「プーチン氏の終わりの始まり」 ソビエト崩壊予見の学者の言葉

「プーチン氏の終わりの始まり」 ソビエト崩壊予見の学者の言葉
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2022/11/14/26879.html

 ※ 今日は、こんなところで…。

『ウクライナの反転攻勢を受けるロシア。ここにきて、一方的に併合に踏み切った南部の要衝であるヘルソン州からの撤退が伝えられるなど、苦境に立たされています。

「プーチン政権の終わりの始まりだ」

今回の軍事作戦をこう指摘するのが、かつてソビエトの崩壊を予見したことで知られるロシア研究の大家、エレーヌ・カレールダンコース氏です。その指摘の根拠とは?

(聞き手:ヨーロッパ総局 田村銀河) ※インタビューは10月5日に行いました。

フランスの歴史学者 エレーヌ・カレールダンコース氏とは

1929年、フランス・パリ生まれの歴史学者です。ソルボンヌ大学などで教べんをとり、ヨーロッパにおけるソビエト・ロシア研究の第一人者として知られています。

歴史学者 エレーヌ・カレールダンコース氏

1978年に出版した「崩壊した帝国」では“民族問題で連邦は崩壊する”と指摘し、世界的なベストセラーになりました。2000年には、就任したばかりのプーチン大統領にモスクワに招待され、面会しました。

※以下、カレールダンコース氏の話

かつてソビエト崩壊を予見 いまの状況は?

状況が似ているのは、ソビエトで1980年代半ばまでの「ザストイ」と呼ばれる停滞の時代です。1970年代末にアフガニスタン戦争が始まりましたが、その代償が決定的になったのは1980年代です。

アフガニスタンに侵攻したソ連軍の軍用車(1980年)

当時のブレジネフ書記長やその後継者は基本的に独断的な考え方で、完全に社会がまひしていました。そして1982年から1983年にかけて、まさに兵士の母親たちが立ち上がり、ロシア社会の真の憤りが噴出した様子は、いまの時代に似ています。

もちろん当時のアフガニスタン戦争は、ソビエト国内の民族運動もあったので、もっと複雑ですし、ソビエトの崩壊後に共和国は独立したため、いまのロシアはソビエトほど複雑ではありません。

ただ、いま起こっているのは、ロシアと、もともと属国だったウクライナとの戦争です。
招集されたロシアの予備役の兵士ら(ウクライナ ドネツク州・2022年10月)

ウクライナはソビエト政権下では兄弟であり、第2の兄弟とも呼ばれていて、ただの国ではないのです。この兄弟間の対立の問題は、誰にとっても非常に苦痛であるといえるでしょう。

ロシアでの部分的動員への抗議運動、どうみた?

まずは「驚かなかった」と言いたいですね。私は、ソビエトのアフガニスタン侵攻の影響を追いかけ、研究していたので、こうした抗議の動きを予見していました。ロシアの母親たちが、自分の子どもが棺おけに入って帰ってくるのを見たら、大ごとになるんじゃないかと思ったんです。

予備役の動員に抗議した市民を取り囲む機動隊(ロシア サンクトペテルブルク・2022年9月)

ロシアは非常に大きな国ですから、いきなりたがが外れることはないのですが、何かが起こる予感がしていました。そして、このような抗議デモがあちこちで起きました。政府に対して納得がいかないと示した勇気ある人たちです。プーチン大統領がこの動員を発表した時、本当に多くの人たちが相次いで国を去ったのは、とても印象的でした。

ただ、これは始まりにすぎないと思います。というのも、これまでプーチン大統領がウクライナに動員してきたのは、主にモスクワから離れた周辺の地域の戦闘員たちです。いま、ロシアの母親たちは自分の子どもが動員されることを聞かされ、不満に思い始めています。

抗議デモの参加者を連行するロシアの警察(モスクワ・2022年9月)

私が想像もしなかったこの軍事作戦が始まった瞬間から、これはプーチン氏にとって「終わりの始まりになる」と思いました。

プーチン氏をどう見る?

プーチン大統領には、これまで非常に不思議な変化がみられました。彼はKGB(国家保安委員会)の官僚で、40代までソビエトのシステムのなかで訓練された“筋金入りの優等生”でした。大統領になったあとは、外の世界との交渉のなかで、ポスト・ソビエトの時代に適応しようとしました。

ロシア プーチン大統領

ところがその後、外の世界に失望し、彼の中ではソビエト的なところが勝るようになったのです。それまでのオープンな考え方は、完全にソビエト的なビジョンに戻ってしまいました。このことは、彼の今回の侵略の方法にこそ表れています。

この侵略は、1968年のチェコスロバキアへの介入の真似ごとです。当時のブレジネフ政権と全く同じことをし、自分に都合の悪い大統領を追い出すために、兵士を送り込みました。そして後任に別の大統領を用意し、ウクライナ人全員が大喜びするか、誰も何も言わずに、自分の選んだ大統領の支配を受け入れると考えていたのでしょう。

さらに、非常に重大なのは、彼は誰もが知っていることにさえ注意を払わなかったのです。2014年からの8年間、ウクライナにはアメリカの存在がありました。アメリカ軍は、ウクライナ人の軍隊を訓練し、装備を与えました。プーチン大統領は、ウクライナの国内事情についてまったくの無知でした。

アメリカ製の対戦車ミサイルで訓練するウクライナ兵(2021年)

2000年暮れに、フランスがロシアをどう見ているか知りたいと言われ、彼に初めて会いました。彼は内気で不安そうな男性に見えました。いまとは全然違います。当時は大統領に就任して1年足らずの時期でした。

プーチン大統領と面会するカレールダンコース氏(2000年)

権力は人を変えます。特に絶対的な権力はそうです。彼は帝国の再構成を望んでいます。ピョートル大帝に憧れているのです。

戦争はいつ終わる?

ある時点で、アメリカがこの戦争を止めなければならないと判断した場合でしょう。アメリカは、当面はウクライナが戦争を継続することを望んでいるように見えます。しかし、彼らがやめると決めれば、止まるでしょう。アメリカが相当な役割を果たす戦争だと言えますから。

アメリカ バイデン大統領

また、中国のトップは、直接的には戦争に関与していないかもしれませんが、この戦争が彼を悩ませていると言ってよいでしょう。明らかに彼の世界観とは違っていて、彼自身の国際戦略も乱しているといえます。プーチン大統領が、どこまでも突き進み、戦争に完敗することは、彼にとっては耐え難いことでしょう。

中国 習近平国家主席

国際的にも、中国やインドなど、以前見られなかったような懸念を示している国もあります。非常にゆっくりと風景は変化しているといえます。

プーチン氏の今後は?

本当の問題は、ロシア国内でどんな変化が起きるのかです。ロシアでは、国民が目覚め始めているのは明らかです。私は、ジョージアやフィンランドに向かったロシア人たちのことを忘れてはいません。この人たちはみな家族がいて、家族とコミュニケーションをとっています。それは、国に対する圧力になるでしょう。このような状況で統治を続けることは非常に難しいのです。

フィンランドへ向かう車の列(ロシアとフィンランドの国境・2022年9月)

この国で目を覚ました人たちは、これからも出てくると思います。ロシアでは、変革は底辺の騒乱から始まるということを、歴史は語っています。

戦争の行方と今後のヨーロッパは?

それは100万ドルに値する質問で、答えるのには苦労します。どんな戦争でも終わるのは当然です。ただ、どのように終わるか、です。プーチン大統領のことですから、ロシアの完全な敗北で終わることはあり得ないと思いますが、ロシア側も大きな犠牲を伴うことは明らかです。

ヨーロッパは冷戦の終結とソビエトの崩壊の代償を、いま払っているのです。ウクライナ侵攻について、ヨーロッパ諸国がヒトラーに対して妥協を許し、世界大戦を招いたときのことと重ね合わせる人もいますが、二つは同じではありません。私たちは、第1次世界大戦後のつかの間の平和の失敗と同じところにいるのです。

思い出してください。第1次世界大戦後、ドイツに多額の戦後賠償を課し、領土の割譲を求めたベルサイユ条約はすぐに失敗し、ヨーロッパは第2次世界大戦に突入しました。まったく同じなのです。ベルサイユ条約以降、ヨーロッパは何も考えていなかったんです。
ヨーロッパは、いま歴史上初めて、自分たちの安全保障とは何かというビジョンを何も持っていません。

NATO=北大西洋条約機構の本部(ブリュッセル)

ヨーロッパはかつて世界の地政学の中心でしたが、1990年以降、何も考えてきませんでした。経済的な力はありますが、政治的な存在はとても壊れやすく、中身がありません。

世界はすでにアジアに向けて動いています。アメリカはいま、ヨーロッパを離れ、アジアに完全に舵を切っています。この戦争が終わったら、まさにヨーロッパとは何か、新たな安全保障システムについて考えることが必要です。そうでなければ、20年後に同じようなことが起こるでしょう。』

アメリカの介入を阻む「全ASEANをカバーする中国の巨大鉄道網プロジェクト」

アメリカの介入を阻む「全ASEANをカバーする中国の巨大鉄道網プロジェクト」
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20221113-00323773

『バイデンはASEANへのアメリカの影響を高めるべくカンボジア入りし包括的戦略パートナーシップを立ち上げたが、陸続きの中国が早くからASEAN全域で構築している巨大鉄道網プロジェクトなどの影響力に阻まれている。

◆中国を排除するため「長い腕」をASEANに伸ばすバイデン大統領

 11月12日、バイデン大統領はカンボジアのプノンペンで、ASEAN(東南アジア諸国連合)と首脳会談を開催し、アメリカとASEANの関係を高める包括的戦略パートナーシップを立ち上げた。

 ASEAN諸国の中には、米中両国を競争させて利益を得る「漁夫の利」を喜ぶ国もあるが、「アメリカを選ぶのか、中国を選ぶのか」という「踏み絵」をさせられることを嫌がる国もある。あるいは全ての国が「漁夫の利」と「踏み絵外交」の狭間で戸惑っているという側面を持っているとも言えよう。

 今年5月12日と13日、バイデンはASEAN諸国をワシントンに招き、「米ASEAN特別サミット」を開催した。このときフィリピン(大統領選のため)とミャンマーは出席していない。今回もミャンマーが出席せず、バイデンはむしろ「南シナ海とミャンマーからの挑戦を解決しなければならない」と、ミャンマーを道連れに、明らかな対中包囲意識を前面に出している。

 対中包囲網であるIPEF(インド太平洋経済枠組み)も日米豪印QUAD(クワッド)の枠組みも、「親露であるインド」が入っているために、「中露の緊密さ」から今ひとつパンチがなく心もとない。そこでASEANに「ロングアーム(長い腕)」を伸ばしているのだが、ここは「インド」よりも、もっと中国寄りなので、バイデンの思うようには行っていない。

 ちなみにバイデンは会議で「カンボジア首相」のことを「コロンビア首相」と呼びまちがえており、他国に伸ばした「腕」が長すぎて、いったいどの国に伸ばしたかが、わからなくなっているのだろうか。

 カンボジアの首都プノンペンで、カンボジア首相を前にして「コロンビア首相」と言いまちがえるなどというのは、ASEANに対して、その程度の誠意しかなく、本心からASEAN諸国を重んじていないことの表れとしか言いようがない。

◆全ASEANをカバーする中国の巨大鉄道網

 一方、中国には早くから「汎亜鉄道計画」があって、巨大なプロジェクトが動いている。

 図表1に示したのは、中国雲南省の昆明を起点として、「ホーチミン、バンコク、シンガポール、ヤンゴン・・・」などを終点とする、「全ASEANをカバーする中国の鉄道網プロジェクト」の概略図だ。

図表1:全ASEANを網羅する中国の鉄路網プロジェクト

多岐にわたる情報に基づいて筆者作成

 黒い線は完了済の鉄路で、赤い輪で括っているのは建設中の鉄路だ。

 緑色で示した「東線」のベトナム海岸沿いにある鉄路は、線路の幅などにおいて順調に話が進んでおり、進展中である。

 2022年10月30日から11月1日まで、ベトナム共産党中央委員会のグエン・フー・チョ総書記が国賓として訪中し、第20回党大会を終えた習近平と会談したのは、この鉄路計画の推進が主たる目的である。

 バイデンがプノンペン入りしてASEAN諸国と包括的戦略パートナーシップを結ぶことを意識し、それが対中包囲網形成を目的としたものであることを認識した習近平の先回り外交であったことに注目した方がいい。

 ベトナムの鉄道路線幅は1000mmという、フランス植民地時代の規格をそのまま継承していた個所が多いが、中国と繋がる鉄道路線は中国の1435mmという軌間に合わせることにも合意を見たようだ。

 ピンクで示した「西線」のミャンマーとの線路は、ミャンマー軍政府との間で複雑な要素が絡んでいるものの、雲南省の大理からミャンマー国境内に入る辺りまでは話がまとまり建設中である。建設中の個所は赤い○で囲んである。

 青い色で示した「中線」の鉄路は、ラオスのヴィエンチャンまでが開通済で、現在はタイのバンコクとコーラートの間が建設中だ。これを第一期工程とすれば、第二期工程においては、ヴィエンチャンからコーラートを繋ぐことになっており、「中線」も順調に進んでいる。

 ちなみに、マレーシアとシンガポールを繋ぐ路線は、コロナやマレーシアの頻繁な政権交代により、2021年1月1日に一度白紙に戻したが、2022年8月にまた再開の交渉が始まった。

 これらの国々が「対中包囲網」を意図したアメリカの「誘惑」に本気で乗るはずはなく、あくまでも「頂けるものがあるのなら、頂きましょう」という胸算用でしかない。

 ひとたび「踏み絵外交」に入った瞬間に、ASEANはアメリカの手から逃げる。

 この点は日本も注意すべきで、「対中包囲網」あるいは「対中抵抗」的色彩を見せると、ASEAN諸国は、日本の手からもすり抜けていくことを覚悟しておいた方がいいだろう。

◆中国・ミャンマーのパイプライン運営に意欲的な習近平

 2020年2月10日のコラム<新型肺炎以来、なぜ李克強が習近平より目立つのか?>に書いた通り、コロナの第一報が武漢から発せられていたとき、習近平がミャンマー視察に行っていたことは周知の通りだ。

 筆者はそのことを「ミャンマー視察と雲南での春節祝いごときに酔いしれて」と批判的に書いたが、実はこのとき習近平はミャンマーにおけるパイプラインの運営事業に力を注いでいた。

 図表2に示すのは、中国がミャンマーに付設しているパイプラインの現状だ。

図表2:中国・ミャンマー間に敷かれた石油・天然ガスのパイプライン

筆者作成

 中国とミャンマーの間の石油パイプラインと天然ガスパイプラインは、まだ胡錦涛政権だった2010年6月から開始されており、天然ガスパイプラインは2013年7月28日に、石油パイプラインは2017年4月10日に完成した。

 ミャンマーに大量の石油や天然ガスが埋蔵しているというよりも、これはあくまでも、アメリカが南シナ海やマラッカ海峡などの海上封鎖をしたときに、中国がその損害を大きく受けることなく、中東との取引を潤滑に進めるための港とパイプラインの確保のために存在する。

 インド洋に面するミャンマー西部にある港チャウピューさえ確保されていれば、エネルギー資源の確保に困らない。

 こうして中国はASEAN全域をさまざまな形で押さえているので、日米はその点を十分に認識しながらASEAN諸国との交渉を慎重に進めた方がいいだろう。

遠藤誉

中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(2022年12月中旬発売。PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

プーチン後のロシアは中国にとってどんな国になるのか?

プーチン後のロシアは中国にとってどんな国になるのか?
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28118

 ※ 一旦は、「民主国家ロシア」という認定だったのでは…。

 ※ それが、いつから「変更された」のか…。

 ※ やはり、「クリミアの併合」(2014年)辺りからか…。

『2022年11月15日(火)
西村六善 (日本国際問題研究所客員研究員)

西村六善 (にしむら・むつよし)

日本国際問題研究所客員研究員

1940年札幌市生まれ。元外務省欧亜局長。99年の経済協力開発機構(OECD)大使時代より気候変動問題に関与、2005年気候変動担当大使、07年内閣官房参与(地球温暖化問題担当)などを歴任。

ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は9月15日、ウズベキスタンのサマルカンドで会談し、プーチン大統領はウクライナ情勢を巡る中国側の疑問や懸念を理解していると述べた。習国家主席はプーチン大統領に対して懸念を示していたのだ。
(代表撮影/AP/アフロ)

 その4日後、ロシアのニコライ・パトルシェフ連邦安全保障会議書記が中国外交担当トップの楊潔篪共産党政治局員に会っている。戦争している最中に中国が同盟国に「懸念」を表明するのは少しばかりおかしい。どんな懸念だったのか?

