『【モスクワ時事】ロシア大統領府は19日、プーチン大統領が22日に、米国がオンラインで主催する気候変動サミット(首脳会議)に出席すると発表した。
バイデン米大統領はプーチン氏を招待。しかし、米国は15日に対ロシア制裁を発動し、ロシアも16日に報復措置を取っていたことから、米ロ対立の中でプーチン氏が出席するかに関心が集まっていた。
ロシア大統領府はプーチン氏が「地球規模の気候変動の悪影響を克服するため、幅広い国際協力の確立に向けたロシアの取り組みを述べる」と説明した。』
月: 2021年4月
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR16C1M0W1A410C2000000/





『【イスタンブール=木寺もも子】トルコは今夏にもボスポラス海峡を迂回する全長40キロ超の運河の建設を始める。地中海と黒海を結ぶ同海峡は条約で黒海沿岸国以外の軍艦通航を大幅に制限しているが、運河ができれば条約が無効になるなどと懸念する声が上がっている。黒海を巡る米ロの微妙な軍事バランスに影響を与える可能性もある。
「国内外の投資家が参加するだろう」。トルコのエルドアン大統領は16日、6月から「イスタンブール運河」の建設に取りかかると明らかにした。運河はアジアと欧州を分けるボスポラス海峡から欧州側に十数キロ離れた場所に開通させる。
全長45キロほどの運河は総工費750億リラ(約1兆円)とされる。エルドアン氏は支持基盤に大手建設会社を抱え、空港など大型インフラ建設で経済成長を実現してきた。新型コロナウイルス禍で広義の失業率が3割近くに上る中、景気浮揚の起爆剤にする狙いがある。
3月に建設計画を政府承認して以降、運河は国内外で議論を呼んでいる。既存のボスポラス、ダーダネルス両海峡の扱いを定めた1936年のモントルー条約に影響する可能性があるためだ。黒海の非武装化を目指したこの条約は、両海峡へのトルコの主権を幅広に認める。黒海沿岸国以外の軍艦往来をより厳しく制限し、通航の際はトルコへの事前通告などを義務付けている。
米国が今月、ウクライナ支援のため、黒海に軍艦2隻を派遣しようとした際もトルコに通告していた。運河という「バイパス」ができればモントルー条約の前提条件が崩れるとの指摘がある。元外交官、退役軍人らは相次いで運河がトルコの安全保障を脅かすとする公開書簡を発表し、一部は当局に拘束された。
神経をとがらせるのはロシアだ。モントルー条約がなければ米欧の艦船が玄関口の黒海に自由に進入してくる恐れがある。プーチン大統領は9日、エルドアン氏に電話して「モントルー条約の維持は重要だ」と伝えた。一方、元米国務副次官補のマシュー・ブライザ氏は「モントルー条約体制の見直しは北大西洋条約機構(NATO)にとって大きな好機だ」と指摘する。
トルコは運河ができてもモントルー条約に影響はないとの立場を示しているが、トルコによる脱退論はくすぶる。条約は民間船舶が両海峡を自由に航行できることを保証しており、現状では船会社側がほぼ無料のボスポラスを迂回して運河を選ぶメリットが薄いためだ。
エルドアン氏は「将来必要が生じればどんな(国際)合意もためらわず見直す」と含みを持たせる発言をしている。条約の破棄や変更はトルコにとって不利とみられるが、揺さぶりによって米欧とロシアの間で外交的利益を得ようとする思惑が透ける。
運河建設には、環境や経済的な持続性を問題視する声も強い。政府はボスポラスの混雑を緩和し、安全性を高められると説明。年間10億ドル(約1100億円)の通航料収入が得られるとも試算する。ただ、「トルコストリーム」「ノルドストリーム」などのパイプラインが完成したことでタンカーの輸送需要が減っている。
野党によると、過去15年で海峡を通る船舶は4分の3に減った。シンクタンクEDAMのシナン・ユルゲン会長は「運河の収益性は未知数で、着工したとしても完成するとは限らない」と指摘する。』
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『【モスクワ時事】ロシア国防省は19日、ロシア軍の戦闘機がシリア中部パルミラの北東にある武装勢力の拠点を空爆し、最大200人の戦闘員を殺害したと発表した。ロシアは2015年にシリア内戦に軍事介入し、アサド政権の後ろ盾となっている。
