだ。
北朝鮮の核問題や国内経済への対応にも触れた尹氏の演説では、「自由」という表現が33回にわたって登場した。自身の支持率が低迷するなか、保守系が重視する価値観を強調し、南北融和に傾斜した文政権との差別化を図ろうとしたとみられる。』
バングラデシュに初の日系工業団地 住友商事が年内開所
Zoomインフラ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC097Z30Z00C22A8000000/




『バングラデシュで初の日系工業団地が2022年内に開所する。住友商事が建設・運営を主導し総事業費は130億円。円借款で周辺の電力インフラも整備し、日系を軸に製造業が集まる「ものづくり基地」に育てる。経済特区指定を受けた数少ない国際水準の団地で、地元政府も税優遇で支援する。人口1億7千万のフロンティア市場へのメーカー進出を後押ししそうだ。
総事業費130億円、JICAも出資
首都ダッカから東に約20キロメートル。田園地帯に完工間近の工業団地「バングラデシュ経済特区(BSEZ)」が姿を見せる。広さは190ヘクタールと東京ディズニーランド4個分に近く、最大400ヘクタールへの拡張余地を残す広大な敷地だ。
BSEZは日系を中心とする外資メーカーの進出を見込んで住商などが開発してきた。1日には国際協力機構(JICA)が新たに資本参加した。
「バングラデシュはインフラの脆弱さが進出先としての魅力を一段落としていた」。住商の渡辺優二・物流インフラ事業本部長は同国市場の潜在力と受け入れインフラのギャップを指摘する。
実はバングラデシュでは大小約100の経済特区が登録されているが、実際に稼働している場所は限られる。BSEZは日・バングラデシュの官民が前面に出ている点が特徴だ。アジアで7カ所の工業団地を手がけて経験豊富な住商と政府とのパイプが強いJICAが連携し、BSEZの開発や入居企業管理を担う特別目的会社を運営する。日本企業にとって進出のハードルが下がる。
若き人口大国、内需に照準
住商・海外工業団地部の田川智晴氏は「国際水準のインフラが整ったバングラデシュ初の経済特区だ」と自負する。低地の同国にあって、BSEZは盛り土や堤防により水害対策も徹底した。
人口約2千万の巨大消費地ダッカから近く、渋滞がなければ30分ほどで市内と団地を行き来できる。ダッカに住む駐在員も通勤圏だ。それでいて団地周辺の住民は少ない。用地の選定では「(住民の立ち退き問題が生じた)ミャンマーのティラワ経済特区の教訓を生かした」(JICA)。
バングラデシュでは中間層も着々と育っている(6日、ダッカの給油所)=ロイター
バングラデシュは世界8位の人口大国で平均年齢は約27歳。ホンダや味の素は成長が確実視される内需に照準を合わせた現地工場を10年代から稼働している。労働コストもまだ安く、日本貿易振興機構(ジェトロ)によると21年のメーカー作業員の基本給は月105ドル(約1万4千円)とベトナムの半分以下だ。
日系企業の進出は10年で3倍の約340社に増えた。21年には三菱自動車が東南アジア製の部品で車両を組み立てる工場の検討を始めた。BSEZでも「新型コロナウイルス禍で決定が遅れているが、40社が進出を検討している」(住商)。
地元政府は税優遇
日本企業にとってアジアのフロンティア市場では、10年代にバングラデシュの隣国ミャンマーが急速に存在感を高めた。しかし21年2月のクーデターを境に多くの事業が中断を強いられた。最大都市ヤンゴン近郊で日・ミャンマーの官民肝煎りのティラワ経済特区を運営する住商にとっても誤算だった。
そのぶんバングラデシュは「ミャンマーの3倍の人口を持ち、政治も安定している親日国。ベトナムのように経済成長していく」(JICAの中沢慶一郎理事)といった大きな期待を背負う。
政府は縫製産業依存からの脱却を急ぐ(ダッカ郊外のアパレル工場)=ロイター
現地政府も外資の誘致に積極的だ。輸出の8割を縫製業が占めてきたが、人件費の安さ頼みの競争力は持続的でない。製造業の裾野を広げて産業の付加価値向上や輸入の削減につなげることが急務とみて、BSEZでは法人税などの減免でメーカーを支援。投資許認可などを一括で受け付ける窓口を設け、煩雑な手続きを円滑にする。
中国・インドも接近
