カテゴリー: 米中摩擦
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米中首脳電話会談――勝敗は「ペロシ下院議長の訪台」次第
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220730-00307944『7月28日夜、習近平・バイデンの電話会談があったが、米中の勝敗と今後の世界のゆくえはペロシ下院議長が訪台するか否かで決まる。中国があれだけ抗議した中で行われたからだ。
◆ペロシ下院議長の訪台に対する中国側の尋常ではない抗議
ペロシ米下院議長が台湾を訪問する予定があると最初に報じたのはイギリスのフィナンシャル・タイムズで、7月18日のことだった。すると翌19日の定例記者会見で中国外交部の趙立堅報道官は直ちに反応し、「断固として反対する」と激しい顔で叫んだだけでなく、その後も複数回にわたって抗議を表明し、しまいには「可能な限りの無慈悲な懲罰を与えると思え」という趣旨の言葉を使うようになり、抗議表明がエスカレートしていった。
抗議をしたのは外交部だけではない。
中国国防部の報道官までが<もしペロシが訪台すれば、中国の軍隊は絶対に座視しないと思え>と宣告し、「レッドラインを超えるな」という勢いだった。
国防部までが抗議表明したのは、相当に危険領域に入っているという事態を表している。
一方、7月20日、バイデン大統領は記者会見でペロシの訪台に関して聞かれ、「軍(国防総省)があまり賛成していない」という趣旨のことをムニャムニャと言葉を濁しながら言っている。
電話会談が始まる前の7月27日のBloombergは、ペロシのアジア訪問には、日本、インドネシア、シンガポールへの訪問が含まれる予定だが、台湾訪問の可能性は、公式の旅程から外れたままであると関係筋が述べていると書いている。ペロシ自身は「安全上の懸念を理由に」旅行スケジュールについて公表することを避けているという。
多くのメディアは、ペロシが訪台すると、これは1997年に共和党のギングリッチ下院議長が訪台して以来のこことなると報道しているが、中国の元政府高官を取材したところ、ギングリッチの場合は、きちんと北京を訪問して、「挨拶」をした上で台湾を訪問しているので、「こんなことは初めてだ!1997年の情況とはわけが違う!」と立腹している。
調べてみると、たしかにギングリッチの場合は1997年3月29日に江沢民国家主席に会い、同じ日に李鵬首相にも会っていて、その上で3月30日に東京に向かい、その後、4月2日に台北に行って李登輝総統に会っている。
したがって、中国政府の元高官が言う通り「わけが違う」のかもしれない。
今般は、このような中で行われた米中首脳電話会談なので、一つの可能性として考えられるのは、水面下で「ペロシ訪台をやめた」とアメリカ側が譲歩したからこそ習近平はバイデンと電話会談することを承諾したのかもしれないことが考えられる。しかし、もうひとつには、ペロシは下院議長としてバイデンの指令下にはない独自の決定権を持っているので、あるいは29日にワシントンを出発したと言われているペロシのアジア歴訪は、「台湾」を含んでいる可能性も、完全には否定できない。
となると、米中首脳電話会談の勝敗は、「ペロシ下院議長の訪台」如何(いかん)にかかっているということになる。
つまり、会談前に「ペロシの訪台を取り下げなければバイデンとは会談しない」と習近平が突っぱねたのであれば、この時点で条件闘争において習近平の勝ちだし、ここまで抗議したにも拘(かか)わらず、結局ペロシが訪台するとすれば、習近平のメンツは丸つぶれになるということだ。
◆中国側が発表した米中首脳電話会談の内容
7月29日の00:05に中国外交部が発表した電話会談の内容によれば、米中首脳は双方の懸念事項について率直なコミュニケーションと交流を行ったとのこと。
習近平は、「世界の混乱に直面して、国際社会と国民は、中国とアメリカが世界の平和と安全を維持し、世界の発展と繁栄を促進する上で主導的な役割を果たすことを期待している」と述べた上で、以下のようなことを言っていると報道している。
●戦略的競争という視点から米中関係を定義し、中国を最大のライバルとみなすことは誤算を生み、中国の発展を誤読することにつながる。双方は、あらゆるレベルのコミュニケーションを維持し、既存のコミュニケーションチャネルをうまく利用して、協力をこそ促進するべきである。
