カテゴリー: インドの戦略
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兵器だけじゃない インドがロシアに依存する原発
編集委員 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD272YF0X20C23A7000000/『6月に国賓待遇で訪米したインドのモディ首相。バイデン大統領との首脳会談は、米製の戦闘機用ジェットエンジンの共同生産、米主導で半世紀ぶりの有人月面着陸を目指す「アルテミス計画」への参画などいくつもの成果を挙げた。具体的な合意事項が並ぶ共同声明に、ひっそりと盛り込まれたのが原子力協力だ。その意味合いは何か。
「両首脳はインド原子力発電公社と米ウエスチングハウスの原発建設交渉を了承した」とする記述に新…
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『「両首脳はインド原子力発電公社と米ウエスチングハウスの原発建設交渉を了承した」とする記述に新味はない。「計画がなくなってはいない、と確認しただけ」と海外電力調査会の鍋島正人上席研究員は指摘する。
そもそも米印の原発建設交渉とは何か。
立ち往生する計画
インドは核拡散防止条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名していない。にもかかわらず米国は2008年、原子力協定を結んでインドを事実上の核保有国として認め、技術や資機材の輸出を管理する国家間組織「原子力供給国グループ」にも未加盟のインドの特別扱いを求めた。
それで可能になったのが原発輸出だ。時は東京電力福島第1原発事故の3年前、「原子力ルネサンス」といわれた世界的ブームの頃だ。インフラ輸出を狙う米国と、電力不足のインドの利害が一致し、出力100万キロワットの大型原発群の建設に合意した。
ところがインドは10年に「原子力損害賠償責任法」を制定してしまう。推定1万6千人以上が死亡した1984年の米ユニオンカーバイドの化学工場のガス漏れ事故を教訓に、賠償責任を重電メーカーにも問う内容だ。原発の場合、賠償は電力会社だけが負うのが世界の常識だが、国会で外資不信の声が強まり、アクセルとブレーキを同時に踏む状況に陥った。以来、計画は13年間も立ち往生したままだ。
孤立を救ったロシア
もともとインドは原子力利用の先発国だ。独立の翌48年に早くも原子力法を制定し、研究開発を始動した。当時は米ゼネラル・エレクトリック(GE)製の小型原発を導入し、69年にアジアで初めて運転を始めた。
当初は平和利用だけだったが、複雑な地政学情勢が影を落とす。62年に中国との国境紛争で大敗を喫し、2年後にはその中国が核実験を成功させた。
対抗上、インドも74年に核実験に踏み切った。制裁を受けて海外から技術や資機材の供給を止められ、以降は独力での技術開発を余儀なくされる。98年にも2度目の核実験を強行し、再び国際的な非難と制裁にさらされながら、ついに核兵器保有を宣言して今日に至る。
国際的な孤立に手を差し伸べたのが、71年に事実上の軍事同盟である平和友好協力条約を結んでいた旧ソ連だった。制裁をかいくぐって88年に100万キロワットの大型原発の建設に合意。ソ連崩壊後はロシアが引き継いで02年に2基を着工し、14年と17年に稼働させた。98年の核実験後も、低濃縮ウランを供給してインドを手助けした。
インドで稼働中の原発は現在23基の計748万キロワット。大半は出力20万キロワット級の国産炉だ。大型炉はロシア製の2基のみで、出力全体の3割近くを担う。建設中の10基・800万キロワットでも、ロシア製の4基が出力の半分を占める状況だ。
総発電量に占める原発の割合は2%台にとどまるが、人口増と経済成長で電力不足が深刻化する一方、政府は温暖化ガスの排出量を70年までに実質ゼロとする国際公約を掲げる。原発の増設抜きでは対応が難しく、ロシアの協力は頼みの綱だ。
くさび打てるか
一国依存による安全保障上のリスクは、インドも先刻承知だろう。だからこそ08年に米国、18年にはフランスとの協力に動いたが、賠償法が足かせとなって計画が具体化しない。国営会社が前面に出るロシアは、賠償リスクを意に介さないようだ。
ウクライナに侵攻したロシアに対し、長年の盟友インドは批判を避けている。先の首脳会談で、米国が「虎の子」といえるジェットエンジンの共同生産に踏み切ったのは、兵器調達の6割を依存するロシアから、時間はかかってもインドを引きはがす意図が垣間見えた。