BSEZの近隣では別の開発プロジェクトも進む。南東部のマタバリ地区では住商などが多目的商業港を建設。深さ16メートルの深海港で大型船が着岸でき、物流の増加に対応する。ダッカ近郊の国際空港のターミナル拡張工事や、空港と都市部をつなぐ鉄道の建設などでも日本勢が受注を重ねる。BSEZは国道でこれらのインフラにつながる。
もっとも、バングラデシュのインフラ開発に力を入れるのは日本ばかりではない。隣の大国インドはロシアと組んでの原子力発電所の建設や、石炭火力発電、港湾の開発を進める。中国は南部を中心に経済特区開発や国道の拡張、鉄道、石炭火力発電など手広く取り組み、将来の大型市場に浸透しようとしている。
経済成長底堅く 経常赤字にリスク
バングラデシュは新型コロナ禍の影響が限定的で、20年度(19年7月~20年6月)の実質国内総生産(GDP)成長率は3.5%で踏みとどまった。8%超の19年度から鈍化したものの、国際通貨基金(IMF)は21年度以降も5%を超える成長が続くとみている。
国連決議により26年には「後発発展途上国(LDC)」の分類から外れる見通し。ただ家電や自動車などの普及率は低く、内需の開拓余地は大きい。民主主義も定着し、フロンティア市場の中では政変リスクも小さい。
ただ、商品価格の高騰などを受け、バングラデシュでも経常赤字が膨らんでいる。IMFは「多くの国々と同様、マクロ経済上の課題に直面している」と指摘している。
バングラデシュの7月の外貨準備高は395億ドルと輸入の5カ月分はあるものの、前年同月の458億ドルから減少している。主力の観光業が低迷し20億ドルを割り込んだスリランカほど深刻ではないが、経済危機の連鎖を懸念する向きもある。
地元紙は7月、バングラデシュがIMFに45億ドルの融資を要請したと報じた。IMFは「金額はまだ議論していない」と説明するが、同国は経済環境の悪化や将来の気候変動リスクに備えるための支援に関心を示しているという。
低地の多い同国はかねて水害がビジネス活動における課題となっていた。今後は企業にとって経済成長に伴う人件費の急上昇や、イスラム過激組織によるテロのリスクも留意が必要だ。
(東京=宮住達朗、ムンバイ=花田亮輔)』
中国、反日感情高まりの兆し 関連イベントも中止に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM072DD0X00C22A8000000/

『【北京=羽田野主】中国で反日感情がくすぶっている。7月に南京市内の寺院で南京事件に関連して戦犯として処刑された日本軍人の位牌(いはい)が奉納されていたとの告発があり、インターネット上で猛反発が巻き起こった。日中は9月に国交正常化50年を迎えるが、日本を連想させるようなものに批判が集まるなど、反日感情が高まる兆しも出ている。
「だれの仕業だ?」。7月下旬、日本軍人の位牌奉納についてSNS(交流サイト)などで騒ぎが起き、南京市の共産党委員会と市政府が動く事態に発展した。寺の尼僧は逮捕された。
7月末には北京市の地下鉄駅で昔の北京の市場を表現したとされる壁画が「中国人ではなく日本人に見える」「画風が日本の浮世絵のようだ」として物議を醸した。
日本の夏祭りをイメージしたイベント「夏日祭」も、東北部の遼寧省から南の雲南省の一部の都市まで次々と中止に追い込まれた。安倍晋三元首相が死去した際には「今日はお祝いだ」「狙撃者は抗日英雄」と心ない書き込みがSNSにあふれ、いまも放置されたままだ。
反日感情が高まりやすいのは習近平(シー・ジンピン)指導部が対日強硬姿勢を維持してきたためだ。日米両政府が「台湾海峡の平和と安定」を唱えるたびに中国外務省は「内政干渉だ」と猛反発してきた。
ペロシ米下院議長の台湾訪問も重なり、習指導部の対日姿勢がさらに強まる可能性もある。中国共産党の機関紙、人民日報は15日付の重要コラム「鐘声」で「日本はかつて台湾を不法占拠し、60万人以上の台湾同胞を殺害した」と主張。「言動を慎むべきだ」と強調した。
中国外務省の鄧励外務次官は4日、日本の垂秀夫駐中国大使を緊急に呼び、台湾情勢に関する主要7カ国(G7)の共同声明を発表したことに抗議した。大使の呼び出しは異例で、習氏が自ら決裁した場合に可能とされる。
