中国の対外債務6年ぶり減少 3月末、景気悪化懸念で

中国の対外債務6年ぶり減少 3月末、景気悪化懸念で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM271QB0X20C22A6000000/

『【北京=川手伊織】中国の政府や商業銀行が3月末、海外からの債務を減らしていたことが分かった。ドル建てで2021年12月末を1.3%下回り、6年ぶりに減少した。新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で景気悪化の懸念が強まり、海外投資家が中国の国債などを売り越した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う貿易の停滞も響いた。

中国国家外貨管理局が四半期ごとに対外債務の動向を示す「全口径外債」をまとめている。24日に発表した3月末のデータによると、対外債務の残高は2兆7102億ドル(約368兆円)だった。

内訳をみると、広義の政府部門が0.4%減り、5年ぶりのマイナスとなった。海外投資家が中国国債などの売却を進めたためだ。景気悪化への懸念のほか、米利上げ観測をうけ、米中の金利差が縮まった影響も大きい。

中国の商業銀行の対外債務も2.6%減った。大和総研の斎藤尚登主席研究員は「ウクライナ問題の台湾有事への連想などから、海外の金融機関が中国との取引を控えたことが影響している」と分析する。

輸入の停滞も対外債務が落ち込んだ一因だ。中国企業が商品を輸入してから代金を払うまで一時的に生じる買掛債務を、対外債務として計上するためだ。

短期の買掛債務は4.9%減った。新型コロナが初めて中国経済に打撃を与えた20年3月末(10.3%減)以来の減少率を記録した。

3月中旬に広東省深圳市がロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、航空運輸など貿易物流が打撃を受けた。3月の輸入額は前年同月比でほぼ横ばいにとどまった。

中国では3月末に上海市もロックダウンに追い込まれ、4月に景気が大きく悪化した。同市は6月1日にロックダウンを解除し、中国経済も足元では正常化に向けて動き出している。

中央銀行関係者は「海外投資家の債券売り越しは5月にほぼ止まり、6月は買い越しに転じたとみられる。海外機関投資家も分散投資の観点から中国の債券を一定程度、組み入れざるを得なくなっている」と語る。』

ザンビア

ザンビア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%93%E3%82%A2

『ザンビア共和国(ザンビアきょうわこく)、通称ザンビアは、アフリカ大陸南部に位置する共和制国家。首都はルサカ。かつてはイギリス領北ローデシアであった地域で、独立後もイギリス連邦加盟国であり、公用語は英語である。内陸国であり、コンゴ民主共和国、タンザニア、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエ、ナミビア、アンゴラ、ボツワナの8カ国と隣接している[4]。国の人口は1,735万人(2018年:世界銀行)。世界平和度指数ランキング(2018年)では163か国中48位となり、アフリカで最も平和な国の一つとして評価されている。

ザンビアと南隣のジンバブエとの国境に流れるザンベジ川には世界三大瀑布の一つと称されるヴィクトリアの滝があり、アフリカを代表する動物、ゾウ、カバ、キリン、シマウマ、ヌーも多く住み、大自然が残されている。一方で、北部のカッパーベルトには銅鉱山が多数存在し、独立以前から銅の生産を主産業とする大鉱産国である[5]。 』

『歴史

詳細は「ザンビアの歴史(英語版)」を参照

独立前

1798年にこの土地に進出していたポルトガルは、1830年代から大西洋岸のアンゴラ植民地とインド洋岸のモザンビークを結ぶべく、内陸のザンビアへの探検を本格化させ、シルヴァ・ポルトのような探検家がこの地を訪れた。他方、19世紀半ばにはイギリスもこの地への関心を深め、1855年にこの地を訪れた探検家にしてキリスト教宣教師であったデイヴィッド・リヴィングストンは「モーシ・オワ・トゥーニャ」の滝をヨーロッパ人として初めて「発見」し、当時のイギリスのヴィクトリア女王の名に因んで「ヴィクトリアの滝」と名付けた。

1880年代に入ってヨーロッパ列強によるアフリカ分割が進むと、アフリカを横断しようとするポルトガルの利害は、カイロからケープタウンまでアフリカを縦断しようとしていたイギリスのそれと真向から衝突した。ボーア人(アフリカーナー)の機先を制してアフリカ内陸部の土地を占有しようとしたセシル・ローズの意向によりイギリスはローデシアからザンベジ川上流とニヤサ湖の間の地域の統治権を確立した後、1889年10月29日に南アフリカ会社を設立した[6]。ローズは、更にアフリカ内陸部への領有意識を拡大し、1890年3月にベチュアナランド警察隊の将校ロシュナーはザンベジ川を渡ってロヅィ族の王レワニカとの間で「ロシュナー協定」を締結した。このロシュナー協定によって1891年までにイギリス南アフリカ会社はレワニカ王の統治権が及んでいたバロツェランド一帯に行政権を及ぼした[7]。また、イギリスは1890年1月11日にポルトガルに対して最後通牒を出し、現在のザンビアとジンバブエとマラウイに相当する地域に展開していたポルトガル軍を撤収させて、現在とジンバブエとザンビアに相当する地域の植民地化を決定的なものとした[8]。この事件はポルトガル本国での共和主義者によるアフリカ内陸部を結ぶ「バラ色地図」計画に失敗した王政への批判を招き、1910年10月5日革命の遠因ともなった[9]。
1912年のアフリカ

1898年6月25日に初のヨーロッパ人移民があった後、1900年にバロツェランド・北西ローデシア立法審議会が開かれ、この地はイギリスの保護領となった。在地のレワニカ王はその後も一定の権力を保ち、レワニカ王は1906年にバロツェランドの奴隷制を廃止した[10]。その後20世紀初頭には、ツェツェ蠅が多く、農業に適していなかったこの北ローデシアの地へのヨーロッパ人の入植は進まず、鉄道も建設されなかった[11]。

1924年にイギリスはこの地を北ローデシア保護領として直轄植民地化した。1925年にカタンガの国境付近で銅の大鉱脈(カッパーベルト)が発見されると、それまで開発の進んでいなかった北ローデシアには1929年にローデシア・アングロ・アメリカン社(AAC)とローデシア・セレクション・トラスト社(RST)が銅開発に乗り出し、1930年にはアフリカ人銅山労働者の人数は23,000人に達した[12]。北ローデシアの銅経済は1929年の世界恐慌勃発と1931年11月の銅価格の暴落を乗り切り、その経済的な好調は南ローデシアに居住していた白人入植者の目をこの地に向けることになった[13]。

北ローデシアは、1953年に南ローデシア(現在のジンバブエ)に入植したイギリス系白人主導で、南ローデシア、ニヤサランド(現在のマラウイ)と共にローデシア・ニヤサランド連邦に改編され、連邦初代首相にはハギンス(英語版)が就任した[14]。1956年に第二代連邦首相に就任したロイ・ウェレンスキーの統治を経てローデシア・ニヤサランド連邦では葉タバコ生産やカリバ水力発電ダムの電力による工業化が急速に進んだが、連邦の経済政策が白人入植者の集中していた南ローデシアを優先する方針を取ったために黒人民族主義者の反発を招いて1963年に崩壊し、翌1964年7月にニヤサランドはバンダ首相の下でマラウイとして独立を達成、北ローデシアも在地のロヅィ族の王ムワナウイナ3世によるバロツェランドの分離独立運動を制した北ローデシア植民地政府首相ケネス・カウンダと統一民族独立党(UNIP)により、1964年10月24日にザンビアとしてイギリスから独立した[15]。そのため、1964年10月10日に開幕した東京オリンピックの大会期間中は北ローデシア代表として参加したが、閉幕日当日の10月24日が国家独立日となったために国名が変更されてザンビア代表となり、閉会式にはザンビア国旗を掲げて入場行進を行ったという逸話が残る[16]。

