カテゴリー: 世界情勢
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独仏伊首脳がキーウ訪問 ショルツ氏、EU加盟候補へ支持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR15EAC0V10C22A6000000/『【ベルリン=南毅郎】ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領、イタリアのドラギ首相は16日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問した。3氏ともロシアの侵攻開始後で初の訪問で、ゼレンスキー大統領と会談した。
ショルツ氏は会談後の共同記者会見で「必要な限り支援を続ける」と表明し、ウクライナの欧州連合(EU)加盟候補国入りを支持した。今月下旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)を前に連帯を示した。
マクロン氏は「欧州はウクライナが勝利するまで寄り添う」と強調し、ウクライナにりゅう弾砲の追加供与を進める考えも明らかにした。
一方、ゼレンスキー氏は「勝利の始まりになることを祈る」と各国首脳の訪問に感謝を述べた。
会談に先立ち、独仏伊の首脳はキーウ近郊で多数の民間人の遺体が見つかったイルピンを視察した。ショルツ氏は壊された街並みを見て「破壊と征服に固執するロシアの侵略戦争の残虐性をよく表している」とロシアを強く非難した。
ゼレンスキー氏はツイッターで15日、ショルツ氏からG7サミットへの招待を受けたと明らかにした。同氏は、その後の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議にも参加する見通しだ。
独紙によると、イタリアを交えた訪問はフランス側から持ちかけられた。ウクライナのEU加盟に前向きなイタリアが加わることで支援に消極的との批判をかわす狙いも透ける。今回の訪問にはルーマニアのヨハニス大統領も合流した。EUのフォンデアライエン欧州委員長やジョンソン英首相などはすでに訪れており、ショルツ氏らにはウクライナ訪問を求める声が強まっていた。
ロシアのウクライナ侵攻から4カ月が迫るなか、今回の訪問時期には各国の複雑な事情も絡んでいる。
ドイツではシュタインマイヤー大統領が4月にウクライナ訪問を計画したものの、同国側から拒否された。同氏はメルケル政権下で外相を務めた人物で、ロシアとのガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」を支持するなど対ロ融和を進めた張本人との責任論が出ている。大統領の訪問拒否で、一時期はショルツ氏の予定も見通しが立たずにいた。
フランスではマクロン氏が19日に国民議会(下院)決選投票を控える。物価高による政権批判で1回目投票では支持が伸び悩んでおり、各種世論調査によると与党連合が過半数割れを起こす恐れもある。外交で点数を稼ぎ、支持率上昇につなげたい考えだ。
マクロン氏のもう一つの狙いは停戦交渉時にフランスが交渉のテーブルに中心メンバーとして参加することだ。フランスやEUに有利な条件を引き出す思惑があり、もしこうした努力を怠れば中国やトルコなどEU外の国が交渉の主導権を握ると懸念している。そのために批判されながらもロシアのプーチン大統領との電話協議も継続的に実施しており、ゼレンスキー氏とも連絡を密にしてきた。
イタリアにとっては、EUでの存在感を高める好機でもある。独仏がロシアに一定の配慮を見せるのに対し、イタリアは厳しい姿勢を見せる。ドラギ首相は「平和」か「エアコン」か選ぶ必要があると伊国民に呼びかけ、ロシア産エネルギーなどに対してEUは断固とした制裁をとるべきだとの立場だ。
ウクライナ危機に迅速に対応するため、EUの意思決定で多数決制への移行も主張。5月にはイタリア独自の和平案もまとめ、国連のグテレス事務総長に提出した。
6月26~28日に独南部のエルマウ城で開催するG7サミットではウクライナへの支援とロシアへの制裁強化が主要議題になる見通しだ。ロシアの侵攻が長引くなか、ウクライナは戦車やりゅう弾砲などの重火器の追加供与を求めている。
【関連記事】
・米国、ウクライナに追加軍事支援 1300億円 ・ウクライナ東部要衝、市民退避焦点 ロシアは「人道回廊」
