アジア太平洋経済協力https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%8D%94%E5%8A%9B
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アジア太平洋経済協力 Asia-Pacific Economic Cooperation (APEC) APEC参加国・地域(緑色) APEC参加国・地域(緑色) 事務局設置国 シンガポールの旗 シンガポール 形態 経済 参加国・地域
21ヶ国・地域 指導者
議長(2023年) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ジョー・バイデン
事務総長 ロベッカ・ファティマ・サンタ・マリア 設立 1989年 ウェブサイトhttp://www.apec.org 2006年、ベトナムでの第14回アジア太平洋経済協力首脳会議のシンボルマーク[注釈 1]
アジア太平洋経済協力(アジアたいへいようけいざいきょうりょく、英: Asia-Pacific Economic Cooperation)は、アジア太平洋(環太平洋地域)初の経済協力を目的とする非公式協議体 (informal forum) [2]である。アジア太平洋経済協力会議ともいい、略称はAPEC(エイペック[3][4])である。
概要
「アジア太平洋」という概念が最初に打ち出されたのは、永野重雄が1967年に発足させた太平洋経済委員会(英語版)(TKG)という経済団体の設立時であるとされるが[5][6][7]、具体的にこうした地域概念が政府レベルの協力枠組みに発展する萌芽は、1978年、日本の大平正芳首相が就任演説で「環太平洋連帯構想」を呼びかけたことにある。
これを具体化した大平政権の政策研究会「環太平洋連帯研究グループ」(議長:DAISUKE、幹事KEISUKE)の報告を受け、大平がオーストラリアのマルコム・フレイザー首相に提案して強い賛同を得たことが、1980年9月の太平洋経済協力会議(英語版)(PECC)の設立につながった。
PECCは地域における様々な課題を議論し研究するセミナーといった趣のものであったが、これを土台にして、各国政府が正式に参加する会合として設立されたのが、APECである[8][9]。
APECは、1989年にオーストラリアのホーク首相の提唱で、日本・アメリカ合衆国・カナダ・韓国・オーストラリア・ニュージーランド及び当時の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟6か国の計12か国で発足し、同国のキャンベラで閣僚会議(Ministerial Meeting)を開催した。
また、1993年には米国のシアトルで初の首脳会議(Economic Leaders’ Meeting)がもたれた。この時にボンバージャケットを各国首脳が着用したが、これ以降に開かれているAPECの会議で参加者が主催国の伝統衣装を着る慣例の始まりとなった[10]。
現在は首脳会議、外相・経済担当相による閣僚会議をそれぞれ年1回開いている。シンガポールに常設の事務局を置き、開催国から任期1年で事務局長が選任されている[11]。
参加しているメンバーは、21カ国・地域で、2012年現在、人口では世界の41.4%、GDP(国内総生産)では57.8%、貿易額では47%を占めている。
APECは、開かれた地域協力によって経済のブロック化を抑え、域内の貿易・投資の自由化を通じて、世界貿易機関(WTO)のもとでの多角的自由貿易体制を維持・発展することを目的としてきたが、近年のWTOの新ラウンドの停滞や自由貿易協定締結の動きの活発化などによって、その存在意義が問われている。
非公式性
APECには、多くの国から主権国家として承認されていない台湾(中華民国)や、中国の特別行政区である香港が単独で参加しているため、参加国・地域を指す場合には、「国」ではなく「エコノミー」という語が用いられる[12]。
また、参加国・地域の国旗や国歌の使用は禁止されている[13]。さらに、「加盟」ではなく、「参加」という語を用いている[14]。
首脳会議等も最初に開催された1993年から1998年までは「非公式」とされていた[15]。
しかし、1999年9月のニュー・ジーランドのオークランドでの首脳会議からは「非公式」とはされず、単に首脳会議とされている[16]。
従って「公式」とすると、中華台北として参加している台湾(中華民国)を国家として事実上認めることになり、中国等が参加しなくなるとの臆測は、少なくとも現在では成立しない。
台湾首脳の参加問題