国防省関係者は、5月26日のシリア大統領選を前に「非合法な武装勢力が国内情勢を不安定にするため、主要都市でのテロ攻撃を計画している」と主張。武装勢力の拠点に関する情報を確認後に空爆を行い「二つの隠れ家、最大200人の戦闘員、機銃搭載の小型トラック24台、弾薬約500キロを破壊した」と述べた。武装勢力はテロのための爆発物を製造していたと指摘した。』 -

『【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)は19日、ロシアがウクライナの国境地帯や併合した南部クリミア半島に集結させている兵力数について、「15万人以上」だと説明したボレル外交安全保障上級代表(外相)の同日の記者会見での発言を「10万人以上」に訂正した。会見後に公表した発言録で、理由を示さないまま該当部分の数字を置き換えた。
ボレル氏は会見で「ロシア軍によるウクライナ国境での過去最大の派兵だ」と指摘。強い懸念を表明したが、数字の出所に関しては説明を拒んでいた。』 -
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA183RZ0Y1A410C2000000/


『菅義偉首相とバイデン米大統領は16日(日本時間17日)の会談後に公表した共同声明で、台湾海峡の平和と安定の重要性を訴えた。台湾で軍事的緊張が起こった際、米軍とともに自衛隊も対処するシナリオが現実味を帯びる。日本政府は安全保障関連法に基づく3つの事態への対応について検討を迫られる。
【関連記事】
米が問う日本の覚悟 共同声明、52年ぶり「台湾」明記
日米、中国と対峙鮮明 共同声明「自らの防衛力を強化」日米首脳会談を開いた17日、岸信夫防衛相は台湾に近い沖縄県与那国島を訪問していた。記者団に「我が国の安全保障はもとより…
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https://www.nikkei.com/login 』記者団に「我が国の安全保障はもとより、国際社会にも台湾の安定が重要だ」と語った。
防衛省・自衛隊が想定する最悪のシナリオは台湾周辺での武力衝突だ。中国が台湾を攻撃し、米国が参戦すれば在日米軍が最前線を担う。日米安全保障条約の6条は極東で有事があれば米軍が日本の基地を使用できると規定する。在日米軍基地は台湾への出撃拠点として攻撃対象になりかねない。こうした局面で日本は要件を満たせば武力を行使できる。
①日本や密接な関係国への武力攻撃
②他に適当な手段がない
③必要最小限度の実力行使――の3要件だ。安保関連法では外国軍の日本への直接攻撃は「武力攻撃事態」と分類する。閣議で認定し国会が承認する。上陸侵攻、ゲリラ部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、航空攻撃を想定する。
首相が防衛出動命令を出せば、自衛隊が対処する。台湾に近い南西諸島に脅威が迫れば上陸阻止や離島の奪還に動く。ミサイルの迎撃もできる。
判断が難しいのは日本が直接攻撃を受けず、米軍が攻撃を受けた時だ。安保関連法は日本と密接な関係にある他国が攻撃され、日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合を「存立危機事態」と規定する。集団的自衛権を限定的に行使できる事態だ。
これが台湾にどう適用されるのか、これまで政府は具体的に示していない。2014年には危険地域から邦人を輸送する米艦の防護、15年には中東ホルムズ海峡での機雷掃海、17年には北朝鮮が米国に発射したミサイルの迎撃を具体例に挙げている。
いずれも台湾を念頭においた例示ではない。台湾有事も同様に対処するのか、早急に整理する必要がある。
もう一つの分類は日本の平和と安全に重要な影響を与える時の「重要影響事態」だ。自衛隊は米艦への補給などの後方支援や捜索救助、船舶検査ができる。
他の2つとは違い、日本も米国も武力衝突に突入していない場合が多い。どういう時が「日本の安全に重要な影響がある」のか、判断は難しい。
