[FT・Lex]G7のロシア産石油への価格上限、実現は困難

[FT・Lex]G7のロシア産石油への価格上限、実現は困難
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB300L40Q2A630C2000000/

『価格統制は、一国で実施するだけでも難しい。広く取引されている商品について、世界中で価格統制することはできるのだろうか。主要7カ国(G7)は、ロシア産石油の価格に上限を設けることを検討している。そうなればウクライナ戦争の戦費を調達するロシアの能力が低下する可能性がある。この計画が成功した場合(大きな疑問符がつくが)、問題は上限をどのくらい低くするかだ。
ロシア経済に影響を及ぼすためには、価格上限はロシアが受け取る原油価格を大幅に下回るものでなくてはならない=ロイター

ロシアの財政収支見通しは、ロシア産原油の代表的な油種「ウラル」の価格予想に基づいている。英調査会社エネルギー・アスペクツのリチャード・ブロンズ氏によると、ウクライナ侵攻前の予算は1バレル44ドルに基づいていた。戦費をまかない、ロシアの深刻な景気後退を相殺する必要があることから(今年の国内総生産=GDPは10%減少が見込まれる)、想定価格は上昇しているかもしれない。それでも現行の原油価格をはるかに下回る公算が大きい。北海ブレント原油の価格とは大きな差があっても、ウラル原油は1バレル85ドルで取引されている。

したがってロシア経済に影響を及ぼすためには、価格上限はロシアが受け取る原油価格を大幅に下回るものでなくてはならない。ただしG7諸国の大半は、上限設定の「実現可能性」を検討することに合意しているだけだ。これは状況が複雑であることを示唆している。ロシアから輸出される石油精製品の出所追跡は難しく、上限価格の設定する上での難題となる。

だが理論上、この計画には利点がある。すべての国への石油供給を削減するのではなく(ロシアは世界第3の産油国)、石油の供給が続くことを可能にする。

石油輸送の保険を駆使することがひとつの方法かもしれない。ノルウェーのエネルギー調査会社ライスタッド・エナジーは、ロンドンにある船主で構成するクラブの国際組織である国際P&Iグループが、世界の石油輸送船の保険の約95%を提供していると指摘する。米エネルギー情報局(EIA)によると、世界の石油の3分の2近くが海上輸送されている。この保険で、ロシア産原油に価格上限をつけることに買い手が同意しない限り、保険適用そのものが制限される可能性がある。もちろん、ロシアのプーチン大統領は上限価格の受け入れに同意しないだろう。とりわけ、同国の財政収支がトントンになるような価格に近づく場合はなおさらだ。

G7が現在持っている最大の武器は、インフレの脅威がもたらす世界経済へのリスクと、それを封じ込めようとする中央銀行の努力かもしれない。

上限がまったく必要なくなる可能性もある。米シティグループのような弱気のエネルギーアナリストは、ブレント原油の価格が75ドルに向かって下落すると予想している。現在のウラルの割引分を考慮すると、ロシア財政が想定している価格を下回ることになる。

(2022年6月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

BBCは、ロシアに農場を占拠されたウクライナ人農場主200人に取材し、露軍がどのように収穫物を盗んでいるのかを調べ上げた。

BBCは、ロシアに農場を占拠されたウクライナ人農場主200人に取材し、露軍がどのように収穫物を盗んでいるのかを調べ上げた。
https://st2019.site/?p=19849

『Nick Beake, Maria Korenyuk and Reality Check team による2022-6-27記事「Tracking where Russia is taking Ukraine’s stolen grain」。

    BBCは、ロシアに農場を占拠されたウクライナ人農場主200人に取材し、露軍がどのように収穫物を盗んでいるのかを調べ上げた。

 農家のトラックの何割かには、盗難対策としてGPS発信機がついている。それで収奪した穀物の流れが分かる。

 クリミア半島中央部、鉄道分岐点にあるオクティヤブルスケ市が、穀物の枢要な中間貯蔵拠点になっていることが可視化された。そこにはサイロがある。
 そこに寄らずにトラックでケルチ海峡を渡ってクラスノダール方向へ向うトラックもある。

 港からロシア船へ積み込まれた収奪穀物類は、ケルチ海峡において、こんどは小型のバラ積み船に、小分けされる。そのさい、ロシア本土から積み込んできた穀物と混載するようにする。そしてトルコまたはシリアの港へ向う。

 この「混載」がトルコの港湾管理者にエクスキューズを与える。「ロシア産穀物をロシアの港で積み込んだ」という書類がちゃんと揃っているから、荷揚げを拒絶する理由は無い、というわけだ。

 黒海へ出る前後で密輸船はAISのスイッチを切る。この密輸船×9隻の船名は米国によって把握され、ウクライナ政府によって公表されている。
 商船のAIS情報は、ロイドのデータセンターにぜんぶ集められているので、BBCとしては取材しやすい。
 そのAISは黒海に少し乗り出したところから再びスイッチが入れられるのだが、そのさい、貨物船の吃水が増していることが分かる。つまりは、スイッチを切っている間に、瀬取りが行なわれたわけだ。

 国連のSOLASという海上安全規定では、海外貿易に従事する商船は、海賊に襲われたとき以外は常時、AISを切ってはならない。ロシア商船とシリア商船はラタキア港内でもAISを切っており、明白に国連条約に違反している。

 ロシアはなかなか巧妙で、穀物をタダ取りすれば、来年から農民たちは作付けしなくなると分かっている。だから、ギリギリ最低価格での売り渡しを迫る。そのさい「合法的に売り渡しました」という文書に署名させる。百姓は、生かさず殺さず、油を絞りきるようにする方法を熟知しているといえる。

 もちろんこうした占領者の行為は、ジュネーヴ国際条約違反であり、国際刑事法廷ICCの訴追対象である。』

食料危機の原因つくっていないとプーチン氏

食料危機の原因つくっていないとプーチン氏
https://nordot.app/913062316362137600?c=39546741839462401

※ 今日は、こんなところで…。

『ロシアのプーチン大統領は24日の新興5カ国(BRICS)拡大会合で、ロシアはウクライナからの穀物輸出を妨害していないと強調、今後も世界に食料や肥料を供給し続けると述べた。(共同)』

EU首脳会議 域内各国のガス需要抑制へ共通の計画 来月策定へ

EU首脳会議 域内各国のガス需要抑制へ共通の計画 来月策定へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220625/k10013687541000.html

『EU=ヨーロッパ連合はロシアからの天然ガスの供給が滞っていることへの対策として、域内各国でガスの需要を抑えるための共通の計画作りを進めて来月、加盟国に示す考えを明らかにしました。

EUは24日までの2日間ベルギーのブリュッセルで首脳会議を開き、エネルギーの確保や価格高騰への対応などについて意見を交わしました。

会議のあとの記者会見で、フォンデアライエン委員長は、ロシアからの天然ガスの供給がすでに12の加盟国で止まったり減ったりしていると明らかにしました。

そして、「供給がさらに滞っても対応できるよう、緊急事態に備えた各国の計画を見直した。また産業界や加盟国とともに、需要を抑えるための域内共通の緊急的な計画の作成も進めている」と述べ、共通の計画作りを進めて来月、加盟国に示す考えを明らかにしました。