8月上旬の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合で林芳正外相の発言中に王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は途中退席した。中国外務省の華春瑩報道局長は5日の記者会見で「日本の指導者は最近、台湾問題でも態度が悪く、中国人の不満を買っている」と批判した。
中国は秋に共産党幹部の人事を決める党大会があり、3期目を確実にしたい習氏は日本に弱腰とみられたくないのが本音とみられる。
国交正常化40年だった2012年には民主党政権が尖閣諸島の国有化を決め、胡錦濤(フー・ジンタオ)政権(当時)が猛反発。国交正常化を祝う式典は吹き飛んだ。政治的に最も敏感な時期がまた近づき、習指導部も神経質になっている。
【関連記事】
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多様な観点からニュースを考える
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川島真
東京大学大学院総合文化研究科 教授
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分析・考察
日本側に「身に覚え」があれば反日運動も「理解」可能だが、中国が自ら「問題」を設定し相手がそれを無視すると怒り出すなら、相手は反応できない。中国は、蔡英文政権を独立志向と見て、日本がその背後にいると見る。また、日本は50年台湾を統治し、現在も台湾に野心があると警戒し、日米が連携しているとする。だからこそ、アメリカが動くと中国の視線は日本に釘付けになる。だが日本側からすればこの独自の理論は理解困難だ。歴史認識どころか現状理解も日中でここまで異なれば対話も難しい。人事を控え、国内宣伝を強化して言説が保守化しているのだろうが、それが国境の外に溢れ出ても外国は受け入れられない。外国は国内とは異なるのだ。
2022年8月16日 8:10 』
中国、靖国参拝に反発 副報道局長「誤った態度だ」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM156GX0V10C22A8000000/
『【北京=羽田野主】中国外務省の汪文斌副報道局長は15日の記者会見で、岸田文雄首相が靖国神社に玉串料を奉納し、閣僚も相次ぎ参拝したことについて「歴史問題を扱ううえで日本政府の誤った態度を改めて映し出した」と反発。抗議のため日本側に申し入れをしたと説明した。
汪氏は「日本は歴史の教訓をくみ取り、軍国主義をたちきり、アジアと国際社会の信頼をさらに失うのを避けるべきだ」と主張した。
在日中国大使館も報道官談話で「強い不満と断固とした反対」を表明した。「靖国神社は日本の軍国主義による侵略戦争の象徴」と指摘。「侵略戦争を美化し、歴史認識をねじ曲げる行為をやめる」よう日本側に求めた。』
中国のミサイル発射非難、日米防衛相が電話協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1613F0W2A810C2000000/
『浜田靖一防衛相は16日、就任後初めて米国のオースティン国防長官と電話で協議した。中国による4日の弾道ミサイル発射を強く非難した。いかなる事態にも対応できるよう緊密で隙のない連携を確認した。北朝鮮への対処で日米韓3カ国の防衛協力が重要だとの認識も共有した。
浜田氏が協議後、防衛省で記者団に明かした。中国軍は4日から台湾周辺で軍事演習をし、防衛省は日本の排他的経済水域(EEZ)内に5発の弾道ミサイルが落下したもようだと発表した。
浜田氏は国家安全保障戦略などの策定を通じた防衛力の抜本的強化への決意を伝え、日米双方の戦略をすりあわせると確かめた。記者団に「日米同盟の抑止力、対処力の強化や自由で開かれたインド太平洋の維持・強化に向けて取り組む」と話した。』
防衛費2%、抑止力向上が急務 台湾有事で継戦能力など
岸田改造内閣の課題④
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE12AMO0S2A810C2000000/