 あえて推測してみると、中国側にはこの戦争がユーラシア地政学を大きく変えるのではないかと心配している筈だ。原因はロシアの不安定化だ。ロシア軍事作戦が難航し、国際的な経済制裁で苦境にある市民生活が更に脅かされている。ロシア国内の不安材料は増えるばかりだ。

 9月21日、プーチン政権は30万人の予備役動員を決めたが、案の定、国内では反発とデモが噴き出ている。兵役を避ける為、ロシア人が大挙して国外に逃げている。その映像は世界に拡散した。

 およそ戦争をやれるような国とは思えない現実だ。戦況が悪化しているので、プーチン大統領はもっと大量の兵力を動員したかったに違いない。ギリギリの数値で「30万人の予備役」と決定した筈だが、それでも国民の支持が無いことが明らかになった。

 これが中国が懸念を強めている理由だ。今のところロシア政府は強権で自国民を押さえつけているが、本当に大丈夫か? どれ程手荒な弾圧で抑え込むのか? 世界世論の批判との関係は? そして一体、本当にウクライナで勝てるのか? 明敏な中国の政策当局者はロシア危機の帰趨を徹底して研究している筈だ。
プーチン政権は世界秩序を揺るがす戦いをしている

 そもそも、ロシアはいささか壮大なビジョンの下でこの戦争を始めたのだ。プーチン政権とその背後にいるロシアのエリート集団は「ソ連終焉後、過去30年にわたる西側の傲慢さへの復讐として世界秩序を揺るがすことを目指している」とカーネギー国際平和基金のタチアナ・スタノバ―ヤ研究員は述べている。 

 しかし、それにしては戦場で小国ウクライナを相手に後退を余儀なくされている。ロシア国内は混乱し、弾圧は強化され、規模の大きな流血の惨事が起きる可能性は排除できない。要するにロシアは世界秩序を揺るがす戦争をしている割には、苦戦し、ロシアの秩序を揺るがしている。

 その上、プーチン政権は強化されるのではなく、むしろ弱体化している。このまま行けばロシア国内で何らかの政治的危機に発展してもおかしくない。悪くすると政権の交代もあり得る。』

『中国が懸念する地殻変動

 中国にとって、最大の関心事はプーチン政権の屋台骨が揺がないかどうかだ。ロシアとは「無制限のパートナーシップ」を約束したのだから心配して当然だ。

 ロシア側は中国側に「大丈夫だ」と強く保証をしているだろう。しかし、実際のところはどうか……。北京の心配は高まる。 そうでなければ習主席国家主席が「懸念」を表明する筈がない。 

 現政権と同様に強権的なプーチン亜流政権が確実に生まれるなら中国は安心してみていられる。しかし、万一、そうならなければ、つまり多少なりとも西側に友好的な政権が生まれれば、心配は募る。今度は西側諸国がロシア支援に乗り出すからだ。

 対露経済制裁は中止され、ロシアは次第に欧米民主主義の懐に取り込まれていく。西側は必ずその方向で動くだろう。 正にこれが中国の心配なのだ。 

 中国はこの過程で影響力を行使しなければならない。元々ロシアは「中国の召使」だとされていて、中国の国益に奉仕する存在だが、中国はそう云う「貴重なロシア」を失う危険がある。 それだけではない。 どうやら中国が「召使」を失う程度の話では済まない筈だ。

 まず、ロシアが幾分かでも親西欧の方向に動けば、強硬独裁を一枚看板とする「露中2国間同盟」は事実上崩壊し、中国は孤立する。4000キロメートルに及ぶ中露国境線は俄然その性格を変える。 

 その上、ロシア自身が北大西洋条約機構(NATO)の敵国ではなくなる。その結果、在欧米軍はアジア太平洋地域へ移動することも可能になる。ここが重要な点だ。

 欧米、そして当然日本も新生ロシアと経済や最新技術の移転などに向けて新しい協力関係に入る。長年指令型経済の下で停滞してきたロシア経済は欧米、日本などの支援を得て今までとは全く違う持続成長に向かう。 

 国際政治にも大きな影響を与える。新しいロシアは国連安全保障理事会常任理事国として今までとは別の行動様式をとるだろう。その結果、安保理の風景は一変する。

 国際法の遵守、国際協調、人権や平等の尊重、多数決制度、多文化主義、地球環境をはじめあらゆる地球的問題に関してロシアは概ね国際協調主義に基づいて行動するだろう。地政学的な新時代が到来する可能性がある。化石燃料の大生産国であるロシアが国際法の遵守、契約尊重や透明性ある商事行動を取り始めれば国際経済でも新しい展開となる。』
『ロシアが親西欧政権になる素地はあるのか? 

そもそもロシアは民主化できるし、民主化するべきだという議論は多数存在している。西欧民主主義政党と親近性のある政権がロシアに出現することは決して異常事態ではない。たしかに、プーチン政権が全ての民主化の芽を強烈な弾圧で抑え込んでいる今日、政権の変更は不可能だ。 しかしプーチン政権は弱体化しながら、いずれ必ず終焉を迎える。その過程で不測の事態が起きる可能性がある。   

 いうまでもなく、これは中国にとっては全く歓迎できない事態だ。地政学上の負の転換だ。 しかもグローバルな規模となる。

 この転換を大国中国は食い止めることが出来なかったということになれば、政治的な問題になる。ウズベキスタンで習氏がプーチン大統領に示した「懸念」は相当深い意味があったということになる。 

 それに中国自身も将来に向けて選択を迫られる。国民が黙っていないだろう。世界で唯一の強硬独裁政権で行くのか? それとも何らかの別の道を選ぶのか?

 もちろん万事単純な筋書きの通りには行かない。でも、歴史的な局面が到来する可能性はある。日本自体も備えておくべきだ。』

バイデン氏と習氏が対面会談 中国との「新たな冷戦はない」と米大統領

バイデン氏と習氏が対面会談 中国との「新たな冷戦はない」と米大統領
BBC News
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28532

『アメリカのジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席は14日、インドネシア・バリ島で会談した。関係修復を意図した会談となり、バイデン氏は終了後、中国と「新たな冷戦」になることはないと約束した。

バイデン氏が大統領に就任して以来、2つの超大国の指導者が対面で会談するのは初めて。

会談は、習氏の到着後すぐ、高級ホテルで3時間にわたって行われた。台湾を含む幅広い問題が議論された。

バイデン氏は終了後、中国が台湾に侵攻するとは考えていないとも述べた。

両首脳の会談は、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)がバリ島で開幕する前日に行われた。北朝鮮やロシアのウクライナ侵攻についても話し合った。

習氏はウクライナ情勢についてあらためて平和を呼びかけたうえで、「複雑な問題に単純な解決はない」と述べた。

会談後の単独会見でバイデン氏は、「中国が北朝鮮をコントロールできると確信している、とは言いにくい」とした上で、北朝鮮が核実験を繰り返さないよう説得する「義務が」中国にはあると、習氏に伝えたと話した。
台湾めぐるやりとり

台湾は、米中関係で常に対立の種となってきた。中国は自国の一部だと主張しているが、台湾はアメリカを同盟国として頼りにしながら、自治を続けている。

8月にはアメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問し、緊張が高まった。これを受けて中国は、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施。米中の衝突につながることが懸念された。

中国国営メディアによると、習氏は会談で台湾について、「中国の核心的利益の中心であり(中略)米中関係における越えてはならない最初のレッドライン」であり続けると強調したという。

米当局はここ数週間、中国が台湾侵攻の計画を加速させる可能性があると警告している。

会談後のバイデン氏の記者会見では、そうした状況が実際に発生しており、新たな冷戦が起こりつつあるとみているかとの質問が出た。

バイデン氏は、「新たな冷戦の必要はないと、私は確信している。私は習近平と何度も会っており、あらゆる問題で互いに率直かつ明確だった。中国側が差し迫って台湾を侵攻しようとするとは、私は思わない」と答えた。

また、「そうした事態に決してならないよう、中台間の問題の平和的な解決を望んでいると(習氏に)はっきり伝えた。彼は私が言っていることを理解し、私は彼が言ってることを理解したと確信している」と述べた。

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バイデン氏によると、両首脳は問題解決のため、政府高官レベルでの対話メカニズムをつくることで合意した。アントニー・ブリンケン国務長官が近く、中国を訪問する予定だという。

バイデン氏はまた、習氏に対し、「私たちの台湾政策は全く変わっていない。これまでと全く同じ立場だ」と伝えたと述べた。

バイデン氏はこれまで、台湾が中国から攻撃された場合、アメリカは台湾を防衛すると繰り返し述べている。これは、台湾の防衛について約束はしないとする、アメリカの長年の「戦略的曖昧さ」からの逸脱とみられている。政府関係者は、バイデン氏の発言の修正に努めている。

アメリカは長い間、台湾問題で綱渡りをしている。対中関係の基礎は「一つの中国」政策であり、北京の中国政府しか承認していない。台湾とは正式な関係がない状態だ。

しかし、実際には台湾との間で密接な関係を維持しており、台湾関係法に基づいて武器を売却している。同法は、アメリカは台湾に自衛手段を提供しなくてはならないと定めている。
対立ではなく競争

バイデン氏はまた、中国の人権問題にも懸念を示した。新疆地区のウイグル族、香港、チベットの問題などが含まれる。

両首脳は今回、世界の安定は両国の関係次第だと認識しており、責任ある行動を取っていくつもりだと、互いに、そして会談を見守る他の国々に対して、示そうとした。

バイデン氏と米政府関係者はここ数日、中国との強い競争意識を維持する一方で、アメリカは中国との対立を望んでいないと繰り返し強調。融和が目標だと伝えようと腐心してきた。

習氏も同じ考えのように思われた。会談の冒頭発言で習氏は、「世界は岐路に立っている」ことから「私たちは中米関係の正しい道筋を描く必要がある」との認識を示した。

習氏はその後、中国側の声明で、「中米関係は、片方が得れば片方が失うというゼロサムゲームであってはならない。(中略)広い地球は、中国とアメリカの発展と共同繁栄を十分に受け入れられる」とした。

専門家の評価

オーストラリア国立大学で台湾について教える政治学者ウェンティ・スン氏は、「実質的な合意はほとんどなかった」としたうえで、両首脳とも、会談は成功したと主張することができると指摘した。

「習は、自分はバイデンに威圧されないと示すことができる。アメリカと中国は本当に対等だと」

一方、バイデン氏については、「アメリカが台湾問題で限界を広げる」ことが認められたと、サン氏は説明。同氏はさらに、「双方は対話を改善させることで合意し、他国を安心させた」とした。

シンガポール国立大学の政治学者イアン・チョン氏は、「全体的にポジティブなトーンだったと思う。両国には共通の利益があり、その利益には両国関係を暴走させないことも含まれるという認識が示された」と述べた。

「だが、まだいくらか慎重にみている。中国とアメリカの関係は不安定であり、動き出したり止まったりする」

(英語記事 Biden promises ‘no new Cold War’ with China)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63631901 』

ロシアエリートの「プーチン離れ」 後継者は誰になるか

ロシアエリートの「プーチン離れ」 後継者は誰になるか
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28487

 ※ いろいろ、「後継候補」の名前が上がっているようだ…。

 ※ まあ、しかし、あまり「新味」は無いな…。

 ※ 誰であっても、かまわない…。

 ※ なんとか、「核管理」「軍備管理」をうまいこと行ってほしい…。

 ※ あと、プーチン氏本人は、「穏やかに、枯れて行く」ことが、できるものなのか…。

 ※ 暴力的で、血生臭い修羅場は、あまり見たくは無いんだが…。

 ※ もう、嫌と言うほど、見聞きしたからな…。

 ※ ヘルソンの東岸へ後退後、メディアや公の場に登場していないことが、気にかかる…。

『Economist誌10月30日号が「ロシアのエリートがプーチンなき将来を考え始めている。プーチンの排除が少なくとも考えられている」との記事を掲載している。主要点は次の通り。
PeterHermesFurian / iStock / Getty Images Plus

・ロシアのエリート、官僚、実業家たちは、「次は何か。プーチン後の生活はあるのか。彼はどう立ち去るのか。そして誰が彼にとって変わるのか」といった疑問を抱いている。

・ウクライナ侵攻は、プーチンは全面戦争のリスクを冒さないと考えていたロシアの支配層にとってはショックであったが、当初の軍事的前進、ロシアの経済が崩壊しなかったこと、和平交渉への初期努力を見て、自らを落ち着かせようとしていた。

・エリートたちの考えはプーチンの「部分」動員で粉砕された。大勢の人の国外出国、広範な徴兵逃れは、この冒険を新しい「大祖国戦争」にするプーチンの試みが失敗したことを示す。

・プーチンはこの戦争に勝てない。なぜなら戦争当初から明確な目標がないからである。多くを失い、彼は深い屈辱をうけることなく、戦争を終わることはできない。

・9月までロシアのエリートはプーチンを支持するとの実利的選択をしてきたが、今や彼らは種々の敗北のシナリオの中で選択しなければならないところまで事態は進展した。

・軍事的敗北はそれを支持した者へのリスクを伴いながら、政権の崩壊につながるだろう。プーチンは安定の源泉と思われてきたが、不安定と危険の源と考えられるに至っている。

・政治アナリストのガリアモフによれば、次の数週間、数カ月で、エリートたちはシステム内でのプーチンの後継者探しを行うだろう。

・ガリアモフが挙げる後継者の候補は、ドミトリー・パトリシェフ(ニコライ・パトリシェフ安全保障会議書記の息子)、セルゲイ・キリエンコ(大統領府次官)、ソビヤニン(モスクワ市長)、ミシュスチン首相など。

・逆に、「もっと攻撃的なグループ」も既に姿を現し始めている。エヴゲニー・プリゴジンや(元刑法犯でプーチンのコックとして知られ、傭兵のワグナーグループを率いる)、ラムザン・カディロフ(チェチェンの強権指導者で私的な軍を持つ)である。二人はプーチンに個人的に忠誠である。プーチンはウクライナを破綻国家にしようと望んだが、代わりに彼はロシアを破綻国家にしかねない。

*   *   *   *   *   *

 エコノミスト誌は相当な調査能力を持つ会社で、ロシアのエリートがプーチンとウクライナ戦争をどう見ているかという難しい問題にこの記事で取り組み、プーチン後継問題にも言及している。

 ここで描写されているロシア国内の状況はおそらく現実であると思われる。プーチン離れやプーチン批判がエリートの中で広がっていることは、ウクライナ戦争がうまく行っていない中、当然予想されることである。』

『最近、ショイグ国防相がプーチンに「30万人の動員は実現した。追加動員の計画はない」と報告した画像をロシア国営テレビは流したが、動員がロシア国内に与えたショックが如何に大きかったか、それへの反発をなくしたいとの政権側の意図は明確である。この戦争は、今やロシア国民の支持を得ておらず、ロシア軍の士気もよくなる見込みはない。
多くのオリガルヒは戦争に反対

 この戦争はプーチンが起こしたもので、彼の責任は重い。プーチンの統治への不満はこれからも高まっていくだろう。権威主義政権が権威をなくしてきていると考えても大きな間違いではない。国内のみならず、中央アジア諸国もロシア離れを起こしている。

 クセニア・ソプチャクがリトアニアに逮捕を避けるために逃げたことは特に大きな衝撃を与えた。プーチンが今の地位にいるのはクセニアの父、ソプチャク・レニングラード市長が彼を副市長にしたことが契機になっている。支配層の中で分裂が見られる。

 エリツィンの次女の夫で大富豪のデリパスカが、プーチンの戦争に起因する経済的損失が大きすぎると批判しているのが良い例だが、オリガルヒは大体戦争に反対である。

 引退後の後継者としてはニコライ・パトリシェフが最有力のようにも思われるが、上記の記事が言うように彼の息子、ドミトリー・パトリシェフが選好される可能性はある。考えてみれば、ニコライ・パトリシェフはプーチンより2歳年上であるから、後継者にはなりにくい面がある。

 ドミトリーは44歳で、農業大臣をしたほか、農業銀行の頭取をしたことがあり、経済がわかるとの利点がある。さらに自身も治安機関で働いたことがあり、父のコネもあるので、いわゆるシロビキ(治安関係者)に近い。有能とされている。

 「もっと攻撃的グループ」といわれるプリゴジンやカディロフがポスト・プーチンで力を得た場合には、とんでもないことになりかねない。われわれ自身が「プーチンはまだましだった」と懐かしむことにさえなりかねない。』

クリミアとの州境に露軍が新たな塹壕構築と州都移転

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:クリミアとの州境に露軍が新たな塹壕構築と州都移転
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5387314.html

『衛星画像などを手がける米企業「プラネット・ラブズPBC」は2022年11月12日までに、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島の北部に位置するアルミアンスク町Armyansk近くでロシア軍が塹壕(ざんごう)を新たに築いているとする衛星画像を公開した。ジャンコイDzhankoiに近い検問所 checkpoint 付近でも塹壕が掘られていると言う。ロシア側は、ロシア国営通信によると、ヘルソン州の州都をヘルソン市Khersonから、州南東部の港湾都市ヘニチェスクHeniches’k(ゲニチェスク: Genicheske)に移転すると発表した。

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現場は、腐海(ふかい)や広大な湿地帯が広がるウクライナ南部ヘルソン州との州境近くで、今回の画像は今月5日に撮影したもので、野原で機械を使って塹壕が掘られている様子を捉えていた。1週間前の10月29日にはこの野原で見られなかった動きとした。特殊な地質状況や運河の為、半島へ渡る道路、検問所は限られている。

クリミア半島北部での新たな塹壕構築は、ウクライナ軍がヘルソン州で仕掛ける反転攻勢にロシア軍の指導者たちが神経質になっていることをうかがわせてもいる。この攻勢がウクライナ中南部ザポリージャ州でロシアが占領下に置く拠点都市メリトポリMelitopolへ向かうことも警戒しているとみられる。メリトポリ方面へは、ウクライナ軍がドニプル川から幾度か南下する作戦を行っており、この付近で露軍を東西に分断する作戦に出る可能性があると、個人的に見ている。

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ロシア国防省は11日、同国への合併を宣言してもいたヘルソン州のドニプロ川西岸からのロシア軍撤退の完了を発表した。下図は、最近までのクリミア半島の検問所、飛行場、主要都市 参照記事 英文記事 映像:Russian Tank Engages Ukrainian Forces Near Pervomaisk 北東部ルハンスク州ペルボマイスクPervomaisk付近での露軍戦車の攻撃の様子。

攻撃中の露軍T-80戦車内が映っているのは珍しく、また、ウクライナ軍がルハンスク州ルハンスク市Luhansk方面へ地上侵攻しているのが分かる。

当初、プーチンは戦うのは「職業軍人」だけだと主張したが、のちに何十万人ものロシア市民を戦争に動員した。ウクライナに多くの死と破壊をもたらしただけでなく、彼の戦争は自軍にも甚大な被害をもたらしている。 ロシア人にとっての経済的な負担も、相当なものになっている。過去ブログ:2022年11月露国防相、ウクライナ南部ヘルソン市からの撤退完了公表

