たぶん、幸福を管理される未来をみんなは受け入れる – シロクマの屑籠
https://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20200706/1594015301


※ 前に上げた「幸せの伝染、不幸の伝染」のダーク・サイドだ…。
「さあ、みなさん!幸せを、他の人にも広めましょう!」というわけだ…。
たぶん、幸福を管理される未来をみんなは受け入れる – シロクマの屑籠
https://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20200706/1594015301


※ 前に上げた「幸せの伝染、不幸の伝染」のダーク・サイドだ…。
「さあ、みなさん!幸せを、他の人にも広めましょう!」というわけだ…。
「ネットカフェ難民」漂流の危機-コロナ禍のしわ寄せ、若い世代にも
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00597/




『〔「嵐が来た」〕
NPO法人TENOHASI(てのはし)は、東京・池袋を拠点に主にホームレスの人々を支援している。主な活動は2週間に1度の炊き出し(現在は感染防止のため弁当配布)や生活相談のほか、毎週水曜夜に路上生活者を見て回り、おにぎりやパンフレットを配る「夜回り」だ。
路上生活者が減少傾向にあった矢先、「今年3月に突然嵐が吹き荒れた」と、代表理事の清野堅司さん(58)は振り返る。新型コロナウイルスの感染拡大とともに、経済活動が停滞。炊き出し参加者は3月から増え始め、4月は1回200人超、5月には同260人を数えた。相談件数は4月から6月半ばにかけて累計80件。前年同期の3倍に膨らんだ。
年配の長期路上生活者に加えて、「今まで炊き出しに並んだことがなかったようなインターネットカフェ難民系の若い人が参加し始めた」と、清野氏は驚く。建設業を中心に日雇いや派遣の仕事が急減、困窮者が増えたのに加え、4月の緊急事態宣言を受けネットカフェが営業自粛要請の対象(東京都は6月11日解除)となったことが追い打ちを掛けた。「住民」はいったん退去せざるを得なくなったのだ。
6月27日、炊き出し会場の東池袋中央公園を訪れると、開始時刻の午後6時よりも1時間以上前から混み始め、確かに20代から30代と思われる若い人たちや女性の姿がちらほら見えた。弁当配布の長い列に2回並び、両手いっぱいに弁当袋をぶら下げ持ち帰る人が多い。相談コーナーや鍼灸(しんきゅう)コーナーも盛況だ。
最近、相談に訪れた男性はネットカフェをねぐらとして、リサイクル家電を東南アジア向けにコンテナに詰め込む仕事をしていた。2月の時点では、「1日1万円で週3回来てくれ」と雇用主に言われていたのが、3月には「週1回」に減った。日本での感染拡大で相手国の検疫が厳しくなり、景気も悪化したためだ。掛け持ちの建設現場の仕事も急速になくなり、5月の月収は6万5000円に落ち込んだ。
〔仮の住まい〕
ネットカフェ難民は、日雇いや派遣など不安定で賃金の安い仕事に就きながら、平均で1日2000円程度の格安な24時間営業の店をねぐらとしている。東京都内だけで約4000人いると推計されるが、営業自粛で退去を余儀なくされた人々の一部は、東京都が4月から「受け皿」として借り上げたビジネスホテルに移った。都の説明では、これまでに延べ約1200人が利用した。
実際、6月24日の夜回りに同行させてもらうと、東池袋周辺では、公園や陸橋の階段下など薄暗く人目に付きにくい場所に16人の路上生活者の姿が確認できたが、若い人は1人だけ。ネットカフェ難民は全てとは言わないまでも、一定数はとりあえず路上生活を免れたように思える。
リサイクル家電と建設の仕事を掛け持ちしていた男性も、豊島区のビジネスホテルに無料で宿泊。月収から割り出し1日2000円程度の予算内で、食事代のほか職場までの交通費、日雇いの仕事探しに欠かせない携帯電話代をやり繰りできたのも、無料の住まいを確保できたからだ。
しかし、男性のように、少額でも所得のある生活困窮者の場合、借り上げホテルにいられるのは7月1日まで。彼はその後どこへ行ったのか。
〔届かぬ公的支援〕
借り上げホテルはあくまで仮住まいであり、そこで住民票登録ができるわけではない。住民基本台帳に載っていることを前提とした特別定額給付金(1人10万円)や住宅確保給付金などの公的支援は受けられず、「一番必要な人に公的支援が行き渡らない」と、TENOHASIの清野氏は嘆く。
10万円の給付金の書類申請期限は、都内なら8月下旬。それまでに自力でアパートを借りて、自立できる人はいったい何人いるだろうか。
労働条件も劣悪だ。労働基準法では、コロナ感染防止のため、休業を余儀なくされた場合、従業員に60%以上の休業手当を支給することになっているが、派遣労働や日雇いの場合は、休業手当が支払われないことがしばしばあるという。
労働問題に詳しい猪股正弁護士は、「先々まで予定されていた仕事について、派遣先が途中で『仕事がないから来なくていいよ』ということになったら、責任を負い、ある程度の金額を派遣会社に払わないといけない。そこから派遣社員に休業手当が支払われるべきだ」と話す。
厚生労働省の調査によると、新型コロナ感染に関連した非正規雇用者の解雇見込み者は6月26日時点で9009人。調査を始めた5月29日時点の3.8倍に急増した。派遣契約は3カ月単位が多く、区切りとなる6月末を控えて雇い止めが増えたとみられる。
〔心理的な壁〕
都の借り上げホテルは既に一部で入居期限が切れ、今後も段階的に退去を余儀なくされる。困窮者はネットカフェに戻るのか、それともその金すらなく、さまようのか。清野氏は、「仕事が回復するのを待っていても、現状では回復しそうにない。ネットカフェに戻してしまうのではなく、生活保護の支給を受けてアパートを借りながら、時間をかけて仕事を探していくしかない」として、困窮者の保護申請の手伝いに奔走している。