●現在の世界経済情勢は困難を極めており、米中はグローバル産業のサプライチェーンの安定性を維持させ、世界のエネルギーと食糧安全保障の確保など、主要な問題についてコミュニケーションを維持すべきだ。ルールに反して意図的に連鎖を断ち切れば、アメリカ経済にも災いをもたらし、世界経済をより脆弱にさせるだろう。
●特定の地域の熱くなった問題点を煽るのではなく、その温度を下げるために努力すべきで、コロナと経済衰退のリスクを下げるべく国連を中核とする国際システム及び国際法に基づく国際秩序を維持するよう支援すべきである。
●台湾問題に関する中国の原則的立場を重視すべきだ。台湾海峡の両側が「一つの中国」に属するという事実と現状は明確であり、「一つの中国」原則は中米関係の政治的基盤だ。 我々は、「台湾独立」という分裂と、外部勢力の干渉に断固として反対し、いかなる形態の「台湾独立」勢力にもいかなる余地を与えない。台湾問題に関する中国政府と中国人民の立場は一貫しており、中国の主権と領土の一体性を断固として守ることは、14億人以上の中国人の確固たる意志である。もし中国の民意に逆らって火遊びをすれば、大やけどを負うことになるだろう。
これに対してバイデンは、以下のように述べたという。
〇米中協力は、両国の国民だけでなく、すべての人々にも利益をもたらす。アメリカは中国との円滑な対話を維持し、相互理解を促進し、誤解を回避し、利益を共有する分野で協力し、相違を適切に管理したいと考えている。
○私は、アメリカの「一つの中国」政策が変わっていないこと、また、アメリカが台湾の「独立」を支持していないことを改めて述べたいと思う。
その上で両首脳はウクライナ危機などについても意見交換を行い、習近平は中国の原則的立場を改めて表明した。両首脳は、この電話は率直で深く、今後もコミュニケーションと協力を継続するために、連絡を取り合うことに同意したと、中国外交部は報道している。
◆アメリカ側が発表した米中首脳電話会談の内容
アメリカ時間7月28日、ホワイトハウスは米中首脳会談に関する内容を以下のように発表した。その概略を示す。
○バイデン大統領は本日、中華人民共和国の習近平国家主席と会談した。この呼びかけは、米中間のコミュニケーションを維持し深め、責任を持って私たちの違いを管理し、私たちの利益が一致する点では協力するというバイデン政権の努力の一環である。
○この呼びかけは、3月18日の2人の指導者の会談と、米中両国高官の間の一連の会話に続くものだ。両首脳は二国間関係やその他の地域的および世界的な問題にとって重要なさまざまな問題について話し合い、特に気候変動と健康の安全に取り組むために、今日の会話をフォローアップし続けるようチームに命じた。
○台湾について、バイデン大統領は、「アメリカの政策は変更されておらず、アメリカは、現状を変更させる一方的な動きや、台湾海峡の平和と安定を損なうことに強く反対する」と強調した。
◆ペロシの動きに関して
7月29日に行われた中国外交部定例記者会見において、記者が「米中首脳会談中にペロシ下院議長訪台に関する話題は出ましたか?」と質問したのに対して、趙立堅報道官は「皆さんご存じのように、このたびの電話会談はペロシ下院議長が訪台を計画しているという背景の下で行われたのだ」と回答し、質問をはぐらかした。
アメリカのペンシルバニア州にいる友人からメールが来て、ペロシはもう82を過ぎていて年齢的に次はないので、自分の後継者に関してバイデンに圧力をかけるため、嫌中行動を強行しようと、一種の交換条件を提示しているという要素があると知らせてきた。
次期政権がバイデンになるとは限らないし、バイデンの支持率が低迷しているので民主党が勝つとは限らないのではないかと聞いたところ、「ペロシは自分の夫がNVidiaの株を購入することに関してインサイダー取引があったのではないかという批判を浴びている(すなわち、アメリカでのCHIPS法案が成立する直前に株を購入してぼろ儲けをしている)ので、その批判をかわすためにバイデンや民主党に対して利益交換をしているとも言われている」と教えてくれた。
加えて、ペロシが呼び掛けた訪台代表団に関しては、少なからぬ議員が「都合が悪いので」などと言い訳をして断っているという情報も飛び交っている。
あるいは、バイデンとしては、習近平には「台湾独立を支持しない」と言いながら、ペロシ訪台に関しては下院議長としての意思決定なので、自分にはどうしようもないとして逃げる可能性もなくはない。