その目的を果たすには、もうひとつのボトルネックである原子力の対ロ依存にもくさびを打ち込む必要がある。賠償問題にどう折り合いをつけ、協力を前に進めるか。米印関係とアジア地政学の今後を占ううえで見過ごせない点だ。
グローバルサウスが動かす世界は――。高橋徹編集委員がライブ配信イベントを開きます。8月1日(火)18時〜19時。お申し込みはこちらです。
https://www.nikkei.com/live/event/EVT230626009Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。
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Nikkei Views多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。岩間陽子のアバター
岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
コメントメニューひとこと解説 大変重要な指摘ですが、実は世界の濃縮ウラン市場において、ロシアは圧倒的存在感を誇っており、ロシアのロスアトム社は最大の供給者です。
フランスも実は一定程度ロシアから輸入していますから、インドとの間で法的問題が解決したとしても(それもかなり厳しそうですが)、実際の供給図が短期に変わることは難しそうです。
EUもロシア産の濃縮ウランは制裁対象に入れておらず、取引は続いているようです。
今後、石油・ガスだけでなく、ウラン・濃縮ウランもエネルギー安全保障に関して考える必要があるでしょう。インドがそこでどのような行動をとるかは大きな要素ですが、なかなかこちらの思うようには動いてくれなさそうです。
2023年7月31日 12:43 (2023年7月31日 14:02更新) 』
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インド・南ア・ブラジル、日本と貿易2% 20年で半減
数字で読む岸田外交
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2215S0S3A720C2000000/『林芳正外相は27日からインド、南アフリカなどを訪問中だ。1月のブラジルとあわせ、かつてIBSAと呼ばれた新興3カ国に足を運ぶ。岸田文雄首相が重視する新興・途上国「グローバルサウス」の代表国となる。3カ国にとって日本の貿易シェアは20年前の半分ほどの2%にとどまる。
3カ国はいずれも民主主義国で、特にブラジルやインドは全方位外交の姿勢が特徴だ。主要7カ国(G7)、中国・ロシアの両陣営に寄りすぎずに…
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インド、係争地域カシミールに「戦略インフラ」の鉄道橋
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB24AYL0U3A720C2000000/


『インド北部カシミール地方で建設が進む鉄道橋の開通が近づいている。パキスタンや中国との国境近くにある係争地域との往来をしやすくする戦略的なインフラとの位置づけで、農産物の輸送や軍の移動に要する時間は現状の5分の1程度になる見通し。現地のイスラム系住民からは政府の統制が強化されるとの懸念の声も出ている。
インド鉄道省によると、15年かけて建設作業を進めてきた「チェナブ鉄道橋」は12月末から来年1月の…
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『最大の特徴は立地だ。同橋は領有権についてパキスタンと長年にわたって対立しているカシミール地方に位置するだけでなく、国境をめぐって中国と緊張関係にある北部ラダック地方へ接続する交通上の要衝となる。
「軍事力においても、地域の商取引・観光においても(チェナブ鉄道橋は)まさにゲームチェンジャーになる」。元インド軍幹部のD・S・フーダ氏は指摘する。カシミール地方の住民がリンゴやその他商品を輸送するのに役立つと同時に、インド軍が部隊や装備を迅速に移動させる手段にもなるという。
カシミール地方のうち、インド側支配地域の主要都市スリナガルへとつながる主要な高速道路は現在1本しかない。ただこの道路は大雨や土砂崩れの影響を受けることが多く、民間車両や軍車両の通行をしばしば阻んできた。フーダ氏は「高速道路が不安定になりやすい冬場にも活躍するだろう」と鉄道橋の開通に期待を寄せる。
