タイでアリババ系通販ラザダに不買運動 「王室を侮辱」

タイでアリババ系通販ラザダに不買運動 「王室を侮辱」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS102LV0Q2A510C2000000/

※ まだまだ、貼りたい記事はある…。

※ しかし、ちょっと疲れて来たんで、今日はこの辺で…。

『【バンコク=村松洋兵】タイで中国・アリババ集団系のネット通販大手ラザダに対する不買運動が広がっている。広告の一環でフェイスブックに投稿された動画が王族を侮辱しているとして、王室支持者から強い批判を浴びた。王室に忠誠を誓う陸軍が軍関係者にラザダの利用を禁止する事態に発展した。

問題の動画は5月5日のセールに合わせて、広告会社から依頼を受けたインフルエンサーが投稿した。タイの伝統衣装をまとった女性らがやりとりしているもので、王室支持者が「特定の王族をからかっている」と糾弾した。ラザダは批判を受けて謝罪し、動画を削除した。

国軍の最高実力者であるナロンパン陸軍司令官は9日、すべての陸軍関係者にラザダでの商品購入を禁止する命令を出した。陸軍副報道官は「不適切な行いをした組織に社会的措置を講じて王室を守る」と述べた。王室関係の商品を取り扱う小売事業者などが、ラザダへの出品を停止する動きも出ている。

ネット行政を所管するチャイウット・デジタル経済社会相は、ラザダや動画投稿者に対して法的措置を検討すると明らかにした。タイには王室への侮辱を罰する不敬罪があり、個人の場合は最長15年の禁錮刑が科される。

アリババ傘下でシンガポールに本拠を置くラザダは、東南アジア最大級のネット通販事業者だ。タイではシンガポールのシーが手掛ける「ショッピー」と激しくシェアを競っている。』

スリランカ経済危機 「債務のワナ」以前の手痛い失政

スリランカ経済危機 「債務のワナ」以前の手痛い失政
編集委員 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0827E0Y2A500C2000000/

※ 良記事だ…。

※ 安易に「債務のワナ」説を唱えずに、産業構造にまで、キチンと言及している…。

※ また、長らく英国の植民地下にあったため、「英語」に堪能な人材が多いことにも触れている…。

※ そう言えば、旧国名は、「セイロン」だったな…。「紅茶」の代名詞だ…。

『1948年の独立以降、最悪とされる危機である。人口2200万人の南アジアの島国・スリランカの経済が破綻の淵にひんしている。

3月に前年同月比18.7%を記録した最大都市コロンボの消費者物価指数は、4月には29.8%へ跳ね上がった。一方、2019年末に76億ドル(約1兆円)あった外貨準備は足元で18億ドルまで目減りし、輸入に頼る燃料や医薬品の欠乏が深刻になっている。

「国際通貨基金(IMF)にもっと早く援助を求めるべきだった」と悔やむアリ・サブリ財務相は、5月4日の国会で「少なくともあと2年は経済的苦境に耐えなければならない」と報告した。

2019年に就任したゴタバヤ・ラジャパクサ大統領(左)は兄のマヒンダ元大統領を首相に就けた(19年10月、大統領選のキャンペーン)=ロイター

生活苦に怒る国民の間で反政府デモが広がり、政府は6日、4月初旬に続いて2度目の非常事態を宣言した。9日にはついにマヒンダ・ラジャパクサ首相が辞意を表明したが、デモ隊は弟で最高権力者のゴタバヤ・ラジャパクサ大統領にも退陣を求めている。

危機に至ったメカニズムはこうだ。

19年4月、コロンボなどで250人以上が死亡する連続爆弾テロが起き、観光産業が打撃を受けた。

追い打ちをかけたのが20年以降の新型コロナウイルス禍だ。

18年には230万人を数えた外国人観光客はもとより、中東など150万人にのぼる出稼ぎ労働者からの送金も途絶えて外貨収入が減ったところを、世界的な生産・物流の停滞による物価高に襲われた。

青息吐息のラクダに載せて背を折った最後のわらが、ロシアのウクライナ侵攻後の商品価格の急騰だった。

「輸入物価の高騰→外貨急減→物資不足→物価上昇」という負の連鎖が止まらなくなった。

中国が途上国へ故意に過大な貸し付けをし、影響力を強める「債務のワナ」にからめ取られたのが危機の原因、とみる向きもある。

5年前、債務免除と引き換えに99年間の運営権を中国へ与えた南部のハンバントタ港は、その象徴とされている。

スリランカ政府が公表する対中債務は全体の1割程度で、対日本と変わらない。

ただしそれは政府からの借入金だけで、国有企業からのものを含まない、といった指摘もある。

ある援助関係者は「融資の金利が高く、採算見通しも甘いのは確かだが、いまの危機が中国のせいなのかは、イエスともノーとも言えない」と言葉を濁す。

はっきりしているのは、コロナ禍やウクライナ危機という不可抗力だけでなく、対中債務を負う国でさえも一様に経済危機に陥っているわけではない、ということだ。

「スリランカはなぜ?」と考えるとき、ラジャパクサ一族の功罪は避けて通れない。

国会議員を長年務めたマヒンダ氏は05年、大統領選に勝利すると、元軍人の弟ゴタバヤ氏を国防次官に据えた。

兄弟は09年、北・東部の分離独立を唱える少数派タミル人の武装勢力を制圧し、26年間続いた内戦を終わらせた。

治安情勢の安定とともに経済ブームが到来した。道路や鉄道、港湾など内戦期に遅れたインフラ整備は、それ自体が景気を押し上げた。

8つの世界遺産を持つ豊富な観光資源も注目を浴びた。

米ニューヨーク・タイムズ紙は「2010年に訪れるべき旅行先」の第1位にスリランカを選び、高級ホテルの建設ラッシュが起きた。内戦終結の高揚感は市民の消費意欲を刺激し、国内総生産(GDP)伸び率は12年に9.2%へ達した。

並行してマヒンダ氏の専横ぶりも目立ち始めた。

10年に再選されると、ゴタバヤ氏以外の一族も政権の主要ポストに就けた。また中国マネーを呼び込み、出身地のハンバントタに港湾だけでなく空港まで整備した。

そんな縁故政治や汚職体質、過度の対中依存への批判が高まり、3選を狙った15年の大統領選で敗れる原因となった。

権力の座を追われたラジャパクサ一族を復活させたのが、19年のテロだ。

治安安定を望む国民は、内戦終結の立役者の再登板を望んだ。

憲法改正で3選が禁じられたため、同年の大統領選はゴタバヤ氏が出馬して勝ち、マヒンダ氏を首相に迎えた。財務相や灌漑(かんがい)相、青年・スポーツ相なども一族に割り当て、縁故政治に拍車がかかった。

振り返れば、一族復権のきっかけだったテロ事件が、経済危機への入り口となったのは皮肉だ。彼らは何をどう間違えたのか。

大統領一族の名を冠したマッタラ・ラジャパクサ国際空港は「世界で最も暇な空港」と揶揄(やゆ)される(13年3月の開業時)=AP

ひとつの失敗はマヒンダ政権期にさかのぼる。

内戦で荒廃した同国でインフラ整備は確かに必要だった。

が、例えば10年に稼働したハンバントタ港は、中古車の荷揚げに使われる程度で利用が低迷する。一族の名を冠して13年に開業した「マッタラ・ラジャパクサ国際空港」も乗り入れる航空会社が少なく「世界で最も暇な空港」と皮肉られる始末。華々しさの陰で経済全体への波及効果には疑問符がついた。

インフラ開発は本来、産業政策と一体で進めるべきものだ。またスリランカのように人口や天然資源に恵まれない国でも、国際的なサプライチェーン(供給網)の一端を担うことで、工業化は可能だ。

内戦終結は、そうした絵を示して外資誘致に乗り出す絶好のチャンスだったが「昔から主要製品だった紅茶、衣料品に続く輸出産業を育てる政策が欠けていた」と日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の荒井悦代・南アジア研究グループ長は指摘する。

もうひとつの失敗はゴタバヤ政権になってからだ。

ラジャパクサ支配の谷間だった16年からの約4年間、スリランカはIMFから15億ドルの拡大信用供与を受ける代わりに、歳入増加で財政基盤の強化を図る構造改革プログラムに取り組んだ。ところが、その終了直後に発足したゴタバヤ政権が推し進めたのは、全く逆行する政策だった。

人気取りを優先した所得税減税は5000億スリランカルピー(約2000億円)の歳入減を招き、「有機農業を推進する」という理由で強行した化学肥料の輸入禁止は、紅茶やコメの不作を招いてしまった。

足元の経済危機で、IMFへの支援要請が遅れたのも、増税策を嫌ったからという事情が透ける。

だがラジャパクサ一族のメンツにかまっていられる余裕はもはやない。

すでに対外借り入れの一部の返済を一時的に棚上げする「選択的デフォルト(債務不履行)」の状態で、今後は世界銀行やインド、中国などからのつなぎ融資で息を継ぎつつ、IMFの指導下で構造改革と債務再編を地道に進めていくしかない。

コロナ後の観光や出稼ぎ送金の復活は期待できるものの「少なくともあと2年」は耐乏生活が待ち受ける。

野党は不信任決議に持ち込み、ゴタバヤ大統領の追い出しを目指すが、政情混迷の先行きはなお不透明だ。ただ、一族の専横を許したとはいえ、スリランカは独立以来、一度も軍事クーデターがなく、常に選挙で政権交代してきた民主主義国家だ。

南アジア周辺国に比べて識字率や英語の普及度が高く、人材力には定評がある。

インド洋で屈指の規模を持つコロンボ港は、アジアと中東・アフリカを結ぶ東西物流の要衝で、近隣にはインドやパキスタン、バングラデシュといった人口大国が控える。

小国ながらも秘めた潜在力を、将来の持続成長にどう結びつけるか。経済危機の脱出と同時に、今度こそ産業の多角化・高度化の具体策が焦眉の急となるだろう。

=随時掲載

高橋徹(たかはし・とおる) 1992年日本経済新聞社入社。自動車や通信、ゼネコン・不動産、エネルギー、商社、電機などの産業取材を担当した後、2010年から15年はバンコク支局長、19年から22年3月まではアジア総局長としてタイに計8年間駐在した。論説委員を兼務している。著書「タイ 混迷からの脱出」で16年度の大平正芳記念特別賞受賞。

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高橋徹
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説

9日の日本時間夜に、ゴタバヤ・ラジャパクサ現大統領の兄で元大統領でもあるマヒンダ・ラジャパクサ首相がついに辞任を表明しました。

支持者と反政府デモ隊が衝突し、死傷者が出た直後でした。

それまでずっと辞任を否定してきましたが、事態収拾には身を引くしかないと判断したようです。

ただデモ隊は大統領の辞任も要求しており、野党は「挙国一致内閣」の呼びかけを拒む姿勢です。

政情混乱や物価高騰、長時間の停電が、ポスト・コロナで薄日が差してきた観光産業の足を引っ張るのが心配です。

2022年5月10日 9:51 』

経済危機のスリランカ、首相が辞任表明 大統領の兄

経済危機のスリランカ、首相が辞任表明 大統領の兄
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM09BBI0Z00C22A5000000/

『【ムンバイ=花田亮輔】スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ首相は9日、辞任を表明した。経済危機に直面する同国では生活必需品の不足などで、政府への抗議活動が続いている。マヒンダ氏の弟であるゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は、6日に非常事態を宣言していた。

マヒンダ氏は9日、ツイッターで「大統領に辞任を申し出た」と明らかにした。足元でスリランカは深刻な経済危機に直面し、政権に対する批判が強まっていた。地元メディアによるとゴタバヤ氏は直近、混乱収拾に向けてマヒンダ氏に辞職するよう求めていたという。

スリランカは慢性的な経常赤字に加え、新型コロナウイルスによって主な外貨獲得手段だった観光業の低迷に直面した。2019年末時点で約76億ドルだった外貨準備高は、4月末時点で約18億ドルにまで減っている。外貨不足で輸入が滞っていたところに、ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際商品市況の高騰も重なり、食料品や医薬品などの物資の不足や価格上昇が深刻になっている。

国民の不満が高まるなか、4月に入って閣僚が一斉に辞任したが、マヒンダ氏とゴタバヤ氏はそれぞれ続投していた。スリランカ政府は国際通貨基金(IMF)などにも支援を求めているが、事態打開のメドは立っていない。米格付け大手S&Pグローバルは4月下旬、スリランカの外貨建て国債の信用格付けを「部分的なデフォルト(債務不履行)」にあたる「選択的デフォルト(SD)」に引き下げた。

スリランカはインド洋の島国で、中東・アフリカと東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝にあたる。混乱が続くなか、周辺地域での影響力拡大をめざす中国やインドの動向も焦点となっている。

マヒンダ氏は05年に同国の大統領に就任した。国防次官だったゴタバヤ氏とともに内戦を終結させた一方で、多額の投融資を受け入れるなどして中国への傾斜を強めた。15年の大統領選挙では敗北したが、ゴタバヤ氏が19年に大統領に当選すると首相に就いた。』

親ロシア派、マリウポリで行進 ヘルソンでは愛国行事

親ロシア派、マリウポリで行進 ヘルソンでは愛国行事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09CCO0Z00C22A5000000/