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菅野幹雄のアバター 菅野幹雄 日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員 コメントメニュー
分析・考察
EU三大国の首脳がそろって列車でウクライナ入りするというのは、ロシアの侵攻が招いた、歴史に残る場面です。ドイツでのG7、NATOのサミットでもゼレンスキー大統領と3首脳は顔を合わせることになり、対ロシアで「鉄の結束」を示したいのででしょう。とはいえ記事にもあるように、この機会はショルツ政権の支持率低下に悩むドイツ、マクロン氏の与党が下院選で苦戦するフランス、その間を縫って存在感を高めたいイタリアと、それぞれの違った思惑が一致した構図でもあります。写真撮影やエール交換の場でなく、いかに実質的な成果を引き出すか。首脳が出てきた以上、中途半端な内容に終われば、逆効果になりかねません。
2022年6月16日 19:22
伊藤さゆりのアバター
伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
コメントメニューひとこと解説
G7とNATOに先立つ6月23〜24日にEUが首脳会議を開催する。
5月末の首脳会議にオンライン参加したゼレンスキー大統領は、対ロ制裁の強化とEU加盟候補国としての地位の付与を求めたが、3か国首脳の訪問は、6月首脳会議での加盟候補国地位の付与への布石との見方もある。
ウクライナに加盟候補国の地位が付与されれば、旧ユーゴ諸国のケースに比べて異例の速度となるが、候補国となってから、交渉開始、交渉完了に、それぞれ年単位の時間を要するため、即時加盟を意味する訳ではない。
それでも、象徴的な意味合いは大きい。
ガス供給削減で揺さぶりをかけるプーチン大統領を大いに刺激することになるだろう。
2022年6月16日 18:03すべての記事が読み放題
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メキシコでホテル投資1兆円、ヒルトンなど需要増にらむ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN240Q70U2A520C2000000/


『メキシコでホテル各社が積極投資に乗り出している。メキシコ観光省によると、2月末時点で計画されている観光事業の投資総額は2155億ペソ(約1兆4000億円)にのぼり、そのうち76%をホテル関連が占める。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ観光産業は回復傾向にあり、国内外のホテル事業者が膨らむ需要をつかもうと備えている。
4月の稼働率80%超
2022年に入り、開発の動きが顕著だ。米ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスは22年にメキシコで15軒のホテルを建設する予定だ。メキシコのホテル大手グルポ・ポサダスは23年ごろまでに国内に21軒のホテルを開業する。米ハードロック・インターナショナルなどもホテルの新規計画を発表しており、環境当局の認可を待っている。
特に需要拡大が見込まれるのがリゾート地カンクンがある南東部キンタナロー州だ。地元紙によると、カンクンのホテルゾーンでは客室数が計2947室、投資総額4億5000万ドル(約600億円)の新規開発案件が進んでいる。ビーチリゾートのリビエラマヤでは22年度にヒルトンなどが手掛ける3軒のホテルが開業する予定だ。
ホテルの稼働率は回復している。カンクンとリビエラマヤのホテルの稼働率は21年12月がいずれも76%と、前年同月比でそれぞれ29ポイント、46ポイント高まった。米国などから多くの観光客が訪れた4月はいずれも稼働率は80%を超えた。
外国人観光客の収入、今年3兆円超背景にあるのはインバウンドを中心とした観光需要の回復だ。メキシコ観光省によると、22年1~3月にメキシコに入国した外国人旅行者数は1493万人と前年同期比で3割増えた。19年1~3月(2460万人)比では6割の水準にとどまるが、回復は鮮明だ。
メキシコは新型コロナ禍でも隔離などの入国制限を設けていなかった。それでもメキシコ国内での感染者数の増加と各国の規制強化を受け、メキシコを訪れる外国人の数は大幅に落ち込んでいた。メキシコを訪れる外国人観光客がもたらす収入は22年に246億ドル(約3兆3000億円)とコロナ前の19年の水準を上回る見通しだ。