だが、その試みは一筋縄では行かない。
生活保護を受けるには、申請者の親族に扶養能力がないのかを調べる「扶養照会」という手続きがある。つまり、役所から故郷の親族に対し、申請したことが伝わってしまう。申請者の多くは「保護を受けるような人間は怠け者。自分はそんな人間になりたくない」と自分を追い詰め、親に知られたくない心理が働く。特にネットカフェ難民は「訳あり」で故郷から出てきた人が多く、なおさらだ。
40代の独身女性は、ネットカフェ暮らしをしていた物流関係の派遣社員。4月以降、仕事が減って行き詰まり、都の借り上げ住宅にやっとの思いで入居。期限切れを前に、保護申請するか迷っていた。そもそも親元を離れネットカフェ暮らしをしていたのは「家族との不和」が原因だっただけに、「家族に知られるのだけは絶対に避けたい」との思いが強い。
その心情をくんで、TENOHASIの相談員は「虐待などが原因ならば、親族への照会は控えてもらえるはず」と諭し、心理的な虐待がなかったかなど、申請窓口へ行くまでの戦略を共に探っている。
〔コロナ禍のセーフティーネット〕
もう一つの大きな壁は、生活保護に対する世間の目の厳しさだ。「働きもせず、税金で支援されるなんて」という冷たい視線が向けられることがある。
京都市の区役所で生活保護の実務経験がある相続・介護コンサルタントの小笹美和さんは、「外から見ても分かりにくいが、病で働けないということもあるし、本人が保護に頼らずに働きたくても仕事がないという現実がある」と話す。「ほんのごくわずかしかない」という不正受給のせいで、偏見が広がりがちだ。
コロナ感染は世界的にまん延し、第2波も予想されることから、さらに多くの人々の雇用に響いてもおかしくない。「派遣の方は真っ先に切られやすいし、大企業にいるからといってリストラされないとも限らない。いつ、どこで、どんなふうに働けない環境になるかは紙一重だとすごく感じる。生活保護はセーフティーネット(安全網)として本当に必要だし、需要は増えて来るだろう」。小笹さんはそう見ている。』
※ 世界的な統計上は、日本の「ネカフェ住民」みたいな人達は、「ホームレス」に分類されているそうだ…。
※ ああ、やっぱり「ネカフェ難民」生じていたか…。聞いたのは、「リーマン」以来だな…。今回は、その「ネカフェ」すら追い立てをくらったか…。
「リーマン」の時とは、経路がちょっと違うようだが…。
リーマン:世界的な「金融システム」の機能不全 →「世界経済」全体の悪化 → 日本経済へ波及 → ネカフェ難民の発生…
コロナ禍:世界的な「パンデミック」の発生 → 旅行・飲食業界及びその関連業界の需要喪失 → そういう業界関係の労働者の大量解雇・休職 → ネカフェ難民の発生…
いずれ、「経済が悪化」すると、一番弱い人達のところに、真っ先に「しわよせ」が行く…。
「リスク覚悟で、経済再開」も、ある程度はやむを得ないところだろう…。
長引く将来への不透明感
経営者ブログ 鈴木幸一 IIJ会長
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61184550W0A700C2000000/
『書物に没頭していても、テレビをはじめとするメディアに、少しでも触れる時間があると、ますます、突出した振る舞いが緊張関係を増大している米中など世界の厳しい状況が耳に入る。中国は、香港に対する「一国二制度」といった統治から、国際的な批判に対して、まったく顧慮せず、香港も中国の「1国1制度」へと、厳しい転換を実現した。また、ロシアは国民投票によって憲法改正を実現し、プーチン政権の超長期化が可能となった。経済の破綻リスクを考えれば、米中対立もおのずと、決定的な事態には進むことはないだろうというのが、メディアの論調だが、長い歴史を見れば、中国が他国と対等な関係という枠組みで付き合ったのは、19世紀以降のわずかな時間でしかない。中国にとって、中国はいつも世界の中心であるという存在の形態が、すべての基本である。一方、米国が世界の中心として存在するようになったのは、20世紀のことである。14億人とされる人口を抱え、近未来に米国を抜いて超経済大国になろうとする中国、軍事費の増大に歯止めがない中国が、一時的にはともかく、長期的に米国との協調を第一義とする政策を実行することは、極めて難しい話である。素人から見ても、中国とは、そうした大国としての歴史を持つ国なのである。ところで、21世紀の鍵となるIT(情報技術)では、中国があっという間に米国と並ぶ存在となっている。膨大な人口、広大な国土、多民族の中国を一つの国として統治していくために中国ほど、ITを徹底的に利用できる大国はない。インターネットの徹底的な利用、拡大において、最も障害となるのは、監視につながるプライバシー問題なのだが、なによりまず、個人ではなく国家が優先する施策を実現できる中国に、制度や仕組みにおいて、先進民主主義国がキャッチアップできると思えない。』
『ところで、新型コロナウイルスが広がる世界で、インターネットが画期的な役割を果たしている状況を見るにつけ、なんとも言えない感慨を持ってしまう。インターネットが電話に代わる通信の基盤になると確信し、本格的な商用化を目指してIIJを創業、30年近くになる。「あらゆる情報がネット上に存在するようになり、通信が電話からインターネットに変わることにより、ネット上にある情報にどこからでも自在にアクセスできるようになる」。インターネットは20世紀最後の巨大な技術革新であり、インターネットの爆発的普及が始まった以後の世界は、政治、経済、産業に始まって、人々の暮らしに至るまで、すべての仕組みを変えてしまう。技術革新の本質は、通信と情報(コミュニケーションとインフォメーション)が、コンピュータサイエンスという同じ技術基盤の上で発展することの未来を、念仏のように繰り返し話していたのだが、理解をしてくれる人は少なかった。ひとえに私の話し方に問題があったのかもしれない。』