『【キーウ=共同】第2次大戦での対ナチス・ドイツ戦勝記念日の9日、ウクライナ南東部の要衝マリウポリで、親ロシア派がロシア軍を象徴するしま模様の横断幕を掲げて行進した。アンドリュシェンコ市長顧問が行進の様子を通信アプリに投稿した。

タス通信によると、ロシア側の「軍民政府」が実効支配の強化を進める南部ヘルソンでは、ロシアの愛国行事「不滅の連隊」が行われた。軍民政府は、約2千人の市民が大戦で従軍した親族の写真を掲げて行進したと説明した。

アンドリュシェンコ氏によると、行進にはマリウポリのある東部ドネツク州の親ロ派支配地域「ドネツク人民共和国」のトップ、プシーリン氏も参加した。親ロ派の協力者らとともに「万歳」と声を上げながら、長さ300メートルの横断幕を手に市内を練り歩いた。

ロシア軍が制圧を宣言したマリウポリでは、ウクライナの内務省系軍事組織アゾフ連隊がアゾフスターリ製鉄所で抵抗を続けている。民間人の退避は完了したとされ、ウクライナ側は兵士らを救出するよう訴えている。』

中国BYD、長沙市のEV工場で排ガス漏れか 当局調査

中国BYD、長沙市のEV工場で排ガス漏れか 当局調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM092AK0Z00C22A5000000/

※ 排ガスと言っているが、車のではない…。電池の製造過程で出る、「工場排気ガス」が外部に漏れたのでは…、という話し…。

※ あまり知られていないが、「太陽光発電のパネル」「電気自動車用の電池」なんかは、製造過程で、「有毒ガス」が出る…。

※ だから、「先進国」では、その「排気ガス対策」のコストが高くついて、採算が採れないんだよ…。

※ そういうことで、そういうものの製造は、どんどん「途上国」に回って行くわけだ…。

『【広州=川上尚志】中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)が湖南省長沙市で運営する主力工場で、排ガス漏れの疑いが浮上している。健康被害につながっているとみる周辺住民の批判が強まり、地元当局が調査に乗り出した。同社の足元の新車販売は好調に推移しているが、今後の販売や業績に影響する可能性もある。

長沙市政府は8日、「人々がBYDの工場の排ガスについて陳情していることを受け、第三者の検査機関などを含む調査チームを立ち上げ、調査を開始した」と発表した。中国メディアによると、工場の周辺では4月ごろから刺激的な異臭がし、子どもを中心に鼻血を出す例が相次いでいた。

BYDは7日にSNS(交流サイト)上で公表した声明で、同工場の排ガスについて「関連法規と基準に収まっている。異臭があったとしても、対策をとり、積極的に改善している」と説明した。排ガスによって子どもが鼻血を出す事態が起きているといわれることに対しては「悪意のある捏造(ねつぞう)だ。すでに警察に通報し、法的責任を追及する」とした。

長沙工場はBYDの主力拠点で2012年からEVなどを量産している。中国メディアによると、現在も工場の操業は続いている。当局の調査結果次第で、対策や住民への補償を求められる可能性がある。

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HIMARS

HIMARS
https://ja.wikipedia.org/wiki/HIMARS

『高機動ロケット砲システム(こうきどうロケットほうシステム、High Mobility Artillery Rocket System, HIMARS)は、長射程の阻止砲撃用としてアメリカ陸軍が開発した装輪式自走多連装ロケット砲。

HIMARS(ハイマース)と呼ばれ、MLRSの小型版として主にアメリカ軍の緊急展開部隊である空挺部隊と海兵隊、迅速な輸送で集中的な運用が可能な軽歩兵師団に配備されている。 』

『概要

従来から配備されていた自走多連装ロケット砲のMLRSは、湾岸戦争時に絶大な破壊力と長距離支援能力を示した。

一方で、車両重量が約25トンと、その輸送にはC-5 ギャラクシーやC-17 グローブマスター IIIなど大型輸送機が必要で、海外地域への迅速な部隊展開の必要性が認識される中、迅速な部隊の展開ができない問題点も同時に報告された。

そこで、緊急展開部隊にも利用可能な面制圧可能な支援兵器として、FMTV(中型戦術車両ファミリー)5トントラック6輪駆動タイプの車体に装甲キャブ・FCS・MLRSの発射装置などを搭載して、C-130 ハーキュリーズ/C-130J スーパーハーキュリーズでも輸送可能な長距離火力支援兵器が開発された。

車体後部にM26 ロケット弾なら6発、MGM-140 ATACMS地対地ミサイルなら1発を収納し、発射筒を兼ねるグラスファイバー製のLP(Launch Pod)と呼ばれるコンテナを1基収める箱型の旋回発射機を搭載しており、M270 MLRSで運用可能な各種のロケット弾とミサイルを含むMFOM(MLRS Family Of Munition rockets and artillery missiles)と呼ばれる兵器群を全て発射することができる。

地対艦ミサイルとしての運用も想定されている[1]。

MLRSと比べて軽量・小型化されたため、自走による長距離移動も可能になり、生産・整備維持費も安価になった。

ロケット弾を発射するHIMARS

MGM-140 ATACMS地対地ミサイルと収納コンテナ(通常のロケット弾6発入りコンテナに擬装している)

実戦

2010年2月14日、アフガニスタンでのISAF活動で使用されているHIMARSが誤射してしまい、民間人12人を殺害した[2]。

同年10月21日の『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道では、カンダハールにおけるNATO軍の攻勢は本システムの貢献によるものと評価されている[3]。

現在、アメリカ陸軍はイラクでISILに対して使用している[4]。

2016年9月3日、アメリカ中央軍は同国陸軍がトルコに配備された本兵器により、シリア北部にあるISILの戦術部隊と建築物を攻撃し、成功したことを発表した[5]。

運用国

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

アメリカ陸軍
アメリカ海兵隊

シンガポールの旗 シンガポール

シンガポール陸軍

アラブ首長国連邦の旗 UAE

アラブ首長国連邦陸軍

カナダの旗 カナダ

カナダ陸軍

スペインの旗 スペイン

スペイン陸軍

登場作品(※省略)』

スティンガーとパラディン自走砲の納品の遅れは、台湾にとってそんなに悪い話ではない

スティンガーとパラディン自走砲の納品の遅れは、台湾にとってそんなに悪い話ではないhttps://st2019.site/?p=19432

『Minnie Chan 記者による2022-5-7記事「Why Taiwan may ultimately benefit from delays to US weapons delivery」。

   台湾の元海軍士官学校教官氏いわく。スティンガーとパラディン自走砲の納品の遅れは、台湾にとってそんなに悪い話ではないと。

 可能性としては、155mm自走砲の代わりにHIMARSの注文数が増やされることになる。
 レンジがより長いので、台湾沿岸ではなく、シナ本土海岸の艦艇を打撃でき、そっちの方が合理的である。

 ※この人物はHIMARSの射程を500kmと書いている。ATACMSと混同?

 2021-6に台湾国防相は、4億3600万米ドル相当のHIMARSを発注し、それは2027年までに納品されるとアナウンスしている。

 では、2億4600万ドル分のスティンガー(250発)の納品遅延はどう穴埋めされるのか? 予定では2022から2026のあいだに入手できるはずだったのだが。

 これは、レイセオン社が2年後から量産スタートする最新改良型のスティンガーに、内容が変わることになるだろう。それは高性能だが値段も高くなる。

 台湾にはこれに関して他の選択はありえない。中共を気にしないで台湾に武器を売ってくれるのは米国だけなので。

 中共軍はいま、ウクライナの戦訓をおおわらわで学習中だろう。今までの台湾侵攻プランは一回ご破算にされて、あらたな計画を決めねばばならない。とうぶんは、台湾には攻めてこられまい。

 ※タイミングよく米軍が、新方式の「クイック・シンク」という、対艦用のレーザー誘導の投下爆弾のデモ動画をリリースした。投下爆弾であるのに、標的廃艦(中型のケミカルタンカー?)が、文字通りまっぷたつに折れて轟沈している。私見だが、この誘導爆弾キットは、わざと敵艦の中央舷側至近の水中に着弾して、水線下~艦底で起爆するような絶妙なアルゴリズムになっているのではなかろうか? 』

「戦勝記念日」前夜、プーチンは敗北を認めざるを得ないだろう

「戦勝記念日」前夜、プーチンは敗北を認めざるを得ないだろう−−ウクライナ元将校|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000253508.html

 ※ これ読むと、どうも「スゲー話し。」になっているようだ…。

 ※ 「手足が、※※ている遺※。」とか、衝撃だろうな…。

 ※ どうも、世間に流通している日本のマスコミ・メディアは、「ヌルい…」な…。

『ANN元モスクワ支局長 武隈喜一(テレビ朝日)

…………

◆5月9日の「対独戦勝記念日」にプーチン大統領が総動員令を出すのではないか、と伝えられているが。

たしかに、ロシアが動員令を発することなしに戦況を変えることは不可能になっているが、総動員令はプーチンにとって、自分の頭を撃ちぬくようなものだ。

総動員令を出すためには、「戦争宣言」をおこなわなければならない。現在は「戦争」ではなく「特別軍事作戦」だ。

だが一般のロシア国民は、伝説的な「不敗のロシア軍」に期待をかけている。それなのに、プーチンが「ロシア人よ、銃を取って前線へ出ろ。軍がうまくいっていない。成果を出せていない」と言ったら、プーチンにとって最悪の結果を招くだろう。

5月9日には国境付近のいくつかの州レベルでロシアが動員令を出すことはありうるだろう。

ロシアは「偽旗作戦」を使って、これまでにも州内での爆発、火災などを「ウクライナによるテロ行為だ」と言って、人びとを動員すべく準備を進めてきたからだ。

5月9日にはプーチンは何らかの「勝利」を宣言しなければならないが、それは「新たな戦争」宣言ではないはずだ。それはロシア国民の失望につながるだけだ。ロシア全土での総動員令はありえない。

ロシアの田舎では、ウクライナでの「特別軍事行動」は遠い出来事だと受け止められてきた。

しかし地方ではいま別の問題が起きている。

シベリアのブリヤートには大きなスポーツ施設があるのだが、そこが葬儀所になっていて、供花が撤去される間もなく、兵士の棺桶が次から次に運ばれてきている。

兵士の遺体がようやく家族の元に届けられるようになってきているのだ。

わたしの得た情報によれば、ポーランドとの国境付近の飛び地、カリーニングラードに、昨日(4月29日)11体の遺体と34人の傷病兵が着いた。負傷兵のほとんどが手足を失っている。負傷兵たちも徐々に戦場での本当の出来事を語り始めるだろう。

◆安全保障会議のパトルシェフ書記が、ロシア南部の行政機関に、防空壕や避難所のチェックをするよう通達をだして、地元住民の不安が高まっている。

ロシアはウクライナ人を「狂暴な民族主義者、ファシスト、テロリスト」と呼んでいる。
だから、自作自演の火事や爆発を引き金に地域限定的な「戒厳令」を出すことは時間の問題だろう。だがこれも逆効果になりうる。ロシア国内に相当数の難民が発生する可能性があるからだ。これは深刻な国内問題になる。

プーチンは最近ますます安全保障会議書記パトルシェフに信頼を寄せ、全権を任せるようになってきている。

パトルシェフはクレムリンの権力闘争で勝ち残っていくようだ。

もしプーチンが手術などで大統領職を一時的に離脱する場合、核のボタンはパトルシェフに移譲されることになっている。

つまり、FSB(KGBの後身の連邦保安局)は初期の失敗の責任を、うまく国防省に押し付けたようだ。

元FSB長官だったパトルシェフが、プーチンの信頼を利用して、軍幹部が懲罰対象となるように仕向けたのだろう。

現在、ロシア国内でもっとも力をもっているのは、FSBと国家親衛隊だ。

国家親衛隊も戦闘には加わったが、常備軍ほどの数ではない。国防省は「シロビキ」(力の組織)の中では最も立場の弱いグループになった。

◆前線はどうなっているのか。ロシア軍は最大の攻撃をかけてくる、といわれていたが。
現状ではロシア軍はウクライナ軍に対して最大限の圧力をかけている。

未確認情報だが、ゲラシモフ参謀総長がイジュームに来たようだ(米国防総省も訪問を確認)。現地部隊にハッパをかけ、5月9日までにどこでもいいから突破口を開かせたいのだ。だが、前線は膠着状態で5月9日までには無理だろう。

ウクライナ参謀本部によれば、ロシア軍は国境地域に残っていたおよそ2万の兵員補充をおこなって、部隊を国境からウクライナ領へ進軍させた。

参謀総長が来て、計画いっぱいの補充をおこない、軍を転戦させたわけだから、総攻撃を仕掛けてくるだろう。

◆参謀総長が現場に来るというのはどういう意味があるのか。

これはプーチンの命令ではなく、ゲラシモフ自身の判断だろう。

自分のキャリアを守る最後のチャンスだ。もしドボルニコフ将軍が作戦の指揮を任されているとすれば、二人は競い合うことになる。

ドボルニコフ将軍が作戦司令官を任されたというのは西側のメディアが報じているだけで、ロシア国内には確実な情報がない。

いずれにしても、二人は同じ釜のメシを食い、同じ戦場で戦ってきたライバルだ。

ゲラシモフ参謀総長は今回「電撃戦」に失敗した。

一方ドボルニコフ将軍は、ゲラシモフの地位を狙える立場だ。

ゲラシモフが来たのはプーチンの命令ではない。

われわれはこの二人がどう競いあい、それぞれがどの軍を指揮するのか、注意深く見守っている。

ショイグ国防相は、すでにプーチンの信頼を失っている。

パトルシェフとドボルニコフがショイグ国防相の追い落としを図ったのだろう。

ショイグはプーチンの不興を買ったため、政治生命は完全に断たれた、という者もいる。当分姿を現すことはないだろう。

戦況は、シーソーゲームだ。敵が攻めてくればわれわれは引き、敵が引けばわれわれが攻める。

いずれにせよ、ウクライナ軍が有利だ。防御戦だからだ。損耗はロシア軍の方が大きく、兵力もギリギリだ。

われわれは防御しながら敵に陽動作戦を仕掛けている。われわれは多少でも戦闘能力の向上を図ることが可能だが、ロシア側は、この攻撃のためにかき集めた戦力も底をつきつつある。

