JAXAサイバー攻撃、未知の欠陥突く 中国系が関与
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE09CJD0Z00C25A1000000/
『2025年1月20日 11:00 [会員限定記事]
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2023年6月以降に受けたサイバー攻撃のうち、2回は通信機器に潜む未知の欠陥を悪用されたことが分かった。「ゼロデイ攻撃」と呼ばれ、防ぐことは実質不可能だ。警察庁は中国系ハッカー集団「MirrorFace(ミラーフェイス)」の関与を断定している。国家を背景とする攻撃の脅威が増している。
警察庁によるとミラーフェイスの狙いは、日本の先端技術や安全保障に関わる企業や団…
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『警察庁によるとミラーフェイスの狙いは、日本の先端技術や安全保障に関わる企業や団体が保有する機密情報を盗み取るサイバースパイ活動とみられる。19年以降に210件の攻撃が確認された。関係者によると、JAXAもその中に含まれる。』
『JAXAへの攻撃は4回、うち2回が「ゼロデイ」
JAXAは24年7月、複数回のサイバー攻撃を受け内部情報が流出したと公表した。関係者によると、攻撃は23年6月〜24年5月に計4回あった。いずれも外部のインターネットから内部に接続する通信機器の欠陥が悪用されたことが原因とみられる。
機器に欠陥が判明した場合、一般的にはメーカーや開発元が公表し修正プログラムを配布する。JAXAへの1回目の攻撃は欠陥の公表から2週間後で、修正プログラム適用の作業中に起きた。24年1月の2回目は公表からわずか数時間後だったとみられる。
脅威なのは3回目と4回目の攻撃だ。いずれも機器の欠陥が公表される約2週間前に侵入された痕跡が見つかった。』
『攻撃を受けたJAXAの通信機器はそれぞれ異なるメーカーの製品で、事業所ごとに分かれたネットワークに分散していた。欠陥がある機器を狙い撃ちし悪用する手法に対し、「ハッカーが事前にJAXAを調査していたとしか思えない」と関係者はいう。
JAXAは取材に対し、「24年7月に一連の状況や対応、見解を公表しており、その内容以上のことは申し上げられない」とコメントした。』
『技術力と資金力が不可欠
ゼロデイ攻撃について、NTTデータグループの新井悠氏は「未知の欠陥を見つけ出し、攻撃に悪用するためには高度な技術力と資金力、人的リソースが必要だ」という。
ゼロデイに関する情報は、ネットの闇市場で億単位の価格で取引される場合がある。新井氏は機器の現物を入手したハッカーが自前で解析し、ゼロデイ攻撃の仕組みを研究していることも考えられると指摘する。
カネ目当てで活動するハッカー集団であれば、膨大な手間と資金を必要とするこのような攻撃手法は採らないのが通例。ゼロデイを仕掛けていること自体が、ミラーフェイスが国家の支援を背景としている攻撃者グループと判断される根拠の一つになっている。
米グーグル傘下のセキュリティー部門マンディアントはサイバー攻撃に悪用された機器の欠陥について、23年に公表された138件を分析した。このうち7割にあたる97件は、修正策が公表される前に攻撃されていた。』