『IIJを設立したのは、1992年。米国のナスダック市場に上場したのは99年である。株主総会をはじめ、決算発表、株主や投資家向け広報のIRといった会では、あらゆる質問に対し、ほとんどすべてを私が答えていた。だが、海外の投資家の方々には興味を持っていただくのに、日本の投資家の方や、企業経営者の方には、上記のような話を繰り返す私に対し、「鈴木さんの話は、理解し難い」というのが定評となってしまったようだ。親しくしていただいた商社のトップの方には、「英語で話すと、鈴木さんの話は分かりやすくなって、会話もはずんで、理解できる」と、そんな評判を立てられたりした。私の英語が未熟で、ボキャブラリーや言い回しが単純、複雑なニュアンスなど、すべて捨て去らざるを得ないことで、分かりやすいだけのことで、なんだか恥ずかしい思いをした記憶がある。日本語で「愛しています」などと、恥ずかしくて、口が裂けても言えないけれど、英語なら「アイ・ラブ・ユー」と気軽に言えるようなものかもしれないといったレベルの話だと、がくぜんとしたものである。』
『「よくみれば なずな花咲く 垣根かな」。芭蕉の句である。ごく普通の情景を、「よくみれば」といった平凡な言葉をもちいて、優れた芸術表現にしてしまう。いまさらながら、すごいものだと思う。毎週、公園や道端に咲く花を目にしては、写真を撮って、掲載させていただいているのだが、今週の花は、ムクゲである。ムクゲというと、すぐに「道の辺の 木槿(ムクゲ)は馬に 食われけり」という芭蕉の句が浮かぶのだが、着想の次元の違う句である。私にとって、ムクゲの記憶は、子供の頃には残っていた小さな垣根のある家々や路地の風景と重なるようだ。小さな垣根によく見掛けたのが、目立たないムクゲの花だった。「十軒の 長屋とりまく 木槿かな」「夕暮れの 旅僧通る 木槿かな」。いずれも正岡子規の句である。ムクゲの垣根が消えた日本が今の日本なのだが、それが豊かさの象徴なのかどうか。年を重ねると、昔の風景が、鮮明な形で思い起こされるようだ。』



※ 馬に食われたムクゲは、どの品種だったものか…。「道の辺の 木槿(ムクゲ)は馬に 食われけり」…。オレも、大好きな句だ…。何より、その破壊力が凄まじい…。人間にとっては、「鑑賞の対象であるムクゲ」も、馬にとっては、かっこうの「餌」に過ぎない…。ムシャムシャと、一心不乱に喰っているのだろう…。あの馬に独特の、鼻面や口元や、その動き…、咀嚼する時の音まで聞こえてくるようだ…。
「そうか、お前にとっては、ごちそうか…。」一旦は、そう思ったであろう芭蕉だが、その獣と人の「とらえ方」の断絶を感じたその瞬間に、同時に、限りない「生命」としての連続・連帯に思い至ったような気がする…。
安保史映すミサイル防衛 迎撃頼みに限界
中ロが新兵器 「報復力の抑止」に回帰も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61085380S0A700C2000000/


『世界のミサイル防衛は転換期に入った。米国がロシアや中国との軍事優位を保つ要素としてきた迎撃ミサイルへの信頼が揺らぎ、攻撃されたら報復する冷戦期型の抑止の比重が再び高まってきた。迎撃が難しい新型ミサイルの開発が進んだことが主因である。戦後の安全保障史を映し出すミサイル防衛の変遷は日本の安保政策とも密接に絡む。
日本政府は6月24日の国家安全保障会議(NSC)で地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画の断念を決めた。発射時に使うブースターを確実に安全な場所に落とせないと判明したからだと説明した。政府・与党内にはかねて配備の実効性に疑問が出ていた。』
『放物線を描く弾道ミサイルを撃ち落とす日米の迎撃システムは変則的な軌道で飛来する北朝鮮や中国の新型ミサイルに対処できないとの指摘があった。自民党では迎撃システムだけでなく敵基地攻撃能力も持つべきだとの意見が増えてきた。これはミサイル防衛の世界的な潮流である。』
『ミサイル防衛には2つの考え方がある。一つは迎撃などでミサイルを防ぐ能力を持つことにより敵の攻撃する意思をそぐ「拒否的抑止」、もう一つは強烈な報復能力を示すことで攻撃をためらわせる「懲罰的抑止」だ。
ミサイルを防ぐ盾を持つか報復する矛を持つか、という整理である。敵の発射を防ぐための敵基地攻撃は「拒否的抑止」に分類されるものの「懲罰的抑止」につながり得る矛の能力といえる。』
『冷戦期は矛の比重が大きかった。米ソは1960年代、先制攻撃を受けた場合に相手に核兵器で破壊的なダメージを与える報復能力を示すことで互いを安易に攻撃できない環境に置いた。矛と矛を突き合わせる相互抑止の考え方で「相互確証破壊(Mutual Assured Destruction=MAD)」と呼ばれた。
象徴的なのは米ソが72年に迎撃ミサイルの配備を制限する弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を結んだことだ。盾(ABM)があれば矛(核兵器)を使うハードルは下がる。それなら互いに盾を持つのをやめた方が怖くて核を使えなくなるという「恐怖の均衡」の考え方だった。』
『冷戦が終わると状況は変わった。勝者になった米国は迎撃ミサイル開発に本腰を入れ始めた。クリントン米政権は93年に弾道ミサイル防衛(BMD)計画を発表し、日本など同盟国にも参画を求めた。
