本書の目的は、アングロサクソンの貨幣(通貨)、法律(コモンロー)、言
語(英語)、カルチャー(集団としての問題解決法)を論述する…。
https://www.diamond.co.jp/_itempdf/0201_biz/39021-5p.pdf






本書の目的は、アングロサクソンの貨幣(通貨)、法律(コモンロー)、言
語(英語)、カルチャー(集団としての問題解決法)を論述する…。
https://www.diamond.co.jp/_itempdf/0201_biz/39021-5p.pdf






アメリカで変質したアングロサクソン・モデル
https://newspicks.com/news/7820990/body/
『2022/09/28
全体に公開
いいね
MBAでは学べない、独学術と資本主義のサムネイル画像
侍留 啓介
MBAでは学べない、独学術と資本主義
侍留 啓介
フォロー
前回は『資本主義の根幹をなすアングロサクソン・モデルとは何か?』を投稿しました。
https://newspicks.com/topics/capitalizm-mba/posts/28?ref=TOPIC_POST_MANAGEMENT_VIEW
今回は、その続編です。
イギリスを作ったアングロ人とサクソン人を意味した「アングロサクソン」が、なぜアメリカ、特にその強欲的な資本主義の代名詞となったのか、について私見を述べたいと思います。
なお、私見とは言え、この記事は、松岡正剛氏の『感ビジネス』と『資本主義問題』を特に参考としています。この二冊は、アメリカ型資本主義を考察するうえで非常に有益な本だと思います。
アメリカで復活したアングロサクソン・モデル
前回説明しましたが、イギリスではじまった「原始モデル」としてのアングロサクソン・モデルは、一度死に瀕しました。
しかし、独立したばかりのアメリカでは事情が違っていました。新興国であるがゆえに、国家に資金がなく、それゆえ否が応でも民間の資金を必要としていたのです。そのため、「原始モデル」の株式会社の仕組みは非常に魅力的だったわけです。
同じ民間会社でもパートナーシップの場合は、所有と経営が一体化したものです。したがって、出資は経営陣が持ち出せる程度に抑えられます。そのため今でも、弁護士やコンサルティングなど、設備投資や固定費が少ない業態では、パートナーシップをとる会社も少なくありません。
一方で、株式会社の場合は、時にバブルや詐欺などの問題をうみますが、所有と経営が分離しているので、株式所有をしたい人が多ければ多いほど資金が集まります。これは、新国家のインフラ整備が急がれるアメリカには好都合でした。銀行・運河・道路・市役所・教会・大学のいずれもが株式会社(特許会社)によって請負われました。当初からアメリカでは国家システムと会社システムが同じものであった、ということが歴史と王政のあるヨーロッパとは大きく異なります。
ちなみに、不動産を英語でReal Estateといいますが、このRealは「現実」ではなく「王の領土」という意味です。レアルマドリード(王室のマドリード)と同じRealです。このような「王の領土」という発想は、アメリカにはなく、あくまで民間会社が開拓(あるいは占領)しうる土地であったのです。
イギリスやフランスで問題を引き起こし、早々に葬られてもおかしくなかった株式会社の仕組みは、偶然によってアメリカで活躍し、後述のようにグローバルに生き残ることとなります。
このあとの1970年代まで、アメリカ型「アングロサクソン・モデル」は200年近くにわたって繁栄することになります。「パックス・アメリカーナ」とは、「パックス・アングロサクソンモデル」でもあったわけです。アメリカでのアングロサクソン・モデルはこのように政策と一体化したものですが、企業の政治献金も当然のように行われました。
マネジメント、そして金融資本主義へ
「所有と経営の分離」を徹底した「アメリカ型企業」は、20世紀初頭に誕生しました。シアーズがその発端で、ジュリアス・ローゼンワルドに組織運営を委ねた「専門経営者による経営」というマネジメント・システムが誕生しました。
さらに、工場管理はカーネギーによって標準化され、ついでフォードのT型フォードの組立てラインに発展しました。ここら辺は、ドラッカーの本にも必ず登場する事例ですね。大量生産・大量販売をベースとするアメリカ型マーケティング手法が確立したわけです。
このように、もともと多くの資金を呼び込む株式会社としてスタートしたアメリカ型企業だったのですが、プロフェッショナル経営者への経営委任を通じて所有と経営が完全に分離します。本来経営のための資金調達手段であった株式会社の仕組みだったのが、逆に一部の株式所有者(資本家)によって経営を動かされる仕組みができあがってきます。典型的なのがヴァンダービルドやJPモルガンなどの銀行家であり、彼らが産業(とりわけ鉄道)を動かしていきます。
さらに、M&Aがさかんになり、20世紀初頭にはアメリカ産業の大半がトラスト(企業合同)の傘下に入ることとなります。ある意味、企業によって成り立っていたアメリカの緩い企業規制がM&Aを促した、とも考えられます。ロックフェラーのスタンダード・オイル・トラストもこのころです。もちろん反トラスト運動もありましたが、アメリカは州法が強いので、ニューヨーク州デラウェなどのタックス・ヘイブンもあらわれ結局は骨抜きとなりました。このあたりも、他国にはないアメリカの制度上の特色ですね。
アメリカ型「アングロサクソン・モデル」の終焉?とグローバリゼーション
アメリカ企業は二つの大戦によってますます繁栄(特に軍事企業や石油企業)しますが、1970年くらいから徐々に輝きを失っていきます。典型的なのがドル・ショックであり、ベトナム戦争や冷戦による米国経済の疲弊、日本やドイツの工業生産力向上などを背景として、ドルの価値が下落しました。ドル防衛のため1971年に、ニクソン大統領は一律10%の輸入課徴金設定とドルの金交換停止を柱とする緊急経済対策を発表しました。ここに小さな政府と、強大な株式会社によるアメリカ型アングロサクソン・モデルはその終焉をむかえました。
しかし、ここでもアングロサクソン・モデルはなんと生き残ります。終わりかけたアメリカ型アングロサクソン・モデルが、またしても形を変えて生き残ります。これがグローバリゼーションです。イギリスで滅びかけた「原始アングロサクソン・モデル」が、姿をかえてアメリカで生き延びたように、アメリカで滅びかけた「アメリカ型アングロサクソン・モデル」がなんとグローバリゼーション、「グローバル・アングロサクソン・モデル」として普及したのです。
まずイギリスでは、1979年にサッチャー政権がうまれると、アメリカ型の新自由主義的な「小さな政府」を志向した「規制緩和」と「民営化」が掲げられます。イギリスでの株式会社の誕生から4世紀近くたって、アメリカから逆輸入されたわけです。1992年までに国有事業の3分の2が民営化されました。
さらにこのイギリス型新自由主義を逆輸入する形で、アメリカでもカーターとレーガンが「規制緩和」と「民営化」に手を付けます。さらにこのレーガノミクスを模範としたのが小泉改革ですね。こうして、それまで国家で保護していた事業が、民間の「株式会社」となり、株価変動や商品価格の変動による「市場原理」の世界へと放り出されたわけです。
日本人は「グローバリゼーション」というとなんとなくポジティブな印象を持つ方が多いですが、見方を変えればアメリカ型アングロサクソン・モデルの変種でもあるわけです。ビーフシチューを真似て肉じゃがが誕生したように、変種が必ずしも悪いわけではないですが。
次回は、アメリカにおいて変質したアングロサクソン・モデルが生み出した3種の神器についてご説明したいと思います。「3種の神器」とは、現代人をも魅了してやまない「経済学」「ベストプラクティス主義」「アメリカンドリーム」のことです。さきほど「グローバリゼーション=ポジティブなイメージでとらえがち」だと述べましたが、この「3種の神器」による影響が強いのではないでしょうか。
次回、アメリカ型アングロサクソン・モデルとこれらの「3種の神器」がどう蜜月なのかを簡単に紹介したいと思います。
・今回紹介した書籍等のAmazonリンク先→https://note.com/mba_learning/n/n1ba8eb155c00
・本連載で紹介した書籍のAmazonリンク先→https://note.com/mba_learning/m/m91783b37733d
いいねして著者を応援してみませんか
いいね
※本記事はNewsPicksによって制作されたものではなく、内容の一切の責任はトピックスの発信者であるオーナーが負っています。内容に誤りや不適切な表現がある場合は、報告フォームからご報告ください。』
資本主義の根幹をなすアングロサクソン・モデルとは何か?