FireShot Webpage Screenshot #2297 – ‘ヘルソンに夜間外出FireShot Webpage Screenshot #2299 – ‘RussianFireShot Webpage Screenshot #2298 – ‘Russian2022年11月13日:

ウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市当局は13日、夜間外出禁止令と市外への移動制限をかけると発表した。ロシア軍撤退により祝賀ムードに包まれたヘルソン市だが、安全保障面の状況はなお厳しいままだ。ロシア軍はドニプロ川の東岸に撤退しているものの、そこから西岸のヘルソン市に爆撃してくる可能性がある。13日には、ヘルソン空港周辺に複数の爆撃があった。

同州のヤロスラフ・ヤヌシェヴィチ知事は、「敵はあらゆるインフラ設備に爆弾を仕掛けた」と話した。その上で市民に対し、混雑した場所を避けるよう指示。また、14日以降はウクライナ軍が市中心部の地雷撤去を開始するため、近づかないよう呼びかけた。参照記事』

Amazonが約1万人の人員削減を計画 米報道、週内にも

Amazonが約1万人の人員削減を計画 米報道、週内にも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14CGE0U2A111C2000000/

 ※ 静かに、「景気後退の足音」が聞こえるようになって来たな…。

『米アマゾン・ドット・コムが約1万人の従業員の削減を計画していることが14日、明らかになった。ニューヨーク・タイムズなど複数の米メディアが関係者の話として伝えた。早ければ、週内にも人員整理を始める。同社はすでに新規採用を凍結しており、さらなる人件費の抑制に踏み込む。

【関連記事】Amazonのベゾス会長、私財17兆円の大半を寄付へ

報道によれば、アマゾンは小売りや人事、端末部門を中心に、事務職や技術職の従業員を減らす。音声アシスタント「アレクサ」を手がける部門も対象となる。最終的な解雇の規模については「流動的」としている。

アマゾンの従業員数は、物流施設で働く人も含めて9月末時点で約154万人だった。新型コロナウイルス下でインターネット通販の利用が急拡大したのに伴い、3年前と比べて2倍に増えている。コロナ下では人材の獲得競争も激しく、2022年初めには米国で技術職の基本給の上限を大幅に引き上げていた。

経済の正常化が進むなかでネット通販は減速が鮮明になり、クラウドコンピューティング事業も拡大ペースが鈍っている。一方で物流費やエネルギー価格は上昇し、人件費の負担も強まった。アマゾンは10〜12月期の売上高が前年同期比で2〜8%増えると予想し、前年同期に35億ドルだった営業利益は最大で40億ドルにとどまるとみている。

事業環境の悪化をにらみ、3日には今後数カ月にわたって人材採用を凍結する方針を公表した。翌週には不採算事業の見直しが報じられ、広報担当者が「現在のマクロ環境を考慮し、コストを最適化する機会を検討している」と説明していた。14日に明らかになった人員削減に関して、アマゾンからの回答は得られていない。

金融引き締めに伴うリセッション(景気後退)への警戒が強まるなかで、IT(情報技術)企業を中心に人件費を抑えるための雇用調整が広がっている。メタは9日、全社員の約13%にあたる1万1000人の削減を公表した。11月にはオンライン決済大手のストライプやライドシェア大手のリフトも従業員の1割を超える人数の解雇に踏み切った。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は米CNNのインタビューに応じ、「今がリセッションでなくても、すぐにそうなる可能性が高い」と指摘していた。経済減速に対する懸念が膨らむにつれ、米企業では雇用調整がさらに広がる恐れがある。(佐藤浩実)

【関連記事】

・米テック、人員削減2.8万人 拡大路線が「逆回転」
・[FT]Amazonが不採算事業を見直し アレクサも対象
・「韓国のAmazon」クーパン、日本でQコマース急成長中

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

防衛費「税は個人負担に」「省庁横断で」 専門家に聞く

防衛費「税は個人負担に」「省庁横断で」 専門家に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA29AH30Z20C22A9000000/

 ※ 『防衛費の国内総生産(GDP)比は日本の脅威とは何の関係もない。』…。

 ※ まあ、こっちの見解の方に、分があろう…。

 ※ さりとて、割くことが可能な「リソース」には、限界がある…。

 ※ 「限られたリソースの中で、最大限の安全保障を狙っていく」という視点が、重要だろう…。

 ※ そんなことよりも、「人は城、人は石垣、人は堀」だ…。

 ※ 最終的には、「人」の意識が「国家の命運」を分けて行く…。

 ※ そっちの方が、「からっきし」では、「仏作って魂入れず」に終わるだけの話しだ…。

『政府が年内に決める国家安全保障戦略など防衛3文書の改定に向けて、政府の有識者会議や自民、公明両党の協議が進む。防衛力の強化に何が必要か。防衛費の増額や税財源のあり方を専門家に聞いた。

「企業より個人が負担を」 寺井公子 慶大教授

慶大の寺井公子教授

防衛費増額の財源は便益を受ける国民一人ひとりが負担し、予算の使い方を見張ることが必要だ。

国債の発行は便益が長期間にわたって持続的に発生し、いまの納税者世代だけで税負担するのが不公平なケースが原則となる。使い道がサイバー分野や先端技術なら陳腐化が早く、国債はなじみにくい。

防衛費は支出の効果を実感しにくく納税者が監督するのが難しい面もある。安易に国債で調達すれば支出が膨らむ危うさがある。最終的に国民の生命を守るためのもので財源は企業より個人が負担すべきだ。

湾岸戦争の時は法人や石油の臨時特別税を設け、たばこ税の増税案は見送られた。「大衆増税」で選挙に不利になるのを避けたいとの心理があるのだろう。規制当局でもある政府は法人税を納める大企業と互いに交渉しやすい側面もある。

それでも財源は基本的に国民が負担する所得税が望ましい。消費税は社会保障に使っていて、物価高の状況で増税に理解も得にくい。法人税も租税回避の動きを誘発する可能性に留意が要る。

北大西洋条約機構(NATO)の基準を参考に防衛費を国内総生産(GDP)比2%の水準にするとの議論がある。各国が足並みをそろえて拠出することで全体の安全が保障されるという国際公共財の考え方は一定程度理解できる。

「省庁横断で協力が必要」 徳地秀士 平和・安全保障研究所理事長

平和・安全保障研究所の徳地秀士理事長

ロシアや中国、北朝鮮に囲まれる日本が自国防衛の努力をしなければならないのは当然だ。ウクライナに侵攻したロシアは中国との連携を深める。「今日のウクライナは明日の台湾」という言い方もある。

同盟国の米国などの力をフルに生かすのは重要だ。同時に自ら努力しない国は助けてくれない。危機が訪れてから防衛費を増やしても遅い。

日本の定義でいう防衛費だけが安全保障の予算ではないとの指摘はその通りだ。安全保障は防衛力だけではないとの発想から2013年に国家安全保障戦略を策定した。今回の改定で真に政府全体の戦略につくりあげる必要がある。

文部科学省の研究開発予算が防衛費に入るかどうかというような費用の定義や分類の議論そのものに意味はない。いかに防衛省と協力するかの仕組みづくりが要る。

各省庁の縦割りの排除は自衛隊と海上保安庁の垣根をなくすのも課題になる。中国海警局は警察と軍事の両方の役割を果たす。縦割りがあって海自と海保の連携が進まないとなれば国の安全保障にとって不幸だ。サイバー防衛にも同様の問題がある。

防衛費の国内総生産(GDP)比は日本の脅威とは何の関係もない。GDP比で何%かよりも防衛に必要な予算を積み上げることが大事になる。

政治・外交 最新情報はこちら https://www.nikkei.com/politics/?n_cid=MCH999 

Twitterで最新情報を発信 https://twitter.com/nikkeiseijibu/?n_cid=MCH998 』

国連総会、ロシアに賠償要求の決議採択 94カ国が賛成

国連総会、ロシアに賠償要求の決議採択 94カ国が賛成
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14CQ40U2A111C2000000/

『【ニューヨーク=吉田圭織】国連総会は14日、ロシアに対してウクライナ侵攻による損害の賠償を要求する決議を採択した。日米英など94カ国が賛成し、インドや南アフリカなど73カ国が棄権した。反対はロシアや中国など14カ国だった。ロシアのウクライナ侵攻以来、国連総会での決議採択は5回目となる。

決議は、ロシアによるウクライナ侵攻が国連憲章や国際人道法に違反し、ウクライナに人的損害などを与えたため、賠償を含む法的責任を負うべきだと指摘した。さらに「賠償を管理する国際的な仕組み」が必要で、損害の記録を作成するよう推奨した。加盟国に対して損害の証拠探しを促し、協力するよう呼びかけた。

決議採択後にウクライナのキスリツァ国連大使は記者団に「ロシアには(ウクライナ侵攻をめぐり)損害賠償の責任があると国際社会が明示したことが重要だ」と述べた。

総会会合で英国のウッドワード国連大使は「ウクライナが国際法に従って正義を求めるための重要な第一歩だ」と述べた。オランダのブラント国連大使は「戦争の混乱や時間の経過で証拠が消えてしまう可能性がある」として損害記録を作成する重要性を強調した。国連総会の決議に法的拘束力はないが、国際社会の総意を示す。

一方、今回は棄権や無投票が目立った。インドのカンボジ国連大使は「決議の法的効力が不明確ななかで、十分に検証せずに国連と国際経済制度に影響を及ぼすような仕組みや前例をつくってはいけない」と棄権した理由を説明した。

棄権したブラジルのコスタ国連大使も「法的基準の面で不明瞭な点が多かった」と説明し、決議内容を議論する時間が不十分だったと指摘した。「新たな仕組みづくりを推奨することで、すでに実施されている国際刑事裁判所(ICC)などの取り組みを無視し、弱体化させる」とも指摘した。』

「米英豪で潜水艦共同作戦」 インド太平洋戦略、英海軍トップに聞く

「米英豪で潜水艦共同作戦」 インド太平洋戦略、英海軍トップに聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB101LW0Q2A111C2000000/

『英海軍の制服組トップ、ベン・キー第1海軍卿は、インド太平洋地域の秩序維持に向けて、米英豪による潜水艦の共同作戦の実施など、同盟国が分担していく必要があると述べた。横浜に停泊していた哨戒艦テイマーで日本経済新聞との取材に答えた。

インド太平洋シフトを進める英国の戦略は「国益と合致するものだ」と語った。さらに「米国だけで世界警察の役割は果たせない。自由で開かれた海洋はみんなで守る義務がある」と同盟国での緊密な連携と協力の必要性を強調した。

英哨戒艦テイマーと姉妹艦スペイは昨年来、インド太平洋に5年間の長期にわたり配備されている。この間、両艦は一度も英国に戻らず、3班に分かれた乗組員がローテーションを組んで船を運用している。

両艦はそれぞれ2020年、21年に配備されたばかりの最新艦。前方展開を維持するには膨大なコストがかかるが、キー氏は「この地域で発信したいシグナルを考えれば十分に支払う価値のあるコストだ。アジアは世界経済のエンジンであり、国益にかなう」と語った。

米英豪が昨年9月に創設した安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」については「近年で最も重要な安全保障面での変化だ」とし、英潜水艦がインド太平洋で共同作戦に参加するケースが増えていくと述べた。

ハワイ停泊時の英哨戒艦テイマー(英海軍提供)

AUKUSでは米英がオーストラリアに機密性の高い原子力潜水艦建造ノウハウを提供する。当初は豪州の造船所で建造する計画だったが、完成するまでには何年もかかると予想される。この間、豪州の既存の通常型潜水艦は耐用年数が満期を迎え、潜水艦の「空白期」が生じるとの不安が浮上している。このため、豪州側は最初の1、2隻は米英の造船所での建造を打診している。

一方、米国は冷戦終了後に国営の造船所を次々と閉鎖している。最近では人手不足も重なって、既存の造船所では新設やメンテナンスの需要に対応しきれていない。米海軍幹部は豪州向けに潜水艦の建造を請け負う余裕はないと発言している。

キー氏は「豪州が原潜を保持し運用するにはどのルートが最適なのか、非常に多くの選択肢を検討中だ。米大統領と英豪首相が合意に達すれば詳細が見えてくる」と述べ、豪州向けの原潜をどこで建造するかは、最後は各国トップの決断で決まるとの見方を示した。

英国は21年3月、100ページにわたる外交・安全保障方針「統合レビュー」を発表した。インド太平洋地域への傾斜を打ち出すと同時に、中国に関しては「Systemic Competitor(体制上の競争相手)」と位置づけた。米軍内では中国が27年までに台湾侵攻の態勢を整えるのではないかとの懸念が強まっている。

台湾有事への備えについてキー氏は「すべての軍は(政策決定者に)選択肢を提供する義務がある。詳細は語れないが、米、豪、日などとそのような選択肢について協議している。あらゆる事態を想定し、政府に助言するのが軍人の務めだ」と語った。

日本との協力に関しては「海軍同士の関係は100年以上に遡る。日本はより外への関与を拡大し、我々も真剣な決意でインド太平洋に回帰している。コミュニケーションを深められていることをうれしく思う」と語った。酒井良・海上幕僚長と今後5年、10年のスパンでの連携を協議しているとし、英艦船の日本寄港も今後、「まちがいなく増えていく」と述べた。

(森安健)』

ロシア、サハリン1への日本の出資を承認

ロシア、サハリン1への日本の出資を承認
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR14C0I0U2A111C2000000/

『ロシア極東での石油・天然ガス開発事業「サハリン1」の運営を担う新会社を巡り、ロシアのミシュスチン首相が日本とインドの出資を承認する指令に署名したことが14日、明らかになった。ロシア通信など同国の各通信社が伝えた。日本は30%の権益を維持することが決まった。

「サハリン1」を巡っては、ロシアのウクライナ軍事侵攻で事業環境が変わったことを受け、プーチン大統領が10月7日に事業を新会社に移管する大統領令に署名した。同月14日には新会社を法人登記し、海外企業に対して事業への出資を継続するかどうか1カ月以内に判断するよう求めていた。

11月4日には、経済産業省や日本の商社などが出資し、サハリン1に参画していたサハリン石油ガス開発(SODECO)が新会社への参画を申請すると正式に決めた。日本政府として「エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクトだ」と判断した。

サハリン1には、SODECOと米エクソンモービルが各30%、ロシア国営ロスネフチ子会社とインド石油天然ガス公社(ONGC)が各20%出資していた。エクソンは新会社設立に伴い、事業から撤退する。ロシア政府は14日、ONGCによる新会社への20%出資も承認した。

【関連記事】サハリン1新会社に出資へ 日本勢、申請を正式決定 』

無党派層が遠ざけたトランプ氏 米民主党「健闘」の先は

無党派層が遠ざけたトランプ氏 米民主党「健闘」の先は
編集委員 菅野幹雄
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK105KR0Q2A111C2000000/

 ※ 2024年の大統領選挙、トランプ氏が候補者となった場合、バイデン氏が出馬するという可能性は、あり…、だろう…。

 ※ そうでなく、ペンス氏、ニッキー・ヘイリー氏、デサンティス氏などが候補者となった場合、バイデン氏以外となる可能性の方が高いだろう…。

 ※ そうなった場合は、「知名度が低い者同士の戦い」となり、勝敗の行方は「混沌」となるのか…。

『若者、女性、そしてトランプ前大統領。8日の米中間選挙を動かした要因は、この3つだろう。直前まで劣勢が予想された米与党・民主党は12月のジョージア州決選投票を待たずに連邦議会上院で多数派を維持し、下院でも先行する野党・共和党に「218議席」の過半数確保をなお許さず僅差に迫っている。最終結果はともかく、民主党の「健闘」だったことは確かだ。この意味を、我々はどう受け止めたらいいか。

終盤で目覚めた無党派層

各種の米世論調査は激戦州で、投票日を目前にした共和党候補の「上げ潮」を鮮明に示していた。政治サイト、リアル・クリア・ポリティクスの集計では、激戦州といわれた東部ペンシルベニア、西部アリゾナ、ネバダ各州の上院選で共和候補の支持率がいずれも民主候補を最後の2週間で追い上げ、投票日直前には逆転ないしは同率に追いついていた。赤をカラーとする共和党の「レッドウエーブ」の予感も自然だった。

ところが、ふたを開ければ、トランプ前大統領の推薦を受け、2020年の大統領選挙が不正だったとの主張に同調する3州の候補は軒並み敗れた。バイデン大統領は「とても満足している」と上院の戦いを自画自賛した。米メディアによると、トランプ氏はペンシルベニア州の候補敗北が伝わった夜、フロリダ州パームビーチの邸宅「マール・ア・ラーゴ」でメラニア夫人ら周囲に当たり散らしたという。

サプライズはなぜ起きたのか。AP通信の出口調査と米フロリダ大学「選挙プロジェクト」のデータでは、ペンシルベニア、アリゾナ、ニューハンプシャーなど民主党が勝った接戦の州で投票率が前回18年を3~4ポイント上回った。全体では前回を下回りそうだが、選挙の「熱量」は上がっていた。

タフツ大学の「サークル」による投票行動の分析によると、18~29歳の若者の63%が民主党に、35%が共和党に投票した。その差28ポイント。民主主義の将来や気候変動といった次世代がかかわる問題への関心の高さと危機感が民主党に向いたようだ。

人工妊娠中絶を巡る問題も選挙戦を左右した(中絶の権利擁護派を支援する民主党のニューサム・カリフォルニア州知事㊨)=AP

女性票の動向も見逃せない。米ABCの出口調査では有権者が投票にあたり最重視したテーマとして、インフレが32%、人工妊娠中絶27%だった。かねて群を抜いて高かったインフレによる生活苦の問題に、女性の権利を左右する中絶問題への関心が肉薄した感がある。米主要テレビ局などによる調査では、18~29歳の女性の44%が中絶問題を最重要と答え、インフレと答えた人の2倍近かったとの数字もある。

トランプ時代「たそがれ」の始まり?