同じく元インド軍幹部のアムリット・パル氏は、鉄道橋の完成により、12〜16時間かかっていたジャムとスリナガルの北部2都市間の移動が「3時間で済むようになる」と説明する。
この地域では交通インフラに対する攻撃の前例があり、この橋は構造の頑丈さにも気を配る。厚さ63ミリメートルの特殊鋼やコンクリート製の柱で爆発に耐えるほか、マグニチュード8の地震にも動じない設計にしてあるという。
6月には橋の上で「国際ヨガの日」の関連イベントが開かれるなど、すでにインド国内の関心は高まっている。一方、現地のイスラム教住民からは、この橋の開通を警戒する声も聞かれる。ヒンズー教が多数派を占めるインドにあって、この橋は中央政府の統制強化につながりかねないという。
実際、インド政府は2019年にカシミール地方の自治権を撤廃している。米シンクタンク、ウィルソンセンターのマイケル・クーゲルマン氏は、インド政府から見ればこの橋の完成は明らかに安全保障の強化につながると指摘する。「カシミールの多くの人々の観点からすれば、憂慮すべき動きともいえる」という。
(寄稿 ニューデリー=クラトゥライン・レーバー)』
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同床異夢の上海協力機構 中印露の協調は不可能
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/30880『2023年7月4日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は「プーチン、習近平、モディ会談では協調への動きなし」とのデイヴィッド・ピアソン同紙中国特派員らの解説記事を掲載し、先の上海協力機構(SCO)オンライン首脳会合では、建前は別として、中印露の三大国の優先事項が異なることがますます明らかになったと指摘している。
(hachiware/sameer chogale/svengine/gettyimages)米国主導の国際秩序改変を試みる三大国首脳は7月4日にオンラインで会談したが、各首脳は自身の目的に集中していた。プーチンは、ワグネルの乱後の権力維持とウクライナ戦争への国際的支持を誇示し、習近平は米国の覇権主義を攻撃し、主催者モディは、インドの台頭を示し、パキスタンを念頭にテロとの闘いで団結を呼び掛けた。
今回、プーチンほどイメージ変更が必要だった指導者はいない。ワグネル反乱後初の国際会合で、プーチンは各国の支持に感謝し、乱に大衆の支持はなくロシア政治層は一致して対応したと主張した。同時に首脳会合をウクライナ侵攻への国際的支持を示すものと位置づけようとした。
中国はロシアを支援しているが、これは対米対抗上必要なパートナーとしてプーチンに長期的に賭けているからだ。しかし、これには犠牲も伴う。中国は欧州の主要経済パートナーとの関係修復に苦労し、台湾への敵対的立場への国際社会の注目も高まっている。
中国の最大の新興ライバルであるインドは2017年にSCOに加盟し、対西側諸国関係と対中露関係をバランスさせる場と位置付けている。インドは、ウクライナ侵攻への非難を拒んで以降、ロシアと主に経済面で良好な関係を維持しているが、中国との関係は、国境紛争と中国が対中封じ込めの場と見るクアッド(日米豪印)へのインドの参加で悪化した。先月のモディ訪米は、インドが中国台頭抑止のために対米接近しているとの中国の疑念を一層高めた。
それにもかかわらず、インドはSCOへの関心を維持している。インドは中央アジア諸国にエネルギー供給やパキスタンに影響を与えるアフガニスタンへの影響力維持で依存している。モディはSCOを称賛したが、同時にパキスタンを念頭に、テロを使う国々を非難すべきと主張した。
* * *
上記は、SCOの現状を分かり易く説明した解説記事である。
SCOは2001年に中露と中央アジア諸国4カ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)の6カ国で発足した地域的会合である。元々は、ソ連崩壊後独立した中央アジア諸国との関係安定化を目指す中国と、同諸国への影響力維持と中国との経済関係強化を目論むロシアの思惑の一致でできた組織だ。
その後2005年には、インド、パキスタン、イランがオブザーバー参加し、2015年にはインド、パキスタンが正式加盟することで当初の目的とは変貌し、「現状維持」(status quo)と距離を置く中東・南/東南/中央アジアの国々の地域的会合に変わっていった。その後もオブザーバーや対話パートナーとしての参加申請は続出し、今や、オブザーバー国は(北朝鮮も含む)6カ国、対話パートナー国は9カ国になった。そんな中、今次会合ではイランの正式加盟が承認され、加盟国は9カ国になった。』