https://newspicks.com/news/7820991/body/
『2022/09/27
全体に公開
いいね
MBAでは学べない、独学術と資本主義のサムネイル画像
侍留 啓介
MBAでは学べない、独学術と資本主義
侍留 啓介
フォロー
前回は『ビジネスパーソンも理解していない【理解しやすい政治・経済(経済編)】』を投稿しました。
https://newspicks.com/topics/capitalizm-mba/posts/24?ref=TOPIC_POST_MANAGEMENT_VIEW
記事の中でも触れたのですが、資本主義における私の最大の疑問は「証券市場(セカンダリー市場)はなぜ存在しているのか」ということです。このシンプルな疑問は本当に驚くほど誰も答えられません。経済学者、投資銀行員、そしてサラリーマン、誰一人として。
現在の資本主義は、「強欲資本主義」だと言われますが、その「強欲さ」ある意味正当化しているのがアングロサクソン・モデルです。このモデルを理解しない限り、「22世紀の民主主義」も「新しい資本主義」も構想することは難しいです。なぜならば新しい資本主義は、強欲さそしてアングロサクソンモデルを克服することによってのみ可能となるからです。
ただし、アングロサクソンモデルについてはその発生時期や過程、そして定義にいたるまで未だ統一された見解はありません。したがって、私の解釈には限界があります。またこの問題は資本主義問題全てを扱うことと同義ですので壮大です。何回かにわけて書こうと思っています。皆さんの思考を深める一助となれば幸いです。
偶然発生したアングロサクソン・モデル
多分資本主義と民主主義と呼ばれているものは、僕たちが社会を運営するために無理やりたまたま偶然つくりだされた2つの仕組みで、その2つの仕組みをうまく組み合わせそしてお互いの欠点を補いあうことでどうにかぎりぎりバランスをとっているのが現状なんです
Newspicks 「成田悠輔」が見据える資本主義と民主主義の未来【成毛眞】
成田氏の述べる「たまたま」というのはすごく重要です。我々が程度の差こそあれ、優れたシステムだと考える資本主義も民主主義も偶然の産物にすぎません。資本主義は必須のものではなく、皆がそう信じているという宗教に近いものです。逆に、優れたシステムをデザインすると、たとえばファシズムのような形態になります。ですので、資本主義を絶対化して信仰することも、逆に改良主義によってデザインすることもともに危険性を伴います。
もとはといえば、「アングロサクソン」は、アングル人とサクソン人のことでした。「西のサクソン王国」を意味するウェセックスの王が、9世紀に七王国を統一して覇権を樹立した国が、「アングル人」を意味する「イングランド」です。アングル人とサクソン人のM&Aによる結果が「アングロサクソン」なのです。
この「イングランド」で16世紀末に誕生したものが「市場原理」と「株式会社」です。当初の「アングロサクソン・モデル」は「市場原理」と「株式会社」によって成り立つ市場原理であり、それ以上でもそれ以下でもなかったのです。仮に、ここではこの当初のアングロサクソン・モデルを「原始モデル」と名付けておきます。
もともとのアングロサクソン・モデルは何であったのか?
それではなぜ、アングロサクソンの原始モデルが誕生したのでしょうか?それは物の輸送と関係があります。
物は共同体の中においては使用価値しかもちませんが、その余剰品が市で取引されると交換価値をもちます。今手元にあるHKKBのキーボードも私にとってはキーボードの使用価値しかもちませんが、メルカリに出せば高い値段で取引される(交換価値)ことと同じです。
最近使っているHKKBのキーボード
欧州では14世紀頃になると職人や職人組合による製品技術が向上し、その製品価格が農産物価格を上回るようになりました。そうすると地産地消にむいている農作物ではなく、耐久性のある製品を運ぶ都市の市が次々に結ばれ、交易ロードが拡充しました。
さらに16世紀になると、こうした市が大市となりました。さらに17世紀には、新興のアムステルダムで取引所が開設されたり、ロンドンではコーヒーハウスなどの私設取引所が設けられるようになりました。この取引所では、使用価値が記号化した貨幣によって、万物の商品が記号化された証券が交換され、トレーダーの売り買いによって刻々とプライシング(価格付け)されるようになります。この取引が、「市場原理」(あるいは、神の見えざる手)として、「アングロサクソン・モデル」の教義となったわけです。
滅びかけた株式会社モデル
ロンドンで本格的な株式会社が誕生するのは17世紀に入るころです。きっかけとなったのは東インド会社(1599年設立)などの特許会社でした。東インド会社は政府と商人が共同で設立したものですが、制度としては4つの機能をもっています。「共同出資」制度、「法人」格の成立、「有限責任」の制度化、「準則主義」、です。これらの機能は、現代の株式会社にもおおよそ受け継がれています。取引所による証券化商品の取引と、株式会社の整備、がイギリスによってつくられた最初の資本主義モデルであり、「原始モデル」であったわけです。
しかし、イギリスではじまった「原始モデル」は、一度滅びかかります。この事実は重要です。「新しい資本主義」を構想する遥か以前に、株式会社資本主義はいったん終わりかけたのです。フランスではジョン・ローによって、イギリスでは南海会社によってバブルがはじけたことで株式会社の問題が露呈したためです。そのため、イギリスを含む欧州では株式会社は衰退し、パートナーシップによる共同経営主義が流行しました。
実はこのパートナーシップによる共同経営を、ポスト資本主義の一つの基盤にすることも考えられます。実際、マッキンゼーなどの経営コンサルティング会社や、多くの弁護士事務所などは今でもパートナーシップの形態をとっています。20年ほど前までの投資銀行も、その多くはパートナーシップでした。
あいまいな「アングロサクソン・モデル」
いったん滅びかけた「原始モデル」が現代にいたるまで400年以上も世界システムとして機能しているのはなぜでしょうか?