多くの無党派層が、投票日を前に民主党側の支持に流れた可能性がある。AP通信などの調査では無党派層の39%が民主党、35%が共和党にそれぞれ票を投じ、共和党優位の時代と構図が逆転しているという。

動因には、トランプ氏の振る舞いに関する拒否反応があるはずだ。共和党の優勢が展望された終盤、自らが推す候補の応援演説に通い、投票日の直前に大統領選出馬の意向を強くにじませたトランプ氏。民主党だけでなく、共和党のサイドでも、その行動を批判的にとらえる発言や動きが起きている。これは、24年の次の米大統領選挙に向け、かなり重要な意味を持つのではないか。

「(壁を作れなかった)ドンが落っこちた――再び共和党を結束できるのか?」。保守系の米大衆紙「ニューヨーク・ポスト」は10日の表紙に、子ども向けキャラクターの「ハンプティ・ダンプティ」にトランプ氏の顔を組み合わせ「トランプティ・ダンプティ」が壁の上で手を広げて怒る様子の戯画を載せた。同紙はトランプ氏に友好的だったメディア王のルパート・マードック氏が所有する。

筆者も取材したトランプ氏の集会では、前大統領への熱烈な支持を訴える人々が何時間も前から会場を埋め、主役の登場を楽しそうに待つ。岩盤の支持層はいまだに健在だ。だが、無党派層を確保する力がなければ、民主党を相手にした戦いに勝てない。中間選挙で共和党が圧勝していれば目立たなかった現実がみえてきた。

共和党は「自分探し」の局面に

再選を懸けた州知事選で圧勝し「トランプ後」の最右翼となったデサンティス・フロリダ州知事㊧(8日、タンパでの勝利集会)=AP

ふたつの方向性があろう。一つは共和党内で新たなリーダーを模索する流れだ。南部フロリダ州の知事選挙で圧勝の末に再選したロン・デサンティス氏は、その筆頭格だ。40歳代の若さで押し出しが強く、フロリダに共和党の牙城を築いた。20年の選挙結果の認定を巡りトランプ氏と対立したペンス前副大統領、女性のヘイリー元国連大使など、潜在的な候補がトランプ氏の勢力の浮沈を見守っている。

もう一つの展開は、議会内で共和党のトランプ派が一段と結束力と発言力をつけ、トランプ氏の権勢を守ろうとする動きだ。仮に共和党が下院で過半数を獲得しても、リードは僅差でしかない。議会で多数を形成するには、トランプ派の強硬な意見を無視することができない。下院議長の候補として、トランプ氏を支える「フリーダム・コーカス」の有力者を担ぎ出そうとする動きも伝えられる。

トランプ氏は現地時間の15日に、24年大統領選への出馬を表明する見通しだ。だが当初想定した中間選挙圧勝の立役者としての「凱旋」のシナリオは不発となった。再び挑戦となっても、16年の大統領選勝利のように、無党派層が「未知数の候補」だったトランプ氏に託そうとする流れは期待できない。相手をこき下ろすだけでなく、自らが実際にどんな政策で何をもたらすのか、無党派層にも訴えることが不可欠になる。

「圧勝」を念頭に大統領選出馬をにおわせたが……(8日、フロリダ州パームビーチの邸宅で人々と話すトランプ前米大統領)=AP

共和党にとって悩ましいのは、どちらに進んでも党の結束が一段と弱まってしまうことだ。トランプ支持者らによる連邦議会議事堂の占拠事件後などが共和党の方向性を巡る議論を深めるきっかけになるはずだったが、空回りした。自分たちはどの方向に進むのか。ずっと先送りしてきた共和党の「自分探し」が、本格化することになる。

投票所での混乱は不発だったが

幸いなことに、中間選挙を前に懸念された暴力的な投票妨害や投票を巡る混乱の例はこれまでのところ伝えられていない。民主党と共和党が極めて僅差で拮抗する構図となったのは、米有権者によるバランス感覚と民主主義の復元力を示す材料になった。

激戦のアリゾナ州では開票になお時間がかかっている(13日、同州マリコパ郡の施設で作業にあたる職員)=ロイター

だが、油断はできない。トランプ氏はアリゾナ州で自ら推薦した上院議員候補が敗北した後、さっそく「選挙不正があった」と自身のSNS(交流サイト)に投稿した。「ハイヒールをはいたトランプ」の異名を持つアリゾナ州知事候補のキャリ・レーク氏は、たとえ敗れても不正を訴えて結果を認めない姿勢をほのめかしている。

こうした動きは、トランプ氏やその周辺を大いに突き動かすだろう。だが、根拠のない訴えで民主主義の根幹である選挙をないがしろにする動きに、無党派層はうんざりしているのではないか。

指導力の維持にひとまず安堵

今月20日に80歳となるバイデン氏。中間選挙の大敗北でレームダック(死に体)になる展開も覚悟していた世界にとっては、ひとまずは安堵の材料になった。20カ国・地域首脳会議(G20サミット)などアジアで開催中の国際会議でも、バイデン氏の発言に一定の説得力が加わったことは確かだろう。ロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾に対する脅威など、国際情勢で世界最強の国の指導力がなんとか保たれたことは前向きな展開といえる。

カナダのトルドー首相㊨らと東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の夕食会で談笑するバイデン米大統領(左から2番目、12日、プノンペンで)=AP

とはいえ、どんな僅差であっても、負けは負けだ。民主党に決定的な勢いがあるわけでは、全くない。最終的に民主党が下院の優位を奪われ「ねじれ議会」が4年ぶりに到来すれば、バイデン氏の政策の選択肢は大いに制約される。米大統領選まで残り2年、米国の内外でどんな困難が待ち構えているかも定かではない。米国の深い分断の構図も何ら変わらない。

バイデン大統領は再選を目指すのか、それとも民主党は新たな候補に先を託すのか。トランプ氏の威光はなお健在なのか、若い勢力が土台を崩すのか。民主党の予想外の健闘が、24年の決戦に向けた混迷の構図をより複雑にしたのは間違いない。

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多様な観点からニュースを考える

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

中間選挙の結果は、多くの事前予想とのギャップが大きく興味深い内容だった。事前の世論調査では無党派層も若者も高齢者も年齢に関係なく、経済政策をまかせられる政党として共和党を選ぶ人が多かった。その一方で、米国では毎年山火事やハリケーンの大型化やかんばつで大きな被害がでているのに気候変動を含むESGに対して対抗姿勢をむき出しにし、選挙の結果や司法制度を軽視し暴力をつかう姿勢は非常に懸念されていた。インフレ率が少しずつ低下しており先行きも低下するとの見通しがたっていることも影響したと思うが、経済問題より中絶問題、民主主義・環境問題などを重視した投票者が多かったことがサプライズの結果をもたらした。
2022年11月15日 7:07 (2022年11月15日 7:48更新)

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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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今後の展望

ひとまず、マーケット撹乱要因にならなかったことは確かだ。ニュースに現れるバイデン大統領は上機嫌。COP27にもケチがつかない、など、穏便な面もある。しかし、記事指摘のように、ねじれ議会が残る。今後の影響はどうか。まずは、債務上限問題を解決しなければならない。インフレ法案は通過しているが、財政出動が続けば、債務上限問題につき、クレジット市場は気にしなければならなくなる。米国みたいな大国のデフォルトはあるわけないと知りながらも、政治的対立から債務引き上げに時間がかかれば、米国債の格付けや価格には重しとなりかねないことを、シナリオのリスク要因の一つには入れるべきだろう。
2022年11月15日 9:40

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

ペロシ米下院議長は11月13日、24年大統領選でバイデン氏が2期目を目指すべきかを問われ、再選出馬を支持する考えを示した。仮に、中間選挙で民主党が下院で大敗する、上院で過半数を失うなど「負け方」が大きかった場合、バイデン氏の再選出馬は難しいという雰囲気が強まり、近く80歳と高齢の大統領に代わって有力な候補者になり得る人物を探す動きが強まっていただろう。しかし実際は、下院で大健闘、上院は多数派維持になった。こうなるとバイデン大統領は、もはや引っ込みがつかない状況に置かれる。9日の記者会見ではジル夫人が見守る中、「われわれの意図は再出馬することであり、それはずっと変わっていない」と述べていた。
2022年11月15日 8:13』

日本のGDP年率1.2%減 7~9月、4期ぶりマイナス成長

日本のGDP年率1.2%減 7~9月、4期ぶりマイナス成長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA149200U2A111C2000000/

『内閣府が15日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%減、年率換算で1.2%減だった。マイナス成長は4四半期ぶり。GDPの過半を占める個人消費は新型コロナウイルスの第7波などの影響で伸び悩み、前期比0.3%増にとどまった。

市場ではプラス成長が続くとの見方が大勢を占めていた。QUICKがまとめたGDP予測の中心値は年率1.0%増だった。

マイナス成長に転落した主因は外需だ。前期比の寄与度はマイナス0.7%。GDPの計算で差し引く輸入が5.2%増え、全体を押し下げた。特にサービスの輸入が17.1%増と大きく膨らんだのが響いた。

内閣府の担当者は「広告に関連する業務で海外への支払いが増えた」と説明した。「決済時期のずれも影響し、一時的だ」との見方を示した。

内需も低調で、寄与度は前期のプラス1.0%から0.4%に鈍化した。柱の個人消費は前期比0.3%増にとどまった。コロナの流行第7波が直撃し、交通や宿泊関連などのサービス消費が伸び悩んだ。

耐久財は3.5%減と2四半期ぶりにマイナスに沈んだ。家電やスマートフォンなどが物価上昇の影響もあって振るわなかった。

内需のもう一つの柱である設備投資は1.5%増で2四半期連続で伸びた。企業がコロナ禍で持ち越した分の挽回も含め、デジタル化や省力化の投資を進めている。

住宅投資は0.4%減で5四半期連続のマイナス。建築資材の高騰が影を落としている。公共投資は1.2%増と2四半期連続で増えた。21年度補正予算や22年度当初予算の執行が進んだ。コロナワクチンの接種費用を含む政府消費は横ばいだった。

名目GDPは前期比0.5%減、年率換算で2.0%減となった。円安で輸入額が膨らんでおり、実質でみるよりマイナス幅が大きくなっている。

国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比0.5%低下とマイナスが続く。日本全体として輸入物価の上昇を価格転嫁できていない構図が浮かぶ。

家計の収入の動きを示す雇用者報酬は名目で前年同期比1.8%増えた。実質は1.6%減り、2四半期連続でマイナスとなった。物価上昇に賃金が追いついていない。
多様な観点からニュースを考える

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小黒一正のアバター
小黒一正
法政大学経済学部 教授
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分析・考察

2022年7月ー9月期における名目GDP成長率(季節調整済み)は、前期比▲0.5%(年率▲2%)ですが、円安や資源価格の高騰による、輸入コストの急増が成長の足枷になっている現実がデータから明らかに分かります。民間住宅の0%を除き、消費や設備投資、輸出など成長に寄与する項目が全てプラスの伸びにもかかわらず、輸入が前期比で11.4%の増加になっています。年率では54%の伸びに相当し、尋常ではない増加率に思います。現在は一時的に円安が修正されていますが、日米間の金利差は存在するため、再び円安が進行する可能性もゼロでなく、難しい問題ですが、この問題をどう制御するか、真剣に検討する必要があると思います。
2022年11月15日 11:23 (2022年11月15日 11:31更新)

白井さゆりのアバター
白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

緩やかなプラス成長になると思っていたが、マイナスになり日本経済の基盤の弱さを感じています。輸入急増が主因で、特殊要因もあるとおもいますが近年設備投資との相関が強くなっているように思います。また消費は予想されたように弱かったですが、サービスが緩やかにかっくだいを続けており、今後もサービスを中心に消費回復がつづいていくとみています。ただサービス回復といっても、コロナ感染症危機以降、大きく落ち込んだところからの回復なので、まだ2019年始めの水準をかなり下回っています。耐久財は巣ごもり需要で大きく拡大したのち、現在は需要の下落が目立ちます。エネルギーや食料など価格が高騰した項目の消費低下がきになる。
2022年11月15日 11:09

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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分析・考察

最大の下押し要因は実質輸入の増加であり、民間在庫もマイナス寄与なので、国内需要がそこまで悪くないというとらえ方をすれば、ヘッドラインの数字を見て額面通り悲観することもないという見方もできます。
しかし、構造的にはそれだけ輸入に頼らざるを得ない輸入依存度の高さが露呈されたとも見れます。
いずれにしても、国内自給率の向上が課題というのが良くわかる結果と言えるでしょう。
2022年11月15日 9:44

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

①「生産」を物差しにするGDPは前期比年率▲1.2%でしたが、「所得」が物差しのGDI(国内総所得)やGNI(国民総所得)の落ち込みはもっときつい。前期比年率でGDIは▲3.9%、GNIは▲2.9%でした。

②資源・エネルギー価格の高騰で同じ量を輸入するにも、海外に余計におカネを支払わなければならない。「交易条件」の悪化が日本経済にズシリとのしかかっている姿が浮き彫りになっています。

③一方、「名目」でみるとGDPは▲2.0%と、「実質」の▲1.2%より減少幅が大きい。輸入デフレーターの上昇で、GDPデフレーターのマイナス幅が4~6月期に比べて拡大したことが響きました。

2022年11月15日 9:35 (2022年11月15日 9:44更新)

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AI処理で「100万円スパコン」使ってみた GPUからの移行は手間? 対話AIベンチャーが手応え明かす

AI処理で「100万円スパコン」使ってみた GPUからの移行は手間? 対話AIベンチャーが手応え明かす
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2103/02/news007.html

『今、日本国内のスーパーコンピュータ事業が熱い。スパコンの性能を競う世界ランキング「TOP500」で1位(2020年11月時点)を獲った「富岳」や、省電力ランキング「Green500」で1位(20年6月時点)の「MN-3」はいずれも日本の製品だ。こうしたスパコンは大規模な物理演算などに使われるため、基本的には研究機関などが大きなプロジェクトで利用することになる。

 こう聞くと、多くの研究者やプログラマーにとっては縁遠いものと考えがちだが、最近は状況が変わってきた。スパコンの老舗メーカーであるNECが、並列計算を得意とするスパコン「SX-Aurora TSUBASA」のプロセッサ「Vector Engine」(ベクトルエンジン、VE)の単体販売を21年1月に始めたのだ。

NECの最新ベクトルプロセッサ「SX-Aurora TSUBASA Vector Engine」

 デスクトップサイズのタワー型サーバにVEを収めた小型モデルも18年から販売しているが、VE単体では価格が114万4000円(税別)とさらに低廉化。「100万円スパコン」と見出しにつけた報道もあり、注目を集めている。

 NECのSXシリーズはJAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)が運用するスパコン「地球シミュレータ」にも代々採用されており、21年3月に運用を始める次世代モデルはVEを5,472台搭載する予定だ。そんなVEを、大学の1研究室や中小企業が保有して自由に使える時代が来ている。

 しかし、こんな疑問もあるかもしれない。「これまでの計算環境と違うと、プログラムの移植にも手間がかかって使いこなしが難しいのではないか」──。

 すでにGPUからVEにAI処理を移行した、対話AIベンチャー ウェルヴィルの樽井俊行CTOはこう話す。「コードを修正することなくそのまま動き、計算も高速化できました」

 VEの使い勝手や有力な応用先について、樽井CTOに話を聞いた。

SX-Aurora TSUBASAに替えるだけで強化学習を高速化 コードの変更は一切なし

 ウェルヴィルは2018年に創業したAIベンチャー。樽井CTOは前職で基幹業務システム向けのソフトウェアの開発に長く携わっており、中でも自然言語処理を2010年ごろから担当していた。

ウェルヴィルの樽井俊行CTO

 創業以来、対話エンジンを主力製品としてパートナーと研究開発を進めている。特に東京大学医学部との連携が密で、工学系研究科と医学系研究科で教授を務める鄭(てい)雄一氏を顧問に迎え、自由な対話を可能にするエンジンを開発している。そのため、会社も東大医学部の研究棟内にある。

 樽井CTOがSX-Aurora TSUBASA(VEを1基搭載するエッジモデル)の応用先に選んだのは、コンテナへの荷物積み込みの最適化と、自由対話エンジンの計算全般だ。

 コンテナへの積み込みは深層強化学習(Deep Q Network)を使い、重い荷物を下に、軽い荷物を上に配置しながらできるだけ隙間なく荷物を詰め込むよう学習するプログラムをPythonで実装していた。重めのAI処理であることから、これをまずベンチマークに選んだと樽井CTOは話す。

 従来は法人向けGPUで計算を実行していたが、ハードウェアをSX-Aurora TSUBASAに変更。その結果、約1.5倍高速に計算を完了できた。

 「もともとの計算自体が数時間という単位でかかるものなので、1.5倍は相当な時間短縮になります」(樽井CTO)

荷物の積み込み最適化にSX-Aurora TSUBASAを利用したら学習速度が1.5倍に

 移植の際、プログラムのコードは一切変更しなかった。プログラムでは機械学習フレームワークの「TensorFlow」を利用していたが、NECがSX-Aurora TSUBASAでもこれらを使える環境を用意。

(参考:https://github.com/sx-aurora-dev/tensorflow)

 もともとNECのSXシリーズはSX-Aurora TSUBASA世代になってからLinux OS上での運用が可能になったため、GPUなどを使う従来の開発環境とは互換性が高い。こうした背景が、プログラムの修正なしの移植を可能としている。

 「GPUを使う際とは違う何かをする必要は全くありませんでした。例えば機械学習の入門書通りにプログラムを書いたとしても、そのままで動くと思います」(同)

ベクトルエンジンはなぜ速い?