問題になるのが、軍ではなく武装した民兵や漁船が侵攻するような「グレーゾーン」の状況だ。キヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹は「中国によるグレーゾーンの攻撃への備えは重要だ」と語る。
台湾を臨む最西端の碑の前で記者団の質問に答える岸防衛相(17日、沖縄県与那国島)
グレーゾーンは沖縄県尖閣諸島でも懸念材料になる。防衛相経験者は「十分に準備ができていない」と話す。宮家氏は「海上保安庁と自衛隊、米軍が連携し作戦計画を立てておかなければならない」と指摘する。
米国を尖閣の危機に関与させるためにも、日米で台湾を含めたグレーゾーンでの協力体制を検討することが重要になる。
自衛隊も台湾対応が課題になる。拓殖大の佐藤丙午教授は「中国軍の台湾への着上陸の妨害が自衛隊の最大レベルの行動だろう」と話す。自衛隊機で台湾侵攻を水際で防ぐ対処が考えられるという。
高精度のレーダーとミサイル迎撃能力を持つイージス艦の活用も有力な手段になる。佐藤氏は「自衛隊が持つミサイル防衛システムの資産を台湾防衛に活用すべきだ」と話す。
(安全保障エディター 甲原潤之介)
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[FT]米共和党トランプ派議員、記録破りの資金調達
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB191SU0Z10C21A4000000/
『1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件を受けて、米企業が政治献金の中断や打ち切りに動くなかで、トランプ前大統領に忠実な共和党議員らが1~3月期に過去最高額の資金を集めた。
米連邦選挙委員会(FEC)が開示した最新報告によると、ジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州選出)、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州)、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州)などの共和党議員が小口献金を中心に前…
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https://www.nikkei.com/login 』1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件を受けて、米企業が政治献金の中断や打ち切りに動くなかで、トランプ前大統領に忠実な共和党議員らが1~3月期に過去最高額の資金を集めた。
共和党員の間では、大統領選で敗れたトランプ氏への熱狂が今も続いている=ロイター
米連邦選挙委員会(FEC)が開示した最新報告によると、ジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州選出)、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州)、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州)などの共和党議員が小口献金を中心に前年同期を大きく上回る選挙運動資金を集めた。ホーリー氏の調達額は前年同期の約12万ドルから300万ドル超に急増。クルーズ氏は同160万ドルから360万ドルに増やした。両氏とも再選を目指す選挙を迎えるのは2024年だ。
一方、陰謀論を支持したとして2月に下院の2つの委員会から除名されたグリーン氏は320万ドルを調達。1期目の女性下院議員としては驚異的な額となった。
未成年者の性的人身売買に関与した疑いで捜査を受けているマット・ゲイツ共和党下院議員(フロリダ州)も180万ドルを調達。同じくトランプ氏の盟友であるジム・ジョーダン下院議員(オハイオ州)は前年同期の約3倍に上る210万ドルを集めた。
トランプ氏の元報道官で11月のアーカンソー州知事選に出馬予定のサラ・ハッカビー・サンダース氏は480万ドルを集めたと公表した。同州での選挙資金調達額としては過去最高となる。同氏の陣営によると、献金の約75%は州外から寄せられた。同氏はトランプ氏が大統領退任後に設立した政治活動委員会(PAC)「セーブ・アメリカ」から最初に支持を得た政治家だ。