91年の湾岸戦争で米軍はスカッドミサイルによる攻撃を受けた。北朝鮮は98年に弾道ミサイル「テポドン」を発射した。防衛大の石川卓教授は「ならず者国家へのミサイル防衛が必要だという認識が米国で広がった」と指摘する。
この流れをブッシュ米大統領が加速させた。2001年にミサイル防衛(MD)計画を発表し、02年にはABM条約を脱退した。
日本も03年に地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の導入やイージス艦への海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載を決めた。イージス・アショアの配備計画はこの延長線上にあった。』
『ロシアや中国は米国のミサイル防衛網を突破する新兵器の開発に力を注いだ。たとえば変則軌道で飛ぶミサイルは既存の迎撃システムが対処しにくい。目に見える形で顕在化したのが19年だった。
同年5月以降、北朝鮮が低高度で変則軌道を描く新型ミサイルを相次いで発射した。中国は10月に極超音速ミサイル「東風17号」を初公開した。ロシアは12月に極超音速ミサイル「アバンガルド」を実戦配備したと公表した。
米国も対抗するような動きを示した。同年8月、18年に表明した通りロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約を失効させた。新たな矛として中距離ミサイルの開発を再開するためだった。
ミサイル防衛は矛と盾の組み合わせで構築するものだ。従来の弾道ミサイルに対処する迎撃システムの必要性はなくならないとはいえ、矛に頼る比重が増してきた。』
『石川教授は「盾が主流の時代は短かった。我々は矛の時代に回帰しつつある事実を受け入れる必要がある」と語る。国際関係論が専門の鈴木一人北大教授は「ミサイル防衛で米国優位になっていた軍事バランスが元に戻りつつある」と指摘する。
ミサイル防衛を巡る盾と矛の議論は日米同盟で日本を専守防衛の盾、打撃力を担う米国を矛と呼ぶのと重なる。米国は同盟国により大きな役割を求めるようになり、状況は変化しつつある。
ドイツ駐留米軍の削減計画を公表し、在韓米軍の駐留経費交渉は長期化している。日本との交渉も近く始まる。同盟国は自前の抑止力を備える必要性が高まる。
日本国際問題研究所の戸崎洋史主任研究員は北朝鮮が日本に攻撃を仕掛けた場合の想定として「米国による防衛が間に合わない状況になれば、日本は独自の敵基地攻撃も考えざるを得ない」と述べる。』
『鳩山一郎首相が国会で敵基地攻撃が自衛権の範囲内だと答弁したのは1956年のことだった。敵の攻撃を防ぐために他の手段がなければ憲法9条にも反しないと解釈した。政府は先制攻撃と区別し、国際法上も認められるとの立場をとる。
日本はそれから半世紀以上も必要な装備の導入をしていない。自民党内の議論再燃はミサイル防衛の軸足が「盾」から「矛」に移る世界の潮流と軌を一にする。安保環境の変化を踏まえた流れだといえる。
敵基地攻撃という言葉に抵抗感がある人はいるものの、迎撃が難しい北朝鮮や中国の新型ミサイルへの抑止力として必要だとの見方は強まっている。政府は今夏、新たな安保戦略の策定作業に着手する。机上の空論ではなく現実の脅威を見据えた議論をしてほしい。(安部大至)』
特定秘密保護法が改正 対中防衛で情報共有が米から英仏など4カ国へ拡大
https://www.epochtimes.jp/p/2020/07/59091.html

日本はインド、オーストラリア、英国との情報共有を深める
https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Japan-deepens-intelligence-sharing-with-India-Australia-and-UK


『東京 — 日本は、インド、オーストラリア、英国などのパートナーと防衛情報を共有する上での協力を拡大し、米国以外の国々との交流を含む国家機密法の範囲を広げようとしています。
この拡大は先月、東京の最も近い同盟国であるワシントンを既にカバーしている法律の基準を改正した。論争の中で2014年に制定されたこの法律は、防衛、外交、テロ対策などの分野をカバーする「日本の国家安全保障に深刻な損害を与える」リスクがあると考えられる秘密を漏らしたとして、最長10年の懲役刑を科す。
外国軍からの情報を国家機密として分類することは、装備開発のための合同演習や提携を容易にする。また、中国軍の動きに関するデータを共有することも容易になり、東京が自国で北京の活動を追跡することが難しくなっているため、ますます重要な問題となっています。』
『中国沿岸警備隊の船は、中国が釣魚島と主張する日本が管理する尖閣諸島周辺の東シナ海の海域を木曜日に記録的な80日連続で航行した。中国政府は、重要なシーレーンである南シナ海に対する効果的な支配を強化した。
この法律の変更は、英国、オーストラリア、インド、フランスを対象としており、日本は双方に機密防衛情報を秘密にすることを義務付ける協定に署名している。リークのリスクを減らすことは、これらの国々が機密データを共有することを奨励する必要があります。
この改正は、2016年に施行された安全保障法制に基づくより広範な協力を促進し、東京が日本に脅威を与える状況で、集団的自衛権を行使し、他の軍隊に燃料と弾薬を供給する権利を行使させる役割を果たす。このようなタスクを実行するには、これらの力のサイズ、容量、および操作領域に関する情報が必要であり、これには非常に秘密のデータが含まれる可能性があります。』
『この動きは、近年の防衛パートナーシップで東京が分岐する傾向を反映している。昨年秋、日本の自衛隊とオーストラリア軍が日本で初めて戦闘機を含む合同訓練を実施し、海上自衛隊は2015年から毎年米印マラバル海軍演習に参加しています。