 GPUもVEも、並列計算が得意な演算ユニットではある。GPUは画像処理の文脈から、今になっては一般的な並列計算にも利用されるようになっているが、VEは大規模な流体計算や気象の計算といった並列計算に以前から使われてきた。

 ベクトルエンジン自体も「ベクトル型」という命令方式で、複数の演算を一度に行えるよう作られている。メモリ帯域幅が大きいのも特長だ。最大1.53TB/sというスペックはPCIeボードサイズの他社の現行のフラグシップアクセラレータと比べても高速で、「世界トップクラスのアクセス性能」(NEC)としている。高い演算性能があっても、メモリ帯域が狭いとメモリと演算ユニット間のデータ転送でボトルネックになりうる。ベクトルエンジンを搭載するSX-Aurora TSUBASAは演算性能とメモリ帯域幅を両立することで効率的な計算を実現しているといえる。

 現在のAIが発展している要因の一つには「計算リソースの充実」が挙げられる。AIの計算は基本的に複数のノード(ニューロン)を同時に更新するため、並列計算が得意なSX-Aurora TSUBASAはAI処理にも向いているというわけだ。

自然言語処理もSX-Aurora TSUBASAで高速に 非接触の接客や自動問診システムへ応用目指す

 貨物積み込みの最適化でSX-Aurora TSUBASAの感触を得た樽井CTOが次に試したのは、同社のメイン技術である自然言語処理への適用だ。

 自然言語処理は強化学習ほど並列計算が多く出てくるわけではない。また、バッチ的に一度に数時間かかる重い処理とは異なり、ウェルヴィルの開発する言語モデルはコンマ数秒で応答するリアルタイムのシステムだ。

 そんなリアルタイムの言語処理システムを丸ごとSX-Aurora TSUBASAで実行したところ、AI的な処理ばかりではないにもかかわらず約8%の高速化を実現できたという。

 「処理全体で8%の高速化なので、特に並列計算が多い意味解析の部分に効いているのだと思います」と樽井CTOは話す。

 ウェルヴィルはSX-Aurora TSUBASAを活用して高速化した言語処理システムを、非接触の接客システムや事前問診システムなどに応用していきたい考えだ。

ウェルヴィルの業務向け対話エンジンを積んだ「AIアバターレジ」

 同社は業務向けの対話エンジンを積んだ製品としては「AIアバターレジ」をリリースしている。これは画面上に映ったアバターが接客し、画面に商品を映しながら客の要望を聞くことで注文を受け付けるシステムだ。開発時期の関係から本製品はGPUで計算しているものの、今後業務向け対話エンジンを実装するに当たってはSX-Aurora TSUBASAを使っていくとしている。

ベクトルエンジンの有効な応用先は?

 対話エンジンがメインの同社だが、東大とはさまざまなプロジェクトを共同研究している。中でも「汎用人工知能を作るプロジェクト」ではベクトル型に向いていると考える処理が多く出てくるため、SX-Aurora TSUBASAを使えば高速化できそうだと樽井CTOはみている。

 「ここまで使ってみた感覚では、ど真ん中で有効なのはやはり強化学習ですね」と樽井CTO。具体的な適用先には貨物積み込みのような最適化計算や、自動運転などが挙げられるという。

 もっとも、特に深層強化学習に関していえば人間を破った囲碁AI「AlphaGo」などにも使われている技術であることから、ポテンシャルは非常に高いといえる。どう使いこなすかは各企業や研究者のアイデア次第だろう。

SX-Aurora TSUBASA使いとしては“異端児” NEC「こんな例が出てくるのが共創の意義」

 NECによれば、SX-Aurora TSUBASA Vector Engine(ベクトルエンジン)はすでに1万7000枚が売れており、さまざまな研究機関や大学施設、企業などに導入されているという。多くは、JAMSTECの地球シミュレータのように流体や気象などの数値シミュレーションに使われているため、いわば「重い処理の高速化」に役立てられている。

NECの浅田さん(AIプラットフォーム事業部マネージャー)

 そんな中、リアルタイムに応答する言語処理システムにVEを使ったウェルヴィルはある意味“異端児”といえる。

 「われわれも想像していなかった、こんな応用例が出てくるのがまさにパートナーと共創する意義なのです」と、NECの浅田さん(AIプラットフォーム事業部マネージャー)は話す。

パートナーとの共創で、NECだけではできない領域もカバーしていく

 樽井CTOはSX-Aurora TSUBASAを使う中でこんな要望も持ったという。「クラウドサービスでの提供はありませんか?」

 「サービスによっては物理的に置く場所に制限もあります。ホスティングサービス、もしくはクラウドコンピューティングサービスなどが出てくると、さらに柔軟に使えそうです」(樽井CTO)

 これについては「間もなくご提供できます」と浅田さん。現在パートナー企業とともにホスティングサービスを準備中だ。これも、SX-Aurora TSUBASA Vector Engine単体やエッジモデルなど、SX-Aurora TSUBASAを柔軟な形でパートナーに提供できるようになったからこその取り組みだ。

 SX-Aurora TSUBASA Vector Engine単体の販売が20年11月に始まり、クラウドサービス開始も間近に迫るSX-Aurora TSUBASA。樽井CTOのような使い手の“異端児”は、これからどんどん増えそうだ。』

NEC SX-Aurora TSUBASA

NEC SX-Aurora TSUBASA
https://ja.wikipedia.org/wiki/NEC_SX-Aurora_TSUBASA

『SX-Aurora TSUBASAはNECのベクトル型スーパーコンピュータシリーズであるSXシリーズの、2017年に発売されたモデルグループである[1]。SX-ACE(SX-10相当)まではいずれも専用設計のインタフェースで、バックプレーンにベクトルノードや管理ノードなどが接続されていたが、このモデルグループでは「ベクトルエンジン」をPCI Expressカードとし、管理側の「ベクトルホスト」を同社の「スカラ型HPC」などと呼んでいるx86クラスタ機系統のものとしている[2][3]。このため最小構成(ベクトルカード1枚のA100)では、タワー筐体のデスクサイドPC状の空冷機となっている。また、2020年には水冷式とすることで高密度化・高性能化した機種を発表、最上位機種を置き換えた。[4]

ベクトルエンジンのベクトルプロセッサは、カード1枚に1個のプロセッサモジュールが搭載されている。1個のプロセッサモジュールには、1枚のプロセッサチップと、6枚のHBM2メモリチップが搭載されている[5]。1枚のプロセッサチップに、ベクトル演算プロセッサが8コア搭載されている。プロセッサモジュールは、1.6GHz のクロック周波数で動作し、コアあたり 307 GFLOPSで、メモリ帯域は 150GB/s である。以上の諸元により、1枚のカードで 2.45 TFLOPS の理論性能と 1.2TB/s のメモリ帯域となっている[6]。

OSについても前述のシステム構成の変更にともない、SUPER-UXからカスタム版Linux系へと変更された(OSが関わるのは管理側であり、計算システムとしてはあまり関係は無い)。システムソフトウェアは従来と(あるいは競合する他のHPCシステムと)同様に、ベクトルコンパイラや分散並列化ソフト、分散・並列ファイルシステム、ジョブスケジューラなど。

ローエンドからハイエンドの順で展開を述べると、タワー筐体で空冷の A100システム、ラックマウントの A300シリーズ(2, 4, 8プロセッサ)、そして64プロセッサ以上は従来と同様なラック型で液冷の計算センター用となり、1ラックあたりの理論性能は 156TFLOPS であるとしている。

Supercomputing 2019 にてアップグレードが発表された[7]。最上位のベクトルエンジン Type 10AE では動作周波数 1.584GHz 、コアあたり 304GFLOPS で、8コアのベクトルプロセッサにつき、倍精度の理論演算性能 2.43TFLOPS 、メモリ帯域1.35TB/s となっている[8]。

主な採用事例

2019年6月、ドイツ気象庁の気象予測システム[9]、高エネルギー加速器研究機構と国立環境研究所に採用されたと発表[10]。

2020年9月、当コンピュータを採用した次世代地球シミュレータを受注したと発表[11]。2021年3月より実運用開始[12][13]。

ハイライト – 2022 年 11 月TOP500は今回で60回目。

ハイライト – 2022 年 11 月
TOP500は今回で60回目。
https://www.top500.org/lists/top500/2022/11/highs/

 ※ Thinkに書かれていたリンクを辿って、飛んだ…。

 ※ 注目したのは、コレ…。

 ※ 使われている「プロセッサ(CPU)」の種類の一覧だ…。

 ※ 「NEC Vector Engine」ってのに、注目した…。

 ※ ノーマークだったんで、調べた…。

『(※ 翻訳は、Google翻訳。)

米国テネシー州オークリッジ国立研究所の Frontier システムは、依然として TOP500 で第 1 位のシステムであり、1 エクサフロップ/秒を超える HPL 性能が報告されている唯一のシステムです。Frontier は 6 月の上場で、1.102 エクサフロップ/秒の HPL スコアでポールポジションを米国に戻しました。

1.102 EFlop/s の HPL スコアで、オークリッジ国立研究所 (ORNL) の Frontier マシンは、2022 年 6 月のリストで到達したスコアを改善しませんでした。とはいえ、2 位の勝者が獲得した HPL スコアを Frontier がほぼ 3 倍にしたことは、依然としてコンピューター サイエンスにとって大きな勝利です。その上、Frontier は、混合精度計算のパフォーマンスを測定する HPL-MxP ベンチマークで 7.94 EFlop/s のスコアを示しました。Frontier は HPE Cray EX235a アーキテクチャに基づいており、AMD EPYC 64C 2GHz プロセッサに依存しています。このシステムには 8,730,112 個のコアがあり、電力効率は 52.23 ギガフロップス/ワットです。また、データ転送にはギガビット イーサネットを使用します。

トップの座は、日本の神戸にある理化学研究所計算科学研究センター (R-CCS) の富岳システムによって、2 年連続で保持されていました。442 Pflop/s の HPL ベンチマーク スコアで、Fugaku は現在 2 位にランクされています。

フィンランドの EuroHPC/CSC の LUMI システムは、昨年 6 月にリストの 3 位に入りました。再び 3 位にランクインしましたが、システムのアップグレードによりサイズが 2 倍になりました。HPL スコアが 309 Pflop/s に向上したことで、ヨーロッパ最大のシステムであり続けています。

リストのトップを飾った唯一の新しいマシンは、イタリアのボローニャで開催された EuroHPC/CINECA の No. 4 Leonardo システムでした。このマシンは、1,463,616 コアで .174 EFlop/s の HPL スコアを達成しました。

Top10 のシステムの概要を以下に示します。

フロンティアはTOP500でNo.1のシステムです。この HPE Cray EX システムは、1 エクサフロップ/秒を超える性能を持つ最初の米国のシステムです。米国テネシー州のオークリッジ国立研究所 (ORNL) に設置され、エネルギー省 (DOE) 向けに運用されています。現在、8,730,112 コアを使用して 1.102 エクサフロップ/秒を達成しています。新しい HPE Cray EX アーキテクチャは、HPC および AI 向けに最適化された第 3 世代 AMD EPYC™ CPU と、AMD Instinct™ 250X アクセラレーター、および Slingshot-10 相互接続を組み合わせています。

富岳は現在、日本の神戸にある理化学研究所計算科学研究センター (R-CCS) に 2 番目のシステムが設置されています。7,630,848 個のコアがあり、442 Pflop/s の HPL ベンチマーク スコアを達成できました。

アップグレードされた LUMI システム、フィンランドの CSC の EuroHPC センターに設置された別の HPE Cray EX システムは、309.1 Pflop/s のパフォーマンスで第 3 位です。European High-Performance Computing Joint Undertaking (EuroHPC JU) は、ヨーロッパのリソースをプールして、ビッグデータを処理するための最高級のエクサスケール スーパーコンピューターを開発しています。汎ヨーロッパのプレ エクサスケール スーパーコンピューターの 1 つである LUMI は、フィンランドのカヤーニにある CSC のデータ センターにあります。

新しい No. 4 システム Leonardo は、イタリアの CINECA にある別の EuroHPC サイトに設置されています。これは、メイン プロセッサとして Xeon Platinum 8358 32C 2.6GHz、アクセラレータとして NVIDIA A100 SXM4 40 GB、相互接続としてクアッドレール NVIDIA HDR100 Infiniband を備えた Atos BullSequana XH2000 システムです。174.7 Pflop/s の Linpack 性能を達成しました。

米国テネシー州のオークリッジ国立研究所 (ORNL) で IBM が構築したシステムである Summit は、HPL ベンチマークで 148.8 Pflop/s のパフォーマンスを達成し、現在世界第 5 位にランクされています。 TOP500リスト。Summit には 4,356 のノードがあり、それぞれに 22 コアの Power9 CPU が 2 つと、それぞれ 80 のストリーミング マルチプロセッサ (SM) を備えた 6 つの NVIDIA Tesla V100 GPU が収容されています。ノードは、Mellanox デュアルレール EDR InfiniBand ネットワークで相互にリンクされています。

ランク サイト システム コア Rmax (TFlop/秒) Rpeak (TFlop/s) 電力 (キロワット)
1 DOE/SC/オークリッジ国立研究所
米国 フロンティア- HPE Cray EX235a、AMD Optimized 第 3 世代 EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11
HPE 8,730,112 1,102.00 1,685.65 21,100
2
理化学研究所 計算科学研究センター スーパーコンピュータ富岳 – スーパーコンピュータ富岳、A64FX 48C 2.2GHz、Tofu インターコネクト D
富士通 7,630,848 442.01 537.21 29,899
3 EuroHPC/CSC
フィンランド LUMI – HPE Cray EX235a、AMD 最適化第 3 世代 EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11
HPE 2,220,288 309.10 428.70 6,016
4 EuroHPC/CINECA
イタリア Leonardo – BullSequana XH2000、Xeon Platinum 8358 32C 2.6GHz、NVIDIA A100 SXM4 40 GB、クアッドレール NVIDIA HDR100 Infiniband
Atos 1,463,616 174.70 255.75 5,610
5 DOE/SC/オークリッジ国立研究所
米国 Summit – IBM Power System AC922、IBM POWER9 22C 3.07GHz、NVIDIA Volta GV100、デュアルレール Mellanox EDR Infiniband
IBM 2,414,592 148.60 200.79 10,096
6 DOE/NNSA/LLNL
米国 Sierra – IBM Power System AC922、IBM POWER9 22C 3.1GHz、NVIDIA Volta GV100、デュアルレール Mellanox EDR Infiniband
IBM / NVIDIA / Mellanox 1,572,480 94.64 125.71 7,438
7
中国 無錫の国家スーパーコンピューティングセンター Sunway TaihuLight – Sunway MPP、Sunway SW26010 260C 1.45GHz、Sunway
NRCPC 10,649,600 93.01 125.44 15,371
8 DOE/SC/LBNL/NERSC
米国 Perlmutter – HPE Cray EX235n、AMD EPYC 7763 64C 2.45GHz、NVIDIA A100 SXM4 40 GB、Slingshot-10
HPE 761,856 70.87 93.75 2,589
9 エヌビディア コーポレーション
米国 Selene – NVIDIA DGX A100、AMD EPYC 7742 64C 2.25GHz、NVIDIA A100、Mellanox HDR Infiniband
Nvidia 555,520 63.46 79.22 2,646
10
中国 広州にあるナショナル スーパー コンピューター センター Tianhe-2A – TH-IVB-FEP クラスター、Intel Xeon E5-2692v2 12C 2.2GHz、TH Express-2、Matrix-2000
NUDT 4,981,760 61.44 100.68 18,482
米国カリフォルニア州ローレンス リバモア国立研究所のシステムである Sierra は、第 5 位です。そのアーキテクチャは、第 4 位の Systems Summit と非常によく似ています。2 つの Power9 CPU と 4 つの NVIDIA Tesla V100 GPU を備えた 4,320 ノードで構築されています。Sierra は 94.6 Pflop/s を達成しました。
Sunway TaihuLight は、中国の National Research Center of Parallel Computer Engineering & Technology (NRCPC) によって開発され、中国の江蘇省無錫にある National Supercomputing Center にインストールされたシステムで、93 Pflop/s で第 6 位にリストされています。
7 位の Perlmutter は、HPE Cray “Shasta” プラットフォームに基づいており、AMD EPYC ベースのノードと 1536 の NVIDIA A100 アクセラレーション ノードを備えた異種システムです。Perlmutter は 64.6 Pflop/s を達成
現在第 8 位の Selene は、米国の NVIDIA 社内でインストールされた NVIDIA DGX A100 SuperPOD です。このシステムは AMD EPYC プロセッサに基づいており、加速には NVIDIA A100 を、ネットワークには Mellanox HDR InfiniBand を使用し、63.4 Pflop/s を達成しました。
Tianhe-2A (Milky Way-2A) は、中国の国立防衛技術大学 (NUDT) によって開発され、中国の広州にある国立スーパーコンピューター センターに配備されたシステムで、現在 61.4 Pflop/s で第 9 のシステムとしてリストされています。
リストのハイライト
リストにある合計 179 のシステムが、アクセラレータ/コプロセッサ テクノロジを使用しており、6 か月前の 169 から増加しています。これらのうち 84 は NVIDIA Volta チップを使用し、64 は NVIDIA Ampere を使用し、10 のシステムは 17 を使用しています。