強まる小口献金者の影響
こうした選挙献金の多さはトランプ氏の支持層と共和党の各地域支援者による熱狂が今も続いていることを明確に示している。また、バイデン次期大統領を認定する会議を開いていた連邦議会に乱入し5人の死者を出した議事堂襲撃事件をめぐり企業が政治献金を見合わせるなかで、小口献金者の影響が強くなっていることも物語る。
フェイスブックやマイクロソフト、JPモルガン・チェースなど米国の大企業や有力ロビー団体の全米商工会議所は、トランプ支持者が主導した1月6日の暴動を批判して政治献金の停止や見直しを表明した。
バイデン氏の大統領選勝利認定に異議を唱えた共和党議員にのみ献金しないとした企業もあったが、その約束を反故(ほご)にする企業も出ている。
だが最新の報告によると、共和党が小口献金調達サイト「ウィンレッド」などから企業献金の減少分を上回る個人献金が共和党の親トランプ派政治家に流れ込んでいる。ホーリー、クルーズ、グリーン、ゲイツ、ジョーダン各氏はいずれもバイデン氏の大統領選勝利の認定に反対票を投じた。
同報告を分析すると、21年には主要な選挙がないのに、米国の政治資金が増加傾向にあることもわかる。米国の次の大きな政治イベントは22年の中間選挙で、下院435議席の全てと上院100議席の3分の1が改選され、多くの州知事選も行われる。
共和党内反トランプ派議員への献金は減少
さらに、共和党内の反トランプ派議員のなかには、トランプ氏を批判する一方で献金を増やしていた事例が少数あったとFECの報告は伝えている。
1月6日の議事堂襲撃事件におけるトランプ氏の役割をめぐり、同氏の弾劾に賛成票を投じた共和党下院で最も格上の女性議員リズ・チェイニー氏(ワイオミング州)は1~3月期に150万ドル超の資金を集めた。同じく弾劾に賛成し、反トランプ派の共和党候補の活動資金を調達するPACを立ち上げたアダム・キンジンガー下院議員(イリノイ州)は、他の共和党政治資金団体からの移転分を含めて110万ドルを調達した。
だが、上院の弾劾裁判で有罪を支持した7人の共和党議員も含めて、トランプ氏への忠誠心の薄さが献金の減少につながらなかった反トランプ派共和党議員はチェイニー、キンジンガー両氏のほか一握りにとどまった。
22年に改選を迎えるリサ・マカウスキ上院議員(アラスカ州)の1~3月期の資金調達額は約37万9000ドル。26年まで選挙がないベン・サス上院議員(ネブラスカ州)は13万ドルに届かなかった。ミット・ロムニー上院議員(ユタ州)は約7万5000ドルだった。
1~3月期の資金調達額の多さをみると、22年中間選挙の活動資金が過去最高水準に達する可能性が高く、共和党が「ウィンレッド」を通じて小口献金の収集力で民主党に迫りつつある状況が読み取れる。民主党は最近、主要選挙のたびに小口献金サイト「アクトブルー」を経由して巨額の資金を集めている。
FECの最新報告によると、民主党は1~3月期も大量の献金を受けた。
1月に南部ジョージア州で行われた上院2議席をめぐる決選投票の一つを僅差で制した民主党のラファエル・ウォーノック議員は、前任者の任期を引き継ぐ補欠選挙での当選だったため、22年中間選挙で改選を迎える。報告書によると、同氏は1月26日~3月31日の間に450万ドル超の資金を集めた。
ジョージアと同様に民主・共和両党の勢力が拮抗するアリゾナ州で20年に補欠選挙を制したマーク・ケリー民主党上院議員も、22年の改選となる。同氏は1~3月期に440万ドル超の献金を受けたと公表している。
By Christine Zhang & Lauren Fedor
(2021年4月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
英フィナンシャル・タイムズ(FT)と日経新聞の記者が、アジアのテクノロジー業界の「いま」を読み解くニュースレター「#techAsia」の日本語版をお届けします。配信は原則、毎週金曜。登録はこちら。
https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?me=B009&n_cid=BREFT053【関連記事】