そうは言っても現実問題として、ウクライナ戦争を仕掛けたバイデンとしては、ウクライナに何としても勝ってもらわないと困るが、アメリカのLNG(液化天然ガス)産業関係者と武器製造業者だけはぼろ儲けしていても、物価高騰などによりアメリカ経済は疲弊しているので、ここに台湾衝突が加われば対処しきれず、中間選挙も大統領選も失敗する可能性が高くなるので、ペロシの訪台はバイデン政権にメリットをもたらすとは思えないという側面は否めない。
あと数日で趨勢は決まるだろう。
この視点でゆくえを見守っていきたい。
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』
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台湾と協力「安倍氏後」探る 議員外交の動き相次ぐ
安全保障軸にパイプ構築
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA25A4V0V20C22A7000000/『日本の国会議員が台湾を訪問する動きが活発になってきた。台湾は安全保障上の重みが増す半面、政府間の外交関係がないため、議員外交がパイプの役割を持つ。日台協力を重視した安倍晋三元首相が亡くなった影響も踏まえ、新たな軸を探る。
自民党の石破茂元幹事長ら超党派の「日本の安全保障を考える議員の会」のメンバーが27日から台湾を訪れた。同党の浜田靖一元防衛相、長島昭久衆院議員、日本維新の会の清水貴之参院議員も加わる。
台湾の外交部(外務省)は同日に「訪問を心から歓迎する」との声明を発表した。
蔡英文(ツァイ・インウェン)総統や頼清徳副総統との会談のほか、国防部(国防省)も訪れる。軍関係者と台湾海峡での中国軍の動きや台湾の防衛体制など巡り意見を交わす見通しだ。総統府直轄の国家安全会議(NSC)の幹部とも会う。
石破氏は「安全保障を目的とした議員の台湾訪問は珍しい。実地で知識を得たい」と話す。議員の会に所属する国民民主党の前原誠司元外相は「安保に関しては与野党関係ない。現実的な安保政策はどの立場であっても必須だ」と語る。
自民党の鈴木馨祐衆院議員も25日から訪問した。現地の会合に出席し、日本側の台湾を巡る動きなどを説明した。5月には自民党青年局の議員団が台湾を訪ねた。
相次ぐ日本の議員訪問に台湾側も蔡総統をはじめ政府高官が積極的に対応している。
超党派の議員連盟「日華議員懇談会」の古屋圭司会長は27日の取材に「8月に事務局長の木原稔衆院議員と台湾を訪問し、政府関係者と会談する」と明かした。日華懇はかねて国交のない台湾との関係構築を進めてきた組織だ。
21年夏には自民党と台湾の与党、民主進歩党(民進党)の外交・防衛政策の責任者が協議した。日本側は外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の「与党版」と位置づける。
台湾は沖縄県与那国島からおよそ110キロと近い。仮に中国が台湾に侵攻すれば日本も無縁ではいられない。日本にとっても台湾有事を念頭に置いたパイプづくりや情報収集は不可欠だ。
米バイデン政権は非公式の代表団を台湾に頻繁に送る。最近は国防部幹部とも面会する例がある。日本の議員の動きも米国と歩調をあわせる一環になる。
ペロシ米下院議長は8月に台湾を訪問する計画を立てる。現職の米下院議長の訪台が実現すれば1997年以来となる。
日本政府は1972年の日中共同声明を経て中国を「中国唯一の合法政府」と認定した。台湾との関係は「非政府間の実務関係として維持している」との立場をとる。政府高官らの公的な会談はなく、国会議員らが要人との交流を担ってきた。
近年の台湾との関係構築を中心的に進めたのが安倍氏だった。首相退任後に顧問を務めた日華懇を軸に活動した。生前には参院選後に台湾へ訪問する意欲も示していた。
日本と米国、台湾の議員の連帯も探った。2021年夏には日米台の議員有志による「戦略対話」を実現した。21年12月に台湾で開かれたシンポジウムにオンライン参加し「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と訴えた。
蔡総統とも親交があり、今年3月にはオンラインでウクライナ情勢や日台関係について話しあった。安倍氏の葬儀には頼副総統が私人の立場で来日して参列した。