メキシコの観光業界では雇用も回復しつつある。メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)によると、飲食・宿泊業での就業者数は22年1~3月期に約434万人と前年同期比で15%増えた。地元紙によると、キンタナロー州では新型コロナ禍で約10万人が仕事を失ったが、すでに93%の雇用が回復しているという。
観光業の回復はメキシコ経済に恩恵をもたらしている。INEGIによると、1~3月期の実質国内総生産(GDP)の確定値は、前四半期比で1%増となった。分野別では文化イベントなどの娯楽業界が前年同期比で63%増、宿泊・飲食業界が同43%増だった。観光省によると、観光関連のGDPは21年10~12月に前年同期比で19%増えた。
地元紙によると、レジャー施設運営のグルポ・シカレは19年に約9000人だった従業員数を22年に約1万3000人に増やした。同社が運営するホテルの稼働率は足元で約90%とコロナ前の19年の水準を上回っているという。シカレは観光需要増を見込み、新たにカンクンの離島での体験プランを提供する方針だ。
国内需要は回復鈍くメキシコ政府も南東部での観光業を後押ししている。ロペスオブラドール大統領は肝煎り政策としてカンクンを起点とした観光鉄道「トレン・マヤ」の建設を進めており、23年末までの完成をめざしている。現在は車でしか移動できない広大なユカタン半島の観光名所を公共交通機関でつなぎたい考えだ。
「トレン・マヤによってユカタン州の(観光業の)条件は改善するだろう」。ユカタン州のマウリシオ・ビラ知事は地元紙の取材に対してこう述べた。トレン・マヤは投資に見合う利用が見込めないと疑問視する声も国内からあがっているが、地元政府としては歓迎する姿勢を示した。
課題は国内需要の回復だ。INEGIによると、国内の観光消費額は21年10~12月に前年同期比で9%増にとどまり、2倍に増えたインバウンド消費に比べて回復のペースが大幅に遅れている。メキシコの観光消費額のうち8割は国内消費が占める。メキシコの観光業が力強さを取り戻すには、国内需要の回復が欠かせない。
(メキシコシティ=清水孝輔)』
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インドネシア内閣改造、貿易相を交代 食用油高騰で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM158ST0V10C22A6000000/『インドネシアのジョコ大統領は15日、内閣改造を実施し、閣僚2人を交代した。ルトフィ貿易相の代わりに与党の国民信託党のズルキフリ党首を充てた。同国では食用油が高騰し、世論が政権に厳しい目を向けており、ルトフィ氏の退任は事実上の更迭人事とみられる。
新しい農地・都市計画相には直近まで国軍制服組トップである国軍司令官を務めたハディ氏を起用した。内閣改造はジョコ氏が2019年10月に政権の2期目を発足させてから2度目となる。財務相や外相、国防相ら主要な閣僚は続投させ、規模は小幅にとどめた。
食用油をはじめとした物価の上昇は、国民生活を直撃し、ジョコ氏の政権運営にも影を落としている。民間調査機関、インディカトル・ポリティック・インドネシアによると、大統領の仕事への満足度は、1月初め時点で75.3%だったが、5月下旬には58.1%まで下落した。
過去に駐日大使などを歴任したルトフィ氏は貿易相として食用油の原料となるパーム油の輸出管理などにあたってきた。ジョコ氏は貿易相の交代で世論の不満を抑えつつ、食用油価格の安定化を急ぐ。』
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日豪、共同訓練の拡充など確認 防衛相会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA152MF0V10C22A6000000/『岸信夫防衛相は15日、防衛省で来日中のオーストラリアのマールス副首相兼国防相と会談した。12日もシンガポールで会談しており、軍事力を増強する中国への対処を念頭に緊密に連携する姿勢を打ち出した。共同訓練の拡充などで一致した。
岸氏は日米豪3カ国の防衛相会談や会食を含め、マールス氏と直近の5日間のうち4日間で顔を合わせた。5月に発足した豪新政権と地域情勢の認識などをすりあわせ、日豪の結束を強める狙いがあった。
岸氏は終了後の共同記者発表で「実戦的な防衛協力や相互運用性の向上のために各領域で日豪の訓練や活動をさらに高度化させると確認した」と述べた。