『岸田文雄首相は防衛力の強化を「年末に向けた最重要課題のひとつ」と位置付ける。防衛費を国内総生産(GDP)比2%の水準に増やすことが軸となる。台湾有事の懸念が強まり、本質的に重要なのは実際に機能する抑止力の向上だ。米国との協力や財源などの具体論を巡り、自民党との調整も欠かせない。
ロシアによるウクライナ侵攻は半年近くに及び、なお続く。内閣改造前には中国が台湾周辺の演習で日本の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイルを撃ち込んだ。台湾有事が日本に直結することを想起させた。
日本が仮に防衛費をGDP比2%にあたる11兆円ほどに増やしても、中国の2022年度の国防予算の半分に満たない。現実に抑止力を高めるには従来の延長線で積み増すだけでは不十分だ。
「何から何を守るのか」という基本の徹底がまず必要になる。首相は防衛相に任命した浜田靖一氏に防衛力強化を巡る方針を伝達し、そのひとつに「弾薬の確保など継戦能力」を挙げた。
冷戦時は米軍が日本防衛の態勢を整えるまでの数週間を耐えることを基本的な考え方にした。戦闘継続の想定は曖昧で、弾薬は南西諸島の防衛に必要な2カ月分しか貯蔵していない。
しかも弾薬の7割は北海道にあり、南西方面に即応できる配置とは言い難い。
安倍晋三元首相のもとで弾薬の追加などに踏み切ったものの、沖縄や九州などへの備えは途上だ。地元の理解を得ながら必要な保管場所を増やす努力は引き続き求められる。
台湾を巡る緊張の高まりも継戦能力への懸念を浮き彫りにした。中国の軍事演習は日本が輸入する原油の9割が通る台湾南方のバシー海峡に及んだ。日本の石油の国家備蓄は半年分に満たない。
中国のハイテク装備への対処も急務だ。
中国は軍事演習にあわせ沖縄県周辺などで偵察型無人機を飛ばした。民生技術を活用した無人機で日本は後れをとる。「防衛省の予算」にとどまってきた縦割りの防衛予算の弊害などもあり、防衛に役立つ科学技術研究が広がってこなかった。
4兆円規模の科学技術研究費のうち防衛費における研究開発費は3%ほどで、同盟国の米国の15%に見劣りする。
米国は国防総省の下に「国防高等研究計画局(DARPA)」を置き、軍事利用を見据えた先端技術の研究・開発を担ってきた。全地球測位システム(GPS)衛星やインターネットの基盤技術を生み出した。
拓殖大の佐藤丙午教授は「個別の装備品の取得や能力向上の話はでているが日本がどういう防衛戦略を採るかが見えていない」と話す。「どう戦争を抑止するかなどを明確にする構想力が問われている」と指摘する。
足元の政府・与党の増額論は防衛費がGDP比で2%になるかどうかに関心が集中してきた。
自民党最大派閥の安倍派に所属する萩生田光一政調会長は就任直後から「GDP比2%以上を念頭に置く」と強調した。GDP比2%は安倍氏らが唱えてきた経緯があり、安倍派などが重視する。
首相は10日の記者会見で防衛費増を巡り「安倍氏の意見を念頭に置きながら議論を深める」と語った。
一方で浜田氏は「必要な事業をしっかりと積み上げ、防衛力を5年以内に抜本的に強化していく」との見解を示す。「積み上げ」は「GDP比2%ありきではない」との姿勢だと捉えられる。
抑止力を高めるうえでの財源論は積極財政派と財政再建派の主張の違いが絡む。安倍氏らは財源について増税でなく国債の発行で賄うべきだとの立場をとってきた。財務省などには増税論がある。
防衛力強化へ8本柱 防衛省、概算要求最大5.5兆円に
政府・与党は国家安全保障戦略などを改定する年末にかけ、防衛力強化の具体策を協議する。防衛省は8月末までの2023年度予算の概算要求へ柱となる8項目をまとめた。過去最大の5兆5000億円台を計上したうえで、金額を示さない「事項要求」として掲げる方向だ。
相手の攻撃圏外から撃ち込む長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」の早期装備を示した。島しょ部などに部隊を迅速に展開する輸送力の整備も重視した。
技術の進展や戦い方の変化を映し、無人機や宇宙・サイバー・電磁波など新領域の分野も重点に置いた。軍事的手段と非軍事的手段を組み合わせる「ハイブリッド戦」に対応するために情報収集力を高める。
