Apple、レアアース調達で「脱中国」 国防総省出資の米企業と契約
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『2025年7月16日 3:22 [会員限定記事]
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柯 隆さんの投稿柯 隆
MPマテリアルズの鉱山(写真左)とアップルのスマホ製品=ロイター
【ニューヨーク=川上梓】米アップルは15日、レアアース(希土類)を採掘する米MPマテリアルズに5億ドル(約740億円)を支払い、代わりに同社からスマートフォン向けレアアース磁石などを調達する契約を結んだと発表した。原料を巡って米国からの調達を増やし、中国への依存度を下げる狙いだ。
MPマテリアルズを巡っては、このほど米国防総省が出資すると発表した。国防総省が潜在的な筆頭株主となった。米国でレアアースを供給する担い手として注目されており、アップルが間髪入れず調達を決めた格好となる。
同日、両社が長期契約を結んだ。アップルは2027年からテキサス州フォートワースにあるMPマテリアルズの拠点からレアアース磁石を調達するほか、共同でカリフォルニア州マウンテンパスに最先端のレアアース磁石の再利用施設を新設する。
レアアース磁石は電気自動車(EV)のモーターなどのほか、スマートフォンなどハイテク製品に多く使われる。アップルは調達するレアアース磁石を自社のスマホ製品などに使う見通しだ。
アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は同日の声明で「レアアース素材は高度な技術を製造するために不可欠で、協業は米国で重要な素材を強化するのに役立つ」とコメントした。
MPマテリアルズのレアアース磁石生産ライン(同社提供)
両社はこれまでもレアアース磁石を再利用する技術で協力してきた。同日の米株式市場でMPマテリアルズの株価は一時30%上昇した。アップルは小幅高だった。
レアアースは中国が世界の産出量で7割を寡占する。米国は中国に依存しない供給網の構築に動いている。MPマテリアルズは11日までに米国防総省が同社の株式の15%分にあたる優先株を取得し潜在的な筆頭株主になった。米政府の支援をてこに、米国での生産能力を高める。
MPマテリアルズは2021年にEV向けの磁石製造でゼネラル・モーターズ(GM)とも提携した。
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説
レアアースの調達は中国に一極集中することがやはりリスクとして高いため、徐々に分散されていくだろう。逆に、中国で輸出が管理されているため、中小精錬工場の一部は廃業の危機に直面している。そのうえ、レアアースの輸出単価が下がっているといわれている。レアアースのサプライチェーンは製造業のサプライチェーンとともに再編されている
2025年7月16日 9:24 』