『このようなSCOの位置付けを端的に言えば、「烏合の衆」だろう。北京に事務局もあり組織体制はそれなりにあるのだが、各国の思惑があまりに違い過ぎる。年1回の首脳会合は開催できてもスピーチ合戦に終わり、実質的協力は進まず、意味のあるイニシアティブも打ち出せない。過度に警戒する必要はないと言えよう。
ロシアは制裁への対抗策を見出そうとするが
より面白いのは中、印、露の思惑の違いである。プーチン大統領にとっては、ワグネルの乱後の初めての国際会議への出席であり、自らの健在とウクライナ戦争への支持を誇示する場と位置付けたのは想像に難くない。海外報道によれば、同大統領は、西側の制裁を念頭に、SCO加盟国間の貿易促進のために新たな銀行・通貨メカニズムを創設する必要性を指摘した由であるが、今後具体的動きが出てくる可能性は高いとは思われない。報道される中国の発言には、ほとんど目新しい点はない。
SCO加盟後首脳会談の初の主催国となったインドにとっては、国境問題のみならず今後の大国間競争という意味でも、中国が最も深刻な安全保障上の挑戦になっており、それを踏まえて実質的な対米接近を強めている。これがSCOの限界の根本的要因の一つだろう。また、モディ首相は、同じく加盟国であるパキスタンを念頭に置いた「テロ国家への共同対処」を主張したが、これは、加盟国9カ国の間の立場の差のもう一つの要素だ。
なお、イラン新規加盟との関係では、モディ首相はインドのイラン・チャバハール港への投資に言及し、南北輸送回廊は中央アジアの内陸国がインド洋にアクセスする重要なルートだと指摘したようだ。この記事が指摘するように、SCOのインドにとっての大きな意味の一つは、エネルギー供給やパキスタンとの関係を念頭に置いたアフガニスタンへの影響維持のための中央アジア諸国との接点確保である。常に自らの国益に応じて対応するインドの面目躍如だと思う。
次の注目は、8月22日~24日にヨハネスブルグで開催される予定のBRICS首脳会合だ。今回インドはSCOをオンライン会合とすることで、プーチン大統領がICCから訴追されていることの影響を避けたが、それも含めて、南アフリカがどのような対応を取るのか。SCOに比べてより発信力が強いBRICSの動向には一定程度注意する必要があると思う。』
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警戒すべき中国とインドの関係改善(The Economist)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB230I60T20C23A7000000/『中国と対抗していくにあたって、インドは西側陣営を支持してくれるのではないか――。米国はこんな希望的観測を外交政策の要としてきた。2000年にクリントン米大統領(当時)がインドの首都ニューデリーを訪問して以降、そのように位置づけられてきた。
それはインドの将来性とその地政学的立ち位置からそうなるだろうといういわば賭けだったが、その後の歴代大統領(民主党のオバマ氏とバイデン現大統領、共和党のブッシュ…
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『その後の歴代大統領(民主党のオバマ氏とバイデン現大統領、共和党のブッシュ氏とトランプ前大統領)も例外なく、米印の関係強化には力を入れてきた。
ゆえにインドのモディ首相が6月に米首都ワシントンを訪問した際、熱烈な歓迎を受けたのも当然だった。米国とインドが永遠の友好をうたう中、モディ氏は米国が通常なら緊密な同盟国にしか提供しないような防衛技術の移転を含む防衛協力の合意を得た。
米国が想定する方向にインドが進まない可能性
だが、いかなる国とも正式な同盟を結ばないインドが、米政府関係者の多くが想定しているほど米国のパートナーとして責任を果たすつもりではない方向に進みつつあるとしたらどうだろうか――。
その可能性は十分にある。その点はインドと中国の関係がこのところひっそりとではあるが、驚くべき改善を遂げていることからも浮き彫りとなっている。
20年6月、極寒のヒマラヤにおける両国の国境係争地でインド軍兵士20人と中国軍兵士が少なくとも4人死亡する軍事衝突が発生したのを受け、アジアの大国である中国とインドの関係は急激に悪化した。岩や鉄の棒を使ったこの武力衝突は、インドと米国が防衛協力を強化する一因となった。