弾薬・燃料の確保や部品不足の解消、自衛隊施設の強靱(きょうじん)化といった継戦能力の維持を盛った。国内で装備品の開発や生産、修理などを手掛けられるよう防衛産業の支援も挙げた。
概算要求で示す5兆5000億円台は「これまでの延長線上にある防衛力整備事業」との位置付けだ。人件費や維持費などが軸になる。「防衛力の5年以内の抜本的強化」に資する項目は別建てで事項要求にあげる。
【「岸田改造内閣の課題」記事一覧】
・旧統一教会問題の不信増幅、政策遂行に影 改造内閣発足
・根拠薄れた感染対策、見直し急務 ウィズコロナへ岐路
・揺れるエネルギー安全保障 原発活用、議論は不可避
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小黒一正
法政大学経済学部 教授
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別の視点
戦前の財政基盤は脆弱でした。例えば、『昭和財政史 第四巻-臨時軍事費-』(大蔵省昭和財政史編集室編)によると、日本の過去の戦争(日清戦争以降)において、戦費に占める国債および借入金の割合は、日清戦争が51%、日露戦争が82%、第1次世界大戦が61%であり、太平洋戦争では86.4%にも達しています。国債発行にも限界があり、安全保障上の脅威に対する日本の対応力を増すためにも、平時では、防衛費の増強に関する議論のみでなく、過剰な政府債務を適切な水準まで引き下げることにより、有事に陥っても大規模な国債発行が可能な余力を高める議論も重要と思います。
2022年8月16日 8:59 (2022年8月16日 8:59更新)
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察
2%枠の話が独り歩きしているのはその通りだと思うが、増えた分を何に使うのかというといきなり弾薬とかスタンドオフミサイルといったお買い物リストが出てくる。大事なのは、どういう防衛戦略に基づいてそれらの装備を必要とするのか、ということ。買い物に行って、目立つ材料を手あたり次第買ったところでちゃんとした料理を作れるわけではない。メニューを決め、レシピがあって、初めて仕入することが出来る。「良いミサイルが手に入ったから、こういう防衛戦略にしよう」という「シェフの気まぐれ防衛戦略」というのがあれば別だが。
2022年8月16日 0:59 』
日米共同訓練が5割増 1~7月、台湾有事念頭で海に重点
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA110E30R10C22A8000000/


『自衛隊と米軍の共同訓練が増加傾向にある。1~7月は2021年の同時期と比べて5割増え、20年の同時期比では倍に当たる。台湾有事で最前線となる海上での訓練拡充が目立つ。対中国を念頭に抑止力の向上につなげる。
航空自衛隊と米空軍は9日、沖縄周辺で計10機の戦闘機による共同訓練をした。中国軍が台湾周辺で軍事演習を始めた4日も、日米の戦闘機が共同訓練をしていた。初めて「存立危機事態」を想定した訓練もするなど質の向上も狙う。
防衛省の公表に基づいて日米2国間の共同訓練の回数を日本経済新聞が集計した。22年1~7月は統合幕僚監部、陸海空の3自衛隊あわせて51回実施した。21年の同時期は34回、20年は23回だった。
そのうち最も回数が多かったのは海上自衛隊の29回で全体の半数以上を占めた。21年の同時期比で3割増えた。
日米の共同訓練が今年に入って増えた背景に、ロシアのウクライナ侵攻後、中国やロシアが日本周辺での軍事活動を活発にさせたことへの警戒がある。北朝鮮も大陸間弾道ミサイル(ICBM)級を含むミサイルを複数回発射した。
中国軍は8月、台湾周辺で軍事演習を展開し、発射した弾道ミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)に初めて落下した。台湾有事になれば日本にも影響が及びかねないとの現実味も増した。
海上からのミサイル迎撃や中国艦艇の監視などでは海自の対応が重要になる。日米は中国が海洋進出を強める東・南シナ海や沖縄県の尖閣諸島や先島諸島周辺の訓練を重視する。