独立後

独立後直後に国際連合に加盟したザンビアは、国連の経済制裁決議に従ってアパルトヘイトを敷いていた南アフリカ共和国との経済関係を断ち、さらに1965年にローデシアがイアン・スミス首相の下で一方的独立宣言を行うと、対ローデシア経済封鎖にも加わった[17]。両国に大きく経済的に依存していたザンビア経済は大打撃を受け、さらに内陸国であったザンビアはそれまで行っていたローデシア鉄道を用いた銅輸出への道を絶たれた。1969年8月にカウンダ政権は外資系銅企業の国有化政策を進め、1970年7月にはタンザニア、中華人民共和国の援助でローデシアを経由しない銅輸出のためのタンザン鉄道の建設が調印された[18]。また、1970年2月にカウンダは国内の部族主義を克服するため[19]、統一民族独立党(UNIP)による一党制を樹立した。

1973年にカウンダはローデシアとの国境を完全に封鎖し、さらに銅企業の国有化政策を推進した。外交面でカウンダはポルトガルからの独立を目指すモザンビーク解放戦線(FRELIMO)やアンゴラ国民解放戦線(FNLA)を支援しており、1974年4月25日にポルトガルでカーネーション革命が勃発し、エスタード・ノーヴォ体制が崩壊すると、9月にFRELIMOとポルトガル新政府を仲介してルサカ合意(英語版)を実現させた。西の隣国アンゴラの独立に際しては、1975年11月のアンゴラ解放人民運動(MPLA)主導での独立達成当初は中立を表明したが、翌1976年4月にMPLA政権を承認した[20]。一方で、イギリス連邦の枠の中には残った。1979年には首都ルサカでイギリス連邦の首脳会議(コモンウェルス首脳会議)が開催されている[21]。

ザンビアは独立以来一貫して銅に依存した経済構造を有しており、独立直後の国家収入の1/3、輸出品の90%が銅に関連したものであった[22]。政府主導での農業部門の拡大による経済の多角化が唱えられながらも小農の形成は進まなかった。このような経済構造が災いして、1970年代後半の銅価格低迷はザンビアの経済に大打撃を与え、1980年代のザンビアは経済的に低迷し続けた[23]。1982年、AAC とRST が合併して Zambia Consolidated Copper Mines Limited(ZCCM)となった。国民は銅価格の低下に起因するザンビア経済の凋落に不満を示した。1986年12月には暴動が発生、1989年にはカウンダの与党統一民族独立党(UNIP)一党制に対して公然と複数政党制を要求する声が挙がり、1990年6月の暴動を経て同1990年7月20日には複数政党制民主主義運動(MMD)が結成された。1991年に複数政党制を導入した選挙で与党UNIPはフレデリック・チルバ率いる複数政党制民主主義運動(MMD)に敗れ、カウンダ政権は終焉した[24]。

新たに就任したチルバ大統領は経済の自由化を進め、ZCCMを1997年から2000年にかけて8つの事業へ段階的に民営化するなどの改革を行ったが経済は好転せず、汚職が恒常化しクーデターが試みられるなど政治は不安定化した。

2002年にMMDからレヴィー・ムワナワサが大統領に就任した。ムワナワサ大統領は2006年の大統領選挙でザンビアへの経済進出著しい中国と中国人の排斥を唱えた野党・愛国戦線のマイケル・サタ候補を制した[25]。

その後ムワナワサ大統領は任期中の2008年に死去し、その後の大統領選でMMDのルピヤ・バンダ大統領代行が当選した[26]。2011年の大統領選には当時の現職のバンダ大統領代行を破ったマイケル・サタ候補が当選し、政権交代が起きたものの、サタ大統領もまた任期中の2014年10月28日に英国ロンドンで死去した。副大統領で白人のガイ・スコットが暫定大統領に就任した[27]のち、与党・愛国戦線のエドガー・ルングが、選挙を経て2015年1月25日に第6代大統領に就任した。

ルング大統領

2020年、ザンビア政府は同年10月14日に支払期限を迎える外貨建て国債の利払いについて、債権者との間で翌年へ延期するよう協議を行っていたがまとまらず、2020年11月13日に事実上、債務不履行状態に陥った[28]。

こうした経済悪化と中国依存への不満から、2021年の大統領選挙でルングは敗れ、野党である国家開発統一党の党首ハカインデ・ヒチレマの当選が2021年8月16日に同国選挙管理委員会から発表された[29]。 』

『地理

詳細は「ザンビアの地理(英語版)」を参照

ザンビアの地理

ザンビアは南部アフリカの内陸国であり、国土の大部分が高原でいくつかの河川が谷を刻んでいる。南部にザンベジ盆地を擁する。国名の由来ともなっているザンベジ川はザンビア北部に端を発し、いったんアンゴラを通ったのち再びザンビアへと入って、西部州を北から南へと抜ける。国土南端で向きを東へと変えると、以後はザンビア南端を東流しながらナミビア、ボツワナ、ジンバブエとの国境を形成し、モザンビークへと抜ける。ヴィクトリアの滝(落差108m)はジンバブエとの国境に位置し、リヴィングストンはこの滝に近い観光拠点である。国土中部を流れるカフエ川や東部を流れるルアングワ川などザンビア国内の水系の大部分はザンベジ川へと流れ込むが、北部の河川の一部はコンゴ川へと流れ込むものもある[32]。最北部のタンガニーカ湖はタンザニアとの国境で、南東端にカランボ川が流入し、カランボ滝はアフリカ第2位の落差(235m)を誇る。

気候

詳細は「ザンビアの気候(英語版)」を参照

ザンビアのケッペン気候図。黄緑及び緑色が温帯夏雨気候、オレンジ色がステップ気候、水色がサバナ気候である。

高地にあるため国土の大部分が温帯夏雨気候(Cw)で、しのぎやすい。年降水量は500-1,500mm。首都ルサカ(標高約1,200m)では1月の平均気温は21℃、7月の平均気温は16℃である。乾季は5月-8月であり、12月-4月は雨季である。国土南端部は降水量が少なくステップ気候となっており、また西部や東部の一部はサバナ気候となっている。 』

(※ 他は、省略。)

[FT]中国はザンビアの債務再編に応じるか

[FT]中国はザンビアの債務再編に応じるか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB296LT0Z20C22A6000000/

『アフリカ南部ザンビアのヒチレマ大統領は、2021年の大統領選で当選してから数カ月のうちに、国際通貨基金(IMF)から14億ドル(約1900億円)の金融支援を引き出すことに成功した。だが、債務に苦しむ同国の全債権者、とりわけ中国と合意にこぎ着けるのは、はるかに長い時間がかかりそうだ。