米国はすぐさま防寒着などの装備をインド国境軍に送り、米印合同軍事演習を増やす計画を立てた。そしてモディ氏がインド西部のパキスタンとの国境に配置していた約7万人の部隊を事実上、北部の中国との国境に移動させるのを好意的に見守った。
インドは軍事面以外でも、300以上の中国のアプリの使用を禁じたほか、中国企業に対する税務調査を実施し、中国との貿易や同国からの投資に様々な制限を導入した。
短期に終わった中印の経済関係の冷え込み
だが、こうした中印関係の冷え込みは最近、かなり改善している。
両国の経済関係の凍結は長くは続かなかった。21年には中印貿易は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う落ち込みから回復し、前年比43%増となった。22年も同8.6%増を記録し、両国の貿易総額は1360億ドル(約19兆3000億円)に拡大した。これはクリントン氏が訪印した年の27倍に相当する。
両国は国境紛争地帯のほとんどで依然として対立を続けており、互いにかなりの武装状態を維持している。とはいえいずれも事態の鎮静化を強く望んでいるようにみえる。
中印は双方の軍司令官による18回に上る交渉の末、衝突が発生しかねない5つの地点から両国とも軍を引き揚げ、「緩衝地帯」を設けて巡回もしないことを決めた。そうした危険地域で緩衝地帯がまだ設けられていないのは2カ所のみだ。
インドと中国は1988年に、それまで続いていた両国間の国境を巡る問題について一定の原則を設けることで、以来30年以上にわたり領土問題を棚上げした経緯がある。
米が中国と衝突してもインドの米軍支援は期待できず
今回、両国が再び国境問題を脇に置くと決めると、事態は米国の戦略家たちが想定しているものとは大きく異なってくる可能性がある。
米国と中国が台湾を巡って軍事衝突した場合、インドが米軍を支援する確率は現時点でさえ、米政府関係者の多くが想像していると思われるレベルよりはるかに低い。
このまま中印関係の雪解けがさらに進めば、インドによる米軍への支援など想像することさえ難しくなる。それどころかインドは、気候変動や貿易、債務といった解決が難しい世界的な問題について、今以上に西側諸国と距離を置くようになると思われる。
中印の緊張緩和が続くことは、中印双方の利益となる。20年の軍事衝突後にインドが中国に対する経済依存度を引き下げようとしたものの短期間で終わったことは、その依存度を減らすことがいかに難しいかという表れでもある。
モディ氏が最優先する政策のうちインフラ整備と製造業育成の2つは、とりわけ中国からの原材料に依存している面が強い。インドは製薬分野では世界的な輸出大国だが、製薬に必要な有効成分の7割を中国から輸入している。]
たとえモディ氏が痛手を覚悟の上でそうした原材料の輸入制限に踏み切ったとしても(今のところそんな兆しはほぼない)、インド国内で強い影響力を持つ経済界のロビー団体が同氏に働きかけ、そうしないよう説得するだろう。
インドの中国への経済依存を断ち切ろうとした試みがかくも短期間で終結したことは、インドの経済界が中印の経済的な結びつきがいかに重要だと考えているか、そしていかに政府に対し影響力を持つかを物語っている。
インドにとっては経済成長こそ防衛強化への道
だからといって、インドの中国に対する安全保障上の懸念が弱まるわけではない。中国への懸念は長年にわたるもので、そのためインドは何があっても国防の強化は続けるだろう。
インドは急速な経済成長こそ防衛強化を図るうえで何にも増して重要な条件だととらえている。そして中国とビジネスを続けることが、そうした経済成長を果たすのに不可欠とみており、そう考えるのは正しい。
中国側としてもインドを味方に付けておいた方が有利なことは火を見るより明らかで、中国がインドに対し一連の現実的な打開策を図ったことは、中国が以前に強硬姿勢に出ていたことよりも理解しやすい。国境問題で中国が過去にインドに示してきた敵対的な姿勢は、インドと米国の安全保障上の結びつきを強めただけだったからだ。
同時に中国経済の伸びが鈍化しつつある今、中国の輸出企業にとってインドの巨大な国内市場の重要性はますます高まっている。20年に軍事衝突が起きたとはいえ、その時点で中国はインドとの関係をすでにより大切にする方針を固めていたのかもしれない。
最近のインドの報道によれば、国境地帯での衝突が中国側からしかけられたものであることは疑いの余地がないものの、それは戦略に基づく判断というより現場の意思決定のまずさによるものだったという。いずれにせよ中国の戦略的利益と最近の歩み寄りをみると、軍事衝突が再発する可能性は低下しているとみていいだろう。