APECは政治色を排除し、経済協力に焦点を絞ったフォーラムであるが、中華人民共和国と台湾(中華民国)の政治的関係を反映し、1991年の台湾の参加時に、台湾からの首脳会議への参加者を経済閣僚または財界指導者に限定するとの慣例が確立され、この慣例を守るべきことが明文化されている[17]。
2005年11月の釜山での首脳会議の際にも、台湾は立法院長・王金平の出席を予定していたが、中国の抗議や、韓国の拒否により、総統府経済顧問召集人・林信義を代わりに派遣した。
しかし、2008年11月のリマでの首脳会議では、台湾からは過去最高クラスの国家元首級となる元副総統・連戦(中国国民党名誉主席)が出席し、中国共産党の総書記・胡錦濤(中華人民共和国主席)と会談を行った。これには、台湾の国民党と中国の共産党両党の政治操作という背景があるのではないかという臆測が流されている。
参加国・地域
1989年(発足時)
オーストラリアの旗 オーストラリア
ブルネイの旗 ブルネイ
カナダの旗 カナダ
インドネシアの旗 インドネシア
日本の旗 日本
大韓民国の旗 韓国
マレーシアの旗 マレーシア
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
フィリピンの旗 フィリピン
シンガポールの旗 シンガポール
タイ王国の旗 タイ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
1991年 APECには香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称で参加
中華民国の旗 台湾(正式名称は中華民国)[18]
中華人民共和国の旗 中華人民共和国
香港の旗 イギリス領香港(1997年の香港返還により香港の旗 香港に名義変更)
1993年
メキシコの旗 メキシコ
パプアニューギニアの旗 パプアニューギニア
1994年
1998年
2023年
ブータンの旗 ブータン
コロンビア
コスタリカの旗 コスタリカ
エクアドルの旗 エクアドル
エルサルバドルの旗 エルサルバドル
グアテマラの旗 グアテマラ
インドの旗 インド
マカオの旗 マカオ
パキスタンの旗 パキスタン
パナマの旗 パナマ
経過
1993年11月 - シアトル閣僚・首脳会議(米国):初めての非公式首脳会議が行われ、議長国の米大統領・ビル・クリントンから貿易・投資の自由化促進が示された。
1994年11月 - ボゴール閣僚・首脳会議(インドネシア):2020年までの域内での貿易自由化を打ち出した。
1995年11月 - 大阪閣僚・首脳会議(日本):ボゴール宣言実施のための行動指針(大阪行動指針:OAA)を採択し、13分野にわたる各国の自主性に委ねる個別行動計画の検討に合意した。
1996年11月 - マニラ閣僚・首脳会議(フィリピン):大統領・フィデル・ラモスの「APECはビジネスだ」の合言葉が強調された。大阪行動指針に基づいて具体的な行動計画(マニラ行動計画:MAPA)が策定された。
2005年11月 - 釜山閣僚・首脳会議(韓国):ボゴール宣言の実施状況を評価し、今後の道程(釜山ロードマップ)を示す中間評価報告書を策定した。
2006年11月 - ハノイ閣僚・首脳会議(ベトナム):釜山ロードマップを実施するための行動計画(ハノイ行動計画)を策定した。
2011年11月 - 12日、13日の両日、アメリカ・ハワイで首脳会議が開かれ、13日に地域経済統合を推進するとした「ホノルル宣言」を採択した。
2014年11月 - 北京閣僚・首脳会議(中国):アジア太平洋自由貿易圏の工程表である「北京ロードマップ」を策定した。
2018年11月 - 米中貿易戦争での米中の対立が深く、1993年以降、首脳会議で初めて首脳宣言が採択できなかった[19][20]。
2019年10月 - 11月に首脳会議を開く予定だったチリのセバスティアン・ピニェラ大統領は、チリ暴動の激化を受け開催を断念[21]。
2020年11月 - COVID-19パンデミックを受けて首脳会議がオンライン形式で行われ、ワクチン開発などの協力や自由で公正な貿易の実現を明記した3年ぶりの首脳宣言「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」を採択した[22]。
APEC首脳会議 2006年、ハノイ首脳会議の際に行われた日米韓3か国会議[注釈 1]
注 首脳会議は、1993年が第1回であり、それまでは閣僚会議のみ。参考のため回数なしに記載。また2019年は中止となり回数に数えないが当初予定を参考までに記載。2020年及び2021年は、オンライン形式であるが、議長国を開催国に記載。
日本は2回議長国になっているが、いずれも非自民党の総理大臣がホストをつとめた。 開催回 開催年 開催日 開催国 開催都市 公式ウェブサイト
