岸田首相とバイデン米大統領の共同記者会見・詳報

岸田首相とバイデン米大統領の共同記者会見・詳報
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA10DMJ0Q4A410C2000000/

『2024年4月11日 2:44 (2024年4月11日 5:46更新)

訪米中の岸田文雄首相は10日(日本時間11日未明)、ホワイトハウスでバイデン大統領との共同記者会見に臨んだ。「今こそ日米両国がグローバルなパートナーとして真価を発揮すべき時だ」と語った。

日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収について質問が出た。首相は「当事者間で話し合われていると承知している」と指摘した。「日米両国にとっていい話し合いになることを期待している。法に基づき適正に手続きが進めら…

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『法に基づき適正に手続きが進められる」と述べた。

バイデン氏は「私は米労働者への私の約束を守り続ける」と答えた。買収に反対する労働組合に寄り添う姿勢を改めて示した。「私は同盟国への約束も守る」とも加えた。

日米の経済関係に関して「かつてないほど強固だ」と訴えた。「日本は米国にとってトップの外国投資家だ」と力説した。100万人ほどの米国人が米国内の日本企業に雇用されていると説明した。

バイデン氏「AUKUSは日米協力の新たなベンチマーク」

バイデン氏は米英豪3カ国による安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」に日本が技術面で協力する検討を始めたと触れ「日米の軍事協力の新たなベンチマークとなる」と言明した。

首相は「日本はAUKUSの取り組みを一貫して支持してきている」と述べた。「米英豪とはこれまでもさまざまな関係を構築してきているが、日本としてAUKUSとの協力関係について決まったことはない」とも語った。

共同声明では「未来のためのグローバルパートナー」として世界の課題に共に責任を持って対処する方針を打ち出した(ワシントン、10日)=ロイター

バイデン氏「日米は真の世界的パートナーシップへ変貌」

バイデン氏は記者会見の冒頭で「この3年間で、日米間のパートナーシップは真のグローバルパートナーシップへと変貌を遂げた」と強調した。「岸田首相の勇気あるリーダーシップのおかげだ」とたたえた。

両国の安全保障協力について「日米両軍がシームレスかつ効果的に連携できるように、相互運用性と計画性を高めている」と発言した。「これは日米同盟が発足して以来、最も重要なアップグレードだ」と訴えた。

首相「現状変更の試みは断じて許容せず」 

首相は「人間の尊厳が守られる世界をつくる責任をともに果たそう。日本は常に米国とともにある」とバイデン氏に呼びかけた。日米同盟の抑止力の一層の強化が急務との認識で一致したと話した。

「力や威圧による一方的な現状変更の試みは世界のいかなる場所であれ断じて許容できない。同盟国・同志国と連携し毅然として対応していく」と強調した。

中国について「大国としての責任を果たすよう働きかける。あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていく」と表明した。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す考えを示した。

バイデン氏は日米同盟に関して「まさに防衛的なものだ」と指摘した。「特定の国を狙ったものでもなければ、この地域の脅威でもない」と言及した。

米中関係を巡り「双方のコミュニケーションのラインを改善し続けている」と説明した。習近平(シー・ジンピン)国家主席との関係について「私たちは何か話し合いたいことがあればいつでも個人的に連絡を取り合うことで合意している」と語った。

岸田首相(写真左)とともに記者会見で話すバイデン米大統領(10日、ワシントン)=AP

バイデン氏「北朝鮮問題、岸田首相の計画について話した」 

首相は北朝鮮による日本人の拉致問題に触れ、バイデン氏の理解や支持を得たと明らかにした。「日朝間の実りある関係を樹立することは双方の利益に合致する」と話した。「諸懸案の解決に向けて首脳会談を実現すべく私直轄のハイレベルでの協議を進めていく方針に変わりない」と意欲を示した。

バイデン氏は「同盟国が北朝鮮と対話を始める機会を歓迎する」と表明した。首脳会談の議題として取り上げたと明かし「岸田首相が(会談の)可能性、彼の計画について話した」と触れた。

拉致問題の即時解決が必要との立場を強調した。「北朝鮮は国際社会が抱える深刻な人権・人道上の懸念に対処しなければならない点で私たちは同意している」とも語った。

首相はロシアによるウクライナ侵攻を巡り「日本が自らの問題として厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続していく」との決意を示した。』