ヨーロッパでは、暖房需要が増える冬場に向けてガスの貯蔵を進めていますが、ロシアからの供給が減る中で貯蔵が十分にできなくなる懸念が強まっています。

ドイツが緊急事態に備える警戒レベルを1段階引き上げると宣言して国民や企業に節約への協力を呼びかけるなど、各国は対応を迫られています。』

プーチン氏、食料危機「欧米に責任」 BRICS会合で演説

プーチン氏、食料危機「欧米に責任」 BRICS会合で演説
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB250G90V20C22A6000000/

『中国やロシアなど新興5カ国「BRICS」は24日、発展途上国の代表らを招いた拡大会合をオンラインで開いた。ロシアのプーチン大統領は演説で、世界の食料価格が高騰している現状は「ロシアによる『特別軍事作戦』による結果ではなく、主要7カ国(G7)の無責任なマクロ経済政策によるもの」と述べ、欧米側に責任があると主張した。

プーチン氏は西側諸国が経済制裁を通じて「ロシア産の肥料や穀物の輸出を規制している」と指摘し、世界の食料不足に拍車をかけているとの認識を示した。ロシア側による黒海封鎖でウクライナ産の穀物が輸出できない問題については「ウクライナ側が機雷を除去すれば安全な船の往来を保障する用意がある」としたうえで「ウクライナ側には現状、建設的な態度はみられない」と述べた。

同日開かれたG7外相会合では、食料危機について「ロシアが責任を負っている」との認識で一致した。』

[FT]アフリカで拡大、食料高騰の痛みと社会不安の影

[FT]アフリカで拡大、食料高騰の痛みと社会不安の影
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB240SM0U2A620C2000000/

『非正規の建設作業員エズラ・ンガラさんは、ケニアの首都ナイロビのスラム街で生計を立てるのに苦労している。「何とか生き延びようとしている」。妻と4歳の息子を食べさせられないことを説明しながら、ンガラさんはこう話す。

無料配布の食品を求めて並ぶ人々(3日、ガーナ)=ロイター

「この数カ月で、私のようにおなかをすかせる人が急に増えた。政府はウクライナでの戦争がこの事態の原因だと言っている」

国連や地元の政治家、慈善団体は、ロシアによるウクライナ侵攻以降、食料と燃料の国際価格が急騰したことで、アフリカでは2022年、さらに数百万人が飢えと食料不安に見舞われると警告している。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって引き起こされた経済問題が価格上昇で悪化、最も大きな打撃を受けた国々で社会不安が生じるとの懸念に火が付いた。国連世界食糧計画(WFP)は、ウクライナでの戦争も一因となり、アフリカの大部分が22年に「前代未聞の食料緊急事態」に直面すると指摘している。

エチオピアのシデ財務相はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、「ウクライナでの紛争が燃料と肥料だけでなく、食用油、砂糖、特に小麦の世界的な価格急騰を引き起こした。これが体制に大きな衝撃をもたらしている」と語った。

干ばつに戦争が追い打ち

国連食糧農業機関(FAO)は、ケニア北部からソマリア、エチオピアの大部分まで広がる地域で、22年に最大2000万人が飢える恐れがあると表明している。過去40年間で最悪の干ばつが原因で、ウクライナでの戦争の影響によって事態が一段と悪化したためだ。

FAOによると、サハラ砂漠南部一帯のサヘル地域と西アフリカでは22年、4000万人以上が深刻な食料不安に見舞われ、3年前の1080万人から大きく増える。

FAOによれば、ウクライナでの戦争が始まる前、サブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカではマダガスカル、カメルーン、ウガンダ、ナイジェリアを含む20カ国以上で、小麦輸入に占めるロシアとウクライナのシェアが2ケタに上っていた。エリトリアは小麦輸入を全量両国に依存している。

ロシアとウクライナからの輸入に依存していない国でさえ、価格上昇によって打撃を被っている。

こうした動向に対応し、世界銀行は22日、アフリカ東部と南部の諸国による食料不安対策の支援に23億ドル(約3000億円)規模の計画を承認したと発表した。

国際通貨基金(IMF)は、サブサハラアフリカでは、消費者物価が22年に12.2%上昇すると予想している。ほぼ20年ぶりの高インフレだ。エチオピアでは、食料価格が4月に前年同月比で42.9%上昇した。

食料価格上昇が貧しい国で社会不安をあおるとの懸念もある。貧しい国は先進国と比べ、日々の生活費に占める食費の割合が高いからだ。

社会不安をあおる懸念

エネルギー価格の急騰と穀物生産地での干ばつによって生じた07~08年の食料危機の最中には、約40カ国が社会不安に見舞われた。そのうち3分の1以上がアフリカ大陸の国だった。

2月下旬のロシアの侵攻の前でさえ、パンデミックはすでにアフリカの経済成長に打撃を与えていた。「アフリカはすでに食料不安に苦しめられていた」。南アフリカ農業会議所のチーフエコノミスト、ワンディレ・シフロボ氏はこう話す。「こうしたアフリカ諸国は食料価格の変動のショックから自国民を守る能力が低下していた」

すでに、社会不安の兆しが見える。内陸国のチャドは6月初めに食料の「緊急事態」を宣言した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、ウガンダでは5月末、食料価格の高騰に抗議したことで活動家が6人逮捕された。食料価格の高騰を受け、ナイロビでは5月から「#LowerFoodPrices」(食料価格を下げろ)や「#Njaa-Revolution」(スワヒリ語で「飢え」革命)といったハッシュタグの下で街頭デモが起きている。

生活費の問題について訴える地元の活動家ルイス・マガンガさんは「みんな空腹だ。こうした価格上昇にはついていけないのが現実だ。毎日、朝起きると値段が上がっている」と話す。

ナイロビで結婚式や誕生会のケーキを焼くジャクリーン・ムエニさんは危機を肌で感じている。「状況はただ悪化するばかり」で、この仕事を始めてから3年間で今が圧倒的に最悪の時期だという。「過去3カ月間で食料価格が本当に跳ね上がった」

世銀によると、ケニアでは5月、食用油の価格が前年同月比で45%以上急騰し、小麦粉は28%上昇した。「これまでで最悪の状況。以前は楽々とお金を稼ぎ、経費を回収して利益を出していた。1日にホールケーキを平均5つ売っていたのが、今では、運が良くて1つか2つ」とムエニさんは言う。

産油国で石油輸出国機構(OPEC)に加盟しているナイジェリアでさえ、国際的な食料・燃料価格の打撃を受けた。アフリカで最も人口が多い同国は原油を輸出しているが、燃料は輸入に依存している。食料、特に穀物では輸入大国でもある。新興国市場専門の銀行ルネサンス・キャピタルのアナリスト、チブンドゥ・エメカ・オニエナチョ氏によると、ナイジェリアの最大都市ラゴスでは、パンの価格がパンデミック前の1斤300ナイラ(約96円)から22年は700ナイラに上昇した。