台湾との関係は歴史的に自民党の清和政策研究会(現安倍派)に所属した議員との関わりが深い。2000年に台湾の李登輝元総統の来日問題が浮上した際は当時の森喜朗首相の働きかけで01年に実現した。
安倍氏の祖父、岸信介氏は1957年に首相に就任すると初の海外訪問先に東南アジアと台湾を選んだ。
高市早苗政調会長は24日、日台関係を巡り講演し「安倍氏の遺志を同志議員と引き継いで台湾と一層強固な関係を構築したい」と語った。自民党には安倍氏の死去の影響を危惧する声もある。
長島氏は「安倍氏が象徴的に引っ張る姿でなくなるかもしれないが、より裾野を広げるため各議員が強い絆を台湾と築くのが大事だ」と話す。
【関連記事】台湾との関係「安保協力が重要」 日華懇・古屋圭司会長
Twitterで最新情報を発信 https://twitter.com/nikkeiseijibu/?n_cid=MCH998 』
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第1列島線とは 米中が対峙する軍事ライン きょうのことば
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB276740X20C22A7000000/
『▼第1列島線 中国が勢力圏を確保するため、海洋上に独自に設定した軍事的防衛ラインの一つ。九州沖から沖縄、台湾、フィリピンを結び南シナ海に至る。中国が台湾有事を想定し、米軍の侵入を防ぐ自国防衛の最低ラインとしている。
米国は第1列島線を安全保障上の脅威と捉え、対抗軸の構築を進めている。米インド太平洋軍は第1列島線に沿って、ミサイル網などを整備することを視野に入れる。台湾海峡の安定は地域の安全と平和に深くかかわることから、日本も射程1000キロメートル超の巡航ミサイルを配備することを目指す。
中国がさらに外洋に設定したのが「第2列島線」だ。小笠原諸島や米領グアムを経由してパプアニューギニアに至る防衛ラインで、海洋安全保障を巡り、米国との対立が激しくなっている。
【関連記事】
・米陸軍、アジアに新部隊配置検討 サイバーや防空強化 ・米軍、対中国へ分散戦略加速 補給体制と連動カギ ・台湾併合が招く悪夢 米中秩序、逆転の引き金に 』
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台湾・蔡総統、石破氏らと会談 安保巡り意見交換
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM283A10Y2A720C2000000/『【台北=龍元秀明】台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は28日、総統府で自民党の石破茂元幹事長ら超党派の「日本の安全保障を考える議員の会」の国会議員団と会談した。中国が統一圧力を強めるなか、安全保障面の連携について意見交換した。
議員団の訪問は、日台協力を重視した安倍晋三元首相が亡くなった影響を踏まえ、新たな協力軸を探る狙いがある。蔡氏は安倍氏が示していた「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」との見方に触れ、「地域の安全保障に重要な意義がある」と指摘した。
中国の軍事圧力を念頭に「台湾は(沖縄からフィリピンを結ぶ)第1列島線の防衛線上にある。民主主義国のパートナーと協力し合い、地域の平和と安定に取り組んでいく」とも強調した。
石破氏は「有事にならないために、我々は備えておかねばならない」と応じた。抑止力を高めるため、有事の際に想定される事態などについて日台で具体的な協議を進めたいとの認識を示した。
議員団は石破氏のほか、自民党の浜田靖一元防衛相、長島昭久衆院議員、日本維新の会の清水貴之参院議員で構成され、27~30日の日程で訪台している。国防部(国防省)の訪問や、2020年に死去した李登輝・元総統の墓参りも予定する。』
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アジア最大REITも香港離れ リンクリート、投資分散急ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM01ARL0R00C22A6000000/