提携には防衛装備品の共同開発も含まれており、強力で分類された技術を共有する必要が生じることが多い。日本と英国は空対空ミサイルのプロトタイプを作り、東京はパリと提携して無人クラフトを使って水中鉱山を検出する技術を開発している。
日本は、2030年代半ばに配備予定のF-2戦闘機の後継戦闘機の開発に英国を関与させる計画です。東京はロンドンを主なパートナーとしてワシントンを選んだが、日本は自国の次世代戦闘機に取り組んでいる英国とステルス技術を共有しようとしている。』
次期戦闘機、日米官民協議始動 年末に大枠の計画
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61165740T00C20A7EA3000/


モディ首相、中国SNSでのアカウント削除 習主席との写真も
https://www.epochtimes.jp/p/2020/07/58699.html
西岸併合に踏み切れない5つの理由、焦り深まるネタニヤフ首相(佐々木伸 (星槎大学大学院教授))
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20125
『ネタニヤフ首相は1年間で3回も繰り返された総選挙の中などで、西岸や東エルサレム周辺のユダヤ人入植地を併合するとの公約を訴えてきた。入植地は現在、130カ所以上に及び、約60万人のユダヤ人が居住、パレスチナ和平交渉の大きな障害になってきた。
このため歴代の米政府は入植地の拡大を凍結するようイスラエルに求めてきたが、トランプ政権は今年1月、入植地を中心に西岸の30%をイスラエル領に併合し、係争の聖地エルサレムをイスラエルの永遠の首都と認める代わりに、残りの70%に「パレスチナ国家」を樹立するという和平案を提示した。しかし、パレスチナ側はイスラエル寄りの案だとして即座に拒否、和平交渉は完全にストップした。』
『この提案を受けたネタニヤフ首相は「歴史的な機会」と歓迎し、トランプ政権の同意を得た上で、7月1日にも併合の決定を発表する意向を示した。しかし、当初は併合に青信号を与えていた同政権が途中から急ブレーキを踏んだ。米国の中東和平チームはトランプ大統領の娘婿でユダヤ人のクシュナー上級顧問が率い、フリードマン駐イスラエル大使が支えてきた。』
『併合に前のめりのフリードマン大使に対し、ブレーキを踏んで「待った」を掛けたのはクシュナー氏だ。同氏はトランプ氏の事実上の選対本部長を務めており、併合が再選にとってプラスになるかを慎重に見極める必要があるためだ。トランプ氏の最大の支持基盤であるキリスト教福音派はイスラエルを支持しており、和平政策も同派の意向に大きく左右される。』
『しかし、同派筋によると、「福音派の大部分は併合に関心がない」。つまり併合は大統領にとって限定的な効果しか見込めず、逆に併合でパレスチナ人が蜂起するなどして現地情勢が混乱すれば、同派に支持離れが起きる恐れがあるという。クシュナー氏が「待った」を掛けたのはこうした事情による。首相が併合に踏み切れない理由の1番目がこの米国のブレーキだ。
米国や現地メディアなどによると、クシュナー氏はまた、パレスチナ人を米提案に基づく交渉に参加させるため、「併合カード」を“テコ”に利用しようとしており、首相が併合の発表をしてしまえば、このカードを使うことができなくなることも慎重になっている要因の1つだ。』
『だが、ネタニヤフ首相がトランプ政権のこうした姿勢にヤキモキしているのは想像に難くない。米選挙情勢は民主党のバイデン前副大統領がトランプ大統領に対し優位にある。バイデン氏は併合に反対しており、トランプ氏が敗れるようなことになれば、首相は併合の機会を失ってしまうかもしれない。』
『理由の第2番目は、連立政権を組む「青と白」率いるガンツ副首相兼国防相が「新型コロナウイルス対策を優先すべきだ」などとして一方的な併合に反対していることだ。ネタニヤフ首相とガンツ氏は連立協議で、1年半ずつ首相を務めることに合意しており、汚職裁判中の首相の任期は21年の9月までだ。
ガンツ氏は米国の和平提案の一括受け入れを主張。「西岸の30%の併合」だけに同意して、「パレスチナ国家樹立や入植地の凍結」は拒否するという“いいとこ取り”は認められないとの立場だ。しかも同氏は隣国ヨルダンのアブドラ国王が併合に同意することを条件に付けている。この国王の同意問題が3番目の理由だ。
西岸は元々、1967年の第3次中東戦争でイスラエルに占領される前はヨルダン領だったが、その後ヨルダンがパレスチナ人のために領有権を放棄し、イスラエルとも国交を結んだ。しかし、国王は今回、米和平案やネタニヤフ首相の併合方針には強く反対、首相が電話を掛けても話すことを拒絶するなど関係が急激に悪化している。
このため、国王を説得できなければ、ガンツ氏の条件を満たすのは難しく、首相が併合方針を推進すれば、連立政権が崩壊する恐れさえある。首相にとって頭が痛いのはこれだけではない。軍や治安関係の元指導者らが併合に反対している点だ。これが第4の理由だ。
軍や治安関係者の見解は敵対国に囲まれているイスラエルにとって、首相とはいえ無視できないものだ。彼らの反対の理由は、併合により自治政府と対立してパレスチナ側の治安機関の協力がなくなれば、イスラエルの治安が一気に悪化するというものだ。イスラエル治安当局がパレスチナ内部の過激派をすべて監視することは不可能だからだ。』
『だが、ネタニヤフ首相にとっては意表を突かれた反発もある。それは他でもない入植者の反対だ。これが第5の理由だ。入植者の大半は当初、米国の和平提案と首相の併合方針に諸手を挙げて賛成した。しかし、提案が入植地の併合と引き換えに、パレスチナ国家を樹立するという「2国家共存」を盛り込んでいることに拒否感が広がった。