あと7日から10日はまだ戦闘可能だが、その後は再度補充が必要となる。

得てして軍人ではなく政治家が戦争を指導するとロクな結果にならない。現状を見る限り、命令はすべてプーチンが下している。

戦場の論理と思想によってではなく、プーチンの政治的判断だ。つまり、どんな犠牲を払おうとも5月9日をめざせ、ということだ。だからこそウクライナ軍には有利な情勢なのだ。

プーチンは赤の広場でロシア国民に演説をしなければならない。すでに言ったように総動員令を発することは身の破滅となる。

プーチンはこの特別軍事作戦が失敗したことを認めざるをえないだろう。

いく人かの将軍は、プーチンに第二段階の作戦は中止し、戦闘能力をもつ部隊を残すべきだと進言する報告書を作成したようだ。

この報告はゲラシモフ参謀総長やショイグ国防相を経ず、パトルシェフ安全保障会議書記が直接プーチン大統領に届けた。

プーチンは「勝つはずだ」という妄想にとらわれているから、もし敗北を認めるしか残されていないとすれば、その絶望と精神的な圧迫はとんでもなく大きいだろう。

◆プーチンはいつ敗北を認めざるをえなくなるのか。

5月9日の前夜だ。5月7日か8日、軍の指導部が来て、「われわれは課題を遂行できなかった」という報告を受ける時だ。

その後、プーチンがどうするのか、わたしにはわからない。これはロシアの内政の決定的な転換点となるだろう。軍事パレードを中止するのかどうか。今回ロシアのいくつかの町ではウクライナで戦死した兵士の遺影を、その家族が胸に抱いて行進することになっている。

◆ベラルーシのルカシェンコ大統領もパレードには行かないようだが。

ルカシェンコは先日、ポーランドとの国境に軍を配備した。

5月1日から始まるポーランドの演習に備えるためだというが、これによって、ルカシェンコはウクライナと戦う意思はないことを示したのだ。

ルカシェンコは、身の安全さえ保証されれば、西側との協力も惜しまない姿勢だ。ロシアというタイタニックは沈没しかけている。ベラルーシは中国との関係が深いので、西側よりも、中国を頼りにする可能性はある。軍事部門を含めた共同計画も多い。

◆モルドバのトランスニストリア(沿ドニエストル)地方はどうなるのか?

トランスニストリアはすでに使い古されたカードだ。

ウクライナのオデーサに向けた第二戦線を開こうという試みは成功しないだろう。

われわれはオデーサの軍配置を変えるつもりはない。

トランスニストリアはNATOから厳しい警告を受けた。米軍の戦術部隊がいざという時に備えてルーマニア・モルドバ国境に投入された。もちろんNATOはこの戦争とは距離を置く姿勢を変えていないが。

現状ではトランスニストリア地方のロシア軍は全モルドバ軍よりも強力だ。だが、大事なことは、ついにモルドバがロシアに対する制裁に加わったことだ。ルーマニアもモルドバへの財政支援を決めた。

◆米議会がようやくレントリース法(武器貸与法)を可決し、ドイツもようやく重火器の提供を決めたが。

まず重火器類はすぐにウクライナに届くわけではない。そして迫撃砲と違って2,3時間の教習で習得できるものでもない。

スペシャリストが西側のシステムを習得する必要があるが、何とかなる。西側での教練も進んでいる。

ドイツのラムシュタイン米空軍基地には武器を積んだ輸送機が次々にやってきている。民間の飛行場より忙しいくらいだ。4月26日のラムシュタインでの40カ国国防相会議の後、空軍基地は24時間体制で動いている。あとはウクライナ国内への輸送とスペシャリストの教習だけだ。

戦争というものは、軍改革には最高の時間で、この戦争によってウクライナ軍は旧ソ連の軍事体系から離れて、全面的に西側の軍備とシステムに移行することができる。

この8年、われわれはNATO標準への移行を議論してきたが、ようやく実戦で移行できるようになった。この戦争によってウクライナ軍はまったく別の、西側的な軍隊に生まれ変わった。

これまではロシア領内に届く長距離砲がなかったが、西側の援助で手に入れば、われわれもロシア領内の武器庫や輸送線を叩くことができるようになる。これは大きな利点だ。

ロシア側にも空襲警報が鳴り響くことになる。戦争がどういうものかを実感するだろう 。』

「プーチン氏の前にはもはや種々の敗北しかない」

【寄稿】 「プーチン氏の前にはもはや種々の敗北しかない」 英の国防専門教授
https://news.yahoo.co.jp/articles/1b8ca1662b55ba60ced05ddafe545f5e22527492

『ロシアでは毎年5月9日を、第2次世界大戦の対独戦勝を記念する「戦勝記念日」として祝う。モスクワで予定される毎年恒例の軍事パレードなど、各種の祝賀行事でロシア政府が何を主張するにしても、現状はウクライナに対する勝利とは程遠い状態にあると、イギリスの国防研究者、マイケル・クラーク教授は指摘する(文中敬称略)。

もはやこの戦争に、ロシアが有意義な形で勝つことはできない。

プーチンが2008年以降、世界各地で実現した軍事的成功はどれも、小規模の精鋭部隊と雇い兵と地元の民兵集団、そしてロシアの空軍力を組み合わせて実現したものだった。

ジョージア、ナゴルノ・カラバフ、シリア、リビア、マリ、そして2014年にウクライナで2度、ロシア政府は低コストで介入し、相当に有利な立場に立った(2014年にウクライナで2度というのは、まずクリミアを違法に併合したのち、ロシアに従属するルガンスクとドネツクの自称共和国を作ったことを指す)。

どの場所でもロシアは素早く、容赦なく動き、西側世界は段階的な制裁でしか対抗できなかった。西側の制裁に現実を変える力はなかった。プーチンは「現場で新しい事実を作り出す」のが得意だった。

今年2月に彼は、同じことをウクライナで、最大級の規模でやろうとした。人口4500万人の国、領土面積でいうと欧州で2番目に大きい国の、政治的実権を約72時間のうちに奪取しようとしたのだ。驚くほど無謀なギャンブルで、最も大事な第1週で、その賭けは完全に失敗した。

プーチンにはもはや、戦争を拡大して突き進む以外、あまり選択肢は残されていない。戦争を拡大とはこの場合、ウクライナ国内で拡大するか、ウクライナ以外で拡大するかだ。エスカレーションは現状に組み込まれている。そして欧州は近年の歴史で例を見ないほど、危険な時点にさしかかった。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の軍隊や、外の世界が反応できる前に、首都キーウ(ロシア語でキエフ)の政府を支配下におくという「プランA」の実現に失敗した後、ロシア政府は「プランB」に移った。これは「プランA」よりも「作戦展開」を重視する軍事的な計画で、まずキーウを包囲してから、チェルニヒウ、スーミ、ハルキウ、ドネツク、マリウポリ、ミコライウといった他の主要都市を攻略しようというものだった。降伏か全滅かと首都キーウを脅かす間に、ウクライナの武力抵抗をあっさり消滅させようというのが狙いだった。

しかし、これもまた失敗した。陥落してロシアの支配下に入った主要都市は南部へルソンのみで、ここでも住民はロシアの統治に抵抗し続けている。結局のところ、ウクライナほど巨大な国を圧倒的に支配するには、ロシアの軍勢は小さすぎた。そしてロシア軍の戦いぶりは実にお粗末だった。その理由はいくつかある。指揮系統の質が低く、キーウからミコライウまで4つの前線に部隊は分散され、全体を束ねる総司令官がいなかった。

加えて、ロシア軍を待ち受けていたのは、不退転の決意で立ちはだかるウクライナ軍だった。しっかり訓練されてきたウクライナ軍は、「動的防衛力」を古典的なまでに発揮し、戦線を維持するのではなく、敵軍が特に弱い急所を次々とたたくことで、ロシア軍を膠着(こうちゃく)状態に陥らせた。

戦況の停滞にいらだつロシア政府は、今度は「プランC」に移行した。これはキーウと北部の制圧を諦め、その代わり、東部ドンバス地域からおそらく南西部オデーサに至る南部全域に大攻勢をかけるため、戦力を集結させるというものだ。主要な港湾都市オデーサを含む南岸一帯をロシアが掌握すれば、ウクライナは事実上、内陸国になってしまう。

そして現在、南東部のイジューム、ポパズナ、クルルカ、ブラジキウカなどで展開しているのが、この作戦だ。

ロシア軍はウクライナ軍の統合作戦部隊(JFO)を包囲しようとしている。JFOはウクライナ陸軍の約4割にあたる部隊で、2014年以来、分離派が実効支配するルハンスクとドネスクの自称「共和国」に対峙(たいじ)している。この地域でロシア軍にとって鍵となる目標は、スロヴィヤンスクとその南のクラマトルスクを掌握することだ。両都市ともドンバス地方全域を支配するための要衝となる。

そしてこの戦争は、軍事的にこれまでとは異なる段階に入った。今までより広い土地で、今までより良い天候の中、戦闘が繰り広げられる。戦車と機械化歩兵、そして何よりも敵の装甲車がなだれ込んでくる前に相手の防衛を殲滅(せんめつ)するよう設計された大砲を駆使して。

しかし、これはそれほど単純なプロセスではない。

ロシアの攻勢は出遅れ、ウクライナのJFOはロシアの進軍を食い止めている。おかげで、今頃はここまで到達しているはずとロシア側が想定していたほどの前進は、まだ実現できていない。これによってウクライナ側は貴重な時間を稼いだ。戦闘が本格化する前に、それぞれが重火器を前線に投入しようと、今は「ヘビーメタル(重火器)の競争」が進行中だ。これは今後数週間でさらに状況が進むだろう。

しかし、ドンバスで何が起きたとしてもそれは、さまざまな敗北の選択肢から何かを選ぶ機会を、プーチンに与えるに過ぎない。

戦闘が秋になって膠着状態に陥った場合、それまであまりに多くの損害と苦しみを重ねたロシアに、プーチンはほとんど何も成果として示すことができないはずだ。戦況の勢いが変わり、ロシア軍が後退させられる事態になれば、なおさらだ。そして、たとえロシア軍がドンバス全域と南部全域の制圧に成功したとしても、ロシア軍を追い出したい数百万人のウクライナ人を前にして、いつまでも両地域を押さえ続けなくてはならない。

もしもロシアが軍事的な大成功を収めた場合はおそらく、ロシアが制圧する全地域で、大規模な反ロシア運動が際限なく続くだろう。プーチンは2月に「プランA」に全てをかけて臨んだ。それが失敗したせいで、続く「プランB」だろうが「プランC」だろうが、他のどのような計画だろうが、ロシアは全力であたり、広大な国の一部もしくは全土を押さえ込まなくてはならないのだ。

いずれにしても、ロシアはウクライナで戦い続けなくてはならない。住民と敵対しながら、あるいはウクライナ軍と敵対しながら。その両方と同時に敵対しながら、という可能性もある。そして、ロシア軍が撤退しなければ譲歩の検討などあり得ないという現在の姿勢をウクライナ政府が取り続けるならば、プーチンはかたくなに突き進むしか、ほかにできることはあまりない。

西側諸国は今後も、ウクライナ政府に武器と資金を提供し続けるし、強力な対ロ制裁をそうそうすぐに解除することもない。ロシア産エネルギーへの欧州の依存度がいずれ大幅に下がれば、欧州が本当に欲しいものをロシアはほとんど持っていない。そしてアメリカも欧州も、自国経済への打撃は小さく抑えたまま、ロシアを苦しめる厳しい制裁はそのまま残すことができる。

ウラジーミル・プーチン大統領個人は、もう後戻りできないし、戦争犯罪人として起訴される可能性さえある。彼に残された唯一の政治的な戦略は、ウクライナでの戦争を実際とは異なる何か別の物に作り替えることだ。たとえば、「ナチス」に対して、そして喜々としてロシアを敗北させたい西側諸国の「帝国主義者」に対して、ロシアは存亡そのものをかけて戦っているのだとする、そういう文脈に。

だからこそ、ロシアはその他の欧州全体を相手にした「大祖国戦争2.0」を前にしているのだという、危険な発想を、プーチンはもてあそんでいる。そうすることが、彼にとって好都合だからだ。5月9日の「戦勝記念日」にはおそらく、これについてさらに発言を聞くことになる。プーチン大統領は自分のかじ取りで国もろとも突入した、実に長く暗いトンネルの先に、光が見えると言うのだろう。

(マイケル・クラーク氏は英キングス・コレッジ・ロンドンの防衛研究客員教授)

