習近平氏のNo2の座を巡る争い
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/33068414.html
『以前、習近平氏の片腕として機能するNo2の座を巡る二人の人物について記事にしました。蔡奇氏は、習近平氏が福建省の党幹部時代からの部下で、腹心と言って良い付き合いです。中央委員会書紀処第一書記、中央弁公庁主任、国家安全会議副主席など、本来は別々の人間が担当する独立したポジションを、兼任していて、その権力は実質的に李強首相に並ぶものです。基本的に党の仕事をしていますが、一部行政の官職を兼任して、両方に睨みを効かせています。序列的には、NO5ですが、今の共産党は、いかに習近平氏の信任を得るかで立場が決まるので、実質的にNo2候補です。元北京市共産党トップです。習近平氏との長い付き合いから、福建幇と呼ばれています。
李強氏は、元上海市共産党トップで、前回の人事で、間を数段すっ飛ばして、首相に抜擢された序列のNo2です。浙江省時代に、民間企業振興に力を入れて、アリババ創業者のジャック・マーを始めとした浙江民間企業家との関係が深いと言われています。彼も、習近平氏が浙江省の共産党トップだった3年間に、側近として仕えた関係があります。なので、浙江幇と言われています。現在、習近平氏が潰しにかかっているIT企業など、江沢民派の財源とも言える企業に近いので、系統としては冷遇される対象に近いのですが、経済には明るい方と言われています。ただ、完全に習近平氏の腰巾着的立場で、先日まで行われていた武漢肺炎対策でも、その徹底ぶりで取り入っていたので、出世で抜かされた共産党幹部からも、人民からも人気は無いです。
で、リンク先の記事に詳しいのですが、手順を踏んでいない大抜擢で首相になったので、部下の信頼を得ておらず、副首相を経験していないので、本人も国の将来に対するビジョンも無く、出世したは良いものの、行政手腕という意味では、無能という評価が一部で出ています。地方行政と国政では、やはり中身が違ってきますので、立場が強力で、習近平氏という後ろ盾があっても、うまく政治が転がせない感じです。なので、前任の故・李克強元首相の経済政策を、そのまま言葉だけ変えて採用したり、引退した古株の幹部を現役復帰させて政務を回したり、凄く苦労しています。
その為、最近では蔡奇氏が、目立ってきていて、習近平氏周りの事を手掛ける有能な秘書的な役割になっています。良く民間企業でも見られる、妙に社長の覚えのある秘書室長が、社内で権限を振るうみたいな感じですね。習近平氏に上申する時には、蔡奇氏を通したり、習近平氏からの下達は、具体的な指示に蔡奇氏が手はずを整えるみたいな感じです。党務が蔡奇氏、行政が李強氏と、テリトリーは分かれているのですが、習近平氏からの指示は蔡奇氏を通して、分け目無く執行されるみたいな感じです。こうなると、権限的な立場として、李強氏と蔡奇氏で、どっちが上とは言えないです。官僚のタイプとしては、李強氏が技官で、蔡奇氏が文官という感じです。
李強氏 蔡奇氏
画像は、御本人達ですが、蔡奇氏は、見た目が怖い、切れ者の文官という感じで、実際、黙々と政務を処理する官僚タイプで、笑顔を滅多に見かけないという異名を持つ人物です。冷徹な感じがしますが、権力闘争においては、押しの強いタイプで、既に李強氏を牽制して、色々と手を打っています。何をししてくるのか判らないので、敵には回したくない人間です。策謀家という意味では、習近平氏とは阿吽の呼吸で付き合えるのかも知れません。
李強氏は、つい先日、中国が金融部門に対する共産党の指導を強化するため設置した「中央金融委員会」のトップに就任しました。金融行政は、共産党青年団出身という勉学で選抜されたエリート官僚の牙城で、本来、習近平氏や李強氏が口を出す分野ではありません。つまり、習近平氏的には、方向性だけ指示して「よきに計らえ」と言えば、実現する具体的な方法は、これらのエリート官僚が考えます。改革開放の祖と言われている鄧小平氏からして、「俺は経済の事は判らん」と言って、具体的な方策は、これらエリート官僚にお任せしていました。実際、金融行政は専門知識が必要なので、テクノクラートの領分です。共青団派の管理をする為、委員会を作ってトップに息のかかった子分を置くという手法を、ここでも使っています。故・李克強元首相に、何もさせなかったのと同じ手法です。
一見すると、李強氏の権力が強まった感じに見えますが、習近平氏も李強氏も、金融行政レベルでは、ド素人なので、「役に立たない」と言われています。穿った見方をすると、金融政策で失敗した時に、殴られる用のサンドバックとして李強氏を、金融行政の委員会のトップに据えたという説もあるくらいです。つまり、習近平氏の便利な弾除けです。最悪、責任を取らされて、左遷させられる可能性があります。習近平氏の意向を政務としてやらされて、結果の責任は取らされる役目という事です。うまくいった場合の手柄は、もちろん、全部が習近平氏です。
ここまでの話を聞くと、蔡奇氏が立場的に安定しているように見えますが、どうも、そうでも無いようです。最新の噂では、習近平氏の寵愛を失ったという話も出ています。新疆ウイグル自治区の馬興瑞氏が、蔡奇氏が務めている党中央弁公庁主任の後任として、既に予定されているという噂です。もともと、蔡奇氏は兼任で、この地位(日本の官房長官に相当)にいるので、左遷人事かどうかは微妙ですが、習近平氏の最も親しい役職が、別人の担当になる事になります。
馬興瑞氏が選ばれたと噂される理由は、彼が技術官僚だからです。つまり、目の前の課題に対して、人材不足が起きていて、実務知識のある人間を重用せざるを得ないという事です。バチバチに権力闘争をして、本来ならば、そういう知識を持っている共青団派閥を追放してしまったので、処理できる人材がおらず、育てる時間も無かったという事です。そして、首都の権力中枢から遠いという意味で、既存のどこの派閥にも属していないので、安心して仕事を任せられる人材として呼び寄せられたという事です。もちろん、今の時点では、噂でしかないですが、複数のソースが示しています。
また、一つの見方として、これが実現した場合、福建幇・浙江幇に加えて、従来は共青団派が果たしていた三竦みの状態を、無派閥という形で効力を発揮する事になり、権力闘争を牽制する役割も果たすのではないかとも言われています。
習近平氏自身の体調不良も噂され、彼の後継となる人物も決定されていません。3期目が終わる頃には、年齢的にも続投が難しくなるため、現時点でのNo2は次期指導者になる可能性が高いです。これは、序列という意味ではなく、実質的に習近平氏に続くNo2という意味です。国家体制としては、「皇帝」の跡継ぎが決まっていないというのは、非常に不安定なので、ある意味、権力構造が不安定とも言えます。一瞬で、誰でも首が飛ばせる権力を持っている習近平氏の場合、今現在の地位が何も将来を保証しないという危うい状態です。』