『【香港=木原雄士】アジア最大の不動産投資信託(REIT)、香港の領展房地産投資信託基金(リンクリート)が投資先の分散を急ぐ。中国本土やオーストラリアで資産取得を重ねており、ビジネスハブとして香港の魅力が低下するなか、投資先の香港比率を足元の75%から2025年に60%台に下げる。同社の戦略転換によって、香港以外で優良物件の獲得をめぐる競争が激しくなりそうだ。
中国本土や豪州にシフト
リンクは5月、中国の浙江省嘉興市と江蘇省常熟市にある3つの物流施設の取得を決めた。投資額は9億4700万元(約190億円)。21年10月にも上海周辺と並ぶ中国の物流ハブである広東省の2つの物流施設に投資したばかりだ。
同社の王国龍・最高経営責任者(CEO)は「電子商取引(EC)で拡大する物流産業の力強い成長を取り込める」と説明する。この1年余りで上海や広州、豪シドニーの商業施設やオフィスに立て続けに投資した。
さらに米ブルームバーグ通信は最近、リンクがシンガポールの商業施設への投資を検討していると報じた。投資見込み額は約3900億円と、実現すれば同社にとって最大の海外案件になる。
同社は日本経済新聞の取材に「豪州や英国、シンガポール、日本などで投資機会を探っている」と回答した。円安で割安感が強まる日本の物件取得も視野に入れる。
香港市場6割占める「巨人」
リンクは時価総額が170億ドル(約2兆3000億円)に上るアジア最大の上場REIT。1社で香港のREIT市場の6割強を占める「巨人」だ。これまで香港の老朽化した商業施設を改良して賃料を上げたり、テナントを入れ替えたりする手法を強みにしていた。
リンクリートのニコラス・アレン会長は資産の多様化を進める方針を示す(6月の決算会見)初めて香港外の投資に踏み切ったのは15年。北京の商業施設だった。22年3月末時点の運用資産の内訳は香港75%、中国本土17%、豪州や英国が8%。25年には香港を60~70%に下げ、中国本土を20~25%、その他を10~15%にする計画だ。
投資分散に動く背景には、香港に特化した成長モデルに陰りが見えてきた事情がある。
国安法と「ゼロコロナ」で地盤沈下
05年の上場以来、16年連続で増配を達成したリンクだが、当初10%を超えていた分配金の伸び率は低下傾向が鮮明だ。上場以来ほぼ右肩上がりで一時は約10倍になった投資口価格(株価)も19年の大規模デモをきっかけに低迷が続く。
リンクは既存施設の改装や店舗入れ替えが一巡し、伸びしろが限られる香港の物件を売却し、海外資産に入れ替える戦略を採る。光大証券国際の伍礼賢ストラテジストは「新型コロナウイルスの感染拡大で商業施設が打撃を受けても、オフィスでカバーするなど、資産の多様化によって一極集中リスクを回避できる」と指摘する。
香港の不動産市場を取り巻く環境は厳しい。20年の香港国家安全維持法(国安法)施行後に子育て世帯の海外移住が増え、中国式の「ゼロコロナ政策」で金融やIT(情報技術)を中心に外資系企業の香港離れが始まった。
不動産コンサルタントのコリアーズ・インターナショナルによると、22年上期の香港の不動産投資額は289億香港ドル(約5000億円)と、前年同期比15%減った。直近ピークの18年上期のわずか2割程度。不動産サービス大手CBREのまとめでは、上位「グレードA」オフィスの6月の空室率は11.9%と、03年以来最悪の水準だ。
企業イメージもリスクに
リンクが保有する小売物件の収益性を示す期待利回り(キャップレート)にも影響が出ており、香港の3.1~4.5%に対して、中国本土は4.25~4.75%。オフィスも香港の3%に対して豪州は4.4%、英国は5.19%と相対的に魅力が大きい。
さらにリンク固有の域外シフトの事情として「リンクは香港で染みついた悪い企業イメージを変えたいのだろう」(不動産関係者)という見方もある。同社は香港社会で「地産覇権(不動産支配)」の代表格として知られ、零細企業に冷たいとの印象を持たれているためだ。
地元マーケットの運営を監視する非政府組織(NGO)によると、ある地域でリンクが運営するマーケットの食品価格は他に比べて平均23%高かった。高い賃料が消費者の負担増につながっていると批判する。
別のNGOの領匯監察も19日、商業施設の転売禁止やREIT規制の強化を求める提言を発表した。習近平(シー・ジンピン)指導部は香港の民生改善を重要課題にあげており、リンクへの政治的な批判が強まるリスクもゼロではない。
中国本土も競争激しく