私はそれはシンプルさと柔軟さにあったのではないか、と思っています。現代でも、アジアと西欧・米国のアングロサクソン・モデルのイメージはかなり異なります。米系投資銀行かヘッジファンドのことを「アングロサクソン」と呼ぶこともあれば、排他的で強欲な資本家や経営者を「アングロサクソン」と呼ぶこともあります。
ただし、米国の金融業界や金融人を「アングロサクソン」ということが多い印象はあります。これは次回述べますが、「アングロサクソン・モデル」が新興国アメリカに好都合なモデルであったことに起因するのではないかと、私は見ています。
「アングロサクソン」自体は、先にみたようにイギリス発祥です。「アングロサクソン・モデル」が新興国アメリカに好都合なモデルであったこと。「アングロサクソン・モデル」が「グローバリゼーション」と一体化したことについては、次回述べたいと思います。
・今回紹介した書籍等のリンク先→https://note.com/mba_learning/n/n1fdb5f8a1842
・本連載で紹介した書籍のリンク先→https://note.com/mba_learning/m/m91783b37733d
いいねして著者を応援してみませんか
いいね
※本記事はNewsPicksによって制作されたものではなく、内容の一切の責任はトピックスの発信者であるオーナーが負っています。内容に誤りや不適切な表現がある場合は、報告フォームからご報告ください。』
『AI による概要
アングロサクソン・モデルとは、自由市場競争と株式会社制度を基盤とし、株主の利益最大化を追求する経済・経営システムで、イギリス発祥でアメリカで発展した「株主資本主義」を指し、法の支配、契約の重視、コモンロー(英米法)の伝統、そして言語によるコミュニケーション(交渉力・プレゼン力)が特徴です。
主な特徴
自由市場と競争の重視: 企業は市場での競争を通じて価値を創造し、便益の最大化と費用の最小化を目指します。
株式会社制度と株式市場: 株式市場が中心となり、資金調達と価値創造が行われます。会社は「株主のものである」という考え方が根底にあります。
株主資本主義: 経営者は株主の利益(株価)を最大化する責任(受託責任)を負います。経営と所有の分離が進み、プロ経営者が登場しました。
コモンローとエクイティ: イギリスのコモンロー(判例法)の伝統と、公平性(エクイティ)の概念が法的基盤にあります。
情報とコミュニケーション: 市場参加者間の情報の非対称性を克服するため、プレゼンテーション能力や対話(言語表現)が重要視されます。
特徴的な企業形態: 原始モデル(市場原理と株式会社)から始まり、アメリカで「株式会社」が発展しましたが、一度衰退しかけた歴史もあります。
発展と変容
「原始モデル」: イギリスで誕生した、市場原理と株式会社によるシンプルなモデル。
アメリカ型モデル: 大量生産・大量販売、プロ経営者の登場、M&Aによる企業合同(トラスト)などを経て、金融資本主義へと発展しました。
グローバル型モデル: 現代のグローバル資本主義におけるアングロサクソン・モデルであり、国際的な資本市場の主役となっていますが、利益相反などの課題も抱えています。
対義的なモデル(参考)
アングロサクソン・モデルが「株主資本主義」であるのに対し、ドイツや日本に見られる「労使協調」や「ステークホルダー資本主義」とは対照的です。
まとめ
アングロサクソン・モデルは、自由な市場、株式会社、株主利益最大化、法と契約を核とし、現代のグローバル経済を牽引するシステムですが、その運用には常に課題と変革の可能性があります。
資本主義の根幹をなすアングロサクソン・モデルとは何か?
2022/09/25 — アングル人とサクソン人のM&Aによる結果が「アングロサクソン」なのです。 * この「イングランド」で…
NewsPicks
はじめに
アングロサクソン・モデ ルは、自由市場における競争を重視する。 自由市場取引においては、商品や サービスの便益と費用が計…
ダイヤモンド社
アメリカンドリームとアングロサクソン・モデル – NewsPicks
2022/09/27 — 偶然性のアングロサクソン・モデル 前回までで見た通り「アングロサクソン」はそもそもアングロ人とサクソ…
NewsPicks
すべて表示
AI モードでさらに詳しく
AI の回答には間違いが含まれている場合があります。 詳細
』
iPhone低価格な「メタレンズ」採用へ、薄くて生産性に優れノッチやカメラの出っ張りも解消
https://buzzap.jp/news/20230413-iphone-and-ipad-pro-with-metalens-from-2024/


『2023年4月13日 16:00 by noneカテゴリー モバイルタグ Apple iPhone
PhoneやiPadに「メタレンズ」と呼ばれる新技術が採用されるようです。
カメラの薄型化からノッチやパンチホールの消失など、スマホを大きく進化させる画期的なものになりそうです。詳細は以下から。
Apple関連の確度の高いリーク情報などで著名なアナリスト、ミンチー・クオ氏の投稿によると、Appleは2024年にも「メタレンズ」と呼ばれるレンズをiPad ProやiPhoneなどに採用するそうです。
これは同社のサプライヤーであるTSMCとVisEraにより技術が提供され実現するもの。
メタレンズは通常のものより薄く平らで、従来レンズを何枚も重ねていたのと同じ作用を1枚で生み出せるとされています。
さらに半導体と同じ設備での大量生産が可能なため、今までのレンズをより低価格で薄型なものに置き換えることができるとのこと。
まず2024年に、より出荷数の少ないiPad Proの背面カメラに採用し、2025年から2026年にかけてiPhoneのFace IDカメラでも使用されるとしています。
背面カメラに使用されればバンプ(出っ張り)が薄くなるのはもちろん、Face IDカメラのレンズが1枚になればより多くの光を取り込めるようになるため、ディスプレイ上部のノッチやパンチホールも消える可能性もあります。
また、AppleのAR/MRヘッドセットにも使われる可能性もあり、メガネ型のヘッドマウントディスプレイが成功すればさらにメタレンズの出荷の増加も見込めるそうです。
製造プロセスを考えると、すべてがメタレンズに置き換えられるのは2028年から2030年の間とのことで、iPhoneをはじめあらゆるカメラ付きデバイスに恩恵がありそうな技術の発展に期待が膨らみます。
』
メタレンズとは?原理・設計フロー・設計事例を徹底解説
https://www.cybernet.co.jp/optical/column_glossary/column/lumerical/metalens/









『光学分野に革命を起こす!近年注目が集まっているメタレンズについて、
その概要から、設計フローや解析事例、設計ツールをご紹介いたします。
INDEX
半導体業界も注目!メタレンズの基本原理と従来レンズとの違い
メタレンズの設計手法をステップ解説
メタレンズ関連資料・過去セミナー動画
メタレンズ設計に使える光学解析ソフトウェア
TOPIC 1
半導体業界も注目!