中国人民銀行は不良債権処理を強いられるなどの再編手法を受け入れる余地があるという=ロイター

中国は現在、低所得国向けの2国間融資で最大の貸し手となっている。ザンビアが直面する苦境は、中国がデフォルト(債務不履行)に陥った国の債務再編に率先して取り組むかどうかを測る試金石となる。中国はこれまで、借り手とは秘密裏に1対1で交渉している。
スリランカがデフォルトに陥り、パキスタンがその寸前に至るなど、経済への圧力が高まっているいま、中国に多額の債務がある国は、ザンビアの債務問題の進展に目を光らせている。中国以外の債権者もまたしかりだ。ザンビアの危機はまた、利害の異なるさまざまな中国の政府機関が融資し、それが債務再編に向けた取り組みを必要以上に複雑にしていることも浮き彫りにしている。

パリクラブに加盟していない中国

世界銀行のマルパス総裁は、フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで「途上国の債務の割合は、過去10年間で中国および民間部門へと劇的にシフトしている」と語った。「中国は(ザンビアの他の債権者とかかわることが)国際社会と協調する上で重要だと認識している。中国が債務再編における自国の役割を認識しているという点で、これは重要な一歩だ」

ザンビアは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下でデフォルトに陥った最初の国となり、20年は170億ドル相当の対外債務の返済が滞った。IMFとの金融支援交渉に臨んだ結果、同国は経済成長と開発を再び促進できるよう、債権者と協議して迅速に行動する必要に迫られている。

IMFは資金支援の条件として、他の公的債権者(最大の債権者は推計60億ドルを融資した中国)から債務救済に合意するという「確約」を得るよう求めている。中国がどのような条件で融資しているのか、今後どう対応するのかはほとんど分かっていない。

中国は、欧米諸国が供与した融資の再編を目的に発足したパリクラブ(主要債権国会議)のメンバーではなく、IMFが財政難の債務国に課す緊縮措置に懸念を表明してきた。中国では、政策銀行から商業銀行までさまざまな機関が融資し、それぞれ優先事項は異なる。米ジョンズ・ホプキンス大学中国アフリカ研究所(CARI)のデボラ・ブローティガム所長によると、中国の権威主義はここでは「一本化」されておらず、むしろ「断片化」していると理解することが重要だという。

ザンビアの場合、貸し手には中国国家国際発展協力署のほか、中国輸出入銀行や中国国家開発銀行が率いるグループが含まれる。CARIによれば、融資の条件は異なるという。

ザンビアの債務整理は長期戦になる公算が大きいが、これはソブリン債(国債や政府機関債など)のデフォルトに世界がうまく対応できていないことも物語っている。世界銀行は、ソブリン債のデフォルトが近いうちに1980年代の水準まで急増する可能性があると警鐘を鳴らしている。

債務減免したがらない中国の貸し手

ザンビアに助言する仏系投資銀行ラザードは6月、主要20カ国・地域(G20)が迅速な債務再編を実現するためにパンデミック下で設けた共通の枠組みは曖昧すぎると指摘した。調整に関する指針が欠如しているため「(民間であれ公的であれ)債権者だけでなく、債務国にも多くの不満が生じる」という。

中国のかたくなな姿勢をたびたび批判してきたマルパス氏は、枠組みの見直しを呼びかけている。債務再編にあたっては、民間債権者が後から既成事実を一方的に提示されるのではなく、公的債権者と一緒に交渉に臨むべきだという。

だが、1兆ドル規模にのぼる広域経済圏構想「一帯一路」を背景に、中国は今世紀に入って最も重要な2国間融資の貸し手となっており、同国政府の同意なくして改革は実現しそうにない。

英資産運用大手Abrdn(旧スタンダード・ライフ・アバディーン)で新興国債券の投資責任者を務め、ザンビアの債権者を代表する委員会のメンバーでもあるケビン・デーリー氏は「中国には、共通の枠組みの推進を遅らせたり、場合によっては阻止したりする影響力がある」と話す。「枠組みの成否はザンビアにかかっているといっても過言ではない」

中国の貸し手は、他の民間債権者とは異なるアプローチをとっている。返済に苦しむ債務者に対し、返済期限の延長や支払い猶予を認めることはいとわないが、国内の政治的反発を恐れ、債務の減額を受け入れることには消極的だと観測筋はいう。この姿勢は債券保有者などの民間債権者とは相いれない。

中国は、新たな解決策を見いだすよう求める圧力にさらされていることを認識している。ある政府顧問は「融資の延長や(主に無利子融資の)債務救済を中心とする既存の方法は、続けるのがますます難しくなっている」と明かす。

ただ、中国財政省と中国人民銀行(中央銀行)は、解決策を巡って意見が対立している。「財政省は一般的に、譲歩すれば財政負担が膨らむため、慎重姿勢に徹している。同省は国家開発銀行や輸出入銀行といった政策銀行の筆頭株主であるため、無利子融資や低利融資の再編に伴う損失を負担することになるからだ」と政府顧問は語った。

また「それと対照的に、人民銀行の規制を受けている中国工商銀行(ICBC)などの商業銀行、ひいては人民銀自体も、損失の早期穴埋めにつながるが、貸し手側が不良債権処理を強いられる可能性のあるさまざまな再編手法を受け入れる余地がある」とし、各行は協調して損失を最小限に抑えることに前向きだと付け加えた。
実行に移すかどうかに注目

注意を促す声もある。米ブルッキングス研究所のダグラス・レディカー上級研究員は「中国が歩み寄るということかといえば、決してそうではない」とし、「中国の協力的な一面が、別の事例でも発揮されるというのは甘い考え」だと強調した。

ヒチレマ大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が最近実施した電話会談が突破口となり、6月にはパリで中国が共同主導する協議が実現した。フランスの当局者は、協議はうまく運び、今後も話し合いは続けられると述べた。仏財務省国庫局長で、パリクラブの議長を務めるエマニュエル・ムーラン氏は「中国は約束をした」とし、「今後は実行に移す必要がある」と語った。

ザンビアの当局者は、そうしたかすかな希望を胸に、債務交渉で合意にこぎ着けられると楽観視している。ザンビア政府のある高官は「中国がようやく乗り気になり、IMFの迅速な対応の必要性を声高に主張しているという事実を考慮すると、いまこそもう少し忍耐強く事を進めるべきときだ」との考えを示した。

By Jonathan Wheatley, Joseph Cotteril and Sun Yu

(2022年6月28日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

三越伊勢丹、中国・成都の店舗を年末閉店 海外撤退続く

三越伊勢丹、中国・成都の店舗を年末閉店 海外撤退続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2910E0Z20C22A6000000/

『三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、中国四川省成都市で営業する百貨店「成都伊勢丹」を12月末で閉店する。百貨店が賃貸で入居する土地と建物の所有者が物件の売却を決めた。移転などは予定しておらず、店舗閉鎖に関連する減損損失として約4億3000万円を2022年3月期連結決算に計上した。従業員など関係者には閉店を通知した。