[FT]米企業、共和党への献金再開 議会襲撃事件に区切り
米企業、政治献金を相次ぎ停止 GEなど議会乱入受け
[FT]共和党反トランプ派に漂う不確かな喪失感
返り咲く旧来型の米国政治 エリートの支配に危うさ -
「韓国引き込みクアッド拡大を」 兼原・元官房副長官補
日米共同声明を聞く(1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE193Z80Z10C21A4000000/『日米首脳の声明で台湾に触れたのは1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領以来となった。中国は当時、ソ連と国境で軍事衝突し、台湾に軍事力を割く余裕はなかった。日米は中国と国交正常化を果たし、中国を脅威と思わなくなった。
台湾有事は2030年ごろが一番危ない。国家は国力の衰退がはじまると軍縮交渉に応えるようになる。ソ連がそうだった。成長途上の中国の国力がピークアウトするのは20年も先であり、それまでは…
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https://www.nikkei.com/login 』成長途上の中国の国力がピークアウトするのは20年も先であり、それまでは軍拡がやまない。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は伝統的なリーダーでない。胡錦濤(フー・ジンタオ)氏や温家宝氏のような文人タイプでなく、若い頃に文化大革命を経験した紅衛兵世代にあたる。共産主義が懐かしいのだろう。
中国はいまだに国民国家を完成させていない。共産主義は心の芯となる国民的アイデンティティーを確立できない。チベットやウイグルにこだわるのも、国がバラバラになるのを恐れるからだ。
習氏は香港への強引な介入を辞さなかった。武力による台湾の併合は絵空事でない。安全保障面で米国の支援を受ける台湾に手を出し始めているのだから相当な事態である。
中国は米国と四つに組む自信を付けつつある。米国が台湾周辺で頼れるのは日本しかない。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は米中双方にいい顔をしている。タイやフィリピンは軍事力が小さい。オーストラリアは頼もしいが遠すぎる。
今回の日米首脳会談は強大になりすぎた中国に対抗する最大のパートナーが日本であると証明した。菅義偉首相とバイデン大統領の関係は順調な滑り出しとなったが、10年、20年先を見据えればまだ1合目にすぎない。
外交の基本的な役割は力関係の維持で、味方を増やして敵を減らすのが鉄則だ。日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国(クアッド)の枠組みだけでは足りない。
韓国は文氏の世代に北朝鮮への共感があり、世代交代が進まないと難しい。とはいえ民主主義国であり、60万の兵力を持つ軍事大国である。日本として「クアッド・プラスアルファ」に韓国を引き込まねばならない。
現在の米中対立は米ソ冷戦の類比で理解できない。むしろ第1次世界大戦前の英国とドイツの関係に似ている。英国は工業化の遅れたドイツに多大な投資をしていた。相互依存が進み「戦争は起きない」と言われていたが起きてしまった。
半導体の技術規制は始まったものの、中国に進出する日米欧の民間企業が撤退することはない。成長する中国市場はなかなか捨てがたい。それでも戦争はマーケットと異なる論理で始まる。
日本は中国を抑止するため防衛予算の拡大が必要だ。財政は厳しいが本当に国が危なくなったら出さないといけない。科学技術の進歩が国家安全保障に全く生かされていないのが日本の難点だ。改革が欠かせない。
◇
日米首脳の共同声明について専門家に聞く。
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日本、有事へ米と危機感共有 自立した防衛力急務
新時代の日米㊥
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16DKD0W1A410C2000000/