メタレンズの基本原理と従来レンズとの違い
高度化する自動運転の実現など、高解像のマイクロ光学センサーの需要が増える中、急激に注目が高まる光学技術「メタレンズ」。
光学関連業界はもちろん、その製造プロセスから半導体業界の新しいポートフォリオとしても注目を集めています。
従来のレンズは、ガラスやプラスチックなどの材料を研磨して作成していました。対してメタレンズは、半導体製造現場ですでに使われている装置を用いて大量生産することが可能とされ、かつ制御性に優れ高性能・超薄型と、これまでの光学レンズの常識を覆す技術です。
現在は大学による生産手法の最適化など技術的には研究開発のフェーズといえます。だからこそ、スマートフォン、監視カメラ、VR/ARデバイスなど、より小型で高性能なレンズ技術が求められるカメラセンサー分野にいち早くメタレンズを活用することができれば、一気に市場を掴める可能性があります。
本ページでは、そんなメタレンズについて、概要や設計フローなどを解説します。
ご相談・お問い合わせはこちら
メタレンズの原理と特長
メタレンズは、従来のレンズとは異なる原理で集光するレンズです。
従来のレンズは、ガラスやプラスチックなどの材料を用いて光を屈折させ、焦点を結びますが、メタレンズは メタマテリアル と呼ばれる特殊な材料を用いて、光の振る舞いを制御します。
メタマテリアルとは、通常の材料にはない特異な光学特性を持つ人工的な材料です。光の波長よりも細かな構造を制御することで、光を操作します。これにより非常に高い分解能で物体を観察したり、光を通常のレンズではできない方法で操作することが可能になります。
これを用いれば、厚みが髪の毛よりも薄いレンズや、光の波長や偏光ごとに特性が異なるレンズなども実現できる可能性があります
またメタレンズは、ナノサイズの構造体を平板上に配置して光を操作するため、非常に薄く、軽量で、従来のレンズよりも高い自由度を持っているのも大きな特長です。
用語集 – メタレンズ
実用化ももうすぐ? 期待される活用分野
メタレンズの技術はここ数年で急速に発展してきましたが、未だ研究段階のフェーズで、完全な実用には至っていません。
今後、大量生産が実現すれば、様々な分野での活用が見込まれます。
拡張現実(AR)デバイス
ARデバイスの透過型ディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD)に活用すれば、デバイスをより小型化し、ARコンテンツが現実世界と自然に融合した、より鮮明でリアルな体験をユーザーに提供できるようになると考えられます。
AR-VRページ
カメラシステム
従来のレンズに比べ薄くて軽量でありながら、広い視野角や高い解像度を提供できます。
スマートフォンのカメラに取り入れれば、カメラの出っ張りを完全にフラットにできるかもしれません。
赤外線や温度など人間の目には見えない情報を取得するカメラ等では、実用化も近いと言われています。
医療機器
内視鏡や顕微鏡にメタレンズを利用することで、高い解像度、深い被写界深度、より高度な情報の取得により詳細な診断や手術が可能になるかもしれません。医療機器のサイズも小型化でき、操作性や患者の負担が軽減できます。
ヘルスケアソリューションページへ
光学センサー
LiDARセンサーや3Dセンサーにおいて大幅な光学系の小型化が可能です。
すでに製品化されているものもあり、さらに自動運転車やロボットの精密なナビゲーション・認識機能への拡大が期待されます。
メタレンズの3つの課題と設計の未来
このように、光学をはじめとした多数の分野にイノベーションを起こすと期待されているメタレンズですが、実用にあたってはまだまだ課題もあります。
製造精度の問題
メタレンズは非常に小さなスケールでの製造が要求されるため、高い製造精度が必要です。ナノスケールでの精密な構造を持つため、製造過程での微小な誤差が光学性能に大きな影響を与える可能性があります。
材料の制約
メタレンズの設計には適切な材料が必要です。これらの材料は高い屈折率や特定の波長に対する適切な透過率を持つ必要がありますが、現在の技術ではこの材料の選択肢が限られています。また、新しい材料の開発には多くの研究とコストがかかります。
設計の複雑さ
メタレンズは複雑なナノ構造を持っており、これを正確に設計するためには高度なシミュレーション技術と専門知識が必要です。
特に、異なる波長や入射角に対して最適な性能を発揮するように設計することは困難であり、設計の最適化には多くの試行錯誤が伴います。
これらの課題を解決するため、今も世界で研究が進められています。
2025年1月には、東京大学大学院の研究で、半導体露光プロセスのみを用いて平面レンズを大量生産することが可能な手法を開発することに成功したとの発表がありました。技術としての実用化も日々近づいています。
このように、メタレンズは製造面からみると半導体技術でありながら、実用においては新たな市場と応用領域を生み出す革新的な光学技術として、広く業界の注目を集めているのです。
ご相談・お問い合わせはこちら
TOPIC 2
メタレンズの基本的な設計手法をステップ解説
では、具体的にどのように設計を行うのでしょうか?