成都伊勢丹は、三越伊勢丹HDの100%子会社の成都伊勢丹百貨公司が運営する。07年に百貨店業態の店舗を開業した後、18年には成都市内の別の複合商業施設に生鮮品や日用雑貨を扱うスーパーマーケット業態の店舗を開いた。売り場面積の合計は約2万8000平方メートル。スーパーマーケット業態の店舗も閉鎖する見通し。

成都伊勢丹の業績は新型コロナウイルス感染拡大前の19年までは上昇基調だったが、直近21年の売上高は約45億円と19年比で5割弱の減収、本業のもうけを示す営業損益は500万円の赤字となっていた。

三越伊勢丹HDは20年にバンコク、21年にローマの店舗を閉めるなど海外事業で撤退が続いている。中国では当初、14年までに10店舗を展開する計画だったが、反日デモなどで営業環境が悪化し、上海や天津など5店舗にとどまる。

日系百貨店大手は2000年代から中国への進出を加速したが、順風満帆とはいえない。高島屋も12年に開業した上海高島屋を経営不振で19年に一時閉店すると発表し、後に家主などからの負担減の申し出を受けて撤回した。コロナ下では都市封鎖などの影響で営業ができない期間も続いていた。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Business/Retail/Isetan-Mitsukoshi-s-overseas-retreat-quickens-with-China-closure?n_cid=DSBNNAR 』

AISとは 安全確保、経済分析にも応用きょうのことば

AISとは 安全確保、経済分析にも応用
きょうのことば
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE297CY0Z20C22A6000000/

『▼AIS 船の衝突防止や運航管理のため、国際条約で大型船舶などに搭載が義務付けられた装置。周辺の船や人工衛星、地上局と情報をやりとりし、船舶固有の識別情報やリアルタイムの位置情報、目的地などを共有する。

海の安全確保という目的を超え、最近では様々な形で2次利用されている。同装置の信号を受信できる衛星が増え、広範囲の船舶を調査するための基礎データとしての重要性が増した。通関データなどと組み合わせれば、モノの流れを追う調査にも使うことができる。船の移動を通じたマクロ経済の分析にも応用されている。

船舶の航行パターンの分析から、乱獲する漁船に警告を発したり、海上での違法取引に関与する船舶を検出したりする技術の開発も進む。ただ、不正行為を働く船舶は、故障や海賊対策などを理由に、航行中にわざとAIS信号を切断することが多い。搭載義務がない小型船舶の場合はデータの取得が難しく、調査に使う際は衛星画像など複数のデータと組み合わせることが一般的となっている。

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イエレン米財務長官が初訪日へ 7月12~13日

イエレン米財務長官が初訪日へ 7月12~13日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2918Q0Z20C22A6000000/

『【ワシントン=高見浩輔】米財務省は28日、イエレン米財務長官が7月12~13日に訪日すると発表した。その後、15~16日にインドネシアで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席する。日本を含めインド・太平洋地域への訪問は2021年1月の長官就任以来、初めてとなる。

7月19~20日には韓国を訪問する。米財務省は公表文で「この地域と世界における米国の指導的役割を再確認する」と説明。ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁の強化やインフレ抑制につながるサプライチェーン(供給網)の構築に加え、「中国のような非市場的な経済がこの地域にもたらす課題」について議論すると明らかにした。』

核合意再建協議が再開 イラン「経済利益が重要」

核合意再建協議が再開 イラン「経済利益が重要」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR28E770Y2A620C2000000/

『【ドバイ=福冨隼太郎】イランの核合意を巡る米国とイランの間接協議が28日、カタールの首都ドーハで再開された。合意に至れるかは依然不透明だが、イラン側は米国からの制裁解除で経済への打撃を食い止める狙いがある。7月には米バイデン大統領が中東を歴訪する予定で、対イラン包囲網の構築を懸念した可能性もある。

「イランにとって重要なのは(制裁の解除で)経済的な利益を得ることにある。米国の公平な行動を望む」――。イランのアブドラヒアン外相は、核合意再建交渉の再開に先立ってこう強調した。協議は欧州連合(EU)の協議担当者が米国とイランの担当者とそれぞれ会って進める。

米国はトランプ前政権時代の2018年に核合意から離脱した。核合意はイランが核開発を制限するのと引き換えに欧米からの制裁を解除する多国間の取り決めだが、米国は離脱後にイランの原油取引の制限や金融制裁などを科した。

再建交渉は合意当事国の一つであるロシアのウクライナ侵攻後の3月中旬以降は止まっていた。6月には国際原子力機関(IAEA)理事会が、米国などが主導したイラン非難決議を採択。イランは反発を強めていた。

しかし、25日にEUの外相にあたるボレル外交安全保障上級代表がテヘランでアブドラヒアン氏と会談し、協議の継続を確認した。ボレル氏は「近く協議が再開する」との見通しを示していた。

バイデン氏は7月の中東歴訪で、イランと対立するイスラエルやサウジアラビアを訪問する予定だ。米国は長年対立してきたイスラエルとサウジの緊張緩和も模索する。イランは自国の包囲網が構築される前に、合意再建に前向きな姿勢を国際社会に示そうとしているとみられる。

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のサナム・バキル氏は「米国が地域の対立激化を防ぐために、間接協議を再開させた」と指摘する。イランでは5月に革命防衛隊の幹部が殺害されるなど軍人らの不審死が相次ぎ、イスラエルの関与を疑うイランは報復する姿勢を示している。

米国にはイランとロシアの関係強化をけん制する狙いもあるとみられる。23日にはアブドラヒアン氏がロシアのラブロフ外相とテヘランで会談し、経済分野の協力を進めることで一致していた。』

NATOの防衛範囲拡大 米の対中シフトの重荷に

NATOの防衛範囲拡大 米の対中シフトの重荷に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2951I0Z20C22A6000000/

『【マドリード=坂口幸裕】北欧2カ国の北大西洋条約機構(NATO)への加盟が実現する見通しになり、NATOの防衛範囲が大幅に広がる。最大の兵力を拠出する米軍の「対中国シフト」にとって重荷になる可能性がある。

バイデン米大統領は28日の声明で、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟について「NATOの集団安全保障を強化し、同盟全体にも利益をもたらすだろう」と指摘。「我々の同盟はこれまで以上に強く団結している」と記した。

北大西洋条約の第5条はNATO加盟国が武力攻撃を受けた場合、全加盟国への攻撃とみなして反撃する集団安全保障の原則だ。加盟国への攻撃をためらわせる狙いがある。一方、北欧2カ国の加盟に伴うNATO拡大により防衛対象も広がり、各国の軍事負担は増す。

ロシアとの国境が約1300キロメートルに及ぶフィンランドの加盟で、NATOが接するロシアとの境界線は2倍に伸びる。NATOのストルテンベルグ事務総長は有事の際に派遣する多国籍の即応部隊を現在の4万人から30万人以上に増やす意向を示す。米軍の割り当てが増えるのは確実だ。

冷戦終結以降、欧州の米軍は減少傾向にあった。米国防総省によると、地域最大拠点のドイツの駐留米軍は2008年の3万9千人から21年9月には3万5千人に減らした。ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに欧州での米軍縮小は難しくなり、全体では侵攻前より2万人以上増やし、10万人規模にした。当面は欧州にとどまる公算が大きい。