マールス氏はインド太平洋地域に関して「第2次世界大戦後に最も戦略的に複雑な環境に直面している」と指摘した。日豪両政府が1月に結んだ円滑化協定について「強力に支持する」と明言した。自衛隊と豪軍が互いの国を訪問しやすくする協定だ。』
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機微技術とは 軍事転用リスク高く
きょうのことば
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC14AH90U2A610C2000000/
『▼機微技術 軍事に活用される可能性が高い技術。兵器の製造や研究開発に直接結びつくものをはじめ、人工知能(AI)などの最先端技術も含まれる。例えばオーストラリア政府が2021年11月に公表した「機微技術リスト」では、この他にも量子技術や遺伝子工学、次世代の通信関連技術などが掲載されている。
日本では安全保障上のリスクがある国への技術流出を防ぐため、「リスト規制」と「キャッチオール規制」を設けている。前者は兵器に転用できる品目を列挙し、大学や企業が関連技術を外国人らに提供する場合に事前の許可取得を求めている。後者はリスト規制に該当しなくても、大量破壊兵器の開発などに用いられる懸念がある場合に、同様の許可取得を求める制度だ。
西側諸国は軍備増強を進める中国を念頭に、機微技術の輸出管理強化に動いている。日本も22年度から、大学が外国人留学生へ重要技術を提供する際の審査対象を広げた。先端分野には軍事にも民生品にも利用できる軍民両用(デュアルユース)の技術も多く、これらに取り組む研究者らが標的になるのを防ぐ必要もある。
【関連記事】
・中国軍関与の先端研究、日米欧と473件 兵器転用に懸念 ・中国、軍事転用可能品の輸出規制強化 恣意的運用恐れも ・日米欧、機械の対ロシア出荷停止 クボタやキャタピラー 』
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アフリカ開発、多国間主義で アフナ・エザコンワ氏
国連開発計画(UNDP)総裁補兼アフリカ地域局長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0768R0X00C22A6000000/
『8月に開催される第8回アフリカ開発会議(TICAD8)は多国間主義の重要性を改めて示し、国際社会の連帯を重ねて表明する貴重な機会となるだろう。TICADは日本とアフリカ各国だけではなく、国連や国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アフリカ連合(AU)委員会が共同で開催するユニークな枠組みだ。ウクライナの戦闘が直ちにガンビアの日常生活に影響を及ぼす時代であるがゆえに、多国間主義でアフリカ開発を推進しなければならない。
Ahunna Eziakonwa ナイジェリア出身。国連ではエチオピアやウガンダなどの常駐調整官を歴任。2018年から現職。TICADが初めて開催された1990年代のアフリカは(国際社会にとって)援助の対象でしかなかったが、もはやチャリティーの場所ではなく、真剣にビジネスを展開する場所に変わりつつある。かつての日本や韓国もそうだったが、経済発展のある時期には国際支援が欠かせないし、そうした援助が永久に続くというわけでもない。アフリカはビジネスパートナーとしてみなされるべきで、TICADでそれを国際社会に訴えてほしい。アフリカを植民地にした歴史がない日本だからこそ果たせる役割だと思う。
アフリカ経済は海外に大きく依存している。新型コロナウイルスの感染拡大による影響をみて私自身も驚いた。世界中に資源や原材料を供給しながら、その一方で医薬品やワクチンは輸入に頼り切っており、自分たちが食べる食料さえ満足に生産できていない。
ロシアによるウクライナ侵攻でアフリカ経済の脆弱性はさらに増している。実に15カ国以上が小麦の輸入の半分以上をロシアとウクライナに依存し、全54カ国の半数近くが小麦の3分の1以上を輸入しているためだ。供給制約と急激な物価上昇で、このままだとアフリカは再び飢餓と貧困に直面するだろう。
近年のアフリカ各地での干ばつや洪水も農業に深刻な打撃を与えている。アフリカの温暖化ガスの排出量は世界全体の4%未満だが、気候変動による悪影響は不釣り合いなほどに大きい。もともと農業の近代化が遅れ、生産性も極めて低い。日本の優れた技術を導入できれば、農業生産の可能性は大幅に高まると思う。