「(スライスされた食パン1斤が)突然700ナイラになったら、月間3万ナイラの最低賃金を稼いでいる人すべてに圧力がかかることになる」とオニエナチョ氏は言う。

さらに、小麦粉の価格の高さは、農村部では人々が安価な根菜のキャッサバで作った粉を小麦粉と混ぜることを意味すると語る。パンのように毎日食べるもののコストを削るために、質については「妥協する意思」があるからだ。

ケニアでの燃料価格の上昇は、建設作業員のンガラさんが給料のざっと半分を燃料に費やすことを意味している。その結果、一部の料理はもう手が届かなくなった。

「料理油やトウモロコシ粉といった基本的なものが買えない」とンガラさんは話す。トウモロコシ粉は、粉生地を調理した地元の主食ウガリに必要だ。「1日に1食さえ食べる余裕がない人もいる」

By Andres Schipani and Emiko Terazono

(2022年6月23日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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「種子は武器」中国による米国農業技術の窃盗国家安全保障上の脅威

「種子は武器」中国による米国農業技術の窃盗国家安全保障上の脅威=アナリスト
https://www.epochtimes.jp/2022/06/108401.html

『小さくとも一粒の種子は、生物学的コンピューターと何ら変わりはない。その中にはすべての遺伝コードが備えられており、何十億ドルもの潜在的価値を持つ知的財産だ。敵対的国家である中国の手に渡れば、世界の食糧生産を支配することを許してしまう。

米国を拠点とするフォルティス・アナリシス社の物流アナリスト、ロス・ケネディ氏は大紀元の姉妹メディア「新唐人テレビ」に出演し、その潜在的なリスクに警鐘を鳴らした。

14億人の人口を抱える中国では、「自国の食料安全保障を高める手段を持つことが最優先の課題だ」と述べた。「嘘をついてでも、盗みでも物々交換でも、その技術を手に入れるためなら、中国は手段を厭わない」。

ケネディ氏は、これを 「グレーゾーン非対称戦争」と表現する。米国の農業技術を盗み、自国の農業技術として発展させれば、中国は国の最も基本的なニーズを満たすことができる。それと当時に農業生産における世界的リーダーシップを追求する米国を経済的、外交的に弱体化させることができるという。

「もし、遺伝子組換え作物の『コードを解読』ができれば、何億ドル、何十億ドルという知的財産を盗むことができる」「自国の人口を養う上で時間的にもコスト的にも非常に有利な立場に立つことができる」。

2021年9月16日、中国安徽省黄山市でトウモロコシの粒を乾燥させる農民 (Shi Yalei/VCG via Getty Images)

種子は武器

米国農務省(USDA)によると、中国は2019年の輸入総額が1331億ドルに達する世界最大の農産物輸入国だ。

耕作地の縮小や自然災害が頻発するなか、中国は長年にわたり米国の農業資産に大きな関心を示してきた。その中でも「最も価値が高く、移行しやすい財産は種子」だと、米中経済・安全保障調査委員会(USCC)は5月に発表した調査報告書で指摘する。

種子のイノベーションは、米バイオ化学メーカー・モンサントなど米国の農業バイオテクノロジー企業に何十億ドルもの利益をもたらしてきた。2021年、米国は中国に約1億7400万ドル相当の種子を輸出し、輸出総額の15%を占めたという。

種子生産技術の発展には中国も重点を置いている。中国の国営メディアは、種子を農業の「チップ」と表現したほか、中国政府は以前から穀物の安全保障を「国家安全保障の中核的基盤」として位置づけている。

4月に中国南部・海南島の種子研究所を視察した習近平国家主席は、食料の輸入依存に改めて懸念を示し「中国が種子を自らの手にしっかりと握ってこそ、食料安全保障を実現できる」と発言した。

相次ぐ種の窃盗

米連邦裁判は4月7日、モンサント社元研究者で中国籍の向海濤被告に経済スパイ罪で懲役29カ月の判決を言い渡した。検察によると、研究職だった向被告は作物の収穫量を上げる機密技術の持ち出しを図ったという。この判決が出たのは、習氏の海南島訪問の数日前のことだ。

2013年には種子開発大手のデュポン・パイオニア社とって数千万ドルの価値がある遺伝子組み換え種子の窃盗を企てた罪で、中国籍のモ・ヘイロン被告が逮捕された。同被告は中国共産党政権とつながりのある北京大北農科技集団で国際事業部ディレクターを務めていた。

前出のケネディ氏は「数種類の種子を手に入れることができれば、その種の様々な殺虫剤や昆虫に対する耐性をリバースエンジニアリングする技術を手に入れたことになる」と語る。

さらに、中国政府は敵対国が作物を生産する能力を一掃するために、種子を武器化することも可能だという。作物を不作にする遺伝的誘因をオン・オフにしたり、ある種の細菌などに弱いものをつくって「土地の病害負担を劇的に増大させる」ことも可能だと指摘した。

米国の弱体化狙う「巨大な外交手段」

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このような技術盗用は、中国にとって「巨大な外交手段」となり、世界中で米国の外交や国家安全保障の取り組みにダメージを与えるものだ、とケネディ氏は言う。

中国が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」を挙げ、「中国が建設技術を輸出するのと同じように、食糧やエネルギーでも一帯一路を使うことができる」と指摘する。耕作地と労働力は豊富だが、近代的な種子技術が不足するアフリカなどに技術提供の話を持ちかけ、その見返りとして、重要鉱物へのアクセスや軍事基地の建設などを強いる可能性があるという。

2020年8月8日、スーダンの首都ハルツームから南に70km離れたアルジャジーラ州のアルダシバ村の農場で収穫されたピーナッツを食べる農民たち (Ashraf Shazly/AFP via Getty Images)

しかし、遺伝子組み換え種子は建設プロジェクトとは異なり、寿命が短い。「一度しか使えないし、袋に入れた状態でも1、2年しか保たないのだ」

「これは、中国がある種のものに対する支配力を維持するために毎年行っている方法だ」とケネディ氏。種を支配することで、中国は資源に依存する国々が従わなければならない条件を指示することができるという。

「これは『負債の罠』外交の一種だが、橋や鉄道を差し押さえるのとは違って、即効性があり、身近な問題なのだ」

中国資本の土地購入

中国による米国の農地の購入も経済と国家安全保障への脅威となっている。

2013年には中国精肉大手・双匯国際(現:万洲国際)が、米最大手豚肉加工業者スミスフィールド・フーズを47億ドルで買収。中国企業による米企業買収では最高額となった。

USCCの報告によれば、この買収によって双匯国際は6つの州にまたがる約5万9000ヘクタールの土地を手に入れたという。アフリカ豚熱の流行や中共ウイルス(新型コロナ)の影響で混乱が生じた2020年にも、中国への豚肉輸出量は過去最高を記録している。

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ケネディ氏によれば、中国の目標は、米国の農地をできるだけ多く中国向けに転用できるようにすることだという。「外国の土地であっても、自国のサプライチェーンを確保することができる」

2022年4月27日、中国東部の山東省聊城市の畑で、トウモロコシと大豆の種をまく機械(STR/AFP via Getty Images)