ロシアの侵攻は米軍が21年8月にアフガニスタンから撤収し、テロとの戦いから中国との競争に重心を移すさなかに起きた。米国防総省はロシアによるウクライナ侵攻後の3月に発表した国家防衛戦略(NDS)の概要で、脅威が高まる中国への対処を最優先事項に位置づけた。

バイデン政権は中国を「最も重要な戦略的競争相手」と位置づけ、インド太平洋地域での抑止力の維持・強化を加速すると打ち出した。優先順位として中国の次にロシアへの対応をあげた。

現在の在日米軍は5万6千人ほどの規模だ。中国をにらんで08年から3割以上増えた。2023会計年度(22年10月~23年9月)の国防予算ではインド太平洋地域での米軍の能力向上に使う基金「太平洋抑止イニシアチブ」の要求額を22年度より2割ほど積み増した。

米軍のインド太平洋戦略に狂いが生じれば台湾海峡や東・南シナ海の安定のための抑止力が揺らぐ事態につながるリスクもある。それは日本の安全保障にも影を落としかねない。
米カーネギー国際平和財団のクリストファー・チビス上級研究員は「ただ単にロシアを罰するためにNATOを拡大するのは良い考えとは言えない」と話す。米軍の欧州防衛への関与が強まれば、中国対抗に向けたインド太平洋へのシフトが遅れたり、アジアに十分な戦力を割けなかったりすることを懸念する。』

米軍、東欧に初の常設司令部 ロシア抑止へ防衛強化

米軍、東欧に初の常設司令部 ロシア抑止へ防衛強化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN29B2N0Z20C22A6000000/

『【マドリード=坂口幸裕】バイデン米大統領は29日、ロシアの脅威が高まる東欧の防衛体制を強化するため米軍の戦力を増強すると発表した。ポーランドに東欧には初めてとなる米軍の常設司令部を設ける。ルーマニアやバルト3国で巡回する部隊を拡充するほか、英国に最新鋭ステルス戦闘機F35を追加配備する。

バイデン氏は29日、スペインの首都マドリードで北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と会談し、米国の方針を伝えた。「米国が欧州での防衛体制を強化し、安全保障環境の変化に対応する」と述べた。ウクライナに侵攻を続けるロシアへの抑止力を高める狙いがある。

米政府高官は29日、記者団に常設の陸軍司令部新設などで「NATOの同盟国と定期的に演習・訓練を実施し、双方の部隊運用の効果を高められる。高いレベルの即応性を維持する」と説明した。

現在、米軍は欧州に10万人ほど展開している。スペインに駐留する米駆逐艦を現在の4隻から6隻に増やす。ドイツとイタリアの防空体制も強化する。

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https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN29B2N0Z20C22A6000000&n_cid=DSPRM1AR08 』

新興国のデジタル決済拡大、成人の57%に 世銀報告

新興国のデジタル決済拡大、成人の57%に 世銀報告
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2902V0Z20C22A6000000/

『【ワシントン=高見浩輔】世界銀行は29日、新興国でデジタル決済を使う人の割合が2021年時点で成人全体の57%になったとの報告をまとめた。人との接触を避ける新型コロナウイルス禍も影響し、14年の35%から大幅に増えた。簡単に始められるモバイルマネーの普及により、低所得層でも金融サービスを受けられる機会が増えている。

インドではコロナ禍を受けて初めてデジタル決済で商業取引をした成人が8000万人以上に上った。中国でも加盟店でデジタル決済を使う人がコロナ禍で1億人以上増え、全体で82%に達した。

銀行口座かモバイルマネーのアカウントを持つ人の数は21年に全世界の成人の76%を占め、10年前の51%から大幅に拡大した。17年ごろまでは中国とインドが増加をけん引したが、それ以降はサハラ以南のアフリカ諸国など幅広い地域でもモバイルマネーが広がった。
世銀は銀行などの口座を持たない「アンバンクト」と呼ばれる層が世界に14億人いるとしている。送金や融資などの金融サービスを誰でも受けられる「金融包摂」は貧困層の生活破綻などを防ぐ効果がある。世銀はモバイルマネーの普及により、性別や所得、教育水準による格差の縮小に向けて「進展がみられる」と評価した。

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対中国認識、NATOで温度差 「脅威」か「挑戦」か

対中国認識、NATOで温度差 「脅威」か「挑戦」か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN29DTE0Z20C22A6000000/

『【マドリード=坂口幸裕、白石透冴】北大西洋条約機構(NATO)は29日に発表した今後10年の指針となる「戦略概念」で、初めて言及した中国について「体制上の挑戦」を突きつけていると警戒感をあらわにした。一方で「直接の脅威」と位置づけたロシアに比べ表現を抑え、インド太平洋地域での覇権主義的な行動に懸念を強める日米との温度差もにじんだ。

「脅威」か「挑戦」か――。米紙ニューヨーク・タイムズによると、NATO内では中国を「脅威」とみなすべきだとの声があった。しかし、フランスやドイツは慎重だった。地理的に欧州と近いロシアとは異なり、経済的なつながりもある中国とは決定的な対立を避けたいとの思いがあるとみられる。

NATO首脳会議に先立ち、フランス大統領府関係者は記者団に「NATOは欧州・大西洋の安全保障の問題に集中すべきだ」と予防線を張った。中国を「最も重大な競争相手」とみなす米国とは一線を画したい欧州内の空気を映す。

戦略概念では中国について「航行の自由を含むルールに基づく国際秩序を守るために立ち上がる」と記した。NATO軍としてインド太平洋地域に艦艇を派遣する計画はないとみられるが、英国やフランス、ドイツなど欧州の個別の国が同地域で日米との安保交流を深めている。

現時点では30カ国が加盟するNATOが一枚岩になるほど欧州で中国の脅威が高まっているとは言いがたい。戦略概念では「中国が欧州・大西洋の安全保障にもたらす課題に対処し、同盟国の防衛と安全を保証するため責任を持って一致協力していく」と明記するにとどめた。

民主主義国家を敵視する中国とロシアの共闘にも触れた。「ルールに基づく国際秩序を破壊する両国の試みは我々の価値と利益に逆行する」と断じた。

NATO首脳会議では29日、軍事力や経済力を通じて覇権主義的な行動をとる中国の行動に対処する能力構築を議論したもようだ。

米国のジュリアン・スミスNATO大使は中国が提唱する広域経済圏「一帯一路」やインフラ投資によって「同盟国の安全保障環境に変化をもたらしており、課題に対処したり強靱(きょうじん)さを構築したりする手段を考えなければならない」と話す。

地理的に遠い欧州は中国との経済関係を重視して対立を招く発言は控えがちだったが、最近は批判的な姿勢に転じつつある。2020年に香港で国家安全維持法が制定されたのを機に対中観は厳しくなり、新疆ウイグル自治区での人権侵害で不信感を強めた。

今回のNATO首脳会議は日本から見た中国の示威行動を直接、欧州首脳に伝える好機になった。中国に自制を促すためにも、会議に参加した岸田文雄首相らが欧州を含む国際社会に「中国の脅威」に共感を広げる努力は欠かせない。』

対強権主義、価値観超え結束 民主主義の影響力に陰り岐路に立つG7(上)