メタレンズの設計には、微小なナノ構造(メタ原子)の解析から、レンズ寸法に合わせてメタ原子を配置する手法、メタレンズ全体としてどのような振る舞いを示すのかの光の伝搬特性解析など、様々な段階での設計が必要となります。
ここではもっとも基本的な設計フローについて解説します。
1.メタ原子の特性解析
ナノフォトニクス解析ツールを活用し、例えばメタ原子として円柱ピラーを選択した場合にはピラー径や高さによる特性の変化を解析することで、設計に必要な寸法の把握を行えます。
製造の制約が事前にわかっている場合はそれをフィードバックすることでスムースに試作に移行できます。
2.メタ原子の配置検討
要求仕様が高いほど高度なアルゴリズムが必要となる場合がありますが、この例では設計したい位相に合致するピラーの半径を決定することで一意にメタレンズの構造を決める事ができます。
3.光学特性解析
焦点距離やPSF(点像強度分布)等の確認を行います。この際に設計波長以外の特性や斜め入射による影響もチェックします。
さらに設計ツールの設定調整を行うことで、色消しメタレンズ、偏光依存型メタレンズなど、様々な特性を持ったメタレンズを設計することができます。
メタレンズの設計委託事例はこちら
TOPIC 3
メタレンズ関連資料・過去セミナー動画
ここでは、当社のメタレンズ設計支援に関わる概要資料や、過去に開催したセミナー動画、設計事例などをご覧いただけます。
メタレンズ・メタサーフェスとは?設計解析に必要なCAE環境紹介 (ダウンロード資料)
メタレンズ・メタサーフェスとは?といった概要と、当社によくいただくメタレンズ・メタサーフェスに関するご質問とソリューション、設計に用いる光学製品の機能一覧・比較表を掲載したダウンロード資料です。当社の提供するメタレンズ設計・解析環境について簡単にご紹介しています。
資料(PDF)を開く
Lumericalによるメタレンズの設計事例のご紹介 (過去セミナー動画)
このセミナーでは、メタレンズとは?といった基本的な概要説明と、メタレンズ設計の具体的なフローについて、実際の設計画面のデモを交えながら解説します。
単一ナノ構造の解析からメタレンズの焦点分布の評価までを、光学ソフトAnsys Lumericalを用いて実施しました。無料でご覧いただけますので、メタレンズ・メタサーフェスの研究開発をされている方、メタレンズの設計に興味のある方はぜひご覧ください。(動画時間 27:39)
視聴お申込フォームはこちら
メタサーフェス設計の実践ガイド ~基本設計から公差解析までワンストップで実現~(過去セミナー動画)
本セミナーでは、微細構造・メタサーフェス解析ソフトウェアPlanOpSimを用いて、mmオーダーのメタサーフェス解析方法から、ビームシェイパやカラールーティング・ホログラフィック用途のメタサーフェス設計例、メタサーフェスの感度解析やモンテカルロ解析をPlanOpSim上で実践する手法をご紹介いたします。PlanOpSimについて、メタサーフェス設計ツールとしてのオペレーションがいかに簡便かご体感いただけます。(動画時間 51:58)
視聴お申込フォームはこちら
その他のメタレンズ関連事例
Lumericalによるメタレンズの設計事例とRCWA法のご紹介(過去セミナー動画)
Lumerical-Ansys Zemax OpticStudio連携によるメタレンズの設計解析手法(ダウンロード資料)
ZemaxとPlanOpSim連携メタレンズSim ~メタレンズの幾何光学的な結像解析まで~(過去セミナー動画)
~メタレンズ設計者に向けた強力なシミュレーション支援~ 解析ワークフローから実践的なツール操作方法を紹介(過去セミナー動画)
TOPIC 4
メタレンズ設計に使える光学解析ソフトウェア
当社で取り扱っている光学解析ソフトウェアのうち、メタレンズ設計に適した製品をご紹介します。
微細構造・メタサーフェス解析ソフトウェア PlanOpSim
ナノ構造設計から製造用のレイアウトファイルの出力までを一貫して行うことができ、メタサーフェス・微細光学素子の設計・開発を促進します。
計算専用のハードウェアが不要で、特殊な要件のメタレンズ設計にも対応しています。
また、開発元との協業により、設計したメタレンズの試作支援まで対応可能です。
メタレンズを取り入れたいが、試作・製造に課題があり踏み出せない・・というお客様はぜひ一度ご相談ください。
製品ページを見る
製品紹介・操作感を動画で見る
光学設計ソフトウェア Ansys Zemax OpticStudio
多種多様な業界で光学製品の設計開発に用いられており、結像光学系、照明光学系、レーザー光学系などアプリケーションを問わずモデリングが可能です。
Ansys Lumericalなどと連携することで、メタレンズの設計・解析が効率的に行えます。
製品ページを見る
製品紹介・操作感を動画で見る
フォトニクス解析ソフトウェア Ansys Lumerical
ナノサイズの光シミュレーションを可能にし、ナノ構造デバイス、光回路システムの開発を支援します。メタレンズ解析では、RCWAを用いた単位構造の解析から、FDTDによるメタレンズ全体の伝搬解析までの一連の解析が可能です。
製品ページを見る
製品紹介・操作感を動画で見る
当社では、ソフトウェアの本導入前に使用感や適応性を確認したいというご要望にお答えし、これらの製品について無償トライアル版をご用意しております。
そのほか、「自社のニーズに対してどの製品が向いているかわからない」「具体的な費用感を知りたい」などのご相談は、以下お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
ご相談・お問い合わせはこちら
サイバネット 光学エンジニアリングサービス
メタレンズ技術を自社レンズや光源と合わせたらどうなるか解析したい
ノウハウがないので実際の設計方法を手順化してレクチャーしてほしい
光学解析に加え熱や構造など総合的な解析が必要になったが知識がない
このようなご相談については、当社のエンジニアリングサービスをご利用ください。
多くの企業様からメタレンズの相談を受けてきた経験豊富なメンバーが、御社の課題解決のサポートをさせていただきます。
光学エンジニアリングサービスの詳細を見る』
世界初、通常のデジタルカメラにメタレンズとAIを組み合わせてハイパースペクトル画像・動画の取得を実現する技術を確立
https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/10/24/221024a.html





『2022年10月24日
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、メタレンズ(※1)とよばれる革新的光学技術とAI に基づく最先端画像処理技術を密に融合することで、通常のデジタルカメラのレンズをメタレンズに置き換えるだけで、詳細な色情報画像であるハイパースペクトル画像(※2)を取得できるイメージング技術を開発しました。本技術により、これまでカメラの大型化や解像度・フレームレート(※3)の低下をもたらしていたハイパースペクトルカメラ特有の構造や仕組みが不要となり高解像度なハイパースペクトル画像の動画の撮像が可能となりました。今回、実際に本技術を通常のデジタルカメラに適用し、HD解像度・フレームレート30fpsの条件下で、可視光から近赤外光に渡る波長バンド数45のハイパースペクトル画像の撮影ができ、動画の撮影も可能であることを世界で初めて示しました。本技術により、人などの動体の撮影、ドローンなどの移動体からの撮影を高解像度な条件下で行うことが可能となり、人間の目でも把握困難な被写体の性質を見分けられるハイパースペクトル画像による農林水産業やヘルスケア産業、製造業のスマート化への活用が期待されます。
本成果は、2022年11月16日~18日に開催される NTT R&D フォーラム ― Road to IOWN 2022(※4)に展示予定です。
1.背景
NTTでは、IOWN構想(※5)のもとで、環境から様々な情報をセンシングしてサイバー空間で分析・予測を行うことで様々な価値を創出するサイバーフィジカル社会の実現に向けて研究開発を進めています。この取り組みにおける環境のセンシングについては、人間の知覚を超えることで新しい価値の創出をめざしています。これにあたっては、人間の目を模倣した通常のカラー画像よりも多くの色情報(波長)をとらえたハイパースペクトル画像を利用することが考えられ、人間の目でも把握困難な被写体の性質を見分けられる(素材の違い、食物の新鮮さ、植物の生育状況など)ことが知られています。