(英語記事 Viewpoint: Putin now faces only different kinds of defeat)

(c) BBC News』

中国輸出3.9%増に失速 上海封鎖が打撃、輸入横ばい

中国輸出3.9%増に失速 上海封鎖が打撃、輸入横ばい
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0977D0Z00C22A5000000/

『【北京=川手伊織】中国税関総署が9日発表した2022年4月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比3.9%増で、3月の14.7%増から失速した。上海市の都市封鎖(ロックダウン)など新型コロナウイルス対応の厳格な行動制限で物流が混乱し、電化製品の生産や出荷が滞った。輸入も横ばいにとどまり、内需の低迷も映し出した。

【関連記事】上海封鎖で中国貿易停滞 輸出入額2%増に急減速

輸出の増加率は、20年6月以来の低い伸びだった。品目別でみると、パソコンや部品が5%、携帯電話が7%それぞれ減少した。

新型コロナを徹底して抑え込む「ゼロコロナ規制」に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱で、部品の調達が滞った。行動制限で工場労働者が出勤できなかった影響も大きい。
新型コロナの関連需要が底堅かったマスクを含む織物も1%増にとどまり、2割増だった3月から伸びが鈍った。衣類も2%増にとどまった。

輸入は国際商品市況の高騰で原油が8割、天然ガスが3割伸びた。対照的に半導体は5%増と、3月に続き1桁の伸びにとどまった。化粧品は前年同月を7%下回り、消費が弱含んでいることを示唆した。

4月の対ロシア貿易は輸出が26%減った。減少率は3月の8%から拡大し、他の国・地域向け輸出と比べても落ち込みが目立った。日米欧の対ロ経済制裁で貿易決済などが混乱した可能性がある。一方、輸入は57%増えた。最大の輸入品目である原油の調達額が膨らんだとみられる。』

上海封鎖で中国貿易停滞 輸出入額2%増に急減速物流混乱 世界経済に波及も

上海封鎖で中国貿易停滞 輸出入額2%増に急減速
物流混乱 世界経済に波及も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM094HR0Z00C22A5000000/

 ※ ゼロ・コロナで、「セルフ制裁」だな…。

『【北京=川手伊織】中国政府が新型コロナウイルスを徹底して抑え込む「ゼロコロナ規制」で、貿易も停滞してきた。2022年4月の輸出入総額(ドル建て)は前年同月比2.1%増と、20年6月以来の低い伸びにとどまった。厳格な行動制限で物流が混乱し、内需が落ち込んでいる。世界経済の回復にも波及しかねない。

【関連記事】中国輸出3.9%増に失速 上海封鎖が打撃、輸入横ばい

中国税関総署が9日、発表した。輸出入総額の伸びは、新型コロナの感染が再び広がった3月の7.5%増から一段と鈍った。

上海市の都市封鎖(ロックダウン)が打撃となった。3月末から1カ月超に及ぶ封鎖の影響で、世界の港湾別コンテナ取扱量で首位に立つ上海港の混雑ぶりが悪化した。中国メディアによると、4月中旬の国内主要8港のコンテナ取扱量は前年同期を6%下回った。

4月の輸出は前年同月比4%増で、伸び率は3月の15%から大きく縮小した。原材料の調達などサプライチェーン(供給網)が混乱し、パソコンやスマートフォンの出荷が落ち込んだ。

海外からの新たな注文も減っている。4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)によると、輸出に限った新規受注は41.6と節目の50を大きく割り込んだ。米国のPMIが3カ月ぶりに悪化するなど外需の影響もある。

原材料高も重荷だ。天津市で貿易会社を営む李華社長は「一部の輸出企業は原材料価格の高騰で輸出の採算が合わず、注文の受け付けを見合わせている」と明かす。新規受注の減少で先行きの輸出回復が遅れる恐れもある。

海外向け物流の需要の落ち込みは、新型コロナ禍で跳ね上がったコンテナ価格にも表れている。浙江省寧波・舟山港の輸出コンテナ価格指数は年初から2割下がった。ロシアのウクライナ侵攻で国際貿易が混乱した影響もある。

ゼロコロナ規制による経済失速などをうけ、外国為替市場では人民元が下落している。対ドルでは、4月半ばから半月あまりで5%下がった。通貨の下落は一般的に輸出にプラスだが、厳しい行動制限が続くなか、押し上げ効果があるかは不透明だ。李氏は「コスト上昇や新型コロナによる工場稼働率の低下という問題が大きく、元安効果はまだ読めない」と語る。

4月の輸入は、3月に続いて前年同月と横ばいだった。ただ価格が高騰する原油を除くと落ち込みが鮮明だ。4月は7%減少し、3月の3%減からマイナス幅が拡大した。物流の混乱で生産資材の調達が伸び悩んだほか、化粧品など日用品の輸入も減った。雇用の悪化などに伴う内需の弱さが浮かび上がる。

ウクライナへの侵攻で日米欧などの経済制裁を受けるロシアとの貿易総額は17%増えた。3月の13%より拡大した。

輸入が57%増と大きく伸びたためだ。詳細な品目は20日公表の予定だが、ロシアからの輸入の5割を占める原油の調達が膨らんだためとみられる。

4月に全世界から輸入した原油は金額ベースで前年同月より8割増えた。国際商品市況が高騰しているほか、数量ベースでも7%伸びた。3カ月ぶりの増加だ。ロシアは在庫がだぶつかないよう割安な価格でアジア向けの供給を増やしており、中国が調達量を増やした可能性もある。

一方、4月のロシア向け輸出は26%減った。3月の8%減から減少幅が広がった。3月は他の国・地域のロシア向け輸出と比べてマイナス幅が小さかったが、日米欧の対ロ金融制裁で貿易決済に支障が生じた可能性がある。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Economy/Trade/Shanghai-lockdown-depresses-China-trade-growth-to-2-year-low?n_cid=DSBNNAR 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察

イアンブレーマは2022年のグローバルリスクの筆頭に中国のゼロコロナ政策を上げた。

今は氏のいう通り、ゼロコロナ政策は中国経済、そして世界経済を大きく押し下げている。

世界経済にとってゼロコロナ政策のリスクをコントロールできないのは世界経済が下振れするリスクをより深刻化させている。

2022年5月10日 7:40 』

「ウクライナ」とは? 〜地名から世界を考える

「ウクライナ」とは? 〜地名から世界を考える
https://book.asahi.com/jinbun/article/14579016

 ※ 「概略」が、非常に良くまとまっているので、紹介しておく…。

※ これ見ると、凄い…。「河川国家」「湖沼国家」だ…。

※ 確かに、地面が凍っている「冬期」じゃなければ、「戦車」のような重量物は、身動き取れなかったわけだ…。

※ 「天・地・人」のうち、「地の利」は確かにウクライナ側にある…。

※ しかも、「北側」は、「森林圏、森林ステップ圏」ということだ…。

※ 森に隠れて、ジャベリンなんか放ったんだろう…。

『ウクライナとは

地図製作:平凡社地図出版

ウクライナ Ukraine
ウクライナ Ukrayina(ウクライナ語・正称)
ウクライナ Ukraina(露語)
人口:4563.4万(2012) 面積:603700k㎡長さ:1316km 幅:893km
[50°27′N 30°31′E]

 ヨーロッパ東部の国。首都はキーイフ。

東ヨーロッパ平原の南部に、東西約1316km、南北約893kmにかけて横たわり、ロシアを除くヨーロッパ諸国の中では最大となる約60万3700k㎡の面積を有する。

時刻帯は協定世界時プラス2時間の東ヨーロッパ時間(UTC+2、夏時間はUTC+3)。

北西部でベラルーシ、西部でポーランド、スロヴァキア、ハンガリー、南西部でルーマニア、モルドヴァ、北東部および東部でロシアと国境を接し、南部で黒海およびアゾフ海に面する。

国境の総延長距離は約6500km で、うち海岸線が約2800km を占める。

1991年8月24日にソ連邦より独立、特別市であるキーイフとセヴァストーポリ、および国内24州にクリム自治共和国を加えた27の行政区によって構成される。

 政体は議会制民主主義による共和制で、元首となる大統領の任期は5年(2期まで)、一院制の最高会議(議会)、閣僚会議、裁判所による三権分立が行われている。

2001年の国勢調査では、基幹民族のウクライナ人は全人口の約78%を占め、ロシア人が約17%でこれに続き、その他少数ながらベラルーシ人、ポーランド人、ユダヤ人、クリム・タタール人、モルドヴァ人、ハンガリー人、ブルガリア人、ルーマニア人、ギリシャ人、ガガウズ人などが居住する。

都市人口率は約67%。公用語は東スラヴ語群に属するウクライナ語で、ロシア語やベラルーシ語と近縁関係にあるが、歴史的経緯から西スラヴ語のポーランド語と共通する語彙も多い。

おもな宗教は、ウクライナ正教会諸派、ウクライナ東方カトリック教会(ユニエイト)、ローマ・カトリック教会、プロテスタント教会諸派などのキリスト教のほか、ユダヤ教、イスラム教(スンナ派)などがある。

地理的な特徴

 国土の約95%が東ヨーロッパ平原上に位置し、残りの約5%にクリム山脈やカルパティア(カルパート)山脈などの山岳地帯が相当する。

平原部の約7割はポリッシヤ低地、沿ドニプロー低地、沿黒海低地、ザカルパート低地などの低地帯であり、約3割がポジッリヤ丘陵、ヴォルイニ丘陵、ドネツ丘陵、沿アゾフ丘陵などの丘陵地帯である。

最高点はカルパート山脈中のホヴェルラ山(標高2061m)。カルパート山脈には国土の森林の約20%が集中しており、その保全のためにカルパート自然保護区、カルパート自然国立公園などが設けられている。

 気候はほぼ全域にわたって温帯大陸性で、クリム半島南岸は亜熱帯もしくは地中海性気候の特徴を有する。

気温は、1月がウクライナ北東部で-8~-7°C、クリム半島南岸で2~4°C、 同様に7 月が17~18°C、22~23°Cである。

 植生は、北から南へ、森林圏、森林ステップ圏、ステップ圏の3つに大きく分けられる。

ポリッシヤ地方と範囲がほぼ重なる森林圏は、プリピャチ川上流域からデスナー川流域まで東西750kmに及び、国土の約2割強を占める。

森林圏とステップ圏の中間帯として双方の特徴を示す森林ステップ圏は、カルパート山脈北東麓から中央ロシア高地南西部までウクライナをほぼ横断し、国土の3割強を占める。

ステップ圏は、西はオデーサ州から東はルハンスク州まで、北はハルキフ州から南はクリム半島までの広大な領域にまたがり、国土の約4割を占める。

 土壌は、森林圏では灰色森林土、ポドゾル土、沼沢土が、ステップ圏では肥沃な黒土や栗色土が優勢であり、森林ステップ圏では森林圏とステップ圏の土壌が混在し、黒海・アゾフ海沿岸の乾燥ステップ圏ではソロネツ土やソロンチャーク土などの塩類土がみられる。

年間降水量は、黒海・アゾフ海沿岸の乾燥ステップが300~500mm と最も少なく、北上するにつれてしだいに増加し、ポリッシヤ地方では600~700mm となる。最も多いのはクリム山脈やカルパート山脈で、それぞれ1000~1200mm、1600~2000mm に達する。

 おもな河川には、ドニプロー川(およびその支流であるプリピャチ川やデスナー川)、ドニステル川、ドナウ川、南ブーフ川、ドン川支流のシーヴェルスキードネツ川などがあり、国土の96%は黒海・アゾフ海水系に属し、わずかに北西部に西ブーフ川などのバルト海水系の河川が流れる。

湖沼は、ドニプロ川流域に連なるキーイフ湖、カーニフ湖、クレメンチューク湖、ドニプロゼルジンスク湖、ドニプロー湖、カホフカ湖など大人造湖のほか、ポリッシヤ地方の沼沢地帯やドナウ川下流左岸には小規模ながら天然の湖沼も点在し、黒海・アゾフ海沿岸部には多くの潟湖が形成されている。

その歴史

 歴史を紐解けば、有史以来、東ヨーロッパ平原南部のステップ地帯やクリム半島には、スキタイ、サルマタイ、フン、ハザールなどの大陸系の騎馬遊牧民族や、ギリシャ系の入植者が到来し、活発な文化的・経済的交流が行われていた。

9世紀にドニプロー川中流域に成立した東スラヴ民族による最初の統一封建国家であるキーイフルーシは、10~12世紀に首都キーイフを中心とするヨーロッパ随一の大国として繁栄した。

しかし内乱と外敵侵入によって荒廃が進み、13世紀中頃のモンゴル・タタール軍の侵攻によって衰退が決定的なものとなり、その後現在のウクライナの領域の大部分はリトアニア領を経て16世紀にはポーランド治下に置かれた。

以来、実質的には18世紀後半にいたるまで、西のポーランド、東のモスクワ・ロシア、南のクリム・ハン国(およびその宗主国であるオスマン帝国)という3つの列強の狭間で、ウクライナはその地理的、文化的、軍事的、宗教的な境界地方となった。

 この境界地方、つまり「辺境」において、とりわけ16世紀以降一大勢力を形成していったのが、ザポロージャ・シーチを拠点とするコサックの軍事共同体である。

権力の中枢から最も離れた「辺境」には、周辺諸国から農民をはじめとする多くの人びとが圧制、飢饉、宗教的迫害などを逃れて到来したが、奇しくもコサック(ウクライナ語ではコザーク、ロシア語ではカザーク)という呼称の起源も「群れを離れた者」、「自由民」を意味するチュルク語qazaqである。