いま最も注目してほしいのはアフリカの若者たちと彼らのデジタルビジネスだ。アフリカは人口の約60%が25歳以下で、デジタル技術の活用に優れている。社会のニーズを把握し、デジタル技術を使って課題を解決し、そこに自分たちの可能性を見いだそうとしているのが特徴だ。アフリカの(貧困や感染症、気候変動などの)社会課題は世界が抱える問題でもある。イノベーションの発信基地になるだろう。
若い起業家たちには才能はあるが(スタートアップ支援の)エコシステムが必要だし、創業初期段階のリスクマネーも要る。UNDPはトニー・エルメル財団と提携して、起業家に最大5000ドル(約67万5000円)の資金を拠出するほか、ビジネストレーニングや市場開拓のためのネットワーキングの機会を提供するプログラムを運営している。
投資資金ばかりではなく、テクノロジーや技術力も必要になる。もし日本企業がアフリカのスタートアップとの連携を考えてくれたら、そこで奇跡が起きるだろう。アフリカの起業家は単にお金を稼ぎたいというのではなく、社会に対して新たな価値を提供しようとしている。起業家によるビジネスを創出し、自信を持って(日本企業などに)事業連携してもらうためにUNDPは役に立ちたい。
TICADは民間企業や市民社会など非政府アクター(主体)の価値観を認めている。90年代の国際会議から進化しなければならない。政府と企業が同じ部屋に入って、互いに連携しながら、新たな会話を始める必要がある。(談)
経済自立に支援を
13億人超の人口を抱えるアフリカは「最後の成長フロンティア」といわれる。その人口は2050年には25億人近くに増え、世界人口の25%を占める。しかも中央年齢は20歳未満と、日本の48歳に比べて圧倒的に若い。消費意欲が高い巨大市場としてのポテンシャルに注目が集まっている。
光が強ければ影もまた濃い。経済発展を伴わない人口の増加は新たな貧困や飢餓を生む。今でさえ若者の失業率は国によっては40%を超える。ロシアによるウクライナ侵攻で両国産の安価な小麦の輸入に頼るアフリカでは政情不安の懸念さえある。このままなら国際社会に求められる援助は将来的に増え続けるだろう。
アフリカ開発でしのぎを削ってきた日本と中国。インフラ開発と引き換えにアフリカに巨額の債務を抱えさせ、影響力を強める中国のやり方に持続性はあるまい。ならば日本にはアフリカに経済的な自立を促すための支援が求められる。日本企業によるスタートアップ投資をサポートするなど、TICADのあり方を再考する時期ではないか。(編集委員 下田敏)』
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北欧NATO加盟、トルコなお強硬 月内合意に不透明感
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR148ZE0U2A610C2000000/『【イスタンブール=木寺もも子】北大西洋条約機構(NATO)は15~16日、ブリュッセルで国防相理事会を開く。新たに加盟申請したスウェーデン、フィンランドも参加するが、両国によるクルド系組織への支援などを理由に拒否権をちらつかせるトルコの姿勢はなお強硬だ。当初のめどとされた月末のNATO首脳会議までに合意できるかは見通せない。
「首脳会議を期限としていたわけではない」。ストルテンベルグ事務総長は12日、訪問先のフィンランドで、今月29~30日に開かれるNATO首脳会議までに北欧2国の加盟で合意できない可能性を示唆した。
集団的自衛権を明記するNATOへの新規加盟には、既存の全加盟国の賛成が必要だ。加盟はすんなり認められるとみられたが、2国がクルド系の「テロ組織」を支援しているとしてトルコが異を唱えた。
少数民族クルド人の独立を目指す非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)の武装闘争では計4万人が死亡したとされ、トルコのアレルギーは強い。一方、スウェーデンを含む欧州や米国はトルコがPKKと同一視する人民防衛隊(YPG)などをシリアでの対テロ作戦などで支援してきた。
このため、トルコは北欧2国の加盟の条件としてクルド系活動家の引き渡し、政治活動の禁止、トルコが2019年に越境してシリアのYPGを攻撃したことで科した武器輸出制限の解除などを要求している。
スウェーデンのアンデション首相は13日、トルコの懸念を「きわめて真剣に」受け止めているとして、7月の法改正でテロ対策を強化するなどと表明した。同国を訪れたストルテンベルグ氏も「スウェーデンはトルコの懸念に対応し、重要な措置を講じている」と強調した。