2020年の米国農務省による報告書では、中国の米国農地への投資は2010年からの10年間で55平方キロから1425平方キロへと25倍以上に膨れ上がった。

このような土地は、政権が米国に対してさまざまな形でスパイ活動を行うための潜在的な媒介となり得ると、ケネディ氏は指摘する。

中国の化学調味料メーカー・富峰集団は昨年11月、ノースダコタ州に370エーカーの土地を購入し、米国初のトウモロコシ製粉施設を建設する交渉を行っていると発表した。この工場は、グランドフォークス空軍基地から約19キロの場所に位置しているため、米軍活動を監視するために使われるのではないかとの懸念がある。

「土地さえ手に入れば、あとはどうにでもなる」。広大な土地を手に入れることは「中国にとって長い間、優先課題となっていた」とケネディ氏は言う。

一部の議員はすでに警鐘を鳴らしている。先月末、ダン・ニューハウス下院議員は、中国と関係のある外国人が米国内で農地を取得することを禁止する法案を提出した。同氏は声明で「米国の食料供給の仕事を敵対的な外国に譲ろうとすれば、米国内で栽培され、国民に届けるはずだった食料を輸出せざるを得なくなる可能性がある」と危機感を示した。

中国の農業スパイの脅威により、米国は意識の転換を求められている。

経済的な観点からのみ協力のメリットを考えるのではなく、企業や学会のリーダーは国家安全保障も考慮に入れ、「プログラムや構想の目的を達成するために、(中国以外に)他の選択肢があるか」を問う必要があるとケネディ氏は述べた。

Eva Fu
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[FT]英国、サウジアラビアなど湾岸6産油国と通商協議

[FT]英国、サウジアラビアなど湾岸6産油国と通商協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB225MB0S2A620C2000000/

『英国がサウジアラビアなどで構成する湾岸協力会議(GCC)6カ国との貿易を大幅に拡大しようとしている。貿易協定の締結に向け、論争を招く人権問題を避けて通る協議を開始する。

協議はGCCが本部を構えるサウジアラビアの首都リヤドで実施する=ロイター

英国のトレベリアン国際貿易相は、GCCとまとめようとしている協定を通じて、工業製品や農産物、金融サービス、デジタルサービスの輸出増加によって英国経済に年間16億ポンド(約2600億円)の上乗せを目指すと語った。

「我々は包括的で野心的、近代的、かつ将来を見据えたFTA(自由貿易協定)の実現を目指している」と述べた。「対象をモノだけに制限したくない。英国のすべての産業のために道筋を定める」

英国の農家、製造業者に恩恵

交渉では、GCC側も関税その他の貿易障壁の削減を求めることで、英国市場への優先的なアクセスを要求すると見られている。

交渉は22日、GCCが本部を構えるサウジアラビアの首都リヤドで始まる。湾岸のアラブ諸国で構成するGCCには、サウジのほか、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)が加盟している。

GCC全体で英国にとって7番目に大きな輸出市場を形成しており、相互の貿易額は年間331億ポンドに上る。英国によると、同地域のモノとサービス需要は2035年までに35%増加して8000億ポンドに達する見通しだ。

UAEのゼユーディー対外貿易担当相は、協議は英国とGCCの貿易を拡大し、「信頼される貿易相手との関係を強化し、サプライチェーン(供給網)をさらに多角化し、知識移転を加速させる」協定を結ぶ「大きなチャンス」になると語った。

英国は、協定が英国の農家と製造業者に「大きな恩恵」をもたらすと考えている。モノの輸入に対するGCCの関税は一般に5%に設定されているが、穀物は最大で25%、チョコレートは最大で15%など、格段に高い品目もある。

貿易関係強化で「人権問題により効果的に関与」

交渉では、機微を要する湾岸諸国の人権をめぐる議論は避ける。湾岸諸国は反体制派のサウジ人記者ジャマル・カショギ氏が殺害された事件や、英国人学生のマシュー・ヘッジス氏がスパイ容疑でUAEに拘束された事件を含め、各国が抑圧的な政策を批判している。

旧態依然とした法制度に巻き込まれた英国人はしばしば、公正な裁きを確保する政府の支援がないと不満を訴える。

人権に対する英国の「懸念」を表明することは今後も英外務省の責任だとトレベリアン氏は述べた。だが、貿易関係が強化されると、英国はより効果的に人権問題に関与できるようになると付け加えた。

湾岸諸国は大勢の出稼ぎ労働者に対する緩い基準とお粗末な労働条件についても厳しい目を向けられる。こうした出稼ぎ労働者の多くは債務を抱えた状態で湾岸諸国を訪れ、強制労働に似た状況に置かれる。

トレベリアン氏は、貿易協定の一環として、英国は必ず湾岸諸国に対し、国際労働機関(ILO)によって定められた労働基準と温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に盛り込まれた環境基準へのコミットメントを再確認することを求めると語った。

同氏はさらに、湾岸諸国は英国企業へのアクセスが拡大することによる恩恵を受けると話している。GCC加盟国が莫大な二酸化炭素排出量の削減に向けて取り組むなか、例えば英国企業が持つクリーンエネルギー技術などが導入しやすくなるという。

UAEやカタールといったGCC加盟国は最近、英国と大型投資協定を結んでいる。ジョンソン英首相は引き続き、欧州連合(EU)離脱後の英経済に湾岸諸国からの投資を呼び込んでおり、最近、サウジの事実上の最高権力者であるムハンマド皇太子をはじめとした湾岸諸国首脳と会談した。

政府関係者は、どのような貿易協定であっても、締結に要する時間はGCCが実りある協定を交渉する意思があるかどうかにかかっていると述べた。なお、同関係者は英国はオーストラリア、ニュージーランドと先に協定をまとめた際に迅速に動く能力を発揮したと指摘している。

踏み込んだ国家間の話し合いへの布石

GCC加盟国の国家関係は近年、緊張をはらんでいる。昨年終了したサウジ主導のカタール封鎖がその一例だ。またサウジ政府はその後、自国経済を守るために幅広い製品について関税を引き上げている。

GCC内で妥協点を見つけるのが困難なことから、UAEを含む一部加盟国は内々に、英国と2国間協定を締結する可能性を口にしていた。

トレベリアン氏は、まずはGCCとの協定締結に全力を尽くすと語った。それほど野心的な内容でなくても、「もっと踏み込みたい」国との話し合いに先駆けて「一つの起点」の役割を果たすかもしれない。

「これについては、いずれ非常に前向きに検討したい」と話している。

By Simeon Kerr

(2022年6月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

石炭需要、世界で再拡大 アジアや欧州で価格高騰

石炭需要、世界で再拡大 アジアや欧州で価格高騰
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR21DDP0R20C22A6000000/

『石炭の需要が世界で再び増えている。ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギーの供給不安を受け、欧州で石炭回帰が急速に進む。クリーンエネルギーへの転換が遅れるアジアの新興国でも需要が伸び続ける。需給逼迫で価格が上昇し、国際エネルギー機関(IEA)は2022年に石炭への投資が前年比約10%増えるとの見通しを示した。

