欧州EV販売が初の前年割れ 24年1%減、補助金停止響く
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『2025年1月21日 15:11 [会員限定記事]
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小山堅
【フランクフルト=林英樹】欧州自動車工業会(ACEA)が21日発表した2024年の域内主要31カ国の電気自動車(EV)販売は23年と比べ1%減の199万3102台だった。通年で前年割れとなるのは初めて。ドイツなど一部の国での補助金を打ち切ったことなどが影響した。欧州は他地域よりも早くEV市場が立ち上がったが、補助金の支えがなければ需要が拡大しきれない実情を浮き彫りにした。
欧州最大のEV市場だっ…
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※ 『【フランクフルト=林英樹】欧州自動車工業会(ACEA)が21日発表した2024年の域内主要31カ国の電気自動車(EV)販売は23年と比べ1%減の199万3102台だった。通年で前年割れとなるのは初めて。ドイツなど一部の国での補助金を打ち切ったことなどが影響した。欧州は他地域よりも早くEV市場が立ち上がったが、補助金の支えがなければ需要が拡大しきれない実情を浮き彫りにした。
欧州最大のEV市場だったドイツは23年12月、購入補助を全面停止した結果、24年のEV販売は38万609台で27%減った。23年12月にアジアで生産されたEVを補助金対象から外したフランスも3%減の29万614台だった。
対照的に24年からメーカーに一定のゼロエミッション車(ZEV)販売を義務づける規制を始めた英国は21%増の38万1970台で、EV販売台数で初めてドイツを抜いた。24年も購入補助制度を維持したベルギーは37%増の12万7703台、オランダは16%増、スペインも11%増と好調を維持した。
新車販売全体では1296万3614台と1%増えた。EVの失速と対照的に販売台数を伸ばしたのがハイブリッド車(HV)で406万8308台と20%増えた。プラグインハイブリッド車(PHV)は4%減の95万2058台、ガソリン車は7%減の427万3672台、ディーゼル車は12%減の135万294台だった。
メーカー別の首位は独フォルクスワーゲン(VW)で、新車販売台数は3%増の340万台。シェアを0.4ポイント増の26.3%に伸ばした。2位の欧州ステランティスは7%減の196万台で、シェアは15.2%だった。続く仏ルノー(販売台数3%増)のシェアは9.9%、韓国・現代自動車(同4%減)は8.2%だった。
日本勢ではHVが好調なトヨタ自動車(販売台数13%増)がシェア7.8%で、独BMWのシェア7.1%を抜き、5位となった。日産自動車(同5%増)とスズキ(同8%増)が販売台数を伸ばした一方、マツダは6%減った。
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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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ひとこと解説
急速な普及拡大期から、拡大の減速・低迷、そして前年割れとなった欧州のEV販売をどう見るか。昨年の販売不振を一種の「踊り場」として捉え、踊り場を過ぎると再び増勢に向かうのかどうか、が大いに注目されるところとなる。補助金が削減・停止されたことが、販売不振の直接の原因であるとするならば、いわゆる「アーリーアダプター」の需要が一巡すると、一般の消費者にとってはまだまだ経済性・利便性などにおいて最初の選択肢になりにくい状況が残っている、ということを示唆するものとも考えられる。課題を克服して踊り場を乗り越えていくのかどうか、EVの発展の今後に着目していく必要があろう。
2025年1月21日 17:14 』