入植者らの懸念は、米国の提案ではこれ以上の入植地の拡大はできないこと、パレスチナ国家が樹立された場合、入植地はその中で孤立し、いわば「パレスチナ人の海」に取り残されてしまうことだ。首相は入植者らを説得しているが、辛うじて入植者の約半数の賛同を得られただけだとされる。だが、公約が入植者の反対で実現できなければ、首相のメンツは丸つぶれとなる。』
『このため現在首相周辺で浮上しているのが「公約通り併合はするが、米国やヨルダン、ガンツ氏を刺激しないよう、併合対象をエルサレム周辺の入植地だけにとどめ、これを併合第一弾として公表する」案だ。首相は公約を実施したとしてメンツを保ち、今後順次併合していくという姿勢を見せて、八方ふさがりの状況を乗り切るという思惑だ。』
『しかし、首相に対しては基本的に併合に賛同するイスラエルの保守派からも「なぜ寝た子を起こすのか」(米紙)と批判が噴出している。西岸をイスラエルが実質的に支配する現状は同国にとって悪いものではない。西岸の治安はパレスチナ側の取り締まりによって安定しており、和平交渉がストップしていてもパレスチナ人の抵抗は小さい。しかも国際社会はイスラエル支配を黙認し、アラブ諸国との関係改善も徐々に進んでいるからだ。
「イスラエルにとって現状は最も望ましい状態ではないか。パレスチナ独立国家樹立が絶望的になる一方で、パレスチナ側からの反発も暴力的なものではなく、国際的にも和平の推進について圧力がない。なぜ、併合という形式にこだわり、“平時に乱を起こす”ようなことをあえてやるのか。ネタニヤフには戦略がない」(ベイルート筋)。ネタニヤフ首相の決断はイスラエルに大きな危機をもたらすかもしれない。』
中国、東シナ海でも軍事演習 3海域同時で影響力誇示
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61179680V00C20A7PE8000/

『【北京=羽田野主】中国国営中央テレビ(CCTV)は5日までに、人民解放軍が南シナ海だけでなく東シナ海と黄海でも軍事演習をしたと伝えた。3海域同時の演習は異例だ。米国との対立の深まりを受け、同海域での影響力を誇示する狙いがあるとみられる。
CCTVは東シナ海を所管する東部戦区の海軍がミサイル駆逐艦を投入し、軍用ヘリコプター2機と連携して正体不明の船舶を拿捕(だほ)する様子を伝えた。台湾や沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)を意識している可能性がある。
黄海を所管する北部戦区では護衛艦が海上の目標に向かって実弾射撃訓練する場面を伝えた。南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島の海域でも1~5日まで船舶の航行を禁止し海上の射撃訓練をすると通告している。
国営メディアは「三大戦区で大演習だ」と誇示した。中国の軍事関係筋は「米国やインドなどと緊張が高まり、国内で不安視する声が広がっている」と話す。』
『南シナ海では中国の演習と同時期に米軍が原子力空母2隻を派遣し、大規模な軍事演習を実施している。
米中が同時期にそれぞれ実施するのは異例で、同海域での緊張拡大が鮮明になった。中国としては対外的に強い態度を示して国内の不満をそらす狙いも透ける。
対米外交を巡っては6月に中国外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)中国共産党政治局員がハワイの米軍基地を訪れた。ポンペオ米国務長官との緊張緩和を巡る協議は平行線に終わったとみられている。』
『中国の香港への統制を強める香港国家安全維持法の制定を受け、日米欧は反発を強めた。
米上院本会議は7月2日、香港の自治の侵害に関わった中国共産党員や金融機関への制裁を可能にする「香港自治法案」を全会一致で可決した。
自民党の外交部会などは3日、延期している習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓来日を中止するよう政府に求める決議案をまとめた。』
『習指導部は中国で新型コロナウイルスのまん延がピークを越えた3月以降、海洋進出を活発化させてきた。
海上保安庁は7月5日、尖閣周辺で4日に領海侵入した中国海警局の船2隻が5日夕まで領海内にとどまっていたと明らかにした。3日に記録した30時間17分を超え、2012年の尖閣国有化以降で最長を更新した。
中国外務省の報道官らはオーストラリアやカナダなどに対しても挑発的な言動をする「戦狼外交」を繰り広げる。
北京の外交筋は「中国が緊張をつくり出し他国の反発を受けてさらに強硬になるという悪循環だ」と指摘する。』
米軍、アジア太平洋シフト 海空中心に中国と対峙
ドイツ駐留3割削減
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61173770U0A700C2EA3000/

トランプ氏、「自由への攻撃やめさせる」左派勢力を非難
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61170950U0A700C2EA3000/
米議会、対中圧力強める トランプ氏署名が焦点に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61138730T00C20A7EA2000/


ソニー系、Facebookへの広告出稿を停止
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61111670T00C20A7000000/
