米人員削減、1月8万人超 リストラ・AI導入で高水準
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN310K70R30C24A1000000/
『【ニューヨーク=清水石珠実】米国企業が人員削減に動いている。24年1月の人員削減は8万人を超えた。景気の先行き不安を背景に、雇用や投資を成長分野に絞り、コストを削減する動きを強めている。人工知能(AI)活用の広がりも削減の一因となった。
米雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスは1日、24年1月の米国企業のレイオフ(一時解雇)状況をまとめた。24年1月の人員削減は8万2307人と…
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『同調査会社のシニアバイスプレジデントのアンドリュー・チャレンジャー氏は、「企業は人員削減の理由を(リストラやコスト削減と表現して)AIを明言しない傾向がある」と指摘。24年1月のデータではAI失業は削減数全体の約0.5%に過ぎないが、実際にはもっと多い可能性がある。23年5月から24年1月までの9カ月間でAIを理由にした削減は合計4628人だった。
「宣伝文句の作成などを、人から生成AIに全面的に切り替えると告げる録画ビデオが届き、解雇された」。米西部ユタ州に住む2児の母シェルビー・ジャーマンさん(28)は23年秋、7年続けた副業のSNSマーケティングの職を失った。収入が減ったため、子供を高額な水泳教室から退会させざるを得なかったと肩を落とす。
従来の自動化の波は、機械で代替しやすい低スキルの雇用削減が中心だった。「生成AIは、ホワイトカラーの知識労働者に大きな影響を与えるのが特徴だ」と、米求人検索サイト「インディード」のエコノミスト、コーリー・スタール氏は説明する。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターは、AI導入の影響を大きく受ける職種として、予算分析担当者やウェブ開発者、税務申告書の作成者などを例に上げた。逆に、美容師や保育士、消防士などの職種は影響を受けにくいという。
特殊な教育や能力が必要とされる企業経営者やインテリアデザイナー、獣医といった職種もAIリスクは「中レベル」とした。「影響が大きい職種の労働者がすぐにAIに代替される訳ではないが、大卒で比較的高収入な労働者ほどリスクが高いと認識する必要がある」と警告する。
米言語学習アプリ「デュオリンゴ」は契約従業員の約10%を削減した=ロイター
米言語学習アプリ「デュオリンゴ」は23年末、契約従業員の約10%を解雇した。AIの活用拡大など通じて言語コース作成の過程が変化し、「仕事の一部が不要になった」(同社広報)ことを削減の一因にあげた。米IT業界では、1月の削減数が1万5000人を超えた。グーグルやマイクロソフトが削減を行うなど、成長分野であるAI向けの投資や人材を拡充する余力をつくるための人員削減も続く。
米就職支援サイト「レジュメ・ビルダー・ドット・コム」が米経営者750人を対象に行った調査で、24年に「AI導入よるレイオフが起きる」と回答した割合は44%に上った。10社に4社以上がAI解雇を準備している計算だ。
一方で、96%の経営者が「AIのスキルや知識がある労働者が採用で有利だ」と回答した。デュオリンゴは、従業員に対してAIツールの活用方法を学べる訓練コースなどを提供しているという。AI失業の拡大を防ぐためには、企業や政府が協力して労働者にリスキリング(学び直し)の機会を提供していくことが急務となっている。
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 レイオフ・人員削減と言うと、「景気・企業業績が悪い」というイメージが先に立つ。
だが、米国で足元で膨らんだレイオフ発表数の背後には、新陳代謝が活発な米国経済の特徴が反映されているように思う。
AI(人工知能)活用で業務を効率化し、必要な雇用人員の水準を下げる。企業が収益体質を向上しようとする際、必ずと言ってよいほど考えることだろう。
そうしたミクロの動きは、経済全体の生産性向上につながり得る。同じ1日に米労働省から発表された昨年10-12月期の労働生産性は前期比年率+3.2%で、市場予想を上回った。3四半期連続の生産性向上である。
一方、日本の状況を見ると、既存雇用の賃金引き上げが前面に出されている。
2024年2月2日 7:32 』