中印関係改善について西側諸国は真剣な検討が必要
中国とインドが平和で建設的な関係を築くことができれば、その人口世界1位と2位の国民だけでなく世界にとっても大きな利益をもたらし得る。だが中印接近は西側諸国には課題ともなるだけに、米国をはじめとする西側諸国の戦略立案者は、この動きについてこれまで以上に真剣に考える必要がある。
だからといって米印の緊密な関係にひびがはいるわけではない。インドは中国との関係が改善しても、それとは関係なく中国に対する防衛強化では西側の支援がほしいと考えると思われることから、米印の協力関係は安全保障だけでなく様々な方面で利益をもたらすはずだ。
とはいえ米国がいざとなればインドが加勢してくれるという前提の下に中国への敵対姿勢を強めているのだとすれば、そうした発想は捨て去るべきだ。インドが中国に立ち向かえるだけの対抗勢力となるには、大国になるだけでなく中国と積極的に対立する意思が必要なわけで、米国はインドがそうした意思を当然持つだろうなどと期待してはならない。
(c) 2023 The Economist Newspaper Limited. July 22, 2023 All rights reserved.
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BYDのインド工場計画、地元当局が拒否か 現地報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM242YU0U3A720C2000000/『【広州=比奈田悠佑、ムンバイ=花田亮輔】中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)によるインド工場の建設計画を同国政府が拒否した。地元経済紙エコノミック・タイムズが22日、関係者の話として伝えた。BYDは海外展開を進めているが、一部では中国企業による投資への警戒感が強まっている。
エコノミック・タイムズによるとBYDはインド企業と提携し、10億ドル(約1400億円)を投じてEV工場を建設する…
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『インド政府は国境などを巡り対立関係にある中国からの投資を制限している。かつて米ゼネラル・モーターズはインドの工場を中国自動車大手の長城汽車に売却しようとしたが、当局の承認が得られずに断念した。
BYDは中国市場でEV販売を伸ばしているが、新興EVメーカーや米テスラとの競争が激しい。国内景気の減速を背景に市場の先行きが不透明になるなか、海外事業の強化を急いでいる。今月上旬にはブラジルでEVなどの新工場を建設すると発表した。
インドのEV市場は地場大手のタタ自動車が市場の大半を握る。英調査会社グローバルデータによると、BYDは2022年にインドの乗用車市場で500台以上のEVを販売した。』
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インド、半導体立国に影 ベダンタと鴻海の協業断念
ASIA TECH
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM151Y70V10C23A7000000/『インドの半導体製造が混沌としてきた。インド資源大手のベダンタグループと台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)が、半導体製造での協業を断念すると発表した。巨額投資の計画は注目を集めたが、白紙に戻った経緯には不透明な点も多い。インド政府が掲げる製造業振興策「メーク・イン・インディア」に影を落としている。
「今こそインドの出番だ。世界は次の世界の工場としてインドに注目して…
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【中国】インドに国境問題での「半ば合意的」な会談を求める
https://www.newshonyaku.com/24278/『中国とインドは、長い間国境問題により対立を続けてきました。この両国とも長い歴史と多様な民族構成、膨大な人口、そして外国への移民の存在(華僑、印僑)など、独特な特徴を持つ国々です。しかし、最近の動きが両国の関係に新たな転機をもたらすのか、注目が集まっています。
この記事では、インドと中国の関係の転機を示す最新のニュースをご紹介します。特に、日本人は地域情勢の変化に注意を払い、安定と平和を促進するための可能性や影響を考えることが重要ではないでしょうか。