ハイパースペクトルイメージングの代表的な2つの構成例としてスナップショット方式とラインスキャン方式を図1(左)に示します。通常のデジタルカメラはカラーフィルターで光の3原色である赤青緑の3枚の画像に分解して撮像します。これに対して、スナップショット方式とよばれるハイパースペクトルカメラでは、フィルタの色の数を増すことで、より多くの色情報を取り出しますが、色の数が増えるほど解像度と感度も低下してしまうため、高解像度で高いフレームレートの動画撮影が困難になります。ラインスキャン方式は、コピー機やスキャナーのようにスリットを動かしながら得られるライン状の光学像をつなげて全体の像を取り込みます。ライン状の光学像はプリズムなどの分光素子により波長(色)に沿って広がった平面像としてイメージセンサで取り込まれライン数分の画像がハイパースペクトル画像として取得されます。この場合、感度は保たれるものの、可動スリットを機械的に動かして画像を取り込むのに時間が掛かり、フレームレートはさらに低下することになります。近年、画像情報をもとにした多くの情報サービスは、さまざまな場所やスマートフォンに代表されるモノに組み込まれた小型で高機能なカメラを情報源としています。一方、これまでのハイパースペクトルカメラでは、画像の特性の一部を犠牲にして波長(色)の情報を取り出しているため、フレームレートの低下や、特殊な仕様のイメージセンサ、あるいは特殊な機構が必要となるため大型になり、従来のカラーカメラの置き換えにはならず、適用領域は分析機器や製造ラインでの使用など限定的なものとなっていました。
図1 ハイパースペクトルカメラの構成の比較
図1 ハイパースペクトルカメラの構成の比較
2.技術の概要
今回、NTTは通常のデジタルカメラのレンズをメタレンズに置き換えてAIにより画像処理するだけでハイパースペクトル画像を取得するハイパースペクトルイメージング技術の開発に成功しました。図1(右)に今回提案するハイパースペクトルイメージング技術の構成を示します。通常のデジタルカメラを用いて画像の特性を犠牲にすることなくハイパースペクトルイメージングを実現するために、NTTがこれまで培ってきた光メタサーフェス(※6)を使った明るいメタレンズと、物理的な制約を超えてスペクトル再構成を可能にするAIによるハイパースペクトル画像再構成技術を適用しました。この技術では、図2に示すように通常のデジタルカメラに装着したメタレンズによって様々な波長帯の光を変調・重畳してハイパースペクトル画像よりも大幅に画像数が少ないカラー画像(圧縮画像)としてイメージセンサで撮像し、ハイパースペクトル画像再構成技術によってカラー画像から様々な波長帯に対応したハイパースペクトル画像を再構成します。これにより、光学部分がメタレンズとイメージセンサだけのシンプルな構成となりました。さらに、メタレンズは明るさを失わずに圧縮画像を生成できるため、必要な光を得るための時間を低減して、通常のカメラと同等のフレームレートでの動画撮影を可能にしています。また、イメージセンサで撮像された圧縮画像の解像度でハイパースペクトル画像を再構成するので、解像度も通常のカメラと同等となります。
図2 本技術によるハイパースペクトル画像の再構成
図2 本技術によるハイパースペクトル画像の再構成
今回、実際に通常のデジタルカメラに本技術を適用してハイパースペクトル画像の取得に成功し、カメラのサイズや性能を犠牲にすることなく、高性能なハイパースペクトルイメージングが可能であることを世界で初めて示しました。得られた画像は、可視光から近赤外光に渡る45波長バンドのハイパースペクトル画像で、使用したデジタルカメラの性能を劣化させることなくHD解像度・フレームレート30fpsの動画が得られています。この特性は一般的によく使われているハイパースペクトルカメラよりも解像度およびフレームレートについて優れています。本技術を用いることにより、スマートフォンなど日々進化していくデジタルカメラの機能を自然に拡張してデジタルカメラの画像をハイパースペクトル画像に置き換えることが可能となります。また、動体の撮影、自由に動く移動体からの撮影を高解像度な条件下で行うことが可能となり、非接触での生体情報取得によるヘルスケアへの応用、ドローンから撮影したハイパースペクトル画像の解析による農作物の生育診断など、農林水産業やヘルスケア産業、製造業といった様々な分野への適用が期待されます。
3.技術のポイント
通常のカメラと同等のサイズ、解像度、フレームレートでのハイパースペクトル画像の撮影を実現する、メタレンズとハイパースペクトル画像再構成技術について解説します。
3.1.光情報を圧縮するメタレンズ
本技術の大きな特徴の1つは、非常に微細な構造パターンで構成される最先端レンズ「メタレンズ」の活用です。メタレンズの表面は、数百ナノメートルサイズの光を透過する構造体が多数並んだ光メタサーフェスとよばれる構造になっています。この構造体一つ一つを精密に設計・作製することで、光の波長毎にまったく異なる機能をもつようにデザインされたレンズとして機能させることができます。このようなメタレンズを通常のデジタルカメラに装着して物体を撮影すると、カラー画像でありながら物体の形状・波長情報が効果的に圧縮された「圧縮画像」を取得することが可能となります。またメタレンズは、光透過性が高く、小さいf値(※7)をもつ明るいレンズとして動作させることが可能であるため、短いシャッター時間でより多くの光を効率的にセンサに導くことができ、高いフレームレートでの撮影に適しています。図3に作製したメタレンズ(左図)とレンズを搭載したカメラ(右図)を示します。
図3 作製したメタレンズ(左)とレンズを搭載したカメラ(右)
図3 作製したメタレンズ(左)とレンズを搭載したカメラ(右)
3.2.ハイパースペクトル画像再構成技術
波長情報が重畳された圧縮画像から圧縮される前の状態として、もっともらしいスペクトル画像を推定する必要があります。従来この種の問題には、繰り返し計算に基づく凸最適化アルゴリズムが用いられてきましたが、膨大な計算時間やスペクトル画像のもっともらしさを定義することが困難であることが問題でした。NTTは、凸最適化アルゴリズムの計算手順を元にニューラルネットワークの構造を設計し、既知のハイパースペクトル画像から「もっともらしい」性質を学習することで、高速・高精度での画像再構成を実現しました。
4.今後の展開
本取り組みにより、メタレンズとハイパースペクトル画像再構成技術を用いたハイパースペクトル画像の取得に関して、実機を用いて基本原理を確認しました。今後は、コラボレーションパートナー様と連携してユースケースへの適用実験を通して、ハイパースペクトル画像の再現精度が十分であるかの検証、およびその結果を踏まえた技術の改良を進めて、実用化をめざします。なお、本成果は、2022年11月16日~18日に開催される NTT R&D FORUM ― Road to IOWN 2022に展示予定です。
【用語解説】
※1
メタレンズ:超越したレンズという意味で、材料の光学的な特性や幾何光学と呼ばれる従来のレンズ設計によりもたらされるレンズの機能や性能を越えたレンズを意味します。ここでは、光メタサーフェスの原理に基づいてメタレンズを実現しています。
※2
ハイパースペクトル画像:通常のデジタルカメラ(カラー画像を取得するカメラ)よりも多数の色情報(波長)に分光して撮像した画像です。一つのハイパースペクトル画像は各々の色情報に対応した画像で構成され、一般的には数十以上の画像で構成されます。
※3
フレームレート/fps:動画が1秒間あたりいくつの画像で構成されているかを意味し、単位としてfps(frames per second)が用いられます。フレームレートが大きな値であるほど被写体の動きが滑らかな動画となります。
※4
「NTT R&Dフォーラム Road to IOWN 2022」 URL:https://www.rd.ntt/forum/当該ページを別ウィンドウで開きます
NTT R&D forum Road to IOWN 2022 2022. 11/16 wed. – 11/18 fri.当該ページを別ウィンドウで開きます
※5
IOWN構想:「IOWN構想」とは、革新的な技術によりこれまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。
URL:https://www.rd.ntt/iown/0001.html当該ページを別ウィンドウで開きます
※6
光メタサーフェス:光学的な性質が超越した表面という意味で、人工的な構造により、材料本来の特性では実現できない光学性質を実現する技術です。
※7
f値:カメラのレンズの特性を示す一般的な指標として用いられます。レンズの明るさを示します。絞り値ともよばれ、小さい値であるほどレンズは明るい(多くの光を集められる)ことを意味します。
本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
日本電信電話株式会社
サービスイノベーション総合研究所
企画部広報担当
nttrd-pr@ml.ntt.com
ニュースリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。』
光学分野に革命を起こす!近年注目が集まっているメタレンズについて、
その概要から、設計フローや解析事例、設計ツールをご紹介いたします。
https://www.cybernet.co.jp/optical/column_glossary/column/lumerical/metalens/








『INDEX
半導体業界も注目!メタレンズの基本原理と従来レンズとの違い
メタレンズの設計手法をステップ解説
メタレンズ関連資料・過去セミナー動画
メタレンズ設計に使える光学解析ソフトウェア
TOPIC 1
半導体業界も注目!