もっとも、中国本土では優良物件の取得をめぐる競争が激しくなっている。リンクで最高財務責任者(CFO)を務めた経験がある翟迪強・順豊房地産投資信託基金(SFリート)CEOは「ECが急速に浸透し、ここ3、4年は物流関連の不動産への関心が急速に高まっている」と話す。
リンクリートが取得した中国の物流施設(江蘇省常熟市)
SFリートは6月に主要スポンサーの中国の宅配物流大手、順豊控股(SFホールディング)から中国内陸部・湖南省長沙の大型物流施設を4億9320万元で購入した。翟氏は「多くのファンドや投資家が物流関連に参入し、優良物件の価格が上がっている」と強調する。
三井住友DSアセットマネジメントの秋山悦朗リートグループヘッドはリンクの戦略転換について「成長期から成熟期に入り、投資先の分散によって安定志向に傾いている」と指摘。ただ「分散はどのREITもやっているので、中国本土で成長機会をつかめるかが重要だ」と話す。
【関連記事】
・香港の人口2年連続減 21年末740万人、域外に流出も ・香港、ゼロコロナで人材流出 シンガポールにシフトも ・香港、ハブ機能低下の兆し 外資の「地域本部」流出 』
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習氏「火遊び身焦がす」 米中首脳協議、台湾巡り応酬
対面会談へ調整指示
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28EB90Y2A720C2000000/『【ワシントン=坂口幸裕、北京=羽田野主】バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は28日、2時間20分ほど電話で協議した。習氏は台湾問題への干渉に断固として反対すると伝え「火遊びは必ず身を焦がす」と述べた。ペロシ米下院議長が8月に計画する訪台などを念頭に、強い表現で警告した。
米政府高官は協議後、バイデン氏と習氏が対面で会談する可能性について議論し、両政府で調整するよう指示したと明らかにした。気候変動や感染症など協力できる分野で対話を継続する方針でも一致した。2021年1月に米大統領に就任後、2人は対面では会っていない。
米ホワイトハウスの声明によると、バイデン氏は台湾問題について「米国の政策に変更はない」と表明した。中国本土と台湾が不可分だとする中国の立場に異を唱えない一方、台湾の安全保障にも関与する米国の「一つの中国」政策を堅持する意向を示した。
バイデン氏は5月下旬に台湾有事の際は米国が軍事関与すると明言した。台湾防衛をあいまいにしてきた歴代政権の政策修正と受け止められかねない発言で、バイデン政権として踏襲していく方針を明確にする狙いもあったもようだ。
同時に、台湾海峡の平和と安定を損なう一方的な現状変更の試みに強く反対する考えも改めて伝達した。台湾への軍事威嚇を強める中国の行動にクギを刺した。声明では会談について「米中間の意思疎通を維持・深化させ、双方の違いを責任を持って管理する取り組みの一環だ」と記した。
両首脳が協議するのはバイデン米政権が発足してから5回目で、3月にテレビ会議形式で話して以来になる。バイデン政権が検討している中国製品への制裁関税の一部引き下げ案では突っ込んだ議論はなかったとみられる。
中国国営の新華社によると、習氏は台湾問題について「台湾問題の歴史的経緯は明白で、両岸が同じ一つの中国に属するという事実と現状ははっきりしている。『一つの中国』原則は中米関係の政治的基礎だ」と主張。「台湾独立に向けた分離の動きと外部勢力の干渉に断固として反対する」と強調した。
「台湾問題に対する中国政府と中国人民の立場は一貫しており、中国の国家主権と領土保全を断固として守ることは14億人余りの人民の確固たる意志だ」と言明。「民意に背くべきでなく、火遊びは必ず身を焦がす。米国はこの点をよく認識することを望む」と訴えた。
習氏がバイデン氏に厳しい言葉で台湾問題に言及したのは、7月中旬に表面化したペロシ氏の訪台計画があるとみられる。26日には習氏側近で知られる秦剛中国駐米大使が米政府関係者らを前に「台湾を中国から分裂させようとすれば、中国人民解放軍は必ず断固たる強力な措置をとり、国家主権と領土を守る」と中止を迫った。
中国では秋に共産党幹部の人事を決める5年に1度の共産党大会を控える。習氏は党大会での政権3期目入りに向けて体制固めを進める。8月から長老らの意見を聞く「北戴河会議」が始まる見通しで、党の重要人事の調整が山場を迎える。