対強権主義、価値観超え結束 民主主義の影響力に陰り
岐路に立つG7(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN253WH0V20C22A6000000/

『バイデン米大統領が主要7カ国首脳会議(G7サミット)の初日から呼びかけたのは、民主主義国との連携で得られる果実と恩恵だった。「世界中の地域に民主主義国との協力で得られる具体的な恩恵を確かめてもらう機会になる」「我々が何を提供できるか示したとき、間違いなく競争に勝ち続けられる」

打ち出したのは米主導のインフラ投資枠組みだ。アジア、アフリカ、南米などの「低・中所得国」への目配りを前面に出した。

呼びかけた相手は新興国の代表だ。正式メンバーではない新興5カ国(BRICS)のインドや南アフリカに加え、アフリカ連合(AU)やラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の議長国、インドネシアを招待した。

この姿勢はバイデン氏が2021年12月に開いた「民主主義サミット」から一変した。

人権と民主主義を前面に110ほどの国・地域を招いたものの、米国がふさわしくないと判断した国は除外した。アジアではタイやシンガポール、中東はアラブ首長国連邦(UAE)などが外れた。

「民主主義対権威主義の図式にはめ込むのは、終わりのない善悪の議論に足を突っ込む」。シンガポールのリー・シェンロン首相は5月の日本経済新聞のインタビューでくぎを刺した。

リー首相の警告の通り、ウクライナ侵攻が長期化するにつれ民主主義陣営には温度差が出てきた。各国の関心は価値観ではなく、より切実な食料やエネルギーに集まる。サミットではインドのモディ首相が「エネルギーは富裕層だけの特権であってはいけない」と注文をつけた。

根底には民主主義国そのものの影響力が弱まっている事実がある。スウェーデンの独立機関V-Demが3月に公表した調査によると、21年時点で世界人口の7割にあたる54億人ほどが非民主主義的な体制下にあるという。

「自由民主主義」と分類される国は12年に42カ国だったが、21年には34カ国まで減った。人口ベースでみると世界のわずか13%にとどまる。

中国とロシアはこの隙を突く。米国のインフラ支援に匹敵する投融資を中国はすでに実行に移している。

米調査機関エイドデータの集計によると、一帯一路を提唱した13年から5年間の中国の投融資額は4280億ドル(58兆円)。中国だけでG7の6000億ドル(81兆円)の7割を拠出する。

新興国からみれば、どちらか一方の陣営につくのは得策ではない。

サミット直前の24日、BRICSがオンラインで開いた拡大会合にはG7が招いたアルゼンチン、インドネシア両首脳の姿があった。アルゼンチンはその場で正式加入を希望した。

G20の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領はサミットを終えると、その足でモスクワへと向かい30日にプーチン大統領と対面する。G7がロシアを排除しても、新興国中心のG20は門戸を閉ざさない。

ウクライナ侵攻で力による現状変更が現実になった今、民主主義を掲げる先進国が築いた秩序は瀬戸際にある。新たな秩序づくりを主導するには新興国などの中間勢力をひき付けなければならない。G7はその役割を問われている。(マドリード=坂口幸裕)

【関連記事】

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米大統領、トルコ大統領に謝意 戦闘機の近代化支援へ

米大統領、トルコ大統領に謝意 戦闘機の近代化支援へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3005Z0Q2A630C2000000/

『【マドリード=坂口幸裕】バイデン米大統領とトルコのエルドアン大統領は29日、スペインの首都マドリードで会談した。バイデン氏は北欧のフィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)に加盟することを容認する姿勢に転じたエルドアン氏に「感謝したい」と伝えた。米国はトルコが求めていた戦闘機の近代化を支援していく。

バイデン氏はロシアによる黒海封鎖でウクライナからの穀物輸出が滞っている問題を巡ってもトルコが打開に努力していることを評価した。

エルドアン氏は「あなたたちの取り組みは将来のNATOの強化という点で極めて重要だ」と話した。穀物輸出に関して「いい結果になるよう望んでいる」と語った。

ロイター通信は、バイデン政権がトルコが求めている米ロッキード・マーチン製の戦闘機「F16」の売却に応じる可能性があると報じた。米政府高官はトルコの軍事力強化がNATOの防衛強化につながるため「トルコの戦闘機の近代化を支持する」と述べたと伝えた。

トルコは米国が反対するロシア製ミサイル「S400」を購入し、米国は次世代戦闘機「F35」の開発プロジェクトからトルコを締め出した。トルコはF35に代わる措置として米国に新型のF16を売却するよう求めている。

トルコは自国が敵対する非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)の関連組織をフィンランドとスウェーデンが支援し、トルコへの武器の輸出を禁じているなどと反発していた。28日に3カ国はトルコの懸念に対処する覚書に署名した。』

NATO事務総長、対ロシア「欧州で大戦以来の安保危機」中国の深刻な挑戦認識

NATO事務総長、対ロシア「欧州で大戦以来の安保危機」
中国の深刻な挑戦認識
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN300BZ0Q2A630C2000000/

『【マドリード=坂口幸裕】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は29日の記者会見で、ロシアによるウクライナ侵攻について「第2次世界大戦以来、欧州で最大の安全保障上の危機をつくり出している」と述べた。一方、威圧的な行動を強める中国については深刻な挑戦を認識しなければならないと表明した。

NATOは29日に採択した今後10年の指針となる新たな「戦略概念」はこれまで「戦略的パートナーシップ」と表現していたロシアを「最も重要で直接の脅威」と定義した。ウクライナ侵攻を受け、NATOと対立を深める現状を反映した。

ストルテンベルグ氏は「新たな安全保障の現実に対応するため、防衛と抑止の根本的な転換を決めた」と強調した。新しい戦略概念では初めて中国に言及。中国が「体制上の挑戦」を突きつけていると明記した。採択は2010年以来、およそ12年ぶりになる。

ストルテンベルグ氏は「中国は我々の敵ではない」と話した。一方「中国の深刻な挑戦について明確に認識し、ルールに基づく国際秩序を維持するためパートナーと立ち向かい続けなければならない」と強調した。

ストルテンベルグ氏は「中国の自己主張の強まりと威圧的な政策は同盟国・有志国の安全保障に影響を及ぼす」と明言。「核兵器を含む軍事力を大幅に増強し、近隣諸国や台湾を脅している」と批判した。

中国が覇権主義的な動きを強めるインド太平洋地域で「パートナーとの協力を強化する」と述べた。サイバー防衛や先端技術、海洋安全保障などグローバルな課題で連携する意向を示した。

民主主義国家と敵対する中国とロシアについて「戦略的パートナーシップを深化させている」と分析した。新しい戦略概念でも「ルールに基づく国際秩序を破壊する両国の試みは我々の価値と利益に逆行する」と断じた。

NATOは29日の首脳会議で、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟を認める方針で合意した。ストルテンベルグ氏は「NATOの門戸が開かれていることを示すものだ」と指摘。「すべての国が自らの道を選択する主権的権利を尊重している」と訴えた。

【関連記事】

・ロシア、北欧のNATO加盟に反発 プーチン氏誤算か
・対強権主義、価値観超え結束 民主主義の影響力に陰り
・NATO「中国は体制上の挑戦」 戦略概念で初言及
・米大統領、トルコ大統領に謝意 戦闘機の近代化支援へ 』