     カウント    システム シェア (%)    Rmax (TFlops)   Rpeak (TFlops)  コア

1 NVIDIA テスラ V100 68 13.6 226,796 443,631 4,688,680
2 NVIDIA A100 22 4.4 264,775 401,042 2,606,176
3 NVIDIA A100 SXM4 40GB 18 3.6 345,414 490,177 3,182,344
4 NVIDIA テスラ V100 SXM2 11 2.2 90,370 180,163 2,031,440
5 NVIDIA A100 80GB 10 2 123,156 163,208 1,044,800
6 NVIDIA A100 40GB 10 2 62,683 101,052 660,740
7 AMD Instinct MI250X 9 1.8 1,525,179 2,261,385 11,713,152
8 NVIDIA テスラ P100 6 1.2 44,731 65,634 905,280
9 NVIDIA A100 SXM4 80GB 4 0.8 25,696 27,245 206,112
10 NVIDIA ボルタ GV100 4 0.8 269,439 362,565 4,408,096
11 NVIDIA テスラ K40 2 0.4 7,154 12,264 145,600
12 NVIDIA 2050 1 0.2 2,566 4,701 186,368
13 NVIDIA テスラ K40m 1 0.2 2,478 4,947 64,384
14 NVIDIA テスラ K40/インテル Xeon Phi 7120P 1 0.2 3,126 5,610 152,692
15 NVIDIA テスラ P100 NVLink 1 0.2 8,125 12,127 135,828
16 NVIDIA H100 80GB PCIe 1 0.2 2,038 5,417 5,920
17 優先ネットワーク MN-Core 1 0.2 2,180 3,348 1,664
18 NVIDIA ボルタ V100 1 0.2 21,640 29,354 347,776
19 NVIDIA テスラ K80 1 0.2 2,592 3,799 66,000
20 インテル Xeon Phi 31S1P 1 0.2 2,071 3,075 174,720
21 ディープ コンピューティング プロセッサ 1 0.2 4,325 6,134 163,840
22 インテル Xeon Phi 5110P 1 0.2 2,539 3,388 194,616
23 NVIDIA テスラ K20x 1 0.2 3,188 4,605 72,000
24 マトリックス-2000 1 0.2 61,445 100,679 4,981,760
Intel は、6 か月前の 77.60% から減少して、TOP500 システムの最大のシェア (75.80%) にプロセッサを提供し続けています。現在のリストにあるシステムの 101 (20.20 %) が AMD プロセッサを使用しており、6 か月前の 18.60 % から増加しています。

リストへのエントリ レベルは 、Linpack ベンチマークで1.73 Pflop/s マークまで上昇しました。

最新のリストの最後のシステムは、以前の TOP500 の 460 位にリストされていました。

すべての 500 の合計パフォーマンスは、6 か月前の 4.40エクサフロップ/秒 (Eflop/秒) から現在は4.86エクサフロップ/秒 (Eflop/秒) で、エクサフロップの壁を超えました。

TOP100 のエントリ ポイントは 5.78 Pflop/s に増加しました。

TOP500 の平均同時実行レベルは、システムあたり189,586コアで、 6 か月前 の182,864から増加しています。

一般的な傾向

国/地域別のインストール:
カウント システム シェア (%) Rmax (TFlops) Rpeak (TFlops) コア
1 中国 162 32.4 514,492 1,132,071 28,865,036
2 アメリカ 127 25.4 2,122,791 3,216,124 27,858,532
3 ドイツ 34 6.8 219,254 331,231 4,030,068
4 日本 31 6.2 624,251 815,667 11,948,484
5 フランス 24 4.8 174,855 251,167 4,052,696
6 イギリス 15 3 64,079 92,564 1,971,888
7 カナダ 10 2 41,208 71,912 845,984
8 韓国 8 1.6 88,683 128,264 1,551,012
9 オランダ 8 1.6 33,959 56,740 547,728
10 ブラジル 8 1.6 46,729 88,176 775,232
11 イタリア 7 1.4 253,229 370,263 2,911,152
12 ロシア 7 1.4 73,715 101,737 741,328
13 サウジアラビア 6 1.2 55,253 98,982 1,798,260
14 スウェーデン 6 1.2 22,501 32,727 355,648
15 オーストラリア 5 1 42,768 60,177 532,416
16 アイルランド 5 1 13,364 26,321 335,360
17 スイス 4 0.8 28,564 38,600 650,260
18 シンガポール 3 0.6 9,038 15,786 234,112
19 ノルウェー 3 0.6 10,225 17,031 312,832
20 インド 3 0.6 10,953 12,082 244,488
21 フィンランド 3 0.6 320,788 443,391 2,584,576
22 ポーランド 3 0.6 10,923 17,099 148,800
23 台湾 2 0.4 11,298 19,563 220,752
24 チェコ 2 0.4 9,589 12,914 163,584
25 ルクセンブルク 2 0.4 12,807 18,291 172,544
26 アラブ首長国連邦 2 0.4 9,014 12,165 142,368
27 オーストリア 2 0.4 5,038 6,809 133,152
28 スロベニア 2 0.4 6,918 10,047 156,480
29 スペイン 1 0.2 6,471 10,296 153,216
30 モロッコ 1 0.2 3,158 5,015 71,232
31 ブルガリア 1 0.2 4,519 5,942 144,384
32 タイ 1 0.2 8,146 13,773 87,296
33 ベルギー 1 0.2 2,717 3,094 23,200

HPC メーカー:
カウント システム シェア (%) Rmax (TFlops) Rpeak (TFlops) コア
1 レノボ 160 32 474,002 970,535 14,045,920
2 HPE 101 20.2 2,166,385 3,183,197 27,296,656
3 インスパー 50 10 107,308 264,133 2,481,840
4 アトス 43 8.6 448,918 684,914 7,643,504
5 スゴン 34 6.8 69,322 188,395 2,891,060
6 DELL EMC 18 3.6 112,664 185,685 2,553,828
7 NVIDIA 14 2.8 147,754 186,955 1,465,472
8 NEC 12 2.4 54,659 78,371 728,008
9 富士通 10 2 529,686 676,128 9,200,608
10 メグウェア 6 1.2 16,239 24,491 320,200
11 IBM 6 1.2 201,915 273,679 3,292,832
12 ペンギンコンピューティング株式会社 6 1.2 17,353 24,219 408,792
13 マイクロソフト アズール 5 1 96,410 137,760 883,200
14 アクション 3 0.6 7,994 63,814 178,368
15 ヌート 3 0.6 66,082 108,454 5,342,848
16 株式会社クレイ/日立 2 0.4 11,461 18,250 271,584
17 xフュージョン 2 0.4 3,671 6,965 84,480
18 液体 2 0.4 5,393 7,518 102,144
19 IBM / NVIDIA / メラノックス 2 0.4 112,840 148,759 1,860,768
20 Quanta Computer / 台湾固定ネットワーク / ASUS Cloud 2 0.4 11,298 19,563 220,752
21 ヤンデックス、エヌビディア 2 0.4 37,550 50,051 328,352
22 華為技術有限公司 2 0.4 5,872 9,390 101,184
23 ClusterVision / ハンマー 1 0.2 2,969 4,335 64,512
24 富士通 / レノボ 1 0.2 9,264 15,142 204,032
25 優先ネットワーク 1 0.2 2,180 3,348 1,664
26 スーパーマイクロ 1 0.2 3,700 6,024 85,568
27 アマゾン ウェブ サービス 1 0.2 9,950 15,107 172,692
28 レノボ/IBM 1 0.2 2,814 3,578 86,016
29 NEC/メグウェア 1 0.2 1,968人 2,801 49,432
30 NVIDIA、インスパー 1 0.2 12,810 20,029 130,944
31 PEZY Computing / Exascaler Inc. 1 0.2 1,952人 2,932 1,151,360
32 インテル 1 0.2 5,613 9,794 127,520
33 NRCPC 1 0.2 93,015 125,436 10,649,600
34 アティパ・テクノロジー 1 0.2 2,539 3,388 194,616
35 自作 1 0.2 3,307 4,897 60,512
36 フォーマットsp。z oo 1 0.2 5,051 7,709 47,616

相互接続技術:
カウント システム シェア (%) Rmax (TFlops) Rpeak (TFlops) コア
1 ギガビット イーサネット 233 46.6 2,249,209 3,749,741 32,588,832
2 インフィニバンド 194 38.8 1,633,260 2,452,071 28,025,796
3 オムニパス 36 7.2 156,748 243,120 3,597,140
4 カスタム相互接続 32 6.4 335,259 500,646 22,008,172
5 独自のネットワーク 5 1 489,907 595,115 8,572,928
プロセッサー・テクノロジー:
カウント システム シェア (%) Rmax (TFlops) Rpeak (TFlops)

コア
1 インテル カスケード レイク 150 30 504,558 978,618 11,809,284
2 インテル スカイレイク 149 29.8 445,006 918,257 11,226,804
3 AMD Zen-2 (ローマ) 57 11.4 565,738 779,012 10,846,768
4 AMD Zen-3 (ミラノ) 43 8.6 1,804,705 2,657,099 16,159,200
5 インテル ブロードウェル 26 5.2 84,679 114,615 2,796,860
6 インテル アイス レイク 22 4.4 289,874 435,208 3,225,612
7 インテル ハスウェル 15 3 62,895 165,478 4,190,588
8 インテル Xeon Phi 8 1.6 82,557 158,228 3,583,220
9 力 7 1.4 311,567 417,833 5,081,600
10 インテル IvyBridge 7 1.4 82,953 132,610 5,841,172
11 NECベクトルエンジン 6 1.2 36,488 48,795 161,216
12 富士通アーム 4 0.8 487,341 590,414 8,386,560
13 AMD Zen (ナポリ) 1 0.2 1,746 2,568 145,920
14 シェンウェイ 1 0.2 93,015 125,436 10,649,600
15 ThunderX2 1 0.2 1,833 2,298 143,640
16 X86_64 1 0.2 4,325 6,134 163,840
17 インテル SandyBridge 1 0.2 2,539 3,388 194,616

グリーン500
Green500 プロジェクトのデータ収集とキュレーションは、TOP500 プロジェクトに統合されました。これにより、http://top500.org/submitの単一の Web ページからすべてのデータを送信できます。
ランク TOP500ランク システム コア Rmax (TFlop/秒) 電力 (キロワット) エネルギー効率 (GFlops/ワット)
1 405 Henri – Lenovo ThinkSystem SR670 V2, Intel Xeon Platinum 8362 2800Mhz (32C), NVIDIA H100 80GB PCIe, Infiniband HDR , Lenovo
Flatiron Institute
米国 5,920 2.04 31 65.091
2 32 Frontier TDS – HPE Cray EX235a、AMD Optimized 3rd Generation EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11 、HPE
DOE/SC/Oak Ridge National Laboratory
米国 120,832 19.20 309 62.684
3 11 Adastra – HPE Cray EX235a、AMD Optimized 3rd Generation EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11 、HPE
Grand Equipement National de Calcul Intensif – Centre Informatique National de l’Enseignement Suprieur (GENCI-CINES)
France 319,072 46.10 921 58.021
4 15 Setonix – GPU – HPE Cray EX235a、AMD Optimized 3rd Generation EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11 、HPE
Pawsey Supercomputing Centre、ケンジントン、西オーストラリア
オーストラリア 181,248 27.16 477 56.983
5 68 Dardel GPU – HPE Cray EX235a、AMD Optimized 3rd Generation EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11 、HPE
KTH – Royal Institute of Technology
Sweden 52,864 8.26 146 56.491
6 1 フロンティア- HPE Cray EX235a、AMD Optimized 3rd Generation EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11 、HPE
DOE/SC/Oak Ridge National Laboratory
米国 8,730,112 1,102.00 21,100 52.227
7 3 LUMI – HPE Cray EX235a、AMD Optimized 第 3 世代 EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11 、HPE
EuroHPC/CSC
フィンランド 2,220,288 309.10 6,016 51.382
8 159 ATOS THX.AB – BullSequana XH2000、Xeon Platinum 8358 32C 2.6GHz、NVIDIA A100 SXM4 40 GB、クアッドレール NVIDIA HDR100 Infiniband 、Atos
Atos
France 25,056 3.50 86 41.411
9 359 MN-3 – MN-Core サーバー、Xeon Platinum 8260M 24C 2.4GHz、Preferred Networks MN-Core、MN-Core DirectConnect 、Preferred Networks
Preferred Networks
Japan 1,664 2.18 53 40.901
10 331 シャンポリオン- Apollo 6500、AMD EPYC 7763 64C 2.45GHz、NVIDIA A100 SXM4 80 GB、Mellanox HDR Infiniband 、HPE
Hewlett Packard Enterprise
France 19,840 2.32 60 38.555

GREEN500 の第 1 位を主張するシステムは、米国の Flatiron Institute のHenriです。合計 5920 個のコアと 2.04 PFlop/s の HPL ベンチマークを使用。Henri は、Intel Xeon Platinum と Nvidia H100 を搭載した Lenovo ThinkSystem SR670 です。

2位は米国ORNLのFrontier Test & Development System (TDS)。合計 120,832 個のコアと 19.2 PFlop/s の HPL ベンチマークを備えた Frontier TDS マシンは、基本的に実際の Frontier システムと同一の 1 つのラックです。

3位はアダストラシステムが獲得した。AMD EPYC および AMD Instinct MI250X を搭載した HPE Cray EX235a システム。

HPCGの結果
Top500 リストには、高性能共役勾配 (HPCG) ベンチマークの結果が含まれるようになりました。

ランク TOP500ランク システム コア Rmax (TFlop/秒) HPCG (TFlop/秒)
1 2 スーパーコンピュータ富岳 – スーパーコンピュータ富岳、A64FX 48C 2.2GHz、TofuインターコネクトD 、 理化学研究所
計算科学研究センター
7,630,848 442.01 16004.50
2 1 フロンティア- HPE Cray EX235a、AMD Optimized 3rd Generation EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11 、
DOE/SC/Oak Ridge National Laboratory
米国 8,730,112 1,102.00 14054.00
3 3 LUMI – HPE Cray EX235a、AMD Optimized 第 3 世代 EPYC 64C 2GHz、AMD Instinct MI250X、Slingshot-11 、
EuroHPC/CSC
フィンランド 2,220,288 309.10 3408.47
4 5 Summit – IBM Power System AC922、IBM POWER9 22C 3.07GHz、NVIDIA Volta GV100、デュアルレール Mellanox EDR Infiniband 、
DOE/SC/Oak Ridge National Laboratory
米国 2,414,592 148.60 2925.75
5 4 Leonardo – BullSequana XH2000、Xeon Platinum 8358 32C 2.6GHz、NVIDIA A100 SXM4 40 GB、クアッドレール NVIDIA HDR100 Infiniband 、
EuroHPC/CINECA
イタリア 1,463,616 174.70 2566.75
6 8 Perlmutter – HPE Cray EX235n、AMD EPYC 7763 64C 2.45GHz、NVIDIA A100 SXM4 40 GB、Slingshot-10 、
DOE/SC/LBNL/NERSC
米国 761,856 70.87 1905.44
7 6 Sierra – IBM Power System AC922、IBM POWER9 22C 3.1GHz、NVIDIA Volta GV100、デュアルレール Mellanox EDR Infiniband 、
DOE/NNSA/LLNL
米国 1,572,480 94.64 1795.67
8 9 Selene – NVIDIA DGX A100、AMD EPYC 7742 64C 2.25GHz、NVIDIA A100、Mellanox HDR Infiniband 、
NVIDIA Corporation
米国 555,520 63.46 1622.51
9 12 JUWELS ブースター モジュール- Bull Sequana XH2000、AMD EPYC 7402 24C 2.8GHz、NVIDIA A100、Mellanox HDR InfiniBand/ParTec ParaStation ClusterSuite 、
Forschungszentrum Juelich (FZJ)
ドイツ 449,280 44.12 1275.36
10 21 Dammam-7 – Cray CS-Storm、Xeon Gold 6248 20C 2.5GHz、NVIDIA Tesla V100 SXM2、InfiniBand HDR 100 、
Saudi Aramco
サウジアラビア 672,520 22.40 881.40
スーパーコンピュータ富岳は、16 PFlop/s で HPCG ベンチマークのリーダーを維持しています。

ORNL の DOE システム Frontier は、14.05 HPCG-Pflop/s で 2 番目の位置を占めています。

3 番目の位置は、3.40 HPCG ペタフロップスのアップグレードされた LUMI システムによって獲得されました。

混合精度計算のパフォーマンスを測定する HPL-MxP (旧称 HPL-AI) ベンチマークで、Frontier は既に 6.86 エクサフロップスを実証しました。HPL-MxP ベンチマークは、混合精度計算の使用を強調することを目的としています。従来の HPC は 64 ビット浮動小数点計算を使用します。今日、32 ビット、16 ビット、さらには 8 ビットなど、さまざまなレベルの浮動小数点精度を備えたハードウェアが見られます。HPL-MxP ベンチマークは、計算中に混合精度を使用することで、はるかに高いパフォーマンスが可能であることを示し (HPL-MxP ベンチマークのトップ 5 を参照)、数学的手法を使用すると、比較すると混合精度手法で同じ精度を計算できることを示しています。ストレート 64 ビット精度で。

ランク

HPL-MxP

サイト

コンピューター

コア

HPL-MxP (Eflop/s)

TOP500ランク

HPL Rmax (Eflop/s)

スピードアップ

HPL 上の HPL-MxP の

1

DOE/SC/ORNL、米国

フロンティア、HPE Cray EX235a

8,730,112

7.942

1

1.1020

7.2

2

EuroHPC/CSC、フィンランド

LUMI、HPE Cray EX235a

2,174,976

2.168

3

0.3091

7.0

3

理化学研究所、日本

富岳、富士通 A64FX

7,630,848

2.000

2

0.4420

4.5

4

EuroHPC/CINECA、イタリア

レオナルド、ブル セクアナ XH2000

1,463,616

1.842

4

0.1682

11.0

5

DOE/SC/ORNL、米国

サミット、IBM AC922 POWER9

2,414,592

1.411

5

0.1486

9.5

TOP500リストについて
今日の TOP500 リストとなったものの最初のバージョンは、1993 年 6 月にドイツで開催された小規模な会議の演習として始まりました。好奇心から、著者は 1993 年 11 月にリストを再訪して、状況がどのように変化したかを確認することにしました。その頃、彼らは何かに夢中になっている可能性があることに気付き、リストの編集を続けることに決めました。これは現在、非常に期待され、注目され、議論の多い年 2 回のイベントです。

TOP500
現在のリスト
25周年記念
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米スパコン首位維持、「富岳」2位 中国も多額投資