ただ、スウェーデンの低姿勢にもトルコはなお納得していない。エルドアン大統領は15日、「明瞭、具体的、決定的な対テロ措置を取るまで我々の姿勢は変わらない」と述べ、強硬な姿勢を崩さなかった。
70%を超える高インフレで国民の不満に直面するエルドアン氏の支持率は5月、前月から2ポイント増の44%、不支持率は6ポイント減の47%となった。調査を行ったメトロポール社はNATO加盟問題での強硬外交が寄与したと分析する。
2国の中でもスウェーデンには10万人のクルド系住民が暮らし、議会では与党勢力が多数を維持するためのキャスチングボートをクルド系議員が握る。人権国家として、司法制度の運用が不透明なトルコに活動家を引き渡すのも困難とみられる。
加盟交渉が思うように進まぬ中、ロシアと国境を接するフィンランドは独自の防衛強化を急ぐ。政府は9日、法改正を行って国境沿いにフェンスを設置するほか、国境沿いの道路整備を進めるなどの案を公表した。
専門家の間では、最終的にはトルコも2国の加盟を認めるとの見方が多い。調査会社ユーラシア・グループのエムレ・ペケル欧州部長は「エルドアン氏は(見返りとして)国内向けに誇示できる成果を要求するだろう」とみる。』
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[FT]米施設火災とロシア供給削減、二重苦の欧州ガス調達
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB160T10W2A610C2000000/『欧州の天然ガスの調達が14日にダブルパンチに見舞われた。米テキサス州の液化天然ガス(LNG)プラント「フリーポート」が少なくとも3カ月間の稼働停止を発表したのに加え、ロシアがドイツ向けの天然ガスの供給量を減らすと表明したためだ。
煙をあげる米テキサスの大規模LNGプラント「フリーポート」=ロイター
フリーポートを運営する米フリーポートLNG社が取り扱うLNGは、米国のLNG輸出量の約2割、欧州の輸入量の約1割を占める。同社は14日、8日の爆発および火災で破損した設備の修理が2022年末までかかる可能性があり、90日後に部分的な稼働再開を予定していると発表した。先週の段階では7月上旬の稼働再開を示唆していた。
同じく14日、ロシア国営ガスプロムはバルト海底経由でドイツに天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム」の供給量を約4割減らすと発表した。ガスプロムはドイツ重電大手シーメンス・エナジーによる設備の重要部品の修理が遅れているためだと説明しているが、シーメンスによればカナダ政府の対ロシア制裁によって部品の供給ができなくなったという。
あらわになった欧州の脆弱性
ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月以降、欧州はロシア産天然ガスへの依存を減らそうとしている。そのさなかに欧州の天然ガス輸入を襲った二重の衝撃は、供給の混乱に対する欧州の脆弱性を浮き彫りにした。
欧州で指標となる天然ガス相場は15%以上上昇して1メガワット時当たり99ユーロ(約1万4000円)、英国の天然ガス相場(7月渡し)は25%急騰して1サーム(約29.3キロワット時に相当)当たり1.97ポンド(約320円)をつけた。今後数カ月は供給が厳しくなるとみられたためだ。
一方、米国の天然ガス先物は火災の報道を受けて15%以上下落し、米国のガス価格指標「ヘンリーハブ」先物の期近物は100万BTU(英国熱量単位)当たり約7.20ドル(約970円)となった。主要な供給元であるフリーポートからの供給停止が想定より長引く点が考慮された。
ロシアが侵攻前から天然ガスの供給を絞り始め、供給の混乱への懸念が高まったことで、欧州の天然ガス価格は21年に急騰し、多くの国でインフレや生活費上昇の危機を引き起こした。
欧州連合(EU)はロシア依存の軽減を図る一方で、侵攻前は調達量の4割を占めていたロシア産天然ガスを直接の制裁対象としないようにしてきた。
カナダの対ロシア制裁がネックにところが、ドイツのシーメンス・エナジーは14日、ノルドストリームでガスを圧縮するのに使われるタービンをカナダのモントリオールにある工場で修理したものの、カナダ政府の制裁措置によりロシアのガスプロムに供給することができなくなったと表明した。カナダ政府は8日、ロシアに対する制裁措置を拡大し、新たにロシアの石油、天然ガス、化学の各産業に対する技術的サービスの提供を禁止していた。