足元で石炭消費が上向いているのが、脱炭素の先進地である欧州だ。ドイツは19日、ロシア産ガスの供給削減を受けて石炭火力を拡大する準備に入った。オランダやポーランド、オーストリアもガス供給の途絶に備えて石炭の利用拡大策を検討している。

ウクライナ危機以前から、世界の石炭消費の伸びはアジアの新興国がけん引している。インドなどは石炭火力が主力電源で、新型コロナウイルス禍からの経済回復も重なり電力消費が拡大。中国は国外で石炭火力発電所の建設は停止すると宣言したものの、国内では新規に多くの発電所がつくられている。IEAは昨年末時点で、世界の石炭需要が24年までの3年間で1%近く増えると予想する。

ロシアは世界有数の産炭国でもあり、ウクライナ侵攻が供給不安に拍車をかけた。需給逼迫で発電用石炭(一般炭)の価格は一段と上昇。アジアと欧州の指標価格はともに1トン370ドル前後と、1年前の3倍超の水準で推移する。アジアの指標となるオーストラリア産のスポット価格は、5月下旬に一時425ドル弱と過去最高値を付けた。

夏にかけて電力消費は増える。「石炭の供給はタイトな局面が続いており、今後さらに高騰するリスクもある」(Jパワー)との見方が多い。

需給逼迫と価格の高騰を受け、石炭供給への投資も活発化している。IEAが22日公表したエネルギー投資に関する報告書によると、石炭への投資は22年に10%程度増える。すでに21年も10%増え、1050億ドルに達した。中国は昨年夏以降の深刻な電力不足の再来を避けようと、国内で石炭の生産増強を支援する政策を打ち出している。

IEAはガスや石油の上流部門への投資も22年に10%程度増えるとみる。エネルギー価格の高騰が恩恵となり、21年も10%近く伸びた。世界の石油・ガス業界の収入は22年に4兆ドルと過去5年間の平均の2倍以上となる見通しだ。

エネルギー全体への投資は22年に8%増え、2.4兆ドル(326兆円)とコロナ禍の水準を大きく上回る。再生可能エネルギーや原子力といったクリーンエネルギーとともに、化石燃料への投資が全体を押し上げている。

クリーンエネルギーへの投資は1.4兆ドルと見込む。15年からの5年間は年2%程度の増加で推移していたが、21年から急増している。欧米と中国の伸びが目立ち、各国の政策や財政面の支援措置が支えている。太陽光や蓄電池、電気自動車への投資は、50年までに世界の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標に合致する割合で増えているという。

一方、先進国や中国以外の新興・途上国ではクリーンエネルギー投資が進んでおらず、15年から横ばいが続く。公的資金が乏しく十分な政策措置がとられていないうえ、借り入れコストが上昇しているためだ。IEAのビロル事務局長は声明で「足元のエネルギー危機も気候危機も無視できる余裕はない」と訴え、2つの問題に同時に取り組むべきだと表明した。

(ブリュッセル=竹内康雄、コモディティーエディター 浜美佐)

【関連記事】

・ドイツ、苦肉の石炭回帰 化学・ガラスで生産停止危機
・オランダも石炭火力増加へ ロシア依存低下へ制限解除

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

理想と現実のギャップが鮮明になり、各国が苦慮している構図である。温暖化ガス排出をできるだけ抑制して地球全体を守るという中長期的な理想に逆行する形で、足元の経済を回すために、あるいは北半球の冬場を乗り切るために必要な電力需要を満たすために、化石燃料の利用が加速しつつある。だが、それは温暖化ガスの排出量を増やすことにつながる。日本で実施されているガソリンなどの価格上昇抑制策も、同じ文脈で賛否が分かれる。バイデン米大統領が議会に提案した連邦ガソリン税の一時停止も同様である。こうしたジレンマを、理想と現実のどちらか1つだけを選ぶことで解消するのはまずい。当面の現実対応を必要最小限にするのが最善だろう。

2022年6月23日 7:50 (2022年6月23日 9:09更新)

小山堅のアバター
小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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ひとこと解説

気候変動対策が重要であることは、誰しも、どの国も、十分に認識してはいるが、エネルギー安定供給が脅かされエネルギー価格が高騰している時、相対的に安価で安定的なエネルギー源が選択されるのはある意味では当然のことだ。とりわけ供給途絶や価格急騰のような「有事」に対応するためにはドイツでさえもCO2排出増を覚悟して石炭活用を選択することになる。まして新興国・途上国ではなおさらだ。特に国内に豊富な資源を有する国にとっては、「有事」対応のみならず、安定供給対策上、国産資源活用が重視されていく可能性もある。ウクライナ危機を経た中長期将来像において脱炭素化の取組みがどう進んでいくのか、不透明感が増している。

2022年6月23日 8:10 』

米大統領、ガソリン税停止要請 「今は戦時、値下げを」

米大統領、ガソリン税停止要請 「今は戦時、値下げを」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22EZX0S2A620C2000000/

『【ワシントン=高見浩輔】バイデン米大統領は22日、ガソリンに課している税金を3カ月間停止するよう議会に要請した。インフレの主因になっているガソリン価格の上昇を抑える狙いだ。「今は戦時だ」と述べ、石油業界に対して給油所での値下げを強く促した。議会には政策の効果を懐疑的にみる声があり、実現するかどうかは不透明だ。

バイデン氏は旅行などが活発になる9月末にかけて1ガロン(約4リットル)あたり18セントの連邦ガソリン税を停止することを提案した。軽油にかかる24セントの課税も対象とする。各州政府が独自に課しているガソリン税も平均で30セント相当あるとして停止を求めた。石油の増産要請などを通じて最大で1ドル程度の引き下げが可能だと見積もっている。

米国内のガソリン価格はロシアによるウクライナ侵攻後に約2ドル上昇し、6月に初めて5ドルを突破した。バイデン氏は原油価格が下がったときでも給油所での価格が低下しなかったと石油業界を批判したうえで「コストに見合った形で価格を下げるべきだ。いま、今日やりなさい」と強い口調で訴えた。

ガソリン税の一時停止は議会に決定権がある。民主党のマンチン上院議員は4日、米ABCの取材に対してバイデン氏の提案に反対する意向を表明した。ガソリン税が道路などのインフラを整備するための基金の財源になっていることや、価格を引き下げる効力に疑念があることを理由にあげた。

バイデン氏はほかの税収増により今年だけで財政赤字が1.6兆ドル縮小するとの見通しを示し、インフラ整備基金の運営に大きな支障はないとも説明している。ただ上院は与野党の議席が拮抗しており、ただでさえ法案が通りにくい情勢だ。野党の共和党は気候変動対策に熱心なバイデン政権が国内の石油生産能力の低下を招いたと批判している。』

食糧安保をWWI前から熱心に研究していたのは英国であった。

食糧安保をWWI前から熱心に研究していたのは英国であった。
https://st2019.site/?p=19827

『Nicholas A. Lambert 記者による『プロシーディンクズ』2022-6月号寄稿記事「Look Before You Leap」。
   WWIでトルコはダーダネルス海峡を閉じ、オデッサ港発のウクライナの穀物船は地中海まで出られなくなった。ルーマニアの穀物も同じく黒海から出られない。