『【シリコンバレー=奥平和行】ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は2日、米フェイスブックを通じた家庭用ゲーム機などの広告を世界各地で取りやめたことを明らかにした。フェイスブックが憎悪を助長する投稿を放置しているとして黒人の人権保護を求める団体が企業に広告の出稿停止を要請していた。』
『ただ、日本企業などの間には意見が割れがちな社会問題に対する姿勢を鮮明にすることをためらう傾向もある。大手電機メーカーの広報担当者は「ホームページで公開している人権スタンスにのっとって行動している」と説明し、出稿停止について明らかにしなかった。社内調整に手間取り対応を公表できていない企業もある。』
コロナ禍の影を引きずるシニア住宅(NY特急便)
米州総局 伴百江
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61107530T00C20A7ENI000/
『シニア住宅の不動産市況は、ベビーブーマーの高齢化で需要が高まるとの期待を背景に、約2年前から上昇基調をたどっていた。人口動態といった堅固な要因から需要の拡大が続くとみられた「有望銘柄」で、ヘッジファンドなどの機関投資家も積極的に買い入れていた。
そこに襲ったのが新型コロナウイルスのパンデミックで、投資家は不意をつかれた。』
『コロナ禍で閉鎖を余儀なくされた全米各地のシニア住宅施設は、経済再開に伴い高齢者を受け入れ始めたものの、入居者の戻りは鈍い。全米シニア住宅・介護投資センター(NIC)は150のシニア住宅施設運営会社を対象に6月初旬に聞き取り調査をした。同調査によると、介護施設の62%が1カ月前に比べて入居者数が減少したと回答。増加したのは25%にとどまった。
新型コロナに感染する懸念があるのに加え、家族などの訪問者を制限する施設が多いことが高齢者に新規入居をとどまらせる背景となっている。
ベンタスは全米で約400のシニア住宅施設の不動産を保有する。経営難に陥った施設運営会社を支援するため、4月には家賃の25%分の支払い繰り延べを認めた。その結果、4月の家賃収入は約3億ドル(約320億円)減少した。
コロナ禍で業績回復の遅れた企業も、経済活動の再開に伴い先行組との格差を縮めつつある。その中でシニア住宅は、コロナ禍の影を最も長く引きずる業界の一つとなっている。全米各地で新型コロナの感染が再び拡大すれば、業界に吹く逆風はさらに強まる可能性がある。
(ニューヨーク=伴百江)』
バイデン氏、大統領選の資金集めで6月はトランプ氏上回る
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61107170T00C20A7EAF000/


『ところが、同じやり方で考えても、さほど違った答えはでてきません。同じ考え方の人が集まって議論をしても、目新しい結論は期待薄です。それどころか、何度やっても同じ結論になり、「ほらやっぱりこれでいいんだ」と、余計に慣れ親しんだ考えから離れられなくなります。
つまり、「よく考えろ」と言われたら、まずは考え方そのものを点検し、それとは違う考え方をしなければいけません。思考法を切り替えないと、よく考えたことにならないのです。』
『そこで質問です。皆さんは、どれくらい考え方のバリエーションをお持ちでしょうか。たとえば「思考法」と呼ばれる考え方のメソッドをどれくらい使いこなせますか。その数が少ないから、いつもワンパターンの答えしか出せないのではありませんか。』
『知識や情報をいくら集めても、それ自体が答えを出してくれるわけではありません。KKD(勘・経験・度胸)に頼っていたのでは、新たな問題に対処できなくなります。今私たちに求められているのは、思考法を巧みに駆使すること。それがあって初めて、適切な答えが見いだせます。』
『一つ簡単な例を挙げましょう。先ほど、「よく考えるとは何をすることなのか?」という問いを立てました。このような考え方を「メタ思考」と呼びます。
メタ思考とは、物事を一つ(以上)の上の立場から俯瞰(ふかん)して考える思考法です。このケースで言えば、上司から「よく考えろ」と指示をされたときに、
・「何をすればよく考えたことになるのか?」(定義、状態など)
・「何のためによく考えないといけないのか?」(意味、目的など)
・「よく考えることで何が生まれるのか?」(効用、便益など)
を考えるようにします。分かりやすく言えば、“そもそも論”です。物事を考える前に、「何を考えるのかを考える」ことで、テーマ自体を問い直すのです。あたかも、2人の会話を天井から第三者の視点で眺めて見ているようにして。』
『メタ思考を駆使すれば、物事の本質や気がつかなかった食い違いが発見できます。これこそがメタ思考の一番の効果です。』
『〔俯瞰的に考えれば本当の解決策が見つかる〕
メタ思考が役に立つもう一つの場面があります。意見が対立しているときです。皆さんに簡単なクイズを出しますので、先を読む前に一度考えてみてください。
孫娘がかわいくて仕方がないお婆ちゃんは、ねだられるままにオモチャを買ってあげます。そうやって甘やかすせいで、娘は母親の言うことをちっとも聞きません。「やめてちょうだい!」と何度も言うのに、お婆ちゃんは知らん顔。どうすれば、両者の対立が解消できるでしょうか。
すぐに思いつくのは、購入量(金額や回数)を減らしたり、購入するものを限定したりして、両者痛み分けにする案です。悪くはありませんが、満たしきれなかった欲求が火種となって、問題が再燃する恐れがあります。
こんなときこそ、メタ思考で考えてみましょう。両者の言い分を俯瞰的に見た上で、共通する関心事を見つけ出すのです。』
『たとえば、「何のためにお婆ちゃんはオモチャを買うのか?」「お母さんは何を嫌がっているのか?」を考えてみます。多分、お婆ちゃんは孫娘をかわいがりたいだけです。甘やかさない方法でできればお母さんから文句が出ません。遊園地に連れていったり、大好きな料理をつくってあげたり。