米政府内にもペロシ氏の訪問が台湾海峡の軍事緊張を高めかねないとの声がある。中国の政治日程とペロシ氏の台湾訪問の時期が重なれば、習指導部が強硬姿勢に出ざるを得ないと懸念しているもようだ。
【関連記事】
・ペロシ議長の訪台案「歓迎」、保守系ヘリテージ財団会長 ・台湾と協力「安倍氏後」探る 議員外交の動き相次ぐ ・米下院議長の台湾訪問 政府高官「本人の決定に委ねる」
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
柯 隆のアバター 柯 隆 東京財団政策研究所 主席研究員 コメントメニュー
ひとこと解説
どんなに会談しても、平行線。中国は中国の立場があり、それを軟化させることができない。だからどんどんと強い言葉を発する。中間選挙を目前にするバイデン大統領もこれ以上中国を刺激したくなくても、下がれない。ただでさえ支持率が低い大統領は弱腰外交と批判されるのを心配している。問題はペロシ訪台について、中国は強い言葉で警告すればするほど、ペロシは台湾に行くしかなくなる。強い言葉の応酬でも、相手の立場を理解しないといけない。
2022年7月29日 6:57前嶋和弘のアバター
前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
コメントメニューひとこと解説
どうしても台湾問題が私たちにとっては焦点になりますが、カービー報道官がアメリカのメディアで繰り返して言っていうように争点は人権、環境、貿易、ウクライナなどいろいろ。最初から何か解決をするのではなくて、米中が「いつものすれ違い」があることを再確認する外交イベント。ただ、再確認し、中国側が強硬な動きをしないように牽制することが外交上は非常に重要です。台湾情勢については、ペロシ訪台の可能性に対して「軍が難色」というバイデン発言を中国側は利用するかのように、強硬な態度を示していますが、ここで訪台を見送ることは中国を利することにもなります。
2022年7月29日 7:57 (2022年7月29日 8:12更新)』 -
「一国二制度」死滅の香港が台湾へ与える影響
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27372『今日の香港においては、中国による人権抑圧が続いているとして、Taipei Timesの7月7日付け社説‘One country, one system’が「一国二制度」ならぬ「一国一制度」の状況を描写している。
Oleksii Liskonih / iStock / Getty Images Plus
同社説は、かつて「一国二制度」の香港の形態が50年間続けば、それは台湾問題解決の前例になると中国は称していたが、習近平体制下において、すでに香港は「一国二制度」ではなく、「一国一制度」に変えられてしまった、と指摘する。その通りだろう。今日では、2300万人の台湾住民にとって「失われた香港」がもっていた魅力はすでに存在しないも同然と言ってよい。
英国と中国の間で香港返還が決定したのは、1985年5月の「香港問題に関する英中共同声明」においてである。その中で「中国は香港の現実を50年間維持する」旨述べている。この英中共同声明の背景については当時、鄧小平が次のように述べていたことが知られている。(1984年10月中央顧問委員会)
「一国二制度」というのは、中国の実際から出発して提起されたものだ。中国としては、一つは香港問題に直面し、もう一つは台湾問題に直面している。香港が中国に返還された後、50年間その形態を維持できれば、台湾問題もそれに倣って解決できるだろう。
もはや「一国二制度」が香港において存続していないことの証として、上記Taipei Times社説が挙げた最近の実例の一つは、カソリックの元枢機卿(陳日君90歳)が「国家安全法」に反して、「外国勢力と共謀した」との理由で本年5月に逮捕されたケースである。逮捕される前に、枢機卿は「われわれは罠にかかった。香港はもはや香港ではない、中国のもう一つの都市にすぎない」と述べたという。
また、ローマ協会の非公式な香港駐在代表のJavier氏は、2020年に「国家安全法」が科される前から、一部資料や文書を安全な場所に移しておいた、と述べている。』