[FT・Lex]G7のロシア産石油への価格上限、実現は困難

[FT・Lex]G7のロシア産石油への価格上限、実現は困難
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB300L40Q2A630C2000000/

『価格統制は、一国で実施するだけでも難しい。広く取引されている商品について、世界中で価格統制することはできるのだろうか。主要7カ国(G7)は、ロシア産石油の価格に上限を設けることを検討している。そうなればウクライナ戦争の戦費を調達するロシアの能力が低下する可能性がある。この計画が成功した場合(大きな疑問符がつくが)、問題は上限をどのくらい低くするかだ。
ロシア経済に影響を及ぼすためには、価格上限はロシアが受け取る原油価格を大幅に下回るものでなくてはならない=ロイター

ロシアの財政収支見通しは、ロシア産原油の代表的な油種「ウラル」の価格予想に基づいている。英調査会社エネルギー・アスペクツのリチャード・ブロンズ氏によると、ウクライナ侵攻前の予算は1バレル44ドルに基づいていた。戦費をまかない、ロシアの深刻な景気後退を相殺する必要があることから(今年の国内総生産=GDPは10%減少が見込まれる)、想定価格は上昇しているかもしれない。それでも現行の原油価格をはるかに下回る公算が大きい。北海ブレント原油の価格とは大きな差があっても、ウラル原油は1バレル85ドルで取引されている。

したがってロシア経済に影響を及ぼすためには、価格上限はロシアが受け取る原油価格を大幅に下回るものでなくてはならない。ただしG7諸国の大半は、上限設定の「実現可能性」を検討することに合意しているだけだ。これは状況が複雑であることを示唆している。ロシアから輸出される石油精製品の出所追跡は難しく、上限価格の設定する上での難題となる。

だが理論上、この計画には利点がある。すべての国への石油供給を削減するのではなく(ロシアは世界第3の産油国)、石油の供給が続くことを可能にする。

石油輸送の保険を駆使することがひとつの方法かもしれない。ノルウェーのエネルギー調査会社ライスタッド・エナジーは、ロンドンにある船主で構成するクラブの国際組織である国際P&Iグループが、世界の石油輸送船の保険の約95%を提供していると指摘する。米エネルギー情報局(EIA)によると、世界の石油の3分の2近くが海上輸送されている。この保険で、ロシア産原油に価格上限をつけることに買い手が同意しない限り、保険適用そのものが制限される可能性がある。もちろん、ロシアのプーチン大統領は上限価格の受け入れに同意しないだろう。とりわけ、同国の財政収支がトントンになるような価格に近づく場合はなおさらだ。

G7が現在持っている最大の武器は、インフレの脅威がもたらす世界経済へのリスクと、それを封じ込めようとする中央銀行の努力かもしれない。

上限がまったく必要なくなる可能性もある。米シティグループのような弱気のエネルギーアナリストは、ブレント原油の価格が75ドルに向かって下落すると予想している。現在のウラルの割引分を考慮すると、ロシア財政が想定している価格を下回ることになる。

(2022年6月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

NATO首脳会議、北欧2カ国の加盟で合意

NATO首脳会議、北欧2カ国の加盟で合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR290M90Z20C22A6000000/

『【マドリード=竹内康雄】北大西洋条約機構(NATO)は29日、マドリードで開いた首脳会議で、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟を認めることで合意した。2023年までに加盟が実現する可能性がある。欧州の防衛能力が向上し財政面の貢献も期待できる一方で、ロシアとの緩衝地帯がなくなり、短期的には緊張が高まる懸念がある。

「加盟で両国はより安全になり、NATOはより強くなる」。29日採択の首脳宣言は、加盟に向けた進展を歓迎した。

ストルテンベルグ事務総長は29日の記者会見で「(両国の加盟に必要な)批准をなるべく早くできるようにしたいという意思が共有されている」と強調した。

今後、詳細を交渉した上で具体的な文書を作成。全30カ国が批准して加盟が実現する。手続きには数カ月から1年程度かかるとみられている。

ロシアのウクライナ侵攻が北欧2カ国の加盟申請につながったことから「プーチン大統領によるNATO加盟国を増やさないようにしようとする試みは失敗した」とも述べた。

北欧2カ国の加盟がNATO強化に貢献するのは主に3つの側面がある。

ひとつはNATO全体の防衛力の底上げだ。人口550万人のフィンランドは戦時兵力が28万人にのぼる。NATO加盟国全体の兵士数の1割弱に相当する。

同国は兵役もあるほか、2月には米国の最新鋭ステルス戦闘機F35を64機購入すると決めた。スウェーデンは戦闘機を製造するサーブを擁するなど、両国とも最新鋭の兵器をそろえる。

2カ国は長年、NATO加盟国と共同訓練を実施しているため、部隊の運用上も大きな問題は生じない見通しだ。

ふたつ目は、加盟国のデンマークとノルウェーに新たに2カ国が加わることで北欧を面として防衛することが可能になる。スウェーデンはゴットランド島、フィンランドはオーランド諸島というバルト海の要衝を領有している。

シーレーンの確保でロシアは不利な立場を意識せざるを得ない。ロシアの飛び地カリーニングラードに拠点を置くバルト艦隊などににらみをきかせられる。

何より高度な民主主義国で、財政が豊かな両国が加わる意義は大きい。フィンランド国防省によると、同国の国防予算は22年には51億ユーロ(約7300億円)となり、5年前の2倍弱になる。国内総生産(GDP)比では1.96%となり、NATOの目標である2%に近づく。

近年のNATO拡大は十分に民主主義が根付いているとはいえないバルカン諸国などが中心で、NATOは人材育成と装備向上の両面に資源を割いてきた。

一方で、フィンランドは西側と東側の間に位置する「緩衝地帯」の役割もあったが、それが消滅することになる。NATOとロシアの間で倍増することになる陸上の境界やバルト海などで緊張が高まる恐れもある。

北欧2カ国がNATOに加盟申請したのは5月半ばだが、加盟国のトルコが反対を示し続けていた。28日にエルドアン大統領が2カ国首脳、ストルテンベルグ氏と会談し、加盟支持で合意した。

北欧2カ国による武器禁輸の解除、トルコがクルド系武装組織「クルド労働者党」(PKK)と同一視する組織への支援停止などを3カ国の合意文書に明記した。28日にはエルドアン氏との会談に消極的だったバイデン米大統領とも電話協議し、トルコが求めるF16戦闘機売却を巡ってマドリードで会談する約束を取り付けた。

これらを「成果」にトルコが反対を取り下げた格好だが、米政府高官は「(米国は)トルコにいかなる譲歩もしなかった」と述べた。

合意文書は「覚書」にとどまり、法的拘束力はない。トルコの要求のうち、在北欧のクルド系活動家の引き渡しなどは検討課題として残った。履行状況によっては、批准手続きの段階でトルコが再び異を唱える可能性は残る。

ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、NATO首脳らを前にオンラインで演説した。ウクライナ大統領府によると、ゼレンスキー氏は自国を守るために高度な兵器や財政支援が必要と主張。「毎月50億ドル(約6800億円)が必要だ」と力説した。ロシアとの戦いは「将来の世界秩序がどうなるかを決める戦争だ」と支援の拡充を求めた。』