海自の護衛艦と米軍の駆逐艦などは相互運用性を向上させて円滑な連携ができるよう、共同対処の方法を確認する。5月には関東沖の太平洋で米空母の「ロナルド・レーガン」も参加して敵の潜水艦を探知して攻撃する訓練をした。
5月の首脳会談の共同声明でも「戦略を整合させ、共同の能力を強化する」と明記した。米軍との共同訓練は「拡大抑止」の強化にもつながる。
日米がともに参加する多国間訓練や演習も合わせると回数はさらに増える。
2月下旬のウクライナ侵攻後、自衛隊は「Quad(クアッド)」構成国のオーストラリアとインド、欧州の英仏、東南アジア諸国などと20回程度訓練した。6月には自衛隊が北大西洋条約機構(NATO)軍とおよそ4年ぶりに訓練をした。
日米は回数だけでなく、実戦を念頭に置いた訓練の質の向上も進める。
8月4日まで米ハワイ沖で展開した「環太平洋合同演習(リムパック)」で、自衛隊が「存立危機事態」を想定した実動訓練に初めて臨んだ。リムパックには海自の護衛艦や陸上自衛隊の西部方面隊が参加した。
「存立危機事態」は日本と密接な関係にある他国が攻撃され、日本国民の生命などに危険が及ぶ状況を指す。集団的自衛権の限定行使が可能になる。一般的に米軍への攻撃を想定している。台湾有事で日本の自衛隊が戦闘に加わる根拠にもなり得る。
空自は22年に入り、北朝鮮のミサイル発射や中国軍機が日本周辺を飛行した直後に、日米共同訓練の様子を公開するようになった。共同訓練は事前に公表するもの以外は数日後に発表するのが慣例で、直後の公開は異例の措置といえる。
防衛省幹部は「日米がすぐに共同対処する様子を見せることは中国などへの効果的なメッセージになる」と話す。
岸田文雄政権は年末までに国家安全保障戦略など3文書を改定する。自民党は防衛計画の大綱を米国が持つ「国家防衛戦略」に衣替えし、部隊間で作戦の連動性を高めるよう促す。安保環境の厳しさが増すアジアで、日米一体運用は双方の課題になる。
元海上幕僚長の武居智久氏は「共同訓練の最大の目的は相互運用性を高めることだ。自衛隊は米軍の最新の戦術を学ぶことができ、米側は自衛隊の実力を評価する機会になる」と話す。
「政治的な必要に応じて示威を目的として訓練することもある。安保戦略改定を見据えた共同作戦能力の確認という見方もできる」と分析する。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/U.S.-and-Japan-step-up-joint-drills-by-50-as-Taiwan-tensions-rise?n_cid=DSBNNAR 』
<独自>機密情報取り扱い資格を制度化へ 経済安保、改正案を来年提出
2022/6/19 22:45
https://www.sankei.com/article/20220619-G5SOJLVRXFIEZE7PYB4NZSSB7U/

『政府は、経済安全保障に関する機密情報の取り扱い資格「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の制度化に向け、来年の通常国会に経済安保推進法改正案を提出する方針を固めた。複数の関係者が19日、明らかにした。政府は5月に成立した経済安保推進法に盛り込む方針だったが個人情報保護の観点から慎重論があり見送った。しかし、米欧各国の防衛や情報関連企業と日本企業が共同研究を行う際、資格が求められる事例が増え、早期の法制化が必要と判断した。
適格性評価は、機密情報へのアクセスを一部の政府職員や民間の研究者・技術者に限定する仕組み。人工知能(AI)や量子技術など最先端技術に関する機密情報に触れる関係者に資格を付与して明確にし、軍事転用可能な技術や民間の国際競争力に関わる情報が国外に流出することを防ぐ狙いがある。
ハイテク分野で台頭する中国などを念頭に、制度の導入で先行する米国や欧州の主要国から制度を持たない日本との共同研究では機密情報が漏れる可能性が警戒されてきた。放置すれば先端技術に関わる国際共同研究に日本企業が参加できなくなる恐れがあり、経団連は2月、適格性評価について「相手国から信頼されるに足る、実効性のある情報保全制度の導入を目指すべきだ」とする意見をまとめた。衆参両院の内閣委員会は経済安保推進法の付帯決議で、制度の必要性を求めた。