『これに対し、香港返還25周年式典において、習近平は演説し、今後、長期にわたって資本主義制度や自治権を香港は維持できる、との趣旨の発言を行ったが、これは、香港で50年間、二制度を維持できると述べた鄧小平発言の実態とはその内容を大きく異にしている。
対中姿勢を変化させてきた台湾の「今」自由、民主主義、法の支配が定着した台湾では、中国と台湾の関係を如何に位置付けるかをめぐって、いくつかの変化を経験してきた。「特殊な国と国の関係」(李登輝総統の時期)、「一遍一国」(陳水扁総統の時期)「一つの中国、各自表述」(馬英九総統の時期)などを経て、今日の蔡英文総統時代の対中姿勢・対中政策がある。
蔡英文の対中姿勢は、台湾はすでに主権が確立した独立国(中華民国、在台湾)であるが、敢えてそのことを強調して中国を挑発することなく、現状維持の枠組みの中で、対話を通じ問題を解決しようとしている。
今日、2300万人の台湾人自身、中国が、一時考えたような「一国二制度」の台湾を希望する人――いわんや、中国の統治下にある「一国一制度」であることを受け入れる人――は、まずいないであろうと思われる。』
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米下院議長の台湾訪問 政府高官「本人の決定に委ねる」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN270CZ0X20C22A7000000/『【ワシントン=中村亮】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は26日、記者団に対してペロシ下院議長の台湾訪問計画をめぐり「下院議長が訪問を決める」と述べた。バイデン政権内に中国の反発を懸念して訪台に慎重論が出ているとされるが、ペロシ氏に最終決定を委ねるとした。
カービー氏は「ペロシ氏が外国を訪れる場合は環境に応じた(安全に関する)情報を日常的に提供している」と説明。政権が数日前に台湾の関連情報をペロシ氏に伝えたと認めた。中国はこれまでも米国の要人による訪台に反発してきたが、関係者によるとペロシ氏の訪台計画に対しては水面下でこれまでよりも強硬に反対している。
カービー氏は大統領職の継承について下院議長が副大統領に次ぐ立場にあると触れて「外国訪問時のペロシ氏の安全は米国の安全保障にとって重要だ」と指摘した。訪台する場合の警護体制を議論していることを示唆した。
米ブルームバーグ通信は26日、バイデン大統領が中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と28日に協議すると報じた。バイデン氏は週内に首脳協議を実施するとの見通しを示していた。
カービー氏は首脳協議をめぐり、台湾や南・東シナ海、ロシアによるウクライナ侵攻が議題になると言及した。米政権が検討する中国製品に対する制裁関税の引き下げについては「バイデン氏が(引き下げについて)決断するまでは大きなテーマにならない」と述べた。』
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米国務副長官、ソロモン訪問へ ケネディ駐豪大使が同行
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN260VJ0W2A720C2000000/『【ワシントン=中村亮】米国務省は25日、シャーマン国務副長官が8月6~8日にソロモン諸島を訪問すると発表した。キャロライン・ケネディ駐オーストラリア大使やインド太平洋軍のスティーブン・スクレンカ副司令官が同行する。ソロモンへ影響力を増す中国に対抗する。
国務省は声明で、シャーマン氏はソロモン政府高官と会談し「永続的関係を確認する」と説明した。ソロモンの首都ホニアラが位置するガダルカナル島をめぐり、日米が太平洋戦争で激戦を繰り広げてから80年の節目を迎え、シャーマン氏は関連の記念式典に出席する。
中国とソロモンは4月、安全保障協定を結んだ。中国がソロモンに軍事拠点を設けることはないと両国は断言するが、バイデン米政権は中国軍による海洋進出に懸念を強めている。
ケネディ氏は7月下旬、駐豪大使に着任したばかりだ。シャーマン氏に同行してソロモンとの関係づくりを急ぐ。バイデン政権のインド太平洋戦略ではソロモンを含む太平洋島しょ国との関係強化の重要度が増しており、ケネディ氏は重責を担う。』





