誰が中国を養うのか 揺れる穀物相場に新たな波乱も

誰が中国を養うのか 揺れる穀物相場に新たな波乱も
編集委員 吉田忠則
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD283GL0Y2A620C2000000/

『ウクライナ危機をきっかけに、食料問題が世界を揺るがしている。最大の焦点はウクライナからの穀物輸出を阻むロシアの黒海封鎖の行方だが、その背景で静かに浮上しつつある新たな波乱要因がある。中国の動向だ。

ロシアのウクライナ侵攻で穀物相場が急騰し、中東や北アフリカなど両国からの穀物輸入に頼っている国の一部が飢餓のリスクに陥っている。ウクライナの穀物輸出の主要なルートである黒海の封鎖が原因の一つで、国連のグテレス事務総長は「世界的な食料不足の不安に直面する」と警告する。

価格の高騰は、軍事紛争による輸送の停滞が引き起こした。ではそこに、巨大な需要を抱える国が新たな動きを見せればどうなるか。
突然、世界一の輸入国に

まずデータから確認しよう。中国政府によると、中国のトウモロコシの輸入は2019年までは500万トン以下で推移していた。だが20年に一気に1000万トンを超え、21年はいきなり2800万トンを上回った。

これがどれほどの大きさなのかを示すため、メキシコなどと並び、つい最近までトウモロコシの輸入量が世界で最も高い水準にあった日本と比べてみよう。中国と違って量はほぼ安定しており、おおむね年1500万~1600万トン。そして中国は日本やメキシコも抜いて突然、世界一のトウモロコシの輸入国になった。
中国の穀物事情は国外にも影響する(遼寧省の養豚の様子)=ロイター

問題は輸入先だ。日本はほとんどが米国で、ほかにブラジルからも輸入している。これに対し中国もメインの輸入先は米国だが、2番目はウクライナなのだ。日本などと同様、中国が輸入しているトウモロコシは家畜のエサに使われている。その輸出の停滞はもちろん、中国の食料生産に影響する。
「政府が生産抑制を決断」

なぜ中国はこうした農業構造になったのか。背景はいくつかある。農林中金総合研究所の阮蔚・理事研究員はその一つとして「中国政府が15年にトウモロコシの生産抑制を決断した」ことを挙げる。

トウモロコシを含む穀物の国際相場が12年ごろから下がり始め、中国の畜産農家は安い輸入物を使うようになった。これを受け、国産を高値で買い入れて増産を促してきた政策を、中国政府は16年に抜本的に転換した。阮蔚氏は「徐々に輸入を増やしていくという了解があったのだろう」と指摘する。

政策の効果はまず生産面で表れた。中国のトウモロコシの生産は00年前後からほぼ一貫して増え続けていたが、16年に急ブレーキがかかった。その後、わずかの増減をくり返しながらほぼ横ばいの状態が続いている。
ウクライナのトウモロコシ畑を耕すトラクター(キーウ郊外)=共同

一方、中国とウクライナの農業分野での関係強化は、ちょうど穀物の国際相場が下がり始めたころにスタートした。肥料工場の建設などのウクライナの農業関連インフラの整備に中国の政府系金融機関が資金を出し、ウクライナは中国に対してトウモロコシを輸出するといった内容だ。

こうして中国は輸入先の確保に努めながら、トウモロコシ政策の見直しを進めてきた。21年の輸入量が一気に日本などを抜いたのは、トウモロコシの国内生産を抑えたことの帰結といえる。輸入先の比率を見ると、貿易摩擦をやわらげるため積極的に輸入した米国が約7割で、残りはほとんどウクライナだ。そこをロシアの侵攻が直撃した。

国内に深刻な富の格差を抱える中国にとって、食品価格の上昇はいまも最も神経をとがらせるテーマだ。ウクライナからのトウモロコシの輸入が細れば畜産業を圧迫し、食肉の価格にはね返りかねない。
ブラジルからの輸入で合意

世界の関心がウクライナ危機に集中しているさなかの5月下旬、中国は新たな手を打った。ブラジルからトウモロコシを輸入するための検疫要件で同国と合意したのだ。中国商務省のホームページにごく短く載った発表文が、世界の穀物貿易の関係者の注目をにわかに集め始めている。

ブラジルから中国へトウモロコシの出荷が始まるのはしばらく先になる見通しで、現時点で相場に大きな影響は与えていないもようだ。だが中国には必要とする量を買いつけるだけの十分な資金力がある。中国は国内での増産も模索しているが、その動向は、穀物の国際相場の新たな波乱要因にもなりかねない。

だれが中国を養うのか――。米国の思想家のレスター・ブラウン氏は1990年代にこう問いかけた。中国はコメや小麦など主食の穀物の自給を堅持することでその問いに答え、国内の食料事情の安定を保ってきた。

一方、トウモロコシをはじめ自給の方針から漏れた食料の需要拡大は、供給側にとって恩恵になった。だが、この巨大な国が新たな動きをみせれば、広がる波紋は小さくない。動揺が続く国際相場と食料危機に直面する各国にそれがどう影響するか。世界は新たな難題を抱えたのかもしれない。

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北朝鮮の石炭、中国に密輸かミサイル開発の資金源に

北朝鮮の石炭、中国に密輸か
ミサイル開発の資金源に
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00001650S2A620C2000000/

https://asia.nikkei.com/Spotlight/N-Korea-at-crossroads/North-Korea-smuggles-banned-coal-to-China-Nikkei-probe-finds2

https://asia.nikkei.com/Spotlight/N-Korea-at-crossroads/North-Korea-smuggles-banned-coal-to-China-Nikkei-probe-finds2

5月の鉱工業生産7.2%マイナス 自動車など低下

5月の鉱工業生産7.2%マイナス 自動車など低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA29D1Y0Z20C22A6000000/

『経済産業省が30日に発表した5月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は88.3となり、前月比7.2%下がった。マイナスは2カ月連続。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国の上海市などの都市封鎖で生産や物流が停滞した影響が続いた。

自動車工業、電気・情報通信機械工業、生産用機械工業などが低下した。無機・有機化学工業、石油・石炭製品工業は上昇した。経産省は生産の基調判断を「足踏みをしている」から「弱含み」に引き下げた。

【関連記事】車8社世界生産、5月は微減の160万台 国内生産16%減 』

ジーメンスなど、ドイツのメーカーは、ロシア軍と縁が切れるだろうか?

ジーメンスなど、ドイツのメーカーは、ロシア軍と縁が切れるだろうか?
https://st2019.site/?p=19859

『Kamil Galeev 記者による2022-6-28記事。

  ジーメンスなど、ドイツのメーカーは、ロシア軍と縁が切れるだろうか?
 ロシアにおける工作機械の買い手の85%は、軍需工場である。切れるわけがない。

 この戦争がおわったら、ドイツ企業は全力でふたたび、ロシアの軍需産業を再興させるのに尽力する。これはまちがいなくそうなる。

 そんなことをやったらドイツ企業に全先進国が制裁を加える、そのくらいのペナルティを課しでもしない限り、彼らは必ずまた同じことをやる。そういう商売を、ずっと続けてきたのだ。』