 ウクライナ・コサックの自治国家は17世紀中頃のボフダン・フメリニツキーの時代に最盛期を迎えたが、しだいに周辺列強のロシアやポーランドに取り込まれ、18世紀末に行われたポーランド分割の結果、その大半がロシア帝国領となり、残る西ウクライナの一部はオーストリア(1867年以降はオーストリア・ハンガリー)領に組み込まれた。

第1次世界大戦とそれに続くロシア革命および国内戦の混沌期に、 ウクライナ人民共和国(1917)、西ウクライナ人民共和国(1918)などの一時的成立をみた後、ウクライナ社会主義ソヴィエト共和国としてロシア、白ロシア、ザカフカスとともに最初(1922)にソ連邦を構成した4共和国の1つとなった。

 その後、1937年には国名がウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国に改称され、第2次世界大戦を前後して西ウクライナのヴォルイニ、ハリチナー、ザカルパートなどの地方が再統合され、54年のロシア共和国クリム州のウクライナ共和国への移管をもって現在の領域が確定した。

 現在の国名ウクライナは、1991年のソ連邦崩壊に伴う連邦離脱および独立によって新たに採用されたものである。なお、内戦期の1919年から34年まではハルキフに首都が置かれていた。

「ウクライナ」という名称について

 ウクライナという名称が最初に史書に登場するのは、「原初年代記」イパーチイ写本の1187年の項においてである。

そこでは、遊牧民ポロヴェツ人に対する遠征を行ったペレヤスラフ公ヴォロディーミルの死に際して「彼を思ってすべてのペレヤスラフ人が哭いた」、「ウクライナはおおいに悲しんだ」と記されており、ウクライナはキーイフ公国やチェルニーヒフ公国とともにキーイフルーシ大公国の中核となったペレヤスラフ公国の版図を示すものであった。

続くルーシの年代記の中でも、ハーリチ地方、西ヴォルイニ地方、ヘウム地方、ポドラシェ地方にそれぞれウクライナという名称が用いられており、キーイフ公国またはハーリチ・ヴォルイニ公国を中心とした「地方」、「国」、「土地」という意味合いにおいて使用されたことが窺い知れる。

16世紀にコサックが台頭すると、ウクライナはドニプロー川中流両岸に広がる彼らの勢力範囲をさし示すようになり、その居住地の拡大とともに民族的、政治的、文化的文脈で広く用いられるようになる。

 18世紀末にウクライナを併合したロシア帝国は宗主国の立場からこれをマロロシア(小ロシアの意)とよび、分離独立を志向するあらゆる民族主義に対して厳しい弾圧で臨んだが、タラス・シェフチェンコ、イヴァン・フランコ、レーシャ・ウクラインカなどのウクライナの代表的詩人たちは、ウクライナであることが許されない小ロシアとしての祖国の現実を憂い、その生涯を通じて民族の解放と独立への思いを詩に託し続けた。

 なお、ウクライナという名称は「断つ」、「分かつ」を意味する印欧祖語に起源をもつスラヴ語の語根クライkrayを内包するため、これを「境界」、「辺境」と解釈することは原理的には可能である。

しかし、ある土地が文化的、言語的、政治的に任意の特徴を帯びながら自立的に成長して固有の領域となる過程を「風土の形成過程」と捉えるならば、あらゆる風土の誕生はその母体から発展的に「分かたれる」ことによって成立するものなのであって、ウクライナもしくはコサックという名称も、その対象が風土と人間との違いこそあれ、両者ともに混沌の中から任意の秩序が誕生する際のダイナミズムをいみじくも示唆するものであるといえよう。

独立後の現代ウクライナ

 独立後の現代ウクライナは、欧米諸国やロシアに対してバランスのとれた外交を行うことを基本方針としているが、欧州連合(EU)への統合を視野に入れた欧米寄りの政策はしばしばロシア側の反発を招き、両国の緊張関係の原因となっている。

しかしウクライナにとってロシアは歴史的、文化的、経済的に最大の隣国であり、両国の間に横たわる言語、エネルギー資源、国境画定、歴史認識などをめぐる諸問題の解決は、当該地域の持続的平和と関係諸国間の新たなパートナーシップを構築する上で必要不可欠なものである。

 ウクライナは、帝政ロシア末期にドネツ炭田(ドンバス)の石炭およびクリヴイリフの鉄鉱石を用いた鉄鋼業や重化学工業がドンバスや沿ドニプロー地域に発展して以来、旧ソ連圏で最も工業化の進んだ共和国の1つとしてソ連邦の軍需産業の中核を担っていた。

しかし、ペレストロイカ期の1986年4月には史上最悪の原子力事故となるチェルノブイリ原発事故が発生、91年の独立に際しては市場開放と価格自由化がハイパーインフレを引き起こし、ソ連邦時代に分業体制で結ばれていた諸共和国間の連関が途切れることによって工業生産も落ち込むなど、独立を前後して社会的・経済的混乱期が続いた。

 国内総生産(GDP)が独立後初めてプラス成長(6.0%)を達成するのは、インフレ収束後の1/10万のデノミ実施(1996年8月)、続く自国通貨フリヴニャ(UAH)の導入(1996年9月)から、さらに数年を経た後の2000年になってからのことである。

ただし、過去に培われた産業ポテンシャルと科学技術力は独立後のウクライナ経済の牽引役にもなっており、鉄鋼・鉄製品、機械・機器類、化学製品は現在の主力輸出品目でもある。

その大部分をロシアからの輸入に依存している石油と天然ガスを除けば比較的鉱物資源にも恵まれ、石炭、鉄鉱石以外に、マンガン鉱、ウラン鉱、チタン鉱、水銀などの金属、花崗岩、耐火粘土、石灰岩などの非金属、硫黄、岩塩、カリウム塩、天然染料などの化学鉱物原料を産出する。

 農業分野においても、近代化や構造改革の遅れなどの問題を抱えてはいるものの、国土の半分を覆う肥沃な黒土地帯に加えて、北部の湿地帯では干拓排水網が、南部・東部の乾燥地帯では灌漑用水網が整備され、穀類、工芸作物、野菜、果樹などの栽培、および畜産が盛んである。

「ヨーロッパのパンかご」とよばれるにふさわしく、小麦、砂糖、ヒマワリ油などの農産物は旧ソ連諸国やヨーロッパ各国へと輸出されている。

その他、黒海沿岸の諸都市では造船、水産業が盛んで、クリム半島やザカルパート地方は、気候と地形を生かした保養・観光業や良質なワイン・コニャックの製造で知られる。

 黒海・アゾフ海水系の大河が貫流する黒海北岸の地にあって水運も発達しており、首都を中心とした鉄道・ハイウェイなどの陸上交通網も密度が高い。

外国からの空の玄関口となっているのはキーイフ郊外のボリースピリ国際空港で、国内の主要都市や州都は首都と空路でも結ばれる。

観光大国としても今後大きな発展の可能性を秘めており、ユネスコの世界遺産がキーイフ・ペチェルスク大修道院および聖ソフィア大聖堂(ともにキーイフ)、リヴィウ旧市街の歴史地区(リヴィウ)、カルパート山脈のブナ原生林などをはじめとして7件登録されており、豊かな自然と文化を背景とした史跡、名勝、公園が各地に点在する。

芸術への関心も高く、首都や州都をはじめとした主要都市には劇場、交響楽団、大学、博物館、美術館などが置かれ、地域ごとの特色をもった音楽、詩歌、舞踊、絵画などのサークル活動やコンクールが盛んに行われている。

[原田義也]

『世界地名大事典 4 ヨーロッパ・ロシア I〈ア-コ〉』(2016年3月刊)「ウクライナ」の項目より』

米、ウクライナ産鉄鋼関税を1年免除 経済再建を支援

米、ウクライナ産鉄鋼関税を1年免除 経済再建を支援
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09CVR0Z00C22A5000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米商務省は9日、ウクライナ産の鉄鋼に課している25%の追加関税を1年間免除すると発表した。輸入制限を取り除き、同国の主力産業である鉄鋼の輸出を促す。ロシアの侵攻で打撃を受けた経済の立て直しを支える。

米商務省によると、多くの鉄鋼工場は攻撃を受けながらも給料を払い続けており、いくつかの拠点は生産を再開したという。レモンド商務長官は声明で「ウクライナ経済の繁栄にとって最も重要な産業のひとつを支えなければいけない」と述べた。

2021年のウクライナからの鉄鋼輸入額は1億6100万ドル(約210億円)で全体に占める比率は0.5%と小さい。一方、ウクライナにとっては多くの雇用を抱える主力産業だ。

トランプ前政権は18年3月から国内産業を保護するため、各国・地域から輸入する鉄鋼に25%の関税を上乗せした。労働組合を支持基盤とするバイデン政権も関税を続けている。22年4月には日本産鉄鋼への関税を一部免除した。』

「インド太平洋枠組み」5月下旬発足へ 米大統領訪日時

「インド太平洋枠組み」5月下旬発足へ 米大統領訪日時
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09BH50Z00C22A5000000/

 ※ 『通商抜きの経済圏作りという苦肉、次善の策として捻り出した』ものだそうだ…。

 ※ まあ、「やってます感」出すだけの話しのようにも思える…。

 ※ 『貿易や供給網、インフラ、脱炭素などで協力したりルールをつくったり』する…、という話しらしい…。

 ※ しかし、油断していると、思わぬ「毒」が仕込んであったり、「搦め手」で動きが縛られたりすることもある…。十分に、ご用心だ…。

『【ワシントン=鳳山太成】冨田浩司駐米大使は9日、バイデン米大統領が訪日する5月下旬に、米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF)が発足するとの見方を示した。日本や東南アジアの国々と貿易やサプライチェーン(供給網)で連携し、中国に対抗する経済圏づくりをめざす。

IPEFは、環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰できない米国が代わりに苦肉の策として考え出した経済枠組み。バイデン氏は23日に日本で岸田文雄首相と会談し、24日にはインドやオーストラリアを加えた「Quad(クアッド)」の首脳会合を開く。

バイデン政権は日本のほか、オーストラリアやシンガポール、マレーシアなどとIPEFの中身を詰めてきた。貿易や供給網、インフラ、脱炭素などで協力したりルールをつくったりして政府間協定を結ぶ。貿易協定のように関税削減には踏み込まない。
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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ひとこと解説

米国の通商関係の政策担当者や識者に聞くと、米国の中間層以下や労働者の自由貿易への拒否感、被害者意識は根強く最近の雇用回復程度では変わらない、米国のTPP復帰など非現実的、遠い先の話だと悲嘆気味に語ります。

貿易協定であるかぎり米国は動けないが、インド太平洋における米国主導の経済連携を推進する必要は自覚しているとのこと。

そこで通商抜きの経済圏作りという苦肉、次善の策として捻り出したのがIPEFだそうです。

日本も他に策はないと割り切り、IPEFは米国の復帰するTPPやその先のFTAAPへのプロセスと位置付け、米国に代わり自由貿易推進を説きながらIPEFに協力していくことが得策だと思います。

2022年5月10日 8:41

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

IPEFはTPPに代わる枠組みとよくいわれるが、そもそもTPPはオバマ政権のときに考案されたもので、トランプ政権は一方的に離脱を宣言。

バイデン政権はTPPに復帰できないとして、新たにIPEFを提案してきた。

なぜTPP(CPTPP)では、いけないのか。CPTPPを上回る機能をIPEFが持つとすれば、CPTPPを強化すればいいはず。

新たな枠組みを考案して各国政府は国内手続きを取らないといけない手間を考えなければならない。なによりもIPEFが成立した場合、アメリカは再び離脱しない保障があるのか。
2022年5月10日 7:34 』

米、武器貸与法が成立 ウクライナ支援を迅速に

米、武器貸与法が成立 ウクライナ支援を迅速に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1007N0Q2A510C2000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は9日、ホワイトハウスでウクライナ向けの武器貸与を迅速にする「武器貸与法」に署名し、法律が成立した。ウクライナ東部でのロシアとの戦闘が激しさを増すなか、ウクライナへの武器支援を強化する方針を一段と鮮明にした。

同法は武器貸与について必要な手続きを大幅に省く効果がある。ロシアの脅威にさらされる東欧諸国にも新法を適用し、東欧防衛の強化にも役立てる。武器貸与法は第2次世界大戦でナチスドイツと戦う英国や旧ソ連などの支援でも大きな役割を果たした。

バイデン氏は署名前に「戦いの代償は安くはない。しかし攻撃に屈服することの代償はもっと大きい」と指摘し、ウクライナ支援の意義を語った。「民主主義や人権、不一致の平和的解決に根ざした将来への永続的な関与を再確認するため、この法律に署名する」と強調した。

【関連記事】
・米欧、長期戦へ重装備供与 ウクライナ東部防衛にらむ
・米、200億円の追加軍事支援 ウクライナに火砲など
・ドイツ、自走砲をウクライナに供与へ 長距離攻撃に対応
・ロシア、ウクライナ鉄道網にミサイル 武器支援を阻止か 』