 食糧安保をWWI前から熱心に研究していたのは英国であった。
 彼らは早々と結論した。世界の穀物生産量は足りている。輸送手段もある。だがそれを平常機能させている「世界システム」が変動すると、英国本土は餓死に直面するだろう。
 つまり、「サプライ」サイドに何の問題がなくとも危機はたちまちにして至る。国際経済が高度に相互依存しているために、そのシステム自体が爆弾になり得るのだ。

 げんざい、アメリカ本土で飢饉や餓死が発生するとは誰も考えない。しかし、食糧は国際商品であり、海外でシステムが狂うと、アメリカ国内の食品小売価格がどこまでも値上がりする可能性はあるのだ。

 かつて英国はそのような事態をみずから招いてしまったことがあった。米国はその英国の失敗の歴史に学ぼうではないか。

 1914年末、ながらく英国がおそれていた事態が現実になった。小麦の国際取引価格の暴騰である。

 偶然にも、アルゼンチンでは大雨、豪州では大旱魃のために凶作。北米は寒波のため内陸運河が氷り、カナダの穀物を大西洋岸まで送り出すことができない。

 英国はそこで、インドからの穀物輸出をさしとめさせた。

 ロンドンは、この調子だと世界の小麦価格は4倍になるだろうと予測を立てた。

 オプションは僅かだった。国内価格統制と「食糧配給制」の導入だ。

 若いケインズは市場に流す情報を政府がひそかにコントロールすることで落ち着かせられないかと思って実行したが、無駄だった。

 ついに英国政府――というか若いチャーチル――は、このさいトルコに攻め込み、ダーダネルス海峡を軍事占領すりゃいいじゃん、と内閣を説得する。

 そのあと起きたガリポリ作戦の大失敗は有名なので略す。

 げんざい、カナダでは、小麦の作付けのシーズンに入っている。そして今年の収穫は例年より不作になりそうだという。

 そしてげんざい、こんなことを考えている阿呆が多いのではないか? NATO海軍がオデーサ港から地中海まで穀物輸送船のコンボイを護送してやりゃ、すべて解決じゃね? ……と。

 穀物サプライチェーンのホンの一部だけを見ていて、どうするんだ?

 まず農地からの集荷がある。その集荷物の港までの輸送がある。そこでの貯蔵がある。サイロへの出し入れには巨大マシーンを動かす。それは動くのか? 燃料は? ロシアからのミサイル空爆は? 無人特攻機が突っ込んできたら? バルクカーゴ船への積み込みも同様だ。荷役機械はすべて動くのか? 露軍がミサイル空襲してきても? 貯蔵穀物の山が焼かれたら? 化学物質や放射性物質を撒かれたら? 

 穀物の輸出はプロセスが多く、手間がかかるのである。諸段階のすべてに時間がかかるのである。その時間が、そっくり軍事的な「リスク」なのである。

 ちなみに今次戦争前、世界の「ひまわり種油」の半量を、ウクライナが輸出していた。
  ※ヒマワリ油に漬けたツナ缶をさいきんスーパーで見ないと思ったら、そういうわけ? まあ58キロまで絞ってコレステロールもなくなっただろうから、俺はサラダ油漬けでいいけどね。

 米国では選挙が近いからバイデン政権は、この夏の物価を下げねばという圧力を感じ、米海軍をオデッサに差し向けたくなるだろう。それは、やめれ! せいぜい、たったの2000万トンの穀物が地中海に出てくるだけ。物価的には、何の善い影響もなく、軍事的には途方も無く損だから。その軍事的損失額は、救済した穀物の小売価格を、はるかに上回ってしまう。これが英国が1915に痛切に反省したこと。今から同様の結果は見えているのだ。』

沖ノ鳥島における活動拠点整備事業(再評価)

沖ノ鳥島における活動拠点整備事業(再評価)
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000812592.pdf

沖ノ鳥島復活計画「サンゴ増殖プロジェクト」についてまとめてみた!(過去の投稿)
https://wordpress.com/posts/http476386114.com?s=%E6%B2%96%E3%83%8E%E9%B3%A5%E5%B3%B6

※ 多くの人が、「誤解」していると思われるのは、この「海中に沈んでいて、見えない部分の構造」だ…。

※ 「海底から生えている岩盤」に、「サンゴが群生」してできてる「島」…、ということだ。

※ 海中3000m以上で、「地球」と「つながっている」んだよね。

※ 何でも、「目に見えているもの」だけを視ていたんでは、「本質」なんかは、決して見えてはこない…。

※ 「氷山の一角」に陥ることなく、「海中に沈んでいる部分」を「見抜く」眼力を鍛えないとな…。

食料危機で「情報戦」激化 EU、ロシア同調の声に焦りも

食料危機で「情報戦」激化 EU、ロシア同調の声に焦りも―ウクライナ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022062100881&g=int

『【ブリュッセル時事】ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な食料危機をめぐり「情報戦」が激化している。ロシアは米欧の対ロ制裁が危機悪化の要因だと主張。これに対して欧州連合(EU)はプロパガンダだと反論するが、影響が深刻なアフリカからはロシアに同調する声も出ており、EU側には焦りの様子も見られる。

ロシアはアフリカを「人質」に 食料危機でウクライナ大統領

 「真の戦争犯罪だ」。ボレル外交安全保障上級代表(外相)は20日、ロシアが大量のウクライナ産穀物の出荷を阻止し、アフリカなどに飢えを生み出しているとして強く非難した。一方、EUの対ロ制裁はロシアから第三国への食料や肥料輸出は禁じておらず、危機の責任はないと説明する書簡をアフリカ各国に送ったと明らかにした。

 EUが特に懸念を深めたのは、今月初めに行われたアフリカ連合(AU)議長国セネガルのサル大統領とロシアのプーチン大統領との会談がきっかけだ。サル氏は、欧米の制裁でロシア産穀物がアフリカに届かなくなり、「状況を悪化させた」と発言。穀物や肥料を制裁対象から外すべきだとの立場を示した。ロシアの主張をうのみにしたような認識にEUでは戸惑いが広がった。

 ボレル氏は「問題を生み出しておいて他人を非難するのが、ロシアのプロパガンダの典型的な戦略だ」と指摘。情報操作に対抗する必要性を認めている。

 プーチン氏はサル氏にウクライナ産穀物の輸出支援を約束したとされるが、ロシアが黒海の輸送ルート封鎖を解除する気配はない。米欧が模索する陸路輸送も難航しているのが現状だ。

 また食料不足には、ロシアとの取引を自主規制する金融機関や企業の動きも背景にあるとみられる。ボレル氏は金融機関などに説明を尽くす考えを示したが、解決が遅れれば米欧批判が一段と高まる恐れもある。 』

中国の5月原油輸入量、ロシア産が5カ月ぶり首位

中国の5月原油輸入量、ロシア産が5カ月ぶり首位
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2129V0R20C22A6000000/