『台湾問題などに言及した日米首脳の共同声明を受け、中国外務省の副報道局長は19日の記者会見で「必要な措置をとり国家主権を断固守る」と強調した。示唆した対抗措置がどんなものになるかは見通せない。
沖縄県・尖閣諸島の周辺海域では日本領海の外側の接続水域を19日も中国海警局の船4隻が航行した。機関砲のようなものを搭載した船もあるという。尖閣周辺で中国公船を確認するのは連続65日を超える。
台湾海峡の南西空…
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https://www.nikkei.com/login 』台湾海峡の南西空域でも、中国の戦闘機や爆撃機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入するのが常態となっている。12日には最多の25機が飛来した。
南シナ海では4月上旬、米中の空母が同時期に展開する事態が起こった。米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」が南から、中国海軍の空母「遼寧」が北からそれぞれ海域に入った。
米国はこうした東アジアの軍事バランスの変化を踏まえ、世界に散らばる米軍の配置を最適化するための検証を始める。バイデン米大統領が日米首脳会談に先立ち、アフガニスタンの駐留米軍の9月までの撤収を表明したのもその一環だ。
中国をにらみ、インド太平洋地域に兵力や予算をシフトしていく。沖縄からフィリピンを結ぶ第1列島線に沿って中距離ミサイル網を築く案も浮上する。
「インド太平洋地域の軍事バランスは米国と同盟国に一層不利になる」。米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は制海権を保つには戦力の向上が必須だと訴える。米軍は戦闘機や艦艇、ミサイルの数で米中の差がさらに開くと予測。同盟国に応分の役割を求める機会も増えるとみられる。
米ソ冷戦の最前線が欧州なら、日本を含む東アジアは米中対立のフロントライン。日本の防衛力は同盟国の対中抑止力を左右する。
日本の安全保障体制は自立した防衛力と日米同盟の2本柱だ。日米安保条約第5条は米国による日本防衛の義務を定めるものの、敵からの攻撃の第1波に米軍が間に合う可能性は極めて低い。その間は自衛隊だけで守るのが大前提となるが、持ちこたえられるのか。
尖閣諸島に中国軍が上陸して侵攻しようとした場合、それを阻止する陸上自衛隊の水陸機動団の拠点は長崎県内にある。尖閣諸島までおよそ1000キロで、新型輸送機オスプレイでも2時間かかる。中国の侵攻の意図が分かって部隊を派遣しても手遅れとなる。
現状では日本が相手国のミサイル発射の兆候をつかんでも、それを阻止するために敵のミサイル発射拠点を攻撃できない。政府が「敵基地攻撃能力」の保有を否定しており、ここも米軍に頼らざるを得ない。
仮に中国が台湾を武力で統一しようとすれば、台湾に攻め込む中国軍を止めるのも米軍だ。集団的自衛権を行使して米軍への攻撃に自衛隊が反撃できるようにするには「存立危機事態」に認定する必要がある。台湾有事がそれに当たるかはときの政権の判断となる。
「台湾海峡、また尖閣周辺でも厳しい状況が続いている」。菅義偉首相は日米首脳会談後、記者団に台湾問題と、台湾から170キロと近い尖閣諸島を巡る危機感を並列で語った。
会談から8時間後の17日昼。岸信夫防衛相は日本最西端の沖縄県与那国島を視察した。あいにくの曇天だったが、晴れていれば110キロ先の台湾が見える。台湾有事は対岸の火事で済まない。首脳会談で共有した危機感を防衛力の向上につなげることが急務となる。
(安全保障エディター 甲原潤之介)
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米の対中圧力、重層的に 孤立主義から同盟を前面
日米共同声明、台湾明記ぶれず 「平和」強調で対中配慮多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。峯岸博のアバター
峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