米報道官「北朝鮮対処が中心議題」 バイデン氏日韓訪問

米報道官「北朝鮮対処が中心議題」 バイデン氏日韓訪問
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100ME0Q2A510C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米ホワイトハウスのサキ大統領報道官は9日の記者会見で、バイデン大統領が5月下旬に日韓を訪問した際、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対処が議題の中心になるとの見方を示した。「地域の安定を脅かす行為を続ける現状を踏まえ、同盟国である韓国と日本の安全に対する米国の関与を明確にする」と述べた。

バイデン政権は北朝鮮が5月中にも核実験の準備を完了する可能性があると分析している。サキ氏は23日に予定する岸田文雄首相との日米首脳会談では「安全保障問題、経済関係の強化、気候変動なども話し合う」と語った。

バイデン氏は21日、10日に韓国大統領に就く尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏と初の首脳会談に臨む見通しだ。サキ氏は「地域の安全保障、朝鮮半島の非核化について対話するのを楽しみにしている」と話した。』

「プーチンは歴史修正主義」 米大統領報道官

「プーチンは歴史修正主義」 米大統領報道官
対ドイツ戦勝記念日の演説批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100DN0Q2A510C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米ホワイトハウスのサキ大統領報道官は9日の記者会見で、第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日に演説したロシアのプーチン大統領を「歴史修正主義者だ」と批判した。先の大戦でのソ連によるナチス・ドイツへの勝利と今回のウクライナへの侵攻を重ね合わせて正当化したプーチン氏の発言が念頭にある。

プーチン氏は9日の演説で、ウクライナ侵攻について「唯一の正しい決定だった」と述べた。ウクライナ東部のロシア兵らが「祖国や未来のために戦っている」とも主張した。

サキ氏はプーチン氏の発言に関し「この日は欧州の平和と統一、ナチスの敗北を祝う日だ」と指摘。「プーチンは不当な戦争を正当化するために歴史をゆがめ、歴史を変えようとしている」と断じた。

プーチン氏は演説で欧州の安全保障をめぐるロシアとの対話を拒否した米欧に責任があるとの認識も示した。サキ氏は「発言は明らかに誤りであり不正確だ」と非難した。』

新生銀行

新生銀行
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E7%94%9F%E9%8A%80%E8%A1%8C

『株式会社新生銀行(しんせいぎんこう、Shinsei Bank, Limited)は、東京都中央区に本店を置く、SBIホールディングス傘下の普通銀行である。

1952年、長期信用銀行法に基づき、北海道拓殖銀行と日本勧業銀行の信用部門を分離して設立された(名称:日本長期信用銀行、略して「長銀」)。

1998年10月に倒産し、金融再生法により、初めて一時国有化された。

1999年、リップルウッド・ホールディングスが率いる米国の投資組合「ニューLTCBパートナーズ」に売却され、2000年3月に新銀行として営業を開始した。

この時までに、新銀行には資本金と過剰債務を補うために7兆円近い公的資金が投入されていた。

2000年6月には新生銀行に名称を変更し、2004年には金融機関の合併及び転換に関する法律に基づき、長期信用銀行から普通銀行に転換した。2021年12月にSBIホールディングスの子会社となる。

消費者金融事業などノンバンク事業に強みを持つとされている[4]。

傘下にクレジットカードのアプラス、消費者金融の新生パーソナルローン(シンキ)および新生フィナンシャル(レイクALSA)を所有する。

公的資金注入行である。 』

『社歴

日本長期信用銀行時代については「日本長期信用銀行」を参照

1998年(平成10年)10月に、経営破綻し日本政府により一時国有化された日本長期信用銀行は、2000年(平成12年)3月、中央三井信託銀行グループ他との競争入札の末にアメリカの企業再生ファンド・リップルウッドや他国の銀行らから成る投資組合「ニューLTCBパートナーズ」(New LTCB Partners CV)に10億円で売却された。

代表取締役(2004年(平成16年)6月の委員会等設置会社移行に伴い代表執行役)会長兼社長にエクソンモービルやシティバンクで日本代表を務めた八城政基が就任。同年6月に「新生銀行」に改称した。

新生銀行の取締役会には、スタンフォード大学のMichael Boskin博士、サンタンデール銀行会長のEmilio Botin、リップルウッドのTimothy C. Collins、新日鉄(新日本製鐵)(現・日本製鉄)名誉会長の今井敬、日銀の可児滋、三菱商事の槙原稔、UBSペインウェーバーのDonald B. Marron、メロン・フィナンシャル会長兼社長のMartin G. McGuinn、ロックフェラーグループ元会長のDavid Rockefeller Jr.、他5名が席を占めた[5]。

ニューLTCBパートナーズとのパートナーシップは2006年(平成18年)11月に解消され、これにより2007年(平成19年)2月でRHJインターナショナル(旧リップルウッド・ホールディングス)の最高経営責任者であるティモシー・C・コリンズは新生銀行の取締役を辞任した。

2010年(平成22年)6月、あおぞら銀行との合併破談や赤字決算、業務改善命令発動の見通しなどの要因が重なったことから、八城政基取締役会長代表執行役社長らの経営陣が退任を余儀なくされ、旧第一勧業銀行・いすゞ自動車出身の当麻茂樹を代表取締役社長として迎える体制となった[6]。

2015年6月で当麻社長が体調不良を理由に相談役に退き、後任には同じくDKB出身の工藤英之常務執行役員が昇格。この人事に関しては、あおぞら銀行やりそなホールディングスが公的資金完済の道筋をつけたにも関わらず、返済の方途を示せない新生銀に対し、金融庁からの圧力が強まり辞任に至ったとの見方も報道もされている[7][8]。

インターネットバンキングでの振込手数料の無料化やATMの365日24時間営業、窓口営業時間の延長、円建てと外貨建ての預金がワンセットになった預金通帳を発行しない総合口座「PowerFlex」の販売など、リテール業務の充実を図りつつ、投資銀行業務などを主軸に積極的な業務展開を行っている。

あおぞら銀行との経営統合交渉

2008年(平成20年)の世界金融危機により、海外投資で多額の損失が生じたこともあり、2009年(平成21年)4月25日、新生銀行とあおぞら銀行が将来の経営統合について交渉に入ったと報道された[9]。

同年6月25日に、2010年中に合併することで基本合意したと報じられ[10][11]、これにより総資産が約19兆円、国内第6位の銀行グループが誕生する見込みであった。

しかし、新生側が2010年(平成22年)3月期の連結決算で最終赤字に陥ったこと、経営方針をめぐっての対立が解消できなかったことを理由に、予定していた合併を2010年5月14日付けで解消することを正式に発表した[12][13][14]。

セブン銀行との提携

2014年(平成26年)9月10日、セブン銀行が新生銀行の35店舗内のATM全76台の運営業務を受託したと発表し[15][16]、2017年6月23日までに新生銀が自行で設置するATMは0台となった[17]。

2001年6月より開始した中核店舗で個別ブースを設けた資産運用コンサルティングサービスやコールセンター・インターネットバンキングでの金融商品提供など、リテール分野での付加サービス拡充を強化している[18]。

マネックス証券との提携とSBIによる敵対的買収

2021年(令和3年)1月27日、マネックス証券と投資信託の販売など証券ビジネスで業務提携することを発表。

2022年1月に新生銀行の投資信託の口座をマネックス証券に移管、新生銀行側が販売を担うこととなった[19]。

なお、新生銀行の筆頭株主であるSBIホールディングスも包括提携を持ちかけており、新生銀行もSBIグループが主導する形で2020年8月に設立した地方創生パートナーズに出資していて関係が良好と見られていたことから、マネックス証券との提携は意外感を持って受け止められた。

SBI証券社長の高村正人は、決算説明会において「マネックスさんとの対比では、弊社で扱っている商品群やIFA(金融商品仲介としての提携)スキームの実績は圧倒的。

どういう理由で(新生銀行の経営陣が)ああいう選択をされたのか、よくわからない」と述べ、SBIホールディングス会長の北尾吉孝は「こういうの(提携)をみていると経営者や会社の将来がよくわかる」とした。

マネックスグループCEOの松本大は2008年-2011年の間、新生銀行の社外取締役を務めており、SBI証券が筆頭株主となる以前から経営陣と旧知の仲であったことを東洋経済オンラインは指摘している[20]。

その後、SBIホールディングスとの関係は悪化。

2021年6月の株主総会においては、SBIホールディングスが、工藤英之社長ら複数の取締役選任議案に反対票を投じるなど対立姿勢が鮮明になる一方、新生銀行の株式を断続的に取得し続け、9月までに銀行法の規定により金融庁の認可が必要となる20%をやや下回る程度まで保有割合を増加。

9月9日には、金融庁の認可を取得した上で最大48%まで保有割合を増やすことを目指す株式公開買付け(TOB)の実施を発表(過半数の株式を取得しないのは、銀行法の規定により親会社の業務も制限されるため[21])。

さらに、臨時株主総会の招集を要請し、元金融庁長官の五味広文を会長候補に、SBIインベストメント社長の川島克哉を社長候補とする経営陣の刷新を提案することを発表した。
新生銀行は、同日「SBIホールディングスより事前の連絡を受けておらず、公開買い付けは当行取締役会の賛同を得て実施されるものではない。」と声明、日本の金融業界では極めて異例となる事前通告なしの買収に発展した[22][23]。

9月17日、新生銀行は、SBI以外の株主が株式の割り当てを受けられる新株予約権を無償で発行し、SBIの新生銀株の保有比率を低下させる「ポイズンピル(毒薬条項)」と呼ばれる買収防衛策を発表。

あわせて10月25日のTOB期限について、12月8日に延期するよう要請を行なった。

SBIは、これらの対応策を「経営陣の保身」「無益な時間稼ぎにすぎない」と厳しく批判し、期限延長を拒否する構えを見せたが[24]、9月29日には、新生銀行が買収防衛策導入を進める可能性があるため、株主などに混乱を生じさせないため、やむをえず要請に応じるとして、12月8日まで期限を延長。

併せて、新生銀行に対して買収防衛策の発動の是非を問う株主総会を開催する場合は、決議の際にSBIを外すことがないよう重ねて要請した[25]。

10月21日、新生銀行はSBIによるTOBに反対(但し取得金額の引上げ、取得上限撤廃の場合は賛同する条件付き)を表明。銀行業界では初となる敵対的買収となることが決定的となった[26]。

同日、SBIは、取得金額の引上げ及び取得上限の撤廃について応じないことを表明した[27]。

10月28日、読売新聞は、新生銀行が発動する買収防衛策について、SBI以外の株主に無償で0.8株を割り当て、SBIの株式公開買付後の保有比率を最大でも20%程度にとどめるものであると報じた[28]。

同日、SBIホールディングスの決算説明会において、北尾は「これは建設的なTOBなんです。資本市場を活性化するメソッドとして“ぼんくら”経営者の退場があるわけです」とした上で、新生銀行に注入されている公的資金についても「銀行としてカネを借りて返さないのはあり得ない。泥棒と一緒」と痛烈に批判した。

新生銀行がSBIに代わるホワイトナイト探しに苦戦していることについては、「(SBI以上の価格で)ホワイトナイトが買うならどうぞ、お譲りします」 と述べ、買付価格は「高すぎるくらい」と主張した[29]。

関係性の悪化が決定的となった6月の株主総会以降、ホワイトナイト探しを本格化させた新生銀行は、セブン銀行を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスやソニーフィナンシャルホールディングスを完全子会社化したソニーグループなどに接触するもいずれも不調に終わった。

イオン銀行を傘下に持つイオンフィナンシャルサービスやオリックス銀行を抱えるオリックスなどとの交渉も続けているが、SBIホールディングスを上回る買収価格を打ち出さなくてはならず、TOB発表前の株価水準に対して73%強のプレミアムをつけた価格を提示しなければならない点や公的資金の返済のためには株価をTOB開始前の価格の3.7倍に引き上げなければならない点がネックとなっているとされる[30]。

11月24日、新生銀行は買収防衛策を取り下げ、TOBに対する意見を「反対」から「中立」に変更する事を発表した。

これにより、翌日の25日に予定していた臨時株主総会は中止となり、TOB成立かつ新生銀行がSBIの傘下に入る可能性が高くなった[31]。

新生銀行側が臨時株主総会直前に買収防衛策を取り下げた背景には計2割超の同行株を保有している国(預金保険機構・整理回収機構)が買収防衛策に反対する一方で敵対的買収成立によるしこりを回避するために双方に協議を呼び掛け、「SBIが経営方針や事業戦略を尊重し、業務運営の安定性に配慮して経営体制を移行する」条件付きで譲歩した経緯がある[31][32]。

12月11日、SBIは前日(12月10日)に締め切られた新生銀行に対する株式の公開買い付けで27.28%分の応募があり、既にSBIが保有している20.48%分と合わせ、保有比率は47.77%となり、TOBが成立したと発表した[33][34]。

これを受けて、SBIは2022年2月8日に行われた臨時株主総会において、SBI前副社長の川島克哉や元金融庁長官の五味広文など取締役7人を推薦。SBIの選任案は可決され、新生銀行社長の工藤英之など6人は退任した[35][36]。

12月17日、SBIは新生銀行を連結子会社化したと発表した[37]。

また、同行株の9.16%を保有していた旧村上ファンド系の投資会社であるシティインデックスイレブンスがSBIのTOBに応募し、同行株を全て売却していたことが同日関東財務局に提出された変更報告書で判明した[38]。