『【北京=川手伊織】中国の5月の原油輸入量は、ロシア産がサウジアラビア産を抜いてトップになったことが分かった。ロシアからの調達が国別で最も多くなるのは、2021年12月以来5カ月ぶりだ。ロシア産原油は米欧の輸入禁止の制裁で買い手が減っており、中国は国際価格よりも安い価格で調達したもようだ。

中国税関総署が20日、5月の貿易統計の詳細データを公表した。

5月の原油の輸入量はロシア産が841万トン、サウジ産は781万トンだった。ロシア産は前年同月比55%増と、18年10月以来の高い伸びを示した。サウジ産は同9%増にとどまった。両国からの輸入量が全体の35%を占めた。

金額ベースでは、サウジ産が前年同月比8割増の63億ドル(約8500億円)、ロシア産は同2.2倍の58億ドル弱だった。サウジからの調達額がなおロシアを上回る。ロシア産の価格が相対的に下がっていることを示した。

2月にロシアが始めたウクライナ侵攻を非難し、米欧は対ロシア制裁として原油の輸入禁止に踏み切った。ロシア産原油は買い手の減少で安くなった。一方、中東産の代替需要が目立ってきた。日本の石油会社が長期契約で輸入するサウジ産の代表油種「アラビアンライト」の5月積み価格は12年4月以来、約10年ぶりの高値となった。

中国の対ロシア輸入のうち、原油は金額ベースで5割超を占める最大品目だ。中国によるロシア産原油の買い支えは、米欧による制裁の実効性を弱めている。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Energy/China-s-oil-imports-led-by-Russia-for-first-time-since-Ukraine-war?n_cid=DSBNNAR 』

ドイツだけでなく、イタリア、オーストリー、オランダも、石炭火力発電所をバンバン燃やす…。

ドイツだけでなく、イタリア、オーストリー、オランダも、石炭火力発電所をバンバン燃やす…。
https://st2019.site/?p=19823

『Vera Eckert 記者による2022-6-21記事「Europe may shift back to coal as Russia turns down gas flows」。
   ドイツだけでなく、イタリア、オーストリー、オランダも、石炭火力発電所をバンバン燃やすことで次の冬を乗り切るつもりだ。』

東シナ海ガス田開発,日本も着手する十分な背景がある,電力不足,容量市場

東シナ海ガス田開発,日本も着手する十分な背景がある,電力不足,容量市場
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/archives/2021777.html

『【日刊 アジアのエネルギー最前線】 東シナ海ガス田開発,日本も着手する十分な背景がある,電力不足,容量市場
http://www.adachihayao.net

2022年6月22日 水曜日 曇

東シナ海で中国が進めるガス田開発,中間線の外側で最初に中国が計画に着手した際,大森さんだったと思うが,「日本は優秀な官僚を抱えているのに,何故中国に先行されるのか」と叫んだことがある,日本と中国は成長のタイミングが全く違う,日本は,水より安い,と言われた中東の原油に頼った

中国は成長を始めた時点では,中東の石油価格と較べて,東シナ海でガス開発する十分な理由があった,中国は一時共同開発に同意したが,軍備拡張に余念のない中国は,既に約束を忘れたかのように,極めて居丈高である,日本の抗議は当然としても,日本は日本で日本海ガス田開発を着手すべきだ

電力自由化が進んで,将来の電源確保の責任の所在が全く分からなくなった,自由化しながら開発計画の責任は経産省にあるかの如く,ことは進んでいる,「容量市場」の今日の記事を読んであきれる,「4年先が分かるか」と言っている,何を言っている,10年先だって分かる,そうしてきたのだから』

[FT・Lex]米国のガソリン高の背景に精製各社の投資抑制

[FT・Lex]米国のガソリン高の背景に精製各社の投資抑制
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB216R80R20C22A6000000/

 ※ 『このため、製油会社は足元で、記録的な高い利益をあげ続けている。米独立系石油精製大手のバレロ・エナジーとマラソン・ペトロリアムの株主は、この1年間で少なくとも78%の株価上昇を享受した。1990年代末の大型再編で生まれたスーパーメジャー(国際石油資本)の米エクソンモービルと米シェブロンも恩恵を受けている。』…。

 ※ ははあ…。それで、「神よりも、稼いでいる。」などと言われたわけか…。

『「どんどん石油を掘削しよう」というよりはむしろ「お願いだから精製してください」ということのようだ。バイデン米大統領は15日、米石油精製会社の一部のトップに送った書簡でこうしたメッセージを伝えた。
米エクソンモービルもガソリン高で利益を得る(2015年、ニューヨーク証券取引所で映し出された同社ロゴ)=ロイター

夏のドライブシーズンが始まり、米国のガソリン価格は記録的な高値に達した。表向きの理由は、新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和された後の自動車旅行の回復によるガソリン需要の伸びだ。ガソリン需給はロシアのウクライナ侵攻による供給の混乱や、ロシアを除く産油国の増産が十分でないことで逼迫した。

米国人が感じる痛みは「クラックスプレッド」と呼ばれるようになる前はわかりにくかった指標にも起因する。これは原油と、精製後のガソリンの価格差だ。

クラックスプレッドは2022年に拡大した。原料価格が高値であっても、代表的なスプレッドは半年前に1ガロンあたり0.3ドルにすぎなかったが、いまでは同1.50ドルに近づく。

バイデン氏の書簡は形式的にすぎない。スプレッド拡大の一因は、多くの企業が石油精製から撤退していることだ。米エネルギー省によると19年に日量1730万バレルだった処理能力は22年、1670万バレルに縮小すると予想される。設備稼働率は90%を超えて推移している。製油所の多くは米南部のメキシコ湾岸にある。人口密度が高い西海岸のカリフォルニア州や北東部から遠く、こうした地域ではガソリンが高くなりやすい。

製油所は閉鎖されたり、バイオ燃料の処理施設に転換されたりしている。上場した石油精製会社の株主は、配当や自社株買いでキャッシュフローの還元を求める。脱炭素が進むなか、精製関連は「座礁資産(市場環境や社会環境の激変で価値が大きく毀損する資産)」になりかねないとの懸念から、設備投資は抑制されている。

このため、製油会社は足元で、記録的な高い利益をあげ続けている。米独立系石油精製大手のバレロ・エナジーとマラソン・ペトロリアムの株主は、この1年間で少なくとも78%の株価上昇を享受した。1990年代末の大型再編で生まれたスーパーメジャー(国際石油資本)の米エクソンモービルと米シェブロンも恩恵を受けている。

消費者は高いガソリン代にあえぎ続けることになりそうだ。地元の政治家には、苦情の手紙を(精製会社に)送るよりはましな努力をするよう強い圧力がかかるはずだ。

(2022年6月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

ドイツ電力会社、米国LNGを購入へ 初の長期契約

ドイツ電力会社、米国LNGを購入へ 初の長期契約
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21EJP0R20C22A6000000/

『【ヒューストン=花房良祐】米国の液化天然ガス(LNG)会社ベンチャーグローバルLNGとドイツの電力会社EnBWは21日、年150万トンのLNGを20年間にわたって売買する長期契約で合意したと発表した。ウクライナ情勢を受けてドイツはロシアからパイプラインで輸入する天然ガスを減らす一方、米国産LNGの輸入を増やす。