この情報は、パキスタンの最大かつ最古の英字紙であり、同国の公式記録新聞であるDAWNからの提供です。Dawnは信頼性の高い報道で知られており、このニュースに基づいて詳細な情報をお伝えします。中国とインドの関係の展開について最新の洞察を得るため、ぜひご覧ください。』
China calls on India to meet ‘halfway’ on border issue
https://www.dawn.com/news/1765009/china-calls-on-india-to-meet-halfway-on-border-issue『(※ 翻訳は、Google翻訳)
中国の王毅・中央外交委員会事務局長(右)は7月12日の会議に出席し、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカール外相(左)は7月13日にインドネシアのジャカルタで演説する。— ロイター
記事を聞く北京:中国外務省は土曜日、中国のトップ外交官がインドに対し、アジアで最も人口の多い隣国間の国境緊張を緩和するために「共通の利益」に焦点を当て、中国と「途中まで」会談するよう要請したと発表した。
インドと中国の関係は、係争中のヒマラヤ国境や、両国が互いのジャーナリストのほぼ全員を追放したビザ問題をめぐってここ数カ月で悪化している。
中国外務省の声明によると、王毅外相は金曜、ジャカルタでの東南アジア協議に合わせて会談した際、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相に対し、「中印の共通の利益は明らかに相違点を上回っている」と述べた。
「両国は…お互いを疑うのではなく、お互いを支援すべきだ」と王氏は付け加えた。
この問題に関する司令官レベルの協議は「できるだけ早く」予定
インドとその北の隣国は、ラダック地域のほとんど境界線のない国境沿いで軍事的対立に陥っている。
中国政府はまた、インドのアルナーチャルプラデーシュ州をチベットの一部と主張しており、カシミールを係争地域とみなしている。王氏は「インド側が中国と途中で会談し、双方が受け入れられる国境問題の解決策を見つけることが期待される」と述べた。
同省の声明によると、両国は国境問題に関する次回の軍司令官級協議を「できるだけ早く」開催することで合意したという。
冷え切った関係にもかかわらず、中国はインドにとって第二位の貿易相手国である。
2020年、インドは係争中のヒマラヤ地域で両国の兵士が衝突するなど政治的緊張が高まり、中国からの投資を制限しようとした。
王氏は、「中国はインドによる最近の中国企業に対する制限措置を非常に懸念している」と付け加え、ニューデリーに対し「公正で透明かつ差別のないビジネス環境」を提供するよう求めた。
2023 年 7 月 16 日の夜明けに掲載
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意見
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BRICSが共通通貨を発行。ドル覇権が崩れる?
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31977117.html※ 「金本位制」には、発行する通貨の価値が、「金の価値」によって担保されるという長所がある。
※ しかし、最大の欠点は、通貨発行量の上限が、「保有する金の総量」によって限定されるという点だ…。
※ 経済が発展して、経済活動(≒売買取引)が活発になってくると、当然のことながら、「通貨の総量(発行量)」もそれに見合うだけの量が必要になってくる。
※ その「上限」が、保有する金の量で、制限されると、到底必要量を賄えなくなってくる…。
※ それで、先進国(≒経済取引が非常に活発な国)は、次々と「金本位制」から離脱した…。
※ それに、「金」はいくら保有していても、一切「金利」は付かんしな…。
※ それどころか、「保管」はどうするのか、「運搬」はどうするのか、次から次へと難問は発生するしな…。
『最近、話を聞かなくなってきたBRICSですが、これらの国で共通通貨を発行する構想が出てきています。この構成国の中では、実質的に中国が中心になって、新しい貨幣経済圏を作るという話ですね。目指しているところが、ドル決済からの脱却というのは間違いないでしょう。わざわざ、新通貨を作って広めようという目的は、世界経済を支配しているドルという通貨に依存しない経済圏を作ろうという事に他なりません。