なお、前述の通り、新生銀行は1月にSBI証券と同業会社であるマネックス証券との間で業務提携を締結しているが、連結子会社化の時点では契約内容の全体をSBIがまだ把握できず、提携を解消することが事実上困難であることから、SBIグループ入り後も当面の間はマネックス証券との提携を継続することを明らかにしており、この結果、SBIの系列銀行が競合する証券会社と提携するねじれ関係が生じる事態になった[39]。

2022年2月28日、同日行われたSBIの決算記者会見において、新生銀行の社名変更を検討していることを明らかにした。北尾は早くて同年6月開催予定の新生銀行株主総会において、具体的な新社名を提案したいとしている[40]。』

『沿革

日本長期信用銀行時代については「日本長期信用銀行#沿革」を参照

2000年(平成12年)6月5日 - 日本長期信用銀行から新生銀行へ商号変更。

2001年(平成13年)6月5日 - 各支店を個人顧客の取引拠点「新生フィナンシャルセンター」へ改装し、アカウント型の新型口座「PowerFlex(パワーフレックス)」取り扱い開始。

2003年(平成15年) - 帝人から帝人クレジットを買収(後に新生セールスファイナンスへ改称し、アプラスフィナンシャルへ譲渡)

2004年(平成16年)1月 - 子会社に含めていたノンバンクのエクイオン(1996年(平成8年)倒産)を新生プロパティファイナンスへ改称。同年中に旧長銀融資先のノンバンクを同社に吸収合併させる。

2004年(平成16年)

    2月19日 - 東京証券取引所第一部へ上場(法人格上は長銀以来の再上場)

    4月1日 - 長期信用銀行から普通銀行へ転換。

    9月 - 準大手信販のアプラス(現:アプラスフィナンシャル)と全面的な業務・資本提携。第三者割当増資により連結子会社化。

    10月 - リッチョーワイド(長期信用債券(利子一括払))や機関投資家向けの募集債、財形用リッチョーを除く債券の発行を打ち切り(個人の場合、償還後は、パワーフレックス普通預金に購入債券の金額が振替えられる)。消費者金融のシンキを、業務提携で取得した転換社債の行使により持分法適用会社化。

2006年(平成18年)11月 - 支配株主であったニューLTCBパートナーズの母体であるRHJインターナショナルとのパートナーシップを解消。

2007年(平成19年)6月29日、収益実績が目標を大きく下回ったため、金融庁が「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」と銀行法に基づく業務改善命令。

2008年(平成20年) - GEキャピタルからGEコンシューマー・ファイナンス株式会社とその子会社群(ジーシー等)を買収し、翌年新生フィナンシャルへ改称。

2010年(平成22年)

    5月14日 - あおぞら銀行との統合交渉打ち切りを発表。

    6月 - 八城政基取締役会長代表執行役社長らが退任。委員会設置会社形態を同時に廃止し、当麻茂樹が代表取締役社長に就任。

    12月 - 新生銀行保有のアプラスフィナンシャル株式を新生フィナンシャルへ譲渡。
2011年(平成23年)

    1月 - 本店を東京都千代田区内幸町から中央区日本橋室町へ移転。

    3月 - 海外募集による普通株式690百万株を新規発行。

    10月1日 - 新生フィナンシャルの消費者金融「レイク」の商標と営業部門を譲り受け、新生銀行カードローン レイクとして取扱開始。

    12月‐データセンターを、東京から大阪へ移転し、バックアップセンターを福岡に設けることを発表。

2013年(平成25年)

    4月27日 - リッチョーワイドの新規売出を、同日の営業終了時を以って停止。
2015年(平成27年)

    1月29日 - 池袋労働基準監督署からの時間外労働に対する割増賃金の支払いなどについての是正勧告および指導に関する対応を公表[41]。

    6月 - 当麻茂樹社長が相談役に退き、後任には、当麻と同じくDKB出身の工藤英之常務執行役員が昇格。

2016年(平成28年)

    8月1日 - 総合口座及び債券総合口座の規定を「PowerFlex(パワーフレックス)」の規定に変更(併せて、PowerFlexへの正式な切替に関する経過措置が設けられる)。これにともない、同年11月末を以て、通帳取引(記帳や繰越を含む)を停止

    12月1日 - 昭和リースを完全子会社化

2017年(平成29年)
    4月1日 - 新生銀行グループを統括する「仮想グループ本社」を設立[42]。

2018年(平成30年)
    4月 - 新生銀行で兼業・副業を解禁

2019年(平成31、令和元年)
    5月 - 中期経営戦略「金融リ・デザイン」(2019年度~2021年度)を策定
    8月 - ドレスコードを撤廃、全社員の服装を自由化
    8月 - ドコモユーザー向け「新生銀行スマートマネーレンディング」の取扱い開始

2021年(令和3年)
    1月 - マネックス証券との包括提携を発表
    9月 - SBIホールディングスが新生銀行に対してTOBを実施[43]
    12月11日 - SBIホールディングスがTOBで27.28%を取得。保有比率で47.77%に引き上げたことを発表[33]。
    12月17日 - SBIホールディングスが連結子会社化[37]。
    12月28日 - 翌年4月の東京証券取引所の市場再編において、スタンダードを選択したと発表[44]。日経225構成銘柄でプライムを選択しなかったのは新生銀行が唯一。

2022年(令和4年)
    1月4日 - マネックス証券との連携を開始[45]。
    2月8日 - 同日行われた臨時株主総会において、SBIホールディングス前副社長の川島克哉が代表取締役社長に就任。現経営陣の社長の工藤英之など6人は退任[35][36]。

    4月4日 - 東証の市場再編により、東証一部からスタンダードへと移行。これに伴い、日経225構成銘柄から外れた[46]。』

『批判

長銀破綻処理

長銀破綻から新生銀行誕生に至る一連の処理への批判には、次の2点がある。

瑕疵担保条項の積極的行使

    旧長銀の売却契約の中に、瑕疵担保条項(新生銀行が引き継いだ債権が、3年以内に2割以上下落したら、国に買取請求を行う)があった。

新生銀行にとり、有効期限内に不良債権を一掃し、かつこれにより貸倒引当金戻入益を計上できるメリットがあったため、積極的にこれを行使した。

この結果、ライフ、そごう、第一ホテル、エルカクエイなど、長銀をメインバンクにしていた企業が破綻に追い込まれ[† 1][† 2]、社会的非難を浴びることにもなった。

    これと関連し、長銀の破綻処理で金融再生委員会のアドバイザリーに指名されたゴールドマンサックスに対して、『瑕疵担保条項の危険性を忠告する義務があった』と与野党から批判が集まった。

このほか同社は、日債銀売却に際しても、買手側のソフトバンクサイドのアドバイザリーに就いていた他、長銀子会社の日本リース売却の仲介や日本ランディックの資産買取などに関与しており、利益相反の観点から批判があがった。

2000年(平成12年)7月、国会は金融庁・金融再生委員会幹部職員、八代・新生銀行社長(当時)と共に、ゴールドマン・サックス担当者も参考人招致をしたが同社はこれを拒否している。

東証再上場

    2004年(平成16年)2月20日、投資組合側は、新生銀行を東証一部に再上場させ約2300億円の売却益を手に入れた。出資金を含めた諸費用は約1210億円で、1000億円以上の純益を稼いだ。

    これに対し、国民負担が巨額(旧長銀に投入した公的資金は約7兆9000億円、そのうち債務超過の補填分約3兆6000億円は損失が確定。

さらに、前述の瑕疵担保条項の行使で、預金保険機構を通じ国が買い取った債権も将来的には損失が予想され、最終的な国民負担額は4 – 5兆円に達することが予想される)の上、その売却益に課税できない(投資組合は本拠地が海外にあるため、日本政府はその売却益に課税できない)ことが報道され、前回以上の批判が沸き起こった。

そもそも約8兆円もの公的資金を投入し特別扱いで救う価値があったのかと自民党、民主党の一部議員からも疑問や批判が出された。特に民主党衆議院議員の仙谷由人は瑕疵担保条項に強い疑問を投げかけた。

もっとも批判に対して、以下のような反論もある。

    旧長銀売却に際し日本政府は、投資組合側が要求した資産査定に対し、資産査定の時間的問題と債権が相当劣化していたのを見せないために拒否しており、瑕疵担保条項はその代償である。

    瑕疵担保条項の行使は、企業価値の最大化の目的に対してはむしろ妥当であり、またこのことが、旧長銀の債権が相当劣化していたことの証左でもある。

    巨額の投資純益に関しては、当時旧長銀買収で競合した中央三井信託銀行グループが、投資組合を上回る条件を提示できなかったことを考慮しても、投資組合側が相当なリスクを踏まえた結果である。

    仮に日本政府が課税措置をとった場合、投資組合の本拠地国でも当然課税措置が生じるため、当該企業にとっては二重課税の問題が生じる。海外に本拠地を置く企業に課税できないのは本件に限ったことではなく、国際取引課税では二重課税が生じないような取決めがある。

投資信託口座の取得価格などで誤計算

2013年12月末までに投資信託特定口座の取引を開始した一部顧客について投信の取得価額および取得単価に誤りがあったと2022年4月21日に発表した。対象口座は最大で5万9729件。取得価額に間違いが生じていれば、顧客の譲渡所得金額や納めるべき税額が変わる可能性がある[47][48]。

関連会社

詳細は「公式サイトの子会社・関連会社一覧」を参照

主な国内子会社

昭和リース りそなホールディングスより買収したリース会社

新生信託銀行 ホールセール系信託銀行

新生証券 ホールセール系証券会社

新生インベストメント・マネジメント 資産運用部門

新生企業投資 ベンチャー投資・バイアウト投資を行う投資部門

新生インベストメント&ファイナンス[49] 旧新生プリンシパルインベストメンツ。2017年新生プロパティファイナンスを吸収合併。不動産担保ローンならびにオーダーメイド不動産ファイナンスの取扱事業者。

アルファ債権回収 個人向け小口債権と不良債権・商業用担保債権の管理回収業務

アプラス アプラスフィナンシャルのクレジットカード・信販事業を承継

全日信販 アプラス傘下のクレジットカード、個人ローン事業者

新生フィナンシャル 旧GEコンシューマーファイナンス。レイクALSAを展開する消費者金融・カードローン事業者

新生パーソナルローン 旧シンキ 2016年商号変更。新生フィナンシャル傘下の消費者・事業者金融業者

ファイナンシャル・ジャパン 訪問型の保険乗合代理店

全国賃貸保証 賃貸不動産における賃貸借料の保証サービス

主な海外子会社

新生インターナショナル ロンドンに設立された証券部門

Nippon Wealth Limlted. 香港に設立された投資部門

UDC 個人向けオートローン、法人向け資産担保ファイナンス、オートディーラーに対する在庫ファイナンスを手がけるニュージーランド最大手のノンバンク

基幹システム

2001年に構築した基幹システムは、当時「異例」と評された[50]。

メインフレームと専用線で基幹システムを構成するのが当たり前という時代において、勘定系ホストにWindows 2000 Server搭載のIAサーバ、業務システムソフトウェアにインド製[† 3]の総合銀行業務パッケージソフトウェア「FLEXCUBE」、各店舗とホスト間をIPネットワークで接続するというものであった。

これらの「異例」によって短期間・安価な費用でのシステム構築ができたと当時のシステム企画部部長は語っている。

当時としては画期的な振込手数料やATM手数料の無料化、インターネットバンキングサービスの24時間365日無停止提供などリテール業務拡大施策の原資を、当基幹システム構築費用の圧縮により生み出したとの主旨の発言を当時の社長がしている。

一方で、二重出金 などの重大なシステムトラブルも発生しており[51][52][53][54][55]、 2013年3月時点では「多いときには毎日のようにシステム障害が起こっている」との報道[56]もある。

新生銀は2002年にFLEXCUBEを動かしてから、一度もバージョンアップをしていなかった。
2012年に起きたシステム障害を引き金として,2019年1月に勘定系システムを全面刷新した。具体的にはオラクルフィナンシャルサービスソフトウェア(旧i-flexソリューションズ)製のオープン勘定系パッケージ「FLEXCUBE」をバージョンアップした。

ただし旧システムは,年輪のように改修を積み上げてきたため,パッケージを使っているとはいえ中身はほとんど独自のガラパゴス状態になっていた。FLEXCUBE2から12へと大幅にバージョンを上げるために,当初予定より1年延期を要した[57]。

商品

総合口座「PowerFlex」

個人向け基幹商品である「PowerFlex」は、円建預金・外貨建預金・インターネットバンキングサービス「新生パワーダイレクト」の3つがセットになった総合口座である。

特に、円建預金と外貨建預金のセット化は日本法人の銀行としては初めての試みである。
従来、外貨建預金は総合口座とは別個に開設しなければならず、資金移動も米ドルなど主要通貨を除いて店頭に赴く必要があった。

また、インターネットバンキングがセットになっているため「新生パワーダイレクト」が口座開設当初より利用できる。従来、インターネットバンキングサービスも総合口座とは別個に申し込む必要があった(メールオーダーでの新規開設など一部のケースを除く)。このパワーダイレクトを用いて円建預金と外貨建預金間の資金移動が即座に行えるのも特長といえる。もちろん円建普通預金では給与振込や公共料金引落も他行同様に利用できる。

2020年(令和2年)7月20日現在、新生パワーダイレクトを用いた振込手数料は、自行宛は一律無料であり、他行宛は新生スタンダードのランクの場合1件314円(税込)の振込手数料が、毎月1回分キャッシュバックされる。

