中国8月貿易黒字、4カ月連続減 人民元は07年以来の安値https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM075B30X00C23A9000000/
『2023年9月7日 18:38 (2023年9月7日 20:38更新)
【北京=川手伊織】中国の貿易黒字が縮小している。2023年8月はドル建てで前年同月を13.2%下回り、4カ月連続で減少した。輸出の停滞が長引き、貿易で稼いだ資金の流入が細っている。国内経済の回復が鈍いため海外からの債券投資も低調で、人民元には下押し圧力がかかりやすくなっている。
中国税関総署が7日、8月の貿易統計を公表した。輸出は8.8%減の2848億ドル(約42兆円)で4カ月連続のマイナスだっ…
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『輸出は8.8%減の2848億ドル(約42兆円)で4カ月連続のマイナスだった。輸入は7.3%減の2165億ドルと、6カ月連続で前年同月を下回った。輸出の落ち込みが大きく、貿易黒字は5月から2ケタの減少率が続いている。
輸出を品目別にみると、パソコンや関連部品は18%減った。新型コロナウイルス禍で広がった巣ごもり需要がはげ落ちたためだ。労働集約的な玩具や衣類も1〜2割減少した。
米国、欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)といった主要国・地域向けはいずれも1〜2割減った。米国向けは22年8月から減少が続いている。
輸出の不振は当面続く可能性がある。中国国家統計局がまとめた8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)統計のうち、3〜6カ月先の輸出動向を映すとされる海外からの新規受注は5カ月連続で好調・不調の境目である50を割り込んだ。
貿易黒字が減ると、貿易会社が外貨を売って人民元を買う動きが弱まる。中国国家外貨管理局が銀行口座を経由した資金の流出入額をまとめたところ、1〜7月の累計で130億ドルの流出超過だった。通年でも流出が流入を上回れば、19年以来4年ぶりとなる。
国内の景気低迷などをうけ、海外からの債券投資も伸び悩む。香港経由で中国の債券を売買できる「債券通(ボンドコネクト)」などを利用した外国人の元建て債券の保有残高は7月末で3兆2395億元(約65兆円)だった。22年1月のピークから2割減り、23年は横ばいで推移している。
人民元はドルに対して下落しやすくなっている。上海外国為替市場では1ドル=7.3元を下回り、一時07年12月以来、15年9カ月ぶりの安値をつけた。
中国人民銀行(中央銀行)は1日、市中銀行から強制的に預かる外貨の預金準備率を15日から引き下げると発表した。外貨の流動性を高めて、金融機関が人民元を売って外貨を買う動きを弱める狙いだが、元売り圧力を和らげる効果は乏しい。元安が中国からの新たな資金流出を加速させかねない懸念もくすぶる。
8月の輸入は、主要産品である集積回路や自動車部品がいずれも1割減った。内需不足で景気回復がもたついているためで、化粧品類も3割近く落ち込んだ。
8月の日本からの輸入額は前年同月より17%少なかった。中国は東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出に反発し、日本産の水産物輸入を全面的に停止した。SNSでは日本製化粧品の不買を呼びかける動きも出た。
7日に公表した貿易統計は速報データのため、品目別の動向を含んでいない。中国による輸入停止や不買運動が日本からの輸入にどれほどの影響を与えたかは現時点では把握できない。 』