メタレンズの基本原理と従来レンズとの違い
高度化する自動運転の実現など、高解像のマイクロ光学センサーの需要が増える中、急激に注目が高まる光学技術「メタレンズ」。
光学関連業界はもちろん、その製造プロセスから半導体業界の新しいポートフォリオとしても注目を集めています。
従来のレンズは、ガラスやプラスチックなどの材料を研磨して作成していました。対してメタレンズは、半導体製造現場ですでに使われている装置を用いて大量生産することが可能とされ、かつ制御性に優れ高性能・超薄型と、これまでの光学レンズの常識を覆す技術です。
現在は大学による生産手法の最適化など技術的には研究開発のフェーズといえます。だからこそ、スマートフォン、監視カメラ、VR/ARデバイスなど、より小型で高性能なレンズ技術が求められるカメラセンサー分野にいち早くメタレンズを活用することができれば、一気に市場を掴める可能性があります。
本ページでは、そんなメタレンズについて、概要や設計フローなどを解説します。
ご相談・お問い合わせはこちら
メタレンズの原理と特長
メタレンズは、従来のレンズとは異なる原理で集光するレンズです。
従来のレンズは、ガラスやプラスチックなどの材料を用いて光を屈折させ、焦点を結びますが、メタレンズは メタマテリアル と呼ばれる特殊な材料を用いて、光の振る舞いを制御します。
メタマテリアルとは、通常の材料にはない特異な光学特性を持つ人工的な材料です。光の波長よりも細かな構造を制御することで、光を操作します。これにより非常に高い分解能で物体を観察したり、光を通常のレンズではできない方法で操作することが可能になります。
これを用いれば、厚みが髪の毛よりも薄いレンズや、光の波長や偏光ごとに特性が異なるレンズなども実現できる可能性があります
またメタレンズは、ナノサイズの構造体を平板上に配置して光を操作するため、非常に薄く、軽量で、従来のレンズよりも高い自由度を持っているのも大きな特長です。
用語集 – メタレンズ
実用化ももうすぐ? 期待される活用分野
メタレンズの技術はここ数年で急速に発展してきましたが、未だ研究段階のフェーズで、完全な実用には至っていません。
今後、大量生産が実現すれば、様々な分野での活用が見込まれます。
拡張現実(AR)デバイス
ARデバイスの透過型ディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD)に活用すれば、デバイスをより小型化し、ARコンテンツが現実世界と自然に融合した、より鮮明でリアルな体験をユーザーに提供できるようになると考えられます。
AR-VRページ
カメラシステム
従来のレンズに比べ薄くて軽量でありながら、広い視野角や高い解像度を提供できます。
スマートフォンのカメラに取り入れれば、カメラの出っ張りを完全にフラットにできるかもしれません。
赤外線や温度など人間の目には見えない情報を取得するカメラ等では、実用化も近いと言われています。
医療機器
内視鏡や顕微鏡にメタレンズを利用することで、高い解像度、深い被写界深度、より高度な情報の取得により詳細な診断や手術が可能になるかもしれません。医療機器のサイズも小型化でき、操作性や患者の負担が軽減できます。
ヘルスケアソリューションページへ
光学センサー
LiDARセンサーや3Dセンサーにおいて大幅な光学系の小型化が可能です。
すでに製品化されているものもあり、さらに自動運転車やロボットの精密なナビゲーション・認識機能への拡大が期待されます。
メタレンズの3つの課題と設計の未来
このように、光学をはじめとした多数の分野にイノベーションを起こすと期待されているメタレンズですが、実用にあたってはまだまだ課題もあります。
製造精度の問題
メタレンズは非常に小さなスケールでの製造が要求されるため、高い製造精度が必要です。ナノスケールでの精密な構造を持つため、製造過程での微小な誤差が光学性能に大きな影響を与える可能性があります。
材料の制約
メタレンズの設計には適切な材料が必要です。これらの材料は高い屈折率や特定の波長に対する適切な透過率を持つ必要がありますが、現在の技術ではこの材料の選択肢が限られています。また、新しい材料の開発には多くの研究とコストがかかります。
設計の複雑さ
メタレンズは複雑なナノ構造を持っており、これを正確に設計するためには高度なシミュレーション技術と専門知識が必要です。
特に、異なる波長や入射角に対して最適な性能を発揮するように設計することは困難であり、設計の最適化には多くの試行錯誤が伴います。
これらの課題を解決するため、今も世界で研究が進められています。
2025年1月には、東京大学大学院の研究で、半導体露光プロセスのみを用いて平面レンズを大量生産することが可能な手法を開発することに成功したとの発表がありました。技術としての実用化も日々近づいています。
このように、メタレンズは製造面からみると半導体技術でありながら、実用においては新たな市場と応用領域を生み出す革新的な光学技術として、広く業界の注目を集めているのです。
ご相談・お問い合わせはこちら
TOPIC 2
メタレンズの基本的な設計手法をステップ解説
では、具体的にどのように設計を行うのでしょうか?