例によって、こういう話が出ると、すぐに「ドル覇権崩壊」とか、威勢の良い話が出てくるのですが、今のところ、BRICSが束になっても、ドル覇権を崩すのは無理です。この話も、構想が出たという段階で、具体的な話にはなっていません。BRICSは、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカと、一時期経済の勢いの良かった国家で、いろいろと協力していきましょうという組織ですが、そもそも、この構成国が必ずしも一枚岩ではないです。
そして、これは予想されていた事ですが、通貨の信用を裏付ける為、今の時代に金本位制を導入するという話になっています。BRICSの構成国は、そこそこの経済国ですが、新通貨を発行したからと言って、簡単に国際決済に使われる程の信用を得る事は不可能です。なので、金を価値の担保として用いる、金本位制を取る事で、通貨の流通を促そうとしています。しかし、金というのは、希少金属だから価値があるわけで、金を価値の裏付けにするという事は、通貨の発行上限が自動的に決まるという事です。所有している金の価値以上の通貨を発行する事ができません。
これで、自前の経済圏のみならず、ドル覇権を脅かす程の規模まで通貨が流通する事は、構造的にあり得ません。そもそも、この中で中心にいるであろう中国自体が、自国の通貨である元を、管理していて、市場に開放していません。どういう事かと言うと、ドルとの価値が乖離しないように、国家が通貨為替に介入して、許容できる範囲での変動を認めるという通貨管理をしています。なぜなら、完全に市場開放をしてしまうと、元の価値が暴落したり、国の資産が海外へ流出したりするからです。
自前で通貨を発行していても、その価値の担保をアメリカのドルを基準にしている通貨は多いです。ドル・ペッグ通貨と言われているのですが、その理由は、その国単独の通貨では、世界経済で必要な信用を得る事ができないからです。なので、アメリカ・ドルにコバンザメのように、相乗りする事で、通貨の信用を担保しているわけです。中国の経済が凄いと言っても、その数字の中には、中国国内で生産している外資の製品も含まれています。中国単独で産業を興しているわけではないので、元の世界から見た信用というのは、正直無いと言って良いです。経済的に支配している国に対して、支払いを元で行う事を強要して、流通額自体は増えていますが、そういうのは流通しているとは言いません。数字を作る為に、政治力で作ったものです。
この所、このブログでも投稿している、ドルの不分別な大量発行の影響で、ドルの価値が急落しているのは確かです。アメリカのインフレも、当然の結果とも言えます。ドルという通貨が、疲労しつつあるのは確かなのですが、では覇権が崩れる程に柔いかと言えば、それを言える通貨は存在していません。新しく作ろうとすると、通貨の価値の根源である「信用」をどこに求めるのかという話になります。今回のように、金本位制にしたり、時代錯誤な方法に頼らないと、取引相手を納得させる事ができないのが、実情です。今の時代に金本位制で覇権通貨になれたら、それこそ驚異です。それが起きる時点で、何らかの事件で、世界経済が破壊された後の話になるでしょう。漫画の「北斗の拳」のように、世界が崩壊して、通貨が何の役にも立たない紙切れになった後なら、可能性があります。
ならば、なぜ新通貨を発行するかと言うと、「ドルで決済したくない」用途に使う為でしょう。新通貨で決済した分については、アメリカに知られる事が無く、身内で処理する事が可能です。そもそも、国際通貨にするつもりは、当人達には最初からなく、用途や規模を隠したい決済に使う、ローカル通貨として、使用する意図があると思われます。反米という事ではないのですが、色々とうるさく言ってくるアメリカのドル経済を、疎ましく思う政治指導者は、少なくありません。こういう意図ならば、構成しているメンツを見て納得できます。必ずしも仲が良くなくても、反ドル決済で手を結ぶ事は、十分に可能です。そして、そうする事で得る政治的な利益も大きいです。
そもそも、成立するかも判らない新通貨ですが、奥歯を噛み締めてまで、アメリカに追随したくない国というが増えているのは事実です。特に、最近は、アメリカは色々と要求してくる割には、何かしらの恩恵を与えるという事が出来なくなってきています。つまり、言う事を聞くのは、ドルの後ろ盾になっている軍事力と経済力が怖いからですね。この段階が一歩進むと、「ドルに支配されたくない」と考え始めるまで、そう遠く無いです。少なくても、ドルが持っていた万能通貨感は、無くなりつつあります。』