こうした情勢を踏まえ政府は、7日に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」に「重要情報を取り扱う者への資格付与について制度整備を含めた所要の措置を講ずるべく検討を進める」と明記。資格が求められた事例や海外の実施状況などを検証し、導入に向けた論点整理を進めている。』
【限定公開】戦後日本の「線引き」と「しばり」 今こそ夢から目覚める時
歪んだ戦後日本の安保観 改革するなら今しかない
千々和泰明 (防衛省防衛研究所戦史研究センター安全保障政策史研究室 主任研究官)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27431


『今、北東アジアの国際政治は100年に1度の地殻変動に見舞われつつある。
この地域の安全保障に関して懸念される事態は、台湾有事だ。5月のバイデン米大統領の訪日中の発言でもっとも注目されたのも、台湾有事における米国の軍事的関与についてであった。
実は北東アジア(あるいは極東)の地域秩序は、1世紀単位で考えると驚くほど一貫性がある。それは、日本と朝鮮(少なくともその南部)、そして台湾が、同一陣営にグリップ(関係維持)されてきた、という点だ。
このような極東の地域秩序は、日本が日清戦争の結果として台湾を獲得し、さらに日露戦争の講和条約であるポーツマス条約署名にいたる過程で、朝鮮での優越権保持が列強に承認されたことに起源を持つ。同条約が署名された年になぞらえて、このような地域秩序を「極東1905年体制」と呼ぶことができる。
たしかに、このような地域秩序のパワーの面での担い手は、戦前の日本帝国から、戦後は米国に変わった。またここでのグリップは、日本帝国による植民地支配という「強制」から、日本、韓国、台湾が、それぞれ米国の防衛コミットメントを「同意」にもとづいて受け入れるものに変化した。
それでも、これらの国や地域が、パワーの裏づけによって同一陣営にグリップされるという地域秩序の存在は変わらない。これにより、日本は自国の安全を確保することができた。また、極東に「力の空白」を生じさせたり、域内紛争を起こしたりしない意味もあった。
この「極東1905年体制」の維持を戦後においても可能にしたのが、アジア太平洋地域における米国を中心とする「ハブ・アンド・スポークス」(中心の核と、そこから放射状に広がった線)型の同盟網だった。
日米同盟は米国を中心とする
「ハブ・アンド・スポークス」の一部だ
(出所)各種資料を基にウェッジ作成 』
『戦後なお引き続いたアジア太平洋諸国の対日不信から、同地域において北大西洋条約機構(NATO)型の多国間安全保障機構は創設されなかった。一方、このハブ・アンド・スポークス型の同盟網の中で、日米同盟はとりわけ米韓同盟と密接な関係にあった。
矛盾が覆い隠されてきた「一国平和主義」
日米安全保障条約は、米軍は日本の基地を、日本防衛だけでなく、「極東」有事のためにも使用できるとしている。特に朝鮮有事においては、在日米軍は日本政府と事前に協議することなく直接紛争に軍事介入できるとする、日米両政府間の「密約」も存在した。日米同盟は、それだけで自己完結的に存在しているわけではなく、本来的に米国を中心とした極東における安全保障システムの一機能なのだ。そしてこのようなシステムが、「極東1905年体制」を事実上支えてきたのである。
一方、戦後の日本では、自国を取り巻くこうした戦略的・地政学的現実にもかかわらず、いわゆる「一国平和主義」が定着した。安全保障をめぐって日本と日本以外のあいだで「線引き」ができる、との前提に立ち、日本の責任と関与は前者のみに限定すべきだ、とする独特の安全保障観である。
米ソ冷戦、そして冷戦終結後の束の間の米国「一極支配」は、朝鮮戦争休戦以来、極東における戦争勃発を強く抑止してきた。それにより、「極東1905年体制」と日本の「一国平和主義」の矛盾は覆い隠されてきた。
ところが今日では、大国化した中国が覇権主義的行動をとる一方、米国は「世界の警察官」としての立場から退きつつある。もし中国が台湾の武力統一に乗り出せば、それは単なる一時の局地戦争にとどまらない。20世紀初頭以来の極東地域秩序の崩壊を意味するだろう。
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