米スパコン首位維持、「富岳」2位 中国も多額投資
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC133N30T11C22A1000000/

『スーパーコンピューターの計算速度を競う世界ランキングで、米国の「フロンティア」が前回の5月に続き首位だった。理化学研究所と富士通が開発した「富岳(ふがく)」は2位を維持した。米中を筆頭に各国は多額の資金を投入して開発を進めており、国内勢の技術力低下は経済安全保障上のリスクにもなりかねない。
米フロンティアが首位を維持した

専門家の国際会議が14日、スパコンのランキングを公表した。ランキングは半年ごとに更新する。米オークリッジ国立研究所が運営するフロンティアが1秒間に110京回(京は1兆の1万倍)を超す計算性能を示して2期連続の1位だった。前回のランキングで4期連続の首位から後退した富岳(計算性能は44.2京回)は2位を維持した。上位3位の顔ぶれは変わらなかった。

米国はこれまで、100京回の計算ができる「エクサ級」と呼ばれるスパコンを複数開発する計画を進めてきた。中国も過去に世界一だった「天河2号」と「神威太湖之光」の後継機を開発し、すでに富岳を上回る性能を実現したとされる。欧州もエクサ級のスパコンを含め、巨費を投じて高性能コンピューターの整備を進める。

スパコンは膨大なデータを扱う人工知能(AI)の開発などで重要性が高い。グーグルやマイクロソフトなど米テック企業は、自前のスパコンを構築してビジネスに活用する。次世代の高速計算機である量子コンピューターの実用化には一定の時間がかかるとみられるなか、民間企業を含めた導入競争が加速している。

日本も富岳の後継機開発に着手している。スパコンの研究開発に大量の資金や人材を投入する海外勢と比べて不利な状況にあるものの、足元では経済安全保障などの観点から半導体やスパコンの技術を自国で保有する重要性も高まっている。米中がリードするなか、日本がどこまで競争力を維持できるかが焦点となる。

【関連記事】

・「ポスト富岳」問われる戦略 スパコン開発で米中先行
・スパコン、エヌビディアやGoogleがAI特化 民間主導に
・国産スパコン「富岳」世界ランク2位 米が2年半ぶり首位

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

課題は二つ:次世代スパコン開発を急ぐこと。スパコン開発は目的ではなく、手段であり、スパコンを使って何ができるかである。スパコンを使って薬の開発が有利になるといわれていたが、結局、世界トップレベルのスパコンを有する日本は独自のワクチンを開発できなかった。今回発表されたランキングでは、やや意外だったのは中国のスパコンの順位は思ったより低かったこと。原因はわからないが、半導体不足によるものかな
2022年11月15日 7:25 (2022年11月15日 7:38更新)
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山崎俊彦
東京大学 大学院情報理工学系研究科  教授
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別の視点

英語ですが、下記の本家サイトの中程にはトップ500に締める各国のスパコンの台数・割合が記されています。いろいろと思うところがありますね。

HIGHLIGHTS – NOVEMBER 2022
https://www.top500.org/lists/top500/2022/11/highs/
2022年11月15日 7:48

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【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)

【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221115/k10013881101000.html

『ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 ヘルソン奪還の成果を強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、南部ヘルソン州の州都ヘルソンを訪問したあと「実りの多い象徴的な1日だった」と述べて戦略的拠点をロシア側から奪還した成果を強調しました。

ロシア軍はヘルソンから撤退させた部隊を東部に投入するとみられ、冬を迎えるなか、戦闘が激しくなるという見方が出ています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、ロシア軍が部隊を撤退させた南部ヘルソン州の州都ヘルソンを訪れたあと動画を公開し、「きょうはとても実りの多い象徴的な1日だった」と述べて反転攻勢によって南部の戦略的拠点を奪還した成果を強調しました。

そのうえで「2014年、そしてことし2月24日以降にロシアによって日常を奪われた地域にも幸せは訪れるだろう。私たちはすべてを取り戻す」と述べて領土の奪還をさらに進める考えを示しました。

ゼレンスキー大統領 アメリカと中国の合意を歓迎

14日、米中首脳会談で両首脳が、ロシアを念頭に、ウクライナでの核兵器の使用や核による威嚇に反対することで合意したあと、ウクライナのゼレンスキー大統領は、新たな動画を公開しました。

この中で「特に重要なのは、アメリカと中国が共同で、核兵器を使用するといういかなる威嚇も容認できないと言及したことだ。このことばが誰に向けられているのか、誰もが理解している」と述べ、アメリカと中国の合意を歓迎しました。

ロシアのプーチン政権は、ウクライナへの軍事侵攻後、核戦力の使用も辞さない姿勢を示し、ウクライナや欧米側を繰り返し威嚇しています。

“ヘルソンはウクライナであり これからもウクライナ”

ウクライナ軍が奪還した州都ヘルソンでは14日、市民から喜びの声があがりました。

ロシアが占領していた8か月余りにわたり、ヘルソンで暮らしていたという女性は「この街にロシア軍がいなくなって、変化が起きたと感じた。ウクライナの人々が国旗を掲げたのを見て、ただただ泣いていた」と話していました。

そのうえで「ウクライナ政府の人とここで会って、ヘルソンは永遠にウクライナだと思った。ヘルソンはウクライナであり、これからもウクライナだ」と強調しました。

一方、ロシア軍が撤退する前に通信や電力、それに水道の施設など重要な社会インフラを破壊したことで、市民の生活に深刻な影響が及んでいます。

市内を流れるドニプロ川には、トイレや洗い物など生活に使うための水を求める市民が足を運び、プラスチックの容器にくんでいました。

水をくみにやってきた男性の1人は「卑劣なことをした人々は、報いを受けるべきだ」と述べ、ロシア側への怒りをあらわにしていました。

G20 ウクライナ侵攻後 初の首脳会議がインドネシアで開幕へ

G20=主要20か国の首脳会議は、15日から2日間の日程でインドネシアのバリ島で開かれます。

G20の首脳会議が開かれるのはロシアによるウクライナ侵攻後では初めてで、アメリカのバイデン大統領や中国の習近平国家主席のほか、ロシアからはプーチン大統領の代わりにラブロフ外相が出席する予定です。

初日の15日は、ウクライナ情勢を背景にした世界的なエネルギーや食料価格の高騰への対応などが議題となる予定ですが、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、各国の立場は大きく異なっています。

これまでの閣僚会議でも、インフレなどについて、ウクライナ侵攻が原因だとする欧米各国と、経済制裁が原因だとするロシアとが互いに非難しあう事態となり、議論は進展してきませんでした。

こうした中迎える首脳会議では、世界の分断が一層、浮き彫りになるおそれもあり、首脳たちが何らかの一致点を見いだせるのか議論の行方が注目されています。

“ロシア軍が残した地雷が住民の脅威に”ウクライナ兵士が証言

先月、日本を訪問したウクライナの議員団の1人で、南部へルソン州などの奪還作戦に兵士として参加しているロマン・コステンコ氏がNHKとのオンライン・インタビューに応じ、奪還作戦の状況について、「敵が撤退を始めていて、それを追撃した。すべての方角にいる敵を排除するために、全方位から部隊を進めた」と述べ、各部隊が緊密に連携しながら慎重に前進したことを明らかにしました。

そして、自身の生まれ故郷の集落を奪還し、現地に入ったときの状況について「今までの人生で、いちばん特別な出来事だった。住民と抱き合って喜んだ」と振り返りました。

一方で、ロシア軍の占領下にあった地域の状況について「水道はほとんど使えず、電気も通っていない。病院からも設備が盗まれた。あらゆる場所に地雷が設置されていて深刻な問題になっている。手足を失った人も目にした」と述べ、インフラの破壊に加え、ロシア軍が残していった地雷が、住民を危険にさらし、復旧に向けた脅威になっているとしてロシアを非難しました。

そのうえで、コステンコ氏は厳しい冬が迫る中、発電機などの確保が喫緊の課題になっていると訴えるとともに、地雷の除去に向けた日本の支援に期待を示しました。

今後数週間 戦闘激化か

ロシア国防省は14日、東部ドネツク州の州都ドネツクの西部にあるパウリウカを掌握したと発表し、侵攻を継続する姿勢を示しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は13日「プーチン大統領は、ヘルソンから撤退させたロシア軍を東部に投入しドネツク州全域を占領することを条件に、ヘルソンからの撤退を認めたとみられる。動員された兵士も到着するため、今後数週間、戦闘が激化するだろう」と分析しています。

そのうえで「双方は現在、足場が悪い泥の中で戦っているが、冬場に入ると地面が凍結し、機動部隊が進軍しやすくなる。気温が下がるにつれて、戦闘は激化する可能性が高くなる」と指摘し、冬を迎えると戦闘は一層、激しくなるという見通しを示しました。

米ロの代表団がトルコの首都アンカラで会談

ロシアの有力紙コメルサントなどによりますと、アメリカとロシアの代表団が14日、トルコの首都アンカラで会談しました。

ロシア側からは主要な情報機関の1つ、対外情報庁のナルイシキン長官が出席したということです。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は会談があったことを認めたうえで「アメリカ側の呼びかけで行われた」と述べました。

一方、ロイター通信は14日、アメリカのホワイトハウスの報道官の話として、アメリカ側の参加者はCIA=中央情報局のバーンズ長官だと伝えています。

会談の目的について報道官は「ロシアが核兵器を使用した場合の結果に関するメッセージを伝えるためだ」と述べたということです。

ロイター通信によりますと、ことし2月、ロシアがウクライナに侵攻してから、アメリカとロシアの高官が直接、接触するのは今回が初めてだということです。

ウクライナの軍事専門家「ヘルソンの奪還は重要な転換点に」

ウクライナの軍事専門家、イーホル・カバネンコ氏は首都キーウでNHKのインタビューに応じ、ウクライナ軍による南部ヘルソンの奪還について「ウクライナ軍の反転攻勢の動きを確実なものとし、この戦争における重要な転換点になる」と述べ、大きな成果だとする見方を示しました。

また、ヘルソン州内でのロシア軍の状況については「ドニプロ川の対岸で拠点を築いているが、攻撃の優位性を失っている。兵士の数が足りず士気も低い。ロシア軍がそこから攻撃する可能性もあるが、むしろウクライナ軍の反撃にさらされるだろう」と述べ、戦況はウクライナ側に有利になっていると分析しました。

そのうえで、カバネンコ氏は「ロシア軍は今後、動員した兵士の訓練を終え、兵器の修理もしてくる。このためウクライナ軍は待つべきではなく、勢いを保って前進していくだろう」と述べ、ウクライナ軍の反転攻勢が続くとの見通しを示しました。

ゼレンスキー大統領 奪還したヘルソンを訪問

ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、奪還したヘルソンを訪れ、国旗の掲揚式に参加しました。

そして、奪還の任務に当たった兵士たちに謝意を示すとともに、ロシア軍によって破壊された電力や通信インフラの復旧を急ぐ考えを示しました。

そのうえで、ゼレンスキー大統領は「われわれは、一時的に占領されている領土に一歩ずつ近づいている。困難で長い道のりになるだろうが、この戦争にはわが国の英雄たちが参加している」と述べ、さらなる領土の奪還を進めると強調しました。』

モナコ

モナコ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%8A%E3%82%B3

『モナコ公国[注 1](モナコこうこく、プランシポテ・ドゥ・モナコ、フランス語: Principauté de Monaco)、モナコ(Monaco)は、イタリアのリグーリア州に隣接するコート・ダジュールに位置する西ヨーロッパの主権都市国家、ミニ国家である。北、東、西はフランスと、南は地中海と国境を接している。

世界で最も物価が高く、裕福な場所のひとつとして広く知られている。公用語はフランス語であるが、モナコ語(リグリア語の方言)、イタリア語、英語も話されており、多くの人が理解している。

面積は2.1 km2 (0.81 sq mi)で、バチカン市国に次いで世界で2番目に小さい主権国家であるが、1平方キロメートルあたりの人口が19,009人であることから、世界で最も人口密度の高い主権国家となっている。モナコの陸地の境界線は5.47km、世界で最も短い海岸線は約3.83km[3]で、その幅は1,700〜349mの間である。州内で最も高い場所は、レ・レヴォワール区のモント・アゲルの斜面にあるシュマン・デ・レヴォワールと名付けられた細い小道で、海抜は161mである。

公国はイタリアとの国境から約15kmに位置している[4]。最も人口の多い区はラルボット/バス・ムーラン区で、2008年時の人口は5,443人である。埋め立てにより、モナコの国土は20%拡大した。2005年の面積はわずか1.974平方キロメートルであった。 』

『概要

モナコ公国はアルベール2世を国家元首とする立憲君主制を採用している。アルベール2世は立憲君主であるが、絶大な政治力を持っており、国務大臣が政府の長になる。国務大臣にはモナコ人とフランス人が就くことができ、君主は任命の前にフランス政府に相談する。1297年以来、グリマルディ家が一時的に中断しながらモナコを統治してきた[5]。モナコの主権は、1861年の仏・モネガスク条約によって正式に認められ、1993年には国連の正式な投票権を持つ国となった。モナコの独立性と独立した外交政策にもかかわらず、その防衛はフランスの責任である。しかし、モナコは2つの小さな軍隊を保持している。

19世紀後半、モナコ初のカジノであるモンテカルロ・カジノがオープンし、パリとの鉄道も開通したことで、経済発展が加速した[6]。その後も、温暖な気候や景観、ギャンブル施設の充実などから、観光地や富裕層の保養地としての地位を確立してきた。

近年では主要な銀行の中心地となり、サービス業や小規模で高付加価値の無公害産業に経済の多様化を図っている。モナコは所得税がなく、事業税も低く、タックス・ヘイヴンとして有名である。居住者の30%以上がミリオネアで、2018年には不動産価格が1平方メートルあたり10万ユーロ(14万2,000ドル)に達している[7]。モナコは正式には欧州連合(EU)の一員ではないが、税関や国境管理など、EUの一部の政策に参加している。フランスとの関係から、モナコは唯一の通貨としてユーロを使用しているが、それ以前はモネガスク・フランを使用していた。モナコは2004年に欧州評議会に加盟し、フランコフォニー国際機関(OIF)にも加盟している。

F1グランプリの原型の一つであるストリートサーキットのモーターレース、モナコグランプリが毎年開催されている。フランス・リーグ・アンに所属するサッカーのクラブチームASモナコがあり、これまでに通算8度のリーグ優勝に輝いている。海洋保護の研究の中心地[8]であるモナコには、世界で初めて保護された海洋生息地のひとつ、海洋博物館、国連組織の中で唯一の海洋研究所である国際原子力機関環境研究所がある[9]。

歴史
詳細は「モナコの歴史」を参照

17世紀まで
モナコ イタリア本土 (古代ローマ) 紀元前1世紀.
モナコ ジェノヴァ共和国, イタリア 1494.
モナコ ジェノヴァ共和国, イタリア 1796.
フランスの侵攻 1860.
青がマントンとロクブリュヌ、1860年のトリノ条約で分離独立した。オレンジが現在のモナコ。

モナコという地名は、現在のモナコの近隣に6世紀にあったポカイア人の入植地の名に由来する。その地はギリシャ語で「一軒家」を意味する Μόνοικος Monoikos の名で呼ばれていた。ギリシア神話では、ヘラクレスが現在のモナコの地を通りかかり土地の神々を退散させたとあり、それにちなんで1つの神殿が作られた。その1つの神殿が「一軒家」に転じ、地名が生じた。

神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世から1191年にこの土地を与えられたジェノヴァ共和国は、1228年に現在のモナコを建設した。1297年、ギベリン(皇帝派)に占領されていたモナコの要塞に、フランシスコ会の修道士姿に変装し法衣の下に武装して侵入したフランソワ・グリマルディらは、要塞の占拠に成功した。グリマルディは、現在のモナコ公家であるグリマルディ家の始祖である[注 2]。そのため、グリマルディは、「狡猾な男」とあだ名される。1419年、グリマルディ家はアラゴン王国からモナコを購入し、正式な支配者となる。1528年、アンドレア・ドーリアがジェノヴァの貴族層と庶民層の合体を企て、そのために政権を特定の28氏族へ集中させた。グリマルディ家はその一つに数えられた。また、1612年から prince の称号を自称し始めた。オノレ2世の時代にはフランス王ルイ13世の保護下に入ることでスペイン(アラゴン王国の後身)の支配を抜け出し、歴代のモナコ公は独立君主であると同時にフランス王の臣下(ヴァランティノワ公爵)として宮廷で高い地位を占めた[注 3]。

18-19世紀

1793年、フランス革命軍がモナコを占領・併合した。1814年までモナコはフランス第一帝政の直接支配下におかれた。1815年に催されたウィーン会議の結果、モナコはサルデーニャ王国の保護下に入った。サルデーニャはジェノヴァの後継である。

1858年のプロンビエールの密約で、サルデーニャは、イタリア統一運動をフランスに支援してもらう代償として、1860年にはサヴォワ(サヴォワ県とオート=サヴォワ県)とニース伯領(アルプ=マリティーム県)をフランスに割譲する。モナコ公の課す重税に倦み、サルデーニャへの併合を希望するマントンとロクブリュヌは、モナコからの独立を宣言する。

シャルル3世は1861年、フランス・モナコ保護友好条約(英語版)を締結、領土の95%にあたるマントンとロクブリュヌをフランスに売却し、見返りにモナコ公国の主権を回復した。
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20世紀

1911年、憲法を制定したことで立憲君主制となるも、モナコ大公は依然として絶対君主として振る舞い、アルベール1世はすぐに憲法を停止した。第一次世界大戦が勃発すると大公子ルイ(後のルイ2世)はフランス陸軍に志願、軍功をあげ将軍に上り詰めた。1918年、保護友好条約を再締結、フランスの保護国となった。ヴェルサイユ条約などの第一次世界大戦の講和条約においては、この条約を各国が承認する規定が設けられている。1922年、ルイ2世が即位する。モナコを文化・観光都市にする試みを続け、モナコ・グランプリの開催、ASモナコの創設などを行った。