さらに、もう一段レベルを上げてみましょう。「なぜ、お婆ちゃんはそんなに孫娘をかわいがりたいのか?」を考えてみるのです。
ひょっとすると、お婆ちゃんは寂しさを紛らわせたくて、何か生きがいを求めているのかもしれません。だったら、新しい趣味を持つ、ペットを買う、友人との交流を増やすなどの手が考えられます。これならお母さんも大歓迎。お婆ちゃんの問題解決にお母さんが協力することもできます。
こんなふうに、メタ思考で使うことで、両者の対立を超えた本当の解決策が見えてきます。両者の言い分を俯瞰的に眺めるメタ思考ならではの技です。』
『〔考え方の変革は生き方の変革につながる〕
こんな風に、本連載では問題解決に役立つ思考法を、哲学、心理学、教育学、経営学など幅広いジャンルから集め、応用事例とともに分かりやすく紹介していきます。
心に響いたものがあれば、とにかく一度使ってみてください。思考法を知っているだけでは意味がなく、使ってみないと自分のものになりません。そうやって、考え方の引き出しを少しずつ増やしていくのが上達の近道です。
私たちは、日々あふれかえるほどの問題に直面しています。しかも、問題が複雑化・高度化する一方で、一筋縄では対処ができない問題が山積しています。
残念ながら、すべての問題がスッキリと解決できる魔法の方法はありません。いろんなやり方を駆使して、トライ&エラーで進めていくしか手がありません。そのためには、思考法のバリエーションを増やし、試行錯誤の回数を増やすしかないのです。
「人間は考える葦(あし)」(パスカル)であり、考えることは生きることです。多彩な思考法を習得することで、働き方や人との関わり方、ひいては生き方やあり方を見直すキッカケとなれば幸いです。』
※ オレがいつも言っている、「世界は、層構造になっている。」にも通じるような話しだ…。
目先の「現象」にのみ囚われるのでは無く、常に「それが拠って来たるところ」(その現象の、発生原因となっていること)を抽出するように考え続けること…、そういう「頭の働かせ方」が大切なんだ…。
そして、「その抽出したもの」が、他の「現象」へ適用できるのか…、どの程度の「応用範囲」があるのか、常に「現象」に適用してみて「確かめる」こと…。そうやって、「抽出したもの」の精度を磨いて行くんだ…。
https://comemo.nikkei.com/n/n89d9521ed4cb





『リモートワークが増え、会議が増えた・・という人も多いのではないでしょうか?
自分は確実に増えました。2倍以上になっています。
なるべく無意味な会議をなくし、面白い発想をつくり出せるようにしたい。
Zoomでつないで考える、自分1人で考えるのバランスを最適化したい。
でもどうやって・・・・
という状態を抜け出すためのヒントをお伝えできればと思います。』
『無意識に使ってしまっている「問い」を意識的に捉えて工夫することで、発想の切り口は無数に広げることができる。
良いアイデアの前に、良い問いをもって他者と創造的に考える場をデザインするスキルを身に付けておきたいところです。』
『中に紹介されているのが、石川さんと濱口さんとの思考対談。
この対談を読むだけでも、自分の脳味噌をフルに使い、創造的に考え続けるためのヒントを得ることができます。
※ヒントは構造化して、バイアスを見つけて、壊す。』
『考え続ける=自分の思考を意識的にコントロールしながら視点を切り替えること。思考モードを意識的に切り替えることで考え続けることができる』
3つの観を使い分けること
https://note.com/tomokikurosawa/n/n8af1bb4eac3a
『深く考えるとは、物事を如何に「観るか」ということ。
観るには3つの種類があると考えている。
①直観
自分の思考を観て、思いつくままにアイデアの量をとにかく出す
②大局観
複数の物事を観て、構造を理解する
③価値観
その物事の根底にあるものを観る・理解する』
『仕事も生活も、問いの持ち方、物事の観方を変えれば面白くできる。
意識的に観方をコントロールして、面白いものを生み出し続けたい。』
『まとめると、この3つの観るの視点を往復すると考えるとわかりやすいなと思っています。』
〔良い発想=他人と一緒に考える力+自分で考え続ける力〕
『まとめます。
良い発想を生み出すためには、
・他人の脳を上手に借りる
・自分の脳をフルに使い切る
この他人の脳と自分の脳をフル回転させることが重要です。』
『考え続ける力に登場する濱口さんは、イノベーティブな発想を生み出すためのプロセスをこのように語られています。
・一人で静かに考え続て答えを振り絞ること
⇅
・みんなで共有して思考のバイアスを壊すこと』
〔思考モードはコントロールしないと散漫になる〕
他人、自分、両方の脳をフル回転させるためには、意識的に場・時間・状況をコントロールすることが大切。
脳は放っておくと、好き勝手考えはじめる、考えているフリをする。
改めて、下記のポイントは抑えながら、頭と身体をフル回転させていきたいと思います。
【良い発想を生み出すための5視点】
・1人で考え続ける時間と、他者と一緒に考える時間の使い分け
・問いを意識的に因数分解する、前提から考え直す
・思考モードのスイッチを意識的に切り替えて考え続ける
・必ず自分が責任をもって答え(仮説を出す)
・必ず面白いアイデアは出せると信じる(個人でもチームでも)
『リモートワークが増え、Zoomなどのツールが登場したことにより、気軽にコラボレーションが生まれやすくなっています。
でも、無闇に一緒に考える時間だけを増やしても面白いアイデアは生まれません。
改めて、自分の思考、他者の思考をフルに活用して、最高のアウトプットを出す工夫を日々の仕事で忘れないようにしていきたいところです。』