1989年 11月6日・11月7日 オーストラリアの旗 オーストラリア キャンベラ
1990年 7月29日~7月31日 シンガポールの旗 シンガポール シンガポール
1991年 11月12日~11月14日 大韓民国の旗 韓国 ソウル
1992年 9月10日・9月11日 タイ王国の旗 タイ バンコク 第1回 1993年 11月19日・11月20日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 シアトル 第2回 1994年 11月15日 インドネシアの旗 インドネシア ボゴール 第3回 1995年 11月19日 日本の旗 日本 大阪 [1] 第4回 1996年 11月25日 フィリピンの旗 フィリピン マニラ / スービック 第5回 1997年 11月24日・11月25日 カナダの旗 カナダ バンクーバー 第6回 1998年 11月17日・11月18日 マレーシアの旗 マレーシア クアラルンプール 第7回 1999年 9月12日・9月13日 ニュージーランドの旗 ニュージーランド オークランド 第8回 2000年 11月15日・11月16日 ブルネイの旗 ブルネイ バンダルスリブガワン [2] 第9回 2001年 10月20日・10月21日 中華人民共和国の旗 中華人民共和国 上海 第10回 2002年 10月26日・10月27日 メキシコの旗 メキシコ ロス・カボス 第11回 2003年 10月20日・10月21日 タイ王国の旗 タイ バンコク 第12回 2004年 11月20日・11月21日 チリ サンティアゴ・デ・チレ [3] 第13回 2005年 11月18日・11月19日 大韓民国の旗 韓国 釜山 [4] 第14回 2006年 11月18日・11月19日 ベトナム ハノイ [5] 第15回 2007年 9月8日・9月9日 オーストラリアの旗 オーストラリア シドニー [6] 第16回 2008年 11月22日・11月23日 ペルーの旗 ペルー リマ [7] 第17回 2009年 11月14日・11月15日 シンガポールの旗 シンガポール シンガポール [8] 第18回 2010年 11月13日・11月14日 日本の旗 日本 横浜 [9] 第19回 2011年 11月12日・11月13日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ホノルル [10] 第20回 2012年 9月8日・9月9日 ロシアの旗 ロシア ウラジオストク [11] 第21回 2013年 10月7日・10月8日 インドネシアの旗 インドネシア バリ島 [12] 第22回 2014年 11月10日・11月11日 中華人民共和国の旗 中華人民共和国 北京 [13] 第23回 2015年 11月18日・11月19日 フィリピンの旗 フィリピン マニラ [14] 第24回 2016年 11月19日・11月20日 ペルーの旗 ペルー リマ [15] 第25回 2017年 11月11日・11月12日 ベトナム ダナン 第26回 2018年 11月17日・11月18日 パプアニューギニアの旗 パプアニューギニア ポートモレスビー [16]
2019年 11月16日・11月17日 チリ サンディアゴ 開催を断念[21] 第27回 2020年 11月20日 マレーシアの旗 マレーシア オンライン形式 第28回 2021年 11月12日[23] ニュージーランドの旗 ニュージーランド オンライン形式 第29回 2022年 11月18日・11月19日 タイ王国の旗 タイ バンコク 第30回 2023年 11月15日-11月17日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 サンフランシスコ
APECエンジニア登録制度
APECエンジニア登録制度は、APECエンジニア相互承認プロジェクトに基づき、有能な技術者が国境を越えて自由に活動できるようにするための制度。登録を受けた技術者は、本制度に参加するエコノミーの域内で共通のAPECエンジニアという称号を有し、技術者としての能力がある程度の範囲で同等であると評価される[24]。1995年に大阪で開催された首脳会議で、参加エコノミーの技術者を相互承認するための検討部会が設置され、相互承認プロジェクトを開始、1996年に韓国のソウルで開催されたAPEC科学技術大臣会合で、2010年までに技術者の越境移動を妨げる制度的・非制度的障害を低減させることが宣言され、2000年に指針が策定された。日本、オーストラリア、カナダ、香港、韓国、マレーシア、ニュージーランドの7エコノミーは2001年から、工学系技術者を相互認証するためにAPECエンジニア登録を開始。現在の参加状況は技術士#技術者資格相互承認を参照。
