北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:複雑な国際情勢、経済の中のサウジの巧みな実利外交と錬金術
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『サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマンMuhammed bin Selman皇太子殿下は2024年2月27日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領をリヤドで迎えた。
サウジアラビアとウクライナの関係の諸側面が検討され、ウクライナとロシア戦争の最新動向が話し合われた。
ゼレンスキー大統領は、これまでも皇太子殿下が、危機の解決と和平の達成を目的としたあらゆる国際的な努力と取り組み、そして戦争の人道的影響を緩和するための継続的な取り組みを行うサウジアラビア王国の支持を強調した。
ゼレンスキー大統領はソーシャルメディアXに、戦争捕虜と国外追放者についてimg_52797a58bd48f6b89eee11f445faf5b8333416皇太子殿下と協議すると投稿し、今回の訪問で「経済協力の有望分野とウクライナの復興へのサウジアラビアの関与」について協議すると付け加えた。参照記事
ゼレンスキー大統領の巧みな交渉術は、想像を超え、サウジの全方位外交も注目されている。
“サウジアラビア・ファースト”を掲げ、実利ひとつで誰とでも付き合えるサウジアラビアの、その特殊な対外政策を「全方位“実利”外交」と表する記事もある。 参考;ロシアの石油製品を買い漁る産油国 サウジアラビアの全方位“実利”外交【報道1930】;
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そんなサウジアラビアはロシアとも密接な経済関係を維持し、サウジが、国際制裁での露産原油輸出のマイナスを穴埋めしている現実がある。サウジとロシアの、したたかな錬金術と言われている。
軍事侵攻前、ロシアの予算に占める石油収入の割合は30%から35%だった。
しかし、日本を含むG7=主要7か国とEU=ヨーロッパ連合などが海上輸送されるロシア産原油への上限価格を設ける追加制裁を2022年12月に発動。
さらに、2023年2月、石油製品についても上限価格を設定し、ロシアの石油収入を減らそうと圧力を強めています。
特に、ロシアにとって主要な輸出先だったEUは、原油や石油製品の輸入を大幅に制限している。
アメリカ財務省が2023年5月にまとめた報告書によれば、2023年1月から3月のロシアの石油収入は、前の年の同じ時期と比べて40%以上減少、国家予算に占める石油収入は23%に低下したとされる。
一方ロシアには軍事費調達のために、あの手この手で石油の輸出を続けている実態が浮かび上がっていて、その1つが、欧米などの制裁に加わっていない中国やインドなどの国々だ。
また、中東の産油国サウジアラビアが、ロシア産の石油製品の取り引きに深く関わっている事実が浮上した。なぜ今、中東の産油国サウジアラビアが、わざわざロシアから原油、石油製品を買うのか?実態は?
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サウジアラビアは、2022年2月24日のロシアのウクライナ侵攻以降の2023年2月ごろから、ロシアからの石油製品の輸入量を大幅に拡大し、1月~6月までの半年間で比較すると、前の年の同じ時期に比べ、なんと9倍以上に増え、主要な輸入先の中で最も増えていた。6月1か月だけでみると、13倍と驚異的な増加量だった。
なぜ世界有数の産油国サウジアラビアが、急に遠く離れたロシアから、時間も費用もかけて輸入を増やしているのか。
この謎を読み解く鍵になるのが国際的な原油価格の推移だ。
国際的な原油取り引きの指標となる原油の先物価格(WTI)は、ウクライナ侵攻が始まった直後と比べると下落し、2023年3月には1バレル=70ドル割れに。
IMF=国際通貨基金の試算では、サウジアラビアが国家財政の均衡を保つには、80ドル前後が必要だと言われています。原油価格が低迷すればサウジアラビアの財政状況を悪化させかねないのです。
サウジアラビアは、原油価格を下支えしようと、2023年4月、原油の生産量を大幅に減らす「自主減産」を発表。OPECプラスの会合でも7月から1日当たり100万バレルの追加減産にも乗り出し、その後、8月まで延長すると発表しました。しかし、サウジアラビアの求める価格水準には、なかなか上がらないのが実態です。
サウジアラビアは、自主減産によってみずから原油生産に歯止めをかけているので、輸出を自由に増やして収入を増やすことはできません。
そこで、ロシア産の割安の石油製品を購入して国内消費に回し、その分、自国産の原油を国際的な取り引き価格で輸出すれば収支を改善させることができる。どうやらこう考えたとみられているのです。いわば原油の価格差を利用した“錬金術”とでも呼ぶべき戦略でしょうか。
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アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「サウジアラビアなどが割安のロシアの製品を国内消費で利用し、自国の製品を輸出に回して、利益を増やしている」とする見方を伝えている。(筆者注;安い原油から精製したディーゼル、ガソリンなどの石油製品を輸出しても、原油生産調整や原油取引への国際制裁に触れない)
実際、2023年上半期にサウジアラビアから各国が輸入した石油製品は、前の年の同じ時期に比べて、オランダで5.9倍、ベルギーで2.3倍、フランスで1.8倍などとなり、ヨーロッパの国で増加が目立っていた。
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「脱ロシア」を進めるEU加盟国やイギリスは、サウジアラビアにとって、価格交渉で強く出られる相手で、サウジアラビアとしては、ディーゼル燃料を中心に夏場に石油製品の需要が高まるヨーロッパ市場への輸出を伸ばして、収益を上げようとしているとも指摘されている。参照記事
結局、安い露産原油は、姿を変えてサウジから欧州へ流れており、このサウジの動向を、複雑な国際情勢、経済を逆手に取り、巧みな錬金術を駆使していると言えば言い過ぎだろうか?恐らく、インド、中国も、露産原油に対し、同じ手法を使っていると思える。』