第二次世界大戦中の1943年にイタリア軍がモナコを占領し、ファシスト政権を樹立した。ベニート・ムッソリーニの政権が崩壊すると、今度はナチス・ドイツのドイツ国防軍が占領した。ドイツは同地でもユダヤ人の迫害を行った。
「第二次世界大戦時のモナコの歴史(フランス語版)」も参照

ルイが1949年に死去すると、孫のレーニエ3世が即位した。1956年にはハリウッド女優のグレース・ケリーと結婚した。1962年、新憲法を制定した。この憲法で死刑が廃止され、女性参政権が実現し、また最高裁判所が設置された。1993年にモナコは国際連合に加盟した。

現在

2005年、レーニエ3世が死去し、息子のアルベール2世が即位した。同年12月、フランス・モナコ友好協力条約を締結した。この条約は、グリマルディ家に跡継ぎがなくなっても公国は将来も存続することをフランスが保証する代わりに、モナコの防衛は今後もフランス軍が行うことを骨子としている。また、モナコの自主的外交における制限が緩和され、外国と国交を結ぶ際のフランスによる事前同意が不要になった。

モナコ全景(2017年)

政治
アルベール2世(2010年)
詳細は「モナコの政治(フランス語版、英語版、スペイン語版)」を参照

政体はグリマルディ家が世襲する大公(公、プランス)を元首とする立憲君主制である。「公国」ながら日本ではしばしば元首を「大公」と呼ぶ背景は「公国」の概要の項目を参照。なお、1918年にフランスと結ばれた条約からモナコはフランスにより保護的な一定の主権の制限を受け、外交・軍事はフランスが責任を持っていた。この条約により、モナコ大公の即位継承にはフランスの同意が必要となり、また大公家が断絶した場合はフランスに編入されることになっていた。

その後、2005年の新条約ではフランスとの特別な協調関係は維持するが、外交面での制限が緩和され、大公家が断絶してもモナコ公国の存続を保証した。
「モナコの憲法(英語版)」も参照

行政

元首である大公のもとに、首相に相当する「国務大臣」が任命されて政府を組織する。「国務大臣」の下に、対外関係省、財務経済省、内務省、社会厚生省、設備・環境・都市開発省をそれぞれ所掌する5名の「政府顧問」が置かれており、これが他国での大臣に相当する。

立法

詳細は「モナコ国民議会(スペイン語版)」および「モナコ王冠評議会(スペイン語版)」を参照
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司法
詳細は「モナコ最高裁判所(スペイン語版)」を参照
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国際・外交関係
詳細は「モナコの国際関係(英語版)」を参照

外交面では従来、モナコが他国と外交関係を結ぶ際にはフランスの事前同意が必要と定められていた。日本政府はこれをフランスとの条約とも併せて「国家主権の制限」と看做し、長らく正式な国交は樹立されなかったが、代わりにモナコ「名誉総領事館」(総領事館ではない)が、1973年に東京(東京都千代田区)に設置された。

外交に関するフランスとの規定は2005年の条約で改められ、フランスの事前同意が無くても国交を結べるようになり、日本とモナコの間でも2006年12月14日に外交関係が樹立され、2007年に駐フランス日本大使がモナコを兼轄することとなった。なお、モナコ国内に大使館はない。それまではモナコは、日本政府が承認している国の中で唯一、外交関係を有していない国だった[10]。一方、モナコも日本を担当する大使を任命しているが、本国駐在であり、日本国内に大使館は置かれていない。

モナコは1993年に国連へ加盟しており、現在も国連と積極的に関わっている国の代表として認知されている。また2004年10月4日付で欧州評議会へ加盟している。欧州連合(EU)の加盟国ではないものの、フランスとの関税同盟および公式の通貨としてのユーロを通じて、EUの経済機構と密接な関連性を持ち合わせている。

国際水路機関(IHO)がモナコに本部を設置している。

通商関係

モナコは、1963年5月13日の関税条約[11]によりフランスと関税同盟の関係にあり、EU関税法第3条第2項(a)の規定[12]によりEUの加盟国ではないがEUの関税領域となっており、フランスとの境界に税関は存在しない。日本・EU経済連携協定第1・3条3の「欧州連合の関税領域の区域であって1の規定の対象でないもの並びに附属書3-E及び附属書3-Fに規定する区域についても適用する」に基づき、モナコ産品について、日本は日本・EU経済連携協定に基づくEPA税率を適用する。

軍事
詳細は「モナコの軍事」を参照

軍事面では、フランスが領土防衛の責任を持つ。モナコは大公銃騎兵中隊を有しているが、事実上警備・儀仗部隊であり、他に消防隊も市民防衛の一環として銃の訓練は受ける。2005年締結の条約により、「緊急事態」を除きフランス軍の派兵にはモナコの同意ないし要請が必要となった。

地理

モナコの地図
モンテカルロ全景
詳細は「モナコの地理(フランス語版)」を参照
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気候

ケッペンの気候区分では地中海性気候(Csa)に属する。夏は極端に暑くならず、冬は極端に寒くならない穏やかな気候で、降雪は10年に1度か2度しかなく非常に珍しい[13]。

モナコの気候
月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年
平均最高気温 °C (°F) 12.3
(54.1) 12.5
(54.5) 14.0
(57.2) 16.1
(61) 19.4
(66.9) 23.0
(73.4) 25.8
(78.4) 25.9
(78.6) 23.8
(74.8) 19.9
(67.8) 16.1
(61) 13.4
(56.1) 18.5
(65.3)
日平均気温 °C (°F) 10.2
(50.4) 10.4
(50.7) 11.8
(53.2) 13.9
(57) 17.1
(62.8) 20.8
(69.4) 23.5
(74.3) 23.7
(74.7) 21.6
(70.9) 17.8
(64) 14.0
(57.2) 11.4
(52.5) 16.4
(61.5)
平均最低気温 °C (°F) 8.1
(46.6) 8.2
(46.8) 9.6
(49.3) 11.6
(52.9) 14.8
(58.6) 18.5
(65.3) 21.2
(70.2) 21.5
(70.7) 19.3
(66.7) 15.6
(60.1) 11.9
(53.4) 9.3
(48.7) 14.1
(57.4)
降水量 mm (inch) 82.7
(3.256) 76.4
(3.008) 70.5
(2.776) 62.2
(2.449) 48.6
(1.913) 36.9
(1.453) 15.6
(0.614) 31.3
(1.232) 54.4
(2.142) 108.2
(4.26) 104.2
(4.102) 77.5
(3.051) 768.5
(30.256)
平均降水日数 6.8 6.4 6.1 6.3 5.2 4.1 1.9 3.1 4.0 5.8 7.0 6.0 62.7
平均月間日照時間 148.8 152.6 201.5 228.0 269.7 297.0 341.0 306.9 240.0 204.6 156.0 142.6 2,668.7
出典:Monaco website[14]

地方行政区分

モナコの衛星写真
モナコの行政区画図
詳細は「モナコの行政区画」を参照

旧市街地と新市街地があり、世界的に見ても人口密度が高い。この点から都市計画が提案されており、計画は今も進められている。
「モナコの都市計画(フランス語版)」も参照

市町村のような地方公共団体は存在しないが、4つの地区(カルティエ)に分けられている。このため、首都も厳密には存在しないが、モナコ市街区が事実上の首都に該当する。

モナコ市街地区(宮殿・政府のある中心地区で、事実上の首都)
モンテカルロ地区(カジノ・リゾート地区)
ラ・コンダミーヌ地区(港湾地区)
フォンヴェイユ地区(新興地区)

経済

モナコ市街
東側よりモンテカルロを眺める 2016年
詳細は「モナコの経済(フランス語版、英語版)」を参照

モナコの人口は3万人余りであるが、2009年のGDPは69億1900万ドルで、チャドやベナンなどアフリカの人口1000万人程度の中規模国に匹敵する[15]。また人口56万人を擁する鳥取県の県内総生産の30%程の経済規模である[16]。2008年または2009年の1人当たり国民総所得は18万3150ドルで、世界銀行によれば、統計のある国連加盟国・非自治地域中トップであり[17]、世界で最も裕福な地域の1つとされる[18][19]。
「モナコ経済開発会議所(フランス語版)」も参照

主要な産業は観光で、特にカジノは、19世紀の一時期は国家収入の9割を占めていたこともある。なお、現在では5%以下であり、経営も半官半民のソシエテ・デ・バン・ド・メールへ移管されている。郵便切手の発行が重要な収入源となっていたこともある。

モナコはタックス・ヘイヴンのひとつとして知られており、(租税条約が結ばれている)他国からの移住者の多くは億万長者である。 2011年3月には、イギリスのシンクタンクにより世界第51位の金融センターと評価されている[20]。

モナコは欧州連合の加盟国ではないが、フランスとの通商関係が緊密で、通貨もフランスと同じユーロを使用している。2002年以前はモナコも独自のフラン硬貨「モネガスク・フラン」を鋳造していた。現在も、各国が自由にデザインできる硬貨の裏面をモナコ独自のデザインにした独自のユーロ硬貨を製造する権利を有している。

化粧品製造が産業として確立しているため、周辺産業としてガラス加工、香水、化学薬品の製造が行われている。

同国にはモナコ労働組合連合(スペイン語版)という組織が存在する。この組織は1944年に設立されたモナコ最大の労働組合であり、欧州労働組合連合へ加盟している。

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タックス・ヘイヴン

モナコは個人居住者に対して所得税を課していない(1957年以降に移住したフランス国籍者は例外として税金をフランス政府に納める。これがフランスが併合を強要しない主な理由である)。所得税がないため、モナコ国外からほとんどの収入を得ている富裕者の多くがこの国にやってくる。F1ドライバーなどの有名人も多いが、その多くは実業家である。2000年のフランス国会議員は、モナコはカジノを含め、資金洗浄に対し監視が甘い政策で、モナコ政府による圧力があり司法当局が疑惑に対して適切に調査していないという疑いを報告した。

経済協力開発機構(OECD)のタックス・ヘイヴン報告では、モナコは2004年までリストアップされていなかったが、その後アンドラ、リヒテンシュタイン、リベリア、マーシャル諸島などと共に、財政情報の公開や提供に協力的でないとして[21]、タックスヘイヴンとしてリストアップされた[22]。国際通貨基金(IMF)も2003年までに他の36地域と共にタックスヘイヴンと認定した[23]。

交通

モンテカルロ駅
詳細は「モナコの交通(英語版、フランス語版)」を参照

モナコ国内の鉄道は、モナコ政府ではなく、フランス国鉄(SNCF)が運営する。マルセイユ~ニース~モンテカルロ~マントン~ヴェンティミーリア(イタリア)間の路線の一部を成している。モナコ国内の鉄道路線は約1.7kmである。

1867年にモンテカルロ駅(英語版、フランス語版)が開業した。当初は地上に鉄道の線路が敷かれていたが、狭隘な土地の有効活用の目的もあり、1958年~1964年にかけて、モンテカルロ駅から東の区間を地下化した。その後1993年~1999年にかけて、モンテカルロ駅の移転・地下化と、モンテカルロ駅から西の区間を地下化した。これにより、モナコ国内の鉄道は、ほぼ全区間が地下線となっている。

パリから直通するTGVが1日1往復存在する。所要時間は約6時間。
「モナコの鉄道(英語版、フランス語版)」も参照

モナコの海港は2ヶ所のみとなっている。
「モナコの港(フランス語版)」も参照

モナコには空港が存在しない。ヘリ・エア・モナコが同国で唯一の航空機関となっている。
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科学技術

1960年にレーニエ3世の主導で、同国唯一の科学研究所である「モナコ科学研究所(フランス語版)」が開設されている。
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国民
詳細は「モナコの人口統計(英語版、フランス語版、スペイン語版)」を参照
「モナコ統計経済研究所(フランス語版)」も参照

モナコには38,682人の住民が住んでいる[24]。
民族

住民の内の9,486人がモナコ人である[25]。
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言語
詳細は「モナコの言語(スペイン語版、フランス語版)」を参照

言語は公用語に規定されているのはフランス語のみだが、その他リグリア語の一方言であるモナコ語、イタリア語、オック語の一つであるプロヴァンス語などが少数話される。また、外国籍者が多いことから英語も通じる。

宗教
モナコのカトリック教会
詳細は「モナコの宗教(スペイン語版)」を参照

宗教はローマ・カトリックが90%である。また、信教の自由は憲法によって保証されている。
教育
詳細は「モナコの教育(イタリア語版)」を参照
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保健
詳細は「モナコの保健(英語版)」を参照
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治安

モナコの治安は比較的良好とされているが、盗難等の犯罪被害に遭う可能性があるとの報告が挙げられている[26]。
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警察
詳細は「モナコ警察(英語版)」を参照

モナコは世界で一人当たりの警察官の数が最も多い国の1つであり、38,000人の住民に対して517人の警官が存在している。
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人権
詳細は「モナコの人権(英語版)」を参照

モナコでは中絶が2009年から合法化されている。現在、この合法化を巡る問題が続いており現在も解決はしていない。
「モナコにおける中絶(フランス語版、英語版)」も参照
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「モナコにおけるLGBTの権利(英語版)」も参照
マスコミ
詳細は「モナコのメディア(スペイン語版)」を参照
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文化
詳細は「モナコの文化(スペイン語版、フランス語版)」を参照
Fontvielle、モナコ
モンテカルロカジノ
食文化
詳細は「モナコ料理(英語版)」を参照

モナコの料理はイタリアとフランスの食文化の影響を強く受けている面を持つ。
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文学
詳細は「モナコ文学」を参照

ルイス・ノタリ(フランス語版)はモナコにおける「文学の父」として広く知られている。またノタリは、同国の国歌の歌詞を手掛けた人物でもある。
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音楽
詳細は「モナコの音楽(英語版)」を参照
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映画

モナコ国際映画祭が世界的に広く知られている。
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建築
詳細は「モナコの建築(英語版)」を参照
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「モナコの高層ビルの一覧(フランス語版)」も参照

世界遺産

モナコは現在、ヨーロッパにおける唯一の世界遺産未登録国である。
「世界遺産を保有していない国の一覧#ヨーロッパ」も参照

祝祭日
日付 日本語表記 現地語表記 備考
1月1日 元日
1月27日 聖ディボートの日
3月~4月 イースター 移動祝日
イースターマンデー
5月1日 レイバーデー
5月 キリスト昇天祭 移動祝日
ウィットサンデー
6月 聖体節
8月15日 聖母被昇天祭
11月1日 万聖節
11月19日 ナショナルデー
12月8日 聖母受胎祭
12月25日 クリスマス

スポーツ
スタッド・ルイ・ドゥ
詳細は「モナコのスポーツ(フランス語版)」を参照

ASモナコ

フランス・リーグ・アンで通算8度の優勝を誇っており、同リーグにおける強豪クラブの一つとなっている。ホームスタジアムは、フォン・ヴュエイユ地区にあるスタッド・ルイ・ドゥである。

UEFAチャンピオンズリーグでは2003-04シーズンに準優勝に輝いている。2016-17シーズンではキリアン・エムバペやベルナルド・シウバ、ラダメル・ファルカオなど数々のスター選手を擁して欧州ベスト4の成績を収めた。
「モナコのサッカー(英語版)」および「サッカーモナコ代表」も参照

モータースポーツ

モナコ国内ではフォーミュラ1のモナコグランプリや、WRCのラリー・モンテカルロなどの世界選手権大会が開催されている。

ヘラクレス

1987年に設立された陸上競技大会であり、会場はASモナコの本拠地でもあるスタッド・ルイ・ドゥで行われている[27]。2010年以降はIAAFダイヤモンドリーグの1大会として開催されている。

モンテカルロ・マスターズ

男子プロテニス協会が主催し毎年4月末に行われている、国際テニス競技大会である。

欧州小国競技大会

モナコは第1回大会から参加しており、第2回大会と第12回大会がモナコで開催された。また、2025年にも開催される予定となっている。

著名な関係者
詳細は「Category:モナコの人物」を参照
主な出身者

ドミニク・ストロス=カーン - 経済学者、法律家、フランス社会党の政治家
エルベ・ファルチアニ - 元銀行員IT担当
ルイ・シロン - レーシングドライバー、元F1ドライバー
オリビエ・ベレッタ - レーシングドライバー、元F1ドライバー
シャルル・ルクレール - レーシングドライバー、F1ドライバー
ポリーヌ・デュクリュエ - 飛込競技選手、モナコ公族
オリヴィエ・ボスカリ - サッカー選手、ニースやPSVで活躍

主な居住者

オーギュスト・エスコフィエ - モンテカルロで死去。フランス料理人
    リッツ・ロンドンなどのシェフであり、"近代フランス料理の父"とも呼ばれる。
マルティーヌ・キャロル - モンテカルロのホテルで死去。女優
セシル・シャミナード - 晩年モナコ居住。ピアニスト、作曲家
ジョセフィン・ベーカー - 埋葬地がモナコ墓地(フランス語版、英語版)。ジャズ歌手、女優
ロジャー・ムーア - 埋葬地がモナコ墓地。俳優
ジョシュア・チェプテゲイ[28] - 陸上競技選手。10000mの世界記録保持者
ランド・ノリス - レーシングドライバー、F1ドライバー
ドミトリー・リボロフレフ(英語版) - ASモナコの筆頭株主

日本人関係者

中田英寿[29] - 元サッカー選手、実業家。モナコ市民権取得
南野拓実[30] - サッカー選手。2022年6月28日にASモナコへ移籍
伊達公子[31] - 元テニス選手。モナコ市民権取得
デューク更家[32] - ウォーキングトレーナー
原田哲也[33] - 元オートバイ・ロードレースライダー
井上隆智穂 - レーシングドライバー、元F1ドライバー、実業家 』