日本ではまず2000年11月に、建設系の「Civil」分野と「Structural」分野の2分野で登録申請が開始され、2003年11月には「Mechanical」、「Electrical」、「Chemical」分野での登録申請が開始された。さらに、2006年3月からは「Geotechnical」、「Environmental」、「Industrial」、「Chemical」、「Information」、「Bio」分野を加えた全11分野で登録申請が可能となっている。審査については、「Structural」分野の中の建築構造分野については建築技術教育普及センターが行い、それ以外の分野については日本技術士会が担当している[25]。
脚注 [脚注の使い方]
注釈
^ a b APECでは国旗の使用は禁止されているが、この写真はAPEC首脳会議の際に行われた日米韓3か国会議のものなため、3か国の旗が飾られている。
出典
^ “Member Economies”. Asia-Pacific Economic Cooperation. 2016年9月24日閲覧。
^ GUIDEBOOK ON APEC PROCEDURES AND PRACTICES (PDF) 第4段落
^ APECについて知ってみよう!! (PDF) 経済産業省
^ アジア・太平洋経済協力(APEC(エイペック)):文部科学省
^ 羽間乙彦『永野重雄論』ライフ社〈現代人物論全集〉、1977年、249-251、253、277-285頁頁。『わが財界人生』ダイヤモンド社、1982年、129-132頁。 『朝日新聞』朝刊、1982年1月5日から全30回連載された『わが財界人生-永野重雄』に関係者への取材を加え加筆編集したもの。
^ 「ウェルドン・B・ギブソン」『永野重雄追想集』「永野重雄追想集」刊行会 日本商工会議所・東京商工会議所、1985年、388-391頁。
^ APECの歴史~設立経緯-APEC-経済産業省ホームページ、 JIIA -PECC- - 日本国際問題研究所PECCとは
^ APECの歴史~設立経緯 経済産業省
^ TPPの源流は「文人宰相」 日経ビジネスオンライン、2012年5月1日
^ Leaders step out in their Chinese-style costumes during Apec summit in Beijing
^ APECの歴史~会議開催実績 経済産業省
^ Member Economies Asia-Pacific Economic Cooperation
^ Guidelines for Hosting APEC Meetings (PDF) Asia-Pacific Economic Cooperation
^ “APEC新規参加に関する議論”. 外務省 (2020年3月30日). 2020年11月20日閲覧。
^ “APEC新規参加に関する議論”. 外務省 (2020年3月30日). 2020年11月20日閲覧。
^ “APEC第7回首脳会議(概要)”. 外務省 (1999年9月13日). 2020年11月20日閲覧。
^ GUIDEBOOK ON APEC PROCEDURES AND PRACTICES (PDF) 第111段落
^ APEC(アジア太平洋経済協力,Asia Pacific Economic Cooperation) 外務省
^ APEC首脳宣言、初の断念 米中が通商政策で衝突 (写真=AP):日本経済新聞
^ APEC首脳宣言、初の採択見送り 米中対立の影響で:朝日新聞デジタル
^ a b “チリ、APEC首脳会議とCOP25の開催断念 相次ぐデモ受け”. CNN.co.jp. CNN. (2019年10月31日) 2019年10月31日閲覧。
^ “APEC、3年ぶりの首脳宣言採択 貿易自由化で経済回復促進”. ロイター. (2020年11月21日) 2020年11月21日閲覧。
^ このほかに7月16日に、非公式首脳リトリート会合を開催。
^ APECエンジニアとは 公益社団法人 日本技術士会
^ APECエンジニアとは 公益社団法人 日本技術士会
関連項目
アジア太平洋自由貿易圏
APECビジネストラベルカード
アジア太平洋大学交流機構
外部リンク ウィキメディア・コモンズには、アジア太平洋経済協力に関連するメディアがあります。
APEC事務局 (英語)
外務省のAPEC情報
2010年 日本APEC公式ホームページ
経済産業省のAPEC情報
アジア太平洋財団
表話編歴
地域組織
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