コメントメニュー分析・考察 尖閣と台湾の有事を想定した備えを急ぐべきなのは記事の通りです。日本は世界5位と同9位といわれる防衛力と防衛費を持つ一方、憲法や財政などの制約があります。有事やグレーゾーン事態にできることとできないことを早急に整理し、米軍と連携した効率的な防衛態勢づくりが必要です。
台湾海峡が有事になればサプライチェーンなど日本経済への影響は米国とは比べものになりません。米国一本足打法ではなく、アジアに関心を強める欧州やASEANにも協調国の裾野を広げるのは中国へのけん制になります。対中外交をはじめ有事を起こさせないための交渉力が「防衛力」強化なのは言うまでもありません。
2021年4月20日 8:12いいね
0鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー分析・考察 台湾有事が他人ごとではないのは、台湾も尖閣諸島も中国が自らの主権を主張しているという点で共通しているから。中国がアメリカの抑止力を認めず、自らの軍事的優位を過信して武力を用いて台湾侵略を行うということは、すなわち尖閣諸島が日米安保条約第五条が適用されたとしても、中国がアメリカの抑止力を認めない以上、台湾と同じことが起きうるということ。そのためにも、台湾有事は起こしてはならないし、もっといえば中国がアメリカの抑止力を認めないという状況を作ってはならない。
2021年4月20日 7:50いいね
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https://news.yahoo.co.jp/articles/f09f98776082d87cc9e72e80c0fd3c8d6b1e75f0?page=1



『日米首脳は、ホワイトハウスの一室で、ハンバーガーを前に、マスクを着用したまま見つめ合っていた。
バイデン大統領が、初めての対面形式の会談相手として、菅首相を招いて行った日米首脳会談。共同声明では約半世紀ぶりに「台湾」を明記し、中国を強くけん制した。
「雰囲気はすごく良かった」と出席者が口を揃え、首相自身も「私と似ている」と“ベテラン政治家”同士の相性に手応えを語る一方、ある政府関係者からは「米中の事実上の軍拡競争に日本は巻き込まれている」との声も上がる。
いったい何が起きているのか。舞台裏を探った。(ワシントン支局長・矢岡亮一郎)
■食べない“ハンバーガー会談”
「いろいろ人生経験とかの話をして、ハンバーグ(注:ハンバーガー)も全く手をつけないで終わってしまった。それくらい熱中した」
会談終了後、菅首相は少し頬を緩めながら、バイデン大統領との「テタテ」と呼ばれる1対1の会談を振り返った。時間にしてわずか20分間。「たたき上げの政治家という共通点がある」と親近感を寄せるバイデン大統領とは、部屋に飾られた家族の写真を見ながら、孫などの話題で打ち解けたという。
「私と似ているような感じを受けたが、本人もそう思っているようで…」
とバイデン氏との信頼関係の構築に手応えを語った。しかし、この「食事に手をつけないランチ会」に至るまでには、紆余曲折があった。
■ホワイトハウス「幻の夕食会」
日本代表団ホテルに「坂井副長官のお土産」段ボール…「1ドルチョコ」も
「こんなにバタバタの首脳会談は初めてだ」
首相の訪米を翌々日に控えて、ある日本政府関係者はうめいた。ホワイトハウス側との調整が滞り、スケジュールは直前まで定まらなかった。今回、日本政府がこだわったのが、バイデン大統領、ハリス副大統領との食事会。特にバイデン大統領との「夕食会」開催に向けては最後まで粘り強く交渉を続けたというが、結局実現することはなかった。
バイデン大統領自身、コロナ禍での対面の会談にはかなり慎重だとされる。会談中は「常時マスク着用」、しかも高性能のN95マスクの着用が義務づけられた。
この徹底ぶりはハンバーガーを前にしてなお、マスクを外さない一枚の写真によく表れている。
次ページは:■台湾明記も…バイデン政権内に「落胆」』
『■台湾明記も…バイデン政権内に「落胆」
首脳会談では「N95マスクを常時着用」
首脳会談は、1対1のテタテ、少人数会合、拡大会合と3段階で計2時間半に及んだ。