メタレンズの設計には、微小なナノ構造(メタ原子)の解析から、レンズ寸法に合わせてメタ原子を配置する手法、メタレンズ全体としてどのような振る舞いを示すのかの光の伝搬特性解析など、様々な段階での設計が必要となります。
ここではもっとも基本的な設計フローについて解説します。
1.メタ原子の特性解析
ナノフォトニクス解析ツールを活用し、例えばメタ原子として円柱ピラーを選択した場合にはピラー径や高さによる特性の変化を解析することで、設計に必要な寸法の把握を行えます。
製造の制約が事前にわかっている場合はそれをフィードバックすることでスムースに試作に移行できます。
2.メタ原子の配置検討
要求仕様が高いほど高度なアルゴリズムが必要となる場合がありますが、この例では設計したい位相に合致するピラーの半径を決定することで一意にメタレンズの構造を決める事ができます。
3.光学特性解析
焦点距離やPSF(点像強度分布)等の確認を行います。この際に設計波長以外の特性や斜め入射による影響もチェックします。
さらに設計ツールの設定調整を行うことで、色消しメタレンズ、偏光依存型メタレンズなど、様々な特性を持ったメタレンズを設計することができます。
メタレンズの設計委託事例はこちら
TOPIC 3
メタレンズ関連資料・過去セミナー動画
ここでは、当社のメタレンズ設計支援に関わる概要資料や、過去に開催したセミナー動画、設計事例などをご覧いただけます。
メタレンズ・メタサーフェスとは?設計解析に必要なCAE環境紹介 (ダウンロード資料)
メタレンズ・メタサーフェスとは?といった概要と、当社によくいただくメタレンズ・メタサーフェスに関するご質問とソリューション、設計に用いる光学製品の機能一覧・比較表を掲載したダウンロード資料です。当社の提供するメタレンズ設計・解析環境について簡単にご紹介しています。
資料(PDF)を開く
Lumericalによるメタレンズの設計事例のご紹介 (過去セミナー動画)
このセミナーでは、メタレンズとは?といった基本的な概要説明と、メタレンズ設計の具体的なフローについて、実際の設計画面のデモを交えながら解説します。
単一ナノ構造の解析からメタレンズの焦点分布の評価までを、光学ソフトAnsys Lumericalを用いて実施しました。無料でご覧いただけますので、メタレンズ・メタサーフェスの研究開発をされている方、メタレンズの設計に興味のある方はぜひご覧ください。(動画時間 27:39)
視聴お申込フォームはこちら
メタサーフェス設計の実践ガイド ~基本設計から公差解析までワンストップで実現~(過去セミナー動画)
本セミナーでは、微細構造・メタサーフェス解析ソフトウェアPlanOpSimを用いて、mmオーダーのメタサーフェス解析方法から、ビームシェイパやカラールーティング・ホログラフィック用途のメタサーフェス設計例、メタサーフェスの感度解析やモンテカルロ解析をPlanOpSim上で実践する手法をご紹介いたします。PlanOpSimについて、メタサーフェス設計ツールとしてのオペレーションがいかに簡便かご体感いただけます。(動画時間 51:58)
視聴お申込フォームはこちら
その他のメタレンズ関連事例
Lumericalによるメタレンズの設計事例とRCWA法のご紹介(過去セミナー動画)
Lumerical-Ansys Zemax OpticStudio連携によるメタレンズの設計解析手法(ダウンロード資料)
ZemaxとPlanOpSim連携メタレンズSim ~メタレンズの幾何光学的な結像解析まで~(過去セミナー動画)
~メタレンズ設計者に向けた強力なシミュレーション支援~ 解析ワークフローから実践的なツール操作方法を紹介(過去セミナー動画)
TOPIC 4
メタレンズ設計に使える光学解析ソフトウェア
当社で取り扱っている光学解析ソフトウェアのうち、メタレンズ設計に適した製品をご紹介します。
微細構造・メタサーフェス解析ソフトウェア PlanOpSim
ナノ構造設計から製造用のレイアウトファイルの出力までを一貫して行うことができ、メタサーフェス・微細光学素子の設計・開発を促進します。
計算専用のハードウェアが不要で、特殊な要件のメタレンズ設計にも対応しています。
また、開発元との協業により、設計したメタレンズの試作支援まで対応可能です。
メタレンズを取り入れたいが、試作・製造に課題があり踏み出せない・・というお客様はぜひ一度ご相談ください。
製品ページを見る
製品紹介・操作感を動画で見る
光学設計ソフトウェア Ansys Zemax OpticStudio
多種多様な業界で光学製品の設計開発に用いられており、結像光学系、照明光学系、レーザー光学系などアプリケーションを問わずモデリングが可能です。
Ansys Lumericalなどと連携することで、メタレンズの設計・解析が効率的に行えます。
製品ページを見る
製品紹介・操作感を動画で見る
フォトニクス解析ソフトウェア Ansys Lumerical
ナノサイズの光シミュレーションを可能にし、ナノ構造デバイス、光回路システムの開発を支援します。メタレンズ解析では、RCWAを用いた単位構造の解析から、FDTDによるメタレンズ全体の伝搬解析までの一連の解析が可能です。
製品ページを見る
製品紹介・操作感を動画で見る
当社では、ソフトウェアの本導入前に使用感や適応性を確認したいというご要望にお答えし、これらの製品について無償トライアル版をご用意しております。
そのほか、「自社のニーズに対してどの製品が向いているかわからない」「具体的な費用感を知りたい」などのご相談は、以下お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
ご相談・お問い合わせはこちら
サイバネット 光学エンジニアリングサービス
メタレンズ技術を自社レンズや光源と合わせたらどうなるか解析したい
ノウハウがないので実際の設計方法を手順化してレクチャーしてほしい
光学解析に加え熱や構造など総合的な解析が必要になったが知識がない
このようなご相談については、当社のエンジニアリングサービスをご利用ください。
多くの企業様からメタレンズの相談を受けてきた経験豊富なメンバーが、御社の課題解決のサポートをさせていただきます。
光学エンジニアリングサービスの詳細を見る』
光学革命「メタレンズ」 半導体技術で薄く安く
注目キーワード
https://www.nikkei.com/prime/tech-foresight/article/DGXZQOUC116CN0R11C25A1000000
『2025年11月12日 5:00
メタレンズとは、シリコン(Si)やガラスに波長以下の微小な柱(ナノピラー)を多数配置することで、光の波長や位相、偏光を制御できるレンズ型の光学素子である。光を自在に操る革新技術の歴史は浅く、参入の余地が大きい。研究段階を突破し、いよいよ市場が立ち上がろうとしている。
従来のレンズは、複数枚のレンズやフィルターを組み合わせて光を集めたり補正したりする。メタレンズは、これを1枚の薄型レンズで実現でき…
ご登録で全文お読みいただけます。
今なら2カ月無料体験キャンペーン実施中です。(~2/5)』
レンズの常識を覆す「メタレンズ」、何がすごいのか 3分解説
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG272OT0X21C25A1000000/

『2025年12月26日 6:00
「光学革命」とも呼ばれる革新的なレンズが登場しています。「メタレンズ」といい、これまでは考えられなかったような薄さで高機能を持ちます。国内外の企業が相次いで開発を進める最新技術を、NIKKEI Tech Foresightの久米秀尚編集長が解説します。スキマ時間に刺さる音声コンテンツNIKKEI PrimeVOICE(日経プライムボイス)は専門メディア編集長6人がイチ押し記事をお届けします。音声コンテンツはSpotify、Apple Podcast、Amazon Musicで配信しています。
NIKKEI Tech Foresightに詳細を掲載
「光学革命『メタレンズ』 半導体技術で薄く安く」』