シーメンス・エナジーは「カナダが科した制裁措置により、シーメンス・エナジーは現在、整備したガスタービンを顧客に届けることができない」と発表した。「当社はカナダとドイツの両政府に情報を提供し、実現可能な解決策に取り組んでいる」
急騰した欧州の天然ガス価格は、タンカー輸送によるLNGの追加調達でここ数カ月は一旦安定を取り戻していた。そのため天然ガスの備蓄量も冬に備えて再び増えていた。
フリーポートは当初、火災が発生したプラントの稼働を3週間停止すると発表していた。フリーポートの天然ガスの生産能力は年間204億立方メートルで、米国全体の液化能力である年1180億立方メートルの約17%、米国全体の天然ガス生産能力の2%を占める。
米国からの追加供給で合意したが米国のバイデン大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長が3月に発表した合意の下で、米国は22年に150億立方メートルの天然ガスをEUに追加供給すると約束した。EUは30年までに米国産LNGの年間調達量を500億立方メートル増やすことを目指すと表明した。
天然ガスはタンカーに載せて世界各地に輸送する前に液化する必要がある。
ガスプロムは欧州向けの輸出の大部分を継続しているが、ポーランドとブルガリアが新たなルーブル決済の仕組みの利用を拒否したため、両国の顧客への供給を停止した。他の欧州諸国と同じくドイツの公共サービスは、供給停止による経済の影響を恐れ、ルーブル決済を受け入れている。
ドイツ政府は14日、4月に傘下に収めたガスプロムの元ドイツ子会社、ガスプロム・ゲルマニアに対し、最大100億ユーロの救済を行うことも明らかにした。同政府は「(ドイツの)エネルギー安全保障の危機を防ぐ」ために、貯蔵施設を運営し、ガス供給会社、ウィンガスの子会社を通じてガスを供給する部門に資金を提供する必要があるとしている。
By David Sheppard, Derek Brower and Joe Miller
(2022年6月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』
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ドイツ向けガス供給を追加削減、6割減に ロシア国営
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1609F0W2A610C2000000/『【ハノーバー=林英樹】ロシア国営ガスプロムは15日、ドイツに天然ガスを送る主要パイプライン「ノルドストリーム」の供給量を従来計画と比べ60%減らすと発表した。40%減を公表した14日からさらに減少幅を拡大させた。ドイツのハベック経済・気候相は「不安をあおり、価格をつり上げるための策略だ」と批判した。
ガスプロムは16日からガス供給量を日量最大6700万立方メートルに減らすと新たに明らかにした。14日に日量最大1億6700万立方メートルから1億立方メートルへの減少を発表したばかりだった。
ガスプロム側はドイツ重電大手シーメンス・エナジーによる修繕作業の遅れが原因だと説明している。これに対しドイツ政府は、定期修繕は今秋の予定で今行う必要がない点に加え、仮に一部設備の修繕が遅れたとしても40%以上の供給減は起きないと指摘。ハベック氏は「ロシア側の主張は単なる口実にすぎない」と強調した。
ロイター通信によると15日には、ドイツのエネルギー大手ユニパーへのガス供給量が契約量と比べ25%減った。ドイツだけではなく、イタリアのエネルギー大手ENIも15日からロシア産ガスが同15%減ったことを明らかにした。
ノルドストリームはドイツ国内のガス総需要量の7割超を供給する主要パイプラインだ。ガスプロムはベラルーシ、ポーランド経由でドイツに送るパイプライン「ヤマル・ヨーロッパ」向けのガス供給をすでに止めている。残るウクライナを通るパイプラインも供給量を減らしており、ドイツへのガス供給不足は現実味を帯びつつある。
2日連続の供給減公表によってガスの卸売価格は上昇した。欧州の天然ガス指標価格であるオランダTTFは16日未明、7月渡しの取引が一時1メガワット時あたり121ユーロを超えた。ガスプロムの発表前と比べ1.5倍に跳ね上がっている。
【関連記事】
・[FT]米施設火災とロシア供給削減、二重苦の欧州ガス調達 ・ロシアがドイツ向けガス供給制限 軍事協力へのけん制か 』
