今回の会談の最大の焦点は、共同声明に「台湾」の問題を明記するかどうかだった。そもそも日米首脳の共同文書に「台湾」が明記されれば、1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領以来、半世紀ぶりとなる。「台湾」の文言を盛り込みたいアメリカ側と、慎重な日本側との間で、事前調整はかなり難航したという。この対立構図を英紙フィナンシャル・タイムズが報じ、日本側が米側のリークを疑う場面もあった。
結局、共同声明には「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記された。日本政府の要請で後半に加えられたという「両岸問題の平和的解決を促す」という文言は、台湾問題に触れる場合の日本政府の定型見解で、外務省幹部は「この表現を後ろに付けることで、これまでの日本政府の姿勢と変わっていないというメッセージになる」と解説した。
一方で、あるアメリカ政府関係者は、「日本には共同声明でもっと強い表現に賛同して欲しかった」「落胆している」と不満を口にしている。
■日本「台湾明記」もなお米政府内に不満
「台湾の明記」を「内政干渉だ」とする中国は、共同声明に対し「強烈な不満と断固反対を表明する」と猛反発した。一方、アメリカ政府内には「台湾」を明記してなお、日本への不満が燻る。「日本は台湾有事への危機感が低い」との見方や、別のアメリカ政府関係者からは「日本は経済分野で中国と良い関係を保っていて、少しずるい」との声まで聞かれる。
アメリカが中国と貿易戦争をやって、経済面でも身を切る覚悟で向き合う中で、日本が尖閣など安全保障面で守ってもらおうというのは「不平等」との不満もあるようだ。
■菅首相「一番乗り」のワケ
菅首相訪米も「対中国のメッセージ」に
今回の菅首相の「一番乗り」は、日本重視と言えるのだろうか。ある日米外交筋はこう話す。
「バイデン大統領が菅首相を最初の会談相手に選んだのは、『日本』だからではない。対中国の最大の同盟国だからだ」菅首相の訪米は、あくまでアメリカの対中国戦略の一環、一つのパーツとの位置づけだ。現にバイデン大統領は、同じタイミングで気候変動問題担当のケリー特使を中国に、台湾にも非公式の代表団を派遣して、台湾トップ蔡英文総統と会談させた。日米首脳会談に同席したブリンケン国務長官とオースティン国防長官は直前まで、欧州を歴訪していた。
バイデン政権は「同盟」を重視しながら、複合的かつ戦略的な外交を展開している。その中の一番重要なパーツとして、日本のトップを米国に招き、首脳会談を通じて「強固な同盟」、台湾などをめぐる厳しい姿勢を中国に見せつけた。
ある日本政府関係者は「ホワイトハウスは今回、バイデン大統領と菅首相が2人で並んでの会見にこだわった。発信したかったのだろう」と打ち明ける。
■日米今後は?「総論はいいが、各論に入ると…」
「ジョー」「ヨシ」が描く対中国戦略は
ある日本政府関係者は「日米は総論はいいが、各論に入ると立場の違いが露呈してくる」と交渉の難しさを語っている。今回の台湾をめぐる文言の調整は「各論の立場の違い」の一つのケースになった。
別の日本政府関係者は「日本はすでに米中の事実上の軍拡競争に巻き込まれている」と語った。今後も中国をめぐる情勢が厳しさを増す中で、アメリカに立場の違いでどう理解を得ていくのか。日本外交の力が試される。』
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM165Y90W1A410C2000000/

『【ソウル=恩地洋介】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は16日、次期首相に金富謙(キム・ブギョム)元行政安全相を指名した。金氏は革新系与党「共に民主党」の非主流派で、国会議員を4期務めたベテラン。国会の同意を得て就任する。首相を退いた丁世均(チョン・セギュン)氏は次期大統領選への出馬を探っている。
金氏は文政権で最初の行政安全相に起用された。与党内で次期大統領候補の1人と目されていたが、20年4月の総選挙で落選。同年8月の党代表選に非議員のまま立候補し、李洛淵(イ・ナギョン)前代表に敗れた。
大統領府は首相のほか、韓国土地住宅公社の職員らが関わった不動産投機疑惑を巡り辞意を示していた卞彰欽(ピョン・チャンフム)国土交通相ら5閣僚を交代させる人事も発表した。』