ドイツが米国産LNGの長期購入契約を結ぶのは初めて。2026年からルイジアナ州のLNGプロジェクト「プラクミンズ」と同州の別のプロジェクト「CP2」から年75万トンずつをドイツに輸出する。ドイツにはLNGの輸入基地がなく、短期間で導入できる浮体式の基地などを活用する方針だ。

このほか5月には、独電力RWEが米センプラ・インフラストラクチャーのテキサス州のプロジェクト「ポートアーサー」から年225万トンのLNGを購入することで基本合意した。ドイツは米エクソンモービルとカタール国営のカタールエナジーがテキサス州で建設を進めるプラント「ゴールデンパス」からLNGを調達する可能性もある。』

東ティモールの新ガス田「産業創出の場に」 党首が意欲

東ティモールの新ガス田「産業創出の場に」 党首が意欲
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM307CS0Q2A530C2000000/

『東南アジアの小国、東ティモールの近海で進む液化天然ガス(LNG)の開発を巡り、同国の有力政党党首は日本経済新聞の取材で「雇用の創出だけでなく新産業をつくる多様な効果がある」と述べた。同ガス田から自国にパイプラインを引く方針を堅持する方針を示した。共同開発するオーストラリアとの交渉を進め、2030年までの稼働をめざす。

LNGの生産・輸出に向けて開発するガス田は「グレーター・サンライズ」で、ティモール海の東ティモールと豪州との共同開発区域にあたる。1974年に発見され、埋蔵量はガスが約5兆1300億立方フィート、コンデンセート油(超軽質原油)が約2億2600万バレルと推測される。権益の配分は豪エネルギー大手のウッドサイドが33.44%、東ティモール国営石油のティモール・ギャップが56.56%、大阪ガスが10%。豪との管轄海域にまたがるため開発が難航し、関連施設を両国のどちらに設置するかも折り合っていない。

東ティモールの有力政党「東ティモール再建国民会議(CNRT)」のシャナナ・グスマン党首は日本経済新聞の取材に応じ、ガス田から自国へのパイプライン敷設をめざす考えを改めて示したうえで、雇用や財政の面でも大きな利点があることを訴えた。

東ティモールはガス田からパイプラインを同国南部に引き、プラントなどの関連施設を設けることで、開発が遅れる南部の振興につなげたい構えだ。一方で、豪州はガス田の迅速な稼働に向け、同国北部のダーウィンにある既存施設の活用を主張している。折衷案として洋上浮体式のプラントを建設する案などが浮上したが、東ティモール側が同国陸上案にこだわり、合意に至っていない。

初代大統領のグスマン氏は独立の英雄で政界に絶大な影響力を持つ。23年に予定する議会選の結果次第では首相への返り咲きもささやかれる。これまでにも計画・戦略投資相として豪州側との折衝にあたった経緯があり、同氏の発言は政府の交渉方針を左右するとみられる。

東ティモール政府は交渉を急ぐ必要がある。開発したガス田で豪州との共同開発区域内にある「バユ・ウンダン」が23年にも枯渇すると推測するためだ。石油収入の基金は潤沢にあるが、サンライズの稼働にめどをたてなければ国の財政運営がいずれ立ちゆかなくなる。

サンライズの計画に出資するティモール・ギャップのデ・ソウサ最高経営責任者(CEO)は稼働に関し「28年から30年」と語った。ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な資源の逼迫が交渉を後押しするとの見方を示したと、ロイター通信が伝えた。

豪紙オーストラリアンによると、ウッドサイドのオニールCEOもこのほど、バユ・ウンダンの枯渇でサンライズを巡る交渉の加速に期待感を示した。東ティモールは交渉を有利に運ぶため、中国の支援を仰いで南部の開発を進め、パイプライン敷設の既成事実化を進めている。18年には中国企業が建設を担い南部を横断する高速道路の第1期工事が完了した。
投資環境の整備支援を
東ティモールがガス田「グレーター・サンライズ」を無事に稼働させても一件落着とは言いがたい。同国政府は周辺海域の石油・天然ガス資源は2030年代にも枯渇すると推測しているからだ。
国家歳入の9割を石油関連収入が占める経済構造からの脱却は喫緊の課題だが、議会では与野党が対立を繰り返し、国政が停滞している。5月20日に就任したホルタ大統領は代替産業の確立に取り組む。
世界銀行によると、20年の同国の1人あたりの国内総生産(GDP)は1442ドルと世界平均の10916ドルの1割強。アジアの最貧国の1つで産業の育成には各国から投資を呼び込む必要がある。
ネックは投資環境だ。金融、通信、法制度など民間企業が進出するうえで欠かせないビジネスの基盤が整っていない。若い人口構成や観光資源などの潜在性はあっても、企業は投資に及び腰になる。
官民一体の中国企業は、現地のビジネス事情はお構いなしに、次々と大型インフラ建設を受注し、本国から労働者を送り込む。中国浸透の末路は安全保障協定を結んだ太平洋のソロモン諸島かもしれない。
日本は安保上の観点からも米国やオーストラリアなどと連携して東ティモールに企業が進出しやすい環境が整うよう官民をあげて協力する必要がある。制度構築などソフトの支援は日本の得意分野だ。
(ジャカルタ=地曳航也)』

ロシアは、カザフスタンの原油の輸出量の三分の二を担っている、カスピ海底横断パイプラインを止めた。

ロシアは、カザフスタンの原油の輸出量の三分の二を担っている、カスピ海底横断パイプラインを止めた。
https://st2019.site/?p=19819

『The Maritime Executive の2022-6-19記事「 Russia Disrupts Kazakhstan’s Main Oil Terminal for UXO Clearance」。

   ロシアは、カザフスタンの原油の輸出量の三分の二を担っている、カスピ海底横断パイプラインを止めた。理由は、第二次大戦中の不発弾を除去する作業が必要だからだという。

 カザフスタンは陸封国である。最寄の黒海の港、ノヴォロシスクはロシア領であるが、そこからタンカー船で海外へ輸出するしかない。そこで、ノヴォロシスクまで、パイプラインを敷いていた。この輸出ルートを過去21年、使っていた。キャパは日量140万バレル。世界の原油の海上貿易量の2%強というところ。

 ノヴォロシスク港湾当局によると、先週、3本の魚雷を含む古い不発弾×五十数発を、とつぜん、海底で発見したという。過去21年、発見していなかったのだが。
 これを除去するため6-20から港の一部機能を止める。

 カザフの石油大臣いわく。船積み用のブイの1個は、機能しつづけるので、大問題ではないのではないかと。

 ※雑報によると露軍が市販の「DJI Mavic 2 Pro」に40ミリ擲弾の「VOG-25」をとりつけて自爆攻撃を試みた証拠がウクライナで撮影されている。ヘルシンキ大学は「孔子学院」を閉鎖した。2014からウクライナのEEZ内で違法掘削していたロシアの石油リグが爆破された。砲撃または対艦ミサイルという。』