これは「新生ステップアッププログラム」の優遇サービスの1つである。同プログラムは、口座ごとに、前月の平均残高などの条件によって3つのステージに分類されるもので、それぞれに優遇枠が決定される。

新生プラチナ: 預入総資産の月間平均残高が2,000万円以上か、所定の金融商品(外貨預金や仕組預金、内外の投資信託、保険商品と金融商品仲介)の前月末残高(一部は前月末残高)が300万円以上、もしくは住宅ローン利用の場合が該当する。この場合、当月の10回分までが対象となる。

キャッシュバック対象回数以上の振込は1回あたり105円(税込)。

新生ゴールド: 預入総資産の前月平均残高が200万円以上か、所定の金融商品の前月平均残高30万円以上、または円普通預金・パワー預金の月間平均残高合計が100万円以上、あるいはカードローンの借り入れ月間平均残高が100万円以上の場合に、当月5回分が対象となる。

キャッシュバック対象回数以上の振込は1回あたり210円(税込)。

新生スタンダード: 上記の条件を満たさない場合に該当し、当月の1回分だけキャッシュバックされる。

キャッシュバック対象回数以上の振込は1回あたり314円(税込)。

なお、自行宛の振込手数料一律無料は営業開始当初から現在まで続くが、他行宛についても2004年(平成16年)8月31日までは何度でも無料であった。

預金総額に対して振込件数が異常に多い、例えば株のデイトレードやインターネットオークションなどで多用する顧客が増加し、サービス維持に支障をきたしたことから、2004年(平成16年)9月1日に、他行宛は1件300円、但し月間5回(前月末の残高が1,000万円以上の場合は月間30回)のキャッシュバックと変更され、2007年(平成19年)10月31日に現在のように再度変更された。

2019年12月9日より新生銀行間の振込も他行宛ての振込もモアタイムシステム加盟銀行宛ての振込であればシステムメンテナンスの時間帯を除き、土日祝日であっても、即時振込が可能となった。

国内の各種提携ATMからの入出金については、PowerFlex開始より手数料が一切無料となっている(MICS経由の場合も新生銀行側が手数料を負担)。ただし、2018年10月7日より「新生スタンダード」ステージの口座に対して一律108円の出金手数料(現在は110円)を徴収することになった[58]。なお利用可能なATMについては公式情報を参照。

2021(令和3)年1月25日から

ゆうちょ銀行、都市銀行、信託銀行、商工中金

のATMについては新生ステップアッププログラムの出金手数料無料優遇の対象外となり、現在新生ゴールド、新生プラチナのランクで出金手数料無料優遇を受けることができている人も一律110円のATM出金手数料がかかるようになる。

キャッシュカードの新規発行には通常1 – 2週間を要するが、店頭において口座を開設した場合に限りPowerFlexではキャッシュカードを即時発行している[† 4]。これも日本法人の銀行としては初のサービスである。なお、店頭申込以外(メールオーダー扱)は全て本店(店番:400)に口座が開設され、キャッシュカードは郵送される。

カードのデザインは当初、ロゴを模したものであったが、現在は32色のカードからキャッシュカードを選ぶことができる[† 5]。これはグッドデザイン賞を受賞した。

また、カードの偽造や変造による預金者の損害については、条件付で300万円までの補償制度がある。

本人確認手段として、届出印に替えて外国銀行では主流となっているサインを登録することが可能である[† 6]。

ただし、以下のとおりシステム設計の面で柔軟性を欠く部分がある。

「・(中黒)」を名義登録できない。
日本国籍ではミドルネームが受け付けられない。

また、新生パワーダイレクトにおいては以下の様な不便さもある。

ログイン画面がフルサイズで表示される。
カナ入力は全て半角カタカナを使用しなければならない(ただしソフトウェアキーボードが用意されている)。

右クリックが使用できない(ただし「Ctrl」+「C」などのキーボードショートカットは使用可能)。

なお、電話連絡は、原則新生パワーコール(0120-456-007。口座未開設の顧客の場合は、0120-456-860)で行うこととなり、法人顧客専用の電話番号を除き、フィナンシャルセンターごとの番号は公開されていない。また、新生パワーコール(利用者向けのみ)は、米国から掛ける場合は専用のトールフリー番号が別途用意されている(+1-866-SHINSEI = +1-866-744-6734)。それ以外の国から掛ける場合は、東京03から始まる番号を、コレクトコールにてかけてもよいことになっている。

旧来の口座利用者についても、2016年8月よりPowerFlexの規定が原則適用(債券総合口座利用者は、別途同口座の規定が引き続き適用されるが、PowerFlex切替を前提としたものに変更される)されることになり、取引はPowerFlex利用者同様、ステートメント発行によるものとなり、窓口での正式な切替手続を完了した後は、一般のPowerFlex利用者と同じ扱いとなる(インターネットの取引やパワーコールの利用も可能となる。また、キャッシュカードは、従来のものから海外での利用も可能となる、PowerFlex利用者向けのものへの切り替えの措置をとる)。また、同年11月末を以て、正式な切り替えを行っていない顧客に対する通帳の記帳及び繰越を含む発行手続きは終了される。
仕組預金

新生銀行の金融商品の大きな特徴としては、デリバティブを組み込んで高い利息を実現した「仕組預金」が多いことがある。現在では残高が1兆円を越えており、同行の預金のおよそ3分の1を占める。

この仕組預金は、一見すると定期預金的な商品として売り出されている。しかし、中途解約は原則できず、行えたとしても大きく元本割れ(1~5割程度)する可能性があり、この点が通常の定期預金とは大きく異なる。

なお、中途解約して元本割れした者が商品の危険性について銀行側が十分な説明をしなかったとの苦情を金融庁に寄せており、同庁ではこれを受け、顧客に不利な情報についても、広告で目立つように掲載することを全国銀行公正取引協議会へ指示した。

また、顧客への説明義務を強化するために、銀行法の改正も検討している。これらを受け、同行でも中途解約時の元本割れリスクについて広告などで詳しく説明するようになった。

以下は、その一覧。

日本力(にほんぢから)円預金

パワーステップアップ預金 - 基本的には3年の運用であるが、銀行側の判断で最大10年まで運用期間が延長される場合があり、期間が延長された場合、1年ごとに定めた幅で適用金利を引き上げる

パワード・ワン(現在は募集停止) - 基本的に5年間の運用であるが、銀行側の判断で運用期間が8年に延長される場合がある

ニュー パワード・ワン - 基本的に3年間の運用であるが、同様に5年間に延長される場合がある

パワード・ワン プラス(現在は募集停止) - 基本的に5年間の運用であるが、同様に10年間に延長される場合がある

パワーリンク225(現在は募集停止)

パワー10(現在は募集停止)

店舗

現行店舗は、公式サイトの店舗一覧を参照

2011年(平成23年)10月1日付けでコンシューマーファイナンス本部レイク事業部を設置し新生銀行カードローン レイクの取扱開始に伴い、新生フィナンシャルが保有する「レイク」店舗(自動契約コーナー)を譲り受け、新生銀行本店を母店とするレイク出張所(無人の自動契約コーナー)が加わったことで店舗数が大幅に増加することになった。店舗に設置されているATMは、セブン銀行のものに切り替えられ、自前のATMはすべて撤去された。
旧本社ビル(内幸町)

 新生銀行本店ビルも参照

1993年(平成5年)、日本長期信用銀行(当時)は日比谷公園至近の東京・内幸町に本店ビルを完成、側面がアルファベットのTの字に似た外観を持ち、無機質なビルが多い周囲の中では特段に目立つランドマーク的な存在となっていた。ビルは地上22階、地下5階建てで、延べ床面積は約6万平米であった[59]。

新生銀行は設立当初これをそのまま引き継いで本店としたが、長銀時代には総ガラス張りで豪華さを際だたせていた玄関ホールにはインブランチストアとして、スターバックスコーヒーの店舗やYahoo! Cafeが設置されていた。また、ビルの一部フロアは賃貸され、日本原子力研究開発機構東京事務所などが入居していた[† 7]。

2008年(平成20年)3月、銀行関連会社の有限会社ドルフィン・ジャパン・インベストメントの所有となっていたビルの信託受益権はモルガン・スタンレー系不動産ファンド傘下の特定目的会社「藤沢ホールディング」に売却され、新生銀行は3年以内に退去することが決定した[60]。この取引は当時の不動産ミニバブルを象徴するものといわれ、取引額は1,180億円であった[59]。

その後、あおぞら銀行との合併が破談となったことなどもあり、内幸町の本店フィナンシャルセンターは2010年(平成22年)12月30日の15時を以って閉鎖され、中央区日本橋室町二丁目のYUITO(日本橋室町野村ビルのうち、商業施設部分を指す名称)8Fへ本店フィナンシャルセンターを移設した上で、2011年(平成23年)1月4日より営業開始した[61]。本部機構は、予定通り日本橋室町野村ビルの上層フロアの事務所エリアにおかれ、YUITOのB1Fには、相談専用拠点として日本橋室町コンサルティングスポットが別途設置された(2012年7月12日付で営業を終了し、住宅ローンセンターとしてリニューアル[62])。

新生銀行の退去後、ビルはほぼ空室のままとなっていたが、2012年(平成24年)7月には不動産ファンド運営会社ケネディクスがモルガンスタンレー系ファンドから約510億円で取得[59]。同年12月6日、解体の上で地上20階建ての新しいビル(現・日比谷パークフロント)が建設される事になった[63]。建設から20年足らずに解体となった。

新生銀行、「SBI新生銀行」に社名変更で調整 23年1月に

新生銀行、「SBI新生銀行」に社名変更で調整 23年1月に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB09C3M0Z00C22A5000000/

『SBIホールディングス傘下の新生銀行が社名を「SBI新生銀行」に変更する方向で最終調整していることがわかった。2023年1月に社名を変更する予定だ。新生銀は21年12月にSBIの傘下に入った。新生銀とSBI傘下の各社との連携を深める狙いがある。

6月に開く株主総会に社名を「SBI新生銀行」に変更する議案を提出する方向だ。社名を正式に変更するには、金融庁による認可に加え、株主総会での承認が必要になる。

新生銀は21年12月に成立したTOB(株式公開買い付け)で、SBIが株式の約48%を握る連結子会社となった。かねて新生銀の川島克哉社長は「(社名変更で)SBIが新生銀にコミットすることを表せる」と述べ、6月の株主総会に向けて行名の見直しを検討していた。

【連載「ルポ迫真 SBI・新生 攻防の果て」記事一覧】

(1)新生銀行の公的資金返済「3年でけりをつけてこい」
(2)新生銀行・工藤社長「辞める覚悟ないと会社がゆがむ」
(3)村上ファンド「株上昇、最大の防衛策」 新生銀TOB参戦
(4)「SBIはハゲタカじゃない」 金融庁、苦渋のTOB支持 』

ルールってなんだ?超国家組織EUのルールの作り方

ルールってなんだ?超国家組織EUのルールの作り方
https://note.com/osintechofficial/n/nc9e14d4c0afb

『 *本記事は2020年に弊社ウェブサイトにて公開していた連載の再掲です*

色々なルールで世界をリードしようとしているかに見えるEU。

今日は、超国家組織EUが域内のルールをどうやって作っているのかをご紹介します。

・・・・・・・

EUは、

・加盟国の選抜官僚による『欧州委員会』という役所
・市民の直接選挙で選ばれる『欧州議会』という国会的なもの
・加盟国の政府から代表1名が出席する『閣僚理事会』

を有しています。

※なお、閣僚理事会は、トピックによって参加者を変えることができます。

なので、事実上二院制の立法と言えます。

画像1

≪立法プロセス≫
1.役所(欧州委員会)が法案を提出
2.欧州議会で修正を協議し、閣僚理事会に提出
※ 以下、理事会の修正がなければ、その時点で成立
3.閣僚理事会が修正を協議し、「共通の立場」を表明、欧州議会に戻す

  4.欧州議会は、修正を行って、閣僚理事会に再提出
5.閣僚理事会が、さらに修正を必要とする場合、欧州議会との調停へ

(ちなみに、議員立法は存在しません。)

欧州議会はEU全域のことを考える。

閣僚理事会は各国政府を代弁する、という明確な役割分担があるということですね。

国を集めて連邦制のような形になると、閣僚理事会のような「各国政府の立場」を考慮し、意見する、もう一つの代表機関が必要になってくるのでしょう。

・・・・・・

日本も二院制です。しかし、日本における衆議院の優越のような仕組みは、欧州議会と閣僚理事会の間には存在せず、対等を旨とするようです。

「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けば、だが」

とは英国首相チャーチルの言葉。

人間が集団で一つのことを決めるための試行錯誤。

組織の形は、それぞれの国や地域が少しでも良い社会をと、権力や人間のエゴと格闘してきた結果、とも言えるのではないでしょうか。

歴史も、意思決定の仕組みの変遷という切り口で見直すと、なかなか面白いものがあります。インターネットやAIという武器を持つ我々の世代は、これからどのように集団のルール作りのデザインを進化させていけるのでしょうか。

ともあれ、海外を知ることは自分を知ることとなり、面白いですね!

*参考*

日本貿易振興機構(ジェトロ)2017年3月「EU のルール形成に関する調査報告書」

藤井俊彦、『競争戦略としてのグローバルルール 世界市場で勝つ企業の秘訣』東洋経済、2012年

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