Ukraine Air defense3.jpg1月25日付Defense-Newsが、米空軍大佐とシンクタンク研究員の寄稿を掲載し、米国とドイツがウクライナに最新戦車提供に合意したことを受け、世間では次はウクライナに戦闘機を提供すべきとの意見があるがそれは完全な誤りであり、ロシアが戦術転換でミサイルや無人機攻撃によるウクライナ民間インフラ攻撃を激化させる中でも、ウクライナは犠牲を耐え忍んでも防空兵器枯渇を防止する選択的使用に舵を切り、防空兵器によりロシアの航空優勢確保を拒否し続けるべきだと主張しています
従来の航空優勢確保は、敵の防空兵器を味方の戦闘爆撃機などで物理的に破壊するSEAD(suppressing enemy air defense)を通じてでしたが、ウクライナでロシア軍は史上初めて、無人機や長射程ミサイルを敵国民や社会インフラに向けて発射し、「敵の防空兵器を強制的に消耗させることによる航空優勢の獲得」を狙っているとも表現しています
Ukraine Air defense.jpg寄稿者の主張は厳しい選択をウクライナに迫っています。弾薬在庫が限られた西側各国からの防空兵器支援は今後あまり期待できない現状を踏まえ、ロシア軍によるウクライナ国民や重要社会インフラに対する攻撃にも、防雨兵器の使用は選択的に抑制し、少しでも長く防空兵器を温存してロシアの完全な航空優勢確保を拒否する「air-denial strategy」を継続すべきとの提案です
Ukraine Air defense2.jpg寄稿者は、輸送機パイロットのMaximilian Bremer米空軍大佐(空軍輸送コマンド特殊計画部長)と、スティムソンセンター上級研究員でジョージタウン大学教員のKelly Grieco客員教授の2名です。ウクライナでの戦況や戦闘機提供の狙いを十分把握していませんが、この寄稿の提言はオプションとして議論に値するものだと考えご紹介しました
Ukraine Air defense4.jpg先日、ウクライナ空軍の戦闘機パイロットがロシアの無人機や巡航ミサイル要撃任務に従事し、厳しい緊張感に苦悩しているとの外国メディアの報道を見ましたが、実態としては、ウ空軍の戦闘機パイロットは戦いにほとんど貢献できず、高価なアセットとこれまでの訓練経費を生かせないまま、軍内で「肩身の狭い」思いをしているということでしょう・・・